試製・転生請負トラッカー日月抄~撥ね殺すのがお仕事DEATH~【18禁版】 作:珍歩意地郎_四五四五
「てメェも!ニオイだけ嗅ぐドロボウ野郎かァ?あァ!?」
キレイな顔にも似合わず、ガラのわるいセリフで地団駄をふむ小さな売り子。
「このォ――やく
声高に口汚くののしるや、この少女は一瞬しゃがむと、
ひゅッ!
見かけによらぬ素早さ。
乞食に見舞ったレンガ屑を私にも投げつける。
――あ!……。
しまった。
身体が勝手に反応した。
歳は取っても老骨に染み込んだ剣技。
私は手にした仕込み杖でカチリ!それを打ち落としてしまう。
とたん、売り子をしていた少女の顔が卒然、色をなし、
「ねェ!」
鞭のような、悲鳴めく一声。
「あんた
そしてヒ○コー先生ばりな勢いでこちらを指さし、
「あんた旧王政の騎士ね?まちがいないわ――ねぇ!そうでしょ?ねぇ!あンた!」
まるで“首おいてけ”と言わんばかりな勢い。
奥で銭があふれるタライの番をしていたオークが、ビールのジョッキを片手にジロリ、こちらを見た。
旧王制の騎士サマだって?と客のひとり。
「こんなクソ貧民街に?……まさかァ」
「いまさら来たところでナニするつもりだァ?」
「むかしの栄光、今いずこ……ってナお忍びの“感傷旅行”じゃね?」
「あのジジィ、むかしは相当“遣う”ヤツだぞ。あの前腕の筋肉を見てみろ」
「たしかに“手マン筋”がスゲえな……あぁ、古い刀創もある。傭兵じゃねぇのか?」
もつ鍋屋に群がっていた人種や毛色、
しかし少女はそれを聞くとかえっていきり立ち、
「ザけんじゃないよ――このクソ老いぼれが!」
火のような勢いで彼女は言いつのる。
すっかり面くらった私は、かわいい
「いったいなにを言い出すんだね。かわいい女の子がそんな言葉づかいで――」
「は!あんたら
片乳をだした少女は、握りしめた大きな
「言葉づかいだァ?ワラかすな爺ィ。こちとら手前ェらせせいで学校にも行けずじまいだぜ!……貴族だ、騎士だとふんぞり返ッてやがったクセに、このザマかよ!アタイは“5月動乱”以来、いつか言ってやろうと思ってたンだ!」
「いつか言ってやろう……って……」
相手が息切れしたところを見はか計らい、私は相手の顔色を窺いながら、
「キミは……どうみたって○学生だろ?あの“5月動乱”の時は、まだ生まれてないじゃないか」
「ふふん――」
みょうな
片乳をみせる粗末なドレスの胸もとをさらに手荒くひっぱり、とうとう両乳をさらけだした。
安手の服地に隠れていたもう片側には、無残にも所有者の紋章とみえる
「あんた、アタィを小○生だと言ったわね?」
ニタリ。
歳に似合わぬスレっからしの粘液質な笑み。
「――でもお生憎サマ。これでも、もう三十路の後半なのサ!」
「えーッ!」
さすがに眼をむいた。
目の前の少女はどうみても、給食袋を提げ、リコーダーをカバンにブッ挿して登校する年代の子供ではないか。言われただけでは、とうてい信じられない。
これにはさすがに護衛役の青年も驚いたようすで、
「じゃ……俗に言う“ロリ婆ァ”ってやつか!?」
ガッ!
