うん? とシルキィは内心首を傾げる。
今、ランスは何と言った?
俺様とセックスをしようではないか?
「……え? なにそれ、どういう事?」
「どういう事も何も、俺様とセックスをしようって言っているのだ」
聞き返してみても、ランスは先程と同じように同じ言葉を返してくるだけ。
「いやだからね、その言っている意味がよく分からないんだけど」
「何が分からんと言うのだ。セックスがしたいからセックスしようって言っとるだけではないか」
「だってそんな、セックスをしようって言っても……私達は今まさに──」
──今まさにセックスをしているじゃないの。
と、そんな言葉を言い掛けたシルキィだったが、
「──あ」
ようやく気付いた。
(……そっか、私はもう……セックスなんて……する理由が……)
自分にはもうランスに抱かれる理由が無い。
これまで何度も身体を委ねてきた、そして今もこうしてランスとセックスをしていたのは、全てあの約束があったから故のものだ。
だとすればあの約束が無効になった今、必然的にそういう事になる。
だってそうだろう──だって自分とランスはそういう関係では無いのだから。
自分はランスの事が好きな訳では無いのだから。そこに恋愛感情は無いのだから。
好きでもない相手とそういう事を、身体を重ねたいなどと思うはずが無いのだから。
「………………」
「どしたシルキィちゃん、急に黙り込んで。俺様は君とセックスがしたいと言っとるのだが」
「……は、はは……なるほど。そういう手口ね」
そして同時にランスの魂胆も理解した。
この男は自分の口から「YES」と言わせたい、自らの意思でセックスを求めさせたいのだ。
キッカケはきっと先程のあれだ。「貴方の事が人間として大好きよー」と言ってからかった事、それに対しての意趣返しをしているつもりなのだろう。
「好き」という言葉を言わないなら「セックスがしたい」と言わせようという訳だ。
「けど……けど、ねぇランスさん、さすがにこれは反則だと思うんだけど」
「反則? なんの話だ?」
「しらばっくれるつもり? ……って……あぁそうか、それもお返しって訳ね……」
シルキィは諦めたように顔を伏せる。
この私、シルキィ・リトルレーズンは本当はランスの事が大好きなのだ──と、どうやらランスはそのように考えているらしい。
単にしらばっくれているだけで、本当はとっくにメロメロなのだと考えているらしい。
勿論それは事実無根であり、ランスが勝手にそう考えているだけの事なのだが、とにかく自分が一向に「好きだ」と言わない事が癪だったのか、今回このような手を使ってきたのだろう。
(それであの約束を無効にしてまで……なんていうか、随分と手が込んでいるじゃないの)
ここからセックスをするかしないか。
その選択権は今こちらに委ねられている。その状況を作る事がランスの狙いだ。
だとしたら。ここで「YES」などとは決して言ってはいけない。
自分はこれでも一応女性だ、自らの言葉でセックスを望むなど大いに抵抗がある。
そしてなにより。シルキィはランスとは違って正常な貞操観念を有している。
故に好きでもない相手と身体を重ねたいなどとは思わない。それはいけない事なのだ。
とするならば。ここで「YES」と返すのは、ランスへの想いを認める事と同義ではないか。
(……そう考えると中々悪くない手ね。……けど、けどっ! よりにもよってここで……!?)
だがしかしこのタイミングで。
いやだからこそなのだろうが、このタイミングでこんな選択肢を突きつけてくるとは。
もうこの身体の中にはもう熱が充満していて、一刻も早く解き放ちたいというのに。
それを分かってやっているのだろうが、信じられない位に性格の悪い手口だ。
(……ランスさん、随分と……随分と小癪な手を使ってくれるじゃないの……!)
それは怒りか、あるいは別種の何かか。シルキィの身体が小刻みに震える。
これは意地悪だ。嫌がらせだ。ならば自分はここで膝を屈する訳にはいかない。
忘れられた英雄と呼ばれた魔人四天王、シルキィは「……ふぅ!」と大きく息を吐き出して。
「……ランスさん。あの約束はもう無くなったのよね? だったら私はもう貴方とのセックスに縛られる必要は無いのよね?」
「その通りだとも。だからこれはあくまでセックスの申し出をしているだけだ。断りたいのなら好きに断っていいぞ」
「……そう」
まぁそうは言ってもだ、君のエロエロの身体ではどーせ断れないだろうがな。がはははー!!
