※この作品はR-18です。

試製・転生請負トラッカー日月抄~撥ね殺すのがお仕事DEATH~【18禁版】   作:珍歩意地郎_四五四五

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お久しぶりでございます。

実は【玲瓏の翼・第二部】および【学園モノ】2作、【純文学】1作を完成させているうちに、すっかりコチラが疎かになってしまいました(反省)。

とりあえず、直近のあらすじから。


・会員制・超高級サロン《b》『紅いウサギ』

・美形の男女を、高度な手術により半・ドール(人形)化し、特別な〝ウラ会員〟の変態的な性癖に供するとウワサのある謎めいた店である。

・その晩は年に一度、店が新規・ウラ会員を物色するための夜会『万聖節の夜』が行われていた。

・主人公(H/N(ハンドルネーム):マイケル)は、そのヤバげな夜会の招待をうけ、転生トラックのAI・【SAI】のバックアップを頼りに、ふたたび『紅いウサギ』を訪れる。

・だが、巧妙に張り巡らされた電波妨害のため、【SAI】との連絡は取れない。

・奇しくも、主人公の前世からの宿敵とその一味も夜会に招待されており、何のもくろみか、彼等は広間にある余多(あまた)テーブルのうち、よりによって同じ席に案内される。

・角突き合わせる彼等。テーブルの下で宿敵に銃を突きつけられ、主人公はうかつに動けない。

・宴もたけなわの頃、照明がおち、突然浮かんだスポットライトの中で、楽の音に合わせ、肉感的な黒人の舞姫が諸手(もろて)に長剣を持ち、それを振りかぶりつつ優美な剣舞を演じはじめた。

──全裸を覆(おお)うシースルーな薄物(ヴェール)。黄金(きん)の首輪と手枷(てかせ)、足枷(あしかせ)。

──それらを介し、黒い肌に幾重(いくじゅう)にもまとわりつかせた、金の細鎖(チェーン)。

──乳首を穿(うが)つリングの燦(キラ)めき。ラビア(女陰)に何重(いくえ)にも残酷に施されたピアス。

──剣を振り、豊満な身を震わせ、舞わせる度、それらがけ(・)ざ(・)や(・)に耀き、なんとも淫靡(みだら)!

・実はその舞姫、主人公の元恋人であり、宿敵の一派により無惨にも強姦された女が、店側の計らいで過酷な性的手術により変わり果てた、哀(あわ)れな〝メス人形〟容姿(すがた)だった。

・踊るうち、身体に仕込まれた卑猥(ひわい)な入れ墨や、セックス人形のように極端な凹凸(メリハリ)をもつ肢体(ボディ)のスタイルが、何の企みか店の監視室からリモートによって解除され、顔つきもかわり、淫らな衣裳をまとった元の彼女の姿に変化する。

・宿敵の一派のうち、興奮した一人の小男がそれをいち早く見つけ、自分たちが輪姦(マワ)した女であることを、天井の高い豪奢なホールで声高に宣言する。

・「キスしとくれよう!」と、この有頂天になった小男は叫んだ。

・いまや元の肌色となり、全身に淫らな飾りをつけた舞姫である彼女は、莞爾(ニッコリ)、微笑しつつ、舞いながらその男に近づいた。

 そして、次の瞬間!

・『コレがワタシのキスだよッ!』

・持っていた剣で、調子に乗り下半身を露出させていた小男のチンポを切り飛ばすや、残る片手の剣を、男の肛門に深々と突き立てるのであった……。



     〃    (その6:死の舞踏/B面-1

 

 

 時間は、すこしばかり遡(さかのぼ)る……。

 

 いいわ!?と『小枝子』は、完全に状況を把握したチーフ・レディの顔つき。

 そして決然とした表情で耳のインカムに手をやり、

 

『衣装係!キャスト変更。『美月』を歌役にするのでコス(衣装)を!──時間がないわ?急いで!』

 

 ……の、あたりから。

 

****

 

「えぇッ……じゃぁ踊り子はどうするのヨォ!」

 

 『美月』の抗議に、ハッ!鼻で嗤(ワラ)う『小枝子』

 

「目の前に居るじゃないの」

「めのまえって……まさか警備サンが?」

 

 注目を浴びた屈強そうなツリ目の女は、自分を指さしキョロキョロ。

 そしてガタイのいい身体をふるわせ、トンでもないと言うように首をふり、

 

「アイゴー!ムリね!ケンチャナヨ(問題ナイ)精神、アンデンニダ(だめネ)!!」

「ナニ言ってンのよ、バカね!こっちよ。貴女(あなた)のお姉ぇサンを、舞姫(ダンサー)に仕立てるっての!」

「えぇっ!?ワタシを──で、ございますか?」

 

 今度は全員の注目を浴びた『モルギアナ』の方が、おどろく番だった。

 

「そんな……ワタシ。『美月』サ(・)マ(・)の剣舞は、なにも覚えていません」

「はぁ?何のために、脳に直結した額の魔石があるの──おバカさん♪」

 

