※この作品はR-18です。

試製・転生請負トラッカー日月抄~撥ね殺すのがお仕事DEATH~【18禁版】   作:珍歩意地郎_四五四五

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    〃     (4・ちょいエロ注意

 

 

  *  *  *

 

 

 ……悲鳴のような“美香子”の声にも、“詩愛”は無反応だった。

 

 額にリベット留めされた大ぶりなルビー。

 それを燃えるように煌(キラ)めかせ、無表情な顔をジッと宙に据えて。

 レオタードに包まれた体は、まるで金属化されたようにシワひとつなくロボットのよう。

 

「お姉ぇチャン……お姉ぇチャンの目が……瞳の色が……!」

 

 どこか違和感を感じた妹が、不気味な沈黙を守る姉の顔をじっと観れば、いつの間にか瞳が見覚えのない金色になっている。これも改造の成果なのだろうか……。

 おどろく『美月』に、よこから白衣の双子たちが、

 

「特級スレイブドール『モルギアナ』は──」

「オマエよりも特(・)に(・)美(・)的(・)要(・)素(・)を(・)重(・)視(・)して改造されている……」

 

 平然とした口調で、ふたりはメガネの奥から冷たい視線を彼女に浴びせつつ言い放った。

 

「受付(フロント)に置く人間剥製(リアル・マネキン)代りにもなる──」

「ヒトの肌と遜色な(そんしょく)い精密なスキン(表皮)処理」

「虹彩(こうさい)の色や瞳孔(どうこう)の形、暗(・)視(・)能(・)力(・)も──」

「遠隔(リモート)で自在に変更が可能(フリーリー・チェンジヤブル)となっている」

「性技は勿論(もちろん)、耐久性、美的恒久性──」

「我々が作成した最高品質(グラン・CRU)の奴隷人形(スレイブドール)だ」

 

 カタカタ……ッ、タァーン!──タァーン!──タン・タァーン!

 

 『モルギアナ』と言われた詩愛の金色の瞳が、

 

  黒になり──

   赤になり──

    そして金にもどった後は……。

 

 なんと!瞳が猫のように縦長となって異世界風なスゴ味を増す。

 やがてフェラ用ドーナツ口唇(くちびる)は収束してゆき、瞳も元通り人間のものになった。

 

 ──あぁ……。

 

 『美月』は思わず嘆息(ためいき)した。

 

 髪と目の色、そして残酷な額の宝石。

 なにより鼻から下がる残酷なクローム(銀色)の鼻輪。

 それ以外は『美月』が見慣れた“詩愛”の顔となる。

 だが──そこにいつもの家庭的な柔らかさはなく、目は虚(うつ)ろに。

 そして雰囲気は、あくまでステンレスのような硬質めいた気配が漂って……。

 

 知らず、『美月』は自分の目から涙がこぼれるのを防げない。

 

 容姿端麗。成績優秀。温厚篤実。そんな評判を常のものとしてきた姉・詩愛。

 なにかにつけ、この“完全女性”と比較されてきた“美香子”だったが、小学校時代、あるいは中学校では同級生たちが姉を賛美する声を聞き、こころ密かに得意げとなっていた彼女でもある。

 

 実家で部屋に引きこもる自分に、ココアとお菓子を持ってきてくれた姉。

 スーツをピシリ!着こなして、かすかに香水を薫らせ出勤していった姉。

 高級マンションではエプロン姿で、嬉しそうにキッチンに立っていた姉。

 

 なにげに自慢のタネだったその姉が、いまや性奉仕の人形となって目の前に立っている。

 間ぬけな鼻輪をブラさげ、おデコには、あの呪わしいルビーを光らせ、痴呆じみた顔で。

 知性と品性と、なにより母性的な優しさに満ちたあの面差しは──もはやどこにもない。

 

 くやしさと、情けなさ。そして何より畏ろしさ。

 あの凜(りん)とした姉を、ここまで“メス堕(お)ち”させるとは……。

 泣きたくなる『美月』だったが、強いて心を落ちつかせると声をはげまし、

 

「お姉ぇチャンに──お姉ぇチャンに、ナニしたのよォっ!」

「べつにィ?お前ェと同じく“極上のエロ人形”にしてやっただけよ」

 

 サングラス男は、コトもなげにそういうと、

 

「よォ、『モルギアナ』。レオタード脱いで、ハダカんなりな」

「Oui(ハイ)──Mon commandant(管理者どの)」

 

 宙を見つめたまま無表情な人形。その首元にあるバラが彼女の代わりに応えた。

 白バニーの『魔ほと』は、彼女を導いてきた首輪につながるクローム・メッキの引き鎖を、マニキュアが彩どる指でパチリ、優雅に解きはなつと『モルギアナ』を自由にする。

 

 ぶりゅん!

