※この作品はR-18です。

試製・転生請負トラッカー日月抄~撥ね殺すのがお仕事DEATH~【18禁版】   作:珍歩意地郎_四五四五

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    〃     (2・微エロ注意

 

 * * *

 

 ──はぁぁ……もうカンベンしてよぉ~……。

 

 『美月』は、手術用モニターに映る容赦のない『ヘッケル』と『ジャッケル』のメスさばきに心の中で悲鳴をあげた。とくに、胸腔(むね)のなかへ鉗子(かんし)を入れるシーンでは、血まみれの第12肋骨が切開部から抜き取られるカットで思わず目をとじようとしたものである。だが目蓋(まぶた)は、まるで医療用接着剤で固められたかのように言うことを聞かず、そのまま延々とグロい手術シーンを見せられることになった。

 

 しかし──奇妙なことに、ふだんなら吐き気がくるような映像でも、いまの『美月』には何とか耐える度胸がついていた。彼女自身おもうに、コレは持続的な効果のある鎮静剤を、いまこの時も拘束されながら点滴されてるのでは?──と、コレはすこしまえ、投薬された洗脳剤を血液洗浄で洗いながしたとき、例のオバさん医師から『薬機法』がらみで説明されたときの知識である。※1

 

 モニター画像は、要所で編集されているらしく、暗転をはさんだ次のシーンでは元・バニーの身体つきが、バィィ~ン!と、思いっきり趣きを変えていたりする。

 ただでさえスタイルが良かった彼女の肢体(からだ)は、たび重なる施術で見るまに人造的な変化をとげ、品よくバランスの取れていた「B」(バスト)「W」(ウェスト)「H」(ヒップ)も、モニター右上のDAY表示が進むたび、

 

 ヒップは呆れるほどの豊尻に──。

  ウェストは見ている方が不安になるほど細く──。

   バストは男を惹(ひ)きつけずに措(お)かないほどの巨乳に──。

 

 それぞれの部位が、ピンナップ・ガールを思わせるほどの極端なメリハリに変えられてしまうのである。

 一つの施術がおわるたび、意識のもどった元・バニーは自分の身体に加えられた改造に嘆き悲しむのだが、小山のようなバストに換えられたあとでは心が死んだように、ただボンヤリするだけとなっていた──もっとも、コレも鎮静剤の効果だったのかもしれないが……。

 

「あがっ!あがぁぁ……っッ」

 

 くちびるに、容赦なく幾度も注射針がズブズブ突き立てられてゆく。

 細胞増殖剤と“色素胞”のまじったハイブリッド溶液。

 

※【ここ、くちびる整形注射の写真挿入のこと】

 

 腫れあがり、まるでソーセージのような“おしゃぶり用”の肉厚くちびるにされた元・バニーが、鏡で自分の顔を見せられたときに流した、ひとすじの涙。

 

 ムリも無い……と『美月』は思う。

 自分も施術を受けたときは、目の前が真っ暗だった。

 怒(いか)り、恐喝(おど)し、泣き、叫び、哀願し、ついには無感情に。

 ウィッグの留め具がキラめく、スキンヘッドにされたアタマ。

 ぶざまに膨らまされたくちびると、リモートでケバくされた化粧……。

 元・バニーも、当時自分がやったように舌で口唇(くちびる)をそっとなめ回すのが見えた。

 

「あぁ……あぁイ(アタい)……オエはぁあ(コレから)……ほぉはぅお(ドウなるの)……?」

 

 垂れたヨダレをふけず、極端に滑舌(かつぜつ)の悪くなった元・バニー。そんな彼女を、その日は目の覚めるようなブルーのドレスをまとっている『魔ほと』は、痛ましげに眺めやっていた。痩せた頬に酷薄さを浮かべる“サード”もミラー・グラスを取り、施術される女を小気味よさそうな表情でじかに見おろしながら、

 

「そんなに自分の先行き知りてェか……ンじゃ教えてやる。ドク(センセ)?」

 

 うながされた双子の医師は、あくまで事務的な口調で、

 

「あとは男性用にフェラチオ──」

「および女性用にクンニ奉仕のため──」

「舌を細胞増殖と牽引(けんいん)で長舌化します。それと──」

 

