※この作品はR-18です。

ぼくがビッチになったワケ   作:ピジョン@アスクラピアの子一巻発売中!

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第31話

「……どうしたの、悠くん。もっと食べなよ」

 

 父さんは機嫌良さそうに笑っている。

 

 ……何を尋ねた? 狙いは? ――分からない。

 

 カオルはアルバイトをしていたから違う。そもそも、カオルは父さんを怖がっている。違うと断言できる。

 トウコなら父さんより先にぼくに会いに来るだろう。

 パッパラパーの皆川はジャンキーと遊んでいた頃だ。

 つまり――シュウか、深山。

 ぼくは、父さんに言った。

 

「……父さん、誰か来たの?」

 

 既に父さんは20カンは平らげている。食べる手を止めて、難しい表情で唸った。

 

「う~ん……」

 

 口止めされている。

 でも話題に出す以上、押せば口を開く可能性がある。

 父さんは言った。

 

「ええい、言っちゃえ! 背の高い子だったよ。秋月さん」

 

 ――シュウ!!

 

「わっ! 悠くん、今すごい顔だぞ!?」

 

 ぼくは、にっこり笑って見せた。

 

「……何しに来たの?」

「……」

 

 父さんは眉を寄せ、思慮深く思い悩む様子になった。

 手元に視線を落とし、俯いた。

 

「……本人もよく分かってないみたいだったけど、多分、悠くんの……過去のこと知りたいみたい」

「……」

 

 父さんは悲しそうに言った。

 

「ごめんね、悠くん。父さんには、そんなに昔の話じゃないんだ。帰ってくれって言っちゃった」

 

「そう……」

 

「秋月さんは納得できないみたいだったよ」

 

 シュウ……父さんに食い下がったのか……。

 

「あの子は、多分、怖い子なんだろ?」

 

 父さんは、何て言うかとても難しい表情。感じたことをなるべく詳しくぼくに教えたい、そんな感じ。その辺りが、シュウのことに言及した理由なんだと思う。

 やっぱり、父さんはぼくの敵じゃない。言った。

 

「父さん、その子を見てどう思った?」

「うん……そうだね……」

 

 父さんは一口お茶を飲んだ。

 言葉を選ぶように間を置く。

 

「強い子。……多分、強すぎる……」

 

 合ってる。

 

「……この子の物差しは、父さんや悠くんとは違うと思う……」

 

 でも、と父さんは付け加えた。

 

「あの子が悠くんと付き合うなら、父さん安心かな」

 

 その言葉は少し意外に聞こえ、ぼくは尋ねた。

 

「怖いんだよね。なんで?」

 

 父さんは笑った。

 

「だって、誰にも負けないから」

 

◇◇

◇◇

 

 この夜に食べたお寿司の味は、よく分からなかった。

 父さんとの話し合いを経て、気持ちは複雑。ただ、ぼくはシュウと一度、話し合うべきなんだと思う。

 もう終わりにしたい。

 蟠(わだかま)りがあるなら解き、疑問があるなら答えよう。その上で、もうぼくに関わらないで欲しいと伝える。

 

 カオルが嫌がるから。

 

 その日の晩は、父さんと家でゆっくりした。

 父さんは久し振りにビールを一本飲み、ぼくはお摘みにサンマを焼いた。

 

「悠くん、今付き合ってる子と、父さんが会いたいって言ったらダメかなあ」

 

「ぼくはいいけど、あっちは父さんが怖いみたいなんだ。もう少し時間が掛かりそう」

 

 父さんは、感じ入ったように言った。

 

「へえ……その子、本当に悠くんが好きなんだ」

「そうなの?」

「……って、悠くん、自分のことだよね?」

 

 困ったように、父さんはぼくに説明してくれた。

 

「その子は、絶対に悠くんに嫌われたくないんだよ。だから父さんに気を使うの。分かる?」

「ふうん……プロは違うね」

「そりゃそうさぁ、じゃなきゃ父さんみたいなナイスなガイが怖がられる訳ないよ!」

 

 父さんは少しほろ酔いといったところ。

 

「じゃなきゃ、悠くんのことがものすごく怖いかだよ」

「…………」

「なんてね。てへぺろ」

 

 ……

 …………

 ………………

 ……………………

 …………………………プロは違うね。

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