※この作品はR-18です。

試製・転生請負トラッカー日月抄~撥ね殺すのがお仕事DEATH~【18禁版】   作:珍歩意地郎_四五四五

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    〃     (5・姉妹レズ注意・前

 ダルマ状態のまま、彼女は首だけ動かした。

 と──ふいに、五体満足の“美香子”の視線とぶつかる。

 注いでその“妹”のあまりな変わりぶりに、しばし“姉”は呆然としてしまう。

 

「お姉ぇチャン!……気がついた?大丈夫?」

 

 詩愛は、虚(うつ)ろな目で妹をながめやった。

 そして、上から下まで、眼球だけでゆっくりながめ渡す。

 見覚えのない巨乳をゆらし、施術された細い腰と巨尻をクネらせる姿。

 ビニールめいた肌には天井のピンク照明が、ゆがんだ鏡のように反射して。

 フェラチオの時に窒息を防ぐ、ノドのバラ型呼吸孔も自分と同じよう……と姉は思う。

 

 ──可愛そうに……この子も、あのヒドい人形化手術を受けたのね……。

 

 お股に寄生生物を植えつけられた残虐な施術。

 おシリのほうでも肉棒を咥(くわ)えられるようにされたアヌス(肛門)。

 感度を上げられた肌と、性的に感じやすくされた性器、口唇、乳房。

 リモコンひとつで性格をスイッチされる大脳辺縁系・制御システムのルビーすらも。

 

 だが……気のせいだろうか?

 すこし見ないうちに、ずいぶんと大人びたような。

 部屋のピンク照明や淫(みだ)らな手術のせいだけではないだろう。

 たぶん……夜のお店につとめて、いろいろ経験を積んだのかもしれない。

 

 ──まだまだ子供だとばかり思っていたのに……。

 

 中学生までは、なにかと後ろについてきた妹だった。

 折り紙や、かんたんな編み物をおしえてあげたこともある。

 もっとも本人は根気がなく、すぐ興味をなくしてしまったものだが。

 そのうち、互いに血の繋がらないことが分かり、なんとなく疎遠になって。

 

「お姉ぇチャン!アタシたち……アラブのクソでか金持ちに、売られちゃったんだって!そンで、これから厳重に梱包されて、ヒコーキで運ばれちゃうって言ってたよ?『外交こーのー』?とかで、ゼーカンなんかも関係ないんだって!」※

 

 妹であるその彼女が、なにやら必死にまくしたててくる。

 奴隷の証であるプラチナ・ブロンドのウィッグを頭に装着された容姿(すがた)。

 その前髪の分け目から、菱形をした悪魔の石が、内に紅蓮の炎を揺らめかせて。

 ダッチワイフじみたオッパイがゆれ、性奉仕用の人形めいた少女が体をよせてくる。

 おもわず嫌悪を感じて身を引く“詩愛”だが、そのとき彼女は、あること気づき愕然とした。

 

 ──これは……わ(・)た(・)し(・)自(・)身(・)の(・)姿(・)だ……。

 

 非・人道的な手術をうけて、変態的なラブドールにされてしまった、淫乱で、マゾで、淫欲のはけ口を求める紳士淑女に奉仕するだけの、あわれな生体ペット……。

 おチンポをアソコやおシリの穴に迎えいれ……あるいはノドの奥まで飲みこみ、またあるときは、長くされた舌を女性の性器に差し挿入(いれ)て……お小水を飲み、おマンコのお掃除をするだけの『人形型おトイレ』に成り下がってしまったブザマな存在……。

 

「お姉チャンおぼえてる?あのスカした“サード”を片腕で持ち上げた、クソでかハゲ頭!アイツの差し金でアタシたち、精液便所(スペルマ・トイレ)にされちゃったんだよ……!?」

 

 相変わらず“美香子(いもうと)”が、急き込むような調子でなにかを説明している。腕をふり、見覚えの無いほど巨乳にされたオッパイをゆらし、ツルンとしたお股を隠そうともせず。フェラチオ用の艶めかしい艶やかな口唇をパクパクと動かして……。

