ぼくがビッチになったワケ 作:ピジョン@アスクラピアの子一巻発売中!
海の見えるホテルにやって来た。
部屋に入るなり、窓際までまっしぐらに走ったぼくは、カーテンを開いて呆然とした。
「……暗くてよく見えないよ……」
カオルがクスッと笑った。
「まぁ、一泊辺りそこそこだし。口コミで評判いいトコだけど、オーシャンビューが売りのホテルじゃないから」
「ふぅん……」
がっかりして、ぼくは唇を尖らせる。
カーテンの向こうは夜のしじまに包まれていて、月明かりだけが僅かに波打つ海上を照らしている。
それ以外には湾内にある灯台。遠くに見える赤い光は漁船だろうか。近くに漁港があるからそうかもしれない。
つまらなそうにするぼくを見ても、カオルはご機嫌。
「朝を待つべし」
「待つべし」
カーテンを閉めた後は、お部屋チェック。
テーブルの上にあるインフォメーションの冊子に目を通し、チェックアウトの時間を確認する。
その後はアイテムBOXを確認。
聖水(ローション)にエグい形をした性剣(エクスカリバー)。そして暗器(ローター)。これらのお宝は、以前お城で見たことがあるものと似たり寄ったりで特に刮目すべきところはない。
「買わないからなっ」
その言葉には素直に頷いておく。
カオルはこれらの玩具(バイブやローター)に忌避感があるみたい。繊細な部位への使用が前提になるので、ぼくも強要するつもりはない。
部屋の内装はシック。よく言えば落ち着いていて、悪く言えばつまらない。
お風呂は照明を調整出来るけど、ジャグジーは付いてない。ぼくとカオルを受け入れる容量はあるけどそれだけ。ラブホテルも色々あるようだ。
「ユキは拘るよな。アタシは落ち着いてできるならそれだけでいいけど」
「……」
不意に言い忘れていたことを思い出し、ぼくはカオルを見上げる。
「え、な、なに?」
改まったぼくの様子に身構えるカオルの指を掴んだ。
「カオルにお願いがあるんだ」
「えっ? あ、ああ、うん。何でも言って」
警察で優樹菜が口を割って、全ての事実が白日の下に曝されてしまった時のこと。
ぼくは罪を犯したワケじゃないし、具体的にどうこうなる訳じゃないけど、警察の対応が予想を超えれば失うものは大きい。
「もし、父さんに全部バレてしまったら……」
他の誰にそうされるとしても、父さんが失望する顔だけは見たくない。
「その時は、ぼくを連れて行ってほしいんだ」
「え……ごめん、ちょっと分かんない。何処に……」
「何処へでも。カオルに付いて行くよ」
「……」
「すごく遠くがいいんだ」
「……」
カオルは黙り込み、瞬きすら忘れてぼくを見詰めている。
「……」
「ごめんね、無責任なこと言って。でも、こんなことはカオルにしか頼めないんだ」
それから、カオルは蕩けるような笑顔を浮かべて。
「いいよ。その時は、二人で、ずっと遠くに行こうか」
「あんがとね、カオル」
カオルは震える息を吐き出してぼくを抱き寄せると、唇を合わせるだけの優しいキスをした。
◇◇
◇◇
カオルは、ぼくを抱き締めて髪の匂いを嗅いだり、頭に頬擦りしたりしている。
身長差、約40cm。
抱き返すと、ぼくの手はカオルの腰辺りになる。内股を撫で、お尻の割れ目を擦ると、ジーンズの生地越しにじっとりと蒸すような熱を感じた。
「お風呂、一緒に入る?」
「んん……」
ぼくの身体をあちこち撫で回しながら呻くカオルは、かなり迷っている様子だった。
カオルは洗いっこが大好き。ぼくを洗うのも、自分が洗われるのもすごく好き。
「どうする? 今夜は、何でも言うこときくよ……」
「うん……」
困ったように笑うカオルの頬は上気して、琥珀の瞳は熱っぽい情欲に潤んでいる。
ベルトを引き抜き、ファスナーを下ろしてジーンズを脱がせてしまっても、カオルの決意はあっちこっちと揺れているのか、答えはない。
「このまましちゃう?」
「あ……えっと……」
