【完結】最愛の真面目な政務官が山賊のお頭と幸せになる話 作:のぶた
※微エロ
(うぅ……流石にやっぱり……着替えてきた方が良いでしょうか……)
シャワーを浴び、下ろしたばかりの新しい石鹸の香りに包まれた私は、暗い廊下を歩き、一人モーティマさんの部屋へと向かっている。
身に纏っているのは、袖などにフリルがついた、ふくらはぎ程まで丈のある、お気に入りのピンク色のワンピースの寝巻。そこまでは良かった……けれども。
(さ、流石にこの下着は……あぁ……私は何て愚かなことを…………)
寝巻の中に隠れた下半身が何とも心許なく、ふとももの間の最も大切な所がスースーと感じる。
シャワーを浴び、新しい石鹸を使い、ここまでくればと下着にも気合を入れた……入れすぎた事を後悔する。男性が喜ぶ下着というものがどういう物かは判らなかった為、昔軍の魔女の方から頂いた、いわゆる勝負下着という物を使わせてもらう事にしたのだが。
下着を確認してみると、本来の下着の形状である逆三角形の下の角を切り取った虫食いのような形状になっており、大切な所を隠す機能が全く果たされていなかった。もし今寝巻が捲り上がろうものなら、隠さねばならない所を一切隠すことができずに周囲に大事な場所をあられもなく晒してしまうだろう。先ほどまでは勢いやらで疑問に思わなかったが、よくよく考えたらこんなものを履いてくるなんて……。
(まるで、へ、変態じゃないですか。ひかれてしまわないでしょうか……というか、これは下着なのでしょうか。はぁ……)
心臓がバクバクして、顔が爆発しそうに熱い。あぁ、帰りたい……けれど、ここまで来てしまった以上今更戻るのも……既に彼の部屋は、目と鼻の先だ。
(まぁ……喜んでくれるかもしれませんし……)
そうだったら嬉しいな……等と考えている内に、目的の部屋の前に辿り着く。ノックをしようとした所でハっと思う。
(王子の場合、毎回この辺で……)
先ほどの件も含めて軽いトラウマになっているのかもしれない。もしかしたらまた中から誰か……と思ったが、中で怪しい行為が行われてる物音も声もしない。まぁ、モーティマさんにそのような相手がいる筈もありませんしね。
しかし兵舎は防音設備が整っているといえ、中からの物音を一切感じず、むしろ起きているか不安になってくる。
(眠ってしまわれたでしょうか……)
不安に思いつつ、小さくノックを二回鳴らす。
少しして扉が開くと、中からモジャモジャした髭面の男、モーティマさんが顔をだした。下半身こそいつものズボンだが、上半身は衣服を身に纏っていない半裸の状態。女性の前にそのような恰好で出るのはデリカシーが……と昔は思ったが、今ではすっかり見慣れてしまったものだ。
モーティマさんは私を見て、少し驚いたような顔を見せた。
「どうして驚いたような顔をしているんですか」
「……や、まさか本当に来るとはよ」
頭をボリボリと掻きながら、そのような事を言ってくる。まさか、冗談のつもりで言ってたのでしょうか。
「……帰りますよ?」
「お、ま、まぁ待てって」
ジっと目を細めて彼を言うと、慌てたように返してくる彼が、何だか面白い。
「まったく、来てあげたんですから、感謝してくださいね。勿論、おもてなしくらいしてくださるんですよね? 何もないならこのまま帰ってしまいますから」
少し意地悪に言うと。
「おう、ちょうど食堂に出したい新メニュー考えててよ。まぁ、入れや」
そういって手招きする彼の後ろを追い、私はモーティマさんの部屋へと入った。
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「いつ来ても殺風景な部屋ですね」
すっかりこの部屋に来ての定位置となっていた、部屋の隅にある椅子に腰かけ、新作スープとやらを準備しているモーティマさんの背中に話しかける。
部屋の中にはモーティマさんの私物である斧や鎧?(肩パッド)が無造作に放置されている程度で、それ以外の内装は貸し与えられたままと言った状態。一度聞いてみた事があるが、内装などには興味がないそうだ。
「昔は野宿ばっかで物を置くなんて考えたことなかったしな……おう、冷めないうちにとっとと飲めよ」
と、ポカポカと白い湯気を立てるカップを差し出してくる。
「ありがとうございます、いただきますね」
カップを受け取ると指先から暖かな熱が伝わってくる。容器に口を付けスープを口に含むと、スープの熱が身体に染み渡り、口にほんのりとした甘さと花のような香りが広がる。食事と共に出すというより、食後に飲む紅茶のようなものかもしれない。
「……で、どうよ。お味の感想は」
向かいにあるベッドにドスッと腰掛けながら、モーティマさんがスープの感想を求めてきた。
「そうですね……ほんのりと甘くて口当たりも良いですし、凄く飲みやすいです……この香りは何かの香草でしょうか」
「おぉ、よく気付いたな。実は最近、何かに使えるんじゃねーかって、ハーブを育ててみててよ」
