「んっ……ちゅうぅぅぅぅ……」
翌朝、さっそくスピネルはフォルスをキスで起こすことにした。
「んー……? スピネル……あれ、……今何時?」
スピネルのぷりぷりした極上の唇と、くすぐるようにちろりと唇の淵を舐める、熱い舌の官能的な感触で目を覚ます。
いつものように寝起きのだるい感じがない。完全に覚醒していた。
まさにバカップルだなと思いつつ、顔がにやけるのが止められない。
「えへへ……ちょーっと早いですけど、目が覚めたら早く兄さまにちゅーしたくて、我慢できなくて……」
スピネルも朝っぱらとは思えない満面の笑みだ。
「うわ、ホントだ……まだ夜明けすぐって感じだね」
身を起こして窓から漏れる光を見ると、夜明けのような弱い日差しだった。いつもより二時間は早い。……いつも寝すぎという感があるが。フォルスは体を横に回転させてベッドの淵に座り、すみません、とデレデレしながら言うスピネルを抱き寄せて自分の膝の上に座らせる。
「気持ちはわかるよ。僕も、目覚めてすぐにスピネルにキスしたくてしょうがないから」
そう言ってフォルスは、スピネルと手をつなぎ、唇を重ねる。
指と指、舌と舌を絡め合う、恋人同士の濃厚なキス。
目を閉じてスピネルの口内を隅々まで感じ取る。なんだかんだ言って、寝起きすぐにフォルスのところに来たわけではないらしい。歯のツルツルした舌触り、かすかに残るミントのフレーバーはうちで使っている歯磨き粉と同じだ。僕もちゃんと歯を磨いてからにしたほうが良かったかな、と思いながらも、スピネルの口を吸うのが止められない。
「んっ……ふうっん……♥」
時折スピネルがぴくん、ぴくん、と体全体を痙攣させる。その動きがたまらなく扇情的で、フォルスは今の時間を忘れてスピネルを押し倒したくなった。
ぎゅ、とその一部だけ肉感的なスレンダーな体を抱きしめると、フォルスの胸板に押し付けられてスピネルの胸が大きく歪む。パジャマ越しに、たまらなく熱く柔らかいその感触を味わっているだけで、フォルスは最高に勃起し、我慢汁が溢れてきた。
これ以上は我慢できない。そう思って、ゆっくりと唇を離す。すると、
「ふあぁ……♥」
とろとろに表情がくずれ、目の焦点が合わず、つやつやした唇から一筋のよだれを垂らすスピネルが、ぐったりとして時折痙攣していた。
「わわっ、スピネル!?」
さらに勃起が堅くなり、見ているだけで射精しそうなくらいにエロいスピネルの痴態に、フォルスがぴたぴたと優しく頬を触って目を覚まさせてやろうとする。
だが実際絶頂しているスピネルにその程度で効くはずもなく、5分ほどスピネルのイキ顔を眺めながら、フォルスは収まらない勃起に腰をもぞもぞさせた。
「おはようございます、兄さま……♥」
スピネルは、濃密なセックスをしたあとのように絶頂の余韻の残る体がフォルスの腕に抱かれながら目を覚ましたのを感じた。
「ご、ごめんねスピネル! 大丈夫!?」
何を慌てているんだろう、と思いながらも、ニコリと微笑む。
「大丈夫、です……兄さまのキス、すっごく気持ちよくて……たまらなくなってしまいました……」
キスだけでこれなら、セックスなんてしたらどうなってしまうんだろう。柔らかな生地のパジャマを押し上げる、フォルスの剛直に目をやる。
(おじ様のより、太さはないけど……長さはそれ以上かな)
全く自然な動作で、フォルスの股間のテントの頂点に手を置いた。
「うああっ!?」
にぎにぎと亀頭をもんでみる。
(かったぁい……♥ こんなに硬いチンポ、めったにないよ……カリも、ズボンとパンツの上からもわかる、凶悪な形してる……)
ビッチとして29人のペニスをくわえ込んだスピネルが、幾多の比較対象と比べて、その新しいペニスをハメたらどうなるかのシミュレートを行う。