 連絡を受けた白衣の双子が、数名の助手らしき者たちにも手伝わせ、雑多な器材をエア・クッション付きのホバー台車にのせ運んできた。手慣れた手つきでケーブルやキャプタイヤが接続され、電源がいれられ、モニターに灯をともらせ──それが終わると助手たちは無表情なまま、管制室を出ていった。まるで彼等もドール化されているかのように。そして『モルギアナ』は命令されるがまま、中央に立てられた人型ワクのスタンドに歩み入る。

 

「あの──なにをす……」

 

 医療用ステンレスの冷たい輝きを放つ、複雑な金属ワクにガッチリと拘束された不安げな彼女の言葉は、なにかを魔石に照射した双子によって尻切れトンボとなって終わった。

 

 卒然!

 

 カラダを硬質なマネキンのようにコワばらせて白目となり、肥大したくちびるをポカンとひらき、口腔(くち)のなかのイボつきな紅舌(した)とほおの内側を、痴呆のようにあらわにして。

 

 彼女がまとう歌姫用の紅いイヴニング・ドレスは格闘女の手で、地獄に居るとされる『奪衣婆(だつえば)』のワザよろしく剥(は)ぎ取られるように脱がされ、アッという間に全裸にされてしまう。その遠慮のない問答無用・無慈悲とも言える手つきには、ド醜女が美女をいたぶるときに観られる、嫉妬からきた私情をまじえる苛烈(はげし)さが、いくぶん混じっている──ような。

 

「ちょっ!お姉ぇ──いえ『モルギアナ』は、大丈夫なの?」

 

 フフン♪……っ!

 

 白衣の双子は展開した機材と同じくステンレスめいた笑いを浮かべ、舌なめずりするように拘束ワクの虜となった奉仕用ドールを己が獲物のように眺めわたすと、

 

「おタノしみは──」

「コレからです──」

「すこしばかり、時間も足りないので──」

「脳をキズつけますが、手荒(てあら)な処置を──」

 

 “ 人形 (ドール)”の頭を、彼等はステンレスのワクで頑丈に固定するや、ひたいの魔石を慎重にはずした。すると──そこには、何かの端子めいたデバイスが、魔石の台座中央にあらわれる。上下を留める2本の六角ネジを、マキタの電動工具を持ち出してビット先を合わせ、

 

 ドリュ!ドリュリュリュ!…………リュリュリュ・ッ!

 

 優に50ミリはあろうかと思われる血まみれなボルトを2本、抜き出すではないか。

 

「ひぃ……ッ!」

 

 無惨、かつ強引な施術を見た『美月』の悲鳴。まさに本性を顕した『紅いウサギ』であった。

 双子の片方が、そこに滅菌した端子を2本。頭蓋(ずがい)の奥(・)の(・)お(・)く(・)まで差しこんで……。

 もう片方は、台座から伸びるケーブルをPCに繋(つな)ぎ、一連のキーを叩いた。

 ガクガクガク……ッ!拘束ワクをゆらし『モルギアナ』の肢体(ボディ)がハネる。

 無惨にも乳首をうがつ、鳴り物つきのピアスが涼やかに鳴って。

 

 ややあってから “元・詩愛” の口より、無感情ともおもえるイントネーションで、

 

『はい……はい……特選級・性・奉仕用人形(ドール)『モルギアナ』・は・“舞踊(ダンス)・MODE”・を・受信。Ready状態・を・完了シマシタ。イつでもS/W(ソフトウェア)のインストール・を・ドウゾ』

 

 カタカタカタ……ッ、ターン!

 パソコンに不慣れな中年親父のエンター・キーのように。

 キーボードがひときわ激しく、キメ打ちのように、たたかれた。

 すると、それをさかいに高電圧の、耳鳴りのような音がはじまって……。

 

「そんな!──お姉ぇチャンが!」

「あぶない!」

 

 悲鳴をあげ、ワクに駆け寄ろうとした『美月』。

 危ういところで『小枝子』に辛うじて抱きとめられる。

 

 ムリもなかった。

 

 人型ワクに拘束された『モルギアナ』の身体は、全身からとバチバチと青い放電を発生させつつ、あたかも焦げてゆくように、見るみるチョコレート色へと変色してゆき、胸(バスト)が──尻(ヒップ)が──太ももが。まるで豊身(キュービィ)な黒人のようにモリモリと、なさけ容赦(ようしゃ)なく隆起するではないか。その反対に、腰はハチのようにシュルシュルと、魔法のようにクビれてゆくのだ。

 

 顔つきも一変。くちびるは、フェラ用のBIMBO(ビンボォ)なドーナツ型から黒人のぶ厚いものへ……。

 

 豊かな金髪は、形状記憶合金のようにヘアスタイルを変えてゆき、黒いソバージュに変化……。

 

 さらに全身には頭が亀頭となったヘビのような白い刺青があらわれ、それがウネウネ動く……。

 

 部屋に立ちこめる生臭い匂い。見れば股間から、愛液と潮とをとめどなく吹いているのだ……。

 

