※この作品はR-18です。

【完結】最愛の真面目な政務官が山賊のお頭と幸せになる話   作:のぶた

5 / 13
※エロなし


第0.5話 アンナさん視点 兵舎裏で(前編)

「あの……正気ですか?」

 

正面にいる男に、私は呆れた声で返す。

 

「あぁ? 当たり前だろ?」

 

目の前の男性……モーティマさんから帰ってきた反応は、いたって平常そのものといった反応だ。

 

「いくら何でもこのような……いつ誰に見られるかも判らぬ場所でと言うのは流石に……」

「あぁん? それが良いんじゃねぇか。それに遠くからじゃ見えねぇよ」

 

そう、当たり前のように返してくる目の前の彼。

……おかしいのはもしかして自分なのだろうか?

そう錯覚してしまう程に、今の状況に何の違和感も抱いてない様子。

 

日が落ちて少し経ち、周囲が暗闇に包まれ始めた時刻。

私とモーティマさんは、兵の皆さんが寝泊まりしている兵舎……その裏庭にいた。

そこは沢山の木々が生い茂っており、小さな林のようになっている。

空からの星明りはそんな木々に阻まれて地上までは届きにくく、

夜の暗闇の中では互いの顔の認識すら難しい。

 

早朝には自然の空気の中で鍛錬を行う者も見られるが、

流石に今の時間にそのような事をしている人は一人もいない。

確かに、このような場所でなら、遠目からは人がいる事すら確認はできないでしょうが……

 

「……本当に、本気ですか?」

 

兵舎の向こう側から聞こえてくる賑やかな声。

そこで開かれている祝宴は、まだまだ終わりそうにないようです。

念のため、もう一度目の前の男に確認してみる。

 

「おうよ。決まってんだろ」

 

(…………はぁ)

 

至って普通だと言わんばかりの男の反応に私は頭が痛くなり、思わずこめかみのあたりを抑える。

 

(えっと、どうしてこうなったんでしたっけ……)

 

======================

 

──2日前。魔王との最後の戦いは、無事に王子たちの勝利で戦いを終えた。

 

魔王が討伐された事で世界の魔界化は収まり、瞬く間に元の大地の姿取り戻していった。

王子たちが王国へと帰還してすぐに、王城を開放しての盛大な祝宴が開かれ、その宴は丸一日たった今でも続いている。

魔王という最大の脅威は去ったとは言え、魔物に破壊された大地や家屋など、その被害全てが元通りになるわけではない。

今後の復興についての課題は山積みなのですが……ですが、今はこの喜びを皆で分かち合うのも、良いと思います。

 

「おぉう! じゃんじゃん酒もってきやがれ!」

 

ふと、宴の開かれている会場の一つである中庭の中央で、人一倍大きな声で叫ぶ男の声がする。声のした方を見ると、中庭の中央でテーブルに立ちあがった、酒瓶片手のだらしない男の姿……モーティマさんの姿が目に入る。

 

(……まったく、あの人はまた……)

 

私は彼の元へと近づくと……。

 

「モーティマさん。仮にも軍の一人として、恥ずかしくない行動をしてください」

 

そう伝えるのだが。

 

「あぁん? こんな時くらい別にいいじゃねぇかよ。うるせぇなぁ」

 

…………。

 

「……どんな時であろうと、礼節は忘れないようにと、何度言えば判るのですか。いいですか、仮にも軍に属している身である以上あまり勝手な」

「わぁーったわぁーった。わぁーったからアッチに行ってくれ。酒が不味くなっちまう」

 

話を聞き終わる前に、そういってシッシとあしらうように手を振る目の前の男。

……その言動には、流石にカチンときた。この人はどうして本当にこう野蛮なのだろうか。

 

「……判りました。モーティマさんは祝宴が開かれてる期間、飲酒を禁じます。もし酒を飲んでいるのを見かけたら、軍法会議へとかけ処罰します。お酒を飲んでしまうと問題行動が多いようですので、反省されてください」

 

「あ、あぁん?」「おいそりゃねぇだろ!」という言葉が聞こえてくるが、無視。慌てているようなので良い気味です。

 

「兎に角、しばらくはお酒禁止です。わかったらテーブルからおりてください」

「……ちっ、わーったよ」

 

モーティマさんに強く言うと、しぶしぶといった感じでようやくテーブルから降りる。

そうしてそのままどこかへ去っていこうとする彼だが。

 

「……どこへ行くおつもりですか?」

「べ、別にどこだっていいだろ。じゃ、じゃあな」

 

そう言いながら、そそくさと逃げる用に去っていくモーティマさんの後ろ姿を目で追う。

……あの人は本当に人の話を聞いていたのでしょうか。

 

(せめて酒瓶は置いていってください……)

 

======================

 

「だから何度」

「うおっ!」

 

──王城内のパーティ会場。

 

「お酒は禁止だと言えば」

「あぁっ!?」

 

──食堂の調理室。

 

「わかるんですか!」

「なんでついてきてんだよ!」

 

──暗く静まりかえった兵舎裏の林。

 

お酒を禁止だと伝えてすぐだというのに、場所を代え酒を飲もうとする彼を咎める内に、気付けばこんな人気のない所まで来てしまっていた。

 

