深夜、こそこそとスピネルが自室に戻ると、早速手鏡で自分の秘唇の様子をチェックする。今日のセックスはそんなに激しいものではなかったが、スピネルはこれから毎日性器のケアをすることに決めていた。
(兄さまにみっともないところは見せられないもんね)
という理由のつもりだが、それ以前に男に抱かれた証を刻まれて、びらびらにめくれ上がった性器をフォルスに見られたら、即座にスピネルの男性遍歴がバレてしまうだろう。そのためにもこれは必須だった。
幸いにも、スピネルには一人で出来る便利な治療法がある。
「エンゼルヒール……」
暖かな光に包まれて、今日一日のペニスに突かれた疲労が大陰唇、小陰唇から消えていく。今はスピネルの性器は処女のような外見を保っているが、日々の積み重ねは大事だ。これから時間が許す限り、毎日売春するつもりのスピネルにとっては、大きな違いになっていくだろう。
そして、もう一つの課題に目を向けた。
「パンツ、やっぱり洗わないとまずいよね……」
今日はすぐに脱いだパンツだが、帰ってくるまでに股間の部分に愛液と精液の混じった液体のシミが大きく残っている。溜息をついて、上半身はパジャマ、下半身は裸のはしたない格好でぺたぺたと洗面所に向かった。
その昔、リィンバウムに召喚されたナギミヤ在住のニッポン人がこだわったという技術が、ここには詰まっている。ナギミヤ市遺跡に見られる一般的な住居、その洗面所と同等の機能がセイヴァールの標準となっていた。すなわち、24時間お湯が手に入るということだ。スピネルは、プリプリしたお尻丸出しのまま、お湯を洗面器に出してパンツを丁寧に押し洗いする。少しだけ洗剤を溶かしてやると、下から薄かった汚れは完全に取れたように見えた。ざぱざぱとすすいで、軽く絞る。持ってもいないのに、以前シルクの下着の洗い方を調べておいたのが役に立った。タオルで水気をとったが、夜中に新しいものに変えてしまうと怪しいのでそのままにしておいた。
そして、自分の部屋に帰って、洗ったパンツを陰干ししなければならないわけだが……
「ちょっとリスクが高いよねえ……」
なるべく風通しのいいところにしたいのだが、迷った末クロゼットのなかの服をぎゅっと脇に押し込めて、そこに形を整えてから干しておくことにした。
「やっぱりちゃんと洗濯したいし……でも、ドレスを洗う時とか、本当にどうしようかなあ?」
気になってドレスのタグを見ると、洗濯機で洗えるようなので、休日のスピネルが洗濯当番の時にこっそりと一緒に洗ってしまおうかと思った。
まあ売春の時に自分から率先して脱げば短い時間だけ着るものなので消臭スプレーで当面はごまかせるだろうか。
翌朝、目覚めて顔を洗ったフォルスが、昨夜売春に使ったパンツの水気をとったタオルで顔を拭いているのを顔を赤らめながら見守るスピネルだった。
フォルスとスピネルは、繁華街で観光者らしき迷子の子供をつれて歩いていた。どうやらメイトルパの、バウナスという種族であるようだ。
召喚でない手順でゲートから異界を通ってきたその子供は、リィンバウムの言葉を解することが出来ない。しかし、少し想像してみれば分かることではあるが、術を用いて強制的に相手の言葉がわかるようになる、というのも常人なら忌避感を示して当然だろう。この子の親も、実利と天秤にかけて通訳の術は使わないという決定を下したようだった。
「ほらほら、泣かないで。男の子でしょ?」
中腰になって片手を膝頭において支えるスピネルが、その子の頭を優しくなでる。その言葉がわからないまでも、スピネルの優しそうな笑顔と、母親のように暖かい笑顔に感じるものがあったのだろう、男の子は泣くのを止めて前を見つめた。