少女の腕が、またも一閃。
こんどは取り皿が飛び、彼の額に命中する。
驚いて身構えにスキが出来たようだ。未熟者めが。
「ダレがロリ婆ァよ!……まぁそうなんだケドさ」
ふいに口調が
まるで閑古鳥の啼くバーのマダムを連想させる、いっぱしな気だるい風情と
「あんまナメた口利くと――タダじゃおかないよ!」
青年が額をさすりながら、少女の風情を見てズイ、と隠形の運足で前に出て相手をニラむ。
「そうか、延命法……キサマ、魔道士から“邪術”を受けたな?」
――延命法――
ハナシには聞いたことがある。
魂の純潔と引き替えに、悪魔と契約する邪法だ。
青年の言葉を聞き、少女の透き通った瞳が、険をおびて光る。
「ヘドロや……おいで」
ビールジョッキを傍らにして
丸太ほどもありそうな腕をブンブンふりまわし、首を、指を、ボキボキと鳴らして。
「この爺サンたちと、少し遊んでおあげな……」
頑丈そうな胸板。
ヒグマを蹴殺すことができそうな太い脚。
ブ厚いくちびるから洩れる黄色い牙にスゴ味がある。
――フフン……。
だが、いかに相手が威圧しようと怯むことはない。
私が“五月動乱”で、さんざ私が太刀にかけた手合いだった。
老いたりとはいえ、こんな筋肉ダルマの二匹や三匹。この仕込み杖でもカルい。
「気をつけろ。ヤツの方が使役されている。本体は――このロリ婆ァだ!」
「口に気をつけなと言ったろ!」
シュッ!
抜く手もみせず、こんどはサンマ皿が飛んできた!
危ういところですばやく回避!
コイツ、もしや手裏剣をつかうのか?
びみょうな曲線を描き、小皿は私の頭上ギリギリを越す。
フギャッ!という声。視界のはしに、額から血を吹き出してひっくり返る獣人。
いつの間にか集まりはじめたギャラリーのひとりが、哀れにも犠牲者となったようだ。
護衛役の青年が“少女”に叫ぶ。
「なぜだ!――なぜ冥府魔道に魂を売った!」
この青年も、じつは若いながら呪法をつかう。
かつては皇国直轄とされた『理法遣い』を担当する名家、その
世が世なら、枢機卿として王宮に使えるほどのエリート人材が、いまは日々の
「ナゼかってェ?」
いかにも小馬鹿にしたような身振り。
「はッ!信じられたモノに……裏切られたからサ!」
そう言うや少じy……ロリ婆ァは、私の方に小さなアゴをしゃくり、
「ケッ!皇国だ、貴族だ騎士だ僧侶だとか言ったって、結局みんなシッポ
ガン!とまたもや
よく見れば同じ場所が散々痛めつけられたらしく、頑丈そうなフチの一部が凹んでいる。
「いまだに“神授階級”とやらを気どって東のほうでコソコソ『亡命政府』だってェ?王女や皇族置き去りにして、向こうで女作って“新貴族”たァ、ワラかしてくれンじゃないのサ?王女や女の貴族はメス奴隷にされてンのに!皇サマが……そんなにダイジかい!」
「それは……」
さすがに私は言葉にツマる。
「その、ナンだ。帝国の体制や、国体の護持……というか」
「国体だってェ!?」
相手は目をつり上げ、泡を噛んだ口のはしをゆがめた。
「ダレの?何のためのサ。貴族?上級市民?ワラかすなっての!……まぁその連中すら、逃げ遅れたヤツは
――なるほ……ど。
たしかにこの女、三十路らしい。
見かけは少女でもなかなかの威圧感がある。
買い物のバーゲンセールに突進する、ヒョウ柄のオバちゃんめいた迫力。
皇国にかんする知識やこちらを難詰する論理のはこび。頭も口も、よくまわる。
――おまけに下の口もよく回るらしいゼ?
茶化したように“俺”が。
――やめろよ、下品だな!
と、これは“オレ”だ。
――第一、あの年齢からここまで成り上がったのは、並大抵の苦労じゃ無かったハズだ。
――そうさせたンも、この国の統治に問題があったからじゃねぇンか?えぇ団長さんよ。
「……いやぁ“私”に、そのようなコトを言われても」
言いよどむコチラにロリ婆ァは
「
「いや、いまのは文字通りコチラの“内輪”話で……」
ゴニョゴニョとはっきりしない“我々”に対し、ロリ婆ァはまたもや、ガン!!
