ぼくがビッチになったワケ 作:ピジョン@アスクラピアの子一巻発売中!
奥の部屋の三畳のスペースで、ぼくはずっと新城のお腹の上に座り込み、その頭を抱えて抑え込んでいる。
すっかり陽が落ちて、星が瞬くようになった頃、新城は漸く落ち着いた。
ぽつりと呟いた。
「アイツ、ちゃんと死んだかな……」
「新城……」
ドン引きのこの暴力性。
良くも悪くも、新城には抑止力がある。――使える。
女だということがなおいい。
男は遠慮するだろう。客になる女は固く口を噤んで秘密を守るだろう。
悪くない。
ぼくは優しく新城の頭を撫でた。
「暴れてごめん、ユキ。怪我しなかった?」
「うん……」
しっかりと落ち着いたのを確認して、ぼくは身体を起こすと、転がったままの新城の頭を膝の上に乗せる。
「ユキ、エッチしたい」
「いいよ……でも、ちょっと休ませて……」
ぼくは小さく溜め息を吐く。長時間、無理な態勢でいたお陰で身体中が軋んでいる。
新城が言った。
「ユキは、アタシには勿体ない男だと思う」
「どうしたの……藪から棒に……」
ぼくの小さい身体で、新城の巨体を抑えるのは疲れる。
「お金、ちゃんと払うから」
「それはもういいよ……」
どうせ新城には払えない。無理させれば、絶対によくない形で返って来る。だから、別の形で取り立てる。後は、エッチの練習台になってもらうくらいか。
新城は頑なに首を振った。
「いや、払う。心配しないでも、カツアゲとかそんなんしないし」
「だからいいって」
そんな殊勝なタマじゃないだろう新城。落ちてるものでも食べたのか?
ぼくは、また深い溜め息を吐く。
「払うって。払わないとさ、ほら……」
「……?」
「ユキ、客取っちゃうだろ?」
違和感。
なんだろう。何かが、ちぐはぐな感じがする……。
「ユキの客はアタシ一人でいいんだ」
つまり、新城にNTR属性はないと。
ええ、分かってましたよ。
でもね、新城。おまえ一人が払うお金じゃ、足らない。
おまえがサイを投げたんだから、振り回すよ。最後まで、付いてこれたら、ちゃんと好きになってあげるから。
ぼくは、それ以上、新城の意思に背くことはしなかった。くれるというのなら貰う。それだけ。
ブラウスのボタンを外し、新城の薄い胸に触れると、尖端は固くなっていた。
熱い吐息を洩らす唇に、大嫌いなキスをする。唾液を送り、舌を絡める。
新城が跳ね起きて、あっという間に制服を脱ぎ捨てた。
褐色の肌。薄い胸の尖りはセピア色。目元を潤ませて、下着まで脱ぎ去ると、生まれたままの姿になった。薄めの草むらは、銀の糸の雫を垂らして泣いている。
髪をかき上げる仕草をする新城の草むらに顔を埋める。
滑る陰裂を舌で舐め上げながら、膨れ上がったクリトリスに吸い付くと、新城は腰砕けになって膝を震わせた。
「あぁ……い、いいよユキ……」
クリトリスを吸い上げながら、愛液をまぶした二本の指を膣口に侵入させる。抵抗は殆んどなく、目的地に到着すると円を描くように擦り付ける。
「カオル……今日はサービスするから、いっぱいイってね……」
「…………」
陰裂から滲む液体が粘度を増した。
カオルの口元から、だらっとだらしなく涎が垂れ下がった。イった。
「ユキ……ユキ……もっと、なまえ呼んで……」
息も絶え絶えに呟くカオルの腰を引き付け、膣に舌を差し込む。もちろん、指での愛撫も忘れない。
丹念に、淡々とカオルを追い詰める。より深いエクスタシーへと導く為の入念な作業。
カオルはぼくの髪をまさぐり、膝を震わせて何度も小さい絶頂を迎える。
「カオル……綺麗だよ……もっと感じて……」
