試製・転生請負トラッカー日月抄~撥ね殺すのがお仕事DEATH~【18禁版】 作:珍歩意地郎_四五四五
現在は間に合わせの一台を入手し、それでしのいでおります。
ただキーボードの打ち味がイマイチなので、どうにも…………。
「ヨガって、エラそうなクチぃ叩いてもシマらねぇぞ!姉ェちゃん!」
「シマるのは、オメーのマンコだけにしとけってぇの!」
「そのアヘ顔を、まず何とかしろや
「もっと淫汁を吹き上げとくれぇぇィ!」
「淫汁じゃねぇ、ワカメ汁だ!」
ギャハハハ、と品のない声援を飛ばす沿道ギャラリーの一角。
ステテコ姿の中年おやぢ共が、炙りスルメとビアジョッキ片手に赤ら顔で山車を見上げて。
――おまえらはカワディM○Xか!
だが、この無残な姿に対して主婦たちであろうか。
獣人や人間をまじえた、エプロンを巻いたままな一部の女性観客がヒソヒソと、
(ちょっとアレはヒドくなぃ?)
(さすがに可哀想になるじゃない。あんなキレイな子が)
(……いくらアタシたち獣族をいじめていた女騎士とはいえねぇ)
(イヤだわ――スゴく下品。あの責め役、ポリコレ棒でぶっ叩いてもらいましょうよ!)
なおも凝視しつづけると、下ネタおやぢたちの野次が届いたのか、あるいは「ワカメ汁」という言葉に反応したのか、女騎士の傍らに立つ責め役のこがニンマリと笑みを浮かべるや、口型の拘束ワクを操作し、女を「人」型から「M」字開脚に拘束の姿勢を変えた。
ピシィ!……ッッツ。
柳のムチが、筋肉のよく発達した女騎士の豊尻に飛ぶ。
『んほぉぉぉぉぉ~~~~~っ!』
アヘ顔をした彼女の股間から、勢いよく何かが
すると先ほどまで同情していた主婦たちが大声で、
(きゃァっ!キタないわねぇ!!)
(いやだ!漏らしたわよ、あの女騎士!)
(ちょっとまって!本気汁ぢゃないのォ、アレ?)
(なんて変態オンナかしら!こんな見物人がいるのにッ!)
手マン筋が肉ばなれを起こしそうな勢いで手の平がえしで口々に罵りはじめる。
それにつられてか、近くで見ていた有閑階級の奥方といった獣人の婦人たちも異口同音に、
「きっと喜んでるのよ?あんな恥ずかしいトコロに“お道具”なんか
「しかも2本差し!それでイクなんて――慎みがないのかしら!」
「奥サマご覧になって?あのトロ顔!女のハジですわ」
「あぁもう!サッサと
(――やれやれ、オソろしいモノですな?女ってヤツは)
そう言って赤ら顔の男はウィンクする。
女の責めステージとなった、急造な気配のある山車。
群衆に、囚われのミジメなありさまをタップリと見せつけるように、大きな車輪はユルユルとした回転で進み、さまざまな
つぎの山車は、人を魔道呪法で
ヒトの上半身と競走馬とを融合させられた金髪の女性は、肥大化された乳房を両腕でかくし、長いシッポをフサフサとゆらしている。
水族に変じられた女は、魚状になった下半身をガラスの水槽にうねうねとクネらせ、わき腹のエラを波打たせて。
鳳《おおとり》に転身させられた婦人は、監視役に促されてときおり翼を羽ばたかせ、露わな両胸の頂に穿たれた飾り物を西日にキラめかせていた。
「――アレにはカネがかかってるんでさァ」
赤ら顔の男は何処から取り出したか、簡易型の“ガラスのめだま”をこちらに渡しながら、
「まずショック症状を起こさないよう、知覚神経を施術して精神的・肉体的苦痛を快楽感覚に上書きさせるんでさ。そうすッと、どんな痛みも性的な悦びになッ
私は解説を半分も聞いてなかった。
なぜなら、わたされた安っぽい“
奥の院で、王女との極秘なやりとりを取り持ってくれた少女でもある。
シーアとの中を修復するため、エルフ族の高位者とのパイプを王女経由でとりもっってくれたこともあった。
そのよく似た姿が、いまは青い鱗を光らせ、白い腹から生える胸びれを巨大な水槽ごしにはかなくそよがせているではないか。
ながい青髪に編み込まれた小真珠。
サンゴを磨いた大きなピンクの