 もはやどこから見ても完全な黒人女となった元・『詩愛』は腰までのソバージュをゆらす……。

 

 そしてギシギシとステンレスの人型ワクを激しくキシませ忘我(ぼうが)のアクメ顔を天井に向けた……。

 

「いま、剣舞(けんぶ)の動作を脳の該当部に強制スリ込みしています──」

「容量が必要なので、代わりに今までの記憶が消去されます──」

 

 そのあまりにも非人間的な宣告に、『美月』は絶句する。

 

「そんな……お姉ぇチャン……じゃぁ、アタシとの思い出も?」

 

 クィッ。

 双子は〝シンクロした動作〟でメタル・フレームの眼鏡を押しあげて、

 

「もちろん。記憶の取捨選択はできませんから──」

「消えてしまうことは、十分に考えられますよ──」

 

 ***

 

 ──あッ!あッ……うんんんんん……ッ!

 

 額から、なにか熱いモノが止めどもなく入ってきた。

 全身には、大人数から激しくムチを打たれるように激痛が奔(はし)る。

 けれどその痛みが甘美(アマ)く感じるよう、脳の神経が変わってゆくような。

 おマタ(股間)が甘くシビれ、勃起(ボッキ)した肉芽(クリ)と乳首を加虐(イヂ)めてほしくてタマらない。

 激しく自慰(オナニー)したいのに……それが出来ない!拘束された全身が……もどかしい!

 

『いま、剣舞の動作を脳の記憶野に強制刷り込みしています──』

『容量が必要なので、代わりに今までの記憶が消去されます──』

 

 全身を駆けめぐるオゾましいほどの絶頂感に翻弄(ほんろう)されながら、そんな言葉がキレギレに、元・『詩愛』の耳にとどいた。

 

 ──そんな!ワタシの記憶を消すなんて!おねがい、ヤメて!

 

 だが、そんな彼女の悲痛な願いもむなしく、I/P(インプット)は進行してゆく。

 端子を差し込まれる頭に、アクメのスパークが奔り、一瞬視界が真っ白に。

 やがて『美月』の演じていた剣舞のさまざまな動作が、脳髄(のうずい)に直接指導される。

 このなかで白濁液(妊み汁)を垂らすチンポの残像が、強迫観念のように何度もリフレイン。

 それは双子の医師が、この『人形』を自分たちのモノにしようする密(ひそ)かな企みだった。

 こうなっては、いかに清楚(せいそ)・可憐(かれん)な淑女であっても、完全なメス堕ちは時間の問題である。

 

 ──うんッ!うんッ!うんッ……おチンポ……おチンポほしい……ッ!

 

『ついでに、いっそのコト、オトコの好みも変えて──』

『キモデブ親父に欲情するようにしておきましょう──』

(そのほうが、『人形』を利用する商売としては……)

(客あしらいの都合が、万事スムーズにいきます……)

 

 ──そんなの、イヤぁぁぁぁぁぁ!! 

 

 心のなかで絶叫する哀れな『奉仕用人形』。

 だが、頭の中は容赦なくドロドロに改変される。

 清純でシミ一つない心根を、黄色い精液で穢(けが)すように。

 

『おまえの好きな男……マイケル氏とか言ったね……覚えてるか?──』

 

 苦痛と快楽がな(・)い(・)交(・)ぜ(・)になった元・『詩愛』の頭に、マイケルの笑顔がうかぶ。

 と……そのイメージがすぅぅぅぅぅぅ……ッ、と消えてゆき、真っ白な空白に。

 その空白なキャンバスに、こんどは下腹の出たガマン汁をたらす全裸の中年男。

 

『これが、オマエの新しい男の好み。ご主人サマたちだ──』

 

 また、ひたいから、熱い精液のようなものが、ドロドロと流れ込んでくる感覚。

 すると、全身の血管という血管にアクメの奔流があふれ、もう拒否ができない。

 次いで、その中年男が自分の鼻先に向け、勃起したクサい太チンを、ズィッ!

 えんりょ容赦なく、まるで奉仕されるのが当然とばかり尊大に差し出すイメージ。

 

 ──あぁ!!……んッ♪ 

 

 心ならずも彼女は、カルく絶頂した。

 

 その無防備な状態で、脳には様々な醜い中年男のイメージがながしこまれる。

 バーコード禿げのヤセ男や、ハート様のようなスキンヘッドの脂肪ダルマ。

 あるいは女を犯すために生まれてきたような、ムサ苦しい巨漢の破戒僧。 

 これらが皆、異様な巨チンをそびえさせ、彼女の回りを取り巻くのだ。

 

 『はぁぁ……ん♪チンポ、ナメたい。ザーメン、ゴクゴクさせてへぇぇ』

 

 そんな状況にすら、この上もない性衝動を覚えるよう、スリこまれてしまう……。

 彼女は知らぬうちにブ厚いくちびるを大きく開き、歯並びを自動的に歯茎(はぐき)へと収納。

 自動的に『フェラチオ・MODE』になると、奉仕用にされた長い口舌(した)を、むなしく空振り。

 

 視野のすみに、元は自分の妹だった “『美月』サマ” が、いまの自分のセリフにドン引きするような表情(かお)をみせる。そのあとは眉をヒソめ、さげすむような口もと。歌姫用とはおもえぬ黒革の衣装を担当係に着せられながら、コチラをまるで汚いものでも見るように。

 

 ゾクゾク……ッ!

