今回は【愛のチョコにご用心?】の世界の続きで、ホワイトデーを迎えた2人の姿です。
時は3月14日の早朝。この日は、バレンタインデーにて勝ち組となった男にとっての特別な日。
元女子校という背景のある桜才学園でも、数少ない男子が意気揚々と登校していた。
だが、そんな日でも浮かない顔の男子は存在している。その津田タカトシという名の生徒会副会長は、早朝から暗い顔のままで学園へと姿を見せたのだ。
断っておくが、タカトシはチョコが貰えなかったから意気消沈しているわけではない。むしろ、女子の比率が多いこの学園のせいもあって、チョコは20を軽く超えるほどの数をもらっていた。
事実、彼の手にはいくつもの小さな箱が入った紙袋を持っている。今日はホワイトデーなので、ちゃんとお返しをするために持ってきたのだ。
しかし、彼の調子が悪いのはお返しをするのが面倒というような事ではない。受けた恩は返すのは当然なのだから。
――――はあ・・・・・・カエデ先輩、まだ怒っているかな。
そう。彼の目下の悩みはそれである。
先月のバレンタインデーに、タカトシは恋人である五十嵐カエデからチョコレートをもらった。それは、本当に喜ぶべき事だった。
しかし、その後。
実はそのチョコは、彼女の姉の悪戯によって強力な媚薬が入り交じっていたモノなのであった事が判明する。実際にそれを食べたタカトシは、もはや獣同然に愛しい恋人に対して、陵辱の限りを尽くしたのだ。
正気に戻ったときは、すでに後の祭り。全てが終わったその後でタカトシは恋人の姉と共に制裁を受けた。もちろん、それで全てが許されたわけではない。
その後、タカトシはカエデと口をきいていないのだ。話しかけようとしても、強ばった顔で距離を取られてしまう。
そう。まるで、男性恐怖症が再発したかのように。タカトシは、それが何よりも辛かった。
悶々とした気分のまま、彼はこの日を迎えたのである。
カエデとの陵辱シーンが脳裏を駆け巡り、深い溜息がつい零れてしまう。よくもまあ、常識では考えられない行為を一晩中続けることができたものだ。自分の中には、ひょっとして悪魔でもいるのだろうかと真剣に疑ってしまったほどに。
信じられないほど射精を繰り返した後、放心状態だったカエデはもはや人形も同然であった。
ようやく我に返ったタカトシは、自宅の窓から差し込んでくる朝焼けの光を浴びつつも必至になだめすかしたのだ。
いくら恋人といえど、警察に訴えられても文句が言えないと焦ったものだが、カエデからは未だにそういう話はない。誰にも、バレンタインデーの時の話は漏らしていないらしい。
ショックから床に伏せ、両親からも何かあったのかと問われているかもしれない。いや、それだけではなく会長や生徒会役員、同じ部活仲間にも相談をしたかもしれなかった。
それは、それでいい。タカトシは思う。彼女が自分に失望し、怒りを覚えているのなら、それを受け止める覚悟はある。しかるべき場所に訴えられても、素直に罪を認めよう。
しかし、カエデ自身が何の行動も起こさないまま、自分を避けているだけというのはなぜなのか。タカトシは、それが気になっているのだ。
荷物を生徒会室に置いたタカトシは、服装チェックのために校門前へ出た。我らが生徒会長を始めとした生徒会役員は、すでに出そろっている。
――――いた!
