試製・転生請負トラッカー日月抄~撥ね殺すのがお仕事DEATH~【18禁版】 作:珍歩意地郎_四五四五
『小枝子』は営業用の廊下わきにある『非常口』という鉄の扉を指紋認証で解錠したのち……ガコン!重そうに開けて、オレを内側に招き入れた。
コンクリ
かすかに……かすかに……。
なにか、電気炉のような器材でモノが燃やされるような、乾いた気配も。
「もうお客サマは全員、準備を済ませて会場に入っているのよ?
「準備って?ナニするんだ」
「あら……万聖節の夜よ?
「ハ!コスプレだってぇ?オレに “プリキュア” のカッコでも、しろってのかィ」
絶句する『小枝子』に代わり、
「……へぇ。マイケルさんに “日アサ” の趣味があるとはネェ?」
オレの後ろを歩くフェティマたちが面白そうに茶化す。
「まさか……けっこー “オタク” だったりして♪」
「ありえる~~。いっそ『女の子の人形』に改造して、カベに飾っちゃう?」
筋肉アニキたちの『ダッチワイフ』にされ、いまもチンポをしゃぶらされて居るであろう、あの
「この店は……なんでもアリだなぁ。さっきの “ヒトイヌ” だってサ?本当は警──」
「あぁ『魔ほと』のこと?」
『ユリ』が、長い黒髪を後ろに払って鼻でわらいながら、さも何でもないように、
「『小枝子』サンの飼い犬だったのに “エカルテ” 勝負で『麗華』なんかに負けるから」
「こらッ、『麗華』 “サマ” でしょう?……まったくアナタたちは」
「イイじゃないの。もうすぐ、お
お役御免?とオレは『ユリ』のカオを見た。
「なんだ、フェティマを辞める?そもそも辞めるコトなんて、できるのか?その──」
改造されたカラダで、と言いかけたとき、
「あぁッ──マイケルさぁん!」
通路の彼方から、黒い “ヒト猫” のコスプレが、小走りに近づいてきた……。
──なん……だ?
ゾクゾクゾクッ!反射的にカラダが中腰になり、身がまえる。
どうも黒ネコというヤツに苦手意識が刻まれつつあるらしい。
ビミョーに退き気味になりつつ、オレは相手をよく観察する。
──う……ん。
基本バニーガール。だが頭は、黒ネコの全頭マスクでカバー。
網タイツに包まれる脚は、股間がキワどいハイレグな仕様だ。
太ももまで丈がある、黒いフェティッシュな編み上げブーツ。
そのワリには──駆け寄る動作が、ネコのごとく無音のまま。
まるで薄暗がりに溶け、にじむように輪郭がハッキリしない。
そんな相手が、息を切らさんばかりにコチラへと駆けてくる。
──ふぅむ……。
近づいてみればボディのバニー衣装もツヤ消しの黒革らしい。
おまけに同色の、中指でひっかける手甲タイプの長グローブ。
まるで肌の白さを、できるだけ少なくするようなデザインだ。
「やっぱりマイケルさんだぁ。今来たの?オソぃよぉ……」
全頭マスクのおかげでくぐもった声。
嗅ぎ慣れない香水の雰囲気と、女の臭い。
艶めかしい身ごなしも、記憶のリストにない。
「あの、しつれいですが……」
「やだぁ、気づかないのォ?」
パコッ、と女は跳ね上げ式となったネコの全頭マスクをとる。
「へへぇ……アタC~♪」
黒ネコマスクの中からは、美香子──『美月』の顔があらわれた。
「うわ。キミかぁ~~」
なんだよと、思いつつもオレは
ミントの息に混じってただよう、彼女の肌のにおい。
いつもと違う、大人びたパフューム。艶めかしい身ごなし。
顔つきも、いつの間にか大人びて。まるで本物の “夜の女” となって。
それに、いつの間にか『ご主人サマ』から『マイケルさん』扱い。チト寂しい……。
「一瞬、分からなかったよ。ちょっと大人びてサ」
「ふふん♪『女子、3日会わざれば
「ほっほぅ。まさかキミの口から、そんな言葉が出るとはね……」
だがそれに対し、『美月』のほうは、なにやらヘンな目つきでオレを見返してきた。
****
──やっぱし、そうだ……。
アタシはボンヤリ考える。
──まえは、アレほど『ご主人サマ』のコト好きだったのに、いまは……ナンか、チガう。
よくよく見れば、タダの「チョッと見た目のイイ」 “をぢ” ぢゃん。
なんでこのヒトのこと、好きだったんだろう。チンポが大きいワケでもないし。
あ、まって!そういえば、マイケルさんのおチンポ……見たことない!
