ぼくがビッチになったワケ 作:ピジョン@アスクラピアの子一巻発売中!
遠く、窓の外に、雨が降る音が聞こえる。
大きな浴槽を手早く洗い、それ以外の場所は軽く水で流すだけに留め、その後はお湯を貯める。智の話では、この特大の浴槽にお湯が貯まるまで一時間以上掛かるらしい。
それからのぼくたちはグダグダだった。
給湯室にあるベンチに向かい合って腰掛け、作ったものをそのまま手掴みで食べる。
智はお風呂を見た瞬間から料理なんて作る気がなくなったみたいだったし、ぼくはそんな事に拘るタイプじゃない。食べられれば何でもいい。手掴みで伊勢海老の刺身を醤油に着けて食べ、智にも同じようにして食べさせてあげた。
色の薄い智の瞳は、ずっと潤みっぱなし。顔を紅潮させ、ぼくの指先を舐める。時折、悩ましい溜め息を吐き出しては、もじもじと膝を擦り合わせた。
正しくないぼくたちは、食事自体が前戯。
粘るような時間が流れる。お互いに、食事を手掴みで食べさせ合い、ぼくたちは正しくない時間を過ごす。
「あは、すご……」
ぼくに指を舐められる智は、ゾッとするほど淫らな微笑みを浮かべ、溜め息混じりに呟いた。
「現実って、夢よりすごいんやな……」
ぐい、と腰を引き寄せられ、ぼくはこの日、何度目になるか分からないキスを交わしながら、向かい合って座る智のジーンズのベルトを引き抜いた。
「んふ……ん、ん、ん……」
舌を絡め、唾液を飲み込み、智はぼくの唇に夢中で吸い付いてくる。ファスナーを下ろし、パンティの上から秘部に触れると、そこはもう、ぐずぐずに濡れそぼっていた。
息継ぎの為、唇を離すと銀の雫が垂れ落ちる。
「…………」
智の視線は蕩けていて、黙ってぼくのすることを見つめている。
「食べるもの、なくなっちゃったね」
「……うん、そうやねぇ……」
目尻が下がり、完全に蕩けた智の視線は片時もぼくから離れない。
「下、脱いで」
「……うん。暑いし、全部脱ぐ」
ぼくらの食事は終わらない。
三階。T字路の突き当たりにある給湯室。もし、部外者が居たら大事になる。それでも智は、ぼくの勧めに従ってジーンズを脱ぎ捨てた。
たっぷりと愛液を吸って重くなったパンティも脱ぎ去ると、辺りに智の匂いが立ち込める。
「……ごめん、私、ブレーキ壊れそう……」
まぁ、智がまともな状態だったら、こんな場所で裸にならないだろう。
智をベンチに座らせ、両足の間にしゃがみこんで『そこ』の様子を見ると、ぴったり閉じているはずの割れ目から、肥大した左右の襞がはみ出ている。
襞に張り付く愛液を指に絡ませ、その上部分にある肉の芽に触れると、智は身体を大きく震わせた。
「んふっ!」
少し大きめのクリトリスを包皮から剥き出し、口に含むと同時に膣に中指を挿し込む。
「くぅぅぅ……! あぁ、もう……!」
舌先で陰核を転がしながら、膣内部を探ると、口内に癖のある熱くて甘酸っぱい、噎せ返りそうな女の子の匂いが広がる。経験上、煙草を吸わない娘は匂いが穏やか。いつもなら生々しく感じるそれも、智のものはそう気にならない。
ぼくの頭を抱えて身体をくの字に折った智は、小さく呻きながら浅く激しい呼吸を繰り返している。
「はッ、はッ、はッ……あぅぅ……」
口の中で、固くなったクリトリスが収縮を繰り返し、膣内は強く中指を締め付けてくる。
膣に挿れた指を二本にしようとして、止めた。
智には、まだ処女の固さが残っている。緩やかなストロークで刺激するだけに留め、舌先での愛撫を入念に行う。
「あぅ……みかげ、わたし、一回イってええかなぁ……」
丁度クリトリスの裏側に当たる膣内の上側の壁を軽く擦り上げながら、ぼくが小さく頷くと、智の身体が強く強張った。
「くぅぅぅ……イく……あああああ!」
クリトリスの収縮が激しくなり、膣肉がぼくの中指を食い縛った。同時に腰が大波を打ち、膣口から熱い潮を噴き出して、智が絶頂した。
「……っと」