「ハァ?内輪で政治マワしてッから、コンナ
そうだそうだ!とモツの汁を
「こないだひとりで裏路
で、どうした?と、となりの小柄なゴブリン。
「オレのダチも、最近ツカまっちまった。なんでも西の方で井戸掘りさせられてるとか。それも普通の水じゃねぇ……なんでも“黒い水”だとよォ」
有角の獣人はひとつうなずくと、
「ソイツは災難だったな兄弟。オレのほうは雇い主がたまたま通りかかってサ?無職じゃねェって説明してくれたから良かったモノの、さもなきゃ今ごろは南方の銀山おくりだァサ」
「アソコは酷ぇってハナシ聞くナァ……」
召使いの服を着た人間がため息をつきながら、
「みんな肺をヤラれちまって、半年もたねぇっていうぜ」
「だいたいサ?ナンだィ!」
角を頭の両脇から生やした獣人が、取り皿とレンゲをカチカチいわせながら、
「いまの政府ときた日にゃ、オレたち獣人の『権利を守る』とかいって地下運動アオっておきながらだぜ?、イザ美味い汁を吸えるようになると、とたんに手の平クルーして、オレたち便利に扱いやがる!」
「
太ったゴブリンがいかにも気のなさそうな声で、
「
「ウゼぇ!食うか喋るかドッチかにしやがれ!」
ウロコ肌の獣人の舌打ちに次いで、どこぞの屋敷に使われる
「健康保険だって安かったがナァ……すくなくとも――イマみたいに衛士がスキ勝手しなかったよ」
ンだンだ、と異形の者たちや人間の平民たちが同意して。
「チッ!なんでィなんでィ!!」
ガン!ガン!ガン!と鍋がたてつづけに鳴らされ、
「そもそもぬるま湯にヒタり切ってた皇族がワリぃんじゃねぇか!それに、その取り巻きや茶坊主の騎士や呪法学者も同罪さァ!」
周りでモツ煮を啜っていた平民や獣人戦士が、物騒な目で私と護衛役をチラチラと。
「……この爺ィも、騎士だったころはイイ思いしてたんだろうナァ」
「結構な性奴隷ハベらせて……
「
やィやィやィ!と、ひとりの太った獣人がズイっ、私のほうにのしかかり、
「おめぇに食わせるモツ鍋は無ェ!」
続いてほかの客たちも、
「老いぼれェ!お前ェがこの
「てめぇ等がしっかりしてりゃ、こんな社会にもならなかっただろうが!」
アタィの――!
ロリ婆ァも甲高い声でそれに続き、
「アタィの母親も、あんなみっともないカッコで……」
「……みっともない格好?」
それは、となぜか彼女は言いよどむ。
かわりに前腕のたくましい革エプロンの出っ歯が、
「中央公園の噴水に行ってみな!そこでM字開脚の――」
「鍛冶屋!よけいなコトお言いでないよ!」
「……とりま、この爺ィどうする?」
防具をつけたオークが腰にぶら下げていた棍棒を抜き、ノンビリとした口ぶりで、
「まずは足腰、タタねぇようにしてやろうか……?」
私と青年はアイコンタクト。
こんな時のために。
我々にはかねてから用意しておいた秘策があるのだ。
夢で見た、どこかの国の演劇らしき一幕。大仰な服装をした大男と、その小柄な主人の物語……。
「コラッ!」
青年は怒声を発して眼をつりあげ、私に向かってふんぞりかえり、
「おまえが
そういうや、仕込み杖を私からうばいとり、激しく私の背中を打ちすえた。
私の方はといえば、さほどコタえぬその打撃を、いかにも痛そうに身悶えして、
「ひぃッ!ひぃッ!――お赦し下され……お赦し下され先生サマぁ……!」
ひとしきり激しく打ち据えると、青年は背中をまるめてうずくまった私の前に仕込み杖を放り投げ、
「みなさんお騒がせしました――じつはこの男、自分の従者で以前は軽業師をやっていたらしいので。身のこなしは、そのとき覚えたモノでしょう。かく言う自分は、街で占い・祈祷で暮らしを立てる“拝み屋”であります……」
私はオズオズと杖をひきよせ顔をあげる。
モツ鍋屋をかこむ客たちが青年の話をきき、不審げに顔を見合わせるのが分かった。
すると、ひとりの女獣人がネットリとした動作で青年に歩み寄った。
先端にフサのついた自分の長いシッポをスリスリと彼のほおに擦り付けつつ、
「ほんとォ?本当に“拝み屋”サンなのぉ?」
「いかにも。とはいえ、うだつの上がらない、どこにでもいる一介の祈祷師でござるが」
ほんとぉの拝み屋さんなら……と、この
「
言われた元・若手法官はポカンと間抜けな顔をした。
「じゅ……ゲムの祈祷……」
「知らないとは言わせないよ?