 

 肉感的なスタイルの良い肢体が、いきなり機械仕掛けのように無機質な動きをみせ、ギュッ・ギュッ!エナメル革のキシむような音を鳴らし、シルバーのレオタードを脱いでゆく。どうやら見た目よりも硬い素材らしい。どうりで、このキワどい衣装を着ている分には、メタリックなボディのように見えたワケだ。

 そして下から現れたのは、シミひとつない玉のような肌。

 しろく──滑らかで──どこまでも美しい肢体(カラダ)だった。

 

 ──キレイ……。

 

 そんな『美月』のこころを読んだか、男は一つ頷(うなず)いて、

 

「なんせコイツにァ、カネ・技術・時間をかけたからなぁ……お前ェなんかの比じゃねぇや。丁寧(ていねい)に、慎重(しんちょう)に、改造(いじ)ったからよォ……」

 

 一瞬、ムッとしかかる『美月』だったが、それでも(……ヒョッとして姉は、自分みたいに残酷な方法では手術を受けてナイんじゃ?)という根拠のない希望を見いだし、ホッとする思いだった。同時に自分に加えられた残酷な施術も浮かびかかり、あわてて記憶にフタをする。

 

 改めて彼女は“人形”にされた姉をよく観察してみた。

 

 腕と太ももには、自分と同じく黄金色をした分割用とみえるリングが装飾品のようにハメられている。磨かれたような下腹部の恥丘には、子宮をデザインしたような淫紋が赤く刻まれて。

 

 ハッ!まさか……。

 

 あわてて彼女は、自分もいつのまにか無毛にされている場所を確認するが、ラッキーなことに刺青や焼き印。その他、読み取りコードのたぐいは見当たらない。

 そして何より、プラチナ・ブロンドの前髪からのぞく忌まわしい宝石……。

 自分もああみえるのかナ?と『美月』は、いつの間にか神経接続されていた腕を使い、自分のオデコを飾る菱形を、指先でオソるオソる、ソッとさすり、近くの鏡を盗み見た。

 

「……ソイツが気に入ったのかィ?」

 

 オドけたような、冷やかすような“サード”の声。

 

「ケドな、じっさいデコの魔石(いし)も姉貴のほうが、お前ェのより高性能なモノを融合させてあるンだ。リベット留めして、もうかなり時間経っちまッたから、お前ェの姉貴の脳は、その奴隷用ルビーから芽ェだした軸索が根ェはって、リモートで思うがままに操られちまうのサ。体に仕込んだ、そのほかの部分にも連動して、な──おぃ、始めろ。この“ビギナー・ドール(人形初心者)”に、見せつけてやンな」

 

カタカタ……ッ、タァーン!

 

「あぁっ!?」

 

 とたん!

 驚く『美月』の目の前で“詩愛”の体は、モニターの中で観たスレイブ・ドール(性隷人形)『ユディト』に改変されるあの可哀想な元バニー、『ユディト』のように劇的な変化を遂げてゆく。

 

 ググ……グぅぅぅぅッ!

 

 まず口もとが、こんどは肉感豊かなアヒル状のピンク口唇(くちびる)に変化した。

 プラチナ・ブロンドの髪も、透過光レインボーのような鮮やかさに染め換わる。

 目ぶたの皮膚が、ラメの入ったムラサキ色のアイシャドーに染まってゆき、睫毛も伸びて。

 

「あぉぉぉ!……おおおおお……おぉ!」

 

 “詩愛”が全身を抱きしめ、苦しそうに悶(もだ)えた。

 真っ白なキャンバスが上気し、汗ばみ、そこに虹色のさざ波が奔る。

 

「ようし──ドク!『モルギアナ』Erect・Mode、オープン!!」

 

 ンふぅぅぅ……ッ!