もし、まわりの黒服どもみたいに、巨チンだったり、シリコン入りだったら……。
「美香k……いや『美月』クン」
──舌なめずりしてると、まぁ~た、このオヂサンさん。気取って話しかけてくる。
その固ッくるしい呼び方、あんまスキぢゃないんだよねェ。なんか上品ぶってるし。
それにアタシもう『美香子』じゃなくて『美月』だっつーの!!源氏名で呼んでよね!?
「詩ぃ……いや、お姉サンは、どうしてる?」
「は?『
──ワザと、トゲトゲしい声が出た。
こういう時って、アタシってホントばか。
ワザと意地悪しちゃう……でもでも、仕方ないよね?
アタシ。しょせんお姉、『モルギアナ』とはハラ腹違いの妹だモン……。
「アタシも、これから最後の打合せにいくケドさ」
「今夜のメインて……まさか……お前……」
「そ。『モルギアナ』が
──え!とおどろくマイケルさんの顔。気持ちイ~イ。ふッふ~ン、って感じ♪
「あの『サード』ってヤツが言ってた、長剣を振って演舞するのお前か!大丈夫なのか?」
「しっつれいね!──見てよ!」
──アタシは二の腕を曲げて力こぶを出してみせた。
ホント。腕が太くなって、イヤんなっちゃう。あの筋肉増強剤、キキすぎィ。
「もう剣を自由にあやつれるのよ……へへン!」
──おもわず笑い声がでちゃった。マイケルさんを、ノケぞらせてやるんだから♪
「思いっきり剣をふって、度胸だめしするわよ……カクゴしてね❤」
****
「
チーフレディの『小枝子』は落ち着いた口調で、
「お客サマをはやく仮装させなくてはならないの。お喋りは、あとにして
はぁィと美月はカポッ、黒ネコとなり通路を開けた。
そして「じゃ、後でね?」とオレの股間に素早くタッチ。
そして魚が閃くように、通路のどこかへと姿を消しさった。
あとに残るのは、小児性愛者を見るような『小枝子』の眼差し……。
一行は、ふたたび先を急ぎながら、
「マイケルさん……貴方、まさかあの娘と──」
「は?バカ言ってんじゃないョ!」
オレはワザと大声で、
「アイツは単なる庇護対象。高校にもいかず、困ってる!」
「そう。でもねぇ……」
「なんだ。
「そうは言ってないわ。でもあの
「え……税金とか、どうなってンの?」
「それは企業秘密。でも、それで大学出て就職して、廉い給料でコキ使われるのは、ねぇ」
「金銭感覚のマヒがコワいんだよ!」
思わずオレは力説してしまう。
「若いうちから、いくらアブク銭を稼いだって、けっきょくはモノにならん」
「……やっぱりカタいのねぇ、アナタ ❤
そォーそ♪と背後から『ケイ』が茶化し、
「カタいのは、チンポだけにしときなYo!」
「ま!お下品ねぇ。けど──『小枝子』サンの今のセリフ、イイとこ突いてる」
そうでしょう?と『ユリ』の声に、ビジネス・スーツで大人の色気を包んだ彼女は、ちょっと振りむいて微笑むと、次いでコチラをむき、
「アナタみたいな殿方と所帯をもてる女は幸せね……」
「……そうでもないぜ?」
フィッティング・ルームらしき楽屋裏めいた一室に通されつつ、おれは逃げた元妻を苦々しく頭に浮かべた。娘にまで、オレを悪者だと吹聴した
「オレには、どうも “亭主” としての魅力が、ゼンゼン無いらしいよ……」
*****
あてがわれた仮装用のコスチュームは、有り難いことに「プリキュア」の
──なんか……懐かしいな。
こう思ってしまうのは、かつて皇国の特殊騎士団・団長だった記憶がそうさせるのか。
すると、コチラの含み笑いを
「あらァ?ヒョッとして、
そう……コイツらは、オレの前世(?)の記憶を知っているのだ。
さらに魔法がどうとかも、言っていたような気がする。
もしや
「しィーっ♪」
それを聞こうとクチを開きかけたとたん、『ケイ』が片目をつぶって投げキッス。
──やはり!