パンティのクロッチ部分は濡れていて、脇の部分から透明の液体が滲み出している。
カオルは、ぼくの為すがまま、濡れたパンティを剥ぎ取られる間も葛藤して、唇を舐めたり視線を泳がせたりと忙しない。車中で言っていた変態行為に多大な入れ込みがあるみたい。よくわからないけど、夜這いプレイっていうらしい。目隠しに拘る必要はないけど、相手の寝込みを襲うのがミソのようだ。
迷うカオルの手を引いて、ベッドの上に座らせた。
「先にお薬入れるね?」
「え? あ、うん……もうそんな時期だっけ」
カオルはちょっと上の空。適当に返事して、開いた長い足の間に座ってそこを覗き込むぼくを潤んだ目付きで見詰めている。
両手で、ソッと下腹部の秘裂を押し開くと、膣口が、くちっと音を立てて開いた。
昨夜、さんざん苛めたから腫れていないか心配だったけど、それは杞憂だったことに内心、ほっとする。
あまり刺激を与えないよう注意して、薬剤のカプセルを膣に押し込み、子宮口の前に留置して指を引き抜くと半透明の粘液が糸を引いて落ちる。
「う、ん……ふぅ……」
快感に喘ぎを洩らすカオルの唇にキスをした。
「んっ……」
寸前、カオルは息を飲み込み、力を抜いて受け入れた。
口腔内を舌で混ぜ込み、唾液を送り込むと喉を鳴らして飲み下す。
「んんっ……はあっ、ユキ、待って、待って……」
カオルが呻く。吐息まで震え、乱れている。
「……どうする? 先にする?」
カオルはまだ決められないのか、しっとりと濡れた視線を泣き出しそうに下げた。
「……うふふ、両方すればいいんじゃない?」
「え……?」
悪魔の誘惑に、カオルは物欲しそうに唾を飲み込むことで答える。
「夜は長いんだから、焦らないで楽しめばいいよ」
昨夜は酷く扱ったから。それだけの理由。単なる埋め合わせ。
「いいの? 両成敗しちゃっても」
ぼくは悦楽で女の子を虐げることに抵抗がない。カオルも瞳子もシュウも深山もユキナも、乱れ狂う様はそれぞれに他愛なく、可愛らしく思える。
誘惑にあっさり負けて照れ臭そうに笑うカオルに、頷き返した。
ぼくが服を脱ぎ捨てると、カオルがすがり付くようにして股間に顔を埋めて来る。
――生暖かいような。ひんやりと滑るような独特の感覚に身を任せ、ぼくはカオルの頭を撫でる。
ユキナは巧かった。瞳子は八重歯が当たって痛いだけ。シュウは勢いだけで拙い感じがしたけど、あれが初めてだって言うんだから驚き。
頭を振って、散らばる思考を追い払う。
「ん……カオル、すごくいいよ……」
嬉しそうに微笑んで、カオルはひたすらぼくへの奉仕に熱中する。
おへそに当たる鼻息が擽ったい。
カオルは口にたっぷり唾液を溜め、舌先でぺニスの鈴口を擽り、カリ首を舐め上げる。じゅっ、じゅっ、と陰茎を吸い上げられ、『ぼく』は少し昂って来た。固くなる。
その感覚に興奮したのか、カオルの上下する首のスピードが早くなった。亀頭に舌の感触を直に感じる。
奥深くまで飲み込まれると、背骨を引き抜かれるような錯覚に陥る。
膣に入れた薬が完全に溶けるまでの間、ぼくはカオルの好きなようにさせた。
◇◇
◇◇
ぼくのを舐めたり、しごいたりを続けるカオルは、すっかりスイッチが入ってしまったようで、琥珀の瞳は情欲に蕩けている。
「んふ……あむ、ちゅ……」
両足の間に大きな身体を丸めて入り込み、フェラに夢中のカオルは頻りに腿を擦り合わせている。
ぴりぴりと背筋が痺れて来た。
ぺニスをくわえたまま、ゆっくりとしたストロークで右手を上下させ、竿の部分にねっとりと舌を絡ませる。照明を落とした室内で、うっすらと汗をかいた裸身が妖しくうねっていた。
このまま射精してしまってもよかったけど、カオルの肩を軽く叩いて動きを止めた。
「攻守交代」
「……ぅん」
震える声は情欲に掠れている。
ぼくは、カオルを押し倒すようにしてベッドの上で抱き合った。
すぐさま長い足を絡ませて、ぼくを取り込むように抱き締めるカオルの胸に顔を埋める。
