99話 制限時間は15分
「もういやああっ」
股間のバイブとクリトリスに当たっている突起が一斉に動き出し、明日香は四つん這いの身体を崩しそうになった。
だが、振動は一瞬でとまった。
明日香は最後の力を振り絞って、腕を伸ばして倒れそうだった身体を必死で支える。
「俺のことを覚えているね、明日香ちゃん?」
坂本真夫が顔に微笑みを浮かべて明日香を見た。
その瞬間、突然に巨大な手のひらに、全身を鷲づかみされるような衝撃が全身を走った。
「えっ?」
震えるような威圧感だ──。
圧倒的ななにかが思考力を縛り、身体を震えさせた。その感情の正体がわからなかったが、すぐに「恐怖」だと悟った。
目の前の真夫に、自分は恐怖を怯えているのか?
散々に、恵たちから追い詰められたことが、そんな感情を明日香の中に作っているのか?
いや、そんなものではない。
昨日、図書館で会ったときには、平凡な男の子だとしか思えなかった。しかし、いまは、ただ見られるだけで明日香は怯え、畏怖している。
これが本当の真夫……?
「お、覚えて……ます……。申し訳ありませんでした……。こ、孤児だと馬鹿にして……。申し訳ありません。許してください……」
まったく抵抗なく、謝罪の言葉が口から出てきた。
恵にひと晩かけて脅されたからではない。
真夫から感じる巨大な圧迫感が自然と明日香に謝罪させたのだ。
そして、頭をさげようとした。
だが、身体が金縛りになったように動かないことを発見した。
真夫から眼を離すことすらできない。
「気にしなくていいよ。俺たちが孤児なのは本当だしね。もっとも、両親がいることは少し前にわかったんだ。父親がいるみたいでね……」
「そ、そうなのですか……」
とりあえず言った。
それよりも、強い力に頭の中が縛られている。
真夫の言葉は明確に理解をしている。しかし、それについて思考する力を奪われている。
そんな気がした。
だが、怖いという感覚はない。
むしろ、快感だ。
思考せずに、真夫の言葉を聞くことがとてつもなく気持ちいいのだ……。
なんだろう、これ……?
頭が朦朧とするような……。
でも、身体が熱くて……。心が温かくて……。
「昨日、口にしたことをもう一度言うよ……。SS研に入るんだ……。俺の奴婢になるんだ……」
「入ります。あたしは真夫さんの奴婢です……」
考えることなく答えていた。
すると、すっと心が軽くなった。
頭もすっきりとする。
信じられないような幸福感が全身に沸き起こる。
「えっ、えっ、ええ?」
戸惑いが身体を包み、明日香は狼狽えた。
しかし、すぐにそれは歓喜に変わった。
不可思議な力が心に拡がり、明日香はなぜか真夫を見つめながら涙をこぼしていた。
「悪いけど、ある程度の心を縛らせてもらった。俺たちの秘密を他人に口にできないようにね。その代わりに、少し明日香ちゃんの運動機能を調整してあげたから……。脳や脊髄に繋がっている神経線を敏感にして、興奮機能も活性化するように自己暗示の操心をかけたから……。多分、身体も体力も技術も、これまでの五割増し以上になると思うけどね。ただし、副作用で少しばかり身体の感度もあがったかも。五割増しでね……。なにせ、神経が過敏なくらいに鋭敏になっているからね」
真夫がくすくすと笑った。
言っていることの意味がまったくわからない。
ただ、言葉を耳にするのは心地いい……。
「……さて……。じゃあ、もう一度、俺を見て……。俺の言葉に耳を貸してご覧……。虚飾を捨てるんだ……。躊躇いなく官能にのめり込むといい……。脳髄も解けるような快感はその向こうにあるよ……。支配されて……、服従する快感をね……。命令だ──。明日香、俺の奴婢になれ──」
相変わらず、真夫の言葉は聞こえるのに、頭で理解することができない。
だが、身体には沁みとおっている。
目の前の真夫に……支配され……服従する……。
明日香は震えた。
なぜかわからないが、明日香は心からの感動に包まれていた。
主に……ご主人様に命令される……。
それがこれほどの悦びを与えてくれるとは知らなかった……。
真夫は、明日香のご主人様だ──。主だ──。
得体の知れない力は、いま、まさに明日香の中の巨大な核となった。
「従います……。心から……。ああ……」
「来るんだ」
真夫が明日香の首輪に繋がっているリードをくいと引く。
まだ、身体はだるいが、明日香はなんとか四つん這いで真夫の足元に這い進む。
そこには、すでにS級生徒の男子制服を身に着けた人物が真夫の股間に顔を向けて跪いているのだが、その人物が真夫に引っ張られて、明日香を受け入れるように右端に避けた。
真夫がさらに大きく脚を開き、左半分に明日香が身体を入れる場所が生まれ、明日香はそこに顔を入れて、隣の人物と同じように正座をする。
それにしても、このS級生徒は誰……?