フォルスはメイトルパの言葉の聞き取り、発話ができるが、スピネルは特定の部族の言葉しかわからない。男の子がなんと言っているのかは半分位は聞き取れるが、喋る方は完全に雰囲気でしか伝えられないが、傍から見る分にはそんなことを感じさせないのだった。
「うん、えらいえらい。じゃ、お姉ちゃんがご褒美にい・い・こ・と、してあげる♪」
自然な動作で男の子を抱き上げる。スピネルの小さくも柔らかそうな胸に顔を埋める形になって、男の子が目を白黒させる。フォルスも、子供相手にと思いながらも恋人の胸の感触を自分より先に味わったその子に内心嫉妬の感情が
湧き上がる。
「ほーら、たかいたかーい!」
天使の輪が生む浮力で、1mほど浮かび上がる。少しかがんだらスカートの下が見えてしまいそうなアングルにドキドキしながら、
「あんまりはしゃいで、怪我したりしないでよ?」
と注意した。高い視点の滑るような移動に、男の子は無邪気にはしゃいでいる。その後頭部にスピネルの胸があたっているのをフォルスはつい凝視してしまった。
男の子の後頭部に押されるスピネルの胸は柔らかそうにたわんでいる。
(気のせいか、スピネルの胸が最近とみに育ってきているような……)
すぐ首を振って苦笑してから、上にいるスピネルと手をつないで繁華街の迷子センターへ歩いて行った。
子供への慈愛に満ちた接し方も、抱き上げて胸に顔を埋められても平然としていたことも、売春の時の経験がさっそく役に立ったのだった。
その日の夜。
「そういえば、前にも迷子を送っていったことがあったよね」
ソファに座ってくつろいだ雰囲気のフォルスが、ポツリとそんな風に漏らした。
「ああ、ありましたね。ユクロスに就職して、割とすぐのことでしたっけ?」
既にパジャマ姿のスピネルが、マグカップに入ったホットミルクをフォルスにも渡しながら、ぴったりとくっつくように座る。
「うん。あの時のスピネルの慌てようと来たら……」
ニヤニヤと笑うフォルスに、スピネルが赤くなって唇を尖らせた。
「そんな昔のこと蒸し返さないでくださいー!」
そう言いながら、少し押すように体をフォルスに密着させる。
「ん、だからさ……今日のをみて、本当、スピネルも……成長したっていうか、大人になったんだなって」
「ふーん、どうせ兄さまに比べてわたしは子供ですよーだ」
ふいっ、と顔を背けるスピネルだが、腕はフォルスと組んだまま、体も密着したままだ。
「あ、そうじゃなくてさ。こ、この頃、その……スピネルが、どんどん大人びて、綺麗になってきたなって……」
赤い顔で、顔をかきながらフォルスは小声で言った。ぱあっとスピネルの顔が満面の笑みを浮かべ、子猫のようにフォルスにぐりぐりと顔を擦り付ける。
「えへへ……とっても嬉しいです♪兄さまの恋人として、もっともっと綺麗になりますからね!」
大人びて、綺麗になったのが、ほぼ売春の成果だとすれば、スピネルの発言は相当に皮肉なものだったが……フォルスは微笑んで、そろそろと、おっかなびっくり、スピネルの腰に手を回して抱き寄せる。スピネルは何も言わずに微笑み返すと、フォルスに体を預けた。
ホットミルクを飲み終わるまで、そうやって恋人としてのプラトニックなひと時を過ごしたのだった。
そんな素敵なひと時を反芻して、上機嫌のままに、スピネルはその夜も化粧をし、街娼としての支度をはじめる。もはやすっかり生活の一部のように、スピネルは自然体で売春婦になっていた。
それからの日々は、順調に過ぎていく。
スピネルにとって4人目の男は、中肉中背の中年という特徴のないのが特徴というような男だった。
「んっ、ぢゅっ、ぢゅっ、ぢゅぅぅぅっ」
