※この作品はR-18です。

試製・転生請負トラッカー日月抄~撥ね殺すのがお仕事DEATH~【18禁版】   作:珍歩意地郎_四五四五

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第54話:好奇心の強いネコは……。(ウンコ注意!)

 その晩の団らんは、美香子のせいで奇妙なモノとなった。

 

 バニー・コートを姉に脱がされ、部屋用の服に着替えた彼女。

 しかしなにを聞いても、どこか彼女は上の空な感じになってしまう。

 ともすれば手を股間(おまた)に、あるいは乳首ピアスが穿(うが)たれる豊胸された胸に。

 サワサワと持って行こうとするのを、さんざん姉に制止され、注意を受ける。

 

 彼女が腕をふるった『鶏肉のガランティーヌ』や『パスティッチョ』と呼ばれるシカゴピザのマカロニ版。そのほか美味そうな料理が並べられたが、オレと『フクロウ』のほうは美香子の具合が心配でならない。対して詩愛は、どうも妹の冷たい態度は、さっきブッ叩いたことでスネているだけと考えているようで、血がつながらない妹という背景もあるためか、思わず手を出してしまった今は、どこか遠慮がちに、

 

「そういえば美ィちゃん?もう夏休みよね」

「……ふぁい?」

「補習とかは良いの?」

「……ぅふ」

「聞いた話じゃ、部活もかじってるんだろ?」

 

 あまりの会話の弾まなさに、さすがのオレも気をつかい、さりげなくネタ振り。

 それは詩愛と『フクロウ』も同じであったのか、

 

「まぁ、美ィちゃん、それホント?」

「え!初耳ですね。ナニ部に入ってるんです」

「……んぅ」

「たしか新体操部と……茶道部、だよなぁ?」

 

 茶道部!と今度はホンキで驚くふたり。

 しかし、そう言っているあいだにも、美香子はフォークを放し、手をテーブルの下に。 

 

「ホラまた。ソコ(おまた)に手をやるの、おヤメなさい?」

「……ぃえ?」

「お乳(ちち)もダメです」

「……あぅ」

 

 オレと『フクロウ』は顔を見合わせる。そしてヒソヒソと、

 

「さっきの衣装のせいか?なんて言ったか、その……」

「ボクも店のウワサでしか聞いてませんケド“意識改善”用とか“おしおき”用、とか」

 

 詩愛がいる手前上、『性的洗脳用』と『懲罰用』を、この青年はオブラートに包んで説明する。

 

「ホントにもう!あんな色情狂(いろぐるい)みたいなカッコして。姉として恥ずかしいわ?……美ィちゃん、聞いてるの?」

 

 だが美香子は相変わらず生返事のまま、ボンヤリした風情で。

 

 ──結局。

 

 せっかくの手料理を前にして、晩餐は沈滞ムードのうちにおわってしまう。

 びみょうな表情のまま重い手つきで、食べ残しの皿をまとめラップをかける詩愛の背中が哀れだった。浮かない顔をした彼女がキッチンで片付けものをする水音にまぎれ、オレと『フクロウ』は額をよせて、

 

「今晩って、店は営(や)っているんかィ?」

「えぇ。ボクはシフトにはいってないけど、通常どおりのハズです」

「“小男”……店主(ヂェンチュ)は居るかな?」

「“お館(やかた)さま”ですか」

 

 すでに店の躾(しつ)けを叩き込まれたのか、『フクロウ』は“小男”のことをそう呼んだ。

 

「さぁ?ボクのようなヒラのウェイターには、雲の上の存在ですから」

「オマエ、あの店の“ウラ”のことは、どれだけ知ってる?」

「“ウラ”?超VIP用エリアのコトですか?ほとんどウワサでしか聞いてません。さっきのバニー・コートも、偶然知ってただけで。ほら、丸リボンのロゼッタ(なふだ)をつける腰のところにバイオハザード・マークがあったでしょ?」

 

 オレはリビングの片隅に歩いてゆき、脱ぎ捨てられた真紅のバニー衣装を手に取った。

 

 なるほど、腰のところ。

 黄色地に黒でバイオハザード・マーク。

 ピンで留めるタイプのプラスチックワッペン。

 