風紀委員会もまた、服装チェックの義務がある。風紀委員会の輪の中に立っている、三つ編みの後ろ姿。五十嵐カエデだ。
彼女はできるだけ男子と距離を取りつつも、話に参加している。今は、まだ来ていない委員会の後輩を待っているようだ。
ああ。とりあえずはよかった、かな。
緊張から解放された途端、タカトシの肩にどっと疲労がたまった。とりあえず、彼女の姿を見れたのは嬉しかったのだ。
でも、だからといって安心ばかりもしていられない。一度だけ深呼吸をして、できるだけ自然に話しかける。
「おはようございます」
「おはようございます」
風紀委員会の面々がいつも通りに返事をする。カエデだけは目を合わせないままであったが。
それでも、彼女が男性恐怖症なのは周知の事実である。誰も肩をビクリと震わせたカエデに不信感を持たない。
さすがに、これ以上は話ができそうにないだろう。タカトシはこれ以上の接点を避け、生徒会長達の横に並んで、服装チェックに取りかかった。
登校してくる生徒がまばらになった頃、チェックの時間が終わった。
委員会の者達は足早に玄関へ向かい、生徒会役員も慣れた足取りでそれに続く。
――――おっと、いけない。
いつまでもぼけっと立っていても仕方がない。カエデの姿を探すのが習慣のようになってしまっているようだ。
ふと気付くと、歩き始めたタカトシの前には、見慣れた三つ編みの頭があった。言うまでもなく、カエデだ。
風紀委員会には男子も所属している。彼らを避けるために、集団とはやや離れて歩いているのだ。
チャンスだ。今なら話しかけられる。
幸いにも、カエデは前を歩いている者達とは数メートルほど離れている。これなら、会話をしても聞こえることはないだろう。
「あの・・・・・・カエデさん。いいでしょうか」
彼女は何も言わずに立ち止まり、バツが悪そうな顔で振り向いた。
「その・・・・・・後で、話したいことがあるんです。今日、お時間をいただけますか?」
「・・・・・・」
「少しの間だけ、ですから」
返事に困っている。どう答えて良いのか決めかねている様子だ。警戒心を解くべく、タカトシは穏やかな口調で言葉を重ねた。
「やっぱり、先月のこと・・・・・・謝っておきたくて。酷いことをしてしまって、本当に反省しているんです」
「もう、いいですから・・・・・・」
蒸し返されるのは困る。そう言いたげであった。俯いているために垂れ下がっている前髪が、表情を確認させてくれない。
「わかり、ました。放課後なら、空いていますので・・・・・・」
「あ・・・・・・」
タカトシの心に、歓喜が吹き荒れた。無理もない。自分のために、会ってくれる約束を取り付けることができたのだから。
思わず、この場で彼女を抱きしめたい衝動に駆られる。しかし、それは理性が押しとどめた。まだ許してもらったわけではないのだから。
「わ、分かりました。場所は、その・・・・・・屋上でも?」
屋上。その単語を言ってしまってから後悔する。その場所は何を隠そう、自分が彼女を始めに陵辱した場所ではないか。
カエデも同じ事が頭によぎったらしく、返事に間を開けてしまう。
気まずい沈黙。それでも。
カエデは弱々しく俯きながらも、コクリと頷いた。
「あ、ありがとうございます。それじゃあ、放課後に屋上で」
正直なところ、もっと言葉をかけたいと思う。しかし他の役員達がすでにずっと前まで行ってしまった手前、長話はできそうにない。タカトシは踵を返したカエデの後を追うような形で玄関へと向かっていった。
授業が終わり、タカトシは心持ち早めに屋上へと向かった。階段を上る距離が、今だけはもどかしい。
屋上の重い扉を開けると、3月の冷たい空気が届く。晴天の今日は、遠くに見えるビル街や山もよく見えた。
スマホを見ると、時刻はすでに4時半を回っている。上級生の授業はもう終わっているはずなのだが、まだ鉄の引き戸はピクリと動かない。
しばらく待ってみるが、時間は淡々と過ぎていくだけ。早く会いたいという気持ちと、何から放せばいいのかという不安の気持ちが交互に盛り上がる。
カエデの性格からして、すっぽかすとは思えなかった。しかし、あんな事をしてしまった今となっては、そうも言い切れないところが辛い。
やっぱり男は信用できないとタカトシに恐怖し、教師にでも相談してしまったら彼の人生は終わりだ。
