※この作品はR-18です。

淫魔王のいる学園【完結】   作:ドン・ドナシアン

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第12章 双子【絹香、松野 梓、松野 渚】
 72話【回想】少女たちのSとM


 (あずさ)(なぎさ)の父は、実業家だったそうだ。

 もっとも、梓は、ほとんど家に戻ることがなかった父のことは、なにも覚えていない。

 その父は、その事業に失敗をして、自殺をした。

 梓たちが小学校一年生のときだ。

 

 遺ったのは、母と、双子の娘と、多額の借金だけだったそうだ。

 それ以外のものは、住んでいた家を含めて、すべて借金の抵当に入っていた。

 母は父の死のことよりも、生命保険に掛ける金さえも事業の運転資金に回していた父の遺した借金のことで途方に暮れたようだ。

 なにしろ、父のかなりの借金の先は、闇金といわれるところだったのだ。

 

 母は、財産家でもない親族に頼ることもできず、かといって、母自身にはなんの力もなかった。

 母は大学の在学中に梓たちを妊娠したために大学中退をしていて、資格も能力もない、ただの専業主婦であり、その母には借金を支払うなんの力もなかったようだ。

 それで、母が思いついたのは、知人であった、ある財産家の女性に借金の肩代わりをお願いすることだ。

 闇金への借金を返す金を貸してくれと土下座をしたのだ。

 随分と虫のいい話だが、その女性は夫と相談のうえ、応諾すると伝えてきたそうだ。

 それだけでなく、屋敷に双子の娘とともに、家政婦としてだが暮らしてもいいと……。

 つまりは、借金を代わりに払ったうえに、生活の面倒まで申し出てくれたのだ。

 

 ただし、それには条件があった。

 

 その条件というのが、どんなものかは知らなかったが、梓はずっと後でそれを知ることになる。

 いずれにしても、それが西園寺家との出会いだ。

 

 西園寺家の主人は、西園寺寿太郎(じゅたろう)、当時五十二歳──。

 母が借金の肩代わりを申し出た女性は、西園寺摩耶(まや)、当時四十八歳──。

 そして、梓たちの母は、松野多恵(たえ)、当時二十八歳──。

 

 それが、その三人の関係の始まりだ。

 

 そして、母とともに西園寺家の屋敷にやってきた梓と渚は、そこで、西園寺家のお嬢様と初めて出会った。

 西園寺絹香──。

 梓たちよりも二年上の小学校三年生。

 そのとき梓は、なんてきれいな女の子なんだろうと思った。

 まるで人形のように美しい……。

 絹香に対する最初の印象はそれだった。

 そして、絹香は外見だけでなく、とても優しい少女だった。

 勉強もでき、才能もあり、なにをしても失敗をせず……。

 まさに、完璧ないい子……。

 でも、たったひとつだけ困った性質があった……。

 

 それが絹香という少女だった。

 

 


 

 

 借金の肩代わりをしてもらった家政婦と、その連れ子としての生活だったが、梓と渚の生活は、むしろ父が存命中よりも、ずっと恵まれたものになった。

 通っていた小学校は西園寺家の伝手(つて)で、絹香の通う有名私立小学校に編入になったし、勉強や生活に必要なものは、すべて絹香と同様のものを与えられた。

 ほかの家人たちも優しくしてくれたし、なによりも西園寺家の夫婦や絹香もまた、梓たちのことを本当の家族のように親切に接してくれた。

 

 母の多恵もまた、そんなに惨めな生活はしていなかった。

 夫婦の身の回りのものを専門に世話をする役目を与えられたため、ほかの家政婦よりも、夜の仕事の時間が長かったように見えたものの、その代わりに昼間などは簡単な雑用しかやらないし、時にはまったく仕事がなさそうな感じだった。

 それで給料がもらえて、不自由のない生活ができるのだから、闇金に追い立てられて、もしかしたら一家心中でもしなければならなかった立場としては随分と恵まれた境遇だ。

 

 それは、後日、母がどんな条件で、この生活を手に入れたかということを知ってさえも、そう思っている。

 母も梓たちも、西園寺家には随分と大切にしてもらった。

 それは、母が西園寺家の夫婦にとって、なくてはならない役割を果たしていたからだ。

 

 


 

 

「ねえ、自慰って知っている?」

 

 突然に絹香から、そんなことを訊ねられたのは、屋敷で生活をするようになって一年ほど経ったときで、小学校二年生のときだ。

 絹香は四年生、十歳だ。

 もちろん知らなかった。

 