 そんな彼女を前にしたとたん、まるで鏡を観るがごとく、忘れていた羞恥(はじらい)が、ヒタヒタと潮のように満ちてきて、圧倒的なち(・)か(・)ら(・)で“詩愛(あね)”を押し包んだ。

 

 奴隷人形に生体改造され、恥ずかしい肢体に改造された、わたし……。

 『モルギアナ』などという名前を付けられ、愛玩品になった、わたし……。

 おチンポやおマンコに奉仕する、まさしく“お便所”に改造された、わたし……。

 

 ──とても、この子のまえには“姉として”居られない……。

 

「そンで、そンで!コレからチョー厳重に梱包されて、ヒコーキで現地まで運ばれちゃって!そのアトは宮殿の壁に、金持ちの家にある鹿の首みたく、上半身だけ出されて飾りモノにされるんだって……!」

「……」

「壁の後ろは精液便所ンなってて、宮殿のお客さんは、そこでズコバコ出来るんだって!」

「……」

「──お姉ぇチャン、聞いてる?」

 

 調教の成果──あるいは脳を改造された結果だろうか。

 媚びを売る蠱惑的な微笑がうかび、甘えたような声が自然と出た。

 

「お客サマ──ワタシは“紅いウサギ”SIDE/B製造・特一級(贈答用)奴隷人形(スレイブ・ドール)『モルギアナ』でございます。どうか、この哀れな生体ペットに、ご命令を」

 

 ──なるたけ冷徹に、事務的な声をだして……。

 ──そう。ワタシは、単なる生体型の奴隷人形……。

 ──ご主人さま、お客さま方の、性欲のはけ口なのよ……。

 ──なんで躊躇(ためら)ったり困惑(こま)ったりする必要があるでしょう……。

 ──だって。ワタシはもう、そ(・)れ(・)専用のラブ・ドールですもの……。

 ──SEX用のエッチな“お人形”が恥辱(はじ)らったりするの、おかしいわ……。

 

「お姉チャン……そんな……」

 

 四肢を外され、単なるエロトルソー(ボディ)にされた“詩愛”。

 その媚びたような営業スマイルに、暗然する“美香子”。

 まさに今の姉は、完全に機能調整をうけたe-ラブドールそのものだった。

 

「もう……すっかり……エロいお人形サンにされちゃったんだね……」

 

 泪(なみだ)がひと筋、ビニールめいたほおを伝い、手脚のない人形の乳首に滴(したた)り落ちた。

 

「カワイソウな……お姉チャン……」

 

 * * * *

 

 ところが──である。

 

 制服の男女が詰めている15~6人ばかりの監視ルーム。

 戦闘艦のCICめいた、暗室にモニターばかりが灯る部屋。

 そこで、この悲劇的ともいえる光景が、あけすけな爆笑を呼んでいた。

 妹が、人形化された姉を見て涙をながすシーンでは、下品なバカ笑いが一層たかまる。

 

「このダッチワイフめ!しらねぇフリしやがったゼ!」

「甲種の前処置室だから、奴隷洗脳は完全に解いてるのよね?」

「当然!姉妹が“感動のご対面”できるよう、人格を戻してやったのに!」

「ふぅん、興味深いな。姉としてのプライドを、人形を装って守ろうとするンかねェ」

「アレだけ浣腸やら、緊縛ローソクやら、VR公開オナニーさせても、羞恥(はじらい)は残るんだナ」 

 

 おっしゃwwwと、制御卓に脚をのせ、ネクタイをくつろげて頭の後ろで両手を組み、モニターを眺めていた片目の男がコンソールに向き直ると、なにやらキーを打ち込んだ。

 

「コレで──どうだ!」

 

 * * *

 

「あぁぁッ!あぐぅぅゥゥ!!!」

 

 いきなり“詩愛”が、寸足らずな手脚をバタつかせて悶(もだ)えた。

 全身が、ピンクの照明下でも分かるほど紅潮してゆき、うっすら汗をかいて。

 金色の瞳は、夢見ごこちにボウッと潤み、染められたくちびるを半開きにして喘(あえ)ぐ。

 

 ──あぁッ!ひどぃッ!こんな時に『ビッチ・MODE』にするなんてっ!