1人で懊悩し、屋上をウロウロしているタカトシ。おおよそ、普段の彼らしくない態度であった。
ああ、俺って最低なことをしてしまったんだ。その後悔が、胸を締めつける。
そこで、ガチャリという特有の音と共に、裏口の扉がゆっくりと開いた。心臓がひときわ大きく動く。
一瞬、他の誰かかもしれないという考えが頭をかすめ、身を隠そうかと身体が動きそうになる。しかし、姿を見せたのは自分が待ち望んでいた少女。制服姿の五十嵐カエデであった。
屋上に吹く強めの風に、見慣れた三つ編みの髪が揺らめいている。彼女はタカトシの姿を見とがめると、どこか警戒しているかのように歩み寄ってきた。
「す、すみません。こんな所に呼び出してしまって。でも、ここが一番話をするのに人目がないと思いましたので」
「ええ・・・・・・分かっています」
「その・・・・・・やっぱり、先月のことをもう一度、その、謝りたいと思って」
「・・・・・・」
「本当に、すみませんでした。あんな酷い事をしてしまって」
深々と頭を下げると、カエデの瞳が揺れた。
彼の視界には、屋上に立っている足下と、カエデのスカートから伸びている白い脚だけ。しかし、いまはそれに見とれている場合ではない。
学園内を裸のまま歩かせ、電車内の痴漢行為。自宅に連れ込んで疲れ果てるまでのセックス。これで何も感じない方がどうかしている。
「俺、本当に反省しているんです。薬のせいにするつもりはありません。もし俺のことを訴えたいんでしたら、好きにしてください」
人生を棒に振るのはごめんだ。だが、それをカエデが望んでいるというのなら、そうする覚悟がいまのタカトシにはある。他ならぬ彼女の制裁なら。
カエデは何も答えず、ただ彼の頭を睨んでいるだけ。
だが、やがて秒針が半周ほどすると、カエデは震える唇で言葉を紡ぎ出す。
「・・・・・・顔を、上げてください」
「はい」
言われたとおりにすると、怒ったような表情のカエデが赤面しているのが分かった。唇を強く結んでいるのは、羞恥と緊張のせいなのだろう。
「タカトシ・・・・・・あれは、私のことが、好きだから・・・・・・シたん、ですよね?」
「え、あ・・・・・・はい」
スカートをギュッと握りつつ、そう問いただしてくる。予想とは少しばかり違った言葉に、タカトシは狼狽えながらも頷いた。
そう。それだけは譲るつもりはない。
当然だ。カエデの事が愛おしいからこそ、欲する。頭の中が薬で翻弄されていたとはいえ、相手がカエデだから欲求を実行に移した。相手が他の誰かなら、彼はたとえ自分の骨を折ってでも耐えきっただろう。
タカトシの返事をどう受け取ったのか、カエデの視線はそっと彼から逸らされる。
それが、たまらないほど可愛く思えた。反省していると言ったばかりなのに、頭をよぎるのはやはりバレンタインデーの、あの夜。雄の本能のままにカエデを責め立てた、凄まじい一日。
「だったら・・・・・・いいです。別に、気にはしません」
「え・・・・・・」
「正直、そこまで申し訳なく感じてくれているとは、思っていませんでした。私、別に怒っているわけでは、ありません」
「で、でも・・・・・・俺、あんな事を」
「いいんです。私の方こそ、流されちゃったなっていう気持ちもありましたし。でも、他の人には、くれぐれも・・・・・・」
「そ、それは・・・・・・俺の方こそ」
コクリと、カエデは頷いた。お互いに、あのことは言いふらしたくない出来事のはずだ。そういう意味で、2人の意見が一致した瞬間であった。
瞬間、タカトシの心にスッと重しが取れたような気分と、純粋な喜びが同時に湧き上がる。彼女は、怒っているわけではない。そして、許してくれると。
カエデもまた、どうタカトシと接していいのかが分からなかったのだ。恐怖で避けていたのではなく、ただの戸惑いと羞恥。
そして、自身がタカトシの責めに間違いなくエクスタシーを感じ抜いてしまったという後ろめたさ。
どれだけ愛し合っている恋人でも、やって良い事と悪い事がある。あれほどまでの苛烈な責め苦を受ければ、情緒不安定になるのは当たり前のことだ。
「それじゃあ・・・・・・私はこれで」
クルリと背を向けて、出入り口に向かって歩き始めるカエデ。
「え・・・・・・」
「ちゃんとお互いに言い合えて、安心しました。それでは、また明日」