ギクリと彼女たちの顔を見比べる。
こっちの考えが漏れているのか。すると──やはりテレパス?
「さて、なかなかのモノになりましたわね……ホレ直しましたわ?」
『小枝子』がアゴに手を当て、まんざらでもなさそうな顔つき。
すると今度は、フェティマたちが慌てたように口々に、
「──マイケルさァん。アレ、持ったの?」
「──忘れちゃイヤですよぉ?黒いタブレット!」
「あ……」
脱がされたスーツの内ポケットから、オレは黒い板を取り出すと、胸の胴鎧を斜めによぎるふといベルト。そこに設けられたスリットに差し込んだ。そして──例の “切り札” を、女たちにバレぬよう、こっそり取り出して、すばやく腰の革ポーチに入れる。あとは財布と、免許証や健康保険証などが入ったカード・ケース……。
『小枝子』は、オレの脱いだスーツやズボン類を、まるで妻が夫にするようにかいがいしく畳み、
「さ、
彼女にうながされ、オレたち一行は部屋を出ると、また“紅いウサギ”のウラ道めいた通路を進む……。
(……おぃ【SAI】、ちゃんとマッピング出来てンだろうな?)
『
あのアホAI、北京語で応えやがった。
まさかこの非常時に、また映画でも見てるんじゃないだろうなァ。
「あによゥ、ナンか言った?AI?映画ですって?」
やべぇ、口に出てた。
「いや、そのぅ……」
「心配事かしら?わたしたちがマイケルさんを、本当にドールへ改造手術するとでも?」
「アタシなら見てみたいナァ……きっと美少女の奉仕ドールになるよ」
「ホント、ホント。いい土産話になるワァ♪」
女たちは、勝手なコトを口々にほざきあう。
それが冗談なのか本気なのか、分からないところがヒヤヒヤする。
「いや──なに……その。そうだ、キミらは仮装しないのか?」
ハ!とフェティマたちの鼻でワラう気配。
「ウチら、こー見えて お 仕 事 中 。客にコビる接待なんて、キャストに任せてンのよ」
「それとも、なぁに?ワタシたちのコスプレ姿が、見たかったとか?」
う~ん、そうだなァ……と、オレは一拍おいたあと、
「『ユリ』君や『ケイ』君のバニー姿も拝みたかったなぁ……もちろん『小枝子』サンも」
「まっ❤」
チーフ・レディは頬に手をあて、まんざらでもない様子。
『ケイ』のほうは、手を白いヘッド・ドレスが飾るアタマの後ろで組んで、
「ウチらのバニー姿なんて『渋』や『PixAI』行きゃ、いくらでも見れンじゃないのォ?」
「おバカねぇ!マイケルさんはワタシ達ペアのバニーを“生”で見たいって言ってんの!」
通路を右に折れ、左に向かい、短い階段を降りる。
やがて、ようやく見覚えのある店主室が見えてきた。
(……【SAI】?)
『かなり遠回りさせられましたね。位置を知られたくないんでしょう』
『ユリ』がメイド・ドレスを揺らして使用人らしく先に立ち、重厚な扉をノックする。
「
返事がない。
なかの気配は
「
彼女が扉をあけ、中をうかがう。そして声をいくぶん鋭くし、
「『ケイ』──来て」
なにかを悟ったのか、職業的な敏捷さを発揮し、『ユリ』が同僚につづいて扉のすきまを猟犬のようにスリ抜ける。
「──なにかあったの?