ほそい首に幾重にも巻かれた、首輪状の大真珠。
少女に不似合いなほど大きくされた乳房の先端は、小さなホタテ貝が貼りつけられ、衆人の好奇の目から守られている。
「……アルテラ」
すると、赤ら顔の男が私を見て、
「おや……お知り合いでも?」
「いや、いや――なんでもない」
私はあわてて否定する。
「そうですか……アレは魔導邪術によって時間を固定され、調教を受けていた者どもですからな」
「……え?」
「おや。ご存じない。まぁ大学の
「と、いうと……」
「つまり20年30年前の若い姿のまま。お知り合いがいても、おかしくアリませんよ?」
「…………」
次の山車がゴロゴロと地響きをたてつつ、汗をかき、重荷に呻吟する駄獣の臭いと共にゆっくりと通り過ぎる。
そこには女性ともみまごう
単にスレンダーな美少年が責められているかと思えば、女性の身体にチンコをつけたような、いわゆる“フェミショタ”めいた抜けるように白い肌の個体が、角を生やした獣人たちに嬲られて。
「お慈悲を……どうかお慈悲を!」
「あぁっ!おしりは……おしりはヤメて下さい!」
「ボクのオッパイが……乳首そんなにつねらないでぇぇ……!!」
「
ムッハー!と、がぜん鼻息を荒くする、くだんの高貴なご婦人方。
香水に混じって女の興奮した臭いをつたえてくる。
こちらの会話が聞こえたのか、
(――あの子たちも、法術にかかって若いままなのかしら?)
(――イイわねぇ……ひとりぐらい欲しいわ?ねぇ?)
(――主人のチカラで何とかしたいですワ……)
私は、もはやそれに興味を示せず、ただひたすら王女の乗る車を待ちつづける。
そこでハッと気付いた。
下町の「もつ鍋屋」で聞いたウワサ。
あの三十路を自称していた鉄火肌の少女。
遅ればせながら頭の歯車がようやくつながる。
「待ってください、すると――王女も!
「当然でしょう、アナタ!」
赤ら顔は、ナニをいまさら?と呆れた
「
「そんな……」
「なかなかの“芸術品”に仕上がったというハナシですゾ?もっとも……」
「もっとも?もっとも何だ!」
「おっトット……どうしたんですかい?そんなに血相変えて」
「王女が、どうしたというのです!」
「もう、おッ
「死んで……殺されたと!いうのですか」
男は口をへの字にして肩をすくめ、
「いえネ?魔導施術ってのは、残酷なホドの快楽を与えると同時に、同じぐらいな苦痛も与えるモンだから、その手術の苦痛に耐えられなかったってハナシも……それに……」
「それに?なんです!」
「……デるんですってよ?時たま」
調子を一変させ、相手は声をひそめ、
「深夜、さびれた旧市街なんかを通ると、白いローブの透明な人影が……どうもそれが王女らしいってンで……」
絶句して、心ならずも
「フィオーナが……殿下が……」
「おや?ずいぶんと無念そうですな?アナタは旧皇政派でしたか」
「いや、その――私は、古い時代の人間ですからね」
私はしどろもどろに否定した。
「若かりしころを懐かしむのは……その、老人の特権ではないでしょうか」
そう弁解するはしから、かつて自分が現役だったころの光景が次々と眼にうかぶ。
奥の院を仕切る女官たちの制止をふりきり、私の腰に抱きついてきた少女の顔。
私の鞍の前に乗せ、王宮ドレスのスソをひるがえし“早駆け”を喜ぶ彼女の歓声。
「夏の離宮」の高原で、編み込んだ花輪を捧げ持って、ニコニコと駆け寄る姿。
『マイク――
『マイク――
マイク……マイク……。
思い出すあの顔。あの声。
清楚さと可憐さと、少しばかりお転婆が混じった“皇室の
ひそかに自分の娘の姉貴分として覧ていたのは、過ぎた日の内緒のはなし……。
「ホラ――来ましたゼ」
赤ら顔の男に小突かれて、私はわれにかえる。
規模は大きいが、淫らな踊り子たちを周りに配さない車。
仰ぎ見れば、ひときわ大きな山車の高みに“逆光”気味な人影。
そして渡された安っぽい“ガラスの目玉”を眼に当て、我が目を疑う。