 二人の医者が、そのとき顔を見合わせて、しばし口ごもる。

 ややあってから片方が“サード”の傍(かたわ)らで控えるミッチーこと『魔ほと』を指して、

 

「彼女のように『懲罰型スレイブ・ドール(奴婢人形)』用の宝石を──」

「頭蓋にドリルで穴をあけ、リベット留めし──」

「特定指向の感染性タンパク質によって──」

「知性の引き下げ処置を行います」

 

 つまりお前ェは──

 

 “サード”は手術台に拘束される元・バニーの方に身を乗り出す。

 そして「ザマァみろ」と言わんばかりに目を大きく見ひらいて、

 

「あの奴隷の証(あかし)である宝石を、額(デコ)にリベット留めされて、だんだん“夜の相手”を求めてヨガリ狂う『色ボケ』になっていき、ついにァSEXのことしか考えられない“性処理用・メス人形”に!時間をかけてユックリ変えられていくって寸法サ。それ、ソコにいる──」

 

 と、ここで“サード”は、痩せた顔に浮かべるニヤつきを一層深め、

 

「──元・女刑事のようにナ」

 

 指されたプラチナ・ブロンドの女は、頭に乗せたティアラの中央に輝く大ぶりな菱形ルビーを輝かせ、哀しそうに俯(うつむ)いた。

 

 

チュィ!ィィ……ンンンン……ン。

 

 双子の片割れが持つ外科手術用ドリル。

 そのトリガーが一瞬かるく握られ、軽やかな音をたてる。

 

「口腔内の施術は──」

「脳処置のあとでおこないます──」

「いまクランケに施術内容を説明すると──」

「憑依(ひょうい)体が、感情を抑え込んでいるとはいえ──」

「パニックをおこすか、心理的なキズを負わせる可能性があり──」

「術後の予後、また『人形化』後の奉仕活動に影響をおよぼすことも考えられますので」

 

 『魔ほと』は、ドレスの裳裾(もすそ)をゆるやかに揺らして手術台に歩み寄ると、哀れな犠牲者を凝(ジ)ッと見下ろした。

 

 視線をカラみ合わせる元・女刑事と、元・バニー・ガール。

 多少、歳がちがえども、美貌の女ふたりは異なる想いを込め、やや久しくお互いを見やった。

 

「可哀想にね……でも仕方ないの、これが私たちに与えられた役目なのよ……今はね」

「ほんはぁ(そんなぁ)……ほねぇはまァ(お姉ェさまぁ)……ほねぇはまァ」

 

 潜入捜査のあげく身元がバレ、“紅いウサギ”の女奴隷として強制的に調教されてしまった元・女刑事は、エスコート・バニーだった年下の女の額をやさしく撫でた。すでにそこはキレイにそり上げられ、二度と髪が生えないよう毛根を溶かされてツヤツヤになっている。そしてドリルを突き立てるための位置決めマークが容赦なく額の中央にマジック書きされ、加えてミミズの這ったようなドイツ語で、なにやら注意事項らしきモノまで記されていた。

 

「──なにも出来ないワタシを許してね……」

 

 『魔ほと』と呼ばれるようになった元・女刑事は、手術台に拘束された未来の同僚に顔を寄せ、肉感的にされた唇どうし、濃厚なキスをかわす。

 

 からみあうネットリとした紅舌(こうぜつ)。

 漏らされる熱い吐息。あえぎ声。

 手術台の女からふきこぼれる泪(なみだ)。

 

 ビュクびゅくビュクっ!

 んはぁう……っつ!元・バニーのよがり声。

 移植された寄生体が、熱い蜜を吐いて宿主の乳首をボッキさせる。

 ふたりの女の興奮と体臭、そしてモノの匂いが、たちまち手術室に充満して。

 

「さ、これがお前ェに移植される宝石(いし)だ……」

 

 スタッフの一人が“サード”にうながされ、ポリカーボネイト製とみえる厳重なハードケースを持ってきた。医師の片方が、それを手術台わきのキャスターに置くと暗証番号で解錠し、女たちの前で重々しく開いてみせる。

 

 一見して、長辺が5cmほどの、菱形をした大型ルビー。

 