もつ鍋屋の客たちの視線が(ほぉぉ……)と言わんばかりに青年と女淫魔の顔を交互に。
私はうずくまり、平伏した姿のまま顔をねじ曲げ護衛役を見て、アイコンタクト。
――その呪文、当然おまえなら承知なのだろうな?……たのむぞ!
しかし、青年はぐぬぬ……とツマって言葉もない。だが、やがてハッと顔色をもどし得たりとばかり、
「そこもとは、ジュゲムの文句を――ご存知ないのですな?」
「知るモンかね。妾も仲間からウワサにきいたっキリさ」
「……宜しいでしょう。それでは、ジュゲムのご祈祷を」
「ホントに?……ホントにやってくれるの!?」
喜色を浮かべる女淫魔。
しかし、青年が手で呪法印を結びはじめると、彼女はスっ頓狂な声をあげて、
「あれれ~?おっかしいよォ~?!」
「うっ……なにがヘンなのです」
「
「そ、そうそう……忘れてました」
青年は、懐から畳んだ懐紙を出し、目の前にひろげた。
そして白紙のそれを読むフリをしながら王宮の『大祓咒言』を
宮中の儀式でも王族と法官、それにごく一部の人間しか知らない秘伝の祝詞だった。
しばらくの後。
咒言を唱え終わり、うやうやしく懐紙を畳む青年。
それに対し、この女淫魔は小馬鹿にしたような口ぶりで尻尾をピンピンとゆらしながら、
「な~んだ。ソレって、タダの『大祓咒言』じゃんか」
「え!」
「ナメないでよね。アタシだって法術のイロハぐらい囓ってンだ。それに――」
「……」
「
キャハハハ、と女淫魔の開けっぴろげな嗤い。
それを聞いた防具姿のオークが、手にしたぶっそうな得物を持ち替えて、
「じゃぁ、コイツら。やっぱり……」
「イヤイヤ、違うね」
いまだ笑いながらこの異種族は、
「ホンモノの騎士と導師なら、こんなヘマしないモノ。妾の看るトコ、こいつ等ただのサギ師だよ。それも超・ド三流の」
女の口ぶりに、なぁんだ……と一同のあいだに脱力がひろがる。
しかし、つぎの言葉でふたたび囲みの輪はしぼられた。
「でもよ?サギ師どもなら、キッちりシメとかなきゃァなぁ……」
そうだそうだ!
もつ鍋屋の客たちが異口同音に。
「この前ウチのばあさん“皇国基金”の還付金サギでエレぇ目にあったズラ」
「まさかコイツらじゃねぇかァ?シロアリ駆除の……」
「クジラとかいう大きな魚を描いた絵を高価く売りつけられたヤツもいたぞ?」
路地裏の広場で、ジリジリと囲みが狭まる。
私のほうは、相変わらず平伏したまま愛想笑いで。
こんなときは“無力なジジィ”を演じ卑屈になるのが一番だ。
ヘタに大立ち回りなどして目立つのが、世に隠れる身分には一番わるい。
「皆さま、トンでもごぜェません、へぃ」
と、あくまで平伏しながら、
「あたしは“拝み屋”の主人に付き従う、ただの下僕な爺ィでして……」
「なら下僕の前は、なにしてた!」
有角の獣人が、これもズィと身を乗りだしながら、
「王宮付きの、騎士だったんぢゃねィのかィ!」
「またまたご冗談を!めっそうもない。もとは
「……かいせんドンヤぁ?」
もつ鍋やの集団の頭上に、いっせいに“?”のマークが。
――しまった!なんだ廻船問屋って。なぜか急に「おぬしもワルよのぅ……」ってな情景が。
「茶番はヤメぃ!!」
オレが平伏する姿勢のままアタマを捻じ曲げて振り向くと、武装した十数人規模の警護団を背後にして、軽装鎧をまとった小柄な中年の騎士が立っていた。
「トガーシ卿……トガーシ卿!だ」
一団の中から素っ頓狂な一声。
つづいて客たちのあいだでヒソヒソと、
(トガーシ卿だってぇ!?あの憲兵隊の?)