「部屋が荒らされたアトがあります。物盗り……?」
「でも血液反応が若干。店主のモノじゃないよ、コレ」
扉越しのやりとりに
オレも後につづくと──なるほど。まるで誰かが暴れたかのように、豪華な部屋が乱雑にされた光景が目の前に拡がった。調度品は引きずられたあとがあり、スタンドや軽いイスはひっくり返されて。カベに掛かっていた絵が横にひらき、奥に見えている金庫の扉も開けられている……。
全体を俯瞰すれば、パリの超々・高級アンティークショップ『kugel』ですら足もとにも及ばない豪華な部屋が乱雑に荒らされた情景は、見ていて痛々しいものがあった。
「よく執務室の造作を知ってるモノの仕業ね」
さすが。
こんな時でもチーフ・レディは落ち着きを失わない。
冷ややかな目で辺りを見回すと耳のインカムに手をやり、
「コントロール。店主執務室前の廊下の記録映像を、アタシのスマホに」
すると、すかさず【SAI】が
映像は時間軸をさかのぼってゆき、やがて黒服を引き連れた『麗華』と『サード』が、それぞれ何かを小脇にかかえ、バックの駆け足で店長室に入ってゆく(つまり「出て行った」)。
「……あンの牝ギツネ」
低い『小枝子』の毒づき。
さらに時間をさかのぼると、これも『小男』が、ガチムチのアキニたちを引き連れ、同じようにバックで店長室に入っていった。その差、5分程度。
『どうもアトから来た方が、店主を襲撃しようと画策していたようですね』
(……先に気づいた『小男』が、ギリギリで機先を制した、ってワケか)
「どうすんの?『小枝子』サン。今夜の催し」
『ケイ』がめんどくさそうに。
「コイツらを始末するとなると、多少ホコリがたつよ?」
「ご来賓のご不興を買う事態は避けたいわ?警備を可能なかぎり厳重にして続けましょう」
「けど警備の本隊は、もう──」
サッ!チーフ・レディはその言葉の先を制して、
「
「格闘ンなったばあい、割りマシ手当、つくんだよねェ?」
「当然」
冷ややかな目で『小枝子』は、黒メイド服をまとう
「アナタたちの本領発揮よ──鋭意努力なさい」
ビジネス・スーツ姿の『小枝子』はS/Wが入ったようにキビキビと別人になる。
耳のインカムで矢継ぎ早につぎつぎと、硬い口調でどこかに指示。
オレはひそかに感心する。イチイチ命令が簡潔で的確だ。
まるで前線の指揮官をおもわせる風格と圧力。
そして最後にオレたちに向かって、
「いま迎えを頼みました。マイケルさんは、その人の指示に。
そういって、フェティマを連れ、慌ただしく執務室をでてゆく。
ひとり、ポツンと残されたオレは、部屋にある骨董品や什器をさりげなく鑑賞。
豪華なアンティークのデスクが開かれ、引き出しが全部あらわになっている。
これは『仕掛け型』のギミック引き出しだ。すると──開けたのは、『小男』か……。
──お……!