「……なんだ……あれは」
しらず、口に出ていた。
ステージの上、銀の鎖につながれる物体。
だが待て。あれが――本当に
金髪だったお下げな髪は、銀髪に変えられていた。
長く伸びたその豊かな
だが、いたいけな
白磁のように
しかし――何より目を引くのは。
プリン♪とした真っ白な臀部の上からのびる、竜人めいた“シッポ”。
もちろん王女は獣人ではなく人間種なので、そんなものなどあるはずがない。
しかし今は、それが南方の動物と聞くカンガルーのようにしっかりと身体を支え、大またのM字開脚な下半身を宙に浮かせている。
それだけではなかった。
私はガラスの目玉に眼をあてたまま、心ならずもふるえ声で、
「殿下の……あの
「あぁ~ァ。ありゃ施術師のシュミでしょうナ」
赤ら顔の男が平然とした声で、ノンビリ
「どうです?まるで東方の神像“アーシュラ”のようでしょうが!」
アーシュラ。
東方の島国につたわる6本腕の神将だ。
それと形を同じくして、少女の肩からは、なんと6本の腕がでている。
第1の両腕が、本人の尻たぶをおおきく左右に引っぱっている。
露わにされた秘部に見えるのは、使い込まれたドス黒い
そこにムリムリと無慈悲に挿入される、例の邪術処置をした銀色の
第2の両腕は、あられもなく開脚して衆目にあらわとなったその
第3の両腕は、幼い体つきとはアンバランスに豊胸されたおのれの
いずれの腕の手も紅いマニキュアが施され、本人の淫らな手慰みを分かりやすくしている狡猾な小細工が、じつに腹だたしい。
もし私が現役だったら、今すぐにでも飛んでいって手練の剣技をふるい、王女を救出するだろう。しかしその後はどうするのか。彼女を、もとの身体にもどすには……?
周囲に座した術師が声をそろえ、唱える詠咒がなせる業か。
少女に
そんな露骨な、あられもない姿を見せられた観客たち。
ドン引きするかと思いきや、なんと、やんやの拍手を送るのだった。
――どうしたコトか……。
簡易双眼鏡に眼をあてたまま、私はくちびるを噛んだ。
あまりに市民のレベルが堕ちているではないか。
いくら獣人が混じっているとはいえ、こんな見世物をよろこぶほど、王都の市井なる人々は堕ちたとでも言うのか。
この考えを察したように赤ら顔の男は、
「
「“にっくき”って……そんなに皇政は嫌われていたのか……?」
ふふん、と赤ら顔の男はイチゴのような鼻をこすりあげ、
「マ――しょうじきなトコロいえば、ぶっちゃけ何でも良いんですよ」
「……何でも良い?」
「つまり下衆どもにしてみりゃ、騒げればナンでも良いわけで。」
「しかし……あんな年端もいかない少女を……」
「そんなに驚かんでも。残酷であればあるほど、群衆ってヤツは歓ぶ。そうじゃありませんか?」
「う……ぬぅ」
「そばに居るドレイド卿も分かってらっしゃる。これが単なる“ガス抜き”であることをネ」
「ドレイド卿?」
私は双眼鏡から眼をはなした。
赤ら顔の男は台座にアゴをしゃくってみせて、
「それ、すぐそばで王女の首輪につないだ鎖を握ってらっしゃる――」
私はふたたび双眼鏡をのぞきこんだ。
――なるほど……。
さきに竜族の青年が“コウモリみたいな大男”といみじくも表現したとおり。
フード付きの黒マントに顔を隠した長身の男が、西陽に輝く鎖のはしを握っている。
「いまや政権の中枢にあって、枢機卿と元老院をたばねてるお方だ。ほとんど“院政”の一歩手前。もはや、ダレも逆らえませんヤ。けどココだけのハナシ――」
「うん?」
「……だいぶ圧政が響いて人気はガタ堕ちですがネ。そンための、今日の見世物でサァ」
ふいに、その長身の男がユラリ、マントを動かす。
そして頭を深くおおっていたフードを、悠然と払った。
――!!
安出来のボール紙製双眼鏡を握る手に、メリリと思わずちからがはいる。
トラック・ドライバーのオレと傭兵の俺とが、心のなかで同時に叫んだ。
――ドレッド!