【挿絵表示】

 

 わきに転がるチンポをかたどった二つのディルドー。

 その鈴口(せんたん)から漏れる緑色のネバっこい液体を、ホンの少し指先につけてニオイを嗅いでみると、あきらかにケミカル臭がする。

 

「よく知ってたな?コレが“調教服”だって」

「それもウワサです。このマークをつけたエスコート・レディを見かけたら、マネージャーに知らせろって、クドいほど教えられました。ほんらい“オモテ”で見かけちゃダメなものだと」

「なんで“オモテ”の美香子が、こんな服持ってるんだろ?」

「ボクも驚きましたよ。まさかこんなところで……」

「習慣性のあるヤバいクスリだったらイヤだな」

 

 オレは覚悟をきめた。

 

「オマエ、フロアマネージャーと連絡つく?──無けりゃ、知ってる限りで一番上の実力者」

「えぇと……“チーフ・レディ”の『小枝子』さんなら……」

 

 ──え”!

 

 こいつ。意外とスミに置けない。

 まさかあのオンナ調教師と連絡先を交換しているとは。

 まぁ、黙っていればコイツは腐女子の“タチ/ウケ”論争のネタになる風貌はしているが。

 だが、あの女の本性まで知ってるだろうか。まさか“女王サマの童貞狩り”というわけじゃ。

 

「小枝子のメルアドか?」

「ちなみに電話番号もありますケど」

「聞いてみてくれるか?今日“小男”……いや“お館サマ”が、居るかどうか」

「え……でもボクから電話を掛けてくるな、って小枝子さまが……」

「なんじゃそりゃ。オレが何とかする──掛けろ」

「……はぁ」

 

 少しばかり眉をしかめ『フクロウ』は携帯を操作する。

 やがて呼び出しMODEになると、ハイと携帯を渡しやがった。

 ちぇっ、とばかり耳に当てると、数回のコール音のあとに不機嫌そうな声。

 

『えぇぇぇ──ボウヤかぃ?』

 

 背景が、かすかにザワついている。

 おそらく外なのだろう。あるいは室内のパーティか。

 “紅いウサギ”ではないようだった。退廃的なBGMが聞こえない。

 彼女の口調は、まさに哀れな女の背中にムチを振り下ろす嗜虐(サド)的なソレだ。

 “オモテ”で聞いた銀座の“雇われママ”めいた品格はなく、いまは蓮っ葉な調子で、

 

『驚いたねぇ…………あれほどクギさしたのに。アンタからかけて来るなんて!!」

 

 オレは『フクロウ』の携帯をスピーカーMODEにする。

 そしてなるべくコイツの声をまね、オドオドした言い方で、

 

「どうしても……小枝子サマのオッパイをモミたかったんだよぅ……」

『はァ!?なんですって!?」

 

 ダイニング・テーブルの向こうで『フクロウ』がアウアウと腕を振りまわす。

 

「小枝子サマにお会いして、ボクのチンチンいぢってもらいたいよぅ……」

 

 携帯の向こうは沈黙。

 オレが笑いを必死にこらえていると、氷のように冷たい声が、

 

『……ダレです?アナタ』

 

 思いもかけぬ本気モード。

 ヒキッ、と『フクロウ』が顔をこわばらせる。

 裏街道で生きる婦(オンナ)の、静かだがドスの効いた口ぶり。

 どうやらお遊びは、これまでにした方がよさそうな気配だ。

 

「スマんすまん──私だ、マイケルだよ』

 

 オレはつとめて明るさをよそおい、

 

「ほらソチラの、え~なんだ『お館サマ』、か?店主(ヂェンチュ)と知り合いの」

『あぁ……オドロいた。貴方でしたの』

 

 なぁんだ、と緊張を解いた彼女は、まるで『フクロウ』をもう自分専用の下僕にでもしたような気安い口調で、

 

『悪い冗談ですわ。そ(・)の(・)仔(・)とは、どういうご関係?もしかして……ソッチの……』

「いや、いや。誤解するなよ?オレの舎弟だ。まぁ、ンなこたどうでも良い。それより──コレを見てくれ」

 