 

 詩愛の苦しそうな、だがどこか恍惚(よがり)さえ感じるあえぎ声。

 恥丘に刻まれた赤い淫紋が、まるで発光するかのように妖しく明滅。

 と、彼女は手を頭のうしろで組み、ガニ股になるや豊尻を前後に激しく。

 ひたいに埋め込まれた紅いルビーは、まるでオパールのような虹色に変貌する。

 やがて──『モルギアナ』と命名される奴隷人形の肢体(カラダ)に驚くべき変化が現れる。

 小陰唇(ラビア)のない、例の悪魔じみた憑依体を移植されたと見える股間(おまた)から、

 

もりっ!ぐっ、ぐぬぬぬぅぅぅぅ……ッ!

 

「なにアレ!なにアレ!なにアレ!!!!」

 

 『美月』は『モルギアナ』の股間からそそり勃(た)つ凶悪なモノに奇声をあげた。

 

「ヘンなモノが……お姉ぇチャンのおまたから……ッ!」

「変なモノって──あれは、お前ェ“アレ”じゃねぇか……」

 

 男は、ナニを今さらと言うように呆れ顔をして、

 

「まさかお前ェ──オヤジのモノしか見たことねェとか、カマトトぶるんじゃあンめェな?」

「え…………でも、おっきすぎるよォ……」

 

 男は手を打ち鳴らし、サングラスがズレるほど爆笑した。

 遠慮のない笑い声を背景に、白目をむき、長い舌を垂らし、苦しそうなアヘ顔をしながら、なおもチンポをムリムリぃッ!成長させてゆく姉の変化を、『美月』は手術台わきに吊された姿のまま呆然とながめるしかない。

 

 やがて“エレクト・モード”とやらは完了したらしい。

 全身を汗まみれに、アヘ顔のまま息をあえがせ、長さが30cmはあるカリ高なチンポを、恥ずかしげもなくオッ勃(た)たせるスレイブ・ドールができあがった。見れば、なんと鈴口から早くもガマン汁をダラダラと流して。さらに強烈な“おチンポミルク”の匂いを存分に撒き散らす『モルギアナ』だった。

 そして、その匂いを『美月』が嗅(か)いだとき……。

 

ど  

    く  

        ン・・・・・っ! 

 

 まるで森山塔のエロマンガに出てくるオノマトペのように、彼女の心臓が高鳴った。

 

 ジワリ。相手の全身からにじみだしたフェロモン臭のする汗が『美月』に作用し、彼女のカラダを淫欲のとろ火で内から炙(あぶ)るように。スキンヘッドなアタマがクラクラしはじめ、そのうえ目の前でそそり勃つ姉のチンポを見ていると思わずヨダレがたれて、舌なめずりをするという醜態……。

 

「フフフ……洗脳ァ、完璧のようだナ。ボッキちんぽ見て、目の色ォ変えやがった……オイ!」

 

 吊される『美月』を男はアゴで示した。

 その意を白バニーが理解して“できたての人形”をラッシング・ベルトから解きはなつ。バレリーナのようにポワント(つま先立ち)でポーズを一度取らされた彼女は、自動的に優雅な「パ」(振りつけ)を演じる足取りで姉の方に歩み寄った。

 

「ヤっ!ナニこれ──アタシのカラダが……勝手に……」

「よし『モルギアナ』!お前ェの“妹人形”に、そのクソ長ぇチンポ、しゃぶらせてやンな!」

 

 だれがしゃぶるモンですか!『美月』が叫ぼうとする刹那(せつな)、あの声が、アタマに響いた。

 

{さぁ、ワタシの可愛い『清姫』。おねぇサマのおチンポを、タップリしゃぶって差し上げなさい?}

 

 柔らかい、トロけるような優しい声。

 懐かしい印象と、なにより抗(あらが)いがたい気配を伴って。

 

{ホぉら、美味(おい)しそうなオチンポ……あんなビキビキにボッキして、苦しそう……早くラクにしてあげるのですよ♪}

 

 ──そんな……イヤよ……いや!