「本当に軍法会議にかけますよ」

「ここで飲む気はねぇっつの、あっちいってろ!」

 

その言葉を信用しろと言う方が無理ではなかろうか。

 

何度言っても聞こうともしない目の前の男の行動に頭が痛い……少しくらい大人しくなってくれればと思っていたものの、少しも効果はなかったようだ。そんな事を思っていると、彼の身体が少しブルリと震え

 

「だから飲ま……っ、ああもういいからあっち向いてろ!」

「……はぁ?」

 

そんな事を言い出す。目を離している間に飲まれては意味がない。そう思い怪訝な目を彼をジっと見ると、逆に彼の方から後ろを振り向いた。ガサゴソと動き、何やらズボンの当たりを弄っているようだが……。

 

(何をしているのでしょうか……?)

 

そう気になっていると

 

──ジョボ……ジョボボ……ジョボボボボ……

 

目の前から水が流れ落ちる用な音……そして、彼の下腹部辺りから流れ落ちているかのような液体…………まさか。

 

「ッ!? な、なななな、何をしてるんですかっ!! そ、そういう事はトイレに行って」

「う、うっせーな! テメェがずっと追いかけてくるから行く暇なかったんだよ!!」

「ッ!!」

 

私は思わず後ろを振り返る。

 

──ジョボボボ……

「…………」

「…………」

 

私もモーティマさんも無言になり、なおも続く、モーティマさんの排出行為。

 

──ジョボボ……

「…………」

「…………」

 

私は一体何を聞かされているのでしょうか……。

 

──ジョボ……

「…………」

「…………」

 

……………………。

 

──ピチャ

「…………終わったぞ」

「…………」

 

……そんな報告はいりません。

 

======================

 

ガサゴソと、背後から聞こえる衣服をただすような音が聞こえる。

 

(まさか、こんな所であのような事を……ッ)

 

先程のモーティマさんの排出行為を思い出し、思わず顔が熱くなる。本当に目の前の男はあまりにも野蛮で、私の想像もつかないような事ばかりする。そして、チラリと見えてしまったモーティマさんの下半身の男性のアレ。ほんの数日前、私はアレに……。

 

(い、いけない、私は何を考えて……!)

 

三日前、魔王との決戦を控えた夜。私はお酒の勢い余ってというか、雰囲気にのまれてしまってというか、一度だけという約束で……彼に身体を許してしまった。

 

何故あのような事をしてしまったのか……これから彼とどう接すれば良いか……凄く悩んだものの、彼の態度は以前と特に変わらなかった。彼があの夜の事を口に出す事はなかったので、私もあの夜の事には触れないよう、忘れようと過ごしてきた筈なのに……。

 

(王子のより……大きいのでしょうか。……ッ!?)

 

……また変な事を考えてしまっている自分に気付く。いけない、気持ちを切り替えないと。

 

「おい」

 

後ろから声がかけられる。どうやら終わったようですね。

 

「……終わりましたか。モーティマさん、今後二度とこのような場所でそのような事は……」

 

そう言いながら振り返ると

 

「…………はい?」

 

目の前の予想外すぎる光景に、思わず疑問の言葉がそのまま口をつく。

 

排出を終え、衣服を整えていた筈のモーティマさんは、しっかりとズボンをはいて……いない。

いないどころか、ズボンを脱ぎ去り、その下半身の男性のアレを……男性器を隠す事なく私の前に晒している。

 

「な、な、一体何を考えてっ!?」

「ば、ばか、声でけぇよ!」

(むぐっ!?)

 

叫びだしそうになった私の口を彼の手が塞いだことで、それ以上の言葉を続けられない。

ちょっと待ってください、あなたその手は先ほど何かを触っていませんでしたか!?

 

その後も何度か声を上げようとしたものの、口を遮られていては何を発する事もできない。まさかこのまま……と思ったものの、それ以上特に何かしてこようという気配のない彼に、徐々に心が落ち着きを取り戻し、一旦叫ぶのを諦める事にした。

 

そんな気配が伝わったのか、彼の手が私の口から離れる。

 

「ぷはっ…………ど、どういうおつもりですか」

 

警戒心を込めた声で彼に尋ねる。

 

「いや、なんつーかそのよ……二人きりだなとか気付いたら、思い出しちまってよ」

 

そう言い放つ目の前の男は、自身の下半身を見る。その視線を追うと彼のアレが、既に興奮した状態にある事がわかった。つまりモーティマさんは……そういう事がしたいという事なのだろう。

 

「あの……正気ですか?」

「あぁ? 当たり前だろ?」

 

「いくら何でもこのような……いつ誰に見られるかも判らぬ場所でと言うのは流石に……」

「あぁん? それが良いんじゃねぇか。それに遠くからじゃ見えねぇよ」

 

今王城には沢山の人がいる。この兵舎を一つ挟んだ向こうからも、

勝利を祝う賑やかな声が聞こえてくる。

例え人目にはつきにくい場所とは言え……。

 

「……本当に、本気ですか?」

「おうよ。決まってんだろ」

 

(…………はぁ)

 

彼のそんな言葉に、私は──




本番は後半で……
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。