素っ裸に革の貞操帯だけという煽情的な恰好の絹香を、
絹香が、遮断されている股間とお尻に塗られている掻痒剤の苦しみに悶えだすのに、いくらもかからなかった。絹香は乳房を片手で隠し、もう一方の手で貞操帯の股間に拳を必死になって押しつけるようにして、中腰で歩いている。
よくは知らないのだが、あの貞操帯はどんなに強い刺激を与えても、中には伝わらないのだという。しかも、絹香が塗られている薬は、いくら掻いても痒みは消えず、男の精液……しかも、ただの精ではなく、真夫の精液でしか中和できないように調合されているのだそうだ。
洗い落としても無駄らしい。
もう、真夫に犯してもらうしかないということだ。
ちょっと眉唾だが、まあ男の精液でないと中和できないというのは本当だろう。
あんなものでも、数億、数十億以上の資金がかかっているということであり、梓はさすがの豊藤財閥の力には、舌を巻く気持ちである。
それにしても、あの転校生の先輩が豊藤の総帥の隠し子とは……。
聞かされたときには驚いたが、いまは納得する思いだ。
絹香にこんなことをさせるなど、なかなかの鬼畜さだ。
梓など、ただ真夫の指示する駒のひとつとして動いているだけだ。
愉しいけど……。
「お、お願いよ、梓……」
後ろをついて来る絹香が泣くような声をあげた。
梓は学園の教場隊舎の方角に向かっている。
すでに外は真っ暗だが、まだ電気のついている教場もいくつかあるのだ。文化部発表会は文化部が主体なのだが、各教室で出展をするグループもいる。そういうメンバーは、こっちで準備をしているのだ。
文化部と同じように、いまの時期は遅くまで準備をすることが認められている。
そこに近づいていることに、絹香は途方もない不安を覚えているに違いない。
マゾの露出狂のくせに……。
梓は、鞄に入れている絹香の貞操帯の操作具のダイヤルをぐいと捻った。
「んふう、んんんっ」
絹香が膝をがくりと崩して座り込んだ。
貞操帯の内側の振動を一気に限界まであげてやったのだ。
だが、すぐに切る。
痒みで苦しませるためだ。
絹香はすぐには立てずに、肩で息をして四つん這いのような恰好で震えている。
「ふたりきりのときには、あたしのことは“梓様”と呼ぶのよ、絹香──。その代わり、あたしも、ほかの人の前では、お前を“お嬢様”とか“絹香様”と呼ぶわ。ただし、その分、お前をあとで折檻もするけどね。いいわね」
梓は怒鳴った。
「は、はい……。あ、梓様……」
絹香がよろよろと立ちあがりながら、か細い声で言った。
梓は、凄まじい淫情が頭のてっぺんに駆けあがるのを感じだ。
その悄気返った絹香の姿に、梓は途方もなく欲情した。
なんという哀れでかわいらしい絹香だろう……。
その姿を目の当たりするだけで、いきそうだ。
駄目だ……。
この絹香を好きなように嗜虐して、これほどまでに貶めている。
その愉悦に、どうにかなりそうだった。
梓は、改めて、この絹香を自分が愛しているのだと思った。
梓特有のやり方と心情でだか……。
梓は我慢できなくて、衝動的に自分のスカートに手を入れて、下着をその場で脱いだ。
本当は自分の股間を舐めさせたかった。その代わりに下着を口に入れさせようと思ったのだ。
やっぱり、股間の部分は信じられないくらいにびっしょり濡れていた。
梓は、その下着を絹香の足元に投げた。
「犬──。罰よ。それを口に咥えて歩きなさい。四つん這いでね。逆らえば、明るい場所に首輪の鎖を結びつけて置き去りよ」
絹香がぶるりと震えた。
あまりもの恐怖と羞恥で一瞬、目まいのようなものを起こしたに違いない。
だが、同時に欲情もしたのを梓は見逃さなかった。
絹香は貞操帯の隙間から漏れ出ている愛汁が足の内側を伝って、絹香の脚の指まで垂れているが、いままた、全身が真っ赤になって股間の汁が溢れ出たと思う。
とにかく、すごい濡らしようだ。
その姿は、学生舎の裏庭にある防犯灯に煌々と照らされている。
一方で、梓は絹香を嗜虐することに、途方もなく興奮していた。虐められて、情けない姿の絹香はまさに美しい。
『そっちに人が来るわ。灯かりの下から離れて……。そこの樹の後ろに隠れるといいわ。もしも、見つかりかけたら、こっちで対応するから』
梓の耳に入っている受信機から指示の声が聞こえた。