 

 だが、拒絶とはうらはらに『奴隷人形・清音』へと改造された心とカラダは『美月』を裏切って、姉だった物の股間からそそり立つカリ高チンポが、お股から熱い愛汁をせつなく垂れ流すほど魅力的に思えるのだった。

 

{ガマンすることなんてナイのよ?……アナタは奴隷人形なんだもの}

 ──だって……恥ずかしい!お姉チャンのおチンポを……。

 {おバカさんねぇ?おチンポをしゃぶるのは、奴隷人形に改造されて備品にされた“モノ”の当然の反応です。義務です。なにより権(・)利(・)なのです}

 ──けん……り……?

 {そう。人権を奪われた代わりに、どんな恥知らずな痴態をエロ顔で演じても咎(とが)められない権利。むしろそれが奴隷人形にとって『正しいコト』なのですよ?……さぁ、おねぇサマ苦しそう。早くカリ高おチンポ、咥(くわ)えて差し上げなさい}

 

「あぁぁ……あがぁぁ……」

 

 頭のなかで声がネットリとカラみつく。

 うっすらよみがえる調教経験。罰のムチ打ち。

 吐き気をこらえ喉奥までしゃぶらされたロング・ディルドー。

 みごとディープ・スロートに成功したとき、脳内にあふれでた多幸感……。

 

{ほぉら。キスして──舐(な)めて──ねぶって──吸い上げて──咥(くわ)えて──}

 

 女の声が、『美月』のあたまの中でガンガンと木霊(こだま)した。

 同時に、そうせねば不可(いけ)ないような……いや、そうしてくて“たまらない”気分となる。

 

{自慢のくちびるで愛撫して……ノド奥でコクぅン……コクぅンと飲み込み、シゴくのです……}

 

 鼓動に合わせ、改造された肢体がドクン、ドクン。小舟のようにゆれる。

 視界すらもゆれ、チンポすらもブレた。そしてその匂いがさらに動悸を高めて。

 また全身が火照り、汗をかき、思考が惑乱して定まらず、姉の股間から目が離せない。

 自分の中から湧き出る情けないほどの肉欲。それが悔(クヤ)しく、切なくて『美月』は眼をウルませ、

 

 ──なんで……なんでこ(・)ん(・)な(・)に(・)チンポがほしいのヨォ!

{ふふふ……とうぜんでしょう?アナタはもう、メス人形に改造されてしまったんだもの。オチンポ・ミルクとラブ・ジュースが、今後はアナタの栄養なのよ……}

 

「はぁぁ……アハぁぁ……」

 

 酒に酔ったように目の前がクラクラして、『美月』の目の前でチンポがブレた。

 

「この匂い……タマんないよぉ……」

{そう……いい娘ね。まずはご挨拶としてキスからよ?いきなり咥(くわ)えちゃダメ……}

 

 あろうことか、姉に生えたチンポ。

 そこに口づけするコトへの困惑──なにより躊躇(ためらい)。

 だが、それを上まわって、そそり勃(た)つ肉棒への魅力が大きすぎた。

 

 彼女が姉に生えた逸物(イチモツ)にキスをしようと、不自由なドーナツくちびるを伸ばしたとき──。

 

「んむむむぅぅ~~~ぅ……っっっ!!」

 

 『モルギアナ』の方は、例の下品なポーズのまま、無表情な面差しで苦悶めいた声をだす。

 ガニ股な下半身を懸命にゆらし、己(おのれ)の忌(い)まわしいフル勃起(ぼっき)チンポを妹にしゃぶらせまいとするかのよう。

 

「ハァ?……なんだこりゃ。ドク!」

「おそらく『モルギアナ』は、改造されてしまった妹ではありますが──」

「おなじ奴隷人形の境遇(ミブン)となったにせよ、自分の陰茎(チンポ)をしゃぶらせたくないんでしょう」 

 

 白衣の双子が説明すると、それが男のこめかみにヒクつきを喚んで、

 

「ドク──ドクぅ──」

 

 やれやれと言わんばかりに男は首をふると、

 

「俺ァ、『モルギアナ』を完!璧!に!調教・洗脳しろっつッたよなァ?」

 

 だが、この度は白衣の双子も引かなかった。

 メガネをギラリ光らせるとカマキリじみた顔を共にすこし上気させ、

 