 オレは『フクロウ』に携帯を操作させ、美香子の着ていた妖しげなバニー衣装のフォトを美香子のアドレスに送りつけた。

「ウチの美香子、いや『美月』がこんな衣装を着たんだがな?これを身につけたとたん──」

『拘束服6号!』

 

 携帯のスピーカーから、悲鳴まじりの驚きが響いた。

 

『どうして……そんなモノが店外に!?『美月(あの子)』は、責め具を挿入(イレ)たのかしら……』

「張り型(ディルド)のことか?それなら二本とも“まえ”と“うしろ”に。張り型から、ヘンな薬剤がにじみ出てたケド……」

『いまどちらにいらっしゃるの!『美月』をすぐココに連れてきて!!』

「ハァ?いますぐに、かィ?」

 

 そうは言ったものの、相手の口ぶりには何か不吉めいた切迫がある。

 オレは、マンションの住所をキッチンの詩愛に聞いて、小枝子に伝えた。

 

『車を回します!拘束服も一緒にもってきて頂戴(ちょうだい)──それとシンちゃん?あとでオシオキよ……?』

 

 ヒィッ!と固まる『フクロウ』をよそに、車のナンバーと符帳をつたえ通話は切れた。

 

「ホラぁ……だからボクはイヤだったのにィ」

「なんだ?まさかオマエ、小枝子に何かされたんじゃないだろうな」

「そうじゃないですけど……“ウサギ(あの店)”では、イロイロあるんですよぅ」

 

 詩愛が片付けの手をとめて、

 

「なぁに?なにか騒々しいけれど……どうしたの?」

「いや、なにね」

 

 オレはつとめて何気ないフリをつくろって、

 

「これからオレたち、ちょっと美香子の店に行ってくる」

「えっ……こんな時間に?」

 

 彼女はリビングの壁に据えたオシャレな掛時計を怪訝(けげん)そうに見上げた。

 

「……もう9時ですよ?」

「ウン、ちょっとヤボ用でな。美香子も連れて行く」

「えぇっ?」

 

 オレはクソだだっ広い間取りを歩き、例の天蓋(てんがい)つきベッドがある部屋を開ける。

 小山のようにも思えるムラサキ色に艶やかなベッドの上で、美香子は服もウィッグも脱がないまま、うつ伏せに寝息を立てていた。それをむりやり起こし、ナヨナヨとおぼつかないカラダを玄関まで連れて行く。

 

 詩愛が心配そうに、

 

「大丈夫なんですの?……美ィちゃん、そんな調子で」

「なに。大した用事じゃないんだ」

「もしかして……お夕飯、お口に合いませんでした?」

「バカな、そんなじゃない。ケドすこし遅くなるかもしれん。さきに寝ててくれ」

 

 こちらの口調に、女が持つ独特の“カン”でなにか不穏なものを感じ取ったものか、

 

「大丈夫なんですの?……お気をつけて行ってらっしゃいまし」

 

 ──ウッ。

 

 オレは不意を突かれる。

 その不安げな声、そのものごし。

 異世界の妻であるシーア、そのものだった。

 気遣わしげな彼女の顔に オレは自分でも思わぬ行動にでた。

 かるく彼女を抱きよせ、その頬に口づけ。まるで何度もやってきたかのように。

 

 顔をはなすと、たちまち彼女の表情(かお)が、うれしさに赤く染まるのを見た。そしてチョッと『フクロウ』をうかがうが、コイツも大したもので、さり気なくソッポを向いて知らんふりに。

 

「あぁ~~お姉ひゃんアタシのご主人サマだぉ~~」

 

 どことなくヘロヘロしながら、不満げに口をとがらせる美香子。ジタバタと、駄々っ子のように暴れる。

 詩愛に送られ、部屋を出てエントランス・ロビーに降りると昼間とは別の中年男がコンシェルジュ・デスク越しに挨拶を投げかけた。

 

 ──24時間対応のフロントとは、ねぇ……。

 