 

 被虐性をムリヤリ植えつけられた彼女の心が、甘美なマゾの悦(よろこ)びにフルえる。

 今の『モルギアナ』には、妹の冷たい視線が何よりの“ご褒美(ほうび)”であり“ご馳走(ちそう)”なのだった。

 

 ──そうよ?お姉ちゃん “ドMな淫乱人形(いんらんにんぎょう)” に手術されちゃったの……お願い!もっと嗤(わら)って!罵(ののし)って!おマンコからダラダラ愛液を恥ずかしげもなく漏らす、あたまパーになったこのおバカなダ(・)ッ(・)チ(・)ワ(・)イ(・)フ(・)を──蔑(さげす)んでぇェェ……ッ!

 

***

 

 青いスパークは、止んだ。

 

 そして『奉仕人形』の心の悲鳴が届いたのか。

 あるいは浮かべる色ボケしたトロ顔を見て、頃(ころ)は良し!と判断したものか。

 双子の片方がトレイからシリコン製の凶悪なほど長いアヌス・プラグを取りあげた。

 リモコンをおすと──バフッ!丸くなった片方が、ちょうどキノコの傘のように膨(ふく)れる。

 

「そんなの!お姉ぇチャンにイレたら……コワれちゃうよぉ……」

「でも、このマゾ人形は、そうは思ってないようよ」

 

 冷酷に『小枝子』は、『美月』の姉だ(・)っ(・)た(・)モノを指さした。

 

「あの “尻アクメ” の予感に満ちて、恥ずかしげもなく欲情する眼を……ご覧なさい!」

 

 『美月』がみれば、姉だったモノは横目にトロンと、この淫具をモノ欲しそうに。

 (……おねがい。姦(や)って♪)と言わんばかりにシマりのない顔つき。

 時間もありませんので──と白衣の片方が、奉仕人形にのこるサージ電流を警戒してか、絶縁用のゴム手袋をしたあと、ピンク色をした軟膏(なんこう)のようなものをキノコにぬりたくり、いちど傘を閉じてから花の入れ墨を浮かべる『奉仕用人形』の肛門に、ぬぬぬぬ……ぬぅぅぅぅ……ッ!と挿入してゆく。

 

 『ん!ふぅ……♪おシリ……お尻がァ、キツぅぅい♪……きゃうん!』

 

 のるんっ!

 

 エロ漫画家「山本直樹」氏の擬音を想わせるいきおいで、アヌスプラグのピークを越えた肛門は、恥知らずなほどぶっとい淫具を一気に呑みこんだ。

 

 『あひゃぁッ!!!』

 

 おそらくそのタイミングで、れいの傘が直腸内に開かれたのだろう。

 肛門は、アナルプラグの尾部にある宝石を見せるのみで、完全に直腸へ〝ミッチリ〟と埋没し、固定され、文字とおり “抜き差しならぬ……” ものとなってしまう。

 

「お姉ぇチャン……あんなに嬉(うれ)しそうなカオして……」

 

 『美月』は複雑な感情で、もとは自分の姉であった人間、今は女を改造する非情な拘束ワクに囚われた黒人の『人形』をみつめる。遂にはその鼻に、大きな黄金(きん)の鼻輪まで付けられて……。

 

 ──ふふっ♪

 

 『小枝子』のひそかな笑み。

 なぜならそれは、この淫乱人形にされ、ブザマにも鼻輪まで付けられた姉を見やった妹の股間(オマタ)が、ジュン……と恥ずかしいシミを浮かべるのを目ざとく見つけたからだった。

 

 ──母親はちがうと聞かされたけど、やはりこの姉妹(メスたち)……マゾの血は争えないわねェ♪

 

 つぎは極度の “盛りマン” となった彼女の濡れそぼるおマンコに、長いクチバシを思わせるクスコが、ズイズイと無遠慮に挿入される。ホール用・監視モニターのひとつが膣内カメラの映像に切り替わり、規則的にイボとヒダが巧妙に配置された、いかにも男を悦(よろこ)ばすための人工的な〝しかけ〟ついた、ピンク色の淫らな肉壁を映しだす。

 ヌラヌラと内視鏡の灯りに照り輝く、その肉壁を視点は奥まですすみ、まるでチューの口もとをするような子宮口までたどり着いた。

 

「よし、『モルギアナ』。子宮口・OPEN!」

 

 ッ、タァン!