その場に倒れ込みそうになった智を抱き留め、ぼくは労うようにその背中を撫でる。
「お疲れさま」
膣に挿し込んだままの指先を締め付けたままの智の口元に、涎の筋が伝った。
◇◇
後片付けもそこそこに、大浴場に向かう。
全裸の智は股間から大量の愛液を滴らせ、フラフラと覚束ない足取りでぼくに付いてくる。
とてもシュールで衝撃的な光景に、ぼくは少し愉快な気分になって手拍子を打った。
「鬼さん、こちら♪」
快楽に翻弄される女の子を見ると、つい虐めてみたくなる。悪い癖。
「手の鳴る方へ♪」
「ちょっ、待って……服返して……」
足取りの怪しい智は、あちこちの壁に分泌液を擦り付けながらぼくの後を追ってくる。
ブレーキが壊れそうだと言った智の体力を、ここで削っておかなきゃ、後でヤられるのはぼくだ。
「お風呂まですぐだよ。頑張って」
ぼくの後を追う智は羞恥に頬を染め、半泣きの表情だった。
智の衣服を肩に掛け、大浴場に向けて歩く。
Hな本で見た羞恥プレイ。本では首輪を着けて四つん這いにさせていたけど、流石にこの前まで処女だった智にそこまでできない。
「――あうっ」
通路の端に置いてあった書類の束に足を引っ掛け、転んだ智が短い悲鳴を上げた。
四つん這いの姿勢になり、散らばった書類の束をかき集める智はお尻の穴まで丸見えになっている。
「……何をやっているの、智は」
ぼくがそう言うと、智は大きく鼻を啜った。書類をかき集める手が急速に遅くなり……
「……ぅぁ」
街の中心部にある八階建ての雑居ビル。土曜日の今日は人影なし。薄暗いオレンジの明かりが照らす細い通路で蹲り、全裸の智は本格的に泣き出した。
「……なんなん、もう……私のこと嫌いなん……?」
――やっちゃった。
手加減したつもりだけど、智には強すぎるプレイだったみたい。ぼくは慌てて引き返し、踞る智の背中を擦ったり、頭を撫でたりして機嫌を取る。
「ご、ごめん、智。あんまり可愛いから、その――」
つい、虐めてみたくなった。
顔を覆うようにして蹲り、肩を震わせている智は全身が燃えるように赤く染まっていた。
ちょっぴり、嫌な予感がして――
不意に、ゆっくりと伸びた手が、ぼくの足首を掴んだ。
「あは」
智が笑った。
「つ か ま え た ♡」
やられた! そう思う間もなく、ぼくは絨毯敷きの通路に押し倒された。
◇◇
智は、強くて優しくて、何よりも正しくない。
その智は、ぼくの上に馬乗りになり、唇の回りをペロリと舐めた。
「ここでするけど、ええやろ?」
嘘泣き。智の方が役者が上だったみたいだ。
「お風呂、そろそろ溢れちゃうよ……?」
智は答えず、ぼくのズボンを引き下ろし、半勃ちのペニスにしゃぶりついた。
シュウにだって負けないくらいの、とびっきりの肉食系。ぼくは少し、智を甘く見ていたようだ。
「あむっ……ん……ん……」
息遣いの荒さとは裏腹の、優しい舌先でカリ首を舐め上げられ、喉の奥まで飲み込まれるのと同時に強く吸い上げられる。
「……っ」
痛みを感じない程度の絶妙な力加減に亀頭が充血して、ぼくはたちまち臨戦態勢になった。
「んんん……はぁ」
陰茎に、潤滑替わりの唾液をまぶし、顔を上げた智は満面の笑みを浮かべている。
「もう、覚えたで?」
「……」
智は闇雲に経験値を取得してレベルアップを繰り返している。
「大丈夫? 痛くないか?」
「痛いって言ったら、離してくれるの?」
「嫌や」
ぼくは短く息を吐く。言った。
「変態」
智は薄く笑った。
「今頃、気付いたん? 私、めっちゃ変態やで。高校生になってからだけでも、御影で何回一人Hしたと思とん」
「さあ……」
「1727回や」
「…………」
その回数にぼくは鼻白み、思わず目を見開いた。
「冗談やん、そんな驚きなや」
興奮から目元を赤くして、笑みを絶やさない智の顔に、はっきり書いてある。
――嘘じゃない。
遠く、窓の外に、雨が降る音が聞こえていた。