そうしてカオルは腰を震わせて、ぽろぽろと涙を流す。
もっと。
もっと、もっと、深く堕ちてね。
ぼくのカオル。
◇◇◇◇
翌日、教室にカオルの姿はなかった。
HRの時間、担任の坂本先生が黒板の隅に書き付けた。
――新城 馨 無期停学――
やっちまった。
黒板に書き込まれたそれを、じっとシュウが見つめていた。
◇◇◇◇
ぼくの携帯は古臭いガラケーで、それにはカオルからのメールが頻繁に届く。
――無期停だって。ユキの名前は出てないから安心して。
カオルのメールでは、向こう一ヶ月は登校できないようだ。それ以外は、
――逢いたい。
――キスしたい。
――エッチしたい。
そんな感じ。
ぼくは全部のメールに、一回2000円になります。って返信しといた。
カオルは赤点の補習も含めれば、留年する危険すらある。それはさておき――
ちょっと困ったことになった。
前の座席のシュウが、再三振り返ってはキツい視線を浴びせて来る。
何時もなら、ぼくにべったりなカオルがいない。言いたいことがあるようだ。
さて、シュウはどうでるか。本当、面倒くさい。
そして期待を裏切ることなく、HR終了直後に動きがあった。
シュウは部活のとき以外は下ろしてある髪をポニーテールに纏めている。ぼくの座席の前で腕組みして言った。
「おはよう、淫売」
「おはようございます。御影さん!」
シュウの横に、笑顔の葛城が立っている……。
「なんなのオマエは。ここは三年の教室なんだ。二年は出ていけ!」
「おはよ、葛城」
「御影さん、昨夜はずっと電話待ってたんですよ~?」
「こらっ、無視するな!」
朝からうるさいめんどい。
ぼくは、まずシュウからやっつけることにした。
「シュウ、オリモノ臭いからあっち行ってよ」
「なっ……」
ついでに葛城にも釘を刺す。
「あのね、葛城。昨日のカオルの激おこを見なかったの?」
「昨日はお互い大変でしたね!」
葛城もカオルのあれを見て、流石に引くだろうと思ってたけど、そうでもないようだ。シュウに楯突くだけのことはある。
大物か。それとも、とんでもないバカか。
「カオル、無期停学だってさ。聞いてる?」
「……カオル、ですか」
葛城の笑顔が曇る。
「御影さんは聞かなかったんですか?」
「聞くわけないでしょ」
カオルは本気で怒っていた。その説明をさせることは、もう一度、その強い怒りを感じろと言うのと同じことだ。そんなことするわけがない。誰にだって聞かれたくないことがある。
「なんで新城センパイに直接聞かないで、自分に聞くんですか?」
何故か葛城が食い下がって来て、ウザい。
「新城センパイ、御影さんが言えば何でも喜んでやると思いますよ」
知ってる。
「御影さんにとって、新城センパイは特別っていうことですか?」
「…………」
なにコイツ。すごくウザい。
「昨日、自分にはキスしてくれませんでしたよね?」
「……!」
その問いに激しく反応したのはシュウだ。むきになって突っ掛かって来ると思ってたのに、黙ってぼくを睨み付けて来た。
ムカつく……。
「キスありなら5K」
「はい、払います」
こいつ……!
葛城は澄ました表情だ。本当にそれがムカついた。
「昼休み、奥の部屋に来てください」
「……いいよ」
葛城は、またニコッと笑った――けど目が笑ってない。
「絶対に来てくださいね」
念を押してから、葛城は帰って行った。
来たときと同じように勝手なやつ。カオルのことは答えずに帰った。
後にはムカついたぼくとシュウが残った。
「御影、その……新城は――」
「オリモノくさいから、あっち行けよ」
カオルが、ぼくの特別?
誰に向かって言ってんだ。