【完結】最愛の真面目な政務官が山賊のお頭と幸せになる話 作:のぶた
近郊に現れた魔物を討伐したあの後、王子の書類の整理を手伝い、復興についての会議へ参加し、施設の査察を行った帰り道。間もなく日が暮れようとする時間。
(もうこんな時間ですか……そろそろ約束の時間ですね)
約束の時間が近い事を思い出して、前を行く王子に声をかける。
「すみません王子」
王子は足を止め、私へと振り返った。
「モーティマさんの治療の件がありますので、少し外してもよろしいでしょうか?」
そんな私の問いかけに対して王子は特に気にすることもなく「……(こくり)」と頷き返してくれた。私が彼と会う事に、特に思う事などはなさそうだ。
「それでは王子、また後程」
そういって王子に手を振って別れると、私はモーティマさんと約束していた医務室へと向かった。
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医務室につくと、モーティマさんは先に到着していたようで、医務室の椅子に腰かけ「おう」と手を上げる。もしかしたらすっぽかすかもしれないと思っていたが、どうやら杞憂だったようだ。
「包帯を出しますので、少し待ってください」
そういって彼に背を向けた私は、上の戸棚にあった筈の包帯を取り出すべく手を伸ばすが……。
「そんなもん、別に良いからよ」
(ッ!?)
背後から不意にガバっと丸太のような腕に抱きしめられたことで、身体がビクリと反応をする。そのまま彼は右手を私の右胸へ伸ばし
(……ぁ……ッ♪)
彼の温かい手の平が私の右胸全体を包み込む。その温かさが伝わり、思わず変な気持ちになる。更に彼の行動は止まらず、彼の空いていた左手が下半身へと向かい、
「……ぅんッ……♪」
スカートの間に入り込んだ指が、私の太ももを優しく撫で、ゾワゾワした感覚が身体を走る。そしてそのまま指はスルスルと私のふとももの付け根あたりを目指して進行を開始しようとする。けれど……
「あ……ま、まってくださいッ!」
後ろを振り向いた私は、ドン、と両手を彼の胸あたりにぶつけ、彼から離れる。彼は「あ、あぁん?」と行った困惑の顔を浮かべている。危うく流されかけてしまっていた自分を反省し、深く深呼吸して。
「今日は、そのような事をしにきたわけではありません」
極力平静を装ってそう伝えてみる。
「あん? こんな人気のない時間指定しておいて、そりゃねぇだろうよ」
うっ……確かにこの時間に来るように伝えたのは私ですが。それはただ、普通に仕事があったからであって、今日は本当にこのような事をしにきたわけではない。だって……
「その……今日は……危ない日、ですので……」
もし彼の子を身籠ろうものなら、この関係を隠す事などは出来ないだろう。
「あぁー…………」
この関係が王子に知られれば、危ないのはきっと彼自身。
「そりゃしょうがねぇか……」
最悪極刑などに問われるかもしれない。彼は自制が効かないようで何度言っても中で果てようとしてしまうため、危ない間はそもそもそういったことはしないと決めている。
(けれど……お辛そうですね)
彼の下半身を見やると、そのズボンは中央の当りが大きく膨らんでいる。奥にあるものがいまにも飛び出しそうな勢いだ。
……こんな時間を指定してしまった自分にも責任はあるのかもしれない。致し方ありません。
「……出してください」
意を決してそう伝える。
「ぁ?」
「だからその……ソレを」
彼の下半身の中央に指をさして意図を伝えようとするが。
「金なんてもってねーぞ?」
「ち、違います!」
はぁ……。
「その……モーティマさんのソレを出してください……口で……してあげますので」
自分からこのような事を言い出すなんて。恥ずかしさで顔が爆発しそうになる。目の前の彼も、私が自分からそう言いだす等とは思っていなかったようで、少し驚いたような表情をしている。けれどすぐに。
「おぉ、マジか。早速頼むぜ!」
