※この作品はR-18です。

ぼくがビッチになったワケ   作:ピジョン@アスクラピアの子一巻発売中!

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第21話

 疲れた……。

 射精後の気だるさの中、ぼくとトウコは抱き合っていた。

 呂律の回らない口調で、トウコが言った。

 

「悠希ひゃん……ありがとぅござぃました……」

 

「どういたしまして……」

 

 深く繋がったまま、暫く黙っていた。

 カオル程ではないとは言え、ぼくよりトウコの方が背が高い。ちょうど顔の前にある胸に耳を付けると、心臓が張り裂けんばかりに鳴っている。

 その鼓動が落ち着くまで、ぼくはトウコの背中をさすり続けた。

 

◇◇

 

◇◇

 

 トウコの身体は、体温が少し高いのか、抱いていると温かい。微睡みがちでいると――

 

「悠希さん」

 

 はっきりと意思の籠った声。

 快感の余韻から抜け出したトウコが、厳しい面持ちでぼくの顔を覗き込んでいる。

 

「真面目な話なんですけど、いいですか?」

「……」

 

 返事をするのも億劫で、ぼくは黙って頷いた。

 

「自分も新城センパイと一緒で、悠希さんはもう、客取らない方がいいと思います」

 

「そう……」

 

 それはぼくの勝手だ。そこに議論の余地はない。

 

「新城センパイは……しょうがないです。悠希さん連れて来たの、あの人ですから」

 

 トウコとは、まだ繋がったままだ。エアコンの冷気に冷えた結合部分が冷たかった。

 

「あの眼鏡女……あれはなんですか? 新しい客ですか?」

「眼鏡女……ああ、小銭女のこと……?」

 

 ぼくは緩やかに腰を使い、トウコの奥をかき混ぜた。

 

「んんっ……っ、だ、大事な話なんですって……」

 

 トウコは鼻に掛かった声を上げながらも、ぼくの肩を押さえて動きを制止する。

 

「……小銭女って、なんですか……?」

 

 深山の話はしたくなかったけど、もう終わった話だ。

 ぼくは、深山との間にあったことをかいつまんで話した。

 

 なんとなく暇潰しの相手をすることになり、その際、小銭を貰っていたこと。

 うんざりしたので、深山の頭にジュースをぶっかけて、小銭を突き返して帰ったこと。

 

 トウコは笑うと思っていた。――思っていたんだ。

 

「なんですか、それ。あの女、悠希さんのこと馬鹿にしてるんですか?」

 

「……落ち着いて、トウコ」

 

 ぼくがゆっくりと腰を引くと、萎えたペニスと一緒に、トウコの膣から、ごぽっと精液と愛液の混ざった白濁が流れ出た。

 トウコはブルッと身震いして、慌てて膣口に手を当てた。

 

「後始末、するね」

 

 実のところ、ぼくは、この後始末という行為が割と気に入っている。

 愛液や精液の入り雑じったあの匂いは好きになれないけど、これで一つ仕事が終わったって気持ちになる。

 そんなことを考えながら、箱ティッシュを引き寄せると、トウコが慌ててぼくを制止した。

 

「だっ、大丈夫です! 自分でできますから!!」

 

「いいよ、気を遣わないで」

 

 カオルは、いつもぼくに後始末をさせる。曰く、避妊と後始末は男の責任というやつらしい。

 

 起き上がろうとするトウコの身体を押して、もう一度ソファに座らせる。

 

「あぁ、もう……」

 

 赤く頬を染めたトウコは、恥ずかしそうに両手で顔を覆った。

 

◇◇

 

 しっかり後始末を終え、服を着た後で、トウコを甘やかすことにした。

 恋人みたいに。

 ソファの上で、またトウコに膝枕をしてあげる。

 その後は一緒にテレビを見たり、適当なお話をしたり。

 これが恋人同士のすることなのかよくわからないけど、トウコは納得しているのか、文句は言わなかった。

 

 トウコはぼくの膝で寛ぎながら、頻りに深山のことを口にした。

 

「あの女、秋月の後ろで影が薄かったですけど、何か引っ掛かりますね」

 

 よく知らないけど、シュウを引かせるくらいだから、武勇伝の一つや二つ持ってそうだ。

 

「深山のことは、もういいよ。ぼくらの話をしよう?」

 

 ちょっとウザくなって来たので言ったところ、効果は覿面だった。

 

「あっ……すみません!」

 

 トウコは深く頷いて、それ以上、深山のことを言及するのをやめた。

 

 夕陽が射し始めた頃、ぼくはトウコと連れ立って近くのスーパーに向かった。

 

 道中、自分から『恋人繋ぎ』をやってみると、トウコは口元を緩め、むふぅっと鼻息を吐き出した。

 二人で晩御飯の買い出しをする。

 トウコは何故か興奮して、あれやこれと必要ない雑貨を買い漁ろうとしたので、それはやめさせた。

 晩御飯のメニューは、トウコのリクエストで、鳥の唐揚げにする。

 

 お嬢のトウコは、スーパーに行ったことはあるものの、お菓子やちょっとした雑貨以外のものは買ったことがないらしく、野菜を品定めするぼくの様子に興味津々だった。

 結局、買ったのはカットサラダとホウレン草。後はお菓子を少し。肉や卵などは冷蔵庫に入っていたので問題ない。

 

 無事に買い出しを終え、葛城邸に帰った後も、トウコは興奮してはしゃいでいた。

 

「次は何をするんですか!?」

「……晩御飯の準備だけど」

「ごはん!!」

 

 その後の流れは、まるでおままごとだった。

 ぼくらは二人でカットサラダを皿に盛り付け、ホウレン草をボイルしてお浸しを作った。

 トウコの手際は、カオルより随分悪かったけど、懸命な様子は素直に好感が持てた。

 唐揚げの味付けは塩コショウと醤油のシンプルなものにした。というより、家ではいつもこれだ。

 

 結局、一人でやるよりも倍近い時間が掛かったけど、トウコは楽しそうだったので良しとした。

 

 カット野菜の盛り合わせに、ホウレン草のお浸し。鳥の唐揚げに、とき玉子の中華スープ。

 出来上がったメニューを食卓で囲み、トウコは感動していた。

 

「すごい……できました……」

 

「すごくない。食べるよ」

 

 ぼくが手を合わせると、トウコも慌てて手を合わせた。

 

 食事が始まると、トウコはやけに静かになった。

 暫くすると、トウコの目尻に大粒の涙が溢れ、頬を伝って、テーブルの上に落ちた。

 

「……お、おいしいです……」

 

「そう」

 

 ぼくは、ヨシコさんをクビにするよう進言するかどうか悩み……結局は止めておいた。

 

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