ぼくがビッチになったワケ 作:ピジョン@アスクラピアの子一巻発売中!
「……だから、新城は身長(タッパ)あるじゃん。あいつが本気出したら野郎も嫌がるし……」
24時間営業のネットカフェ。
薄い板で区切られた三畳ほどのスペースで、ぼくと皆川は抱き合うようにして転がっている。
床には大きなマットが引いてある。
パッパラパー子は、ぼくの髪の匂いを嗅いだり、頬擦りしたり。
「……新城、すっげー変わったじゃん? 以前は仏頂面でさ……んっ、そこ……それが今は、ほんと、よく笑って……」
ぼくの右手はパー子のパンティの中にあって、縦に割れたスリットを上下に擦っている。
最初はへらへらしてた皆川の息が荒くなる。
「……だから、少年ビッチに興味あるやつは、結構……」
固くなったクリトリスを親指で捏ねながら、中指を膣に挿入する。
皆川の膣(なか)は粘っていて、するりとぼくの指を根元までくわえ込む。
「……指、ほっそ……もう、一本……」
横になって足を開く皆川の膣に薬指も挿れる。
「……なるほど、新城が……こりゃ、ハマる……」
ぼくは薄い仕切りが気になって仕方がない。皆川の股間は物凄い音を立てていて、煩い位だ。
皆川が息を荒くして囁く。
「キス、なしだった、ね……」
「ごめんね……」
皆川が足をぼくの腰に回して抱き着いて来る。
「あは……指だけでイかされるの、はじ、めて……っん……ッッ!」
そんなことを言うパッパラパーの皆川は頑張ったほう。
指が疲れちゃった。
皆川の膣に三本目の指を挿れて、Gスポットとクリトリスを刺激する。
「……こりゃ、一人占め、したくなる……」
仕切りの狭いスペースで、足を絡ませた皆川が、ぶるっと腰を震わせた。
「んふっ……!」
甘酸っぱい匂いが広がって、お喋りパー子は静かになった。
「おつかれ、パー子。可愛かったよ」
ゆっくりと皆川の膣から指を引き抜くと、粘りの強い愛液が糸を引く。
今回は、お試し。
危なそうだったら口も使うつもりだったけど、手だけで済んだ。
ぼくは濡れた指先をティッシュで拭いて、脱力して大の字の皆川の股間も拭いてやる。
「…………」
皆川は、ぽけっと、ぼくのすることを見つめていた。
「……優しいんだ……」
「そう?」
ちゃんとパンティを履かせてから、皆川と抱き合って横になる。
皆川の匂いが気になって仕方がない。女の子特有の甘い匂いがだだ漏れになっている。
……よくこんなとこでする気になったもんだ。
ぼくは内心、呆れている。
後は皆川の背中を擦ったり、軽く胸を揉んでみたり。
皆川は眠たいのか、とろんと眦が下がって来た。
「……新城に、気をつけて……」
「おやすみ……」
パッパラパー子にメアドを書いた紙を渡して、その場で別れた。
貰った千円は、帰り道のコンビニで、ジュースとお菓子代に消えた。
◇◇
◇◇
◇◇
星の瞬く帰り道。
ぼくと向き合ったカオルは、だらだらと異常な量の汗を流した。
通り過ぎて行く車のヘッドライトの流星が、カオルの琥珀の瞳を照らす。
吹き出た汗が、頬を伝い落ちた。
「…………」
ぼくは空を見上げた。
「……思えば、カオルは、すごく優しかったね……」
ずっと解答を避けていたこと。
「絶対、ぼくに手を上げなかったし、何かを無理強いしたこともなかった」
本当は独占欲が強い癖に、ぼくを縛り付けることもしなかった。酷いことをしても、一言も責めなかった。呼ばれるまで、家に来なかった。
「全部、嘘だったの……?」
「――違うッ!!」
それまで黙っていたカオルが、突然叫んだ。
「するかッ! アタシはそんなに酔狂じゃない! ただ――」
カオルの顔が悲痛に歪んだ。
「ただ、好きで……好きで……どうしようもなくて……」
琥珀の瞳から涙が流れる。それはとても……
「アタシのせいで、腕折られたろ……? 誰も助けてくれなくて……皆、yesで……」
カオルがしゃくり上げた。
「気になりだしたら、止まらなくて……」
それはとても深刻な――
「でも――」
涙に濡れながらも、琥珀の瞳に憎悪の影。
「あの女が……道端に落ちてるガムみたいに引っ付いてて……!」
シュウ……。
「アタシは、毎日毎日、指くわえて見てるだけで……!」
琥珀の瞳は、憎悪の焔に燃えていて――
それはとても深刻な。
新城馨の、恋。
「――利用した。ものに出来るなら、何でもよかった」
「…………」
カオルは、言った。
「ボランティアなんかじゃない」
つまり、過去、気性、状況、状態、全て知り尽くした上で、カオルは――
「思い出もない。何の積み重ねもないアタシが……」
カオルとぼくとは違う。違いすぎるから。まともに来れば、ぼくは一顧だにしなかったろう。
カオルが歩み寄って来る。
「アタシがユキを手に入れたんだ」
綺麗も汚いもない。あまりにも深刻な、カオルの恋。
「もうアイツのものじゃない。アタシが――」
ぼくは、魅いられたみたいに動けなくて。
「捕まえた……!」
カオルがぼくを抱き締める。
「もう離さない」
――捕まった。
ぼくは、カオルに捕まった。
善悪美醜、全て備えたカオルの恋に、ぼくは捕まった。
最初から、ボランティアなんかじゃなかった。カオルは汚くて、何でもありで、ぼくを毟りとっただけ。
「…………」
見上げた空は綺麗だった。
不思議なことに、悪い気持ちはしない。
だってこんなにも強く、求められたことなんてなかったから――。
この日、ぼくはカオルに捕まった。
もう逃げられそうにない。
まいった。
本当にまいった。
もう終わりにしようと思っていたのに。
とてつもない、裏切り者の、ぼく――。