(この反りと、硬さと、長さと……正常位でハメたら、わたしの弱いところに思い切り当たっちゃうよ……♥)
「す、スピネル……っ! それ以上は、もう……っ!」
はっとして正気を取り戻すと、フォルスが顔を真っ赤にしてブルブル震えている。にちゃり、という感触が手のひらにあった。どうやら、2枚の布越しに我慢汁が溢れてきたようだ。
「ご、ごめんなさい!」
「い、いや……いいんだ。さすがに、服を着たままじゃあちょっとね?」
ふわり、とスピネルの体はベッドに移され、フォルスが立ち上がる。
「しゃ、シャワー浴びてくる」
一瞬、セックスの準備かと思ったが、ここはラブホテルではない。先濡れと勃起を処理するために行ったのだろう。
スピネルは、フォルスのさった部屋で、すんすんと手のひらの匂いを嗅ぎ、べロリと舌で舐めた。ついに手に入ったフォルスの精の味に陶然としてから、自分もぐちょ濡れのパンツを処理しようと部屋に帰っていった。
朝食は、シャワーを浴びても赤い顔のままのフォルスが作ってくれた。いつもより2時間早い朝食だが、スピネルが文句を言うはずもなかった。無言で食べ終わり、ふたりで食器を片付ける。
ソワソワしていたが何もやることが思いつかなかったのか、フォルスはソファに座った。スピネルもその隣に座る。
「兄さま」
「う、うん……なに?」
びくん、とフォルスがスピネルの方を向く。
「わたし、今日から兄さまと一緒に寝たいです」
「…………!」
目を見開いて絶句するフォルス。
スピネルは体を寄せて、むにゅうぅと胸を当てる。
「兄さまのことが好きって気持ちが溢れ出して、もう一日だって我慢できません。ね……兄さまぁ……」
甘えたような声音、キラキラした目の上目遣いに、パジャマのままの胸元……クラクラするような色仕掛けに、フォルスは頷く以外の選択権を持ち得なかった。
気もそぞろにその日の業務をこなす。
普段と同じ退屈な1日が、1月よりも長く感じるほど、フォルスとスピネルは早く帰りたくてしょうがなかった。
定時になると、二人して並んで、競歩かと思うような早歩きで帰っていく。その様子を泣きそうな顔で見送るフローテと、若いねえ、と言って当てられたように赤くなった顔を手で扇ぐシーダが見送っていた。
「兄さま……今日はもう、寝ましょう?」
夕暮れとは言えまだ明るい自宅の中で、フォルスと絡めるように手をつないだスピネルが言った。
鼻息もあらく、無言でフォルスが頷いて、二人はフォルスの部屋の中に入る。
天使の輪と羽を光と化してしまい、スピネルは抱っこをせがむ子供のように……あるいは我が子を受け入れる母親のように、フォルスに向かって腕を広げた。
「スピネル……っ!」
がば、と勢い任せにフォルスが抱きしめてくる。そのままベッドに押し倒されて、待ちに待ったフォルスとのセックスが始まった。フォルスがもどかしげにスピネルの服を脱がし始める。まずは外套を脱がすと、スピネルの白い鎖骨が眩しい位に目に飛び込んでくる。スピネルの服の白い部分はチューブトップになっていて、横にはしる青い部分は、スカートを吊り下げるように二の腕までの長さの袖の部分が付いていた。
肩に手を置いて、スカートと一体になったそれをずらす。スピネルもうっとりと顔を赤くして微笑みながら、その動きを手伝ってくれて、余計に興奮した。
このまま上から脱がそうかと思ったが、先にスカートを全部ズリ下げてしまうことにする。スピネルのスカートは横に大きく広がるもので、形が崩れてしまったら大変だ。そんな所帯じみた理由でスカートをズリ下げたが、腰を浮かせたスピネルがスカートを取り去られ、その下を見たときにすべての思考が停止するほどに興奮した。