(なんでそんなお偉かたが……こんな下町に?)
(キまってンだろ!ご行幸の巡察だ。アヤしい連中がいないか)
(レジスタンスとか?ヤツら、こないだ親玉がタイホされて消滅しただろ)
(その残党で大物が、まだ残っているらしい。なんでもモノすげェ剣の遣い手だって)
ささやく声をよそに、小柄な騎士は平伏する私と護衛役の青年、それに淫魔めいた女と順々に視線をうつし、
「いったい何の騒ぎぢゃ
「サギですよサギ!」
もつ鍋屋の客のひとりが叫んだ。
ギロリ、と騎士の男は
「サギだァ?」
「い、いえ。メッソウもございません」
私は土下座の姿勢のまま、できるだけ哀れっぽいこえで、
「たまたまココを通りかかった“拝み屋”のご主人サマと、そのケチな下僕で……」
「拝み屋というのは、その方か!」
「はっ、ハイ、左様で……」
青年も、心得たものだ。
なるべく“下々の民”っぽく、卑屈な
似たような状況の場数をふんで演技に磨きをかけた今では、オスカー賞モノと言っていい。
――まてよ……なんだ?オスカー賞って。
「この者どもが、その方等に何か不利益をしでかしたか」
小柄な中年騎士はもつ鍋屋の客たちにたずねた。
困惑顔をする様々な人種たち。
「いえ……別に……ナァ?」
「オレに振るなよ。とくに不利益ってものは……へぇ」
と、そこへくだんのロリ婆ァが、
「アンタ――騎士だろ?」
よせば良いのに中年の騎士を、さも忌々しそうな目つきでニラむ。
「なんぢゃ、小わっぱ!見れば分かるぢゃろが」
「をぢサン、まえの皇帝ンんとき……あんたナニしてたのサ」
「なんぢゃと……?」
をぢさん呼ばわりされた騎士が、こめかみをヒクつかせて。
(おい、よせシャーリー!)
(憲兵隊に突っかかるバカがあるかい!)
もつ鍋屋の客たちがアワアワと彼女を制止して。
(やべーぞ!呪法で身体変えられて“黒猫館”におくられ
(『“小五ロり”と書いて“悟り”と読みます……』とか物憂げな声で言われちゃうぞ!)
だがそんな声にも屈せず、もつ鍋屋の主人は、おたまでビシッと騎士を指ししめし、
「もう一度言うわ。あんた……まえの帝のとき、何してたの?」
「このメス餓鬼ィ!言葉がすぎるぞ!」
騎士の後ろに控えていた副官が気色ばんだ。
「その回らぬ頭でも、我らが憲兵隊であることは分かるであろうが!」
この副官、激高しながら子供姿な相手に朱色なふさを飾った槍を向ける。
悠然、それを手で制しつつ、憲兵隊のおエラいさんはロリ婆ァに歩み寄り、
「ナニ?
「あぁ、ソウさ!」
「とうぜん、皇帝に使えておったぞ?まだ
「地区隊長どの――」
そのとき、騎士の後ろに控えていた副官らしき男が、なにやら耳打ち。
聞きおわった中年の騎士が顔を好色にゆがめ、少女に向きなおった。
「そぅそぅ……若いときは、巡察のとき
「な……ッ!」
「王政が代わり、いまの支配になってから儂も出世したものよ……ぬしの母親を
「貴ッ……さまァ!」
ロリ婆ァは、やおら手にした
「ギャァッ!熱ちゃッ!あッ!チャチャチャぁぁぁッッッ……!!」
どうやら一部が胸もとから鎧の中に入ったらしい。
キンタマのあたりまで脂身が到達したらしく、華麗なステップ身悶えして。
お付きの槍隊が、あわてて小柄な騎士の鎧を脱がしにかかるが、留め具が硬く思うように外せないらしい。ようやく上半分の鎧を脱ぎ捨てると、
「こンの……クソ餓鬼ゃァァァァァ!」
茶色い汁まみれになった上半身肌着すがたの騎士が怒り心頭。
やおら腰の得物を抜剣。
この口の減らない“ニセ少女”の脳漿をブチ撒けんと、彼女の頭上で大上段に振りかぶった……。