嫌われたわけではない。それでも、カエデはタカトシから逃げるようにこの場を去ろうとしている。やはり、一応の気まずさは残っているようだった。
それでも、タカトシの心に生まれたのは、焦燥。まるで、自分が彼女から置き去りにされたような錯覚を受けたのだ。
何かの衝動に駆られ、タカトシはカエデの背中への距離を詰める。その細い手をグッと掴んだ。
突然の行為だったが、カエデは悲鳴を上げなかった。ただ僅かに目を見開いて、肩越しにタカトシを見る。その血走った目を視界に捉えた瞬間、カエデの身体は硬直した。
一瞬、タカトシの心に後悔の文字が頭をよぎる。しかし、もはや行動に移してしまった以上は止まれなかった。
カエデの瞳に、緊張と怯えの色が浮かんでいる。その全てを払拭させるかのように、タカトシは彼女の頬に触れると、そのまま自分の顔に引き寄せた。
「んん・・・・・・っ!」
勢いよく合わせられた2人の唇。せわしなく伸びる舌は、カエデのそれに容易く絡みつく。
腰に手を回すと、彼女のこわばっていた身体から力が抜け落ちた。
折れそうな腰回りに、ふんわりした旨を覆い隠している下着やブレザーの感触。すでにいきり立っている分身は、ズボン越しに彼女の下腹部に押しつけられている。
その感触が気になるらしく、唇を介抱されたカエデは困惑げに腰を動かす。
「タ、タカトシ・・・・・・」
「・・・・・・後で、いくらでも軽蔑してくれていいので」
身を離して見つめれば、未だ初々しさを残している年上の少女は頬を上気させる。愛くるしい容貌に胸が騒ぎ、牝の肉がことさらいなないた。
視線を下方に向けると、短めのスカートから生白い太腿が覗いている。
先月はどれだけこの脚を撫で回し、舌で舐めたのだろうか。
タカトシの心に次々と黒い炎が燃え広がる。雄が雌を見る瞳に変化していく様を見て、カエデは背筋を震わせた。
「ん・・・・・・」
なめらかな太腿に手を這わせると、カエデは口から甘い吐息を放つ。自然と出てしまったらしく、遅れて恥じらう姿が男心をそそった。
「やん・・・・・・め、捲らないで。見えちゃいます」
撫でながら、タカトシの手はそのまま上に。ずり上がっていくスカートと、あらわになっていく脚。
そして、牝のイヤらしい部分を生い隠す神秘の薄布。少しだけ大人が穿くような、切れ込みの激しいタイプだった。
抱き寄せる腕に力を込め、タカトシは彼女のヒップに手のひらをあてがった。
「あんっ」
「ああ、カエデさん・・・・・・温かくて、柔らかいですよ」
「だ、ダメ・・・・・・そんなに、揉まないで。やらしい・・・・・・」
再び唇をキスで塞いで抱きしめれば、彼女は腕の中にもたれかかる。
口内に舌を差し入れても拒絶することはなく、それどころかうっとりとした様子で彼を見つめてきた。
――――カエデさん・・・・・・感じてくれている。
タカトシの心臓が高鳴る。全身の血が沸騰するように熱くなり、気分が高揚した。
カエデの喘ぎが次第に大きくなり、明らかな嬌声が漏れ始める。彼女は無意識に、彼の首を支えるように白い手で触れた。
――――私、こんな事をされて受け入れている・・・・・・
どうしてこんな事になってしまったのだろうか。カエデは自問する。
そもそも、こうなるのは分かっていたはずだ。嫌だというのなら、初めからこんな所に来なければ良かったのに。
でも、自分は来た。どうして?
白々しい。自分だって、タカトシに会いたかったからだ。それを、彼の方から求めてきたことを言い訳にして、こうしてされるがままに・・・・・・
バレンタインデーの夜以降、カエデは一度として彼のことを考えない日はなかった。毎晩のように疲れ果てて眠るまで、自らの指で慰め続けているのだから。
あの出来事は、その後も彼女を悩ませ続けている。
どう接していいのか分からないまま彼を避け続け、とうとう一ヶ月が経ってしまった。
本当は、期待していたのだ。こんな風に、強く自分を求めてくれることを。
タカトシの方から距離を詰めてくれて、悩んでいたことを全て消してくれることを。
「カエデさん・・・・・・」
いきなり声をかけられ、カエデは我に返る。
いつの間にかタカトシが彼女のブレザーを脱がしていて、白いブラウスのボタンを外しにかかっていたのだ。すでに純白のブラジャーに包まれたバストが見えているが、カエデは全く抵抗できなかった。
