お花大好きアクトレス少女がチャラ男に摘まれていたお話 作:のぶた
※片想いNTR、失恋
※人物、世界観を把握しきれておらず呼称や設定の誤りはご容赦頂きたい……
ここは東京シャードのとある一角、成子坂製作所。
そこでは人類を滅ぼさんとする宇宙からの侵略者『ヴァイス』と戦う少女たち、
『アクトレス』と呼ばれる少女達の姿がある。
そんな成子坂製作所の整備班、それが僕、武田秀一(21歳)の仕事場だ。
(おし、あとはこれを繋げれば……)
目の前に複雑に絡み合う配線を、適切な箇所へと繋いでいく。
入ってすぐの頃はサッパリ判らなかった複雑な機構も、
仕事を始めて半年ほど経過した今では、おおよよ理解できるようになっていた。
(よし最終チェック。問題は……)
アクトレスの少女たちがヴァイスとの戦闘時に身に纏う兵装『ギア』と呼ばれる装備の整備が僕の仕事だ。ギアを纏ってのヴァイスとの闘いに命の危険はないとはされるものの、戦うための装備であるもしも何かがあれば一大事だ。念入りな整備は欠かせない。
「……おし、大丈夫だ。磐田さん、ギアの整備終わりました! 見て貰えますか!」
上司へと作業が終わった事を報告する。
「おう、ご苦労さん。ちょっと待ちな」
成子坂製作所にて整備の指揮を執る整備班班長、磐田宗一郎。
作業帽の横からは白髪が見え、初老のため頬も少しやせて来てはいるものの、
メガネの奥に光る睨みつけるような目つきは、それだけで相手を射殺せそうな覇気さえ感じる。
……そんなまさに熟練の職人と言った風貌の彼に作業をチェックしてもらうのは、
どれだけ時間がたっても慣れそうにない。ただでさえ鋭い目が、まるで獲物を狙う鷹のように
更に細く鋭くなるたび、心臓がキュっと縮みあがりそうになる。
そして僕が鷹を前にした獲物のように、縮み上がっていると……。
「……問題ねぇな。だいぶ手際よくなってきたじゃねぇか」
班長からの判決が下る。
「……あ、ありがとうございまスッ!」
声を裏返らせながら、勢いよく返事を返す。
決して怖い人という訳ではないのだが、熟練の狩人のような目つきに睨まれれば、
誰だってこうなってしまうのもしょうがないものだろう。
仕事がひと段落ついた事に加え緊張が過ぎ去った事で、安堵の溜息をつく。そんな僕を見てか
「おいおいこの程度でヘバってんじゃねぇぞ……けどまぁ、悪くない仕事だ。ご苦労さん、少し早いが休憩とってこい」
「は、はい!」
疲れた素振りの僕を見ての事なんだろう。労いの言葉をかけてくれる。
顔は怖いが本当に良い人なんだよなぁ……等と失礼な事を考えていると。
「……ん、そういや萩原の姿が見えねぇな」
「あぁ、アイツなら作業終わったって一足先に休憩いっちゃいましたよ」
萩原誠二。僕と同じ日に入社した同期の整備士の顔が浮かぶ。
髪は明るい金髪に染め上げ、常にワックスをつけツンツンと尖らせている。
耳には複数のピアス、よく判らない香水の香りふりまいた典型的なチャラ男と言った奴だ。
そんな男だが話が上手、愛嬌がある事で、あまり嫌われてもいない。
ついでにあまり認めたくはないが、腕はかなりのもので、仕事もそつなくこなしている。
「ったくアイツは……戻ってきたらまた説教だな」
そういう磐田さんの顔には少し笑みが浮かんでいる。
きっとどう締め上げるか楽しみにしているのだろう。
どちらかと言えば内気な性格の僕が、こんなにも早く職場に馴染み、このコワモテな上司とここまで話せるようになったのも、同期のアイツが場を和ませてくれたからだとは思う。
……本当にアイツ、見た目はチャラ男なのに誰とでも仲良くなるんだよなぁ。
「あぁそうだ武田、昼が終わってからでいい。第三倉庫の方から部品とってきてくれ」
「了解っす! それじゃ、お昼行ってきます!」
そうして僕は整備室を後にした。
続きます