S級生徒は学園で五人のみであり、いまは全員が三年生で、男子生徒は、目の前の坂本真夫のほかに、加賀豊……、木下秀也……、そして……。
「ええっ?」
明日香は、ふと右横の生徒を見て、思わず声をあげてしまった。
そこにいたのは、金城光太郎……。学園トップの双璧のひとりで、あの金城財閥の御曹司……。
それだけでなく、その光太郎は一心不乱に真夫の男根を口で舐めて奉仕をしていたのである。
唖然としたが、さらに驚愕することがあった。
後ろからではわからなかったが、光太郎の制服の前は完全に左右にはだけられていて、胸が露出していたのである。
そして、そこにあったのは、大きくはないが紛れもなく、女の乳房だった。
金城光太郎は女性……?
明日香は大混乱した。
「明日香ちゃんには俺たちのことを色々と教えるよ……。俺の父親が誰で、その後継者になるためにしていることも……。このひかりちゃんの秘密も……」
「ひ、ひかりちゃん……?」
どういうこと……?
また、よく見れば、横の光太郎の首にも首輪があり、その首輪から伸びたリードを真夫が手に持っている。
ただし、その首輪は銀色の金属だ。
そして、さらに見ると、光太郎の手首には首にある銀色の首輪と小さくしたような腕輪があり、それが足首につけられている枷と繋がっている。反対側はわからないが、おそらく同じように拘束を受けているのではないだろうか……?
金城光太郎が実は女なのかどうかはわからいが、そうだとしても、真夫が光太郎をそんな風に扱うのか──?
「……だけど、さっきも言ったけど、それを俺たち以外に口にすることができない縛りはさせてもらった。操心をかけたことを悪く思わないでね……。両手を出して」
明日香は正座のまま両絵を前に出した。
真夫が横から一組の銀の腕輪を出した。
それを明日香の手首に嵌める。
「……両手を背中に回して、いまの腕輪をくっつけるんだ」
言われた通りにする。
金属音がして、ぴったりと密着して離れなくなった。
「えっ、あれ?」
「それはと特殊な電磁石で制御されていて、俺も持っている解除装置でしか制御できない。さて、じゃあ、これもつけてあげるね。俺の奴婢の証だ」
真夫が今度は同じような銀の金属環を取り出した。
それを明日香の首に嵌っている首輪の上に装着しようとしてくる。
「あっ、それって……」
いま気がついたが、その銀の金属のチョーカーは、横の光太郎だけではなく、ここにいる女たちの全身がしていた。
気にしていなかったが、そういえば、恵たちは銀の首輪だけでなく、腕輪も嵌めている。
それと全く同じだ。
「見てごらん」
すると、真夫が明日香の首に装着する直前に、明日香の顔の前に、チョーカーの表面をかざした。
金属の表面になにかが刻んである。
外国語だ。
“Ego sum servus Mao.”
