この話はタイトルの通り、本編となるランス(9.5 IF)の109話「シルキィの想定外②」の裏側の話、途中の空白部分に挟まる内容となっています。
なので先に本編を読んでからこの話を読む事を強く勧めます。
「あははっ! 私は貴方の事が大好きだからさ、これからも平和の為に一緒に戦いましょうね?」
「うがー! 話を聞け-!」
それはこの二人が電卓キューブ迷宮に赴く事となった日の前日。
シルキィがランスに向けて愛の告白を、博愛精神溢れる告白をした夜の事。
「ぐぬぬ~……ここまでしらばっくれるとは。シルキィちゃん、君はどうあっても俺様の事が好きだとは認めないつもりか」
「別にしらばっくれてなんかないわ。貴方の事が大好きよーってちゃんと言っているじゃないの」
「だからそれがしらばっくれてるんだっての。まったく強情な……」
人類というとても大きな括りに対しての愛情、その中の一人としての『大好き』の言葉。
そんなものが欲しかった訳ではない。そんな言葉が聞きたかった訳ではないランスは不満顔をしていたものの、しかしすぐにパッと頭を切り替えて。
「まぁいい。それじゃあセックスするぞ」
「え」
お返しとばかりにそんな言葉を告げた所、シルキィは反射的にぴくっと身体を揺らした。
「え、あ……セックス、するの?」
「そりゃするだろ。もうそろそろいい時間だしな、今日のお相手は君に決定だ」
「あー、そう……するんだ。この流れでするんだ、そっかぁ……」
「うむ。この流れだろうと、どの流れだろうとセックスはするのだよ。シルキィちゃん」
時刻はすでに夜。そろそろ就寝の時間も近く、就寝前には就寝前の運動が欠かせない。
今日もシルキィの本心を、その恋心を引き出す事は出来なかった。それはとても残念だが、ただまぁそれはそれとしてセックスはする。それがランスという男の思考である。
「さ、こっちこっち」
「……うん」
この二人の間にはとある約束がある以上、NOと言う事は出来ない。
だからランスがその手を取れば、ちょっと恥ずかしそうなシルキィも素直に付いてくる。
もう何度夜を共にしたのか分からない、そんな二人は慣れた様子で場所を移し、速やかに寝室のベッドの上へと移動する。
「それじゃあさっそく、シルキィちゃんのおっぱい御開帳~っと」
「あ、ちょっともう、勝手に……」
「ここをこうして~、ぺりぺり~っと……ほーら取れた」
その魔人の胸元。布一枚を適当にペタッと貼り付けただけにしか見えない服のような何か。
それをシールのように剥がせば、それだけでツンと上を向いた赤色の乳首が現れる。
「よし、セックスの準備おーけー。さーて、今日はどんなふうに抱くかな」
「どんなふうって……別に普通で良いんだけど」
「いやいや、普通なんぞ味気ない。より良いセックスは日々追求していかねばな」
「……まぁなんでもいいけど……あんまり変なポーズのとかは止めてね。ただでさえ貴方のは大きすぎて身体がギリギリなんだから……」
そう呟くシルキィは観念したような表情で。
これからどのように食べられる事になるのだとしても、もはや抵抗する気など無し。
何故ならあの約束があるから。ランスの女になると自らの口で約束した以上、今からどんな目に合うのだとしても粛々と受け入れるのみである。
「ふむ……あ、そうだ」
そんなシルキィを見ていると、先程の一件もあってピンと来るものがあったのか、
「……にぃ~~」
と、ランスは口元を弓なりに曲げた。
(うわぁ……なんていい笑顔)
そのにんまりとした表情を見て、シルキィはそんな感想を抱いた。そして察した。
(これはきっと……良からぬ事を思い付いたのね)
恐らくはランスにとって良い事を、そして自分にとって良からぬ事を思い付いたのだろう。
果たして如何なる企てか。これまでとは趣向の違う事をするのだろうか、経験した事の無い体位で攻めてくるのだろうか。