──などと考えているのだろう。その表情を思い浮かべただけでムカムカしてくる。
「じゃあ答えます。セックスなんてしません」
「あれま。しないの?」
「えぇ、しないわ。だってする理由がないものね」
だから言ってやった。NOを突き付けてやった。
自分は戦士、シルキィ・リトルレーズン。
どれだけ身体が疼いたとしても、こんな意地悪な男には決して負けないのだ。
「それじゃ私はもう寝ます。おやすみランスさん」
そしてシルキィはすぐさまベッドに潜り込む。
あっという間に瞼を閉じて、その場に残されたのはセックスを断られた哀れな男が一名。
「……そっかぁ~、フラレちまったかぁ……」
「………………」
「……はぁ~、俺様はシルキィちゃんとセックスしたかったのだがなぁ……」
「………………」
さも残念そうなランスの声。
そんな戯言には耳を貸さず、シルキィは断固として沈黙を貫いていたのだが。
「セックスしたかったなぁ~。今日はシルキィちゃんの事を思いっきり、そりゃもうズコバコにしてやろうと思ってたのだがなぁ……」
「………………」
(……ず、ズコバコ……!)
しかし耳から入ってくる呪いの言葉が。
「それだけじゃないぞ。時にはゆっくり、ぬぽぬぽにもしてやろうと思ってたのに……」
「…………う」
(……ぬ、ぬぽぬぽ……!)
頭の中にその光景を、自分がこの男にそんな感じにされているシーンを思い出させて。
「最終的にはもうずだーっと、ぐちょぐちょになるまでヤろうと思ってたのに……」
「…………うぅ~……」
(……ぐ、ぐちょぐちょ……!)
更にはその細部まで鮮明に、その時の快楽までをも思い出させてきて。
すると無意識下の行動なのだろうが、シルキィの右手が身体の下の方へと進んでいく。
(……はッ! わ、私、何しようとして……!)
ふと気付いた時には危うし、その右手は勝手に秘所に触れようとしていた。
すぐそこにはランスが居るというのに、自分は一体何をしようとしていたのか。
(……でも、だってぇ……! 身体がぁ、身体が熱いんだもん……ううぅ~~……!)
つい先程まで至る所から愛撫を受け、強火でざっと揚げられたようなこの身体。
行き場を失った淫熱がずっと蠢いている。これをそのままにして眠る事など出来ようか。
(……むり。このままじゃぜったい寝れない……)
悩んだ時間は早三秒程。
シルキィは心の中であっさりと降参宣言、すぐに白旗を上げて。
「……よいしょ」
「あれ? 寝るんじゃなかったのか?」
「……気が変わったの」
そしてすくっと起き上がり、じと~っとした非難がましい目線をランスに向けた。
「……ランスさん。さっき貴方に言った事、やっぱり訂正します」
「ほう?」
遂に折れたか、意外と早かったなぁ。とニヤつくランスの一方。
魔人四天王シルキィ・リトルレーズンはすーっと大きく息を吸って。
「……やっぱり嫌いっ! 私はねぇ! 貴方の事が嫌いです!」
「え? あ、訂正ってそっち?」
「こっちに決まってるでしょう! こんな意地悪してくる人、私はだいっきらいだから!」
そして言ってやった。
これを言うのは抵抗があったが、けれども言ってやった。
こんな意地悪する人の事を、こんな性格の悪い事をする人を好きになるはずがない、と。
「……けどね、その~……」
とはいえ策士シルキィ、ここでランスを突き放したままにはしない。
鞭の後にはちゃんとアメを用意する。それが今の彼女に思い付いた唯一の逆転の秘策。
これを言うのはちょっと恥ずかしいのか、シルキィは少し目線を横に背けて。
「……もし意地悪するのを止めてくれたらね? そしたらその~、ちょっとはランスさんの事を好きになるかもしれないわね、うん」
「……む」
あれだけ自分に「好きだ」と言わせたがっていたランスなら、こう言えばきっと意地悪するのを止めてくれるだろう。
そんな甘い期待を込めて、シルキィは優しくそう囁いたのだが。
「ん~……まぁ嫌いでもいいや。それよりも今は君に『セックスがしたい』と言わせたい」
「っっっ~~~!!」
──なんて性格の悪い人!!