「オナニーともいうのよ。だったら、教えてあげる。一緒にやるのよ」

 

 そして、誰にも内緒だと念を押されて、渚も加えて三人でやることになった。

 三人で、スカートとパンツを脱いで、絹香の指示に従い、股のところに指をやって、気持ちよくなるまで揉むのだ。

 最初はなんとも感じなかったが、しばらくすると、なんだかほんわりしたように身体が熱くなり、ぼうっとして気持ちよくなってきたのを覚えている。

 絹香は、そんな梓たちの姿を写真に撮り、これは絶対に内緒の秘密だと言った。

 もしも、誰かに喋ったりしたら、あんたたちも、あんたのお母さんも、ここに住めなくなるからね──。

 と、怖い顔で言った。

 

 梓は、ここに住めなくなるということよりも、あの絹香があんなに怖い顔をするということにびっくりしてしまった。

 もちろん、誰にも言わなかった。

 それから、絹香は以前よりも増して、梓と渚に優しくなった。

 自分が必要なくなった高価な服やアクセサリーも、どんどんくれるし、絹香に対して、誰かが持ってきたお土産や贈り物も、いつも双子に分けてくれた。

 その代わり、三人で隠れてのオナニーごっこは、かなり頻繁にやったりした。

 

 最初にエクスタシーを覚えたのは、秘密の遊びを開始して、二箇月くらいしてからだと思う。あのときは、おしっこでも洩らしたのかと思って、びっくりしたのを覚えている。

 

 やがて、自分でやるよりも、三人でやりあっこをした方が、ずっと気持ちいいと絹香が言い出し、三人で相手の股間を刺激し合うようになった。

 絹香に梓たちが手で刺激したり、逆に絹香が双子に刺激したりだ。

 あるいは、梓と渚でお互いにすることもあった。

 いまにして考えると、絹香は自分が絡まないときには、必ずデジカメで梓たちの写真を撮影していたように思う。

 

 一方で、梓は自分がやられるよりも、梓の指で絹香や渚が気持ちよさそうにすることに、なんともいえない愉悦を感じるようになっていた。

 確かに、絹香の言う通り、オナニーよりも興奮すると思った。しかし、それは絹香の言葉のままじゃなく、梓は自分がエクスタシーをするより、ほかのふたりが梓によって、エクスタシーに達するのが愉しかったのだ。

 

 ともかく、梓たち三人の少女の淫らな秘密の行為は、かなり長く続いた。

 

 


 

 

 やがて、転機が訪れた。

 

 それまで、「秘密の遊び」は夜のことであり、そして、必ず絹香の部屋のことだった。

 それ以外の場所では一度もやったことがない。

 しかし、あのとき、絹香は、今度は外でやりたいと言ってきたのだ。

 三人で外に遊びに行き、こっそりと隠れてやろうと……。

 すでに三人は中学生になっていて、絹香は中学三年生で、梓たちは一年生だった。

 

 絹香は自分の計画をとつとつと語りだした。

 向かうのは、電車に乗った先の隣町の県立図書館だという。

 図書館には、ほとんど誰も来ないような書庫の場所があるのだそうだ。すでに探してきており、そこで三人でスカートの中に手を入れてやり合うのだ。

 あらかじめ下着は脱いで鞄に入れておく。

 声が出たら困るので、口に噛むハンカチも準備する。

 絹香は、喜々として自分の計画を説明した。

 さらに、絹香の妄想は続いた。

 それが成功したときの次の目標はこれをすることで、そして、こんなこともやってと、絹香の計画は呆れるようなほどの妄想の垂れ流しであり、梓は唖然とした。

 

 そのときの絹香の表情は、明らかに恥ずかしい目に遇う自分を想像して、欲情しているときのものだった。

 梓はこのとき、はっきりと絹香の本当の性癖を知った。

 絹香はマゾだ。しかも、露出狂の……。

 さらに、ひそかに、さっきの「計画」とやらが破綻して、自分が羞恥のどん底に陥ることさえ期待している……。

 梓たちを誘うのは、ともに三人で汚れることをこいつは夢見ているのだ。

 ぞっとした。

 

 渚は大人しくて、絹香に言われたら断れないタイプなので、もじもじするだけで、返事はしないままだった。

 だが、梓ははっきりと断った。

 あれは外でやるものじゃないし、万が一、誰かに見られたら、取り返しのつかないことになると……。

 