等とニカっと笑って見せる。すぐ後にガサゴソとズボンを脱ぎ去ったかと思えば、ドスンとベッドに腰掛け、その大きく勃起した下半身をボロンと私の前に曝し出した。
(……恥ずかしいとか思わないのでしょうか)
言葉を聞いてすぐに下半身を露出させた目の前の男に、なんとなくそんな事を思う。私はいつまでたっても、異性に裸を見られるというのは慣れそうにもない。
「それでは、失礼します」
座った彼の股の間へと座り込み、そそりたったソレに顔を近づけると、大きく天井を向いてそそり立つ彼のアソコが、ビクビクと奉仕を待ちわびているかのように打ち震える。
(せめて、シャワー位は浴びてもらうべきだったかもしれません)
鼻先からツンとくる男臭い香り。外で魔物の討伐を終えたあと、戻ってきてシャワーなどを浴びてる訳もないだろう。汗と熱の籠った匂いがする。
(けど……初めての時ほど嫌な感じもしないですね)
こういった奉仕は何度か経験はあるが、初めは嫌悪感ばかりだったその匂いが、いつの間にか気にならなくなっている。それどころか、この匂いを嗅ぐとどこか身体が火照ってしまうような……。
(……いけません……変な気持ちになる前に、早く終わらせないと!)
そう思い、目の前にある彼のソレに両手をそっと添える。手が触れた瞬間、ソレがまるで魚のように勢いよくビクビクと跳ねた。思わず──
──ギュッ
暴れまわろうとするソレの動きを止めようと、強く握りしめてしまう。頭上から「ぐお」と言った声。
「す、すみません。痛かったでしょうか?」
「いや、大丈夫だ。続けてくれ……」
頭上から心配するなという声が届き、ホっとした。続けようと、彼の男性器を握った手の平に少し力を込めると、再びビクビクという振動が両手越しに伝わってくる。
(熱い……ビクビクしてる……)
そのまま両手を前後にスライドするようにし、目の前にある彼の男性器を擦ると、頭上から「ぐっ」「おおっ」などと呻き声のようなものが聞こえてきた。その度に握りしめた彼の男性器から手を飛び出さんとするようなビクビクとした振動が、指越しに伝わってくる。
(気持ちよくなって……くれているようですね)
力加減が合っているかは判らないが、彼の声や指から伝わる感覚で、彼が快感を感じている事が判る。擦るたびにビクビクと動く男性器と彼の反応があまりにも素直で、そんな様子を見ていると、何だか嬉しいやら楽しいやらよく判らない気持ちが生まれてくる。
(…………ふふ♪)
なんだかそれが可愛らしく思え、唇の先でキスするように少しだけ触れてみる。
──ちゅっ
──ビグビグビグン!
彼の男性器が一層強く、悦びに打ち震えているのが判った。あまりの素直さに
(……本人も、この位素直だとよいのですが)
なんて事を心の中で思う。しばらくそうして彼の男性器を擦っていると、その先端から透明な液体が溢れ始めてきた。
「そ……そろそろ頼むわ」
「は、はい……」
当然、手で擦っているだけで終わりではない。ここからが本番だと、舌を出し彼の男性器に触れ、ズっと先端をなぞる様にソレを舐めとってみる。
「ぐ、ぐおぉっ……」
(……んっ♪)
口の中に苦味と汗のしょっぱさが広がるが、それほど気にならない。
「も、もっぺん頼むわ」
「ふぁい……こ、こうれふか?」
舌を出しもう一度彼のペニスを舐め上げると「ぐおお」と苦しいのやら嬉しいのやら、よくわからない声が上から聞こえてくる。きっと、気持ちよくなって貰えているのだろう。
「なぁ、もっかい……」
「まったく……しょうがないですね……」
彼のリクエストに応えてもう一度舐め上げると、また嬉しそうに彼のペニスが悦びの脈動を、両手の中で起こした。
(……良かった)
折角奉仕している以上は気持ちよくなってもらいたいもので、素直に喜んでくれているのが嬉しく感じる。
そんな彼の反応を見ていると、ふと、下半身にジュンとした感覚が広がってきているのが判った。
(わたし……興奮してる……?)