 

 人形経験が長い彼女は、自分の性欲が遠隔でコントロールされるのがすぐにピンと来た。

 そしてあろうことか(妹(この子)を犯したい……)という悪夢めいた衝動が組み込まれる(インストール)のを感じる。

 

 ──まずは……あの無様(ブザマ)なフェラチオ用くちびるに、ワタシのフルボッキ・チンポを思い切りノド奥まで突っ込みたい!そしてプラチナ・ブロンドの髪(ウィッグ)をつかんで、留め金が外れそうになるまでガシガシ前後に揺さぶりたい!そのあとは……そう、あの放蕩娘の鼻の穴に思いっきり射精して、脳の奥の奥まで!ワタシの臭(にお)いを浸(し)みこませるのよ!

 

 淫らに改変された全身を火のように駆けめぐる、狂おしいまでの情念と誘惑。

 どこともしれない彼方では、さらに彼女の欲望を昂進(こうしん)させるべくK/B(キーボード)が趨(はし)る。

 

 ──そして……あのダッチワイフじみたツヤテカなエロいビニール肌に、おもいきりBUKKAKEてやるの。そうよ!わたしの言うことを聞かないで、風俗の店なんかでアルバイトするから……こんなコトになるんじゃないの!えぇ、そうですとも。そして泣き叫ぶあの娘を押し倒して!平手打ちをして!出来たてホヤホヤなあの娘のおマンコに、ワタシの穢(けが)らわしいおチンポを!それも前戯ナシでズブぅっ!うむを言わさず奥まで突っ込んで!……ヒィヒィいわせて……っ!

 

 ず く ン……っ!  

 

 こんな冥(くらい)い妄想が、彼女の脳に吹(・)き(・)込(・)ま(・)れ(・)た(・)所為(せい)だろうか。

 あの悪夢のような淫欲が、清楚だった姉の股間に妖しげな巣を張った。

 やがてふたたびムクク……っ!あのカリ高なチンポが、ワレ目からボッキしはじめる。

 

 とたん!

 

 またもや相手のだすフェロモンにより“美香子”のスイッチが入った。

 瞳は妖(あや)しく輝き、口からはヨダレが垂れて。もうチンポのことしか考えられない──。

 彼女はアヘ顔のまま紅舌をのばし、まるで手ぐすね引いて待ち構える目つきの姉へとにじみよる、そんなとき、ビクリ!新米・奴隷人形の動きが止まった。そして目を見ひらき、恐怖の面持ちで……。

 

 ──いやぁぁっ!アタマ、あたまの中に!ナニか侵入(はい)ってくるぅぅぅッ!! 

 

 ウイッグを引き毟(むし)らん勢いで“美香子”は宝石が穿たれたアタマを掻きむしり、身もだえした。

 

 まるで頭蓋骨のなかを虫が這い回っているような気持ち悪さ。

 ビニールの肌に微電流を流されるかと思われるほどのゾワゾワ感。

 そのあとは、まるで何本もの男の手に、触りまくられているような嫌悪。

 やがてしばらくの後、その衝動はウソのように消え去り、彼女の気配は一変する。

 

「お姉チャん、サぁぁぁぁ……?」

 

 ──身悶《みもだ》えが収まってみれば“美香子”の中には鉄サビのようなムカつきが広がっていた。

 目つきはトデトゲしくなり、まるで反抗期の生徒が“先公”に対してメンチを切るような。そして雰囲気も、下校途中、ウラ道に置かれたタバコ自販機の陰で、カツあげ目的に下級生のカモを待ち受けるスケ番(死語)めいた気配をただよわせはじめる。

 

 彼女の脳裏に、シルバーの食い込みレオタードを着た姉から、さんざん嬲(なぶ)られる映像(シーン)が、驚くほどの鮮明さでよみがえってきた。

 手術台を照らす無影灯のもと、あの双子の命令とはいえ手荒くバイブを扱われ、幾重にも残虐な、そして恥ずかしい施術をうけた記憶。

 そして──現状をあらためて看れば、バレエ用の赤いトウ・シューズをいつのまにか履かされた自分の足もとには、おあつらえ向きに手脚を分離され、無防備な“ダルマ”姿となって転がる“当のご本人”がいらっしゃるではないか!