タカトシの手が伸び、彼女のブラのホックを外す。プルンと果物のような胸があらわになった。ピンク色の乳首が、ツンと上に立っているのが分かる。
「ま、待って」
「え?」
「・・・・・・じ、自分で・・・・・・脱ぎますから」
自分の気持ちを悟った今、覚悟を見せたい。カエデは思い切って、ブラウスを脱ぎ捨てた。外れているブラも足下にそっと置き、胸を腕で隠しながらスカートも下ろす。
パンティと靴下、上履きだけという格好になったカエデ。少しだけ躊躇ったものの、スルリと下着も下ろし、足下から引き抜く。
タカトシが息を呑む。カエデの均整のとれた裸体は、何度見ても見飽きることがないほど美しかった。
ダメだ、彼女にばかりやらせていては。男として、しっかりと主導権を掴まないと。
「み、見せてください・・・・・・カエデさんの胸もアソコも、全部」
両腕で胸元と股間を隠しているカエデは俯くものの、すぐにノロノロと腕を身体脇に下げた。全てを暴けだした裸体のあちこちを、彼の視線に舐められるのが分かるかのような錯覚を覚えて、思わず肩をすぼめてしまう。
自分は一体、何をしているのだろう。仮にも学園内だというのに、こんな場所で裸にまでなるなんて。
上目遣いにタカトシを見ると、まだ棒立ちになったまま、目元がじわじわと変化していくのが分かった。こういう時に見せる、彼の加虐的な一面が表に出てきている証拠だ。
恥ずかしさのあまりに顔から火が出そうになり、汗までにじみ出てきた。屋上に吹く風など、熱を冷ますのになんの役にも立っていない。
そして、これから何をされるのだろうかという期待。
「こ、これでいいんですね」
タカトシは返事をしなかった。唖然としたまま、棒立ちになっているのだ。
無理もない。自分はそれだけおかしいことをしているのだから。
背筋を伸ばして胸を張ると、18歳の豊満な乳房はますます張りを大きくするようで、ツンと立った頂点もいっそう飛び出してしまう。
胸の膨らみとピンクの乳首。それがプルンと揺れる動き。コーラス部で鍛えて括れた腰回り。たっぷりした肉量のヒップ。それの弾み。薄い陰毛に覆われた割れ目の股間。
五十嵐カエデという少女の全てが、タカトシの視線に晒されている。雄の目つきは、まるで肉食獣を思わせた。そして、それを牝として受け入れている自分。
ジンジンと、脳の中で痺れるものがあった。こんな身体になってしまった以上、もうタカトシには逆らえない。彼の言うことは、何でも聞くしかないのだ。
「か、カエデさん・・・・・・ゆっくりと、回ってくれますか」
「は、い・・・・・・」
おずおずとしながら、カエデは頷いた。それから、ゴクリと唾を呑み込む。タカトシの痛いほどに感じる視線を乳房と乳首に浴びる。
足首を時計回りに少しずつ動かす。ゼンマイ式の人形のように細身の肢体が回っていく。その振動で乳房が軽く上下した。
カエデの両手は、両足の合わさるところを覆っている。モジモジと、太腿を擦り合わせつつ、プリントしたお尻をタカトシに向けていく。
「カエデさん。手をどかしてください」
だんだん、口調が強気になっていくタカトシ。まるで、それが当然であるかのように命じてきたのだ。
「だ、ダメです」
「どうしてですか。さっきまでは、ちゃんと見せてくれたのに」
「や、やっぱり・・・・・・恥ずかしいんですっ」
怒ったように言うが、これまでの行為とあまりにも矛盾しており、ますます顔を赤らめてしまう。
「大丈夫ですよ。そんな風に、恥ずかしがっているカエデさんも可愛いと思います。けれど、俺としてはやっぱりカエデさんの全部を見たい」
「そんな・・・・・・」
「さあ、手を挙げて。カエデさんの一番恥ずかしいところ、じっくりと見たいんですよ」
要求され、カエデは両手を上に挙げようとした。だが、できない。
「だ、ダメ。手が動かないんです」
半ベソをかいたような表情で言うと、タカトシはむしろ優しささえ込めた言い方をする。
「カエデさんはもう、そこまで俺の前で見せているんです。今度は、あなたの綺麗な股間を見たいんです。もっと近くで、じっくりと」
「わ・・・・・・わかり、ました」
やっとの思いで、カエデは手を離した。後頭部に回して指を絡めると、頼りなかった下半身はますます儚くなって、腰の位置を定めることすら難しくなる。これで股間も全て丸晒しだ。
「こう、ですか・・・・・・?」
「カエデさん・・・・・・濡れていますよ」
