※この作品はR-18です。

試製・転生請負トラッカー日月抄~撥ね殺すのがお仕事DEATH~【18禁版】   作:珍歩意地郎_四五四五

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     〃    (その6:死の舞踏/B面-2

 

 自分の声がおかしい。

 かすれたような、低い声。

 だが、憎きマ(・)イ(・)ケ(・)ル(・)には伝わったらしい。

 

「安心ナサイ。タダ、ヒト撃チ……」

「ちょっ!待って!待ってくれよ!」

 

 相手の狼狽(うろたえ)ぶりが、胸に心地良い。

 あと数拍で、この首をトバすことができると思うと、それは倍加する。

 この人物のうしろにいる、サル顔の強姦魔、そしてドレッド・ヘアな悪の首魁。

 みんなまとめて地獄に送ることが出来る巡り合わせを、わたしは幾度も神に感謝する。

 

「このオレがいったい、ナニしたってんだよ!?」

 

 ──いまさら!

 

 こんな卑怯(ひきょう)なオトコを、彼氏にしていたなんて!

 簡単に殺してやるのは、惜しい……もっと残忍な殺しかたは無いのか。

 

「アンタに、うらまれるようなコトは……ナニも」

 

 それを聞いたわたしは、食い縛(しば)った歯の隙間から、あらん限りの怒気をこめて宣告した。

 

「ゴ自分ノ胸ニ──聞クノデスネ」

 

 それを聞いたドレッド・ヘアの男は手を打ち鳴らし、お気楽にわたしを焚きつける。まるで自分たちは、関係ないとでも言うように。

 

 ──愚かもの奴(め)……。

 

 オマエも、となりにいる醜いサル顔の小男と同じく、復讐の対象なのよ!

 この裏切り者の処分が済んだら、つぎはオマエたちを剣の錆にしてくれよう。

 わたしは右手に握る血まみれな剣を、マイケルの頭上に向け、高々とふりあげる。

 

 と──いきなり、プッチー二の歌曲。

 血塗(まみ)れなスピーカーからながれる、『トスカ』のアリア。

 ギリギリまで張りつめた殺意が、不覚にも一瞬、糸が切れ、ゆるんで。

 ついつい、その懐かしい印象がある声の歌い手を探ろうと、聴き入ってしまう。

 

「アッ、アッ、アッ……」

 

 ──いやぁッ──また、なの?……ッ!

 

 

 ひたいのフタが乱暴にあけられて。

 そこにドクドクと、熱い精液を流し込まれるような感覚。

 あれほど自分を満たしていた殺意を圧して、全身を激しく駆けめぐるアクメ。

 

 激しく犯されたい。おチンポをおシャブリしたい……。

 おシリの穴を犯されたい。キビしくクリトリスを責められたい……。

 お客サマの精液お便所になって、思う存分 白いお情け” をかけられて逝きたい……

。

 

 ジィン……額から背骨の中をとおり、乳房(オッパイ)。乳首(チクビ)。そしておマタ──女性器。

 悪意をもった洗脳用S/W(ソフトウェア)が、明確な目的をもってそれぞれの場所にたどり着く。

 黒人ドールの元・『詩愛』は、改変された身体が自動的に土下座となるのを傍観者的に感じる。

 

 ──悔しい……またこんな下衆(げす)ドモの言いなりにされて……ッ!

 

『お客サマぁ?ドぉ~も、タイヘン失礼いたしやした──』

『デコに付けた臨時あつらえの洗脳用・宝石が、どうやらコイツの脳に──』

『改めまして、これよりプッチーニの歌劇【トスカ】を背景にした剣舞をお楽しみ──』

 

 恭順をしめす土下座のまま、後頭部で空虚なMCの説明が繰り広げられる。

 『コリンズ』とか言ったか……あの女性に見さかいなく色目をつかう、軽薄なオトコ。

 その一方で、己(おのれ)の秘部から愛液がにじむのとは反対に、思考(アタマ)は今までになく冴えわたっていた。

 

 犯されたい自分と、性処理用のオモチャとして慰みモノにされたい自分。

 だがそれらを圧し、今は目前の3人に復讐を遂げたい自分が在ることを、ワタシは悟った。

 

 ──Cogito, ergo sum.(我思ウ。故ニ我アリ)

 

 いかに心が弄(いじ)られたとて、意思があれば、それは自由であるようなもの。

 今宵(こよい)、憎むべき彼等に仇(あだ)討ちをとげられれば──そのあとはどうなってもかまわない!

 ややあって、彼女はアタマを邪険に蹴られると、わきに並べた殺戮(さつりく)の痕(あと)も生々しい剣を手に、文字通り『オートマタ(自動人形)』のごとく立ち上がる。

 

「オッと!ソイツは置いてきな」

 

 悔しい……。

 武器をとられてしまった。

 朱に染まった二振りの剣を、静かに措(お)く。

 それでも自分は、ニコやかに笑みを崩さぬまま。

 なぜなら──踊りの最中に代わりを見つけているのだもの。

 それでも表情すら緊縛された今の己(おのれ)の境遇が、呪わしく、情けない。

 血しぶき跡を避けつつホールの中央にもどると、『美月』──美ィちゃんが。

 黒いボンデージ・バニー衣装(コス)のカラダを黒マントに包み、ステージに立つ姿も、板について。

 

 ──お願いね?美(み)ィちゃん……。

 

 心のなかで念じると、あの娘もかるく頷(うなず)いてくれる。

 なんてコト!そのとなりには、シンちゃんまでも居るじゃないの!