見まちがえようハズもなかった。
私の胸の中が、かってないほどザワつく。
そして知らないイメージが、次々に浮かんできた。
“おさるのジョージ”のボス役。
酒場の混血美女「ナナ」の男。
禁制薬物や象牙、黄金の闇商人。
ドレッドの髪型は、少なくなった毛の量と白髪からあきらめたのか、いまは後退した額をうしろに撫でつけるだけにしている。
だが削いだような頬や、するどい眼光。なによりレンズ越しにも伝わる剣呑な気配は、いささかも変わっていない。
と――その顔が、私の方を向いた。
次いで、なにやら口の中でつぶやく気配。
やがてこの男は何をおもったか、自分が鎖に牽く足もとの人影にかがみこんだ。次いで、その顔を隠している長い髪を、ゆっくりとかき分ける。
すると……。
いまこの時も頭をふりたて、動物のようにサカっている哀れな少女の面差しが、衆目にあらわとなった。
――フィオーナ……殿……下……。
私は絶望とともに絶句する。
まちがいない。たしかに――あの娘だ。
荒淫にまみれ、呪術によって好色をしいられている、シマりのないイキ顔。
非道な施術と見慣れぬ濃い化粧に汚されてはいるが、かつての面影が辛うじて
ドレッドは、次いで王女の首輪につづく手元の鎖を引き寄せるや、周囲にはべる術者に何事か指示を出す。すると、
『お”っ♪お”っ♪お”っ!』
少女の腰の振りざまが、しだいに激しさを増してゆく。
法術の作用か、台座の上の音が、よりいっそう聞こえるようになった。
『さぁて、奇妙なゲストもご来臨とあらば――』
いつのまに身につけたものか。
ドレッドは、
『皆のもの!この圧政の名残である、王女ヅラをしたメス
そして自分の演説の効果を高める目的か、すこしばかり“間”をため、
『あさましくも皆の面前で――恥知らずにイキ狂う姿を!目の当たりにしたくはないか!』
わぁっ、と群衆が声をあげた。
「やれやれェ……ッッ!」
「色ボケの無限地獄に堕としちゃえ!」
「払い下げを!ウチの農奴の精液便所に払い下げを!」
「モゥ!さっさと!その見苦しい小娘を処分して頂ゥ戴ァァァァァィ!」
すると。
ステージの下の段から道化服を着た小柄な男がヒョッコリ姿をあらわす。
白塗りにハデなメイク。遊戯カードの鬼札のような仕草。
オレと俺とは、またしても同時に叫んだ。
――“おサル”のジョージ!
やはり。
あのモンキー面は、いまだドレッドの腰巾着を営っているらしい。
考えてもみれば当然か。あんなクソ野郎、ほかにどこも使い道はない。
ジョージは、おサルそのままひょうきんに舞台の上をひとしきり跳ね回ってから、
『OK!おまエラの気持ちはよぉぉぉ~~~くわかった!』
マイク・パフォーマンスのようなノリと仕草でそう言うと、
『では法術士のみなサぁン!
4~5人ほどの術者が
フィオーナ王女に挿入されるディルドーの動きもイヤらしく増して。
禍々しく歪められた
やがて、一度、二度、大きく痙攣したかと思うと、痴呆的なアクメ顔を群衆ににさらし、
周りの有閑夫人めく中年女たちのあいだからヒソヒソと、
(……やだ♡アタシもオナりたくなってきちゃったじゃないの)
(……アタシも♪どーする?ペッポン通りの少年でも買い漁りイク?)
(……最近イイ男の娘が入ったって聞きますわよ奥サマ。西方の侵略地から)
(……あぁッ!いたいけな子のアナルにイボ付きディルドーぶちこんで、ヒーヒ言わせたい!)
さすがに刺激が強すぎたのか。
幾本もの腕と脚、それにシッポを壇上で投げ出し、グッタリとする元王妃。
そんな様を見て“ガラスの目玉”を持つ私の――俺の――オレの手が、ジットリと汗ばむ。
だが、丸い視野の中で壇上の大コウモリは元王妃の哀れなサマを一顧だにせず、
『さて……今日はもう一つ……余興が出来たようぢゃ』
そう言うや、腰に佩く大剣を抜きはなった。
黒い刀身は輝く西日を吸い尽くし、あたかもそこだけが夜の様に。
腰の入った扱い。手慣れた挙動。あのトガーシ卿とは段違いの迫力。
そして、やおらその大剣を私のほうに差し伸べ、悪意のあるうすわらいを浮かべるや、
『元・第三特殊騎士団!龍騎隊団長マイケル!いざや壇上へ――参れ!!』
一瞬、何をいわれているのか全く分からなかった。
やがてギクリと簡易双眼鏡から眼をはなす。
そして自分の周囲を見まわし、
――う!……っ。
いつの間にか。
私は不覚にも、周囲を見慣れぬ装の衛士によって囲まれていた。
現役時代には見たこともない、禍々しい重武装。
まるで前線の装備だ。警護をする姿ではない。
防刃面の奥で眼だけをひからせた衛士たち。
赤ら顔の男は!――とまわりを探すも、キレイさっぱり姿が見えない。
「くそッ――ヤツめ!」
群衆からヒソヒソと、おののき混じりの視線、声。
(……第二憲兵隊だ!)