「オーダーでは、脳の記憶エリアへのDATAインストールは──!」

「極!力!素体の性格、および精神性を損なわないようにとの厳命でした!」

「本来の性格を脳神経の処理にて破綻させ、単なる色情狂にしてから──!」

「洗脳を実施して性技のインストールをおこなっても、商品価値が下がるだけだと!」

「──わかった!わかったよ、畜生め!」

 

 意外な相手の反抗に、男は手術室の床をケリつけ、目の前のセックス人形を睨んだ。

 

「……つまり“お姉サマ”は、完全なメス人形にされてねェんだな?」

「この個体の“施術”に関しては、もとの性格を“極力”壊さないようにと──」

「依頼元じ(・)き(・)じ(・)き(・)のお達しもありました。材料も今までにない極上品が供与されています」

「なぜ今回は──」

「こんなに特別なんですか?」

「仕方ねェだろ?その注文主が!そうしろっていうもんだからよ……まえに出荷した壊したウチの奴隷人形で、イヤがる生娘を犯す感覚が、お好みンなったらしいや。あのアラブの変態ハゲが!……だがョ?悪魔の双子と二つ名を獲るお前ェらなら!そういった不利な条件でも、完璧に洗脳してくれると思ったのに……ヨォ!」

 

 そういうや、しばらく黙って息を整えてえてから、

 

「ふぅン……」

 

 男は『モルギアナ』に近づくとサングラスをズリ下げ、改造されてなお上品さが感じられる面差しを、じっくりと値踏みするように観察。リモコンでケバい刺青の化粧を透明化し、素の顔にもどして鑑賞する姿勢。

 と──その人形の端正な顔がフルフルと細かくふるえ、切なげに鼻を鳴らし始める。

 

「……はぁ?」

 

 男が視線をおろせば、なんと。

 下の方では『清姫』が、そそりたつチンポのカリ高な亀頭を、早くもペロペロキャンディーしているのだった。

 

「コラッ!この“しゃぶり姫”が!」

「らっへぇ……おチンポ、欲しいんだモン……」

「うるせぇッ!それじゃオレさまのをしゃぶってろ!」

 

 ごそごそ……ボロン。

 

「うはww……ちwっwちwゃw」

「むっかぁぁ!……ドク!どうなってやがるンんだ、このクソ女(アマ)の洗脳はッ!?」

 

 ふたりの白衣は顔を見合わせて肩をすくめ、

 

「ひたいにリベット留めした脳改造用の魔石が──」

「まだ完全に根を張っていませんので、“無条件の従順さ”は、もう少し先かと」

「それに姉妹を『一対の愛玩(あいがん)品として施術を希望』とのコトでしたので──」

「洗脳のプロパティもほぼ等しくしたため、完全な人形化には時間が必要です」

「ぬぅぅぅ……チクショウめぇぇぇ…………ウヒッ?♪」

 

 ヘンな声が出たのは、『美月』が男のモノをチョイチョイと突いたからだった。

 

「ホラッ!──はやくしゃぶれッ!」

「えぇぇ……この“象さん”カワイくなァい」

「ぬぁぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁl!」

 

 手術室の床に地団駄を踏んで、男はキレた。

 

「もういい!お前らクソ姉妹、うしろを向いて尻穴を突き出せ!肛虐せよ・美人姉妹!だ」

「ヤですゥ、そんな結城 彩雨先生みたいな奉仕行為はァ」

「管 理 者 と し て 命 令 す る !お前らケツを突き出せ!」

 

 いやぁぁっ!

 

 こうなっては、もう勝負があった。

 『美月』は言葉とは裏腹に、営業スマイルで背を向け、シリを突き出した。

 『モルギアナ』にされた詩愛も、豊尻を左右の腕で広げて肛門を露出する。

 いまや肛虐されんとするこの美姉妹は、同じポーズで振りむき声をそろえ、

 

「「管理人様、どうか(『モルギアナ』の/『清姫』の)ケツまんこをご賞味下さい」」

 

 その時だった。

 

 手術室の扉がいきなり開くと、黒服のままの一団が入ってくる。

 これはまた殺菌作業をしなければというふたりの医師のため息。

 それをよそに一団の中からズイ!鋭い目つきでと進み出た者が。

 背が高い、細身の頑強そうなカラダ。刃物のように物騒な気配。

 