呆然としたまま、タカトシは食い入るように恋人の股間を凝視する。彼女もまた、そこの部分に意識が行ってしまっていた。当然、触れずともアソコがじっとりと濡れそぼっているのは感じている。
「興奮、してくれているんですよね」
「ああ・・・・・・言えません。そんなこと、言えません」
「俺に見られて嬉しいんですよね。命令されて、こんなところで裸になっているのを受け入れてくれたんでしょう・・・・・・?」
「や、やめてぇ・・・・・・」
顔を羞恥の色に染めて、イヤイヤと頭を左右に振る。しかし、その反応はタカトシの言葉責めの内容を肯定していることと同義であった。
自然と、タカトシの言葉も先ほどより強くなる。いったんは穏やかになった口調のまま、内容だけは決して容赦をせずに。
「カエデさんのそういう所、凄くそそります」
「そんな・・・・・・」
「胸も大きいし、立っている乳首も素敵ですよ」
カエデは反射的に胸を隠そうとした。だが、どういうわけか誰かに命令されているかのように身体が動かない。
「今度はお尻を見せてください」
「っ・・・・・・」
唇を噛みしめつつ、カエデは振り向いた。盛り上がったヒップを見せる。肉と肉の合わせ目、谷間の部分で互いに触れあう自身の肉を感じる。
「やっぱり、カエデさんは最高です。それじゃあ、少しだけハードルを上げていきましょうか」
「えっ?」
「屋上の周りを歩いてもらえますね?」
美人な風紀委員長は絶句した。まさかとは思っていたが、本当にそんなことを要求されるとは。
「出来ないんでしたら、それで構いませんよ。その代わり・・・・・・」
スッと、落ちている制服と下着を拾い上げる。脱いだまま、足下に置きっぱなしになっていたのだ。
「裸のまま、家に帰ってもらいますが」
「やめて。それだけはイヤっ」
「それなら、言うとおりにしてください。大丈夫ですよ。こんな時間にわざわざグラウンドから屋上を見上げる生徒はいません」
もう、言うことを聞くしかない。カエデは半ば人生を投げうるつもりで一歩を踏み出した。
裸の腰は随分引いていて、いわゆるへっぴり腰というやつだ。しかし、学園の中で品行方正な風紀委員長が全裸のまま歩き回る姿は、見ているだけでも凄まじく官能的で、とてつもない背徳感を覚えさせる。
突き出した臀部。むっちりとした肉付き。深い谷。胸で揺れる乳房。ヘソの下で揺れる薄い恥毛。
そんな牝の色香を存分にうかがわせる全裸の肉体を操って、カエデは少しずつフェンスの傍を歩き続けた。
恐る恐る、カエデはグラウンドを覗き込んだ。そこで、喉を引きつらせる。
見慣れた校庭には、生徒がいた。この時間は、ほとんどの生徒が帰っているはずで、部活動をしている生徒などいないはずなのに。
放課後に居残って、キャッチボールをしている男子生徒。木々が生えている隅で談笑している女子生徒グループ。運動部の自主練習らしく、トラックを走っているジャージ姿の生徒達。
彼ら、彼女らが僅かでも屋上に関心が向けば、たちまち風紀委員長のあられもない姿が公開されてしまうのだ。血の気が引くかと思えば、瞬く間に上っていくのが分かった。
カエデは、震える足取りで大まかな長方形に囲われたフェンスの角から、その先の角まで歩いていく。実際、それは正解であった。
気が動転して走ってしまえば、さすがに遠目からでも目についてしまう。見つかったらどんな反応をされるかなど、考えたくもない。
頭がクラクラする。まともに脳が働かない。ただ、カエデは一心にこの屋上を一周しなければならなかった。
歩いている。胸の乳房を揺すりながら、揺れる様を全て観客であるタカトシに見せながら、広い屋上を右に左に歩いている。
突っ立った乳首。そのしこり。
お尻の揺れる肉。汗で湿った谷間。太腿を動かしながら擦れる陰毛と、ピンク色をした女の秘部。
「ああ・・・・・・」
グラウンドから、完全に屋上の様子が見えない位置まで引っ込んだ。それだけで、不思議と動きにぎこちなさが消える。
見ているのは、タカトシ1人。その事実に戻っただけなのだが、不特定多数の視線に晒されなかったという安堵感が、カエデの心にいくらかの落ち着きを取り戻させたのだ。
屋上に、いつ人が入ってくるか分からない。学園内で、全裸のままだというのに。
数分ほどかけて、ようやくカエデはタカトシの元へたどり着いた。恐る恐る彼の顔を見上げると、恋人は嬉しそうに微笑を浮かべている。