 このマンション、いったい管理費はいくらなんだろう。

 おそらくべらぼうな値段を毎月取られるにちがいない。

 そういえば挨拶回りをした家族は、いずれも企業の若社長や高級官僚だった。

 なかには**国の大使館付き武官、なんてヤツもいたっけ……。

 

 エントランスの片隅にある商談スペースのような応接ソファー群のひとつで待っていると、ほどなくして真っ白なバンがマンションの車寄せに音も無く止まるのを、磨きぬかれた自動ドアのガラス越しに見る。

 ミニバンではない。二階建てかとも思える、ホ(・)ン(・)モ(・)ノ(・)のアメリカンなフルサイズ。しかもかなりドレスアップされており、高速のパーキングエリアで見せびらかしに来るような種類だ。

 

「車ンなかから真っ白な毛皮を着たハリウッド女優でも出てきそうですね……」

「おまえにしちゃ、なかなかシャレた比喩(ひゆ)だな。ただ今は連中、脱・毛皮だが──念のため、ちょっとココで待ってろ」

 

 オレは興味シンシンなコンシェルジュの視線を背中に感じながら、厳重なマンションの自動ドアを抜ける。すると【シボレー】のエンブレムがついたフルサイズ・バン運転席のすぐ後方。観音開きタイプのドアが片方ひらき、アイロンの効いたパンツ・スーツの女性が長い脚を突きだした。

 

 頑丈そうな頬骨とつり上がった細い目。

 スーツに包まれてはいるが、見るからに身体能力の高そうな身体。

 見覚えがある……例の侵入者さわぎの時、相手に華麗な“カカト落とし”をキメた女ボディー・ガードだ。

 

 車のナンバーを確認──間違いない。

 すると今度は女の方が片言の日本語で、

 

「──コノ車。好奇心、アリマスカ?」

 

 すかさずオレは応じる。

 

「──あぁ。猫の命取りになるが、ね」

 

 『好奇心は猫の命取りになる(Curiosity killed the cat)』という英語のことわざをもじった、サエない合い言葉。

 

 女ボディー・ガードは小さくうなづくと、車から出てきて身ぶりで、

 

「トゥロオセヨ(お入り下さい)」

 

 オレはガラス越しに、エントランス・ロビーで様子をうかがう『フクロウ』に合図した。

 するとヤツは“拘束服6号”が入った紙袋を手に、フラフラする美香子を支えて自動ドアを抜けてくる。

 

 巨大な車の中に入ると、消毒液の臭いがつよく漂った。

 中はポンプや電装品だらけで、後部の奥はカーテンで間仕切りされている。

 そこにヒトの気配があるのを感じたオレは、すこしばかり身がまえ、緊張した。

 なんせ“あの店”の車だ。それにこの不自然な車格。どんな仕掛けがあるかわからん。

 

 だが、『フクロウ』に助けられフラフラ乗り込んだ美香子は、さっそくそのカーテンの奥から出てきた白衣の腕に引っ張り込まれた。手首に巻くカルティエの女物時計が印象的だったその腕を追ってオレもカーテンを引き開ける。

 

 すると──。

 

 窓がすべてめ(・)く(・)ら(・)板(・)となったそこは、まるで救急車の中のように改造され、一人の50がらみと見える女医が脂っ気のないごま塩あたまを振り立て、力の入らない美香子のスカートとショーツを引きはいでいるのだった。

 

 黄泉の奪衣婆(だつえば)を連想させる荒々しさ。

 あっという間に露(あら)わとなる、白々とした下半身。

 ビニール張りのマッサージ・チェアにグイグイと拘束して。

 

「ナニするn──!」

「静かに!」

 

 オレの怒声を上回る大声で、この初老の女医は一括。

 

 やがてイスのわきについたレバーを慣れた手つきで操作する。

 バンザイのポーズで、下半身をさらしチェアに拘束される美香子のカラダ。

 それがモーター音とともにユックリ後ろへと倒れてゆき、連動して脚はハの字型にひらかれ、まるで分娩台のようなスタイルとなって、イスは変形を止めた。

 

「アンタがこの娘(コ)の持ち主(オーナー)だね?──ソッチの若い奴(の)はダメだ!」

 