これは玲子だ。
こうやって、さっきから梓は、絹香を羞恥責めにするにあたって、誰かが近づいたり、見つかったりすることがないように、細かい指示を受けながら行動をしている。
玲子が、あの生活指導室の奥にあるモニター室で周囲の生徒の動きなどを確認しながら、こうやって指示を送ってくるというわけだ。
絹香は、裸で学園を歩き回る恐怖と戦っていると思うが、実は監視システムの粋を極めた管理により、かなり安全に「プレイ」をしているということだ。
それにしても、本当に真夫というのは何者だろう。
豊藤グループの後継者候補というのは教えてもらったが、あの理事長代理の美女をこんなプレイに顎で使うとはすごい。
しかも、玲子は真夫に命令を受けるのがとても嬉しそうだ。
梓自身も、まだ僅か数日だが、真夫から離れられない感情に陥っている自分を感じる。
「ほら、おいで、雌犬」
梓は梓に下着を咥えさせられて、四つん這いになった絹香を導いて、防犯灯とは離れている樹木の陰にやってきた。
すると、教場棟から、B級生徒であることを示す制服姿の女子生徒が二名出てきた。
絹香がびくりとして、その場にひれ伏すようにうずくまる。
だが、向こうは明るくて、こっちからよく姿が見える反面、明るい向こうからは、光の照らされていないここは見えにくいものだ。
梓は絹香の狼狽が面白くて、悪戯を仕掛けることにした。
「もしも、あたしの下着を落としてごらん……。さっきの排便姿をネット公開よ」
さっきの貞操帯の操作具を出して、貞操帯の内側の淫具を振動させる。
「んっ」
絹香ががくがくと震えるのがわかった。
必死になって声を我慢しようとしている。
手を口に押し当てて、泣きそうな顔になった。
梓はぞくぞくした。
その必死の絹香の姿に、下着をつけていない梓の股間から、つっと汁が流れたのがわかった。
梓もまた、スカートの上から自分の股間をぎゅっと押さえてしまった。
やがて、女子生徒は見えなくなる。
玲子からも、もう大丈夫だという言葉とともに、さっき女子生徒が出てきたドアから、棟の中に入ってくるように指示があった。
同時に、真夫の指示として、入ったところに水筒があるので、中身を一滴残らず絹香に飲ませろとも言ってきた。
なにか知らないが、真夫のことだ。
さらなる悪戯を考えているに違いない。
「出発よ、犬」
梓は絹香の首輪の鎖を引っ張った。
教場棟に向かう。絹香が諦めたように四つん這いで着いて来る。口にはさっき梓が脱いだ下着だ。
しかし、さすがに絹香が途中でおじけづいたように足を竦ませた。
向かっているのが、まさに、明るい教場棟の方角とわかったからだろう。
「んんんっ」
口に下着を咥えているために、言葉を喋れない絹香が顔色を変えて首を横に振った。
しかし、強引に引っ張って連れていく。
絹香は結局、大人しくついてきた。
真夫の言うとおりだった。
絹香は最終的には、サディスティックな命令には逆らえない。本質的にマゾなのだからだと真夫は言ったのだ。
真夫のいうとおりだと梓も思うが、真夫は絹香と出逢ったばかりのはずだ。それなのに、完全に絹香の隠れた本質を見抜いているというのはすごいと思った。
教場棟に入る。
果たして、そこに一本の水筒が床にあった。
梓は、絹香の口から下着を取りあげて、水筒を渡す。
「飲みなさい、十秒以内」
「な、なに、これ?」
絹香は呆気に取られている。
「九、八、七……」
梓は秒読みをする。
絹香は慌てて飲み始めた。
だが、喉が渇いていたのだろう。
あっという間に飲み干してしまった。
梓は、空になった水筒を荷にしまって、絹香に咥えさせていた下着も荷に入れた。
この水筒の飲み物にどんな仕掛けがしてあったのかわからない。
それを絹香に喋らせようと思ったのだ。
『……いいというまで、そこで待機……。指示に従って、三階まで上がってきて……。いえ……。は、はい……。それと絹香さんを置き去りにして、怖がらせろというご指示よ。適当な場所に鎖を繋いで』
玲子の声──。
玲子があんな物言いをするのは、そばに真夫がいるか、あるいは、真夫が玲子に指示を送っているかだ。
それにしても、真夫はつくづく鬼畜だ。
本当にぞくぞくするくらいに……。
すぐそばには階段があるが、確かに、二階側に話し声が近づいている。