だが、相当場慣れているのだろう、ルールを説明したスピネルに、一発だけと拝み倒して、フェラでの射精を希望したのだ。太さはないが、長いその男のペニスを、下品な音を立てて頬をすぼめてしゃぶり立てる。男は相当な遅漏だった。顎が疲れてきたのを見てとって、
「イラマチオって知ってるかなあ?」
ニマリと笑って、恐らく何度も同じようなことをしているのだろうと思わせる手際の良さで、スピネルをベッドに仰向けに寝かせ、首が思い切り仰け反る、喉を晒す格好にさせた。ちょうど正常位のセックスのように、スピネルの口を
性器のようにピストン運動で犯す。
いつもの手練手管なのだろう、最初は浅く喉に触れる位のところから、えづきそうになる感覚を巧みにコントロールし、クリトリスを舐る快楽で苦痛と快感を結びつけていく。そのまま30分は喉を犯されていただろうか、スピネルの喉は極度にリラックス状態になり、男のペニスを深々を受け入れることに快感を覚えるようになっていた。
異常なまでに順応の早いイラマチオ奴隷を手に入れた男は、遠慮なくスピネルの食道にドプドプと射精する。注がれた精液の熱さに胃がかぁっと熱くなり、クンニでの絶頂と喉奥の射精の感覚が結びついていく。男の期待通り、クンニをやめたあともスピネルの体は射精の脈動に合わせて絶頂の快楽に痙攣するのだった。
精子を切実に欲しているスピネルの子宮の疼きも、この『前戯』によって燃え上がり、このあとのセックスでは遅漏の男から3発も搾り取ったのだった。
そして、満足した男の半勃ちのペニスに、自ら喉奥に挿入するラブマチオと呼ばれる行為を自主的におこなって、金額に色をつけてもらった。
その次の日、子宮にも胃の中にも精子を詰め込んだスピネルはご機嫌だった。昼食の時、炭酸飲料を飲んだ自分のゲップが濃厚な精子の匂いをさせているのを胸いっぱいに吸い込んだ。
(これからはサービスでフェラから始めようかな)
なんてことを考えていた。
その日の夜、5人目の男は、小太りな若者だった。彼も昨夜の男と同じく、特殊なこだわりを持っていた。
「アナルっ、アナル舐めもアリですか!」
なんでもしていい、といっても本当に色々することがあるんだなあ、などとスピネルは関心しながら、今度はどんな目に会うのか、艶然と微笑みながら了承する。
アナルセックスの経験はないというと、男は嬉々としてローションと、数珠のようなピンク色の細い棒を取り出した。
まず、鼻息も荒くスピネルの肛門をベロベロと舐めまわす。夜、自分の部屋に入る前に毎日シャワーを浴びているとはいえ、肛門を舐められるのはさすがに羞恥心を覚える。それも、今のスピネルには興奮のためのスパイスでしかなかった。
ゾワゾワとくすぐったいような、それとも違うような、異様な感覚が下半身を満たす。ぷっくりと肛門が充血し、男の舌先を鋭敏に感じるようになったところで、男が人肌で温めていたローションをたっぷりと垂らし、あっさりと人差し指がスピネルの肛門を犯し始める。膣とはまた違った、排泄にも似た快感に変な声があがる。そのまま男は指を2本に増やし、ぐりりと指を曲げて膣壁を外から刺激する。ゆったりと執拗に続けられる肛門愛撫に、スピネルがはっきりと快感を自覚する頃には、柔軟な括約筋を指で割開いて、男がペンライトを使ってスピネルのピンク色をしたヒクヒクともの欲しげにうねる直腸を観察していた。指を引き抜いてスピネルの腸液を味わうと、当初の予定より少し太いアナルパールをスピネルの肛門に押し込んでいく。すべてを飲みこんでゴロゴロする感覚を腸いっぱい感じながら、ようやく膣でのセックスが始まる。アナルパールが膣越しにもゴロゴロしているのを感じながらのセックスで、スピネルは燃え上がった。
腰を激しくうねらせ、ひっきりなしに嬌声を上げながら、時折わざと肛門を締めてアナルパールの感触を確かめる。
