ぼくがビッチになったワケ 作:ピジョン@アスクラピアの子一巻発売中!
激しい吐息とともに全身を朱に色付かせ、漸くシュウは脱力した。
「すごかったよ……御影……」
完全に気の抜けた掠れ声で囁いて、シュウは深い息を吐き出した。
「ん……ぼくも……」
シュウの胸に抱かれながら、ぼんやりと考えたのは、これまでのこと。
高校に入って、ぼくの青春のようなものがあったとして、その全てのページに秋月蛍という女性がいたということ。
彼女は、ぼくみたいなやつに気さくに声を掛けてくれたし、友人としても良くしてくれた。時には言い争いをしたこともあったし、いがみ合ったこともある。
いつだってシュウは、ぼくに全力でぶつかってきた。身売りなんていう馬鹿なことをしなくても、彼女とは必ずこうなっただろう。
だからこそ、違和感なくいられる。傷付けることを躊躇せずにいられる。
シュウは膣にぼくを収めたまま、言った。
「御影……いや、悠希」
「……うん」
「どうして、売春なんてことをするんだ?」
「……お金が欲しい」
ぎゅっと眉を寄せ、シュウは険しい表情になった。
「なんでそうなんだ?」
こんなことになっていても、それとこれとは違う。納得できないという表情。
「…………」
ぼくは一つ溜め息を吐く。
話そうと思っていたことだ。これがいい機会だった。
◇◇
そこでぼくは、色々と家庭の事情を話した。
血の繋がらない母に、長い間、虐待されて育ったこと。
3年に及んだ長期の入院。
絶望視されていたけれど、父さんの献身的な介護で奇跡的に回復したこと。
身体が成長する見込みは薄いこと。
その間も、ぼくとシュウは繋がったまま。
シュウは黙って話を聞いている。
続いて、ぼくはウチの経済事情を話した。
父さんは頑張っているけれど、経済的には、ぼくが大学に進む余裕はないこと。
いずれ父さんは無理をして、破滅する可能性が高いこと。
……その時も、父さんはきっと笑っている。笑って、ぼくの為に破滅する。
ぼくは気が付くと泣いていて、シュウは優しく背中を撫で続けていてくれた。
「……ぼくは、このお話の最後を書き換える……これだけは……これだけは……」
でも、どうしようもなかった。
父さんに黙ってアルバイトしようとしたけど、身体が小さすぎて雇って貰えなかった。
家出中学生だろう、と言われたこともあった。
時間ばかりが無為に過ぎて行く。お昼ご飯を抜いたり、交通費を節約する為に歩いたりしていたけれど、全然、足らない。
焦っていたところに――
「――新城から、話があった」
シュウは言って、ぐりぐりと腰を擦り付けて来る。
すっかり萎えてしまって、抜け落ちそうなぼくが気に入らないみたいだった。
言った。
「助けないよ」
「……うん」
「切っ掛けがどうでも、悠希が自分から始めたことだからね。責任は取るんだ」
――怖い子なんだろ?
何故か、父さんの言葉を思い出した。
「……終わりはあるの?」
「目標はあるよ。そのときは、スッパリ終わるつもり」
ぼくが頷くと、シュウは少しホッとしたように頷き返した。でも――
「新城はよくない。あれには、ちゃんとケリを着けるんだ。出来るね?」
「…………」
さっきからシュウが腰を揺するので、ぼくは少し妙な気分になってしまう。
元気付けているつもりなんだろうか?
――この子の物差しは、父さんや悠くんとは違うと思う……
父さんは、本当にプロなのかもしれない……。
シュウが言った。
「好きだよ」
「……うん、あんがとね」
「厳しいことも言ったけど、いつでも好きだよ。だからね?」
「……?」
「もう駄目だって思った時は、私に言うんだ。私が全部――」
ぼくの耳元で、こう囁いた。
「私が全部、リセットしてあげるから」
そのとき、ぼくはどうなるんだろう。怖いシュウがタダで都合のいいことを言うと思えない。
分かるのは、そのとき、シュウが全てを消してしまうということ。良いものも悪いものも、全て力で揉み消してしまうということ。
――強い子。……多分、強すぎる……。
父さんは、教えてくれていた。
ぼくは、一時の気紛れでとんでもない間違いをやらかしたのかもしれない。
初めての体験で膣に思い切り流し込まれても、シュウは堪えてないみたいだった。
ちょっぴり、寒気がした。
「最低、週に一度は来るんだ。お風呂に入っているときでも、トイレにいるときでもいい。いつでも買ってあげるよ?」
「わかった」
◇◇
話が一段落したところで、さて、とシュウが立ち上がった。
膣から萎えたぺニスが抜け、精液と愛液のカクテルが腿を伝い落ちる。
なんだか、ぼくは恥ずかしくなって視線を落とすと、シーツには破瓜の『おしるし』があって、頬が熱くなった。
シュウは眦を下げ、残念そうに言った。
「二回目、と行きたいところだけど、インターハイが近いから止めとくよ」
「あ、ごめん……」
「念のためだよ。あそこが痛くて本気が出せませんでした、じゃ締まらないからね」
腿を伝う体液に構う素振りを見せず、シュウは踵を返した。
「どこに行くの?」
「ん、お風呂」
深山が、シュウのことを『虎』と言った訳が分かった気がした。
シュウ――秋月蛍は、おそらく豪傑と呼ばれるタイプの女性なんだと思う。
八頭身の均整の取れた抜群のプロポーション。股間から精液を垂れ流していても、シュウはやっぱり凛々しく見えて。
それがなんだか可笑しかった。
でも、そういうことなら――
シュウには特別メニューを用意してあげる。
ぼくは笑った。
骨の髄まで、めちゃめちゃにしてあげるから。