ふと、開けられた引き出しの一つに、オレの目はクギ付けとなった。
懐かしい商標が書かれた紙箱のパッケージを見つけたからだ。
アフリカ傭兵時代、よく世話になったメーカーである。
REMINGTON HTP JHP 88grs. Caliber 380acp
封は半分破かれ、何発か空にされている。
おそらくこの前見せられたワルサーppkのためだろう。
ということは……『小男』は、護身が必要と分かっていたワケだ。
『麗華』の裏切りを知ったか。それとも──まさか協会の
「【SAI】、この部屋に防犯カメラは?」
『回線、ありません』
よし!とばかり、9mm弾のパッケージを華麗な動きでゲットした。
あと、めぼしいモノはないか……指紋を残さぬよう、ハンカチを手に物色をはじめたとき。
扉にノックの音。
スペインが世界の覇者だった頃に鋳られたダブルーン金貨から、オレは慌てて手を引っ込めて鑑賞するそぶり。
「ンだァ?『最重要顧客』ってナァ、お
背中にそんな声がぶつけられる。
えっ?と入り口をふり向いたとき……。
視界にはコリンズの、めかしこんだタキシード姿。
「はぁぁぁぁぁぁぁ?????!!!!!」
****
思いがけない
「いや~~タマげたゼ。てッきり腹がセリ出た、どッかのヒヒ爺ィかと思ったのによォ?」
「おどろいたのはコッチだぞ!」
ふたたび赤絨毯敷きとなった通路を先導するコリンズの背中に、オレは口をとがらせる。
「最悪、キミは強制・女体化手術されて、ダッチワイフに改造されてるものかと……」
「へぇ?この店のこと、よくワかってンじゃん」
「そっちは、この店の黒服に潜り込んだってワケか。協会はキミの無断欠勤にカンカンだぞ。懲戒免職も辞さないとか」
けッ!元・同僚は義手にはめた黒い手ぶくろをニギニギさせ、
「あんなトコ、コッチから願い下げだゼェ!」
「しらんよ?どうなっても」
「なんせココに居りゃァ──」
そして歩きながらオレを振り向くと、締まらないニヤつきを口もとにうかべ、
「
だんだん会場の
んぅ?と、ヤツが示す方に目をやれば……大きな銅像の影で、なにかが激しくうごめいていた。
──なんだ……?
コリンズから離れ、斥候兵の足どりで慎重に近づいてみると、
よくよく見れば……それは牛の頭、ウマの頭のかぶりモノをしたボンデージ・ファッションな筋骨隆々の男ふたりが、一人の美少女を駅弁状態の仰むけに、前後から犯しているのだった。
「アン!……アン!……アン!……」
かぼそい鳴き声のような「よがり声」も聞こえてくる。
2mはあろうかという、ムキムキマッチョな男たちは非情にも、か弱い少女をガン突きにして。
──いや……美……少女?
なんと。
その銀髪ショート・ヘアな少女には “チンポ” がついてるではないか。
だが牛頭馬頭たちは、この可憐な少年を、前からも後ろからも責め立てて。
白く華奢な
バック側の牛頭が、少年のチクビをバックで犯しつつ、長い舌でべろべろと舐めまわす……。
「クククク……
「アニキぃ!コイツのケツまんこ……まじヤベぇ……最高だァ、ッッ……ウッ!」
「おぃおぃ、イくのはまだ早いぜぇぇ?早漏かよオメェwww」
「あぁっ……オシリのなかに……イッパイ出てるぅぅっ!」
そんな悲鳴が伝わったかと思うと、びゅくびゅく……っ!
少年の精がはじけた。するとウマのかぶり物をした男のほうが、少年にディープ・キス。
さんざん小さな口を侵して(ぷはぁ……)とくちびるを離し、
「オレの唾液にはプロラクチンが含まれてンだ。いくら
ウマ男のいうとおり、白い精を吐いた少年のアレが、またもやムクムクと可愛く天をさす。
「いやぁッ、やめてぇぇぇぇっ!ボク、壊れちゃうよぉ!」
「おやおやァ……ヤメちまってイイのかい?『うまぽこ』チャンよぉ」
「オめェのチンポは、まだまだ欲しがってるようだぜぇ?」
「もう手前ェは引き返せねぇ “男の
「ダメぇっ!ナカはイヤぁッ、ボク、女の子になっちゃぅぅぅ……ッッ!」
今度はウマ男がブルッ!ガチムチの体から汗をしぶかせ、だらしない顔をして、果てる。
スゴいかぶり物だ。ボディから継ぎ目なしに立ち上がり、表情も。まさか手術で……。
「あぁ……ボクの
(……おィ、行くぜ?)
背後からヒソヒソとコリンズ。
(……お客サンのお楽しみを、ジャマすんじゃねぇよゥ)
(バカ!いくら客の好みだからといって、あんな
(だァら!