 ドレッドの姿が、そこにはあった。

 

 尻穴をさらして微笑を浮かべる姿勢のまま、金色の瞳を見開く『モルギアナ』。

 なんでコイツが!と目を見張るサングラスの男。微笑をうかべる白衣のふたり。

 『美月』は物欲しげなトロ顔で。そしてそんな彼女を、白バニー『魔ほと』は唾棄するように。

 硬く張られた鋼線めく緊張が、様々な思惑と共に数拍のあいだ、幾重にも手術室をとりまいた。

 

「ここの店ァ、商品に手を付けるのかと、オーナーはご立腹だゼェ……」

 

 ややあって緊張を破ったドレッドは、筋肉質な腕組みごしにサングラスの男を睨みつける。

 だがその背後から、ハゲ頭の巨漢がドレッドを上回る迫力でぬぅぅっ……と前に出た。

 頑強な体を、特注とみえるオバケのような黒スーツでつつむ姿。身の丈(たけ)は2mを優に越える。

 開口一番、この“オーク”めいた壮年の人物は低音がひびくシワがれごえで、静かな怒りをこめ、

 

「ワシが貴様にこの店を任せたのは……商品の味見をさせるためではないぞ……?」

「はっ……はひっ!」

 

 サングラスの男はカラダをふるわせ、直立不動でダラダラと冷や汗をながす。

 

「それに……『アラブの変態ハゲ』とは、誰のことだぇ……?」

「あひぃ~ん!」

 

 みょうな悲鳴をあげ、ギロリ、ガンを飛ばされたサングラス男はチワワのように身震いした。すると、巨漢は、グワァッ!いきなり男の胸ぐらをつかむや片腕で、自分が“店長”とよんだこの男を、まるでクレーンのように持ち上げる。

 

 な ん と い う 怪 力 !

 

 サングラス男だって小柄ではない。身長は180以上あるだろう。それをいとも軽々と、しかも威圧の余裕を込め、ゆっくり持ち上げて見せるのだ。この迫力──まさに、オークそのものだった。さらにご丁寧なことに、この巨漢はブ厚い唇の端から大きな犬歯をのぞかせて、 

 

「キサマ。タルんどりゃァせんか?──店の掃除!メスどもの接客マナー!すべて不可(いか)ん!」

 

 そう言うや、片腕のまま、相手を手術室の床にズシャッ!叩きつける。

 肺を打ったのか、しばらく体を折り曲げ、えぐえぐとムセるサングラス男。

 

「店長の代わりは、他にもおるからの……気合ィ入れんと承知せぬぞぇ……」

 

 次にオークは視線を転じると、相変わらず尻たぶを自らの手で左右に広げ、肛門を見せつけている美姉妹を見るや、一変して雰囲気をやわらげ、

 

「ふふふふ……美姉妹は……イイ!」

 

 そう言ったかと思うや──ずぶぅッ!

 イキナリ左右の人差し指を、二体の人形が見せつける肛門に突き入れた。

 

「──あぁっ!堪忍(かんにん)!」

「──ゆるして頂戴(ちょうだい)!」

 

 ふたりの美姉妹は、節くれ立った野太い指をいきなりケツ穴に突きこまれ、団鬼六の小説に出てくる被虐キャラじみた悲鳴をあげた。だが、次にそれをゆるやかに前後させられると、悲痛な叫びはたちまち鼻にかかった甘いよがり声に換わる。

 目覚めた状態で被虐を体に刷り込まれている『モルギアナ』は良かっただろう。だが、実体験は初めての『清姫』にとっては、恥ずかしいところにいきなり男の太い指を突き入れられたのだからタマらない。肉体のほうは、すり込まれた条件反射で男をそそる淫声をあげつつも、

 

 ──ヤぁっ!……だめぇぇぇっ……抜いてぬいてヌイてぇぇっ!

 

 表面上のよがり顔・あえぎ声とは真逆に、メス奴隷『清姫』という檻(オリ)の中に閉じ込められた『美月』は、尻あなをネットリといじられながら激しく悶(もだ)え、苦しんでいた。汚い!穢らわしい!身も知らぬ中年男に触られて!しかもその無遠慮な指が、よりによって自分のウンチ穴なんかに……っ!