 

 ──よぉし……。

 

 あれほど『お姉チャンのおチンポをパイずりして咥(くわ)え、ナメしゃぶり尽くしながら、自分のオマンコを弄(いぢ)りまくってオナニーしてやろう』という気持ちはキレイに消え去って、その代わり『このクソ女のデカぱい乳首をひねり上げ、チンポ穴にカクテル用のマドラー突っ込んで、ケツ穴にピンヒールをズボズボ挿入(いれ)て……そう!思いっっ切り、いたぶってやるのよ……っ!』というドス黒い情動が、ゲリラ豪雨の黒雲のようにムラムラと広がっていた。

 彼女の口もとに、悪役の“お嬢”じみた冥(くら)い笑みがうかぶと、

 

「ア(・)ン(・)タ(・)さァ……よくもあの“人形手術”ンとき、ア(・)タ(・)ィ(・)のコト、いたぶってくれたねェ……」

 

 いつのまにか喋(しゃべ)りまでガラがわるくなった『美月』は、紅いトウ・シューズでピンクに上気した姉の巨乳に足をのせ、グリッ!踏みにじった。

 

「コンっっっなデカパイさらして!恥ずかしくないの!?」

 

 ビュゥッ!

 姉の乳首から飛沫(しぶ)いたミルクがシューズにかかり、高価なサテンの生地にシミをつける。嗜虐(サド)に高ぶる妹とは反対に、姉の方は『ビッチ・MODE』とやらをキャンセルされたらしく、色欲も醒め、いまはフルフルと相手を恐ろしげに見上げるだけにも見えて。

 

「よごれッちまッたじゃないのサ!この──人間失格!」

「それ……中原中也で──」

 

 

 パァン!

 

 姉の頬が、高らかに鳴った。

 ほおを赤くさせ、涙目となる美貌な人形。

 打たれたところを押さえる手すら今は奪われて。

 美貌のダルマが、ピンクのクッション上でナヨナヨと蠢(うごめ)く。

 それを見た妹の心が、またもや加虐の衝動にムラムラと高ぶった。

 

 ──こンのメス人形……もっと困らせたい……泣かせたい……。

 

 単にムチやボンデージ、木馬や電気責めなんていう、ありきたりな薄い本のレベルじゃモノ足りない!ネタモノのAVのようにキワモノなプレイをさせたい!ピエロのように間抜けな化粧をさせて、マンコと肛門の“ふた穴”をディルドーでブッ指したまま、渋谷や道頓堀の人通りが多いショーウィンドーに、ミジめなポーズで拘束して……飾りたいッ!

 

「なんとか言って御覧(ごらん)!」

 

 いまや完全にヤンキー・モードとなった『美月』は一喝(いっかつ)した。

 

「お高価(たか)く造られた、このクソ人形がよォォォォ!」

「わっ、ワタシは……お客様に奉仕するために造られた存在です。みなさまの愛玩品です」

「ちーがーうーだーろォ!?」

 

 音節と音節のあいだで、彼女は高級人形の金銀髪を(プラチナブロンド)、拍子をとってワシづかみに揺さぶりながら、

 

「オマエは!ただのクソ人形なんだよ!アタシのケツを舐めろ!」

「そんな……小林源○先生みたいな……」

「パンツァー・フォー!……ってちゃうワ!!」

 

 ビシィ!

 チョップで激しい突っ込み。

 はぅっ!床のクッションで芋虫のように悶える“詩愛”

 つぎに『清姫』は、一度壁のピンク・クッションに身を投げてから反動をつけ、

 

「コぉぉォンの野郎ぉぉぉぉぉぉぉおおおおお!」

 

 猛烈な闘志が、彼女の心に燃え上がっていた。

 このダルマ女めがけ、ハイジャンプのあとフライング・ボディアタック!

 このときだった。

 “詩愛”の体は自動的に動き、短い腕と脚でゴロゴロころがり、間一髪!セーフ!

 『美月』のボディー・アタックは空のマットにうつ伏せで着地してうめき声を立てる。

 そして“詩愛”のほうも突然、得体の知れない好戦欲に突き動かされ、攻撃にうつった。

 

「10年早いんだよォォォッ!!!」

 

 いつのまにか格闘モノの口調となった彼女は、倒れ込んだ『清姫』の顔を太ももで挟み込み、必殺・おマンコ固め!