 またもや、エンターキーが勢いよく叩かれた。

 するとモニターの中で、この臓器はあ(・)く(・)び(・)でもするかのように。

 くぱぁぁ……。子宮口を、まるで意志のある如(ごと)く自ら大きく拡げてみせた。

 

「ウソぉッ!?」

 

 『美月』はモニターが映し出すテラテラとした肉の内壁に目をみはる。

 その口もとは、朝の新宿歌舞伎町にぶちまけられたゲロでも見たように。

 

「この子の人造性器は、子宮口でも殿方の亀頭を自在に “おしゃぶり” するコトができるの……まさに名器中の名器ね……どう『美月』チャン?アナタも、こんなおマンコに改造されてみたくなァい?」

「ヤよ!──キっモチ悪い!」

 

 トゲトゲしい口ぶりで妹は、姉だったモノの身体を否定した。

 

「あんなの……ダッチワイフ用の、ヘンタイ仕掛けじゃないの!」

 

 それを聞いた元・『詩愛』の口元は、笑みを保ちつつも心なしか哀(かな)しげにゆがんだ。

 人形の悲哀をよそに施術はさらにつづき、大きく口をあけた子宮口めがけて手術用のステンレス鉗子が差し入れられ、ウズラの卵サイズなメタリックの球がムニュリ!挿入される。すると子宮口がゴクン!玉を呑み込むように。卵の位置をエコー検査器で確認されたあと、ふたたびカメラの視点は後退してゆき……ヌプッ、膣口は閉じられた。クスコがイヤらしく、無毛のおマンコと愛液の糸をキラキラとひいて。

 

「なに?アレ……お姉ぇチャンに、なに入れたのよ……」

 

 不安げな『美月』の声に、白衣の双子はメガネを光らせ何かを答えようとした、その時。

 

 管制室入り口で電子錠の鳴る音がするや──ガコン!

 重い金属ドアが、手荒くケリ開かれる音。

 つづいて若い女の大声で、 

 

「アタい……ワタシの『モルギアナ』は!──ココにお邪魔してませんコト?」

 

 豪奢な白貂(しろてん)の毛皮コートに身を包んだ『サロメ』だ。

 ピン・ヒールをカツカツと鳴らし、足どりも荒く入ってくる。

 

「今夜のアリア役なのに、控え室に姿がないのよ!──『小枝子』!?」

 

 チーフ・レディは反射的に “黒人ドール” の方をチラ見したあとで、

 

「さ、さぁ……なにか体調、悪そうでしたから。それに歌姫役も『美月』に変更ですよ?」

「あ、『美月』!こんなトコで油売って。お姉サン見なかった?」

 

 ギロリ!『美月』に降りそそぐ、『小枝子』の冷たい視線。

 ワかっているでしょうね!?という、強烈な無言の圧力。

 

「さ、さぁ?アタシ、お姉ぇ──『モルギアナ』とは、そんなに仲よくないから……」

 

 ふぅん、と『サロメ』が管制室を見回したとき。

 拘束ワクにハメられた、エロボディそのものな黒人に眼を留めた。

 

「……ナニよ、この『人形』。見なれないわね…… 新素材”なの?やぁだ❤大きな鼻輪♪」

「え?えぇ、『美月』の代役。今夜のソード・ダンス(剣舞)は、この “肉弾人形” に演(や)らせるわ?」

 

 『サロメ』は、口もとにあからさまな嘲(あざけ)りを灯(とも)し、白衣の双子たちを手荒く押しのけ、ツカツカと凶悪な印象の拘束ワクに歩みよる。

 

「エっロいカラダねぇ……ボリュームありすぎ。おマンコにも、こんなイッパイ南京錠……」

 

 ヒグッ!と声を漏らしそうになる『モルギアナ』。

 あわてて双子がリモートで彼女の声帯をコロし、ただの通気状態に。

 グニグニといじると、たちまち黒人ドールの無毛(パイパン)な股間にあふれだす、透明な蜜。

 

「ふぅん……ちょっとあの子(モルギアナ)の匂いがするわ。コレ、さぞかしイイ素体だったのね」

「ダメ! “おマンコ爆弾” 挿入(いれ)たばっかりだから、サワらないで!」

 

 『小枝子』が制止すると、『サロメ』は熱いモノにでも触れたように手を引っ込めた。

 

「あッッッッッッッッッぶないわネェ!?それ、ハヤく言いなさいよ!」

「貴女(アナタ)が勝手に触るからじゃないの!」

 

 なに?……なんなの?