シルキィは声にならない叫びを上げ、目の前にいる男を鬼のような目付きで睨む。
「おいおい、随分と怖い目をするなぁ。けれど俺様が何か悪い事をしとるか? あんな約束など無い方が君の為だし、あの約束が無いなら俺様にはセックスのお誘いしか出来んではないか」
「っ、……それは、そうだけど……」
「だろ? さぁどうするんだシルキィちゃん? セックスするのかしないのか。俺様は君とセックスがしたい。そりゃもうメチャクチャしたいのだが、君の許しがないとそんな事は出来んからなぁ」
「……そう、ね……貴方の言う通りだわ……」
その言葉は確かに筋が通っている。一見すればランスは悪い事など何もしていない。
反論の言葉が思い付かなかったシルキィは、諦めたように頭をがくっと下げて。
「………………」
「……お、どうした」
そしてランスの身体にぎゅっと抱き付く。
自分の表情を相手の胸板で隠しながら、蚊の鳴くような細い声で答えた。
「…………ち、……ぃ」
「んん? 何も聞こえんぞ?」
「……ぇ、ち……したい」
「聞こえんなぁ~。こりゃ駄目だな、今日はもう君とのセックスは諦めて寝るとするか」
「……くっ」
シルキィは悔しそうに呻いた後、更にぎゅっとランスの事を抱きしめて。
「……えっち、したいです」
「ん? すまん、聞いてなかった。もう一回言ってくれ」
「……っ」
シルキィは更に更にぎゅっと抱き締めて。
「……えっち、したいです」
「ん? すまんすまん、また聞いてなかった。もう一回言ってくれ…………って、あれ?」
「……えっちがしたいです」
「そうか、分かった。もうオッケーだ……て、ちょっとシルキィちゃん、痛、痛いっつー……」
シルキィは更に更に更にぎゅっと抱き締めて。
「……えっちがしたいです~~~!!!」
「──あだだだだだっ!!! 折れる折れる!! てか死ぬ! 死ぬ死ぬーー!!!」
それはもう愛憎込めて、絞め殺すような勢いでぎゅぎゅ~っと抱き締めて。
魔人四天王必殺のパワー、必殺のサバ折りを食らったランスは本気の絶叫を上げた。
「ぎゃーー!! 死ぬ死ぬ死ぬ! 分かった分かった! 君の気持ちは分かったから!!」
「ほんとに? ほんとに分かってくれたの?」
「分かったって! てかほんとに死ぬから!!」
「そう、分かってくれてよかった。えへへ♡」
それはもう可愛らしく微笑んで、シルキィは必殺のサバ折りからランスを解放してあげた。
「えっほ、げほ……ぼ、暴力はイカンぞ、シルキィちゃん……」
「暴力なんてそんな、私はただ想いのあまり貴方に抱きつきたくなっちゃっただけよ。……それとねランスさん、一つ忠告しておくけど、貴方が今意地悪をしている相手は魔人四天王だって事を忘れない方が良いわよ」
どれ程に性格が優しくても。どれ程に頭の中がエッチな事で一杯になっていようとも。
その気になればたかが人間など軽く絞め殺す事が出来る、それが魔人四天王という存在。
そしてそんな魔人四天王の一人、シルキィは途端に物欲しそうな表情を浮かべて。
「あだだ……胸が痛い……」
「ね、ねぇ、それよりもさ……」
「あん?」
「……したい、って、ちゃんと言ったんだからいいでしょ? それとも今日は本当にしないの?」
「む」
その言葉に、ランスもすぐに顔を緩めて。
「あのなぁシルキィちゃん、この俺様だぞ? しないなんてウソに決まってんだろー!」
「あっ……」
すぐにその身体を押し倒して、屹立したハイパー兵器をその秘所に合わせる。
狙い通り、この魔人に「えっちがしたい」という本心を言わせる事には成功した。
ちょっと肋骨は痛むがまぁよし。そんな訳で躊躇する事も無く、腰を深々と突き入れる。
「──んっ! あっ、くううぅぅう~~……っ!」
待ちわびていたそれが、身体に馴染んだその感触が身体の中に入ってくる。
こういう素直な所、なんのかんの言ってちゃんとしてくれる所はちょっぴり好きかもしれない。
自らの膣穴よりも大きいモノに貫かれながら、シルキィはそんな事を考えた。