アナルパールを引き抜きながらの絶頂に、スピネルは初めての失神アクメを経験するのだった。
さらに、アナルを犯される感覚で目を覚ます。子宮を精液で満たされ終わって余裕のでたスピネルは、永遠に終わらない太い大便を排泄するような奇妙な感覚を快感として受け入れ、初めてのアナル絶頂を経験した。
その次の日、寝る前に性器だけでなくアナルも回復したため肛門がひりひりするということは無かったが、トイレに入ると普段よりゆるいお腹から、精液臭い大便が出てきた。
(アナルは気持ちよかったけど、こういうのには注意しなきゃね……)
そう思いながら下腹に力を入れて、今夜の売春に向けて子宮に溜まった精液も一緒に排泄するのだった。
次の日も、その次の日も……毎日スピネルは違う男に抱かれ、目くるめく快楽に酔いしれた。足コキ、パイズリ、シックスナイン、玉袋舐め……一日ごとにスピネルはその綺麗だった身体に新しい経験と快感を刻み込み、それを余すことなく吸収していく。
半月後、抱かれた人数が10を数える頃には、スピネルのボディラインにも明確な変化が見て取れるようになっていた。胸や尻、太ももに、スレンダーな印象を壊さないままにむっちりとした肉がのり、腰はきゅっとくびれを作り、より男好きのする身体に育っていく。
皮肉にもそれを一番はっきりと感じているのは、毎夜スピネルと密着して甘い時間を過ごすフォルスだった。明らかに一回り大きくなった胸を押し付けられて、もはや勃起を抑え切れていない。隠すようにこそこそと脚を閉じてはいるが、スピネルはそれを見て、ひっそりと舌なめずりするのが日課になっていた。
そして、今日も客を取る。
12人目の男は、脂ぎった中年男性だ。でっぷりとした腹と、天辺が禿げた頭が目立つ。何より特徴的なのは、視線でスピネルの全身を嘗め回すような、好色そうな顔つきだった。
(このおじ様、セックスが上手そう……)
疼く子宮をなだめる為にはじめた売春だが、最近はフェラもアナルも解禁し、ベールを汚すようなもの以外はフィニッシュに精飲もありという、正真正銘の売春婦として成長したスピネルは、目の前の好色そうな男に強く惹かれた。
「おじさまぁ、わたしを買ってくださいませんかぁ?」
周囲の雰囲気を馴染みきった、娼婦の媚をたっぷり含んだ蕩けるような甘い声音で、スピネルが誘う。
「ぐへへ……お嬢ちゃん、いい身体してるねえ。オジサンの相手をしてくれるのかい?」
歴戦の猛者とでも言うべきか、スピネルの年齢が高くないことを瞬時に見抜いて、なれなれしく腕を回し、腰ではなく直接胸をわしづかむ。
「あんっ♪ おじ様に、いっぱい可愛がってほしいんですぅ」
鼻にかかった媚び媚びの声を出す商売女に、周りはだれも注目することは無い。見慣れた光景だからだ。
つかまれた腕の、絶妙な力加減にスピネルの身体から力が抜ける。ドレス越しにカリカリと綺麗にヤスリがけされた短い爪を立てて乳首を刺激されると、往来であることも忘れて熱いため息が漏れた。
「うひひ……いいね、とっても可愛いよー。じゃあ、たっぷりと可愛がってあげようねぇ」
よだれをたらしそうな歪んだ笑みを浮かべる男の、加齢臭が出てきたぶよぶよとした胸板に寄りかかって歩き出す。毎夜フォルスに寄りかかっているときとはまったく別の興奮に包まれた卑猥な笑顔を浮かべながら、売春婦と一人の客がまた連れ立ってラブホテルへ入っていった。
「んっ、ちゅうっ♥ あふ……おじ様、キス上手ですぅ……」
部屋で早速ドレスを脱がされ、パンツだけになったスピネルに、まず男は濃厚なディープキスを繰り返した。すでに男も服を脱ぎ、トランクス一丁だ。