 不安げに2人の年上女を交互に見やる『美月』。

 すると双子の白衣は、先ほど中断された説明を継いで、

 

「これから奉仕用の人形に刃物を持たせるワケですから、用心のため──」

「命令(オーダー)に従わない場合は、子宮を起爆させ下腹部の動脈を爆破します──」

 

 ひどい!と、さすがにあまりの無情を聞いてヨロけかかる『美月』。

 拘束ワクに囚われている『モルギアナ』も無表情なまま、目を大きく見開いて。

 そんな姉妹たちにはお構いなく、双子たちによって悪魔の施術は続けられてゆき、両方の小陰唇に開けられたアナの連なりを利用し、左右を小さな南京錠を使い閉じてしまう。おまけにクリトリスも金属フードでおおわれ、リングとピアスで固定された。これで不埒(ふらち)な観客の突ッコミ(強姦)から隔離されると同時に “エロいやらしい” 扇情的な飾りもついたわけである。

 

 まったくもう!──と『サロメ』は腕組みし、

 

「アタイのカワイイ玩具(オモチャ)は、ドコいっちゃったのかしら……」

「『モルギアナ』なら、もう医療班と一緒に新店に出発したのでは?」

「ナニよ!みんなツメたいわねぇ。いつのまにか『魔ほと』も居なくなってるし」

「あの子は、どうせ『麗華』と一緒でしょ。もと婦人警官をイタぶるのがご執心だし」

「その『麗華』すら!ドコにも居ないのよ。あの嫌味なサングラスの『サード』も見かけないし……」

 

 『美月』と小枝子の目があった。

 そのアイコンタクトを察したか、仲間ハズレと感じたらしい『サロメ』は、

 イイわよ、もう!と毛皮のコートをひるがえし、彼女は足どりも荒く部屋を出て行く。

 と──扉でなにを思ったか、読者のモニターに向かって振り向き、チュッ❤と投げキッス。

 

「ハァィ、精鋭読者の皆さま!マタどこかで…………お会いしましょうねぇ?」

「ダレに手を振ってるの、ダレに!」

 

 『小枝子』の突っ込みを背中で弾(はじ)きかえして。

 このヤバい舞姫は、扉の向こうに姿を消すのであった。

 

「なんなのかしら、まったく……」

 

 すると、ふたたび扉が開く気配。チーフ・レディーはイライラと、

 

「なに!?まだ〝退場の挨拶〟が、したりないの!?」

「あのぅ……」

 

 辺りをキヨロキョロしつつ、オズオズ入ってくる一人の若い黒服。

 それを見た『美月』の面差しが、心なしかやわらいだ。

 だが次の瞬間。たちまちイタズラっぽい顔になり、

  

「ナぁンだ!──『童貞クン』じゃないの!」

 

 オペレータ女子の間から、クスクスと忍び笑いが湧く。

 むっ……!と、それを受けて『フクロウ』のふくれ面(ツラ)。

 

「ナニよ!いまさらアタシの前に顔を出して。まだこのアタシに、未練があるってェわけ?」

「なにをバカな。ワタシが呼んだのよ。あなたがアリアを歌っている間、無防備になるから、勝手知ったる人を護衛にね?ガタイのいい、ムサい男じゃ、いかにも興ざめだから見栄えのイイ子を呼んだってワケ。いま引っ越しの最中だから “女黒服” も出払ってるし」

「ハ!こんなフニャちんに、護衛なんかできないわよゥ」

「形だけでイイのよ。なにもこの子に本格的なCQB(近接戦闘)なんて期待してないわ?」

 

 それをやるのは──と『小枝子』は例のツリ目な格闘系女子を見やる。再度注目を浴びる例の女性スタッフも、握りこぶしで腕をまげ、自身をアピール。

 やがて“新生”モルギアナは拘束ワクから解放され、例のイジワルそうな中年の衣装係によって、インド風ともアラビア風ともつかぬ、女の秘部をかくせない扇情的なスケスケ衣装(コス)を、全身をめぐって残酷に穿たれたピアスごと利用し、たくみに着付けられた。

 

 一同全員が、一歩引いてその出来映えを観賞。

 

 ひかえめに言って──なかなかに──悪くない印象だった。

 漆黒の膚(はだえ)に真珠母(しんじゅも)な風合いの羽衣(はごろも)がフンワリまとい付くように。

 光の加減によっては、それが本当に貝の裏のごとく七色に照り映えるのが、また美々しい。

 そんな美しさもブザマな鼻輪が一転、アクセントになり、舞姫を観る者に一種の嗜虐心を。

 

「まぁ──どうにか見られるようになったワネ」

 

 いいわ、と『小枝子』は腕に巻いたヴァセロンを一瞥。

 そして美しい柳眉をツリあげ“黒人ドール”に向かい、

 

「タイヘン!もう時間を大分押してる!さ、まずはグリーグの曲で肩慣らしに演舞して、『美月』のアリアの前に会(・)場(・)を(・)暖(・)め(・)て(・)おきなさい?脳と筋肉に、直接教え込んだから、初回でも十分……いえ『美月』のそれ以上に!巧(たく)みに踊れるハズよ?」

 

 数拍分の空白。ややあって、

 

「……ワガ……りまジた。尊敬ズベキ……『小枝子』サマ」

 

 ガクガクと痙攣し、バグのような応答をみせる『モルギアナ』。

 管制室にいる一団の雰囲気が一転、(……えっ?)と不安なものにかわる。

 眉をひそめた『小枝子』は、白衣の双子をふりむいてジロリ、いかにも胡散臭げに、

 