──そして、その後。
共に英雄色を好む同士。そんな二人のセックスは長時間に及ぶのが毎回の事で。
すると先程ランスが言っていた通り、そこにはまるで別人の顔が姿を表す事となる。
「はぁっ! はあぁ! あぁん!」
少し前までとは大きく異なる甲高い声。
それを途切れる事無く上げながら、シルキィの身体が何度も上下に跳ねる。
「ああっ! あっ、あっ、きもちいい、あ、あっ、もっと、もっとぉ!」
結合部からぶちゅぶちゅと音を立て、その度に快楽の液体が溢れ出す。
これはもう何度目かの交わり、その都度体位を変えて、今シルキィはランスの上に跨り、騎乗位にて自ら激しく腰を振って快楽を貪っていた。
「あぁっ! あんっ、あんっ! 駄目っ、ランスさん、好きぃ!!」
「ほら言った!」
すると聞こえてきた言葉。
シルキィが喘ぎと一緒に漏らしたその言葉、それにランスが目敏く反応する。
「な、言ったよな? 今きみ俺様の事が好きだって言ったよな?」
「うんっ、ううんっ! んあっ、やぁっ! ランスさんっ! 好き、好きぃ!」
「ほらまた言った! 絶対好きだって言ってる!」
上手に呼吸を合わせて、シルキィが動くと共に下から思いっきり突き上げてやる。
そうすれば生じる甘美な程の快楽に、彼女は訳も分からずその言葉を口にする。
「シルキィちゃん、今好きだって言ったろ? 言ったよな? 認めるよな?」
「あぁんっ! うんっ、うんっ! イッてる、イッてる、からぁ!」
「いやそうじゃなくて……まぁそっちもそうだが、ぬぅっ、相変わらず凄い締付けだ……!」
腰を振りながらも絶頂に達しているのか、シルキィは身体を大きく仰け反らせて。
その甘い悲鳴と共に膣内がきゅうと窄まり、内にある異物を容赦なく絞り上げる。
熱々で靭やかに柔らかいそこはランスも呻く程の快楽を生み出して、だがそれでもまだ足りないと言うかのように、達したばかりのシルキィは腰を動かすのを止めようとしない。
「あ、あっ! き、気持ちいい、よぉ! んあぁ! ランスさんっ、すごいぃ……!」
「な、な、シルキィちゃん、もう一回言ってみ? 俺様の事が好きなんだよな?」
「ふぇ? ……んふふ、うん……好きぃ♡」
そう頼んでみれば、シルキィはとても素直に応じてくれる。
しなだれるように前のめりになって、ランスの首に両手を回しながらその言葉を口にする。
昼間には言う事の無い「好き」の言葉、それを言う顔は昼間には決して見られない妖艶な表情。
昨日話してみて分かった事だが、今のシルキィは頭の中が快楽で一杯らしく、どうやら本人にこれを言っている自覚症状は無いらしい。
しかしこれを聞けば「シルキィは自分の事が好きなのだな」と思うのは当然の事ではないか。
ここ最近セックスの度にこれを聞いているランスからしてみれば、そう勘違いするなというのが無茶な話というものである。
「えへへぇ……ランスさん、好きぃ、好きだよ♡ 好きなの♡」
「だよなぁ、やっぱり君は俺様にメロメロなんだよな。自分からこう言ってんのに、普段の君はなんでか認めようとしねぇんだよなぁ」
「だってぇ……今の私は私じゃないもん……」
「いやだからな、その言い分はズル……むぐ」
その反論は唇で封じられる。
キスがしたくなったシルキィは自ら唇を重ねてきて、仕方無くランスも舌の動きを合わせる。
だが先程からの通り、この魔人が「ランスさん、好き♡」と言っているのは厳然たる事実。
しかし普段のと言うべきか、昼間のシルキィは決してその事を認めようとしない。
今の自分とセックスをしている時の自分は別人だから。そんな言い分で否認してくるのだ。
(ぐぬぬ……やっぱりズルい。その言い分は絶対にズルいと思うぞ。まったく、普段のシルキィちゃんに今の自分の姿を見せてやりたいぜ)
本心を言う自分を別人だと言い張るシルキィ。
どうにかしてこの子に自らの本当の気持ちを認めさせる方法がないものか。
こうして抱いている時は可愛らしく好き好き言ってくるシルキィを見ると、ランスとしてはそんな考えを抱かずにはいられない。