あっという間にスピネルの弱点の一つである上あごを見抜かれ、さらに一番感じる愛撫の方法を探り出される。舌の先を硬く尖らせ、くすぐるように円を描いて愛撫され、スピネルは初めてキスだけで絶頂した。
無意識のうちに男の股間に手が伸び、催促するようにペニスをしごく。太さ、硬さ、長さ、カリの凶悪な段差、全てがこれまでで最高の快楽を与えてくれるペニスであることを教えてくれる。
(ああ……欲しい……このおちんちん欲しい……)
キスをしながらも、物欲しげな熱いまなざしを男の股間に注いでしまうスピネルに、男はニタニタと笑いながら、これまで放置してきた胸への愛撫を開始する。
「うほほ……こんなにびんびんに乳首をおったたせて……いやらしいおっぱいだ」
触れるか触れないかのフェザータッチで愛撫され、ゾクゾクと背筋を快感が走る。そうかと思えばぎゅうっときつく乳首をつぶされて、ギリギリと苦痛に近い快楽を与えられる。きつくつねられた後の乳首が快感に敏感になることを実地で教え込まれたスピネルは、そういうおもちゃであるかのように、男の意のままに絶頂に押し上げられた。
これまで抱かれてきた男の中で、既に最高の性技を味わわされてスピネルが蕩けきった熱い視線を目の前の脂ぎった中年に向ける。一途な片思いをする少女のようにいじらしく、そのたるんだ胸板にスピネルの細くしなやかな指でつい、とのの字を描いた。
「おじ様、上手すぎますぅ……わたし、もうおちんちんが欲しくてたまらなくなっちゃう♥」
フォルスには聞かせられない、男の発情を誘う蕩けるような声音。
「いや、まだまだ気持ちよくなってもらわないとねぇ」
だが、男の前にはあっさりお預けを食らってしまった。ベッドに仰向けにスピネルを寝かせ、すでに股間をぐしょぐしょにしたシルクの紐パンに顔をうずめて、頬ずりするように膣の周りの肉をいっぺんに愛撫する。子犬のような、鼻から抜ける甘い声でスピネルが悶えるのを鑑賞してから、するりと紐を解いてすぐそばで凝視しながら紐パンを脱がせた。むわっとスピネルの濃縮された性臭を鼻で吸い込んで、男がクンニを開始する。
「くひいいいいいいいぃぃぃん♥ はっ、あひいぃっぃぃぃぃ♥」
巧みに緩急をつけて、クリトリスも膣口も、尿道からも極上の快楽を与えられ、スピネルがのけぞりガクガクと身体が跳ねる。
男はその様子をじっくりと観察しながら、さらに追い詰めるように指を挿入し、クリトリスの裏側のGスポットを膣の反応ぐあいから探り当てると、クリトリスとの同時責めを行う。
「んああぁぁっぁあっぁ♥」
あまりの快感に、スピネルの悶絶する嬌声が波打つようにゆれる。ガクガクと腰を振るような大きな痙攣を起こしていた。
「んー、いかんなぁ、いかんよきみぃ」
男はスピネルの股間から離れ、ベッドに胡坐をかいた。
「は……ふぇ……?」
立て続けに絶頂させられてメロメロになっているスピネルは、だらしなく股を開いて、時折太ももをぴくん、と痙攣させている。たまらなく扇情的なその光景をあえて無視するように、男はそっぽを向き、眉を寄せて目をつぶっていた。
「お嬢ちゃんも、商売女としてやっていくなら、作法ってものを覚えないと駄目だよ。おじさんは大丈夫だけど、世の中にはそういう事に厳しい、こわーい人がいるからね」
「は、い……」
朦朧とした意識で、曖昧にうなずく。
「じゃあ、レッスン1からね……絶頂する時は、『イク』って言うこと。これだけでお客さんの興奮度が変わってくるからね」
処女雪を踏み荒らすかのごとく、脂ぎった中年の『アドバイス』がスピネルの心の中に染み渡っていく。
「いく……」
「うん、そうだよ。……じゃあ、これからイかせてあげるから、ちゃんとイクって言って絶頂するんだよ?」
舌なめずりをして、絶頂しやすいスピネルのクリトリスを吸い出すように刺激していく。