「ちょっと貴男(アナタ)たち!……ちゃんとこの『人形』に剣舞、I/P(インプット)したンでしょうね?」

 

 双子の動揺をかくすワザは下手だった。

 ギクリ、おもわずお互いの顔を見合わせる。

 剣舞だけではなく、性衝動の矯正と、新規の注入。

 おまけに、メス人形の “嗜好(このみ)” まで変えたのがバレたら……。

 

「なッ、ナニを馬鹿な。ちゃんと剣舞のモーションは、挿入し(インプット)ました。ただし──」

「今回は、時間制約のために施術が手荒になったことを、考慮して頂かないと──」

 

 『ソユン』?とチーフ・レディはツリ目の女を手招き、ヒソヒソ声で、

 

(念のため、会場に一緒について行っておやり。ナニかあったら……いいわね?)

 

 この性処理人形を〝廃棄処分〟する因果を含ませ、ふたりを送り出す……。

 

****

 

 双子の医者は、下心で施術を急ぐあまり、致命的なミスを犯したのだった。

 

 チャラチャラと股間から下がる鳴り物を涼(すず)やかに響かせつつ、会場につづくうす暗い廊下を護衛役の女について歩みをすすめながら、千々(ちぢ)に惑乱する方寸(こころ)のうちで、分裂症ぎみに想いをめぐらせる『モルギアナ』。人格の剥離を起こしつつあるこの哀れな『肉人形』のなかでは、次からつぎへと記憶の断片が、心象が、抑圧された感情が、まるで回り灯籠(とうろう)のように、改造された彼女の思考野を廻(めぐ)っていたのである。

 

 キモ殿方(オトコ)のおチンポを、本能的にシャブりたくてタマらない自分。

 そして一段の高みから、そんな自分を限りなく嫌悪する自分。

 さらに別の確度から、完全に心が穢(けが)されたことを嘆(なげ)く自分。

 遂(つい)には、他人の都合で体軀(カラダ)を改造されたコトを怒る自分。

 

 それらが四つ巴(ども)えとなり、錯綜(さくそう)、凝集(ぎょうしゅう)、崩壊(ほうかい)、拡散(かくさん)、そしてまた沈殿(ちんでん)し止めども無い。

 後悔(こうかい)と、諦観(あきらめ)と、困惑(こんわく)と、呪詛(じゅそ)と。それらが旋廻(めぐ)り、旋廻(めぐ)りて、自らを激しく断罪する。

 やがてホールの扉がひらき、スポットライトの輪に自分の淫らな肢体(カラダ)が浮かび上がった。

 

 ──あぁ……ッ!

 

 光の帯の向こう。うっすら覗く、奇怪なコスプレをした招待客たち。

 好奇の視線。そして貪婪(どんらん)とした瞳。さらには醜猥(しゅうわい)たる気配を隠すことなく。

 そして、それらに取り包まれた彼女の歪んだ体は、洗脳された頭は手酷い裏切りを!

 煌(キラ)びやかな淫具に飾られる陰核(クリトリス)を、また高価な装具で残酷に穿孔された乳首(ちくび)を勃起(ボッキ)させて。

 愛液を漏(も)らし、体中の血管に被虐(ひぎゃく)のアクメを奔(はし)らせ、心とは裏腹に、欲情の面差しを浮かべる。

 

 「哎呀(アイヤー)! 动地(ヂィン ティェン)惊天( ドォン ディー)!!」(ウヒャー!こりゃタマげたぜ!)

 「好(ハオ)! 色情(スゥァチン)明星( ミンシィン)!!」(イイぞ!AV女優!) 

 

 多言語に対応するよう脳を整備された彼女は、そのヤジの意味を正確にくみ取った。

 

 周囲(まわ)りをとりかこむ、野卑でコトあれかしな人々。

 仮装をつらぬいて淫欲がロコツにうかがえる、老若男女の来客たち。

 自分が、これら “下賤(げせん)” な人々から露骨な性的対象にされたと実感した彼女。

 腹立ち紛(まぎ)れに一度、激しく足を踏みならし、アンクレットに付けられた鈴をならす。

 

 そのときだった──。

 

 ふいに。鼻輪が光る彼女の鼻孔に、薪(たきぎ)の燃えるような臭いが漂った。

 次いで鳴り物の音色は、まるで神社の神楽鈴のように彼女の心を刺し貫いて。

 そして、あれほど惑乱(わくらん)していたアタマは、杉の香る涼風が一瞬、吹き抜けるように。

 千々(ちぢ)に乱れた考えは、発情する肢体(カラダ)とは完全に切り離されて、ある感情一本に収束する。

 

 曰(いわ)く──殺意……。

 

 欲情(よくじょう)され、視姦(しかん)されつつ彼女は想う。

 穹窿(きゅうりゅう)天井を頂くこのホールで、自身に向けて劣情する有象無象、百鬼夜行の者どもたち。

 それは己を斯かる立場に堕とした運(・)命(・)の(・)記(・)号(・)化(・)であり、形而下(けいじか)にある具象そのものだった。

 この珍妙な仮装(コスプレ)をする客どもさえ居(お)らねば!そしてあの強姦者(おサル)や裏切りモノ(マイケル)が居なければ!