内側から湧き上がってくる、ジュンジュンと下半身から駆け上がってくるその甘い感覚に、戸惑いを覚える。
(モーティマさんのアソコを舐めて興奮するなんて……んっ♪)
自分は一体どうしてしまったのか。身体が妙に熱い。目の前にある彼の男性器から、目を離せなくなる。彼の男性器から、酸っぱいような熱いような、そんな香りが立ち上ってくるのを感じると。
(この匂いの……せいでしょうか……)
ペニスから漂ってくる濃い匂いを嗅ぐと、クラクラと身体が熱くなり、自然と口が吸い寄せられてしまう。ちゅっちゅっと何度か彼のペニスに口づけをしてみる。
「ぐ……おぉ……」
(彼の匂い……)
何故かはわからないが、心がホっとする。安心感を身体が感じてしまう。
(この匂い……好きなのかもしれません……♡)
そう自覚すると、身体の奥底が更にジュンと甘く疼いた。気付けば自然と、私の口は彼の男性器に近づき
「んっ……じゅぷっ……じゅるるっ……ちゅぽっ……」
「ぐ……おっ……ふおぉっ……!」
口を目一杯広げて、彼の大きなそれを口の中で受け止める。彼が口の中で暴れようとするので何とか口の中で抑える。ペニスの熱が口一杯に広がり、その匂いや味が口内を満たしていく。自分の身体が熱っぽく火照り始めているのが判る。
(ちゅるっ……んぁっ……熱いっ……んぅっ♪)
口の中から感じる熱さと、身体の奥から感じるその熱さの両方が思考を満たしていく。思考は上手く纏まらないが、身体は何をすればいいのかは判っているようで、自然と彼の男性器をより口内へ咥え込もうと彼の下半身へと顔を埋めていく。
「じゅるるるるっ……じゅぽっ……じゅるっ……」
大きな音を立てながら彼のペニスを飲み込んでいく。変な味も、臭いも今は気にならない。自分の中で限界だと思えるところまで進んだ所で、一旦進むのをやめると。
(ん……苦しい……けど……口の中で……ビクビクと震えて……っ♡)
口内で彼が暴れようとしているのを感じる。あぁ、自分は今どのような顔をしてしまっているのだろうか。変な顔をしていないだろうかなど気になるが、一層気持ちよくなってもらいという気持ちが芽生え、身体の奥底からどんどん不思議な気持ちが溢れて止まらなくなってしまう。
「じゅぶじゅぶっ……ずずっ……ずずずずっ……」
口の先端をすぼめて彼のペニスを吸い上げるように顔を引くと。
「う、うおぁっ!」
等と驚いたような反応を返してくる。
「んっ……ちゅるっ……ちゅぱっ……んちゅっ……♪」
そのまま先端を飴のように舐め上げ。
「じゅぶじゅぶ……じゅるり……じゅばっ……」
もう一度口の奥まで彼のペニスを飲み込む。口の中で溜まった唾液が彼の男性器に絡み、淫らな水音が立ち、口の端からは唾液が零れていくのを感じる。自分の頭上からは先ほどからくぐもった悶えるような声が聞こえてくるが、その声が何故か愛おしい。
(んっ……相手はモーティマさんなのに……んぅっ♪)
彼が喜んでくれる声が、心を満たしてくれるのを感じてしまう。どんどんこの関係に溺れてしまう。
「じゅぶぶっ……んっ……じゅぱっ……ふぁの……ふぉうれふか?」
ふと気になって、口での抽挿は止めず目線だけを彼に向けて尋ねる。気持ちよくなってくれてるのは伝わってくるのだが、彼の口からも聞いてみたい。
「あ、あぁ……悪くねぇ……ぜッ!」
そういう彼の態度は明らかに悪くない等という控え目な感じではない。気持ち良いのであれば、素直に言えばいいのに……などと、普段全く素直になれない自分を棚に上げて思う。
「ふぉうれふか……れしふぁら……じゅぶぶぶぶッ♡」
そんな彼に意地悪をしたくなり、口をすぼめて勢いよく吸い上げるように。