 絹香と会って初めて、絹香に逆らったときだった。

 だが、彼女は怒るでもなく、ともかく、梓が断ったということに驚いている感じだった。

 「誰かに見られるから嫌なの? 大丈夫よ」と言う絹香に、「見られないとしても、外でやるのが嫌なんです」と答えると、絹香は本当に目を丸くしてびっくりしていた。

 その日はそれで終わった。

 

 絹香もそれ以上、なにも言わず、あんな話など、なにもなかったように、それからも同じような関係が続いた。

 夜のオナニーごっこだけは、毎日の儀式のように三人の中で続いていた。

 

 しかし、その一箇月後のことだった。

 

 絹香が再び、例の図書館での計画の話を持ち出したのだ。

 梓は当然に断ったが、今度は絹香の物言いが違っていた。

 断れば、梓と渚の写真をふたりの母親である多恵に見せるというのだ。

 かっとなった。

 梓は、そんなことをすれば、絹香もとんでもないことになる。そんなことはできないと怒鳴った。

 絹香と口争いを始めた梓に、渚はただただ、おろおろしていた。

 

 すると、絹香曰く、梓たちの母親の多恵は、おそらく、それを絹香が見せても、絹香の両親にはなにも言わないだろうというのだ。

 だから、絹香は叱られることもないし、なにかが変わるわけじゃない。

 ただ、梓と渚が実は破廉恥な娘だったということを多恵に知られるだけだと絹香は言った。

 

 そして、隠していた袋から別の写真を見せた。

 渚とともに、唖然とした。

 

 それは裸で縛られている母親の多恵の写真だった。

 十枚ほどだったが、赤い紐で縛られて、蝋燭を垂らされたり、首輪をつけられて四つん這いになったりしていた。身体にぴったりした革の服に身を包んだ絹香の両親に前後から責められているような写真もあった。

 隠して撮影されたもののようであり、写真はあまりきれいには撮れていなかった。

 だが、紛れもなく、絹香や梓たちの親の写真だった。

 

「知らなかったと思うけど、あなたたちのお母さんは、わたしのお父さんとお母さんの性奴隷なのよ。お母さんは、多恵さんが性奴隷になることを条件に、借金を肩代わりしたの」

 

 絹香は言った。

 愕然とした。

 

 おそらく、当時の絹香の知識では、あの三人の本当の関係のことはよくはわかっていなかったかもしれない。

 ただ、絹香は当時の知識で、少しずつ知り得たことを整理して、そう三人の関係を類推したようである。

 もちろん、西園寺家の夫婦が、多恵のことを絹香に教えたわけでもなく、おそらく、いまのいまですら、三人のことを娘たちが知っているということは想像もしていないと思う。

 

 だが、梓たちは、母親がこの絹香の両親の共通の性奴隷であるということを知った。

 

 しかし、実際には多恵が西園寺夫婦に酷く虐待されていたとか、そんな簡単な関係ではない。後で知り得たことも含めて整理すると、こういうことだ。

 

 そもそも、梓たちの母親の多恵と、西園寺摩耶は、女同士の百合セックスの関係だったらしい。それがどういうきっかけだったかまでは知らないが、母は父が生きていた頃から、絹香の母親とそういう間柄だった。

 だから、もしかしたら、なんとかしてくれるのではないかと思って、ダメ元で借金の肩代わりを頼みに行ったのだ。

 そして、西園寺摩耶はそれを承諾した。

 条件は、多恵が夫婦生活に加わり、夫婦の共通の性奴隷として、性の相手をすることだ。

 よくはわからないが、ふたりはそういう性癖であり、ふたりきりでは夫婦はうまくいかないのだが、多恵のような立場の者がいると、心の底から快感を得られる時間を送れるのだそうだ。

 こうして、多恵がふたりの夫婦生活に加わる生活が始まった。

 ほとんど破綻してした西園寺家の夫婦の性愛も、多恵がやってきたことで活発になり、円満さを取り戻したそうだ。

 それはいまも続いていて、いまだに三人は、とても円満な関係を継続しているとのことだ。

 これらのことは、三人の寝室に仕掛けた盗聴機や隠しカメラ、あるいは、家人たちの内緒話に聞き耳を立てたりしてわかっていった。

 親たちの寝室に盗聴機や隠しカメラを仕掛けたのは絹香だ。

 彼女は、ああいうプレイをこっそりと見るのが大好きなのだ。

 このアブノーマルな好色さは、すべてに完璧な絹香の唯一の困ったちゃんだ。

 