「ひぅっ……あっ、い、いっ、く……いくぅっ!!」
タイミングを合わせるかのように、スピネルの気持ちの準備に合わせて絶頂させられる。絶頂の時の作法を教えられたスピネルは、多分この作法は身に付いたクセになってしまうだろうな、とぼんやり思った。
一方スピネルの優等生ぶりに、男は手を叩いて喜ぶ。
「おっほ、そうそう! いいよ、お嬢ちゃん。もっと練習してみようか?」
答えを言うより早く、再度クンニが始まった。
「ああんっ! いっくぅ♥ イクッ♥ いく、イク、いくぅぅぅぅ♥」
男の性技に完全に出来上がってしまったスピネルの身体は、たて続けに絶頂させられるのに合わせて男の望むとおりの言葉を吐き出した。
「お嬢ちゃんはとっても優等生だねえ……じゃあ、ご褒美にこれをあげようかな?」
スピネルの手首ほどもある、凶悪なペニスが、スピネルの股間に突きつけられる。絶頂に蕩けきった顔に、白痴の様な笑みを浮かべて、スピネルは力の入らない股をさらに広げた。
「おじひゃまのぉ……おちんちん、くらしゃい……」
ろれつの怪しいしたったらずな、しかしそれだけに扇情的な誘惑に、
「あー。駄目駄目、そんなんじゃ。もっといやらしい言葉を使っておねだりしないと」
ニタニタと笑いながら、本気汁を垂れ流すスピネルの膣口にペニスをすりつける。
「まず……おちんちん、なんて上品すぎる。『チンポ』と呼びなさい」
「ちん、ぽ……」
「そうだよ。お嬢ちゃんのこれは、『マンコ』または『ビッチマンコ』だ」
「まんこ……わたしの、まんこ、ビッチマンコ……」
「くっく、そうだよ。お嬢ちゃん、名前はなんだい?」
唐突に、男が引っ掛けの問いを放つ。
実際の所、この男は数多くの街娼をトリコにしてきたプロのヒモである。いかにセイヴァールが理想的な環境を目指したモデル都市とはいえ、流れ着いてきたような浮浪者の少女がいないというわけでもない。そんないたいけな、しかしリィンバウムだけあって容姿の美しい天使や悪魔、獣人や鬼の娘など、色とりどりの美少女にセックスを骨の髄まで教え込み、売春させてその上前を『ちょっと貸してもらって』生活している。
――このマンコの感触、髪の色から見ても、サプレスの天使に間違いない。
それにしても、ふるいつきたくなるような最高の女だ。このベールを剥いで、本名を聞きだして、自宅に上がりこんで一日中セックス漬けにしてやればコイツも堕ちるだろう……
そんな気持ちでの問いはしかし、
「それはぁ、ひみつですぅ」
夢見心地ながらも、あっさりとスピネルは跳ね除けた。
「おっと、すまないね。……じゃあ、あれだ。お嬢ちゃんは、彼氏がいたりするかな?」
わずかな驚きを一瞬で消し、男は平然とした調子で次の質問に移った。
「はいぃ、とっても素敵な人が、居ます……」
にへら、と無防備な笑みを見て、にちゃりと笑う男。
「彼氏とおじさんのチンポ、どっちが凄いかな?」
「んー、見たこと無いからぁ、わかりません」
わざとか天然か、自分だけでなくフォルスの名前も出すことなく、スピネルは受け答えする。
「ああ、清い交際なんだねえ、そういうの大事にしなきゃねえ? ……じゃあ、おじさんのチンポの形を隅々まで覚えて、彼氏と初体験の時に比べてみてね?」
フォルスとの神聖な初体験の未来に精液を塗りたくるような男の発言に、しかしスピネルは従順にこくんとうなずいた。
「さ、お嬢ちゃん……もう一度、いやらしい言葉でおねだりしてごらん?」
あと少し腰を突き出せば正常位セックスが始まる体位で、男は焦らすようにスピネルの柔らかな痴丘が形を変えるようにこね回す。
「おじさまのぉ、極太で、カリ高で、ながーい、最高チンポを、わたしのぐちょ濡れビッチマンコに、たっぷり下さい……ずぼずぼって思い切り犯して、一番奥でびゅーびゅー射精して、わたしの子宮たぷたぷになるまでチンポ恵んでください♥」