大雑把さを感じる見た目に反して、ハーブの栽培とは意外だ。
「モーティマさんがハーブをですか?」
「あ、あぁん? わりぃかよ」
「いえ、そんな事はありませんが……ふふ、少し意外だなと思いまして」
「……けっ」
等と互いに本題には触れず、取り留めのない会話をして過ごす。その後も食堂に追加するのであれば、あーしたらこーしたらと意見を言い合ったりして過ごして……。
「……それでは、コックの者に伝えておきますね」
「おぅ、悪いけど頼むわ」
「…………」
「…………」
……話す事がなくなり、沈黙が部屋を支配してしまった。
「…………」
「…………」
尚も続く沈黙に、私が先に耐えられなくなってしまった。
(まったく、こういう場合、男性からエスコートするものではないのでしょうか……)
そう思いはしたが、かと言ってここまで来て逃げるわけにはいかない。ちゃんと覚悟をしてきたのだからと、私は意を決して椅子から立ち上がる。
──ギッ
座っていた椅子の軋む音が、何だかうるさく聞こえる。それに
──ドッドッドッ
心臓はもっと騒々しい。
そのままモーティマさんの腰掛けるベッドへと一歩一歩近づくたびに、胸がドクンドクンと大きな音をたて、身体が熱を放ち始めてしまう。そのままモーティマさんの隣にストンと腰掛けると、私と彼の重みでよりベッドが深く沈み、ギギッとクッションがしなる音を立てる。
凄く身体が熱い。胸の鼓動がドクドクと痛い。
このベッドでするのが初めてということはなく、先週あたりにもした記憶がある。
だというのに、これほどまでに緊張するのはコレが初めてかもしれない。
今日は凄く危ない日で、今からこのベッドの上でするという事はつまり……。
「……本当に良いのか?」
頭上から、そのような言葉が聞こえてくる。良くないと言ったらここで終わるのだろうか。拒否すれば、これまでと変わらず政務官を続けていくことになるのだろうか。
けれども、今更それでは納得が行かない。ここまで来て、選ばせるような言葉を言わないで欲しい。選んでなければ、ここには来ていないというのに。
足の上で合わせた手の平にギュっと力をこめて。
「覚悟は……してきましたので……」
そう言って頭一つ分ほど上にある彼の顔を真っ直ぐに見つめて返す。そう返すと、視線の先にあった少し強張っていた顔が、安心したようなホっとしたような顔を見せる。
「良いんだな」
(……ッ!)
私の背中から左腕を回されていたようで、彼の左手が私の左腰に添えられたのを感じる。手の平から感じる体温は熱く、緊張で少し身体が強張ってしまう。そのままグッと強く引き寄せられると、モーティマさんの胸にもたれかかるような恰好になってしまった。
(…………熱い)
彼に預けた肩から火傷しそうな程の熱さが伝わってくる……いや、コレは自分の熱さなのかもしれない。服越しとは言え密着した部分に熱が籠り、触れ合った部分から互いの体温がどんどん上昇していき、身体に汗がじんわりと浮かび始めているのが判る。
少しの間彼の体温を感じていると、私を抱き寄せていた彼の左手がゆっくりと動き、
「んッ……♪」
私の腰のラインを確かめるように、ゆっくりと腰の上から下に向けて撫でられる感触。こそばゆいとも気持ちよいとも言えない何とも言えない感覚に、つい声が漏れてしまった。
「んっ……んぅ……っ♪」
そのまま二度三度と私の腰をさする彼の手の平の感触に、思わず声が溢れてしまう。身体の奥から熱が灯り始めて、今すぐ服を脱ぎさりたい程に、身体が熱を持ち汗ばみ始めていた。
(あぁ……もっと、触ってほしい……)
優しい腰への愛撫だけではもどかしさを感じてしまった。そんな私の心の声に応えるかの如く、彼の右手が私の胸へと伸び。
「……んんっ♪」
私の右胸のふくらみを、大きな手の平全体で包みこまれる感覚。胸の先から伝わる手の平の熱と、甘く痺れるような感覚。そのまま、私の胸の感触を楽しむように、手の平に力が込められていく。
(あっ……んぅッ……♪)
三度ほど胸を優しく揉まれる、その感触に胸からジンジンと痺れが広がり心地よい。
……けれど、少し物足りない。
(もっと直接……)
「おい……脱がすぜ……」
そう思ったのと、ほぼ同じタイミングだった。このまま彼に身を任せてしまおうと思ったが……
(そういえば、あの下着は……ッ!?)
大事な所を隠せていない、下着としての意味があるのか判らない下着を履いている事を思い出した。
「ま、まってください…………」
思わず一度静止する。そういう事をする以上どうせ見せなければならないのは判っている。判っているのだが、その覚悟がまだ完了していない……みられるにしても、せめて自分のタイミングの方が良い。
「じ、自分で脱ぎますから…………」
……もっと恥ずかしい事を口走ってしまったような気がするが、しょうがない。
このまま最後までは長くなりそうなので一度区切り。後編は明日朝までには上げたい。