 もっとも、そのときは、ただ写真に圧倒され、母親はこの家の夫婦に完全に嗜虐されて、虐げられているのかと思ってしまった。

 いずれにしても、絹香のいうとおり、多恵に写真を示しても、多恵が西園寺夫婦になにかをできるとも思えなかった。

 そして、絹香は、やると言ったら本当にやりそうだ。

 梓と渚は、絹香の「命令」に従った。

 

 


 

 

 それを境にして、絹香の「遊び」はどんどんとエスカレートして、梓たちの秘密の写真は、絹香の膨大なコレクションになっている。

 もはや、あれがある限り、梓たちは絹香の奴隷だ。

 

 絹香は中学校を卒業して、この学園に入ったため、毎日の嗜虐はなくなったが、その代わり、週末に戻ったときには、かなりの過激なプレイを強いるようになった。

 さらに、梓たちが高校に入る年齢になると、この学園に絹香の従者生徒として入学することを申し渡されて、いまに至っている。

 

 だが、いまでは当然にわかっているが、あの絹香はどうしようもないほど好色だ。しかも、梓たちに破廉恥な行為を強いるわりには、マゾなのだ。

 その昇華することのできないマゾの性癖を発散するために、逆に梓たちに、自分がして欲しいことを強いるというわけだ。

 

 梓にはわかっている。

 

 そして、あの転機のとき、もしも、梓が断らなかったら、あるいは、三人の関係は、違うものになっていかたかもしれない。

 絹香は自分の性癖の発散を梓たちに求め、自分が奴隷のように恥ずかしいことをさせられるような関係に誘導していったかもしれない。

 絹香はすべてを計画通りにやる頭のよさを持っている。絹香がそうしたいと考えれば、遅かれ早かれそうなったと思う。

 

 だが、梓は断り、絹香は梓にさらなる遊びを強要するために、脅迫によって、梓と渚を「性奴隷」にしなければならなくなった。

 そして、そうした。

 そういうことなのだ。

 

 最初の「計画」だって、絹香がやりたいことをするのに、双子が付き合うということであり、双子だけがやらされるというものではなかったのだ。

 しかし、一箇月に修正された「計画」により、梓と渚だけが図書館の中で二人で手で愛し合わされ、その姿を絹香に撮影された。

 

 もっとも、いずれにしても、梓はともかく、渚に絹香の「ご主人様」は無理だったろう。

 彼女は根っからの「エム」だ。

 たから、いまでは、梓の調教するペットでもある。

 渚とそういう関係になったのは、絹香から過激な「プレイ」をさせられるようなってすぐだ。

 そして、梓は、絹香に「調教」されたあと、すぐに、今度は梓が「ご主人様」になって、渚を「調教」するようになった。それは、梓の心の平静を保つために必要なことだった。さもなければ、耐えられなかった。

 絹香の本当の性癖が「エム」であるように、梓の本当の性癖は「エス」だったのだ。そんな自分が、「エム」として扱われる。

 そんなことは我慢できなかった。

 だから、絹香にやられたあとで、渚をいたぶる行為をした。

 渚は逆らわなかった。

 渚は根っからの「エム」だ。

 そんな渚が、絹香の激しいエムの欲求を満足させることのできる「エス」になれるわけがない。

 

 とにかく、この学園のS級寮で、絹香と梓と渚の生活が始まって二箇月──。

 寮で絹香が梓たちに求めるプレイは、だんだんと歯止めのようなものがなくなっているような気がしていた。

 

 


 

 

 そんな矢先だった。

 S級生徒として、絹香の前に現れたばかりの坂本真夫という三年生の生徒が、玲子という理事長代理とともに、梓だけを呼び出して、生活指導室に呼び出したのは……。

 

 絹香にも、渚にも知られないように工夫して、ふたりは梓だけしかいない時間を狙って、接近してきた。

 ほんの数日前のことだ。

 

「これはあなたね?」

 

 玲子という理事長は、笑みひとつ浮かべない厳しい表情で、一枚の写真を見せた。

 梓は驚愕した。

 

 


 

 

 それは、西園寺家の家人のひとりと、梓が性行為をしている写真だった。

 家人の中でも、妻も子もいる男であり、彼とそういう関係になったのは、一年ほど前だった。

 中学校三年生の修学旅行で、梓たちの学校は、ある国に海外旅行に行ったのだが、そのとき渚が交通通事故に遭い、現地の病院にしばらく残るということがあったのだ。

 そのとき、その男が西園寺家の主人に指示されて、必要な手続きや現地に残った渚と梓の面倒を看るためにやってきた。さもないと、遠い外国で双子だけになってしまう。

 入院している渚は当然として、梓もまた病院に介護人の名目で寝泊りをして残留していたのだ。

 