 モルギアナ』の股間から、童貞が妄想するような甘酸っぱいスメルが流れ、『美月』を半ば窒息させる。だが彼女も必死に姉のボッキちんぽをシココココ……。

 

「あはぁぁぁ……ぅっ!」

 

 *  *  *

 

「やれっ!──やれっ!──」  

「チンポばっか恥ずかしげもなくおっ勃てやがって!」

「でも手脚抜きじゃハンデありすぎません?」

「だ~ぃ丈夫。妹の方は、反応速度おとしてあッから」

 

 盛り上がっている監視ルームだった。

 大モニターでは『モルギアナ』と『清姫』のライフ・ゲージが左右に。

 ワザが決まるたび、派手な演出で、サウンドや透過光が奔ったり“激アツ”の文字が。

 モニターの最前列では、プ○ステのコントローラーを持った咥(くわ)えタバコの黒服がふたり。

 彼等の前には温泉でよく見かけるケロリンのクソ重い黄色な洗面器が置かれ、そこに万札が山ほど突っ込まれていた。見るかぎりオッズは50-50。そしてコントローラーを握るふたりを取り巻いて、ほかの黒服やタイト・スカートの事務員たちが、ヤンやの声援を送っている。

 

「しッかし脳を改造(イジ)ってあるたァいえ、やっぱ女は女だゼ」

「あら、男女差別よ!ポリコレ違反でヘルプ・デスクに通報してやるから!」

「ケド、人形になって地の精神が出ると、お嬢さまぶってても姉のほうはエゲつねぇな」

「妹だって、人間のときは歌姫でございとチヤホヤされてたケド、今じゃただのビッチよ!」

 

 そう──『モルギアナ』と『清姫』に改造された詩愛と美香子は、前処置室をリングとしてコントローラーで心身ともに操られ、戦っているのだった。

 

 ひときわ大きい歓声。

 妹人形にチンポをシコられていた姉人形が、とうとうビュビュッ!果てたのだ。

 だが、これが計算外で、人造精液から出た媚薬が妹の改造脳に作用し、酩酊状態になってしまう。

 『清姫』のコントローラーを握る片目の黒服が、すばやくエリクサーのアイコンをタップ。

 ふたたび2体の人形は対決姿勢にもどり、お互いに相手をニラみすえた。

 

『お覚悟っ!くノ一忍法──ちちプレス!』

『あまいわ!くノ一忍法──マン臭事変!』

 

 まさに竜虎、相搏(あいう)つ。※2

 火花を散らす、美姉妹の淫技(わざ)の応酬。

 画面上に見るふたりのゲージもガップリ四つというところ。

 

 そして……いまやふたりが、最後の奥義をくりださんと身がまえた。

 ビシリ!『清姫』は前処置室のドギついピンク色のLED照明を指さして、

 

『お姉チャン……天に還(かえ)るときが来たのよ……』

『ほざきなさい牝ブタ!姉より優秀な妹などいないわ!』 

 

 *  *  *

 

 おお……っ!

 

 ひときわ盛りあがる監視室。

 だが、すぐにその騒ぎはしずまった。

 ゴクリ……全員が固唾をのんでモニターを凝視。

 

「……でるか!?」

「この一撃で──決まるッ!」

 

 その時。

 ドカン!監視室のドアが蹴り開けられる音……。

 

 *  *  *

 

 対峙していた彼女たちの胸から、あれほど燃えさかっていた闘志が、フッ……。

 まるで、炎を吹き消されるように、あとかたもなく。次いで彼女らは、まるで冷水を浴びせられたように現実へとかえった。

 変わり果てた姉妹は、呆然とした面持ちで向かい合うと、

 

「お……姉ぇ……チャン……」

「美ぃチャン……美ぃチャン……」

 

 ふたりは足場の不安定な中、ヨタヨタと歩み寄り、ヒザ立ちにヒシと抱き合った。

 

「美ぃちゃん……可愛そうに……こんな姿にされて……」

「お姉ぇチャンこそ……それに、どうしてココに捕まってるの?」

 

 うっ、と胸を突かれる思いの詩愛だった。

 この妹は、どこまで知っているのだろうか?