「ぐ、や、やべぇ! どこでそんなの覚えやがった! ぐうぅ!」
焦って我慢するような声。彼のペニスが口の中で痛そうに暴れている。
「じゅるるるる……ぷはっ……教えたのは……あなたじゃないですか……」
「……そ、そうだっけか……?」
少し疲れたので、呼吸をするために口を話し応えるが。
「そうですよ……最初は下手だの散々言ってたくへに……ちゅっ……じゅぶぶぶぶ♡」
「そ、そんな事言ったか……ぐっ……!」
すぐに彼のものを咥えなおし、また抽挿を再開する。どうやらまだ不慣れだった私に散々な事を言った記憶はないらしい。
「じゅぶぶぶぶっ……じゅぶっ……ふっ……れ、ろうれふか……んちゅ♡」
「さ、最高だよ! すぐ出ちまいそうだっつの!」
そう音を上げるモーティマさんを見て、内心何かに勝ったようなそんな気持ちが沸き上がってきた。
ペニスを深くまで飲み込む度、彼の根本にある陰毛付近まで顔が近づき、汗の籠った匂いを感じてしまう。その強烈な匂いに眩暈がしそうになるが、そう感じる程に身体はジュンジュンとした疼きを強めてしまう。下半身にムズムズとした気持ち悪さを覚え、ふとももを少し動かすと──
──グチュリ
(やだ……濡れてきて……んぅ♪)
ふとももが擦れると、擦れた部分が愛液で濡れている感じがハッキリと判る。
(やっぱり私……おかしくなってる……♡)
男性のペニスを舐めて気持ちよくなるなど、変態みたいだ。だがそれでも、自分ではどうしようもなく、身体は疼いてしまう。その疼きを抑えようと、右手が自然と下腹部へとのびていき。
(んぅっ♪)
自分の最も敏感な場所を、右手の指が下着越しに触れる。触れた当りはグショグショに濡れてしまっているのが判る。
(あぁ……私……こんなに興奮して……でも……っ♪)
恥ずかしさで顔が熱い。だが自分のアソコを指でスリスリとなぞるたびに、身体全体をビリビリとした刺激が走り、その気持ちよさがやめらない。
(もう少し奥へ……)
下着をズラして、指をその奥にあったワレメへと挿し込み、中を乱暴に掻き回す。グチョグチョと言った水気の伴った音が響く。
(あぁ……だめッ……気持ちいい……っ♪)
指が膣壁をかき回すたびに、身体全体に甘い刺激が走り続ける。指の動きがどんどん強くなってしまう。
(やだ……ペニスを舐めながらオナニーしてるなんて……コレじゃ私、ほんとに変態……♡)
そう思いながらも、右手を止める事はもう出来ない。同時に顔を大きく前後し彼のペニスへの奉仕を続ける。
「じゅっ……じゅぶっ……じゅぶぶっ……じゅるっ♪」
「ちゅぱっ……ちゅるるぅ……んちゅっ……ちゅぅっ♪」
「んふっ……ちゅう……ふっ……じゅるるるっ♪」
(あ、あぁ……モーティマさんのアソコがどんどん固く……ビクビクって……♡)
口での抽挿を繰り返していくうちに、彼がどんどん昂っていくのが判る。
出し入れする度にビクビクと震えていた男性器の動きが、どんどん小刻みなものになっていく。
「う、おぉっ、ヤベェ……!!」
彼のソレが限界に近いのが伝わってくる。
(んっ……も……もうでそうなのですね……んぅっ♪)
口内の男性器の動きにあわせ、右手の動きも強め、膣内を刺激し自分自身を高めていく。彼とともに、自分の昂ぶりもどんどん増していくのがわかった。
「お、おい、もうそろそろっ!」
「じゅぶぶぶるっ……ふ、ふぁい……じゅるっ♡」
彼のその言葉にスパートをかける。
「んちゅっ……ちゅぱっ……じゅるるっ……んっ……じゅぶっ……いふでも……らひてくらひゃい……ぃんっ♪」
