■この作品はメクるより再掲[移転]しました。
→メクるさんは2020年5月(のGWあたり)にサービス終了予定なので、ハーメルンさんに再掲させていただきました
また、メクる掲載時に個人サイトの方にも再掲済みです
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▼ メクるでのまえがき ▼
■ファンタジー世界の転生ものです
(転生といいつつも、世界は変わらない)
■性転換もの
肉体的には男女ですが、精神的には男同士になります
■一途を拗らせている陵辱シーン、リリアが不憫なシーンが多々あります
また、作中に女性や男性、子供を玩具のように扱うシーンがありますので、ご注意ください
少しでもお楽しみいただければ幸いです
2020.01.01
――運命だと思った。
柔らかく笑う男の口から紡がれた言葉に、女は眉を顰めた。なにを言っているのかと。優しいこの声は聞き間違いではないのかと。
男の寝室――豪勢なベッドの上、馬乗りになる女の手には短剣が握られている。きちんと手入れをしているのだろうか、光源は月明かりだけだというのに、ずいぶん前に与えたそれは研ぎ澄まされたような妖しい輝きをいまだに放っているようだ。外出時に『なにかあったらこれで対応しろ』と渡したものだが、貰ったものを大事にするところは変わっていないなと男は思った。この危機的状況であっても。
――そう。その短剣がどのようにして使われるのか、男にはよく解っている。それこそ、解らないはずもないだろう。それでも男は表情を崩すことなく、甘い顔をしたままである。初めから女に対して恐怖などないのだから――。
女の方は紡がれた言葉の意図を読むようにして何度も瞬きを繰り返していたが、やがて嘆息を吐いた。言っている意味が解らないと言いたげに。
「なにが『運命』だ。わけの解らないことを言ってんな」
「お前に出逢えたことを運命と呼ばずしてなんと呼ぶんだ。――リリア」
「黙れよ」
震えた細い手を握りしめる大きな手は、自分であるはずであった。けれども、いまの自分は細い手の持ち主である。眼下にいる男を殺めようとしているひとりの女――だ。自身ではどう頑張っても変えることのできない事実が憎い。
「震えが治まるように俺が話をしてやろう」
「お前はこんなときでも余裕があるのな……」
呆れる女に対して「殺意には慣れているからな」と口端を上げた男が「リリア」と女の頬を撫でれば、女は手を払い落として「エンディス」と睨んだ。その声にどこか怒気を滲ませて。
どのような結末を迎えるのか不明なままであるが、女を乗せたままの男になんら不安はない。なにせ、殺されるなら女の手を望んでいるのだ。自分自身がなによりも。不安などあるはずもなかろう。大変愛らしい女の人生を狂わせたのは自分なのだから。――ただひとりこの手に渇望した『女』の人生を。
「だからオレはお前が嫌いなんだよ」
「そうか。俺は――」
そういう余裕綽々な態度が気に入らないんだと、大嫌いなんだと放つ女の睨みを意に介さずに、男は話を続けていく。長い長い話を。これ以上ないだろう極上の笑みを浮かべながら。
反して、女は目を見開く。どうしてこんなときに、そんな言葉を溢すのか。『いま』でなければならない理由など、なにもないはずなのに。――いや、『いま』だからこそ男はそう溢すのだ。目の前の女を離すまいとして。
震えが酷くなる躯にはもう、力が入らない。「リリア」と伸ばされた腕に、抱きしめられるだけだ。
熱を帯びた囁きとともに――。