現状とても検討つかないが、とにかく今日のセックスは中々ハードな事になりそうだ。自己を見失わないよう心して掛からなければ。
「それじゃあ抱くぞ。準備はいいな?」
「……どーぞ」
「よーしっ! んじゃあ最初はやっぱこの可愛らしいおっぱいからいくかなーっと!」
「……んっ」
そしてすぐにランスの手が伸びてきた。
決して大きくはない、されど膨らみと呼べるものがちゃんとあるシルキィの胸。
それに正面から掬い上げるように持ち上げ、両の親指で先っぽをくりくりと刺激する。
「あ、ん……あれ、今日は普通にしないんじゃなかったの?」
「まぁまぁ、それはおいおいって事で。まずはオーソドックスにな」
「おいおいって……あっ、や、んっ……」
小振りな分感度が良いのか、軽く弄られて早々にぷっくりと膨らんできた乳首。
それを指先できゅっと摘めば、シルキィの口から甘い声が漏れ始める。
「んあっ、はっ……」
「ぐふふ、シルキィちゃんは乳首が弱いからな、今日もたーっぷり弄ってやるぜ」
「ん、あんっ、別に弱い訳じゃ……」
「いやいや、ここは君の弱点だって。ほーれほれ、気持ちいいだろう?」
「あっ、ん、うん、気持ち──」
──気持ち良い、ランスさん。
と、早々に口走りそうになった所で。
「──と、ぉ、う、ううん、別に、普通だけど?」
寸前で自制心を取り戻し、口から出掛かった言葉を正しいものへと直す。
「おぉ、無理やり軌道修正したな」
「……してません。本当に普通だから」
ランスのツッコミも気にせず、シルキィはすんと取り澄ました表情で答える。
これはあくまでノーマルな快感、自分はあくまでノーマルな状態。大体まだ事が始まって5分も経っていないというのに、この程度の快感で自己を見失っては先が思いやられるというものだ。
「ま、君が最初こんな感じなのはもうお約束だな。けど途中から段々ノリノリになってきて、最終的にはそりゃもうエロエロになる。君とのセックスはその変化が楽しいのだ」
「……今日はエロエロになんてなりません。ていうかいつもなってませんから」
「それを認めないのもお約束だなぁ。だからこそ楽しみがいがあるってもんだが」
シルキィ・リトルレーズン。それはとても真面目で思いやりに溢れた優しい魔人。
ただこの小さな身体の奥底には英雄の因子が、秘めたる好色の因子が強く宿っている。
これまで何度も抱いてきた経験から、ランスはその事を深く理解していて。
「……そういえば、さっきの話だがな」
故にこのタイミングで仕掛けてきた。
「え?」
「ほれ、さっき教えてくれただろ? 君が魔人になる前の話」
「あぁ、うん。それが何か……んあっ」
「あの話は本当に興味深かったなぁ、思わず聞き入ってしまったぞ。うむうむ」
芝居がかった仕草で大きく頷くランス。
だがそう喋っている間にも勿論、胸元への愛撫は継続中。感度の上がってきた乳首を爪先で軽く弾くように、ひっかくように刺激する。
「ふ……ぅ、んっ……は……」
「あの話を聞いていて思ったのだが、君は人間だった頃からずっと戦っていたのだな」
「まぁ、そうね、あっ、ん……ふっ」
「それも自分の為とかじゃなく、世界の平和の為にだろう? 君はほんとに偉い子だなぁ」
「別にそんな大層な事じゃ……ん、あぁっ!」
小さめの乳房をゆっくりこね回される。と思ったら逆に絞り上げるように強く掴まれる。
そしてふいに乳首をギュッと摘まれると、その口がこれまでと違って大きく開いた。
「は……っ、ランス、さん……あっ……」
「当時は魔物界が無かったって話だから、魔物はそこら中にわんさか居たんだろ? そんな中で女の子の君が武器を取って立ち上がるんだもんなぁ。本当に立派だなぁ」
「う、うん……」
遠く千年前、誰も知らないような話、誰からも称賛される事の無かった過去。
それを褒められてもシルキィは嬉しいと感じる事は無く、むしろ大いに戸惑っていた。
(……でも、どうして? どうしてこんな時にその話を……?)