息も荒く、初めてのおねだりを完璧にこなすスピネル。
「よくできまし、たっ!」
一息に、極太のペニスがスピネルを蹂躙する。
「い゛っ、ぐうぅぅぅぅうううぅぅう♥」
その瞬間スピネルは絶頂に押し上げられ、教え込まれた通りの喘ぎ声を上げた。
「お、っほお……さい、こうだよ……お嬢ちゃん……」
百戦錬磨の男でも、思わず恍惚としてしまう、最高の膣の仕上がり。さらに、スピネルだけの特殊な能力が発動する。
(ちんぽっ♥ ちんぽっ♥ ちんぽっ♥ おじさまのちんぽ最高に気持ちいい♥)
はっきりと言葉がわかるわけではないが、スピネルの気持ちが直接に伝わってくる。そして、言葉にするまでもなく今求めるものは一つだけだ。
「ぐふふ……そんなに欲しいなら、たっぷりしてあげる、よっ!」
ごりゅりゅ、と既にクンニの連続絶頂でほぐれきっているスピネルの膣肉を思う様こね回すように、男の粘るようなピストン運動が始まる。
「あっ、ああああーーーーっ! ちんぽっ♥ ちんぽひゅごいっ♥ イクっ、いくううぅぅぅ♥」
覚えたての淫語を連発して、今までで最高の肉の快感をもたらす男のペニスに翻弄される。どこまでも快楽に素直になったスピネルの膣がどういう風に感じているか、男は能力を逆に利用して、細かくチェックしていた。
「こんな、弱点をおじさんに見せびらかすような真似をしちゃって……そんなに、おじさんにメロメロにされたいのかな?」
大雑把にGスポットの位置がわかるといっても、同じ人間でさえ日によって厳密な位置は変わる。
スピネルの膣の感じるポイントはGスポットと子宮口だったが、男はそれをスナイパーのように正確に突き上げた。
「イクっ、イクっ、イクっ、イクっ、いっくぅぅぅ♥」
一突きごとに弱点にクリティカルをくらって、スピネルは絶頂人形と化した。膣の奥深く、子宮の手前辺りのふんわりと膨らんだ空間に男はさらなる快楽のツボを発見する。そこをグリグリと押しつぶしてやると、
「ああーーーーーっ、んううーーーーーーっ!」
スピネルは口をぽっかりとあけて、よだれを垂らしながら絶頂し続ける。もう顔は耳まで真っ赤になっていて、男はスピネルにのしかかってその可愛らしく形のいい耳にしゃぶりついた。ベールを覗いてはいないが、ギリギリの行為だった。
「いっぐ、いぐぅぅーーーーーーーーーーーーー♥」
脳みそが焼ききれるのではないかというほどに快楽を叩き込まれ、それでも仕込まれた絶頂の時の『作法』を忘れないスピネルに、男はますますおとしたくなってきた。腰を固定するようにスピネルの尻に手を回し、ムッチリとした尻を撫で回しながら、肛門に指を這わせる。
その瞬間、限界を超えたスピネルが大きくのけぞって舌を天につきだした。そのそらされた無防備な乳首にしゃぶりつき、さらなる高みへ放り出す。もはや言葉もなく、意識を空白にして暴力的な絶頂に全身を痙攣させる。男はクリトリスを優しく愛撫してその状態を維持しながら、しゃぶっていた耳に唇をつけ、鼓膜を直接愛撫するようにそっと声をかけた。
「最高に気持ちいいだろう? おじさんのチンポが、お嬢ちゃんを一番気持ちよくできる、運命のチンポなんだよ……これから先、彼氏とどんな激しいセックスをしても、おじさんのチンポの方が気持ちいいからね……? いつでもおじさんの恋人になりに来ていいからね……」
悪魔のように、呪いのように、意識を真っ白に飛ばしたスピネルの魂にマーキングするかの如く、男がねっとりとささやき続ける。その言葉は確実に、これまでかろうじて無事だったスピネルの意思の部分の根本に働きかけていた。