 のぞくんじゃ無いよ!と女医がさけぶや、女ボディーガードが『フクロウ』の襟(エリ)くびを引きもどし、手ひどい平手をスパァン!一発。

 

「小枝子サマ、カラノ、ゴ伝言ダヨ!」

 

 そう言うや、シャッ!カーテンを閉め、後部座席と救急エリアを遮断した。

 モーターが起動し、まるで東ヨーロッパの鉄道のようにいつのまにか車は動き出している。

 

「拘束服6号は?もって来たかね」

「『フクロウ』!バニー衣装だ!」

 

 カーテンの下から紙袋を握った手が、オズオズと突き出された。

 女医は袋をのぞき込み、二つのディルドーを取り出す。

 

「ふうぬ……やはり、ネ」

 

 尾部をなにやら操作すると、いきなりこのイボつきな張り型は身を震わせ、ドぴゅっ、と何かを吐き出した。

 女医がSUS(ステンレス)の膿み盆にそれをうけ、ニオイを嗅ぐ。

 

「大林製薬の『ナカイキトマラーヌ』だね……どれコッチは」

 

 おなじ操作で彼女が肛門に挿入していた淫猥な器具から薬液を射精させると、

 

「コッチはロシア製の『オシリアクメスキー』か……どっちも進行性のあるイヤなクスリだよ!まったく。いったいこの娘(コ)はどこから……」

 

 そう言うや、初老の女医は疲れた手でパサパサの髪を一度、かき上げると、棚から手術用の薄いラテックス手袋を一組ひきだし、ギュッギュッと手にはめる。そしてビッチリならぶ器具の棚をさぐり、酸素マスクの中央から長いノズルが突き出る、なにやら痛そうな印象の器具を引き出す。Vの字をした指で、美香子の女陰(オマンコ)をくぱぁ……させ内部を確認してから、

 

「ん~♪この娘、キレイな膣(ヴァギナ)をしているねぇ……」

 

 次いでノズル部分をズブズブ……っ!彼女のオマンコにゆっくりと挿入。

 

「あふ!ぅ……ん」

 

 夢うつつの表情で、美香子は拘束された身体をよじらせる。

 女医は、そんな彼女にはおかまいなしで酸素マスク部がピッタリとオマンコ全体を覆うようにすると、マスクの根元についたボタンを押す。

 とたん、水流とポンプ音がしてして彼女の膣が洗浄されてゆくのが分かった。

 

「はぁぁ……ぅ……ん……ご主人サマぁ……」

 

 うす目をあけ、美香子が痴呆然としたトロけ顔で、ヨダレを流し微笑んだ。

 

「キモチ……イイよぅ……」

 

 ハヤく連れてきてくれて良かったよ、と女医はノズルの角度をグニグニと調節し、

 

「これは“ウラで“仕置き”に使う薬でね。ふつう外にゃ出さないんだが……なんでコノ子がもってるんだィ」

「『ミチル』おねぇサマに……」

「アァ!なんだって!?」

「『ミチル』ねぇサマたちに……もらったのぉ……このバニー着れば……ご主人サマがメロメロってぇ……」

 

 女医の眉がしかめられた。

 

「オーナーさん?」

「は。へぇッ」

 

 どうやら自分のことを言われているらしいので、おれはとっさに返事する。

 

「この娘は……好奇心の強い子かね?」

「おそらく。いや、そうとう強いと思われます」

「むかしから、こんなシマリない“ザンネンな子”風だったのかぃ?」

「いえ、そちらの店の若い医者二人組に、なにか点滴されてから……」

 

 点滴!と女医が顔色をかえる。

 

「どんなクスリを点滴したか、分からないだろうねェ?」

「いや、えぇ──チョット待って下さい?たしか……」

 

 オレは、小男との会話を必死に思いだそうとする。

 そして『第21話:夜の訪問者』の記憶をようやくたぐりよせた。

 

「そうだ!ヘッケルだかジャッケルだかが『大林製薬の『アホニナール・点滴静注液』を毎日1パック』、それを3,4日……とか」

「血液洗浄だ!」

 

 女医はアワてた手つきで点滴針とカテーテルを引き出した。

 