何故このタイミングでその話を、性交の最中にそんなどうでもいい話をしてくるのか。
勿論性交の最中は黙るなんて決まりは無いが、それにしたってこの話題は妙ではないか。
多分ランスには何らかの狙いがあるのだろうが、その意図がどうにも読めなかった。
「ね、その話さ……今ここでする必要があるの?」
「なんだ、しちゃ駄目か?」
「駄目って事は無いけど……今はそういう事よりも、なんか、その……んあっ!」
今はそういう事よりもエッチに集中したい、なんてセリフは口が裂けても言えず。
どうしたものかと困惑していると、狙ったかのようにランスの指が下腹部に伸びてきた。
「お? こっちはどうかな? ん、ん?」
「はぁっ! あっ、んんっ、ふぅっ」
すりすりと優しく丁寧に、その指が花弁の周りを焦らすように撫でる。
「んあっ、くぅぅう……!」
「君の身体はエンジン掛かる早いからなぁ。こっちの方も大分いい感じだ」
「そんな事、な……んうっ! あ、あ、や、んんっ! やぁっ!」
そして二本の指が膣内に侵入し、内部を傷つけない程度の強さで掻き回す。
その度にシルキィの両脚は小刻みに跳ね、秘所の奥が妖しく波打つ。
「ふぁっ、あっ! あぁっ! っん、くっ!」
「……でな? さっきの話に戻るが……君は魔王を倒そうとしたんだろ? いやぁ本当に凄い、いくら平和の為だからってそう簡単に決断出来る事は無いだろうに」
「んっ、魔王って、別にそんな……あっ、ひっ……は、んくぅ……!」
抑えようとはしているのだが、しかし抑えられない喘ぎが口から勝手に上がる。
決して認めたくはないが、けれどもランスが言う通りに火が付くのが早い身体。すでに下腹部は確かな熱を帯びており、その熱は身体中を巡って頭の中を侵食していく。
「んっ、んっ! ランス、さぁん……!」
「聞けば今の人間世界があるのだって、君が頑張ったお陰のようなものではないか。まったく本当にスゴいなぁ、信じられんなぁ」
すでに余裕のないシルキィの一方、ランスは相変わらずの調子で彼女の過去の話を続けて。
片手をシルキィの下腹部に残したまま、もう片方の手でその顔をくいっと持ち上げる。
「あっ、ん! 分かった、分かったから……ん、んむっ……んんっ……!」
そして口付け。その小さな口の中にランスは自分の舌を差し入れる。
歯の間を割って入り、奥にある舌や頬の裏側の感触を好き勝手味わう。
「……はむっ、ん、は……んむ……んんん……」
するとシルキィは自然と瞼を閉じて、口内の感覚を味わう事だけに意識を向ける。
ぢゅるぢゅると水音を立てながら、熱っぽく火照っている舌を自ら動かし、濃厚に、淫猥に互いのそれを絡め合う。
(んっ、んん……気持ちいい……やっぱりキスは好き……これ、本当に気持ちいい……)
口が性感帯というのもおかしな話なのだが、とにかくこの深く味わうキスは気持ちいい。
なんら快楽など生み出さないはずなのに、舌を絡めるのを止められなくなる。
(それに……おいしい……ランスさんとのキスって、どうしてこんなにおいしいんだろ……)
舌と舌での触れあいなど大した味が伴うはずが無いのに、どうしてかおいしく感じてしまう。
美味なる唾液を求めて舌の動きが止められない。シルキィは顔を上向きに固定したまま、対面座位の状態でランスと唇を重ね続ける。
「ちゅ、……っぢゅ、ん、ぢゅう、んむ……」
「……ふぅ、シルキィちゃん、気持ちいいか?」
「んふっ、んん……うん、気持ちいい……キス、気持ちいいの……」
「そーかそーか、そりゃなによりだ」
もはや当初の決意を忘れ、気持ちいいのだとあっさり吐露するシルキィ。
けれどそれにも気付いていないのか、あるいはもうそんな事はどうでもいいのか。
「よしよし、シルキィちゃんも十分エロエロになってきたようだな。もうこっちはコリコリだし、こっちなんかはトロトロだ」
「──あっ! んあぁ! んっ! んっ、くっ、ふぁっ! やっ、はっ、はうっ!」
コリコリの乳首を摘まれて。トロトロになった膣内を指先で弄られて。
そんな愛撫を受ける内にその体中が、そして頭の中までいやらしい熱で一杯となる。
「どうだ、そろそろここらで一発、俺様のが欲しいのではないか?」
「うん……ランスさん、わたし……」
力なくとろけきった表情のシルキィはランスの胸元に顔を寄せ、頬をスリスリと擦り付ける。
まるでにゃんにゃんみたいに甘えるそれは、彼女にとって準備OKの仕草。更なる快楽を、挿入を求める為のおねだりのようなもの。
「……ふむ、準備はOKだな」
それを目にしたランスは再びにぃ、と笑って。
「……くぅ、シルキィちゃんっ」
「わっ」
そして何故か辛そうな表情になった。
かと思いきや、突然シルキィの事をがばっと抱き締めた。
「え、あれ……ランスさん、どうしたの?」