(……マジ?第二憲兵隊かよ!)
(……あのジィさん可哀想に、ナンだって?)
(……ドレイド様がなんか言ってたな……騎士団長?)
そんなささやきが、あちこちから。
重武装の衛士に小突かれ、私は杖にすがってヨボヨボと、上げられた警戒線をくぐり山車の横にやって来る。
ヤツが見下げ、私が見上げた。
『ひさしく姿を見かけなかったな!――“龍”の!』
私はなるべくひ弱なジジイを演出する。
しょせん多勢に無勢だ。こんなところでイキったところでしかたない。
「ナンのコトで御座いましょう……わたくしは哀れな退官教授で……」
『笑止!』
みなまで言わせず、法術の効いたドレッドの大音声が山車の周囲に響いた。
『
私は“第二憲兵隊”とやらのひとりに槍で小突かれ、山車の階段にいくよう邪険に促された。
杖を帯にはさみ、てすりを頼りにてっぺんまでヨロヨロと昇って、ようやくステージにたどりつけば、そこは邪術のために遣われる没香の辛気くさい臭いと、しぶき散らされた女の愛液の匂いが濃く漂っていた。
ギシギシと鳴る、意外と安出来な板張りのステージを、コトコト杖をつかい、脚をガクガクさせながら、いかにも“老人”という素振りでドレッドと対峙する。
ステージの床が、愛液やら本気汁やらで黒ずんでいる惨憺たる状態となった責め場をグルッとまわり“ドレイド卿”は悠揚迫らず近づいてくる。そのサマを見て、内心私は舌を巻いた。
――地位が、こうも人をつくるのか……。
残念だが、今のヤツには権力からくる威圧感があった。
こちらがムダに歳を取っているあいだ、コイツは政府の深い謀略の泥沼を泳いできたのだろう。
ドレッドは威風堂々、悠然と歩み寄る。そしていきなり暗い
(……
「――なに?」
あいての眼に、憎悪があった。
黄色くにごった白眼を血走らせ、ニラみつけてくる。
“ドレイド卿”は、食いしばった歯のすきまからシュッ、シュッと短いフレーズで、
(コンゴで!――おれの!――「ナナ」を!――射ちやがった!――だろうが!)
コンゴという言葉。
それが私の中で、見たこともない光景を招喚した。
火炎放射器の舌。
燃え上がる集落。M2重機関銃の連射。観測用へりの風切り音。
子供たちの鳴き声。シンバスの雄叫び。陵辱されるシスターの悲鳴。
流血と、暴虐と、迷信と。
憤怒と、悲嘆と、貪欲と。
そして――なによりそれらが混然となった風景が。
(……見てるがいい!)
相変わらず怒気をふくんだまま、この大コウモリのような男は、
(いま――
「へゑぇ……ワシがァ、ナニをしたといふので……?」
できるだけ老人らしく弱々しい口ぶりで応じるが、フッと相手は冷たくワラい、
(
槍を突きつけられて動けぬまま、沿道から歓声を浴びつつ山車のパレードは続いた。
フィオーナ王女は“気をやり”すぎたのか、グッタリと眼をとじて動かない。
“ドレイド卿”は沿道の市民たちに、ときおり重々しく手を振って。
“おサルのジョージ”は、こちらに憎々しげな視線。
相変わらず陰々とつづく巫術師の呪言。
やがてグラリ、台座が大きく揺れた。
どうやら
彼方を見れば、大噴水が近づきつつあった。
どうやら山車はグルッと小さく区画をまわったらしい。
気がつけば、陽もようやく西の端に近くなるところだった。
さほど暑さを感じなかったのは、山車にかけられた法術のためだろうか。
先着した山車は、ステージの上を空っぽにして、ゴロゴロ噴水から離れてゆく。
かわりに水を止めた噴水の水盤上で騒ぐ声があがった。つづいて悲鳴や哀願も聞こえる。
見れば、山車に乗せられていた女性や美少年たちが各段の水盤に分別され、繋がれていた。
『みなの者――お
周囲の群衆からオォォォ……と