何段にもフリルがついた、可愛らしいパンツ。そこから香る、スピネルの濃厚な性臭に、震えが来るほど息が荒くなる。
しおらしく身をよじるスピネルは、赤くなった顔をそらしながらも腕で隠そうとはしない。胸の上、鎖骨の前あたりで指をもじもじといじりながら、催促するようにチラチラとこちらを見ている。
脱がしている途中だが、フォルスは花に誘われる蝶のように、閉じたままのスピネルの股間に顔をうずめた。
フリルと太ももの二つの感触を味わいながら、鼻を押し当ててすうぅ、と匂いを嗅ぐ。
「あっ、あああっ……♥」
潤んだ瞳で自分の股間の匂いを嗅ぐフォルスを見て、スピネルもまた絶頂しそうなほど興奮していた。
フォルスが好きにできるよう、そろそろと股を開く。お気に入りのフリルの下着が、股間の部分に大きなシミを作っているのを見て、フォルスがその部分に鼻を突っ込んだ。ガクガクと震えて、しかしイくのはこらえる。
フォルスが性器の匂いを嗅ぎながらスピネルの下に手を潜り込ませ、肉感的な尻を揉みしだく。パンツを脱がしたがっている意思を感じ取り、スピネルは脚を上にあげるようにして股を閉じた。するり、と二人の共同作業で余計な布は取り払われ、パサりとベッド脇の床に、スカートの上に落ちる。
ついに、スピネルの性器がフォルスの目に晒された。
ひっそりと閉じたそこは、淑やかさを感じさせるのに、クリトリスはピンと勃起し、割れ目からとろとろとよだれを垂らしているせいで、今のスピネルのように少女と女の両方の良さを備えた淫靡なものになっている。
むちゅうぅ……と、赤ん坊のように柔らかい性器周辺の肉をはんだり、キスの雨を降らせたり、膣口に舌を這わせて愛液をすすったりした。スピネルの体液はねっとりとして甘く、舌を伸ばしてかき混ぜるように舐めとる。
「きひぃっ、ひあっ、あああぁぁあっ!」
ガクガクとのけぞり、その度に奥から愛液が溢れてくる。スピネルを気持ちよくしていることに誇らしささえ感じながら、フォルスは名残惜しげに口を離した。今度は自分が脱ぐ番だ。
そっとスピネルが身を起こして、ジッパーどめの上着とその下のシャツのボタンを甲斐甲斐しく外してくれる。そうして上を脱いでいると、今度はカチャカチャとベルトを外し、ズボンを脱がしていた。
くすぐったくて、でもたまらなく嬉しいスピネルのその動きに、フォルスはニヤついてしまう。スピネルと目が合って優しく微笑まれると、心臓がはねた。
ガチガチに勃起したペニスがぶるんっとスピネルの前にさらされ、
「わあっ……♥」
とスピネルが目を輝かせて喜ぶ。自分もさっき似たようなことをやっただけに、やられる立場の恥ずかしさに文句を言えるはずもなく、スピネルがすんすんと鼻を鳴らして、亀頭にキスしそうなほどうっとりとペニスを眺める羞恥に耐えた。
そのまま優しくズボンを脱がしさり、フォルスは簡単に裸になった。一方スピネルは、チューブトップと首元の飾り、長手袋と太ももまでのサイハイソックス。向かい合ってベッドに尻をついて座っている今の体勢だと、スピネルの股間に美しく控えめな紫の茂みが見えている。
股間を晒して手足は完全に隠すその格好を改めて眺めると、倒錯的な、清楚さと卑猥さを併せ持っていた。スピネルの大きくなった胸を強調するような、柔らかく張り付くチューブトップも、フォルスの興奮を煽る。
脱がそうか脱がすまいか一瞬の躊躇のあと、一回目は脱がさずにしようと決めた。チューブトップ越しに、スピネルの胸を優しく掴む。
「あんっ♥」
鼻にかかった、甘ったるい声。スピネルの聞いた事の無い声を脳裏に刻みながら、こねるように両の乳房をもみこみ、そのまま押し倒す。がちがちに勃起したペニスと、股を開いたスピネルの股間が、もう数センチと言う近さにあった。
――あれっ、もう、挿入していいのかな……?
