※この作品はR-18です。

ぼくがビッチになったワケ   作:ピジョン@アスクラピアの子一巻発売中!

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第22話

 晩御飯が終わり、その後の洗い物はトウコと一緒にした。

 ぼくが洗う。トウコが拭く。

 

「……今日は、素晴らしい一日です」

 

「そう」

 

 シンクの水を流しっぱなしにしたまま、ぼくはトウコにキスをした。

 なんとなく、そうする方がいいような気がしたから。

 

 トウコは少し驚いて、でも嬉しそうにキスを受け入れた。

 

◇◇

◇◇

 

 洗い物が終わったあと、リビングでトウコが土下座した。

 

「……今度はなに?」

 

 トウコには、何をするか分からないところがある。

 シュウの顔にジュースをぶっかけたり、カオルが怖い癖に、ぼくに手を出したり。深山を挑発したり、下着姿で警察に捕まったり。

 そんなトウコが突然土下座したからといって、ぼくは特に驚かなかった。

 

「そろそろ、お風呂に入ろうか」

 

 土下座したままのトウコが、ビクッと震えた。

 

「悠希さん、その事でお話があります」

「うん……」

 

 やれやれ、とぼくは向き直る。

 トウコと居るのは、凄く疲れる。何をするか分からないし、はしゃぐし、エッチをするのもカオルの倍は疲れる。

 ……最後のは何故か分からないけど。

 

 トウコの土下座は、ぴしっとして、何だか胴に入っている。慣れてるのかもしれない。

 

(謝男(シャーマン)直伝……?)

 

 トウコが言った。

 

「悠希さん、自分とお風呂に入って下さい。お願いします」

「うん、いいよ」

「……へ? いいんですか?」

 

 トウコは顔を上げ、意外そうに言った。

 

「あの、お風呂って裸で入るんですよ?」

「それくらい知ってるよ。馬鹿だね、トウコは」

 

 今日は泊まりでフルコース。分かっていたことだ。

 

 でも、やっぱりセックスって不思議。繋がった後だと、あんまり怖くない。見せても大丈夫な気がする。

 トウコが、また深々と頭を下げた。

 

「自分、以前に覗きやらかしたんで、悠希さんの傷のことは知ってます」

「……あれ? そうだったんだ」

 

 まあ、トウコのやりそうなことだ。ぼくは驚かなかった。

 

「申し訳ありませんでした!」

 

 分かっていてぼくに手を出すんだから、トウコも本当に物好きだと思う。

 

 でも、本当にセックスって不思議。

 深山のときは、少し見られただけであんなに気分が悪くなったのに。

 ……やばい。ぼくって、好き者の素質があるのかも。

 

「いいよ、もう。早くお風呂に入ろう」

「…………」

 

 トウコは眉を寄せ、ちょっとムッとした表情になった。

 

「……悠希さん、ちょっとユルくないですか? 簡単に許さないで下さいよ」

 

「あ……そう、かも……」

 

 カオルもそうたけど、ぼくはエッチした相手に、無意識の内に気を許しているのかも。

 

 深山や……シュウとも、エッチしたら変わるんだろうか……。

 

 そんなことを考えた。

 

◇◇

◇◇

 

 葛城邸のお風呂は、間取りの広いシステムバスで、ジャグジーが付いていた。

 トウコが照明を少し落としてしまったので、浴室内は薄暗い。

 背後で、トウコが息を飲む音が聞こえた。

 

「こ、これって……」

 

 トウコは瞬きすら忘れ、裸のぼくに見入っている。

 

「こんなの……こんなのって……!」

 

 たちまち、トウコの黒曜石の瞳に涙が溢れる。

 ぼくは、ソッと指先でトウコの唇に触れた。それ以上はNGの合図。

 同情されたくもないし、詮索もされたくない。

 

「す、すみません! 取り乱しました……」

 

 トウコは、ぐしぐしと手で涙を拭って、それから鼻を啜った。

 ぼくの意思を汲んでくれたのか、それ以上に傷を気にする素振りを見せることはなかった。

 

 お風呂の中でトウコは、ぼくに触れることもなければ、求めて来ることもなかった。

 やらしいことされると思ってたから、ちょっと意外。

 トウコがおずおずと、機嫌を伺うようにぼくを覗き込んで来る。

 

「その、悠希さん。新城センパイとは……一緒に、お風呂入ったりしてるんですか……?」

「いいや。カオルは、ぼくとお風呂に入らないよ」

 

 誘えば一緒に入ってくれるだろうけど、まだやってない。おそらく、それは『ルール』に関係してる。

 

 誘ったら、カオルは喜んでくれるだろうか?

 

 ぎゅっ、とトウコの眉が寄った。

 

「自分が一番最初なのは嬉しいですけど……やっぱり、悠希さんはユルいとこあります。寝てる女だからって、油断しないで下さい」

 

「あ……うん、気を付ける……」

 

 トウコの言うことは正しい。ぼくは素直に頷いた。

 

「……新城センパイには、もっとユルいんですか?」

 

 トウコはちょっと怒っているみたいだった。

 

「気付かない内に、色々やらされてるかもしれません。しっかりして下さい」

 

 大変だ。トウコなんかに説教されてしまった。

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