「あの性ワル兄弟が処置したんだろ?まだクスリの効果が残ってるかもしれないョ……」

「でも……もうだいぶ前ですよ?」

「アンタは、あのクスリの怖さを知らないんだ!」

 

 末梢(まっしょう)静脈にカテーテルが固定され、細い管のなかを赤い糸が昇ってゆく。

 

「ハイチ生まれの──あのクスリのこわさを!」

「外国産の薬品なんですか?」

「複雑な分子構造をもつ、出所未詳のアルカロイド系・複合剤サ!」

 

 まるで唾棄(だき)するような勢いで、

 

「チカン詐欺やった女子大生や、保険金目当てで自分の赤ん坊コロしたヤンキーな母親が、この薬剤を投与された結果、ヒトの言うことなんざ全く聞かないクソ性格だったのに、脳みその思考レベルを強制的に引き下げられたすえ、イヌのように従順な“性処理用人形(SEX-TOY)”ンなっちまった!」

「うぇ……大丈夫、なんですか?そのぅ──」

 

 オレは初老の女医の疲れた横顔を、おそるおそる伺(うかが)いつつ、

 

「こんな車の中で、そんなヤバげなクスリの処置を」

「ハ!その気になれば、脳腫瘍の手術だってこの中でデキるんサ!バカにおしでないよ!」

 

 女医は膣洗浄を終えたのか、こんどは尻の下にシリコン製のマクラをあてがい、大きなシリンジの中に2リッターはあろうかという浣腸液を満たし、それを美香子のうしろの“おちょぼ口”にヌチッ!突き刺すと、ゆっくりプランジャーを押してゆく。

 

「はぅぅぅ……アツぅい……おなかがァ……おなかがァァァ!」

 

 悲鳴と哀訴のクレッシェンド。

 浣腸を終えると、女医はゴム製のポンプがチューブを介してつながる肌色の太いディルドーを取り出す。彼女がポンプのゴム球をニギニギすると、ディルドーがそれにつられムクムクとふくらんだ。そうやらコレが抜け防止となる仕組みらしい。

 

 シュゥッ!手元のバルブで空気を抜き、ディルドーを元のチンポ型に縮小させると、そこに潤滑剤らしきものを手早く塗り込んで、ぬぬぬぬぬぅぅ……っ。彼女の肛門に、ネットリゆっくり。びみょうに前後させつつ奥まで差し込んだ。そして件のゴム球をシュコシュコ握(ニギ)る。

 

「んっ……んっ……んっ……」

 

 女医がポンプをニギニギするたびに、美香子の繊細な直腸のなかでディルドーが貪欲(どんよく)に膨らんでいるのだろう。彼女は拘束された姿のままジリジリと悶(もだ)え、顔を赤らめ、うるんだ目つきをほそめ、肌を上気させ脂汗(あぶらあせ)を流した。

 

「イヤぁぁっ……くるしぃのォォ……おしりがァ……おしりがァ……」

「オーナーさん?見たけりゃ、おおっぴらに見てもイイんだよ。何たってアンタが飼い主なんだから」

 

 先ほどから美香子に対する施術を(あくまでこの女医が彼女にヘンなことをしないか、警戒目的で)チラチラと横目にしていたオレは慌(あわ)てて、

 

「いや……この娘(コ)にも、名誉ってものがあるから……恥ずかしがらせても可哀想だし」

 

 しどろもどろに言いつくろうオレに対し、ッハ!女医は大笑して、

 

「なんだィ、ナンだぃ!“持ち主(オーナー)”ともあろう殿方が、ずいぶん奴隷に甘いじゃないか」

「奴隷だなんて、そんな」

「イイって──店主(ヂェンチュ)から聞いてるよォ?『一風変わった男がいる。自分の右腕にしたい』って」

 

 “ウラ”にも通じた階級なのか、女医は“小男”を「お館さま」とは呼ばない。

 

「もうだめぇ……くるしいぃ……脱糞(ヒリ)ださせてぇぇえ」

「まだだヨッ!」

 

 ピシャリ!女医は腹ポコに膨(ふく)らんだ美香子のハラを平手で軽くたたき、

 