 だが、その輝き、煌めきは異様なほどで、カットされた面の中には妖しい影が、まるで闘牛士の持つケープの如く幾重にも閃くように看えるのだった。

 

「最優等(スマ・クム・ラウデ)の『人形』となる素材には──」

「最優等の美麗な装飾と装具を」

 

 ケースを開けた側と逆の医師が、それを手術用ラテックス手袋でつまみ上げると目の上に掲げ、居並ぶ集団に見せつけた。声も無く、魅入られたようにその宝石を見つめる一団……。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 やがて、

 

 キュウゥゥゥゥ!……ゥゥンンンン。

 ケースを開けた側の医師が手術用のドリルを鳴らし、全員を現実に引きもどす。

 

「その思考洗脳用・宝石は──」

「ジッと見るだけでも危険なシロモノでしてね」

「大昔、異端として処刑されたサマタリアの魔道士が──」

「永遠に解呪(とけ)ない咒(のろ)いをかけたとも言われています」

「サマタリアだぁ?……ドコでェ」

 

 ちょっと不思議そうな“サード”の問いに、ふたりの医師は声をそろえ、

 

「「とおぃ──ここからでは、きわめて遠い土地です」」

 

 彼らが、フッとため息をついたように見えたのは気のせいか。

 やがてスタッフたちは忙しく立ち働き、手術台からせり出した固定用マクラに元・バニーの頭をはさむと万力のように左右からネジを回し、ギリギリとクッションの限界までシメあげて、彼女の頭を完全に固定してしまう。

 

「えっ……ひょっ……ひよっホォォ!????」

  

 元・バニーの目が見開かれ、顔には恐怖の色がうかんだ。

 まさか、額にドリルで穴をあけ“呪いのルビー”とやらをリベット留めする施術も、麻酔なしで行うというのか。冷酷な“サード”の笑みが、すべてを語っていた。

 

 双子の医師が、片方はドリルを。

 もう片方は、宝石と留め具らしいもう一対を手に。

 それぞれ元・バニーの頭にかがみ込む。

 

「ひや!!ひやァァァァ……あがぁぁっ!ぎゃぁぁぁぁあああああああああああ!」

 

 ドリル音は、途中から骨に突き当たり、ガリガリとスゴい音になった。

 ソレと同時に痛みのせいか、かぼそい悲鳴は獣じみた絶叫になる。

 傍観者の『美月』は耳をふさぎたかったが、それもできない。

 まぶたも、視線すらも動かせず、彼女は延々と見続けた。

 

 やがて──画面はうすれ、それとともに叫び声も消えてゆき、オーバーラップで別のシーンが、浮かび上がった。

 

 【DAY30】

 

 モニター右上の数字は、さらに増えて。

 こんどの場面は手術室ではなく、無機質な気配をさらに推し進めた、医療用ステンレスが目立つ、なにかの医療工場のようにも見えた。

 

 冷たい印象の薄青い光が充ちる広間である。

 

 ベッドに似た台座が、いくつもキッチリ整然とならんでいる。そこには十数体の等身大な女性型をした様々な人形が、しかもハダカのまま横たえられていた。

 共通するのは肌がみんな真っ白で、そして髪がぜんぶプラチナ・ブロンド。二、三の人形は首が外され、台座わきの台に据えられている。首元には何かの稼働ランプが明滅し、長いまつ毛をとじて、安らかな顔をしている。

 

 顔つきやスタイルが全部ちがうのは、大量生産の安物ではないためだろう。

 『美月』から見てても、悔しいながら、ちょっとイイ感じの洗練された化粧。

 色々な大きさ・形の胸は、ぜんぶ乳首が勃起(ボッキ)し、片方に名札がピアス留めされて。

 

 画面はゆるやかに変わってゆき、別室の画面になった。

 何かの高価な医療用機械にかこまれた、SUS製の輝きを持つ台座が一台。

 床は格子状のグレーチングになっていて、つねに水が流れるらしくサラサラと音がする。

 

 ──あぁ……やっぱり。

 

 『美月』は、またも心の中で暗然とした。

 

