ぼくがビッチになったワケ 作:ピジョン@アスクラピアの子一巻発売中!
「もう離さない」
カオルは言って、ぼくを固く抱き締める。
ぼくもカオルの腰に手を回す。
世界中に、ぼくら二人だけになった気がした。
夏の虫が煩いくらいに鳴いていて、抱き合うぼくらを冷やかしている。
暫く、そうしていた。
そんなぼくらの前を、何台かの車が通り過ぎて行った。
やがて、カオルがもじもじしながら膝を擦り合わせ――
「……ユキ、すごくしたい。早く帰ろうか?」
「…………」
嫌な気分はしない。でも、こんなときでも変わらないカオルの様子に、ぼくは少し恥ずかしくなった。
カオルの琥珀の瞳が、ぼくを覗き込んで来る。
「……うわ、ユキ……今、すげーエロい顔してる……」
「……エロいのはカオルでしょ」
「赤い顔で目、潤ませて言っても説得力ないって……こっち向け」
たぶん、ぼくらの関係は、大きく変わる。
全てを告白したカオルは、もう遠慮する必要がないし、捕まったぼくには逃げる術がない。
◇◇
◇◇
◇◇
それから、ぼくら二人は、自然な形で寄り添うようになった。
カオルはぼくを抱いているのが当たり前で、ぼくはカオルに抱かれて安心してしまう。
家に帰ってからは、とにかく引っ付いていた。
お風呂も一緒に入った。そうするのが自然なことだった。
カオルは酷く興奮して、ぼくの全身を舐め回した。
おでこ、唇、傷だらけの肩や背中、ペニスは特に念入りに。お尻を舐められたのはちょっと嫌だった。湯船の中では、足の指まで舐められた。
ぼくは、全身がカオル臭くなったような気がした。
お風呂から出た後は、身体を拭く間も惜しんで絡み合った。
カオルの股間はドロドロに蕩けていて、ぼくを待ち焦がれている。
膣に指を挿れると、何の抵抗もなく三本の指を飲み込んだ。
カオルが切なそうに息を吐き出した。
「……ユキ、いつでもいいよ……」
要するに、もう挿れろということみたいだけど、ぼくは無視して四本目の指を膣に挿入した。
「ぅ……!」
流石に少しきつい。
ぼくは四本の指を動かして、カオルの中を擽るように愛撫する。つぶつぶがある上の壁や、堪えきれず降りて来た子宮をそれぞれに引っ掻き回した。
「あ、あ、あ、あ……!」
あっという間に登り詰め、カオルは膣から濃い蜜液を吐き出した。
がくがくと膝を震わせるカオルの耳元で囁いた。
「……手、全部入りそう……」
カオルは泣き出しそうな顔で首を振った。
「やだ……やだやだ……! それだけは……」
ぼくは意地悪く笑って見せた。
「そうだね。じゃなくても最近のカオルは緩いのに、がばがばになっちゃうもんね」
「そんな、ひどいよ……!」
涙ぐむカオルだけど、一度イッちゃうと緩くなるのは本当。身体が大きい分、許容量も大きいのかも。
ぼくも最近はユルいって言われるし、お互い様だよね。って、違うか。
カオルが泣くと、ぼくはちょっぴり残酷な気分になる。苛めて見たくなる。
「カオルは、本当に可愛いね……」
「……!」
ぴくりと震え、疑り深く見つめ返すカオルの唇にキスをする。
「あむ……ん、ちゅ……」
互いに舌を絡ませ、唾液を交換しては飲み下す。
キスは嫌いだったはずなのに――
「カオル、好きだよ……」
――今は、キスばかりしている。
ぼくは……
◇◇
◇◇
……
…………
………………
……………………
…………………………
夏の蒸し暑い日。
虫けらのように、パンツ一枚で転がるぼく。
この三日間というもの、水しか飲んでないからか、あばらが浮いてお腹だけは膨れているという奇妙な体型。
「おとうさん……おとうさん……」
記憶は何時も朧気。
「お、おお……」
父さんが、声を殺して哭いている。
両目を強く押さえ付けているけれど、それでも涙は止まらない。
――お前、なんてことをするんだ!!
――俺の息子だ!
――俺の息子なんだぞ!!
記憶は何時も朧気。
夢の中の母さんに顔はなく、のっぺらぼう。ぼくを虐め抜くためにだけ、知恵を捻る。
左手の親指の付け根が痒い。視線を落とすと膿んでいた。
この手はもう、駄目かもしれない。
奴隷のポーズで惨めに這いつくばるぼくに、母さんが言った。
――淫売が……!
――お前はあの淫売の息子だよ! あたしの子じゃない!!
――さっさと死んじまえ!――
◇◇
◇◇
夜遅く、目を覚ます。
カオルはよく眠っている。
……シュウに打たれてから、また昔の夢を見るようになっている……。
ぼくは落ち着かなくなって、部屋の隅で丸くなる。
父さんに、ちゃんと言った方がいいのかもしれない。
――先生、御影くんは可哀想です。
……そうしたら、また病院に行かなきゃならないのかな……嫌だな……。