どうやら、満足してくれたらしい。ほっと、息を吐くカエデ。
「凄かったですよ、カエデさん。もし良ければ、夏場になったら夜の公園でデートがしてみたいですね」
「そんな。どうせ、ただのデートじゃあないんですよね」
「ええ。素っ裸の上にコート一枚だけ羽織って、公園の真ん中でご開帳するんです。きっと、楽しいですよ」
なんてことを言うのだろうか、この男は。カエデは戦慄する。
そんなこと、常識のある人間ならば絶対に出来るはずがない。せいぜい、いかがわしいビデオの女優くらいなものだ。
それでも、自分の全裸姿を考えれば、それをハッキリと口に出す事は出来ない。今のカエデには、何を言っても説得力など無いのだから。
「想像してしまいましたか。さっきよりも、股間が濡れていますよ」
指摘され、カエデはギクリとした。図星を指されてしまったのだ。
「嘘だというのなら、確かめますよ」
タカトシはカエデの返事を待たず、手を濡れそぼった股間へ伸ばした。むっちりとした肉の隙間に、上向けた手が差し込まれる。
もはや抵抗の意思すらなく、風紀委員長は青空を見上げたまま侵入する手を受け入れた。
股間の、羞恥の根源に下から伸びる指が触れた。ゾクリとカエデの深淵で震えるものがある。自分の指よりもなお感じる、タカトシの愛撫による女の淫悦であった。
「ほら、もう誤魔化せませんよ。こんなに悦んでくれるとは思いませんでした」
グチュグチュと股間を弄る音を聞きながら、五本の触手に為す術なく官能をかき乱される。もはや、カエデは何ひとつ取り繕うことが出来なくなった。
「ああっ、許して・・・・・・許して」
指が侵入してくる。露出プレイに火照りきった子宮の肉壁は、タカトシの指を2本も容易く受け入れた。
ピースのように指を立て、押し広げながら上下に動かす。くわっとカエデの目が見開かれる。
「ひ、ひぐうううっ! だ、だめえっ!! そ、それっ、だめなんですううっ!」
始めからイカせるつもりで、激しく攻められる。親指で尖ったクリトリスも弾かれ、グリグリと弄くられた。
足が痙攣する。立っていられなくなり、カエデはギュッとタカトシの制服の袖を掴む。
だが、容赦はしない。タカトシの腕もまた、震えるように動く。屋上の床に、カエデの分泌液がボタボタと落ちた。
「気持ちいいですか? 気持ちいいですよねっ!?」
叱りつけるような言葉に、カエデはガクガクと頷く。
「ぎ、き、気持ちいいっ! 気持ちいいですううっ!!」
「だったら・・・・・・約束してください。また、こんな風に露出プレイをするって。見られるかそうでないかのギリギリのスリルを、もっと味わうんです!」
「ひ、ひいいっ・・・・・・! す、するっ!! しますううっ! また、裸で、2人きりで外を歩きますからぁ・・・・・・っ!!」
認めた。
そして、約束した。
言質を取ったタカトシの顔は、一体誰が普段の彼と同一人物だと思うのか。歪んだ笑みを浮かべたタカトシは、カエデの股間を攻めている腕とは反対の手でベルトを外した。
下着ごと足首までずり下ろすと、ズボンから解放された剛直が姿を見せる。青空に向かってそそり立つ肉の槍は、先端からすでに透明の汁を涎のように流していた。
「ご褒美ですよ、カエデ」
耳元で囁かれる言葉と共に、タカトシの鍛えた両腕はカエデの膝を正面から抱え上げた。
身体が宙に持ち上がり、彼女はタカトシの首に抱きついた。自然と、彼の顔に胸の谷間が挟まる。
まるで赤ん坊のように持ち上げられている彼女の股の真下には、狙いを定めている赤黒い剛直。何度も目にしたはずの男の象徴は、どういうわけか一ヶ月前よりも逞しく、太く感じられた。
「ああ・・・・・・そんな、いきなり」
「ご褒美ですよ。今夜の俺は、アナタを焦らせたりしません」
ぞくり、と背筋を震わせる。その自信に満ちた囁きは、カエデにとってこれ以上無い誘惑であり、麻薬のような毒だった。
「さあ・・・・・・」
先端が、カエデの膣の入り口に埋もれる。それはまるで、蛇が獲物の巣穴に入り込む姿を連想させた。
これから、どれほどの危険すぎる悦楽の時間が待っていることか。全てが終わったときに2人は何を経験し、そして何が変わってしまうのか。
淫猥なホワイトデーの一日は、まだ始まったばかりであった・・・・・・
つづく