 あの元バニー・ガールが前ウデと──そしてヒザから下を切断された状態で、わきと股間にハーネスを通され、全裸で台座のアームから垂直に吊られているのだ。

 腕やヒザの切り口は、切断面をおおうように何かの電子デバイスが装着され、意味不明な輝点をPCのルーターよろしくチカチカ明滅させている。そして、そのスキン・ヘッドな額の中央には……。

 

 ──アレが……“サード”の言ってた処置なのね……。

 

 あの菱形をした悪魔の宝石。

 元・女刑事のティアラにも嵌まっていたルビー。

 それが残酷に留めされ、内側から燃えるような煌(キラ)めきを魅せている。

 

 『美月』はモニターから視点をはずし、手術台の上を見た。

 あい変わらず、緑色の手術用ケープにおおわれ息づく物体。

 あそこに横たわるのは、元・バニーなのだ。また手術台に横たえられているところを見ると、さらにイヤらしい改造を加えられたにちがいない。

 

 モニターで見る時点でも、肢体(カラダ)の魔改造は相当なモノだった。

 

 どことなく、全体的にテカったような皮膚(ひふ)。

 あたかも肌にビニールのコーティングをされたような外観。

 巨乳化されたオッパイが、天井のLEDを鏡のように反射して。

 

 ──あれ……?

 

 さらに『美月』は妙なことに気がついた。

 元・バニーの細く、すんなりとしたノドの部分。そこに薔薇の花が咲いたような立体的装飾が肉の盛り上がりで形勢され、中央にはスリットが入っている。あれも、なにやら悪魔的な意味合いがありそうだ、と彼女は心のなかで身構える。

 

 ──なんにせよヒトの体って……1ヶ月そこらで、コンナに変えられちゃうのネ……。

 

 モニターの中で電子音がして入り口の自動ドアが開き、数人の人影が画面に現れた。

 こんどは双子医者と、元・女刑事の『魔ほと』、それに“サード”の4人だけ。ただし今回、医者たちは緑の術衣を着ておらず白衣のまま。『魔ほと』もフロア用の淫(みだ)らなイヴニング・ドレスなどではなく、チャコール・グレイのスタイリッシュな女性用ビジネス・スーツだ。心なしか、動作(うごき)までキビキビとして見える。

 

 医者の片方が、元・バニーを吊る台座に設置されたPCを起動させた。

 台座周辺の機材インジケーターが順次点灯し、次第に賑やかになって。

 

 起こせ──と“サード”の命令。

 

 医者の片方がカタカタッ!PCを操作。

 最後に、ッターン!とEnter。

 元・バニーの額に埋め込まれたルビーが一度、妖しく光ったかと思うと、

 

「うぅ……ん」

 

 長いまつげがふるえ、ボンヤリとした視線が入室者たちを眺めわたした。

 顔面はド派手なメイクになり、黒人になり、一通り色が変わった後、もとに戻った。

 

「しゅりゅふ(手術)は……しゅりゅふは……ホワ(終)ったぉ?」

 

 またもや、少しばかり舌足らずな発音。

 双子の医師は、手もとのインジケータを確認しながら、

 

「現在のトコロは、感染症もすべて陰性──」

「新参『メス人形』としての経過は順調です」

「キミの新たな“ドール・ネーム”は──」

「改造依頼主からの連絡により『雲子(ウンコ)』と命名されました」

 

 ゆるやかに首をめぐらす元バニー。やがて、

 

「ウンコ……ひゅへひはあはぇ(素敵な名前)……」

 

 双子の医師は顔を見合わせ(……得たり)と、うなづくように。

 

「神経回路。および感情の抑制因子──」

「知性引き下げ処置。ならびに従順回路、異常なし」

「これより各部動作確認──」

「および思考チェックにはいる」

 

 ッ、タァーン!