あまりにもすんなりと行き過ぎて、フォルスは手順を飛ばしていないかすこし不安になったが、スピネルと繋がりたいという思いの強さに、そして何よりスピネルの股間が滴る愛液でいやらしく光っている光景の淫靡さに、手を添えてペニスを膣口に押し当てた。
「いくよ、スピネル」
「はい、きてください、兄さま!」
ずぷん、と飲み込まれるように膣にめり込んでいくフォルスのペニス。亀頭が入っただけでも、その温かさと窮屈さ、そして窮屈だからこそ分かる、スピネルの膣肉の柔らかさに意識を持っていかれそうになる。
歯を食いしばって射精をこらえながら腰を突き出すと、コリコリとした輪っかのようなものに行く手を阻まれた。
――これが、処女膜……?
膜と言うよりは、肉の一部のような、柔軟でムチムチと気持ちいい感触だが、ものの知識ではこれを破られると女性は痛がり、血が出たりするらしい。
「いれるよっ……スピネル!」
「一番奥まで……してください、兄さま♥」
うっとりと微笑むその表情には、これから苦痛を受けることに対する躊躇など一切感じられない。僕がビビッてちゃ話にならないなと気合を入れなおし、せめて一瞬ですむよう、力いっぱい腰を突き出した。
ぐぐっ、とリングを押し広げるように、スピネルの膣の中を割り開いて進んでいく感触は、気がおかしくなるほどの快感だった。
全方位からスピネルに唇を押し付けられて熱烈なキスをされているような、柔肉の激しい圧迫。震える腰をさらに押し込むと、途中からひだの感触が細かくなり、今度は舌を這わせるような蠢きでフォルスを刺激する。根元と、半ばより奥、タイプの違う二段の快感に決壊寸前のフォルスが一番奥、子宮口にキスをした瞬間、膣全体が搾り取るように蠢く。鈴口と子宮口の接触で走った電撃的な気持ちよさにトリガーを引かれ、もはや耐えることはできなかった。
「うああぁっ!?」
がば、とスピネルに抱きつき、みっちりと奥まで密着させた状態で限界を越えて耐えた射精がとろとろと開始する。
「あっ、あっ、兄さまの、脈打って……い、イク、イクぅ♥♥♥」
どぷ、どぷ、とフォルスの濃い精液が注がれる感覚に、スピネルもまた絶頂した。最愛の男の精液をはじめて子宮に受けたスピネルは、全身が蕩け、押し寄せる大きなうねりのような快楽を頭を真っ白にして受け入れた。
(おじ様のより細くても……兄さまの射精、最高に気持ちいい……!)
そして、フォルスは記念すべきスピネルに膣内射精した30人目の男になったのだった。
誰よりも固い絆で結ばれた二人が、さらに心を一つにする。
「いっくぅ……♥ いくの、とまらないぃ……♥」
まだまだ止まらない射精で新しい精液が注がれるたびに、スピネルは押し上げられる。そしてスピネルが絶頂するたびに膣がフォルスの精を搾り取るようにうねり、ガクガクと震える腰で、射精を止めさせてもらえないフォルスはスピネルのチューブトップを着たままの胸に顔をうずめて頭がおかしくなるような連続射精の快楽に耐えていた。
射精は数分間も続き、ようやくフォルスに顔を上げる余裕ができる。だが、思考にモヤがかかったように、何も考えられない。
ぎゅ、とスピネルに抱きしめられる長手袋越しの暖かい感触で、ようやく気を取り戻した。
「あっ……その……」
ごめん、といおうとして、スピネルに膣を締められる快感で出鼻をくじかれる。
「すっ……ごく、よかったです……♥
兄さまとのセックス、最高すぎて頭がおかしくなりそう……♥」
目にハートさえ浮かんでいるような、肉欲に潤んだ瞳を向けられて、フォルスはあれだけ搾り取られた後だというのに、懲りずにまた勃起を取り戻す。
スピネルの興奮に偽りなどないと、何よりもはっきりと感じることができた。
「はあ……はあ……今度は、すぐにへばらないようにがんばるから」
「はい……兄さまの……で、わたしを好きにしてください♥」