コリンズはむりやりオレを引っぱってゆき、ウマの汗が
「客は、あの美形なガキの方なんだって!」
「……は?」
「肛門とキンタマの間に
引っぱられて歩きながら、おれは彼方で相変わらずまぐわってる3人の影を眺めた。
いやまて。ほんとうに物理で改変されるのは、果たして “イメプレ” と言えるのか?
「カワイソウなのァ、あのヤロウどもの方だぜェ……」
コリンズは首をふりふり
「キンタマぁ
コリンズの言葉は、うわのそらになっていた。
なぜならふとワキを見れば、こんどは石膏像と大理石の柱の間で、(今度こそ)可憐な美少女が、熟れきったボディの美女に双方が全裸のまま、ピンク色をした乳首をペロペロ
「あふぅん!お姉ェさまァ!……お姉ェさまァ!」
「うふふ……カワイイ娘……まだよ……まだ
──ダマされないぞ!
どうせ今度も、少女の方が客で、
美少女は蛍光グリーンに染められた髪をみだし、上半身をピンクに染めて、年増女の舌技に恥じらいもなくヨがっている。ふくらみかけたムネは揉みしだかれ、さらに彼女をアヘらせて。
すると、オレの凝視に気づいたモノか、二人の睦み合いは止んだ。
ギロリ、コチラをみて、
(……お姉さま、オトコよ)
(……そうね、オトコが居るわ──ケガらわしい)
そう言うや、地べたを這いだした。
なんと、柱の根元からあらわれた彼女たちの下半身は「蛇」で、そのまま胴体をウネウネ絡ませあい、ズルズルと絨毯敷きの上を這って、どこかへと姿を消してゆく。
「コリンズ……あれ……あれ……」
「あぁ、オロチの仮装な。イチイチ驚くない。今日は万聖節の夜だぜ?さ、先ぃ急ぐぞ」
近づくにつれ、そこかしこで乱交している者たちがいる。
あたりの空気はオス・メス、取り混ぜた精の臭いでムセかえるほど。
ようやくうす暗いホールへたどり着いてみると──。
バサバサバサぁ……ッッツ!
高い丸天井から羽音がして、ムチのように長いシッポと、コウモリの翼を持つ
「コリンズ!──アレ!あれ!」
「イチイチうっせェな………今夜は万聖節だッつてンだろ!なんでもアリだ」
いや、しかし……と、コスプレ会場となったホールを改めて見回せば。
華麗な衣装を纏って痴戯に耽る軽佻浮薄なロココ時代の饗宴……などという、故・気谷誠氏が活写した “辛うじて品を保った罪のない遊び” のレベルからは遠く離れ、ただひたすら精を放ち、獣欲を満足させる “地獄の会場” に他ならないのだった。
またもやミノタウロスの格好をした、ふんどし姿のガチムチな一団がオレとコリンズを取り囲み、 “一匹” が手に大ジョッキを差し出して「飲め!」と促した。
いい機会だ。
コイツらを、よく観察してみる。
青肌や赤肌をした、マッチョな男たち。
かぶりモノの継ぎ目は見られず、強力な欲望を宿すように、みな目をギラギラさせて。
コリンズは事もなげに酒杯を受け取ると、
「シャンパンをジョッキでかよ!コイツぁ豪勢だぜ」
ヤツは一気に、ゴキュゴキュと飲み干してしまう。
ミノタウロス共が持っているボトルの空き瓶はルイ・ロデレール・クリスタルだ。
さらに一匹がオレのほうにジョッキを差し出すが、黒ネコの忠告を思いだして踏みとどまると、内ポケットから例の診断書を、牛頭どもの目の前に拡げて見せた。
「悪い……わたしは酒を医者から禁止されてるんだ」
「ナンだよおぃ、マジかよ?ツマんねぇな……」
と……コイツら、文字が読めないのか。
診断書をひっくり返したりウラオモテにしたり。
果ては首を傾げ、仲間たちとなにやらヒソヒソ話。果ては、
『オレタチ、ノ、酒!飲メナイ?──ダメナ
いきなり胸ぐらを
なんてパワーだ。もしかしたらオークより
ふんどし越しにヤツらのチンポがギンギンに