そう言いながら、私のアソコを弄る右指の動きを速めていく。ジュブジュブと膣内から愛液が掻き出され右手がグジュグジュに濡れてしまっているが、気にしない。今は兎に角この快楽に身を任せてしまおう。
(私も、もうすぐなので……一緒にぃ……ッ♪)
「じゅぶぶるるるっ……んっ……ビクビクしてまひゅ……もーひまひゃんの……おひん〇んが……びくって……じゅるるっ♡」
「んんぅ……おひゅきな時にらひてくれて……良いれふかりゃ……ちゅぱぅ……ちゅるるっ……んちゅっ……♡」
「わ……わらひも……イくので……じゅる……いっひょ……いっひょに……じゅぶぶぶぶっ♡」
そういって彼を上目遣いで見る。彼の表情はどうやら既にもう限界のようだ。
「んんぅ♡ じゅぷっ……らひて、らひてくだひゃいぃ♪ もーひまひゃんの……じゅるるる熱いのぉ……たくひゃん……ちゅるるるっ♡ 全部……全部、わらひのお口の中にひぃ……ちゅっ♡」
最早言葉が自然に溢れだしてしまい、それに合わせて右指の動きもどんどんエスカレートし──
「あぁ! わらひ……も、もう……じゅるるるっ! イ、イひゅ……イひゅいひゅいひゅっ! いっひゃうっ!!」
「ぐ、ぐおぉお……で、出る、出るぞ!」
そういった彼は私の頭を力強く掴み。
──ズブブブブブッ!!
(んんぅぅっ♡)
掴んだ頭を固定し、そのペニスを一気に喉奥まで突き入れた。
──どびゅるるるるるるっ!
(あ、あぁっ……あぁぁぁぁぁっ♪)
──どびゅるるるるるるっ!
(あぁ……♡ 熱いぃ……っ……んぅっ、んんっ~~~~~~っっっっ♡♡♡♡)
彼の熱い灼熱のようなマグマを喉奥に受けながら、私は達してしまった。
──どびゅるるるる!
(あぁ……熱いのが沢山……お腹の奥に……んっ……んぅ♪)
──どびゅびゅびゅ!
(もし……もしこれが口じゃなくって……もしも……んぅ♡)
そんな事を考えると、達したばかりだというのに身体の奥が、お腹の下あたりがきゅんきゅんと疼く。
(本当に……私どうしちゃったの……)
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最後の一滴まで私の口の中へと射精したあと、ジュポンと私の口から男性器が引き抜かれると、私の目の前には、落ち着きを取り戻したモーティマさんのペニスが映る。
ゴクゴクと、口内にたまった彼の精液を飲み干すと、粘っこく喉元に絡みつく上に苦味がある。先程までは何とも言えぬ高揚感であまり感じなかったが、やはりこれは決して美味しいものではない。
「いやースッキリしたぜ。あんがとな」
等と軽口をたたいたモーティマさんが、ガサゴソと衣服を整えはじめる音がする。
そういえば、私もこのあと少しだけ王子と会う約束がある。変な匂いなどしないだろうか。香水でごまかせるかな……などと言った事を気にしてると。
「……しかしまぁ……そろそろ潮時かもしれねぇなぁ」
不意にモーティマさんがそんな事を切り出した。
(…………ッ)
その言葉に胸が跳ねる。タイミングがタイミングなので、何を言いたいのか察しはつく。確かに、日々段々と行為がエスカレートしてしまっている事は気付いていた。このあと王子に会うというのに、このような事をしてしまうくらいに。このまま続けてしまっていれば、いつか大事になってしまうのは間違いないだろう。あまりにも唐突すぎる話ではあったが……しょうがない。危険なのは私よりも彼の方なのだから。
私は前のように彼と接することが出来るだろうか。……判らないが、何とかするしかない。元々お互いに好意を伝え合ったわけではないし、互いに一度もそのような言葉を口にしたことなどもない。なんとなく始まってしまった関係がなんとなく終わるだけの事でしかない。