そう書いてある。
「俺の奴隷という意味だよ。一度つければ、二度と外すことはできない……」
そのチョーカーが装着された。
真夫の奴隷……。その言葉が明日香の心に改めて刻まれる。
そして、満たされる……。
「じゃあ、ひかりちゃんと同じことをしてもらうか。俺の精を飲み干すんだ。それまで解放しないよ……。ひかりちゃんは、もう三十分も経つのに、まだ成功しないねえ。罰を与えようかなあ……。まあ、とにかく、これから先は、新しく来た明日香ちゃんと協力するんだ」
真夫が笑う。
とんとんと、光太郎の肩を叩いて、とりあえず、頬張っている真夫の怒張から口を離させる。
「はあ、はあ、はあ……。だ、だって、こんなこと……し、したことないし……。それに、股の刺激が邪魔で集中できなくて……。せ、せめて、バイブを止めてよ」
光太郎が淫情に耽った表情で訴えた。
バイブ──?
びっくりして、光太郎のズボンに視線を送る。
確かに、かすかに股間の部分が震えているように見える。
もしかして、明日香と同じようにバイブ付の下着でも装着されているのか?
「集中できないか……。わかった。じゃあ、集中できるように制限時間を作ろう。いまから十五分以内だ──。二人で協力して、俺のちんぽから精液を出して、ふたりで飲む。飲み干せれば合格だ。だけど、一秒でも遅れれば浣腸だ。拘束を外さないまま排便してもらうよ……。あすか姉ちゃん、かおりちゃん、準備してくれる? 量は任せるよ」
「はーい」
「すぐに準備するわ。だけど、自分以外が責められるっていいわね」
恵、ついで、白岡かおりが動き出す。
だが、浣腸──?
明日香は絶句してしまった。
「か、浣腸って、じょ、冗談だよね?」
光太郎も顔を蒼くしている。
「ふたりがかりでするんだから、ひとりでするよりも楽だろう? 交替でするなり、話し合って分担するなり、好きなようにしな。ただし、結果は連帯責任だ。容赦なく、浣腸を注ぐよ──。じゃあ、はじめ──」
真夫が服のポケットからスマホを出して操作をしてから画面をこっちに出す。
画面にはカウントダウンが表示され、すでに“14:58”とあり、どんどん数字が減っている。
「ひんっ」
次の瞬間、明日香の股間に淫具が再び一斉に動き出した。
明日香は身体を硬直させてしまう。
「ああっ、そ、そんなあ──」
明日香は身体を震わせてしまった。
「ほらほら、時間が勿体ないよ。ひかりちゃんは奉仕の挨拶から教えてあげてね。ひかりちゃんは一日早いんだから、教えたことを明日香ちゃんに伝えるんだ」
「うわあっ──。そ、そんな……。わ、わかったけど……。ま、前田君だよね──。きょ、協力しよう──。ま、まずは、奉仕をすることを告げて、真夫君にお礼を口にする。次に先端に口づけだ。それをやって、初めて奉仕をしていい。ぼ、ぼくがやるから、真似して……」
光太郎が早口で明日香に声を掛け、そして、真夫の顔をじっと見た。
「ま、真夫君、奉仕をさせてもらいます。あ、ありがとうございます」
光太郎は歯を喰いしばる感じになりながらも、そう言って頭をさげた。
声が震えて、態度がぎこちないのは、多分、股間に受けている淫具の振動が辛いのだろう。
そんな感じだ。
「さ、さあ、前田君……」
光太郎が促す。
明日香は光太郎がやった通りの口上を述べて、真夫の股間にそそり勃っている怒張の先端に口づけをした。
「ぼ、ぼくが真夫君の玉を舐めるから、前田君はペニスの方をお願いするよ。できるだけ唾液を多くして舐めた方がいいそうだ。真夫君は、やると言ったら、絶対にすると思う。が、頑張ろう」
光太郎が真夫の睾丸にしゃぶりつくように動く。
それに呆気にとられてしまって、明日香はすぐには動けなかった。
「明日香ちゃんも早く始めた方がいいんじゃないか? 時間は限られているよ。浣腸をふたりで受けたいなら別だけどね」
真夫が口にする。
明日香も慌てて、真夫の怒張を口に含んだ。
どうやっていいのかわからないが、とにかく必死に舌を這わせる。
「あと十三分だ」
すると、真夫の声が部屋に響いた。