「ちゅ、ちゅ、ぢゅる、ちゅぱ……、へへ、キス、おいしい……♡」
「む……あそうだシルキィちゃん。今の君が自分に向けて手紙を書くというのはどうだ? 自分の字で書かれたものなら君だって信じるだろう」
「えぇ~……やーだ♡」
「なんでだ、いいだろそのくらい」
「だってそんなのいらないもん。そんな事よりもさぁ……もっとしよ? ね?」
うっとりするような微笑みを浮かべて、シルキィは「ね~♡」と小首を傾げる。
「それとももうだめ? ランスさんは限界かな?」
「ああん? おいシルキィちゃん、この俺様をナメんなよ?」
その挑発を買ったランスは、中断していた抽送を再開する。
「あっ! ん、ひっ、あ! ああんっ! ランスさぁんっ!」
その腰の上、小さい身体がゆっさゆっさと上下に動き出す。
そうしてまたあられもない声が聞こえて、シルキィはまた快楽を貪り始める。
だが彼女はまだ知らない。自らの運命を。それをこの数時間後に知る事になるという事を。
そして自らの本心も。この男に向けているそれを直視せねばならない時が訪れるという事も。
そしてこれは余談となるのだが、果たして何故それが今日この日の夜だったのか。
何か切っ掛けとなって、シルキィの夢の中に黄色いトリのお告げが来る事となったのか。
その理由の一つはあの約束。
ランスとシルキィの関係性を固定していたもの。それを破棄したのが大きな切っ掛け。
そしてもう一つ、それは意外にも先程シルキィ自らが呟いた言葉が要因となる。
ここまでシルキィは様々な理由から、ランスに対する自らの想いを自覚するのを避けてきた。
それは例えば、すでにランスに想いを寄せている何名かの女性達に遠慮しての事であったり。
あるいはそれを自覚する事で、自分がこれまで魔王ガイに向けていた想い、それが薄れてしまうのを恐れたからであったりと。
とにかく色々な理由があって、半ば意識的にその想いと向き合うのを避けてきていた。
しかしこの日、シルキィは曲がりなりにも自らの想いと向き合い、その言葉を口にした。
それは自らの好意とは少し異なるが、彼女が目を逸らしてきたもう一つのもの。
つまりは「えっちがしたい」と言ったあの言葉。まだ夜の顔になりかけていないシルキィが口にした、あの言葉が切っ掛けで。
「あぁん! ランスさんっ、ランスさんっ!」
「おぉ、どーしたシルキィちゃん! そんなふにゃふにゃな顔して、俺様にもうメロメロか!?」
「うんっ、うん……! もう、もう無理ぃ……ランスさん、好きぃ……♡」
「……ぐぬぬ、ぜーったいにメロメロだって白状しとるんだよなぁ。いっそラレラレ石でも準備して今の姿を記録しといてやろーか?」
「えへへぇ……だーめ♡ 今の私はえっちな私だから、何をしたって私は知らないもん……♡」
ランスの策略に負け、自らの本心を嫌々ながらも受け入れて言葉にした事。
えっちがしたいと答えた事が切っ掛けで、自らの運命を知る羽目になろうとは、只今えっちをしている最中のシルキィは勿論知るはずも無く。
「あぁっ! あんっ、あっ、あっ、あああっ!」
「よーしっ、シルキィちゃん、そろそろラストスパートだ! 行くぞ、行くぞー!」
「うぅん! 来てっ、来て! わたし、のっ、なかにっ! いいよ、ランスさぁんっ!」
「くううう、出る出る、出すぞーー!!」
「──あっ、あああぁぁぁあッ!」
やがてランスのハイパー兵器が何度も脈打ち、シルキィの身体が限界まで仰け反る。
互いに仲良く絶頂を迎えると、紐が切れたかのようにシルキィがランスの上に倒れ込んでくる。
「がははは! 今日も濃いのが何発も出たぜ! 気持ちよかったなぁシルキィちゃんっ!」
「──う、ん……きもち、よかった……んちゅ、うぅん……れる……はっ……」
そしてまたすぐ唇を艶かしく重ね合う。
常人を凌ぐ性欲を互いにぶつけ合い、互いに譲らず果ててからも尚求め続けて。
そんな英雄同士が交わる様は、運命の繋がりを強く感じさせる程お似合いなものであった。