スピネルに、と言うよりは自分のプライドにかけてそう言って、フォルスは腰を引く。全力で引き止めるように吸い付くスピネルの膣肉が、一緒に引っ張られ、力に負けてぷりゅぷりゅと名残惜しげに離れていく感触が、なだれのように襲い掛かってきて、フォルスの尿道に残っていた精液が搾り取られるように噴出する。
「ああっ♥ 兄さまっ、兄さまっ!! もっと、もっと強く、めちゃくちゃに、かき回してくださいっ♥」
もはや『設定』をかなぐり捨てて、スピネルが脚をフォルスの腰に絡めて、ぎゅっと足首でホールドする。腕も首に回し、体全体でフォルスを求めていた。
「ああっ! つよく、するぞ……スピネル!」
ばっちゅ! ばっちゅ! と、粘質な白い本気汁とフォルスの精液でさらにぬかるんだスピネルの膣を、半ばやけくそ気味なフォルスのピストンが乱暴に往復する。
「あーっ♥ いっ、イクぅ♥ 兄さまっ、兄さまぁっ♥」
心を一つにし、魂までも絡めあう性交の快感に、スピネルの体が怪しくくねり、何度も絶頂を繰り返す。
歯を食いしばってピストンを続けるフォルスのペニスから、またしても漏れ出るように射精が始まっていた。ぎゅう、とホールドした脚に力をこめて、一番奥に全部出して欲しいとスピネルがおねだりするのに逆らわず、フォルスはスピネルの
唇にすがりつくようにキスをする。
幾多の男を虜にして、いまや極上の仕上がりを見せる最高の名器と化したスピネルの膣がせがむままに、精液を搾り取られた。
腰のだるさが尋常ではなく、もはやピクリとも体を動かせず、スピネルの肉布団に突っ伏すように全体重を預ける。頭のどこかで起き上がらないとスピネルが辛いだろ、と思うが、全てを包み込むようなスピネルの絡みつく両手脚と、口内を優しく
撫で回す熱く、長い舌の気持ちよさにどうしても気力がわかない。
押し倒されているのはスピネルなのに、傍から見ればスピネルの方がフォルスを捕食しているような、淫らな笑みを浮かべて唇をむさぼり、腰を揺らめかせてフォルスに勃起を維持させていた。
そんな調子で、フォルスが空っぽになるまで4発も搾り取るのだった。
ようやくスピネルが満足した時には、もう外は真っ暗だった。フォルスはばったりとベッドに大の字に倒れて、スピネルが全裸で添い寝している。
「兄さまぁ……♥」
甘ったるい声、キラキラした瞳は、彼女の満足を物語っていて……立ち上がれないほど腰を使った甲斐があったかな、とフォルスは思った。
「それにしても、すごすぎだよ、スピネル……」
「兄さまのことが好きって気持ちがいっぱい溢れてきちゃって……そうしたら、とっても気持ちよくなって。もう、さいっ……こう、でした♥」
フォルスは本当に疲れたが、スピネルはむしろ元気はつらつだ。そこらへんはちょっと不公平かな、と思う。
「僕も。すごくよかったよ……まあ、毎日やったら身が持たないかも知れないけど」
でも、スピネルのこんな顔が見られるなら、毎日でもやる価値はあるな、と思いながら、綺麗な紫の髪をなでた。そういえば髪を解かなかったな、と花の髪飾りを指で弄る。
「あはは……お疲れ様です」
それきり、フォルスとスピネルは裸で抱き合ったまま、言葉をかわさなかった。いつまでもこの甘い余韻に浸っていたい、という気持ちを共有して、お互いの温かさだけを感じながら、眠りに付いた。
翌朝、フォルスが目覚めるとベッドの感触が昨日と違った。
「んお……?」
キスでなく肌寒さで目覚める事に寂しさを感じて、すっかりバカップルだなあと思いながら、スピネルの姿を探しに部屋を出る。スピネルは、庭先でこそこそとシーツを干していた。
「おはよう、スピネル……どうしたの?」
「ひゃわぁ!? に、兄さま、おはようございます。これは、その……いろんなシミが付いてたから、洗わなきゃって……」
顔を赤くして俯くスピネルに、フォルスも昨夜の激しいセックスを思い出して赤くなった。
「はは……それじゃ、これから毎日洗わなきゃだね?」
「……! はい! 今日は代えのシーツを沢山買いにいきましょう♥」
ぱあっと顔をほころばせるスピネルに、苦笑しながらも……フォルスもこれからの夜の性活を思い、笑みをこらえきれない。
