ぼくがビッチになったワケ 作:ピジョン@アスクラピアの子一巻発売中!
民家の奥まった四畳半の一室。窓際に古い木製のベッドがあって、そこにぼくは腰掛け、降り頻る雨の空を見つめていた。
「派手にやられましたね……」
ぼくの額の傷に軟膏を塗り付けながら微笑むカナメは、とても落ち着いていた。
Hの魔法は不思議。
お風呂に入る前と後で、カナメの印象はまるで違う。何というか、カナメはとても女の子らしくなった。
「何処まで覚えてますか」
「ん……」
黒岩英雄に殴られて、それから暫くは記憶が曖昧な部分があるけど、今は全部説明できる。
「カナメ。戻してくれて、ありがとう」
「……いいっすよ」
カナメは、ふにゃりと笑って、ぼくの身体のあちこちに湿布を貼り、額の傷にはガーゼを当てて包帯を巻いてくれた。その間、ぼくは身の上に起こった事を口に出して説明した。
「……黒岩英雄がやって来て……ぼくは父さんの息子じゃないって言った」
「え?」
「ぼくは逆上して黒岩英雄に殴りかかった。何度も何度もぶん殴られて、その内、何も分からなくなった」
カナメに説明したかった訳じゃない。口に出したのは、ぼく自身の記憶を整理する為だ。
「……記憶が曖昧な間は、強く昔の事を意識していた……」
「確かに……酷かったよ……」
今にも泣きそうな顔をしたカナメと目が合って、ぼくは微笑んだ。
「殴られたのはぼくだ。そんな顔しないで」
「……!」
それから、カナメは険しい表情になって拳を握り締めた。
「……」
沈黙。秘めた決意を語るそれが一番恐ろしい。
「一応言っとくけど、何もしないでいい。どうせ……」
智は間抜けじゃないし、遠からず、ぼくに起こった出来事を把握するだろう。その時、黒岩英雄が死なない事を祈るばかりだ。
そこで、ぼくは考えるのを止めた。
どうでもいい事だったからだ。
◇◇
カナメが用意した綿のシャツを着て、スナック菓子やカップ麺の簡素な食事を摂った。
「歯ブラシある?」
「ワタシのしかないよ」
「それでいい」
ぼくが歯を磨いている間、カナメは背後でニヤニヤと気味が悪い笑顔を浮かべていた。
同じ歯ブラシで歯磨きした後、妙に上機嫌になったカナメと一緒に部屋に戻る。
ここは緊急時の避難先。
台所はあるけど、冷蔵庫やエアコンなんかはない。でも山の中腹辺りにあるせいか涼しい。特に居心地が悪いという事はなかった。
「さて、次は薬だね」
続いて、痛み止めや解熱剤、抗生物質等の薬を飲むように言ってきたので大人しく従った。
「……今日、全校集会だって?」
「え、ガチっすか?」
「うん、皆川絡みだ。これからバンバン警察に捕まるよ。カナメは大丈夫?」
「……ガチですか。知り合いにヤバそうなのいるんで、連絡しときます」
その後は寝る気にもなれず、ベッドの上でカナメに膝枕をしてあげた。
「……カナメ、舐めて」
ここには娯楽のようなものが何もない。何となく言った事だけど、カナメは黙って頷き、ぼくの言う通りフェラチオしてくれた。
◇◇
雨の音を聞きながら、カナメにぺニスをしゃぶらせている。
頭の中は真っ白。
何もかもどうでもよかった。
「んふ、ん……」
カナメは全裸。僅かに開けた窓から雨の匂いがして、カナメの女の子の匂いに混ざって溶けて行く。
ふわふわの細い髪を撫でると安心するのか、カナメは細い目を一層細め、鼻を鳴らしてぼくのぺニスを舐める事に夢中になっていた。
三十分ほどして、ぼくは射精した。
精液は全部カナメに飲ませた。
「……これ、喉に引っ掛かるね……」
まぁ、美味しそうには見えない。でもカナメはとても嬉しそうにしていた。
その後、カナメのあそこを見せてもらう。