 

 Enterキーの音。

 

「オマエ──それ辞めろ」

「え──だって兄サン」

「PC覚え立てのジジィかよ」

 

 なにやら双子医師が言い争っているうち、元・バニーの目に気力がやどり、やがて自分を取り巻く人々を、恐る恐るといった顔つきで見まわした。

 

「あらヒの──」

 

 そこまで言って、ハッと顔色を変える。

 

「ことあぁ(コトバが)……ふまくりえぁい(ウマく言えない)ぃぃ」

 

 言い争いを中断した双子医師が、

 

「キミの舌は女性の腟用に差しいれる目的で──」

「細胞増殖剤で長舌化……つまり舌を長くしている」

「またノド奥に男性の陰茎を刺激するためのヒダをつけて──」

「口淫奉仕の効率、そして性能あげている」

「その要求をみたすために──」

「気道を陰茎(チンポ)が塞(ふさ)がないよう──」

「ノドに気管口を、あらたに設けた」

「キミの首に花ひらいたバラ型の孔(アナ)がソレだ」

 

 『魔ほと』が促されてキャスター付きの大きな鏡を引いてきた。

 正面に据えられたとき、今度こそ元・バニーの顔色は変わる。

 

「いやぁぁぁぁぁぁあああ!!!!1111

 

  Enterキー。ッ、タァーン!

 

    あァ……はい、ご主人サマ……命令を受領いたしました。

 

 ヒステリックな叫びは急激に収まり、いきなり顔つきもトロンとして。

 “サード”は手もとのタブレットを確認しつつ、

 

「お前(め)ェの本当の名前(ドール・ネーム)は『ユディト』だ」

「ゆひィと(ユディト)……?」

「特一級・スレイブ・ドール(性隷人形)『ユディト』。“紅いウサギ”30番目の生体備品……」

 

 『魔ほと』がカツカツと金属グレーチングを鳴らして歩み寄り、手のひらで優しく『ユディト』の肌をなでた。それは完全に真新しいビニールの手ざわりで、匂いまで似ている。

 

「可哀想な子。もう完全に、お店所有の“おマンコ人形”に変えられちゃったのね♪」

 

 そう言って、さりげなく彼女は──コリッ!

 新造された“性隷人形”のボッキ乳首をつまむ。

 

「あひゅぅ!……あぃ(はい)……あぃ……ゆひィと(ユディト)は、おハンホひんひょ~にはえへ(おマンコ人形にされて)、ひあぁへへひゅぅ(シアワセですぅ)」

 

 吊られた“性隷人形”が半分になった手脚をジタバタさせ、嬉しそうに身悶(もだ)えした。

 額にリベット留めされたルビーが、まるで幻惑させるかのような輝きをみせて。

 移植された交接器のせいか、それとも額に留められる、この宝石のせいか。

 あれほど勝ち気だった性格は、まったくかげをひそめてしまっている。

 代わりに今は、欲情にまみれた一個の哀れな『人形』があるばかり。

 

 ツ、ツゥゥゥ……ッ。

 

 股間(おまた)に移植された“憑依体”のスリットが物欲しげにヒクつき、ヨダレのようにキラキラと。

 ひと筋、愛液の糸を垂らして、水の流れる床のグレーチングに吸い込まれていった。

 

「この子の肌は──どうなってるのです?」

 

 身についた職業意識、とでもいうのだろうか。

 『魔ほと』が、さらに『ユディト』のカラダをサワサワとなで回し、気持ちよさにアヘ顔をする彼女のよがり声を引き出しつつ体の表面に顔を近づけて、

 

「ビニールみたいな肌……まるで大昔のダッチワイフですわ」

 

 彼女の問いに医者たちは、

 

「皮膚は、生体置換させて、体液に汚されても──」

「感染や汚損の心配が無い、抗菌性コーティングを施してあります」

「通常の皮膚とくらべても強度が段ちがいで──」

「ムチ打ち、荒縄による緊縛など、ハードなプレイにもビクともしません」

 

 でも……と『魔ほと』はモノ思わしげに、

 

「腕や脚が無くなっては、管理やメンテが大変ですわねぇ……」

 

 そんな彼女の言葉に、双子の医師たちは珍しくニヤリ、笑うと片方が少しばかり姿を消し、やがてステンレス製の二段台車を押してもどって来た。

 

 上段に敷かれた手術用ケープには、切断された前腕2本が、切断面を本体と同じような電子デバイスで覆ったかたちで平行に載せられている。

 医師の片方がPCのキーを叩くと、締まりの無い顔をしていた『ユディト』はいきなり仕事の出来るキャリア・ウーマンじみた顔つきとなり、ノドに花開くバラ状の穴から人工音声が、

 