 その男は屋敷にいるときとは異なり、梓とふたりきりになると、随分と馴れ馴れしく接してきた。

 そして、多恵と絹香の両親の関係のことを知っているようであり、それを仄めかしながら、西園寺夫婦に飼われる性奴隷の娘は、やはり性奴隷の素質があるのだろうなと言ってきた。

 ぶん殴ってやろうかと思ったが、梓は自ら求めて、彼に身体を許した。

 どうして、そうしたのか、いまもってわからない。

 

 だが、母親が性奴隷……。

 その言葉に激しく内心で反応してしまったのは記憶している。

 母親は西園寺家の夫婦の性奴隷で、娘たちは西園寺家の娘の性奴隷……。

 それを指摘されたようで、梓は表には出さなかったが、沸騰するような怒りの感情に襲われた。

 渚はなんの問題も感じていないようだったが、梓はそんなのは許せないと思った。

 母親のように、誰かに支配されて生きるなど嫌だ。

 梓の頭には、童女時代、梓の指に翻弄され、泣いたように悶える絹香の姿がある。

 あれこそが、あるべき姿であり、いまの関係は違う……。

 梓の中の誰かがそう訴える。

 

 だが、いまの梓は、やっぱり絹香の支配だ。

 そう思うと、なにもかもぶち壊したくなった。

 

 そして、思った。

 目の前の男に抱かれれば、なにかが変わるのではないか……?

 絹香の知らないところで、絹香とは無関係に処女を捨てる。

 そのことで、絹香の人形から抜けられる。

 思いつくとぞくぞくした。

 これをきっかけに、再び元の関係に戻れるようにさえ思った。

 

 だから、抱かれた。

 つまり、あれは、絹香への反乱だったのだ。

 

 そいつは、梓が生娘だったことに、ちょっと戸惑ったみたいだった。

 中学生を抱いといて、処女だったことに驚くこともないものだと、笑いたくなった。

 

 そして、それから、その男との関係が続けていた。

 面倒なので嫌なのだが、拒否するとしつこいし、乱暴なこともする。それで入れるのを許しているだけだ。

 

 


 

 

 真夫と玲子のふたりが示した写真は、絹香とともに先週に週末を利用して屋敷に戻ったとき、屋敷の中であいつに抱かれたときのものだ。

 それがどうして、彼らが入手できたのか、そもそも、あれをどうやって撮影したのか、いまでもまったくわからない。

 

「君は選択肢をあげる。いずれにしても、この男は玲子さんに頼んで、西園寺家にはいられなくしてもらう。それについては心配しなくていいし、君はなにもできない。次に西園寺家に戻ったときには、その男はいない。それだけだ」

 

 真夫は言った。

 梓は驚いた。

 この真夫は、絹香と話しているときに、梓たちもそばにいたことがあるが、どちらかというと大人しいような感じで、こんな喋り方をするタイプじゃないと思っていたのだ。

 そのときの真夫は、とても堂々としていて、ちょっと怖くて、そして、魅力的だった。

 

「だ、だったら、なにを……?」

 

 梓は言った。

 

「君がある条件を承諾するなら、この写真はどこにも出ない。君の双子の姉妹である渚に知られることもないし、絹香にも教えない。無論、君の親にも……。だけど、拒否すれば、その全員にこの事実が知られることになる。君は不純異性交遊という不名誉な理由により学園を退学になるかもしれない」

 

「条件とはなに?」

 

 梓は溜息をついた。

 そのときには、出された条件がなんであれ、従う気になっていた。

 

「君は俺に犯されて、俺の奴婢になる。その代わりに、同じように奴婢にするつもりの絹香を君の性奴隷にしてあげよう」

 

 真夫は言った。

 梓は耳を疑った。

 だが、本当──?