ベッドの上で大股を開き、羞恥に全身が桜色に染まるカナメにはぺニスと見紛う程の大きなクリトリスがある。その真下にあたる部分にきちんと女の子が付いていた。
「…………」
カナメは何も言わない。
興味深い身体。カチコチに勃起したクリトリスは赤く尖った肉の芽のように見える。膣の造りはミサトより未成熟な感じ。小さな襞を割り開き奥を調べると、やはり未成熟な膣口に処女膜が張っている。
(これは、面倒臭そうだ……)
少し考えていると、幾分気落ちしたように目尻を下げたカナメと目が合った。
「あはは、やっぱりガチキモいよね……」
「……」
卑屈な娘は嫌いだ。ぼくは黙ってクリトリスを口に含み、強く吸い上げた。瞬間――
「――うわあああああっ!!」
ぎゅっと足を閉じ、ぼくの頭を抱え込むような姿勢で、カナメは悲鳴を上げた。
色気も何もない喘ぎ声。でも膣口は、ビュッと音を立てて潮を吐き出す。敏感で面白い身体。固く勃起したクリトリスが口の中で何度も収縮して、その度に膣が熱い潮を吐き出す。
「……へえ、こうなってるんだ……」
精液とは違う白く濁った粘液を指で絡み取り、口に含んで味を確かめる。
「……」
カナメは何度も腰を震わせてクリトリスを収縮させながら、熱っぽく潤んだ瞳でぼくを見つめていた。
口いっぱいに広がった女の子の匂いに、ぼくは吐きそうになった。どの娘も同じ。ここはいい匂いがする場所じゃない。
でもカナメの身体はとても興味深い。
未成熟な感じがする膣には少し禁忌があったので、その下にあるセピア色のすぼまりに指を這わせると、カナメは泣き出しそうな悲鳴を上げた。
「――そ、そこは! ひいッ!」
彼女に遠慮はしない。ぼくは躊躇う事なく、中指をアナルに押し込んだ。少しきついけど、膣から溢れた愛液が潤滑になって根元まできっちり埋まった。
「――んぐっ、か……くく……」
衝撃に声もない。カナメは金魚みたいに口をぱくぱくさせて、言葉にならない悲鳴を上げた。
そのまま指をグラインドさせ、クリトリスを舐め上げる。
「……はっ、ひい! んぐっ!」
色気の欠片もない喘ぎが上がり、その都度膣から面白いぐらい粘液が噴き出す。
「んぐぐぐ…………!」
最後に一際白く濁った粘りの強い液体を吐き出してカナメが泡を吹いたので、ぼくは慌てて行為を停止した。
「カナメ?」
「……」
ひゅうひゅうと掠れた呼気を漏らし、在らぬ方向を見つめたまま、カナメは完璧に失神していた。
(これからだったのに……)
快楽に無知なこの身体に、ぼくがありったけの悦楽を叩き込めばどうなるか、それが見たかった。
アナルから指を引き抜くと、カナメはもう一度クリトリスを震わせ、膣から粘液を吐き出した。汚れた指は、だらしなく涎を垂れ流したカナメの口に突っ込む。
「ほら、カナメ。汚れたから舐めて綺麗にして」
それから暫く、ぼくはカナメの身体に快楽を与えて遊んだ。
アナルとクリトリスから得られる快感にカナメは何度も失神し、気絶しては覚醒し、やはり悦楽に打ちのめされ気絶する。
「ご、ごめんなひゃい……わ、ワタシぎゃ、わりゅかったれひゅ……」
すっかり陽が沈み、辺りが暗くなった頃、呂律の回らない口調でカナメが謝罪しだした時になって、ぼくは漸くこの遊びを止めた。
処女は面倒なので、挿入はしなかった。
◇◇
ずっと抑圧されていた感覚が開放されたカナメは、酷く緩んだ表情で寝息を立てて眠っていた。よほど疲れが溜まっていたのか、身動ぎ一つしない。黒岩英雄にやられた傷が痛み、休む気になれないぼくは、カナメが完全に立ち直るまでの間、ずっとその細身の背中を擦り続けた。
夜半過ぎた頃になって、漸く覚醒したカナメはヨレヨレだった。