「これまたさっきの話なのだが……君は本当にいい子だな。人間の平和の為に戦って……魔人になってもまだ人間の事を想い続けて……」
「……え? あ、まだその話?」
てっきりその話はもう終わったものかと。
だから後はこのまま挿入を、貫かれるのを待つのみと思っていたシルキィは上擦った声を出す。
「あの、それ、本当に今じゃなきゃ駄目な話?」
「うむ。だって凄い事じゃないか。俺様はもう感動で胸が痛いくらいだ」
「そ、そう……まぁ、そこまで感銘を受けてくれたのなら、悪い気はしないけど……」
けど、だ。それでもやはり、この話は今じゃなくてもよいのではないだろうか。
先程からランスはしきりにこの話をしてくる。だが聞いている方としては自らの過去話などわりとどうでもいいと言うか、むしろ今はこの満タンになっている快楽を早く弾けさせたいというか。
「えっとね、人間の平和はそりゃ大事だけど……けど別に私はそんな特別な事をした訳じゃ……」
「君のした事が特別じゃなくて何だと言うのだ。君のおかげで世界が平和になったのだから、今この世界で生きている人間達は全員、毎日君に向かって頭を下げなきゃならんぐらいだ」
「い、いいわよそんなの……」
ランスの腕の中、強く抱き締められたままシルキィは困ったように首を振る。
毎日頭を下げるなど。自分はそんなふうに崇められたい訳じゃない。その為に戦っていた訳ではないし、言ってしまえばそもそもそれに値する事など何もしていない。
自分は戦っていただけ。ただがむしゃらに戦っていただけで、この世界に人間の領域が出来たのは魔王ガイの気まぐれのようなもの。感謝というなら自分にではなくガイに向けるべきだろう。
(そうよ、別に感謝なんて……私は感謝なんていいから早く挿れて欲しい……じゃなくてっ!)
「あ、あのね、私はね、みんなが平和に暮らしてくれればそれでいいの。だから……」
「……そうか。それでいて何の見返りも求めないのだな……君は本当に、なんていい子なんだ、シルキィちゃん……」
「あっ……」
感極まったランスは更にぎゅっと、全身全霊で愛おしむかのようにシルキィを抱き締める。
熱い身体同士が隙間なく密着し、どちらのものか分からない鼓動が聞こえる。
「……なんかあれだな。君の気高い精神を見ていると……俺様は自分が恥ずかしくなってくる」
「え、えぇ?」
「だってそうだろ? 君はこんなに立派で優しい、非の打ち所が無いような子なのに……そんな君に対して俺様は随分と酷い事をしてしまった」
「酷い事って……え、何かされたっけ?」
「今だってしているだろう。あの約束があるのを良い事に、これまで君の気持ちなど考えずに好き勝手セックスしてきたではないか」
「あ、あぁ……そういう事……」
シルキィは得心がいったように一度頷く。
確かにこれまで自分はランスに言われるがまま、されるがままに性交を重ねてきた。
それは相手の気持ちを顧みない一方的な性行為であり、酷い事というのは間違いでは無い。
「……けどランスさん、それは違うわ。だってあれはそういう約束なんだから。貴方は『魔人を一体倒す』って約束を果たした訳で、だったら私も『貴方の女になる』って約束を果たさなきゃ。あれは私自身納得して交わした約束なんだから、貴方がそんなふうに気に病む必要は無いわ」
「……君は本当に優しい子だな。……けれど君がそんなに優しい子だからこそ、俺様はもうこの現状に耐えられないのだ」
するとランスは抱擁を解き、その肩に手を置いてシルキィと顔を合わせる。
そして辛そうな表情で──本当に痛切な表情でそんな言葉を口にした。
「だから──シルキィちゃん、お願いだ。あの約束はもう無効にしてくれ」
「……え、無効に?」
「あぁそうだ。もう全部無かった事にして欲しい」
あの約束。もしランスが魔人を一体倒したら、シルキィがランスの女になるという約束。
その約束の破棄を望む言葉を受けて、シルキィは戸惑いの表情になる。
「……いや、けど……でもそれじゃあランスさんが一方的に損しちゃわない? だって貴方はせっかく私との約束を果たしたのに……」
「いいのだ。もうあんな口約束で君を縛り付けておく事など恥ずかしくて出来んのだ。とにかくあの約束はもう無効だ、いいな?」
「……う、うん……分かった……」
条件を達成し、その報酬を途中で捨てるというなら確かにランスが一方的に損をする話。
つまり自分にとってはメリットしかない話。故にシルキィは深く考えずに頷いたのだが、しかしそれが大失敗だった。
「……ぃよし」
先程までの辛そうな表情は何処へやら。
すぐにランスはけろっとした顔になって。
「つー訳でシルキィちゃん、俺様とセックスをしようではないか」
「……は?」
突然そんな事を言い出した。
(続く)