そしてスピネルは、破瓜の血のあとが残らないシーツを綺麗に掃除し終えたのだった。
そして、1ヶ月後。
「こんな時間に起きると、さすがに眠いな」
あくびをかみ殺して、フォルスは一人つぶやいた。今日はセイヴァールからいよいよ出発する日だ。スピネルも自室で荷造りをしている。
「二度寝したいところだけど、そういうわけにもいかないかな」
ごそごそと気配のするスピネルの部屋を通り過ぎ、フォルスは外に向った。
(割とギリギリまで荷造りするよなあ、スピネルも)
二度寝しようと思っていた自分の言えることじゃないが。
「ちょっと、目を覚ましに行ってくるか……」
いつもの屋根上に上ると、真上の紺瑠璃の夜空色を、朝日が切り裂いてセイヴァールを輝かせていた。
「おおー……こりゃ、いい眺めだ」
そうやって眺めていると、
「あふ……何をしてるんですか、兄さま」
あくびしながら、スピネルが顔を出した。
「もうすぐ、出発の時間ですよ? ぐずぐずしていると、列車に乗り遅れます」
そうやってスピネルにたしなめられながら、会話を楽しんだ。
「寂しくは、ないんですか?」
スピネルは、ポツリとそう漏らした。
「この……素敵な景色の、思い出もたくさんある街を離れて、どこか遠くの、知らない場所に行かなきゃいけないなんて……」
この街には、本当に多くの思い出ができた。
エルストのようになる、と希望と不安を抱きながらの二人暮らし、学園に通って、必死に勉強して、ついに夢の第一歩を踏み出して……自分の出自を知って、フォルスとついに恋人になって、そして、ビッチとして多くの男に股を開いて、子作りまで許して。
そんな街を去るスピネルの不安は、フォルスの笑顔を見て吹き消された。
「スピネルがそばにいてくれる。これからも、ずっと一緒にいてくれる。それだけで、僕はどこにでも行けるよ」
「兄さまは、ずるいです……いつも通りに微笑んでくれるだけで、不安なんて、全部吹き飛んでしまって。わたしは好きって言葉にするたびに、こんなにドキドキしてるのに」
「スピネルこそ、僕をいつもドキドキさせてるけどね?」
にやっ、とフォルスが不敵に笑った。
「いつもと同じ顔でそんな事いわれても、全然説得力ありません」
「ほんとなんだけどな……」
むう、とうなって、スピネルはいたずらを思いついた。
「じゃあ、ちょっとだけかがんでもらえますか?」
「え? まあ、いいけど……」
フォルスが素直にかがんで、スピネルの前にフォルスの顔がきたところで、
「えいっ」
するり、と慣れたしぐさでフォルスの唇を奪い、ぱっと身を引く。
「えへへ、キス、しちゃいました。どうですか、びっくりしましたか?」
「あ……うん……」
昨日もした濃密なセックスが思い出されて、フォルスが呆然とうなずく。抱くたびに美しくなるようなスピネルに、何度でも見蕩れてしまう。
「ふふっ、今の兄さまを見たら、ちょっとだけすっきりしました」
フォルスの心をがっちりと掴んでいるという実感、そして、
自分の子宮が今フォルスだけのものだという実感を得て、スピネルが微笑んだ。
「改めて……お礼を言わせてください」
「お礼?」
首を傾げるフォルスに、スピネルが向き直る。
「初めて会った時、あの光の中から『わたし』というカタチを見出してくれた……おかげでわたしは、天使の女の子として素敵な男の人に恋ができました」
フォルスはじめ、売春婦として抱かれた沢山の男達。
一夜限りの、セックスの最中だけのことだったとしても、彼らとの恋がスピネルを美しく成長させ、ついに最愛のフォルスと固く結ばれた。
「この幸せは、すべて最初に兄さまが『わたし』を女の子にしてくれたおかげです」
わたしの処女を奪って、『女』にした人は、顔も思い出せないけど……それは、今にして思えば幸いなことだ。
「わたしと響きあってくれて、今この時をくれて……本当にありがとう。大好きです、兄さま!」
紺瑠璃の空が、昇る太陽に照らされて蒼く明るくなっていく中で、スピネルは輝くように微笑んだ。