絹香は泣きそうな顔をしている。
彼女にも、その声は聞こえているはずだ。
緊張で心臓が爆発しそうだろう。
梓は絹香の首輪の鎖を、階段の手すりに金具で固定する。
絹香がはっとした顔になった。
「ちょっと、おしっこしてくるね。それまで、愉しんでいいわ」
梓は貞操帯の振動を動かしてから、さっとその場を離れた。
「ま、待って──。そ、そんな──」
絹香が必死の口調で呼び止めようとした。
しかし、そのときには、梓は絹香から見えない側に曲がってしまっている。
離れさせていく足音をわざとさせながら、実際にはその場にとどまる。
絹香が鎖を外そうとしているのか、がちゃがちゃという鎖の当たる音がする。だが、すぐにしなくなった。
その代わりに、もっとも、絹香の殺したような息の音が響くように聞こえてくる。
恐怖に襲われているような感じだが、それはそれとして、興奮もしているようだ。
かなり、鼻息が荒い。
やれやれ……。
さすがは、マゾの変態お嬢様だ。
かなりしばらくしてから、二階に登って来いという玲子の指示が来た。
すでに二階からの話し声はない。
梓は遠くから戻ってきた振りをして、絹香の前に戻った。
絹香は階段の下で隠れるように、身体を小さくしていた。
だが、様子がおかしい……。
両手を股間にあてて、小刻みに震えている。痒みのせいというのもあるが、それだけじゃない気がする。
しかも、とても辛そうだ。
さらに、梓がやってきたというのに反応が薄い。
「気分はどう?」
とりあえず声をかけた。
「あ、あんた……。い、いえ、あ、梓様……」
絹香が汗びっしょりの顔を向けた。
その眼には涙が溜まっている。
そして、はっとした。
この仕草は……。
「おしっこがしたいの?」
梓は笑った。
さっきの水筒の水に違いない。
裏庭で排便をさせたときに、おしっこもしていたので、こんなに急激に尿意を覚えるというのは、利尿剤があれに含まれていたに違いなかった。
さすがは、真夫だ。
笑ってしまった。
「行くわよ。ついて来ないと、また置き去りよ。今度は人が来るかもしれないわね」
梓は鎖を手摺りから外して、階段の上に引っ張る。
絹香は四つん這いで着いて来るが、その顔は苦しそうだ。
「あ、梓様、お、お願いします……。ト、トイレに……。あ、あの……、お、おしっこが……」
絹香は脚を震わせながら言った。
「あたしは行ったばかりだもの。まだ行きたくないわ。お前は奴隷になったんだからね。お前じゃない、あたしの都合に合わせるのよ。さっさと歩きなさい。漏らしたら、口で始末させるからね」
それだけを言った。
絹香は歯を喰いしばって、階段を上っていく。その顔は悲痛だ。余程に強い利尿剤なのだろう。
それにしても、貞操帯の中の痒みとともに、今度はさらに尿意の苦しみまで与えるとは、あの真夫は、本当に根っからの
だが、鬼畜であることには、梓も負けてはいられないと思う。
梓は必死になって階段をあがっていく絹香をもっと追い詰めるように、操作具を出して、何度も振動の“オン”と“オフ”を繰り返す。
絹香はそのたびに、脚をよろけさせながら、食い縛る口から甘い声を迸らせた。
やがて、絹香の脚の震えはとまらなくなった。
汗は滝のようになり、三階まで昇る階段には、絹香の流した汗の痕が点々と続いた。だが、梓には、そこに汗以外の体液がかなり滴りもしたようにも思えた。
そして、三階に着く。
指示を受けたところは、三年生の教場だ。
絹香や真夫のクラスルームのはずだ。
絹香がそれに気がついてはっとしている。
「ここは……」
ぎょっとしている。
そのとき、消灯していた目の前の教室の灯かりがついて、がらりと中から人が現われた。
「ひっ」
絹香が羞恥に身体を竦める。
「来たわね、絹香さん。どうだった? 真夫ちゃんの鬼畜ゲーム。ここがゴール地点よ」
出てきたのは恵だ。
梓も知っている竜崎事件で襲われた真夫の恋人であり、とてもきれいでかわいい人だ。その彼女がいる。
「聞くまでもないわ。お愉しみよ……。そうでしょう、絹香?」
さらに、かおりだ。
ここで待っていたらしい。
「あ、あのう……。あたしは……」
梓は慌てて挨拶をしようとした。
真夫の女という立場で会っているのは、まだ玲子だ。あとは、間接的にふたりも真夫の女だと教えられただけだ。