「……御影くん、酷いよ……」
内股で膝を震わせて立ち上がる様は、生まれたばかりの小鹿を思わせて微笑ましい。
「よく寝てたよ」
「えぇ、そんな感じがします。落ち着いちまったんでしょうね……」
そんな事を言うカナメは薄い胸に手を当てて、気の抜けたような溜め息を吐き出した。
「……こんな風になるんだね。なるほど……ハマる訳だ……」
満更でもないように言って、カナメは覚束ない足取りで部屋を出ていった。
ここには何もない。また簡素な食事して、またカナメで遊ぶんだろう。止まない雨の音を聞きながら、漠然とそんな事を考える。
暫くして戻って来たカナメは、チャーハンの大皿を二つ載せたお盆を持っていた。
「……レトルトだけど、食べて」
「お米、あったんだね」
全てレトルトだけど三日程は食料の備蓄があるらしく、携帯のガスコンロもあるので簡単な調理ならできるとのこと。
カナメは何処か幸せそうな顔。畳の上に胡座をかいて、ぼんやりとぼくを見ながら食事を摂り始めた。
「最後までしなかったんだ……」
「それは、食べてからにしよう」
「……なら、いいよ」
その場しのぎの受け答えだったけど、ぼくの答に満足したカナメは、緩い笑みを浮かべて頷いた。
雨に紛れ、スプーンが食器を打つ音だけが聞こえる。
平和な時間。あんなことがあったのに……
黒岩英雄の顔が脳裏を過り、食事の手を止めたぼくは、胡座で足を組んだカナメの方に向き直る。
「全部見えてる」
「……え? あぁ、いいんすよ。そういうのは卒業したから……」
「どういう意味?」
「これからは御影くんがいる。ワタシは満たされたんだ」
「……そう」
――お客さん。その言葉が頭に浮かんだ。
葉桐要は深刻な意味でのお客さま。深刻な性の捌け口として、ぼくを切実に必要としている……っていう理解でいいんだろうか。
――そういうのは、終わったんですよ……。
優しいミサトの言葉を思い出して、ぼくは自嘲の笑みを浮かべる。
そんなことはない。
まだまだ続く。むしろ重要になる。これから先も神さまとの喧嘩は続く。
ささやかな食事が終わり、静かな雨の唄を聞きながら、カナメは自身の事を話してくれた。
最初は、少し違うという程度にしか思ってなかった事。『女の子』との違いが顕著になったのは、小学校の高学年の頃。
「……皆、胸やお尻が大きくなって身体が丸くなって行くのに、ワタシは変わらないんだ……」
膝を抱え、少し首を傾げた姿勢のカナメは悲しそうに微笑み、じっとぼくを見つめている。
「小学校の時は制服なんかなくて私服だった。……女の子に告白されて……」
ぼくが思わず吹き出すと、カナメはムッとして睨み付けて来た。
「……ったく、冗談じゃない。ワタシはストレートなんだ。レズビアンじゃない。体型に似合う服がないから男物を着てるだけさ」
でも『その部分』が大きくなる。筋っぽくて骨張った身体は変わらない。引け目を感じた時――
葉桐要は、はぐれてしまった。
「時々大きくなるんだ……」
そんな時は、真冬でも水を被って眠った。
「なるべく一人で居るようにしたよ。親にも話せなかったし、ワタシは怪物なんだって思って……」
心と身体のアンバランス。
いつしかぼくは口を噤み――膝を抱えるカナメの横に寄り添うように腰掛けた。
カナメは小首を傾げてぼくの顔を覗き込む。
「……やっぱりアタリだ。ヤんなっちゃうよ……」
「……何が?」
「ワタシは面食いで、条件が厳しい女なんだ」
優しい雨の唄を聞きながら、カナメを押し倒すと、木と畳の匂いに混じって濃い女の子の匂いが鼻腔を擽る。今は――――
優しさと静けさと。
それだけで充分だった。