 しかし、断る理由はない。

 絹香が梓の性奴隷……。

 まさに、あるべき姿だ。

 

 そして、あの男を梓の前から消してくれ、さらにその秘密は守られる……。

 絹香も好きなようにさせてもらえる。

 なにが、どうなっているのか、さっぱりとわからない。

 ただ、言えるのは、これは梓にとって、ものすごく「おいしい話」だということだ。

 

「いつ犯すの?」

 

「いまだよ」

 

 真夫は立ちあがると、向かい側の椅子に座っていた梓をテーブルに引っ張りあげて、自分もまたあがってきた。

 

「真夫様、隣室で待機をしております。ご用があったらお呼びを……」

 

 立ちあがった理事長代理の玲子をそのときの真夫は呼び止めた。

 

「だめですよ、玲子さん。玲子さんは、俺たちのセックスを眺めながら、そこで自慰をしてください。命令です」

 

 真夫は梓の制服を脱がしながら、鬼畜な笑みを浮かべてそう言った。

 梓はぞくぞくしてしまった。

  

「は、はい」

 

 玲子は裏返った声で返事をすると、倒れるようにばたんと椅子に座り込んだ。その顔は真っ赤だった。

 たったいままで、冷徹そうな女に見えていたから、その少女のような反応には、驚きよりも、可愛いなときゅんとなってしまった。

 

「さあ、始めよう。終われば、君は俺の奴婢だ。奴婢の象徴として、この金属の首輪と腕輪を嵌める。俺が、君を支配する証だ」

 

 真夫は脱いだ自分のブレザーのポケットから三個の金属の輪を取り出した。

 そのとき、ふと見えた。

 真夫の奴婢の証だという金属の輪が、しっかりと玲子の首にも嵌まっていたのだ。

 

 そして、真夫に学園の生活指導室の机の上で犯された。

 

 生まれてはじめて、梓は、セックスでエクスタシーを感じた。

 また、その横で玲子は可愛らしく、オナニーで絶頂していた。

 

 


 

 

 そしていま、運動部棟の裏の倉庫の後ろで、素っ裸になって、防犯灯の柱に拘束されている絹香が目の前にいる。

 真夫は約束を果たしてくれた。

 

 彼が絹香を「調教」する光景も、玲子に呼ばれて、学園内の監視カメラの映像で見ていた。あの生活指導室の裏には、隠しカメラのモニター室のようなものがあったのだ。

 映像の中の絹香は、いやがっているわりには、真夫の鬼畜な命令に酔っていた。新しいご主人様を見つけて、このエムは悦んでいる……。

 梓には、はっきりとわかった。

 

「ありがとう。じゃあ、それはすべて消去するわね。新しくいまの映像データを別のパスワードを使って保存するわ。それがある限り、絹香お嬢様は、あたしのペットよ。真夫さんは、絹香を奴婢にするつもりのようだけど、あたしの飼う雌犬にもするわ。いいわよね──。これも知らなかったと思うけど、実は渚もあたしのペットなのよ。これからは、絹香お嬢様もね」

 

 梓は目の前の絹香に言ってやった。

 

「はい……」

 

 絹香は項垂れながらも、はっきりとそう答えた。

 これで、あるべき関係になった。

 梓は心の底から思った。

 

 そして、梓は水道で周囲を掃除し、絹香の身体を洗った。

 このエムは、梓にお尻や脚を洗われてよがり、侮蔑したような言葉をかけられて悶えた。

 そこには、西園寺家のお嬢様としての姿も、学園の生徒会長としての姿もなかった。ただの変態だ。

 

 梓は絹香に頭からホースで水をかけてやった。息ができないくらいに顔に連続にかけ、胸に、股間に強い圧力で水を飛ばす。

 

「あっ、ああっ、や、やめて」

 

 拘束されて避けられない絹香は、必死で哀願した。

 だが、梓は、一方で、絹香がどうしようもなく興奮していることを見逃さなかった。

 

 梓は洗い終わると、絹香から外した貞操帯を装着し直した。ただし浣腸栓のパーツだけは外した。

 そして、手錠を外す。

 

「ほら、片付けなさい。いやがったら、裸のまま、ここに放り出すわよ」

 

 倉庫からショベルを出して、絹香に投げた。

 絹香が、びしょ濡れのまま、自分の汚物の入った穴を埋め始める。

 梓は、操作具で貞操帯の振動を作動させた。

 

「あ、ああっ、そ、そんなあ」

 

 絹香ががくりと腰を落とした。

 

「馬鹿みたいな声を出して、ここに人を呼びたいの? さっさとやりなさい、牝犬」

 

 梓はさらに振動を強くする。

 

「ん、んんんっ」

 

 絹香が泣きそうな顔になり、腰を引いて、膝を震わせた。

 それでも、必死でショベルを使い続ける。

 

 その姿は、みっともなく、惨めそうで、哀れで……。

 

 そして、誰よりも可愛かった。

 とても、とても、愛らしかった。

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