『上腕部、および下肢(かし)からの信号を確認できません。接続状態をチェックして下さい』

 

 驚く『魔ほと』をよそに、医者たちは両腕を『ユディト』の本体にカチリ……カチリ。相次いで接続し、つづいて台座のわきにあるハンドルをグルグルまわして、人形の位置を上にする。そしてステンレス台座の下段からピンクのトウ・シューズを履いた形のよい脚2本を重そうにとりあげ、同じように相次いで接続した。

 台座から下ろされ、ハーネスを取り去られた『ユディト』は自動的に“モデル立ち”で己を誇示するように佇立した。『美月』もさすがに驚いて、

 

 ──うそ!……手足が繋がった!?最新の医療って、そうなの?

 

 モニターの光景に驚く『美月』。まるでSFじゃないの、と。

 ふたたびEnterキーが鳴らされ、『ユディト』の顔つきが元通り物欲しそうな表情(かお)に。

 そして彼女は、連結された手脚をぎこちなく操りながら、

 

「あぁ……あぁイ(アタい)……手ぁ(てが)……脚ぁ(あしが)、ひゃんほあゅ(チャンとある)ぅぅ……」

 

 人形の目から、うれし涙がポロポロとながれおちた。

 

「いい娘にしてりゃぁ、あとは気持ちイイことだけしてればイイんだ。チャンと命令を聞くんだぜ?」

「あぃ(ハイ)……あぃ……あぁイ(アタい)、ひいほひ(イイコに)……ひいほひはりはひゅ(イイコになりますぅ)ぅぅ……」

「お前ェはもう、人間じゃねェ。“精巧なSEX用の玩具(オモチャ)”に過ぎねぇ」

「あふぅぅぅぅぅ……ほもひゃ(オモチャ)ぁぁ……ほもひゃ(オモチャ)へふぅぅ……」

「そのコトをよぅく、そのド淫乱なアタマに叩き込ンどきな」

「拘束時の催眠洗脳も問題なく効果を発揮──」

「同時に性技の検証テストを実施」

 

 ッ、タァーーん!

 

 『ユディト』は手をアタマの後ろに組み、がに股になる。

 ドーナツ状の唇からは、イボのついた驚くほど長い舌がナメクジのように繰り出された。

 そして股間からぬぬぬ……ヌゥゥ……っ!

 おそろしいほど長い細身のチンポがくりだされ、彼女はそれをシコシコシコ……。

 ややあってビュッ!びビュゥゥうう……ッツ!!

 

「あひぃぃぃぃぃぃいいいいいいいい!!!11」

 

 得体の知れない白濁した液を盛大に噴出。

  

 ──なんてコトなの……。

 

 『美月』は、アタマの中がシビれたようになっていた。

 そして“強制『人形化』手術”の恐ろしさを、まざまざと思い知らされる。

 あれほどイキり、トガっていた元・バニーが、『メス人形化』施術を強制的に受けたいまでは、単なるアタマの足りない“生きたオナホール”に成り下がっている。慣れない手つきと動作で、ビニールじみた己の巨乳をもみ、豊尻をなでまわし、満足そうな顔で敏感な部分をクニクニと愛撫し、果ては抗菌コートされた太ももに、タラタラと愛液を伝わせて……。

 

 モニターは一度暗転する。そして次に出てきた画像の右上には、

 

 【DAY60】

 

 シーンは一転。

 

 豪奢な広間の中央に設けられた巨大な天蓋付きベッドの上だった。

 完全にスレイブ・ドール(性隷人形)『ユディト』となった元・バニーが、男女2人づつ。計4人と狂おしく同時対戦している。

 

 動きも洗練され、一見した限りではフツーの人間と変わりない『ユディト』。

 

 彼女は前かがみな騎乗位で、おマンコとアヌス(肛門)に男を一本ずつ迎え入れ、さらに勃起させた自分の偽造チンポで、男とサンドイッチにした若い女性のアヌスをバックの姿勢から串刺しに、ヒイヒイとよがり泣かせている。

 

「どうですか……『ユディト』のお尻……ちゃんとお楽しみいただけてますか」

 

 訓練されたのだろうか。

 奴隷人形の滑舌も、いまはシッカリとしたものになって。

 玩具をとりまく人間たちの声は、次第に悲鳴じみたものになっていった。

 