先ほどの『うまぽこ』とかいう客が前後を犯される光景が、この非常時に頭に浮かぶ。
その時だった──革帯に挟んでいた例の長財布サイズな黒タブレットが、バタリ!下へ落ちる。
「!」
とたん。牛頭のミノタウロスどもが、異様に動揺するのがわかった。
オレをソッとおろすと、顔を見合わせ、後ずさりに会場のどこかへ散ってゆく。
「ナンでェ、こりゃァ……ヒック!」
顔を赤くしたコリンズが、黒タブレットを拾い上げ、天井のシャンデリアにしげしげ透かす。
「ただの板ッ切れェ?──にしちゃズイブン重ぇな……」
「そっちも知らんのか……チーフ・レディの『小枝子』に渡されたんだ」
「へへぇ。あのスケ、チョッと
オレは半獣半人どもをあらためて見やる。
まわりで陰に陽に乱交をして
「さ、お前ェの席は、コッチだとよ……上席だぜェ、チキショウめ!」
コリンズの後について行こうとしたところ、ズルッ!足裏が絨毯のヌルつきでスベった。
みれば、愛液だか精液だか。天井の華麗な灯火に反射して。
うへぇ、とソファーがしつらえたブースの間を歩きかけたとき、不意にオレはゾッとする。
──まて!美香k……『美月』のヤツ。
このホールで剣舞をしながら踊るとか言ってなかったか。
こんな愛液・精液まみれな絨毯の上で剣を振りまわし、飛んだりハネたりしたら……。
「おィ、ハヤく来ねェか!こっちァ他にも仕事かかえてンだからよォ!」
喘ぎ声やよがり声が通奏低音と満ちる空気の中、コリンズのイラついた声が響いた。
とにかく、席を教えてもらったら中座して、『小枝子』に状況を知らせなければ。
コリンズのあとについてジグザグにブースのグリッドを進みながら、オレはトラックとコンタクトする。獣姦パーティめく地獄の饗宴じみた景色のホールで、これだけ
ボディが
「【SAI】、【SAI】!緊急事態だ。マッピングOKだよな?あとでオレを店の
『…………』
「──おい【SAI】、聞こえないのか?」
『…………』
「【SAI】!テメー、またヘンな計算してンじゃないだろうな!?」
『…………』
ヤバい。応答がない。
まさか、ここには回線が届いてないのか。
あるいはSNSで実況などがされぬよう、ワザと無くしてるのかも。
ヤツのフォローがないと、コンタクトレンズのモニターにマップが出せない。
有象無象の性欲ビーストが満ちる空間でヤツの
「さ、ココがお前ェのブースだ。ンじゃ、マタな?」
そう言ってコリンズは
案内されたブースを見れば、ホアキン・フェニックスが演じたジョーカーのコスプレをする、白い顔に化粧をしたハデなスーツの緑髪男と、一昔まえシンバルを叩いたあと、歯をむき出しにするゴリラのオモチャのコスプレをした小柄な男。
ジョーカーは、だまってテーブルを挟んだ向かいのソファーを指し示し、ニッコリ。
──まぁ相席が、さっきみたいに欲情に我を忘れたコスプレ女じゃなくて良かった……。
オレはソファーにどっかりと座り、疲労のあまり天井をむく……と、ソファーの手ざわりがおかしい。改めてなでると……なんと、このソファーはビニール貼りだ。飲み物や愛液がブッかけられてもいいように、家具を入れ替えたんだろうか?用意の良いコトではある。
鎧の腰に入れたポーチを、そろそろと撫でる。
この混乱で、アリアを唱う『モルギ……詩愛』に、切り札を見せるコトが出来るだろうか?
──う……。
ゴツゴツとヒザに何かが当たる。
なんだ?と身を起こして下を見れば……。
散弾銃の冷ややかな銃口が、オレの股間を狙っていた。
テーブルを挟んだ向かいの男が、ニィっと笑い、緑の髪を取る。
下からあふれだすドレッドヘア。死人のように黒い瞳は、相変わらずだ。
「会いたかったゼェ?マイケルさんよ……」