 自身は苦界に身を堕(お)とさずに、平凡で、平安で、それゆえ幸福な生活を続けることができた!

 

 ──畜生!──畜生!──畜生ぉ……ッ!

 

 自分の意思とは関係なく身体がムチのよう動き、欲情を煽(あお)るような艶(なま)めかしい仕草。

 会場から自分に集中して注がれる粘液質な視線が、ますます熱を帯びたものに。

 そして猥(みだ)らなダッチワイフ改造された自分の身体も、それに呼応して。

 これが何より哀しく、胸中で痺れるや(・)る(・)せ(・)な(・)さ(・)を倍加させる。

 上唇にまで触れる大きな鼻輪も、口惜(くちお)しく、情けない。

 

「はぃっ!え~、てなワケで──」

 

 アトからホールに入ってきた黒服が、軽薄なマイク・パフォーマンス。

 しかし、彼女のアタマには、もうなにも浮かばない。

 あるのは、ただ復讐……これあるのみ。

 

 * * *

 

 両腕が、急に重ダルくなる。

 みれば、まるでボディ・ビルダーのように前腕は太くなっていた。

 次いで静々と、ふた振りの凶悪な剣が黒衣どもに捧げられ、ホールをめぐり手もとに。

 

 ──驚いた!……こんなコトって……。

 

 改造された自分の身体は、その重そうな刃物を軽々と扱った。

 周囲からどよめきと、拍手。また軽薄なMCがなにか口授を言っている。

 でも、もはやそんなコトはどうでも良かった。いまや──運命(さだめ)の刻(とき)は、来たのだ。

 

 https://www.youtube.com/watch?v=NZ6k2Nwge3M

 

 ファゴットの密やかな調子に合わせ。

 ステップを踏み、剣を振り回し、鮮やかに舞う彼女の体軀(たいく)。

 時に秘めやかに、時に華麗に、大胆に。腕を大きくふるい、肢体(カラダ)をウネらせ。

 

 ヒュン!(どう?これはワタシの瞋恚(いかり)──)

 ヒョウ!(そしてこれはワタシの悲恨(かなしみ)──)

 

 スカした下衆な者たちの仮装した顔面を、頸すじを。

 ギリギリに──キワどく!憎悪を秘めて。

 このゾクゾクとした高揚感!

 

 ──そう、立場は逆転!いまや生殺与奪(いきしに)の権限は、剣と共に吾(あ)が手にあるの!

 

 曲は、激しさを増してゆく。

 シンバルが打ち鳴らされ、ファゴットが吠える。

 殺意に収束した元・『詩愛』の意識は、まさに彼女を『虐殺人形』に変えた。

 

 ──どう、生きたい……?会員になって放埒(ほうらつ)の限りを尽くしたい……?

 

 でも──ダメ!

 

 イキナリわたしは剛力(チカラ)をふるう。

 初撃は、ウマのクビをかぶったコスプレの男だった。

 まるで熱した剣でバターを斬るように手応えも無く宙を飛ぶ。

 つづいては、アタマにヘビの群れを載せる、レスボスなメデューサ!

 返す剣筋で、クレオパトラを気取る女の困惑に差し出された腕を斬りとばす。

 

 スピーカーからの大音響!

 あとはもう、なにも分からない。

 当たるを幸い、斬撃(ざんげき)を繰り返すのみ。

 ホールを舞い、跳ね、凶悪な剣を振り回す。

 四つん這いで華麗な広間を逃げるドラキュラや怪物たち。

 

「饒了我命吧( ニョウラウオミンパ)!(命だけは!)」

 

 そんな言葉も切れ切れに。

 曲の最後のメゾフォルテでジャンプ。

 そしてフワリ、面を伏せて、舞い落ちる花びらのごとく。

 

 静寂……どこかで嘔吐する気配。

 あたりは鉄さびのような、濃厚な血潮(ちしお)の生臭さ。

 あるいは、斬(き)り損(そこ)ねた下衆の、か細い哀訴、呻(うめ)き。

 ホール中央で仁王立ちになると、血なまぐさい空気を透かし周辺(まわり)を観察する。

 そして管制室で見た目的のテーブルを、あの復讐すべき者どもを、見出すことが出来た。

 

 ──さぁ……いくわよ……。

 

 肉感的な黒い身体は、ギリギリと引き絞(しぼ)られる弓のように。

 足輪(アンクレット)の鈴がシャラシャラと、あたかも報復を焚(た)きつけるが如(ごと)く。

 やがて三人が占めるブースにたどり着くと、血にまみれた剣をマイケルに突き出した。

 

「ソナタモ……コノ刃(ヤイバ)ノ錆(サビ)トナリ、死ンデ頂キマス……」

 

 

 




あと20話ぐらいかと思うんですが……今年中に終わりますかねぇ。
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