「うぐぅっ!コイツの尻(ケツ)マンコ……マジでタマんねぇ……タマんねぇよぉぉ……ッ!」

「エグられてるぅぅッ……アタシ、女なんかにエグられてるのぉぉぉッ!」

 

 その女のオッパイを激しくモミしだき、ボッキ乳首をコリコリさせるのは、あお向けの姿勢で『ユディト』のおマンコを犯す男だ。

 そしてベッドの上でヒザ立ちに男の顔をまたぐ一人の女の方は、この男が丸めた舌を出し入れして“美しい菊穴”をほじっている。またその“前の方”には、サンドイッチにした女の後頭部ごしに『ユディト』が顔をおしつけて、イボ付きの長いナメクジ舌を抜き挿入(イレ)している情景。

 

「いやッ……子宮(おなか)の内がわ……クスぐられてる……だめへぇッ!」

 

 ヒザ立ち女の下腹部を映すレントゲン画像がワイプで画面にIN。この“性隷人形”の淫猥なる長い凶器(した)が、女のGスポットと子宮口の中を同時にチロチロと侵すのを証していた……。

 

「気持ちイイとこにアタってる……ダメになりゅぅぅ!……ん!むぅぅ……」

 

 よがり声は最後まで続かなかった。

 なぜなら『ユディト』のアヌスを犯す最上段の男から激しくオッパイを揉まれつつ、舌をカラめるディープ・キス。恍惚に目をとじ、汗まみれの身を悶えさせる。

 

 つまりは男女4人がサンドイッチ。それに寄りかかる女が、性器と肛門を蹂躙され、最上段の男に乳房を揉まれて舌を嬲(なぶ)られるという構図。言ってみれば壮絶な“巴(ともえ)型5P”に他ならない。

 

 むせび泣き。よがり声。嬌声。獣じみた叫び。

 『人間たち』が、そろって恍惚の顔を浮かべるなか。

 単なる“性人形”と化した『奴隷人形』は、冷静な眼差しで。

 巧みに呼吸をあわせ、“客たち”4人の快楽を引き出している……。

 ふと。この“性人形”は、客が忘我の境地にいるなか、意外な微笑を浮かべる。

 それは、『美月』が今まで見たことがないほどの、硬く、冽(つめ)たい“嗤(わら)い”だった。

 

「わたくし奴(め)の額にあるルビーを、どうぞ御覧下さい……」

 

 のるん……ッ!

 

 

 はげしい勢いで、奴隷人形は挿入していた腟からナメクジめいたイボ長舌を引き抜き、女をさらに悶絶させると、自分を嬲(なぶ)る人間たちに向け、頭骨にリベット留めされたルビーを見せびらかした。

 紅玉の中は、炎のように妖しく燃えさかり、様々な光が散乱する。

 

「みなさまが感じれば感じるほど──この魔石も煌めくのですわ……」

 

 あっぁっあっ──!

 人形の中に突き挿入(いれ)ている男たちが悲鳴をあげた。

 

「ボッキが……射精がおさまらNEEEEEEE!!!」

「吸われる……吸われちまうッ」

 

 女たちの熱に浮かされたような瞳に、さらに灯が灯った。

 

「犯して……ねぇもっとムチャクチャにして……」

「アタシも……あたしも『セックス人形(ドール)』にしてくださぁぁぁ……イ!」

 

 

 ──そうだ!……こうしちゃ、いらンない。

 

 『ユディト』の謎めいた笑みを観た『美月』は、にわかに焦りはじめた。

 あんなミジめな“おマンコ人形”にされるですって?、冗談じゃないわ!

 頭にドリルで穴あけて洗脳され、全身をダッチワイフに改造されるなんて!

 

 ──この拘束はずして!ハヤいとこ逃げなきゃ……。

 ──『みほと』に『しをん』め……覚えてなさいよ!?

 ──太客のヤクザに頼んで、ギッタギタにしてやる……ッ!