「もっと中和剤を腹ンなかに行きわたらせて、浄化しなけりゃ。あと5分は苦しんでもらうよッ!」

「そんな……そんなぁぁぁ……」

 

 うんち……でりゅぅぅぅ~~と美香子はさらに身悶え。

 

「だらしないねぇ。“ウサギの超新星”と呼ばれてるアンタが」

「……なんですその“二つ名”www」

「この娘はコノ娘でタイヘンなのサ。店ン中でも“チーフレディ”の『小枝子』グループと『麗華』グループがいるだろ?この歌姫ぁどッちにも属してないからねぇ。さっきの『ミチル』ってのは『麗華』のほうサ」

「その『麗華』さんて方(ほう)には、お会いしたことがないな。どんなヒトなんです?」

「今日、会ってみればイイさ。当番だから」

「え?『小枝子』の方は?」

「今晩は店主と一緒に、どっかへ出張だよ」

「最近……店主は、いそがしいの?」

「出張ばかりだねぇ。なんか店の雰囲気も、さっき言ったみたいにキクシャクしてさァ」

「まいったな。タノみたいことがあったんだが──」

 

 オレは店を訪れたという結城(ゆうき)のクソ爺ィを映した監視カメラの映像が見たかった。

 それに、あの男に頼んだ“アフリカ傭兵の夢にでてくる拳銃”が入手できたか、どうか。

 ついでに『麗華』とやらに会って、美香子──『美月』をいじめてくれるなと頼んでおくか。

 

「だめぇっ!もう……ダメへぇぇぇぇっ!!」

 

 その美香子が悲鳴を上げる。

 女医は、手首のカルティエを看た。

 クロノグラフ仕様になった“パシャ”だ。

 おそらくそれで浣腸の時間を刻んでいたのだろう。

 

「フン。もういいようだね……どれ」

 

 女医は、美香子の肛門付近を“大きめの酸素マスク”できっりちおおう。

 

「ホラ!キタないクスリごと便秘うんこをたっぷり出しなァ!」

 

 しゅっ!

 

 アナルプラグの代わりに膨らませていたディルドーの空気が抜ける音。

 

 途端……。

 

 ブリブリブリッ!ブバババッ!ぷす~……ぶぼぼぼぼっ!

 くきゅぅ~ぅブッ!ププププっっ!バビブベッ、ボッ!

 ビチグソォォォォォン!ベンピダメダメェェェェッツ!

 オショクジチュウノミナサンメンゴメンゴォォォォッ!

 いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!

 車の空気清浄機!最大出力ぶぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!

 

 愁嘆場がすぎ、美香子のすすり泣きを背景として、オレが考え事をアレコレと巡らせているあいだ、いつのまにか車のスピードは落ちていた。

 カーテンに仕切られた前席から、朝鮮語らしき言葉でなにやら伝えてくる。

 

「もうじき店に着くよ……そしたら、この娘を1日ばかり預からせとくれナ」

 

 よろしくお願いします、とオレは深々あたまを下げる。

 そのとき、そうだ!と思いついたオレは女医に、

 

「あのボディガードの姉サンに、監視カメラの映像を見たいと伝えてくれないかな」

「監視カメラ?どこのだい。」

「“オモテ”の客席を映したヤツ。この前、店主と一緒に見せてもらったからイイだろう?」

「なんでだね。意中の娘が、まだいるのかい?」

「その逆さ。店にとって敵になるかもしれない、イヤな人物が映ってる可能性がある。ソイツを見たい」

「……まえの侵入さわぎ……みたいな?」

「否定はできない」

 

 オレはきっぱりと答えた。

 半分ハッタリだったが、女医の顔がマジになる。

 前席の怖いアネさんに何やらガナるが、どうやら否定的な返答が返ってきたようだ。

 

「店主の許可を得ないとダメだってサ」

「じゃぁ許可とってよ」

「……しかたないねェ」

 

 女医は自分の手の臭いを嗅ぎ、まだ美香子のウンコ臭がしたのか消毒スプレーで清めてからポケットに手をやり、携帯を取りだした。

 

「あぁ、店主(ヂェンチュ)?アタシだけどサ──」

 

 

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