 あの憎いドレッド一味に、一度ならず二度までも辱められ、輪姦(マワ)されたことを。

 姉は、質問をはぐらかし、妹のダッチワイフじみたビニール肌な肩をやさしく撫でながら、

 

「痛いところは、ない?記憶は──まだ大丈夫?」

「うぅん。でも……なんだかアタマがボォッとするの……」

 

 姉は悲しそうな顔をして、

 

「仕方ないわ?わたしたち、洗脳されて、額にこんな大きな魔石(ルビー)、埋め込まれちゃったでしょう」

「この宝石のウラから……ヘンなのが、ウネウネって出てたよォ?」

「アレがね?わたしたちの脳神経にこまかくカラみついて、だんだん『お人形さん』の思考に変えちゃうの。ア(・)レ(・)のことしか考えられない“おバカ”にされちゃうのよ?」

 

 イヤだよぅ……お姉ぇチャゃぁん、と美香子は魔石をリベット留めされた額を姉の豊かな胸に埋めた。姉は、そんな妹の頭を撫でながら、

 

「非道(ヒド)いことになっちゃったわね。でも買われた先が、どうやらお金持ちらしいから、まだマシだわ?」

「マシ……コレが?コレがマシなの?」

「他にいろんな運命をたどるお人形さんたちを見てきたわ?……脳を抜かれてただのお飾りにされたり、人体実験の材料にされたり、新型製品のテスト・ベッドにされたり……」

「アタシたちだって、お飾りにされるじゃァん!!あの巨デブなハゲに……」

「でも高度な生体手術、施されたから大切に扱われるでしょう?高級家具みたいなものよ」

 

 それを聞いたとき、妹は細い眉根をくもらせた。

 次いでおもむろに姉の美肌をちょんちょんと突いて、

 

「あーぁ。どうせ家具ンなって飾られるなら、アタシお姉チャンみたいな美肌がヨかったなぁ……こんなビニール人形みたいなの」

「だいじょうぶ。その処置は、一時的なものよ?この肌にするには、いったんそのような肌表面にする必要があるの。買い手はわたしたちを一対の置物にするはずよ?そのために、また手術されるはず。お姉ちゃんだって、この肌にされるには3年かかったもの……」

 

 ──3年も……。

 

 なにやら恐ろしいモノを感じた美香子は、質問しようとパクパク口を動かす。しかし悲しいかな、すでに知能をある程度引き下げられているので、的確な問いが見つからない。しかし、姉の方が助け船を出してくれた。

 

「そう──3年。あの万聖節の夜会から、3年……」

「ちょっと待って!」

 

 ガキン!頭のギアが乱暴に噛みあった気配の美香子。

 彼女は、まるで恐ろしいモノでも聞くように声のトーンを落とし、

 

「……今って……10月よね?」

「いいえ、4月ですよ?20**年の……」

 

 ガン!と洗脳済みの頭を一発殴られたような気がした。

 『みほと』と『しをん』。あの性悪バニーふたり組にクスリを盛られたのは、ついさっき──10月だったハズ。それから季節が移るどころか、さらに年さえまたいで、3年が過ぎてる……ですって!?

 

 ビニールの肌なのに寒気がする。

 フェラチオくちびるのためか、口の中が乾いた。※3

 ドクドクと心臓が不自然な脈打ちをくりかえし、収まらない。

 視界がクラクラと揺れ、激しくズーム・レンズを動かすようにモノが大小して。※4

 

『スレイブ・ドール『清姫』の情緒不安を検出・副交感系プログラムを実行(Run)します』

 

 妹の首元にあるバラの肉ひだが勝手にしゃべった。

 人工血液のなかに鎮静剤が滲出され、生体人形の動悸(ドキドキ)はおさまってゆく……。

 冷静になってみると、確かにさっき、ヘンなコトを聞いたような気がする美香子だった。

 

 ──あのスカした“サード”が「店長」と呼ばれてた?

 ──この“紅いウサギ”が経営不振でとこかに身売りした?