 

 だが、どうあっても『美月』自身の体は、ピクリとも動かなかった。

 相変わらず瞬(まばた)きどころか、視線すら動かせない。いまの彼女は、モニターの中で汗まみれとなり、貪欲にエクスタシーをむさぼる4人と1個を眺めるだけが精一杯である。

 

 ッピ!と電子音がして、自動扉が開く気配。

 

 えっ、と『美月』は身がまえる。 

 グレーチングの床格子を鳴らして、また一団が入ってくる。

 こんどはモニターの中ではない。自身が拘束されている室内からだ。

 

「調教は──順調のようだな……えェ?」

「洗脳は、すでに最終段階に入ってます」

「任意に脳の従順レベルが調整可能です」

 

 拘束される『美月』の視界に人影が入ってきた。

 声からして、そのメンバーはすでに予感ができていた。

 白スーツの“サード”が、手術台のケープ覆いを見てニヤニヤと。

 『ヘッケル』と『ジャッケル』の白衣2人が、端末を手にすまし顔で。

 めずらしく白エナメルのバニー姿な元・女刑事も“サード”に付き添っている。

 また『ユディト』を嬲(なぶ)って遊ぼうという魂胆かもしれない。こんどはどんな改造やら。

 

「まだコイツは接続されているのかィ?」

「えぇ。視覚野のコネクトは──」

「ライブ状態で継続中です」

 

 ──えッ!……なに?……どんだけチカラ持ちなの!

 

 “サード”が『美月』を片手で軽々と持ち上げ、視野が揺れた。

 そのまま視界は、手ぶれ補正のきいた実況のように、手術台へと近づいてゆく。

 コンモリと盛り上がった、濃い緑色のケープ。手足を取られた『ユディト』の本体。

 

 バッ!

 

 男の手によって、中途半端にまくれ上がるケープ。

 それが手脚を切断されて寸足らずとなった女性の全裸をあらわにした。

 ただし、はぎ取りかたが不器用で、首から上はケープがで隠されたままだった。

 まず視界は、脚の切断面に輝点をキラめかせる電子デバイスから上へと移動して。

 おそらく自分はナニかの自在アームに拘束されてるんだ、と『美月』は見当をつけた。

 さもければ、背は高いがヒョロい“サード”が、こんなに軽々と自分を扱えるハズがない……。

 

 『美月』の戸惑いをよそに……視界は、改造施術済みの肢体(カラダ)をクローズ・アップのまま、舐めるようにユックリと上に昇ってゆく

 

 色白の、むっちりとした滑らかな太もも……。

 そして股間には、あの妖しい“憑依型おマンコ”が、うっすら蜜を吐いて……。

 張り出した骨盤をつつむ、南米系めいた巨大な尻……へその下に刻印される淫紋……。

 

 そうかとおもえば──。

 

 ウェストに向かってボディ・ラインは怖ろしいほどクビれてゆき……。

 それを過ぎると、ふたたび二つの巨乳となって盛り上がる……。

 頂にある処女峰めいたピンクの乳首が、未使用を証して……。

 

 メスの痕(あと)どころか、ホクロひとつない、完璧ともいえる豊満な肢体(カラダ)。

 それらが例のビニール・コーティングされたようなテカりを放ち、照明を反射する。

 まさしく生きたダッチ・ワイフ……男がガマン汁を漏らす、理想のラブ・ドール。

 

 ドクン……っ!

 

 そのとき『美月』の股間が、不意にアツくなる。

 全身をドクドクと得体の知れない情念がめぐり、考えがあやふやに。

 今まで感じたことのない重苦しく固い感覚が、おマタの辺りからジワジワと滾(たぎ)って。

 

 ──このオンナ……メチャクチャに犯したい……。

 

 思わずそう考えた後、エッ!と彼女自身、そんな自分におどろき、

 

 ──なに?……なんなの?

 

 胸のうちに蠢(うごめ)いた感情を精査する猶予もなく。

 サングラスの男はケープの残りを手術台から剥ぎ取り、女の頭部をあらわにする。

 

 ──!!!!!!! 

 

 『美月』は声にならない悲鳴をあげた。

 

 なぜなら、そこには坊主アタマの額に例の大きなルビーを耀かせて睡(ねむ)る彼女自身の顔が、あったからである。

 

 





※1:2014年 薬事法→薬機法だって。



ハードな仕事の合間を縫っての週刊はキツいですね……。


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