 

 そこへ……。

 

{もっと!おシリのチカラを抜きなさい……!}

 

 意識の覚めない中で、深層心理にVR調教された彼女。その疑似記憶が、大の字に拘束されて背中にムチを打ち下ろされるイメージを彼女の頭に喚び起こし、沸き立たせた。

 

{──あれホド!

   ──お躾(しつ)けを!

       ──してぇッ!

         ──あげたのに!

           ──なんてコト!

 

 一言、一言の合間にムチ打ちが襲うイメージ。

 そして最後は今までと一変し、頭に響いていた調教役の声が格段に厳しいものとなる。

 

{このワタシに──ハジをかかせるおつもりですかっ!}

 

 二度、三度。緊縛・浣・電気責めの疑似記憶がよみがえり、さしもの『美月』も頭の中をモミクチャに玩弄(もてあそ)ばれ、嬲(なぶ)られたうえは、お股を濡らしながら、しおらしくならざるを得ない。そのうち……絶妙な具合にいじられ続けたアヌスから、禁断の刺激が背筋を経由して脳へとはいのぼり、人造デバイスが網化状に根を張る“人形化済み大脳”を「やりマン」色なピンクへと染め上げてゆく……。

 

「……あふぅん……あふぅん……」

 

 それを聞いたオークの大きな顔がニタリ、ヨダレのにじむ薄笑いをうかべた。

 よくみれば、この男にはアゴに刀傷がある。耳も、引きちぎられたように削げて。

 

 

「コレよ、これ……まだ人形に成りきらぬ、残った“ヒトの心”がイヤがる様がイイのだて」

 

 医師たちは、そんな『美月』の表情に細心の注意をはらいつつ、

 

「しばらくは、慎重に取り扱い致しませんと──」

「まれに自殺企図の可能性がありますので、ご注意を」

 

 そこがまた佳し!とオークは満足げに、

 

「のぅ?ドレッドよ……こうでなくては」

 

 そう言って、傍らに控える護衛役に『美月』を指し示し、

 

「見てみぃ。処女膜すら残る生娘が、マン汁を情けなくタレ流しはじめおった。最高の景色ぞ」

「さぁて。自分にァ分かりませんが、ね」

「地(・)域(・)統(・)括(・)部(・)長(・)!どうもオマエには、この辺の美的センスがないのぅ……宿敵ィ撃ち倒して、生きる張り合いが無くなっちまったか?たしか……マイケルとか言ったか」

「……ヤツぁ、最高の敵ッした」

 

 女たちの喘ぎ声などドコ吹く風でドレッドは、どこかボンヤリした風に、

 

「だがこんな女(スケ)──いや、人形(デク)ゥかばってクタばったのが……」

「やりきれない、とな?だが思うがママにならぬのが人生だて。オマエにも好みの人形、造ってやるから素材、見つくろえ。あの赤いドレスの混血女とかどうだ?『ナナ』とか言ったか?」

 

 ハゲ頭の巨漢は、両手の人さし指を美姉妹のアヌスから邪険に引きぬくと、胸ポケットのチーフでぬぐい、それを優雅な身ぶりで床に棄てた。双子の白衣のシブい顔。

 ドレッドは黙ったまま、相変わらず尻穴を丸出しに微笑む『モルギアナ』に歩み寄ると、

 

「よぅ……性奉仕用の『人形』に改造され了(ちま)った気分はドウだぃ?」

 

 もとは詩愛と呼ばれ、今は“セックス・ドール”にされた店の備品は、ひと呼吸おいた後(のち)、

 

「──とっても素晴らしい気分ですわ」

 

 つづいて人好きのする満面の接客スマイルを浮かべ、言葉を継いだ。

 

「手術を受け、性処理人形にされるのは、恥知らずなワタシの願いだったのです」

「……そうかィ。なら、あのガキ共を連れてくるから、また祭りの夜を再現しようや」

「お客サマ──“祭りの夜”の定義が不明です。発生日時をご指定下さい」

「あぁ、なるほど……記憶どころか知性も引き下げられ、制限されてンだな……忘れちまったかぃ?お前ェを過去に拉致(らち)ったあと、物置小屋に連れこみ、縛りあげ、大勢で姦(や)りぬいて精液(しる)まみれにしたコトを……」