 ──そして……店長の“ちびピエロ”が死んだ、ですって……?

 

 さすがにくちびるをわななかせ、そのことを姉に尋ねたとき。

 詩愛の憂(うれ)い顔は、さらに深まって。

 

「……そう。店長は……いま行方不明なの。それからウサギ(お店)がドンドンおかしくなってったらしいわ。それまでは、本来“人形化”させる女性なんて、罪を犯した者に限定だったはずなのに、それからは単に美人だとか、スタイルがイイからと拉致(さら)って来て、ショッカーみたいに改造手術をするの……」

「……ショッカー?」

「ごっ、ごめんなさい、何でもないわ。本来、このお店は女性の幸せと未来を呼ぶために造られたものらしいけど……どうもあの夜から、風向きが変わったみたい……」

「あの夜──って?」

「万聖節祭の夜会(ハロウィン)からよ……そこでマイケルさんも、殺されたの……」

 

 ヒュッ!こんどこそ美香子の心臓は止まりそうになった。

 彼女の首に付けられた肉バラの花から、またも冷静な声が、

 

『スレイブ・ドール『清姫』の人造循環器システム低下を検知・カンフル系プログラムを実行(Run)します』

 

 青ざめたビニール肌のほおに、赤みが戻ってきた。

 しかし、薬液効果でもショックはおさまらず、いまだふるえ声で、

 

「ご主人サマが……どうして……」

「万聖節祭の夜会は“プレ万”とは違い、本当のお得意様だけでなく、いろいろなお客様がみえるでしょ?いまのお金持ちなお客さまは、ひと昔前の会社社長だったり、予算を横流し出来る高級官僚でなく、仮想通貨や架空の電子商取引、最悪はサギで大もうけした人も含まれるわ」

「……それで?」

 

 妹から目をそらし、呆然とした面持ちのままな詩愛。

 やがて無表情な顔のまま、この人形化された姉は涙をひとすじ流した。

 

「そんなアヤしげな人たちと、(わたしを犯したニクい)半グレたちが組んで、あの晩、店に乱入してきたのよ」

「そんなァ!」

 

 『美月』は思わず叫んだ。

 

「黒服やガードはどうしたの?“ちびピエロ”守っていたガチムチ兄さんたちは?」

「ガード役の黒服も、半数以上が買収されていて、なすすべも無かった……オモテのフロア・マネージャーは刺され、エスコート・バニーは散々犯されたあと誘拐され、海外に売られたらしいわ……マイケルさんはテッポーで応戦してたけど……」

「なんで!?そもそも、なんでご主人サマが、ウサギ(お店)店にいたの?」

「さぁ?……わたしはショーに出されていたから分からない……」

「ショー?お姉チャンが?……そンで、銃で戦ってたご主人サマは?」

「襲ってきた側にもテッポー……銃をもった本職がいて、ダメだったの……」

「そんな……そんなァ!」

「そして最後は、あの憎んでも憎み足りないドレッド・ヘアの男に……」

 

 重い沈黙が降りつもり、2体の人形姉妹をやわらかく押し包んだ。

 

 ともにうなだれ、呆然とする姿。もし人間のままだとしたら、抱き合い、啼泣(すすりな)く場面だったろう。だが今となっては、脳にほどこされた強力なドール用の管理プログラムが、それを許さない。

 

「そういえば、なんで美ぃチャンは、お人形にされちゃったの?」

「それは──」

 

 美香子の答えをさえぎり、前処置室の扉がひらいて、一団の男たちがピンクのクッションを土足のまま、遠慮もなくズカズカ入ってきた。また何かの悪魔的な施術でもしようというのか。白衣の双子も、それぞれ手に重そうなトランクを提げて……。

 

 ──ヒッ!

 

 その先頭にいる男を見たとき……。

 姉人形の顔は、思わずこわばった。

 




※:外交行嚢(こうのう) 外交官の特権で、税関や検査などがフリーパスなバゲッジ(荷物)のハンドリング。
※2:竜虎相搏・こう書いて「りゅうこ そうはく」とも読みます。
※3:ショック症状
※4:アリス症候群


間が空いてしまったお詫びに
今週、もう一発更新します。
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