新城馨は『アスリート』だ。
引き締まった身体に無駄はなく、全体的にはほっそりとした印象がある。鞭のような身体。
しかし、より高く跳ぶ為に鍛えられた大腿四頭筋は他の部位に比して発達している。
そのせいで着られる服が限られると本人は言っていたけれど。
「……カオルはカッコいいね……」
感心したように言うと、カオルは目を潤ませたまま、耳まで真っ赤になった。
「モデルさんになりたいとか、考えたことないの?」
『アスリート』新城馨の身体には機能美がある。『武芸者』秋月蛍のそれとは違う『美』がある。これに価値を見出だす人は多いと思う。
でも――
カオルは鼻の頭に皺を寄せ、舌打ちした。
「……なんだそれ……テキトーなこと言って……お世辞か?」
カオルは驚くほど自身の『女』に対しての評価が低い。ぼくの言うことは信じられないようだ。唇を尖らせてそっぽを向いた。
そんなカオルの両頬を引っ張って、琥珀の瞳を覗き込む。
「ぼくがお世辞? カオルも面白い冗談言うね」
「…………」
ぼくは何時も思ったことを考えもなくハッキリと言って来た。それは目の前のカオルが一番知っているはずで。
「……ぁ……」
カオルは小さく呻き、露骨に視線を逸らした。
「カオルは綺麗だよ。分からないヤツが馬鹿なんだ」
「……」
カオルは頑なに目を逸らしているけど、徐々に首筋まで赤くなって来た。ものすごく照れているみたい。
「……チートだ。ずるいよ……」
うっすら浮かんだ涙には気付かないふりをして、拗ねたように顔を背けるカオルの首筋にキスをする。
続いて肩。
胸。
お腹。
「ひゃっ!」
おへそは少し擽ったかったのか悲鳴が上がる。
ぼくらは暫くはしゃいで。
裸のまま、お互いに笑って、抱き合って、それから舌を絡ませて、うんといやらしいキスをした。
◇◇
「んん……」
耳元で、カオルが悩ましい吐息を洩らした。
ぼくはカオルの大きな身体を背もたれにして寛いでいる。はしゃいでいる内に自然とこうなった。
背中に押し付けられたカオルのそこはぬるぬるに濡れていて、時おり擦り付けるものだから、部屋の中は生乾きのアレの匂いで大変なことになっている。
きっと今のぼくはマーキングされていて、誰にでも分かるように、カオルの匂いを付けられているんだと思う。
カオルが腰を揺らすと、擦れ合ったその部分が、ぐちゅっと湿った音を立てた。
「ユキ……だいすき……」
ぼくの首を甘噛みしながら、カオルが掠れた声で囁く。
「……うん、わかってる」
カオルは少し甘えたい気持ちみたい。
適当に頷くぼくの頭の中は色々。下らないことを考えている。
例えば――
ネットの噂だと、アスリートの性欲は通常人の3倍あるらしい。ホルモンがどうとかそれっぽいことを書いてあったけど、実証されている訳じゃないし、根拠のないデマだ。でも、カオルの底無しの性欲を前にすると、ひょっとしたら、という気にならないでもないから不思議。ぼくはいつだって少ない弾薬でどう戦うか頭を悩ませているのに、すごく理不尽。
つまらないことを考えるぼくの耳元で、カオルが言う。
「……好きがとまらないんだ……」
それは、ちょっと分からない。
客観的に見て、ぼくは酷いヤツだ。誰とでもエッチするし、カオルとしている時ですら別の女の子のことを考えたり、下らないネット上のゴシップについての真偽を考えたりしている。
特別、媚びた覚えはない。ぼくはいつだって自分勝手に振る舞っている。
「……」
カオルの中で、いったい何が起こっているんだろう。
「ユキの前で、アタシは女の子なんだ」
何を当たり前のことを……
「……」
それきり、カオルは黙り込んだ。
全身でぼくに絡み付いて、噛み付くみたいにぼくの首筋に顔を埋めているので表情は分からない。
とても重い沈黙。
こういう時、言葉はとても安くなってしまうから、ぼくも沈黙を選ぶ。
「――信用されてる」
最近のカオルは、暴力的なものを感じさせなくても、ちょっと恐いときがある。