だが、男自身も、自分が思うよりもずっと、初見の商売女に入れ込んでいることに気づいていない。最高の絶頂を繰り返すスピネルの膣のうねりは、それだけならいつもの男にとっては射精を我慢できる範疇だ。しかし、スピネルが激しく絶頂しているということは、
(せーえきっ、おじさまのせーえきほしいですっ)
スピネルの強烈なラブコールにさらされるということだ。
「う、おおおっ!?」
猛烈な射精感に気づいたときには、スピネルをがっしりと密着するように抱きかかえたまま、腰をぴったり付けて射精を開始していた。予定では、もっと絶頂攻めにしておいつめ、朝まで犯し抜いて肉奴隷になると自分から誓わせ、恐らくあるのだろう昼の私生活を根こそぎ奪い取って男の嫁にするつもりだったのだ。知らず知らずのうちに、スピネルに対してそんな子供じみた恋心が芽生えていたのが、男の敗因だった。
一度射精してしまえば、その極上の快楽には抗えない。ましてやスピネルは、脂ぎったこの男の薄汚い魂胆までも見た上で、すべてを受け入れ、精子を子宮で飲み干してくれる。今度は男がずるずると何発も射精を搾り取られることになった。
これではダメだ、いま堕とさなければ、この場限りの関係しか築けない……と思いつつも、本物の恋人のように甘いスピネルの愛情のこもったキスと、すがりついてくるような両脚と両腕の抱擁に決意が溶けていき、おとなしくゼリー状の濃い精液を、スピネルにすべて献上するように射精し続けた。
8発の抜かずの射精は、スピネルの売春の中でも最高の数だった。もちろん、セックスの快感の激しさも最高だ。
後戯として、萎えてもまだ太い男のペニスを挿入して精子に栓をしたまま、スピネルと男は濃厚なディープキスをしていた。首にぎゅっと抱きつきながら、トロンと目尻のさがった恋人に甘える目つきで、仲睦まじく男と舌を絡め合う。
一見、完全にスピネルの心が陥落したようなこの光景だが、ちゅぽん、と口を離されたことにより、その夢は醒めた。
「とっても気持ちよかったです……おじ様♥」
にこやかな笑みは、しかしベールで上半分が見えない。自分からこのベールを取る決断をさせて、本名、普段何をしているか、恋人との詳しい関係……それをスローなセックスをしながら告白させ、セックスの快楽で塗りつぶしてそれらすべてを捨てさせ、後悔に打ちひしがれている所を自分がもらって、一生を添い遂げる……たった数時間のセックスで、百戦錬磨の男にそんな夢想をさせるほど、今のスピネルは男を捕らえて離さない魅力を放っていた。
――悔しいな。
こんな、純粋な悔しさは、何十年ぶりだろうか? 少年のように、もう一度……この娘を手に入れるためなら、どんなチャンスにだって手を伸ばす。そんな気分にさせられていた。
それでいて、どこか遣り遂げたようなすがすがしい達成感もある。
――お嬢ちゃんの、一番気持ちいいセックス相手の座は、
おじさんがいつまでも座り続けるからね……!
子供っぽい、ムキになるような感情を自分のうちに感じて、脂ぎった中年は一瞬だけ、少年のように笑った。
「ああ、お嬢ちゃんのマンコも最高だったよ。……また、おじさんとしてくれるかい?」
ふふっ、と漏れ出るような笑いと共に、スピネルはあだっぽく唇に人差し指を当てた。
「ええ。 いつかまた、気が向いたらお相手します」
それはもう、『いつも通り』の対応に過ぎないのだった。引っ込み思案な少年のように、スピネルのかばんに自分の連絡先を押し込むこともできないで、ごっそりと大金を貢ぐのだった。
その後何日か、スピネルは膣を常に押し広げられるような、この男のペニスの幻の触覚を感じながら過ごすことになる。それがますます、スピネルの色気をかもし出させ、においたつようないい女にしていくのだった。