ぼくがビッチになったワケ 作:ピジョン@アスクラピアの子一巻発売中!
カオルは初っぱなから、かんかんに怒っていた。
『アタシがなんかしたんかよ! ああ!?』
うるさい。
『クッソ! クッソ!! なんなんだよ! なんなんだよ!!』
「カオル?」
カオルがあんまり大きな声で怒鳴るので、ぼくは目眩がしてしまう。
『アタシは話なんて聞かねー! 聞かねーかんな!!』
「……カオル、怒鳴らないで……なんでそんなに怒ってるの?」
『――畜生! アタシと別れたいんだろ!?』
『何、言ってるの。ぼくとカオルは付き合ってなんかないでしょ……』
そこまで言って、ぼくは疲れに息を吐く。
その直後――
『お〇×□ぁ▽△▲*!!』
カオルが切羽詰まった怒声を張り上げた。
何を言ってるのか分からない。携帯の通話口からは理解不能の雑音が飛び出るばかり。
『×〇*▽▽~!!』
……どうやら、ぼくはへまをやらかした。それくらいしか分からない。
でも言い訳するのも面倒なので黙っていると、暫くして通話口から危険な文言が飛び出した。
「ユキを殺してアタシも死んでやる!」
ぼくは適当に答えた。
「いいよ、カオルとなら」
『…………』
何故かカオルは黙り込んでしまった。
「今日はハンバーグが食べたい」
『あ、ああ……』
「ところで、何の話だっけ?」
『ふざけんな!!』
失敗した。
「どうでもいいけど5時までは帰らないから、それ以降に来てよね」
『あ? お、おう……』
「家に置いてったシャツ、気に入ったから欲しい」
『え? うん、いいよ』
「待ってるから」
『……あれ? 何の話だっけ?』
ぼくは通話を切った。
でもその直後にまたカオルからの着信があった。出る。
苛々して言った。
「カオル、遊ばないでよ」
『えあ? うん、ごめん。その、アタシのシャツ欲しいの?』
「うん、カオルの匂いがして落ち着くんだ」
『あれっ?』
「切るから、ちゃんと仕事に戻ってよね」
『ま、待った! 最後に一つだけ答えて!』
「もう、しょうがないね。何?」
『アタシのこと、どう思ってる?』
とびきり悪そうに言っておいた。
「うふふ、ぼくのカオル。逃がさないよ」
通話を切った。
――多分、カオルを完膚なきまでやっつけることができれば、ぼくは元に戻れる。
強くて冷たいぼくに戻れる。
今度は、掛かって来なかった。
◇◇
勉強する間は色々なことを考える。
これまでのこと、これからのこと。父さんとぼく。カオル、シュウ、トウコ、深山、皆川……女の子たちのこと。
他人から見た自分が、どう見えているか。
我儘を言えば、カオルはどう振る舞ったか。
冷たくあしらえば、シュウはどう行動したか。
優しくすれば、トウコはどう反応したか。
深山のことはイレギュラーだ。考えない。けど、性感体は知ってる。
皆川はデータが足りない。けど性感体は知ってる。
幸い、こんなぼくにも値段がついた。ちょっとは、お金になるみたい。
深山にばらされたピースを、一つ一つ集める。足元から自分の身体を構成するイメージ。
参考書を読み、問題集を解きながら、雑多な出来事を考える。
例えば今、窓を叩く通り雨のこと。さっき食べたジャンクフード。
カオルに侵食され、弱くなったぼくのこと。
◇◇
5時過ぎ、家の玄関口でカオルと抱き合った。
お腹の部分に顔を埋め、大きなお尻の上の辺りを押すと、もどかしそうに腰を震わせる。
ストレッチパンツの前はしっとりと湿っていて、カオルが少し期待していることが伝わって来る。
「……先に、する……?」
ごくっ、とカオルの喉が鳴った。
「……キス、しないの?」
上目遣いに見上げると、カオルは、はっとして目を見開いた。
「顔色、真っ青だ……」
ぼくは笑った。
「知ってる」
天使のような――
「とりあえず、キスしようか」
――悪魔の笑顔。
カオルの首を引き寄せ、背伸びしてキスをする。
舌で唇を割り、唾液を口中に流し込む。くの字に身体を折って、玄関の扉にお尻を押し付けた姿勢のカオルが、喉を鳴らしてぼくの唾液を飲み込んでいく。
ストレッチパンツの中に手を差し込み、さらさらとした液体で濡れた陰毛を掻き分けて進むと、ぐっしょりと濡れた陰唇に行き当たる。
「ダメ……ダメだって……!」
カオルは、イヤイヤと腰を振って引き下がった。
「……なんで? ひらいてるよ……?」
甘えるように言って、唾液にまみれた唇を舐め上げる。
カオルのそこは襞が開いていて、簡単に指を飲み込んだ。
ぐちゃっぐちゃっと淫らな水音をさせて、それでもカオルは腰を引く。それは、大きなお尻を扉に擦り付けているように見えた。
カオルは苦しそうに、掠れ声で呻いた。
「流すな……お願い……!」
膣に挿し込んだ指を2本に増やした。
滴る液体が腿を滑り落ち、雫になって玄関口を汚して行く。
「あは、ここでイってみる?」
カオルは歯を食い縛って堪えている。全身を震わせ、膣を引き締めてぼくの愛撫に堪えている。
「なんで我慢するの?」
「……ちょっと、違う……んふっ!」
指を蠢かせて、震える花弁を擦り続ける。
「我慢し過ぎると、身体に悪いよ……?」
寄せては返す快楽の波に翻弄されながら、それでもカオルは首を振って絶頂を拒絶する。
「いいじゃん、流されようよ。すごく気持ちいいよ?」
「今は、イヤだ……」
息も絶え絶えに言うカオルにとどめを刺すのは容易い。
指先の一捻りで絶頂に押し上げることができる。でも、そうしてしまうとカオルの中にある大切な何かを傷付ける気がして――
……しょうがないね。
ぼくは、カオルの中から指を引き抜いた。
「はあっ……はぁっ……」
荒い息を吐き出しながら、額に大汗をかいたカオルが蹲る。
ぼくは指先に着いた淫液をぺろりと舐め上げ、口中に広がるカオルの味を確かめる。
深山より、ちょっと濃いかな……。
そんなことを考えた。