「それはきっと、とてつもないお宝で、アタシなんかには勿体ない代物で――」
おそろしく真剣な独白。
「誰にも渡したくない」
カオルの身体は熱くなって、ぼくと触れ合った場所がじっとりと汗ばんでいる。
言った。
「殺すから」
「……」
「奪られるくらいなら、みんな殺すから」
出た。
多分、『あい』。
真剣で、重たくて、悲しいくらい深刻な、新城馨の『愛』。
それは狂的な信仰に似ていて、ぼくは重苦しい気持ちになる。
「アタシ、もう我慢できない」
でも、答えに近付いたような気もする。
「挿れて……」
耳元でそう囁く声に、ぼくは小さく頷いた。
カオルを開いて調べよう。
愛という名のunknown。
◇◇
◇◇
身を捩り、カオルと向かい合う。
視線を下腹部に落とすと、陰唇はだらしなく涎を垂らして半開きになってぼくを待ち望んでいた。
半勃ちに萎えたぺニスを扱きながら、亀頭を陰唇に擦り付け、潤滑の愛液をまぶしていく。
しゃりしゃりとした陰毛の感触に、滑る粘膜。クリトリスは固く勃起していて、ぼくのぺニスと触れる度に、ヒクヒクと小さな収縮を繰り返している。
荒い息を吐くカオルのお腹を軽く撫で、膣口に指を這わせると、そこはなんの抵抗もなく2本の指を飲み込んだ。
カオルとセックスするようになって、3ヶ月近くが経過した今、『アスリート』新城馨の身体の解析は殆ど終了している。膣内にあるクリトリスの裏側に当たる位置に、ちょっとざらざらした場所があって、そこはカオルの大きな弱点の一つ。
そこを円を描くようにして優しく撫で回すと、カオルは猫が鳴くみたいな嬌声を上げる。
「んんんっ……! あぁ、あ……!」
あくまでも優しくするのがコツ。そうするとカオルはすぐ降参する。
「待って! 待ってユキ! んぐぐぐっ……!」
カオルの腹筋が引き締まり、膣肉が弱点を攻め立てる指を制止しようと締め付ける。いつもなら無慈悲にトドメを刺すところだけど、今日はカオルに合わせることに決めている。
収縮を繰り返すカオルの下腹に手を当て、グッと押し込んで指の動きを止めた。
「んぐぐぐ……っ!」
全身を硬直させ、なんとか堤防の決壊を防いだカオルに耳打ちする。
「……わかってると思うけど、我慢し過ぎると最後は特大のが来るよ……?」
「ふっ、ふっ、……うぅ、しってる……」
昨夜のことを思い出したのか、カオルは息も絶え絶えの様子で、何処か諦めたように小さく頷いた。
女の子の身体って不思議。
快楽を溜め込むように出来ていて、最後はそれを爆発させるようになっている。
「挿れるね」
ぼくの死の宣告に、カオルは泣き笑いの表情になって懇願した。
「ゆっくり、ゆっくり……!」
カオルが云うに、深すぎるエクスタシーには大きな恐怖が伴うらしい。吹き付ける強風に耐えられず、意識が端の方から飛び散って行く感じだと言っていた。
――自己の崩壊に似ている。
ぼくは濡れそぼり、正体をなくしたカオルの中に、ゆっくりと侵入して行く。さらさらと落ちる砂時計を連想させるスピード。
「ふぅうううううぅ……!」
カオルは深く息を吐き出し、何度も何度も頷いた。
このスピードでいいみたい。でもそれが、最終的にカオルを地獄のような天国に突き落とす。
柔やわとまとわりつく膣肉を掻き分けて進む。溢れだした粘液がぺニスに絡み付く。
苦悶の表情でカオルが喘いだ。
「あぁ! あうううううぅ……!!」
容赦なく蹂躙して、何時ものように主導権を奪うのは猫の手を振り払うより簡単だけど、カオルに任せる。
地獄には自分で行くんだ。
コツっと先端が子宮に触れた。
「…………」
だらっ、とカオルの唇の端に涎が伝わり全身が脱力した。
小波のような絶頂。膣内部がざわめいて、一度ぼくを押し出そうと無駄な努力をしたあと、諦めたように陰茎を包み込む。
「……ふふっ」
カオルは笑っていた。
制御不能の快楽に身を浸し、子宮の奥底まで質に取られ、笑っていた。