「お客サマ──ワタシは性処理人形です。過去の記憶は封印されています──」

「マンコはもちろん、ケツの穴や口まで!よってたかって!!」

「お客サマ──ワタシは性処理人形です。過去の記憶は封印されています──」

「鼻の穴に射精され、頭の中まで青臭い精液の匂いで充満させられた時ァ……どうだった?」

「お客サマ──ワタシは──ワタシはワタシ、ワタ、ワワワワ……」

 

 ピッ。『モルギアナ』の喉から電子音がしたかとおもうと、

 

「バイオ脳が処理限界をむかえました。仮想自我に切り替えます。お客サマ、ご命令をドウゾ」

 

 ボゴッ!

 胸の悪くなるような音がして、ドレッドがセメント袋のように倒れ伏した。

 その後ろではオークが笑顔のまま、指輪のはまった巨大な拳固をにぎりしめ、

 

「ヒトの玩具(オモチャ)にイタズラするのは不可(イカ)んな……ドクター?『モルギアナ』の状況は」

「心理圧迫の負荷が、設定限界をこえました」

「現在リカバリー・モードを走らせています。影響は軽微の予定──」

 

 グヌゥ、とガマの啼き声を連想させるうめき。

 そして床に伸びるドレッドを横目にしながら、

 

「せっかくこの物語も、次回からキサマが主人公になると言うに……も少し礼儀わきまえぃ」

 

 そして自分の愛玩品の片方にちかづき、頬を片手でムリヤリ自分の方に引き寄せる。しかし、そこにはすでに『モルギアナ』はおらず、仮想自我の無機質な笑みしか浮かんでいなかった。

 チッ!オークは舌打ちすると、パァン!巨大な手で愛玩品の豊尻を叩き、

 

「メス共を、前処置室に連れて行け!」

「前処置室、と申しますと──」

「甲、乙どちらの方でしょう?」

「梱包用の甲!全面がクッション張りになった部屋だ!だれが死体用の乙だと思うか!」

 

 床から後頭部をさすり、何やら呻きながらドレッドが身をおこした……。

 

「さ、キサマはこれから地区の営業会議だ。コレから忙しくなるぞ?──主人公ドノよ!」

 

 * * *

 

(……お姉ぇチャン……お姉ぇチャン!)

 

 彼方から聞こえる声。

 淫らに施術された肢体(カラダ)を何度もゆさぶられる気配。

 

 ──うぅ……ん。

 

 『モルギアナ』にされた詩愛は、イヤイヤうす目を開けた。

 部屋のクッション──照明の光──何もかもがショッキング・ピンクの部屋だった。

 

 

 ──ここは……自殺防止用の『クッション・ルーム』ね……。

 

 

 ピンク色の照明。

 それに床や壁、天井にまで貼られたピンク色のソフト・パッド。

 まるで四方をソファーの座面で囲まれたような光景が、目の前に展開した。

 あまりに無残に改造されたため、人形とされた少女たちのなかには、頭をワザとぶつけたり舌を噛んで自殺を図ったりする者もいた。そのため、革の拘束衣で改造済みの体を緊縛し、ボールギャグなどを咥えさせて、脳処置の効果で精神が落ち着くまで“出来たて人形”を放り込んでおく「牢屋」だった。もっとも舌など噛んでも死ねないのだが、発声に支障が出るのを防ぐための猿ぐつわである……。

 

 起き上がろうとした“詩愛”だったが、いきなりバランスを崩してゴロンと転がる。

 見れば腕と脚は分離され、切断面は飾りの入った呪わしい象牙のキャップをかぶされて。

 おまけに全裸で寝かされていたらしい。適度に保たれた部屋の空調が裸体を感じさせない。

 

「お姉ぇチャン!」

 

 聞き覚えのある声がしたとき、額のルビーが、またジィン……熱をもって振動した。

 ルビーから生えた根が、さらに深く脳にからみついているのだろう。

 自分の“人形化”が更にすすむ気配に、彼女は怖気(おぞけ)をふるう。

 

「──お姉ぇチャンってば!」 

 




ちょっとガチャガチャしてしまいましたね。あとで直します。
そして何気に、このパートも重要回です(理由は次回)。

すいません。
やはり今年中に完成はムリでした。
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