もちろん、ふたりのことは知っている。
同じS級寮にいるのだ。
だが、絹香の従者生徒の梓は、ふたりとまともに口をきいたことはない。
「よろしく、梓ちゃん」
「やっほう」
恵とかおりがにっこりと笑って、それぞれ自分の首にある金属の輪に手を触れた。
真夫の女である証しの首輪だ。
つまりは、真夫と身体の関係があり、これからも真夫だけを一緒に愛すると誓っている女たちということだ。
梓は、絹香については、ここで真夫が犯すことになると聞いている。
真夫もここにいるのだろうか……。
すると、その真夫が教場側から出てきた。
「ここがゴールだ、絹香。頑張ったな──」
「あっ、真夫……さん」
絹香は真夫のことを呼び捨てで呼んでいたが、もはや、その気にならなくなったのだろう。
その真夫が絹香の腕を掴んで立たせ、教場に引っ張り込んだ。
「ここが最後のプレイの場所だよ。すでに支度はできている。ミーティングデスクでね。明日から、ここでミーティングをするたびに、今夜のことを思い出すよ、絹香」
真夫が絹香を連れて行ったのは、六個ほどある白い台のような大机だ。
ここはクラスルームと呼ばれている教場であり、実際の授業のときとは違う場所である。朝と夕方の会をクラスで各班ごとにミーティングディスクについてするのだ。
一年生の梓の教場にも同じものがあるからわかる。
絹香は、そのうちのひとつに、無理矢理にあげられた。
それには、片側の端に四個の革ベルトが事前に取り付けてあった。
真夫はふたりの女に手伝わせて、まずは絹香を仰向けに寝かせると、絹香の両手を伸ばすようにして、内側の革ベルトに手首を拘束してしまう。さらに絹香の胴体をテーブルに縄で固定する。
絹香は抵抗しなかった。
抵抗しようにも、力も入らない感じだ。
梓も手伝って、絹香を拘束していく。
「あ、ああっ、そ、そんな……」
そして、絹香は、両脚を抱えられて頭側に曲げられ、その外側の革ベルトに足首を繋げられた。
脚を頭側に曲げて腰を上に向けさせられた姿勢だ。
いわゆる「まんぐり返し」の恰好だ──。
絹香はその体勢で動けなくされてしまったのだ。
女として、これほどに羞恥の姿勢はないだろう。
「さて、貞操帯を外してあげるよ。つらかっただろう」
真夫が携帯電話のようなものを操作した。
金属音がして、絹香の貞操帯が外れたのがわかった。
貞操帯が絹香の腰の下から引き抜かれる。
「あ、ああ、ま、待って──。べ、ベルトを外して……。ね、ねえ、下ろして……。ま、真夫さん……、わ、わたし、あの……」
絹香がやっと我に返ったように、狼狽えだした。
多分、なによりも激しい尿意のためだと思う。
絹香はそれを訴える間もなく、テーブルに固定されてしまったのだ。
「わかっているよ。おしっこがしたいんでしょう。最後のゲームをクリアできたら、トイレでおしっこをさせてあげるよ」
「ゲ、ゲーム?」
絹香が怯えている。
今度は、なにをさせられるのかと思って、恐々しているようだ。
「うん、簡単なゲームだよ。絹香にはもうひとりの侍女生徒がいるよね。
真夫が言った。
「任せてください」
梓は手提げからビデオカメラを取り出した。
さっき、絹香の排便姿を撮影した二台のうちの一台だ。
「そ、そんなあ……。そんなに我慢できない。も、もう、漏れそうなの」
絹香が悲鳴をあげた。
しかし、かおりが準備していた絹香の携帯電話を操作して、絹香の口のところに持っていく。
「絹香の頑張りが勝つか。それとも、渚ちゃんが間に合うか……。これが本当の『走れメロス』ゲームさ。自分がやらさせるとは思わなかったでしょう?」
真夫がうそぶいた。
数日前、『走れメロス』ゲームという嗜虐を、梓は絹香からやらされていた。
どうやら、真夫はそれを知っていたようだ。
いつから、梓たちは真夫たちに監視されていたのだろう……?
『はい、お嬢様……』
電話は音を周囲に出すモードになっている。今回のことについて渚はまだなにも知らない。
梓もなにも言っていないし、真夫もまだ手を出してはいないと言っていた。
その渚の声が電話から響いた。
『す、すぐに来て。教場棟のわたしの教場よ。できるだけ、急いで──』
絹香が電話に怒鳴るように叫んだ。