(まぁ……しょうがありませんね)
これ以上王子に隠し事をしなくても済むと思うと、かえってスッキリするようにさえ思えてきた。今後は以前のように、普通の友人? として──
「ぼちぼち軍を抜けようかと思っててよ」
「…………え?」
モーティマさんから出た言葉は、予想を少し飛び越えた話であった。
「えっと……軍をやめる、ですか?」
「おう。やっぱよ、軍隊なんざガラじゃねぇな。窮屈でかなわねぇ。最近部下の連中が、また自由にやりてぇって五月蠅くてよ」
そういってガハハと笑う目の前の男。冗談か何かなのだろうか。
「軍をやめて……どうなさるおつもりなのですか?」
「まぁ、昔みたいに自由にやらせてもらうだけだな」
当たり前のように言い放つ彼。
つまりそれは、山賊に戻るという事。山賊と国が交流を持つわけにもいかない、今後彼らとの交流は極力避ける事になるだろう。それにもしも民の皆さんに害を与えるようであれば、国として放っておくわけにはいかない。最悪の場合には、彼を処刑する事にも……。
「…………」
彼に何と言えばいいのか判らず、無言で返してしまう。政務官の立場として一人の山賊が野に放たれようとする状況を看過すべきではない気もするが、むしろ彼の生い立ちを考えれば、これまで協力してくれていた方が異常なのだ。それを止める権利などはない。だが、そうなれば彼に会うときは悪人と国という、相容れぬ間柄にしかなりようがない。
「まぁ、そんでよぉ……」
そういって彼は頭の後ろでボリボリと恥ずかしそうに頭を掻き。
「何なら一緒にこねぇかと思ってよ……」
「…………ぇ?」
その言葉に、胸がドキリと跳ねる。
まさから、彼の口からそのような言葉が出るとは正直思っていなかったし、その内容もこれまで想像した事がないものだった。
幼い頃から政務官としての教育を施され、国の為に尽くし、国の為に死ぬものだと思っていた。それ以外の生き方など、一度も考えた事がない。
(私が山賊に……?)
想像してみるが、全く想像できない。ただ一つ言えることは、きっと恐ろしく似合わないという事だけ。
(ですが……共に行けば、最悪の事態は避けられるのかもしれません)
彼らが大きな罪を犯し、重い処罰を下さざる負えない状況は避けたい。きっとそれは供に戦ってきた仲間の皆さんや、王子が傷つく事になる。そこでハっと気付く。
(そうだ……私には王子が……)
王子がいる。私がモーティマさんと供に行ってしまったなら、きっと王子は……。
(王子は……何を思うのでしょう)
よくわからない。
考えなければいけない事が多すぎて、思考が上手く纏まらない。そんな私の様子を察してか。
「まぁなんだ。その気があったらよ……また今晩、部屋にきてくれや」
(…………ッ!)
これはそういう誘いなのだろう。
夜に男性の部屋に行って、お茶を飲んで楽しくお喋りをして終わりと言う事はないだろう。つまり、決して安全ではない今日、そういう事をするということは……。
(そもそも一緒に来いという時点でですね……まったく)
好きだなどと言われた記憶はないが……一緒に来いというのは、それは好きとかそういうのを飛び越えた先の話ではないか。少しくらいは、もっと段階を踏んで欲しいとかも思ってしまう。
(本当に、急すぎますね……)
どうすれば良いのか結論が出ない……そもそも悩んでしまう自分に驚いてしまう。つまりそれは、どちらの選択も私にとって大きな、同じくらいに大切な事だということだから……。
(私はどうすれば良いのでしょうか……)
結局そこで答えを出す事は出来ずに、私は残った仕事を片付ける為王子の執務室へと向かう事となった。