 ほどなくして──スピーカーから流れ出す、聞き慣れた歌劇のイントロ。

 ワタシの身体は、まるで操り人形のように動き出す。自分でも驚くほど軽やかに。

 艶やかに──蠱惑的に。会場に残った下衆どもに、あたかも媚びを売るが如く微笑して。

 

「ご安心下せぇ。アレは、もはや完・全・に・再洗脳ずみ……らしいでサァ」

 

 あの腹立たしい軽薄なMCが、ワタシの踊りに余計な茶々をいれるのが聞こえた。

 

「チットやソット、踊ってる最中イタズラしても、この『人形』ぁ文句を言いませんゼ?」

 

 ──なっ……!?

 

 ゆるやかに舞いながら、強いられた笑みのB面(うらがわ)でワタシは声もなく憤慨する。

 

 ──この期に及んでまだワタシを玩弄物(オモチャ)に……慰(なぐさ)みモノに、しようというの!?

 

 ……けれど。

 

 微笑に装われた裏側にうずまくこちらの嚇怒(いかり)には、おかまいなく。

 好色な殿方の。あるいは“ビアン(レズ)” な奥サマ方の好色な手は──ゆびは。

 ブースをめぐって踊りを披露するワタシの飾り立てた乳房を、チクビを、股間を。

 なによりカバーされたクリトリスを、ネチネチ、サワサワ。欲望のまま探って止まない。

 

 ──あぁ……っ!

 

 改造された呪わしい体を、熱い溶岩のように駆けめぐる快感。

 だが不思議なコトに、首から上はそれらの快楽を遮断し、冷静をたもつ。

 自分は命令のまま、身体からの刺激(アクメ)に負けることなく踊りを続けざるをえない。

 

※彼女は知らなかったが、これもあの双子の洗脳I/P(インプット)ミスによる快感遮断バグだった。

 やがて……カラダをさんざん蹂躙されながらも、ニコやかな笑みを絶やせない、哀れな彼女の冷たく冴えた改造済み脳髄は、ミラー状態となったブースを仕切るアクリル板に、怖ろしいものを見ることになる。

 

 ──えぇ……っ!?アタシの……アタシのカラダが!

 

 肌からだんだんと黒い色が褪せてゆき、もとの自分の肌色になってゆく。

 いかにも腰までの固いソバージュも波打つ金髪となり、背中を心地よくくすぐって。

 凹凸が極端に強調された体型(スタイル)はマイルドに変わり、懐かしい自分の本来のカラダへと変わる。

 

 ──あ……ッ。

 

 そして、もうひとつ無惨な発見が。

 黒人にされた膚(はだえ)に踊っていた白い男性器の刺青は、つぎに青く色を変えて、ワタシの身の上を相変わらずヘビのごとくクネっている。

 

 失望、落胆。

 

 こんな醜くなった肢体(カラダ)を、仇(かたき)たちに見せるなんて。

 ゆるやかに踊りながら、うなだれていた面をユルユルとあげたとき。

 先のブースに動揺が奔るのが見えた。3人が3人とも、愕然(がくぜん)とした顔色を隠さない。

 

「あッ、アニキぃ!“あのスケ” ですぜぇぇ?」

 

 ワタシを犯したサル顔が、いかにも教養の感じられない素っ頓狂な声をあげる。

 

「ホラ!ホラ!オレらが神社でさんざマワ(輪姦)した──」 

「家畜みてぇにブザマな “鼻輪” してッけど、間違いねぇッス!」

 

 いわれてワタシは、もう一度。

 鏡と化したアクリル板を横目で盗み見た。

 そのとたん、哀しさと情けなさが、さらに胸いっぱいに拡がる。

 けれどその感情も、のど元でストップ。人形にされた目には涙すら浮かばない。

 あの下賤(げせん)な生(・)き(・)物(・)の冷やかすとおり、ぶざまに大きな鼻輪をブラ下げる踊り子の女(ワタシ)。

 ピアスが幾重にも飾る大きなバストや首輪もあいまって、本当に雌牛のイメージを補強して。 

 

 ──いえ!……いえ!

 

 ふいに!考えは正反対に逆転する。

 思えば……かえってコレで良かったのかも知れない。

 だって、そうでしょう?ぶざまとはいえ、元の姿にもどることで。

 あの仇(かたき)どもが、これから誰に殺されるのか、思い知らせてやることが出来るのだ。

 

 ──ふふふ……ふっ♪

 

 踊りながら思わず笑みが、満面にコボれてしまう。

 装飾されたオッパイをもちあげ、上目づかいにチクビをナメまわし。

 かざりモノや鳴りモノを伝って、愛液がタレ落ちるおマタをカクカクと下品に。

 恥丘に刺青された、特級・性奴隷の証である “モルフォ蝶” を羽ばたかせるように。

 

 ──ほらほら、欲情なさい?情けなくガマン汁を滴下(たらし)なさい♪

 

 旋転し、跳躍し、静止した。

 激しく、緩やかに、扇情的に。

 剥離(はくり)した感情のまま、嗜虐的に己を誇示(ひけらかす)。

 

──そう、そうよ!もっと観て!視線で犯して……ブタのように孕ませて!

 

 見さげ果てた人形に成り下がったワタシを嘉(よみ)するように。

 体中の鳴りモノが、装身具が。まるで心を引き裂くように、涼やかに鳴り響く。

 ニコやかにY字開脚。すると、遠慮を知らない銭ゲバな男女がワタシの身体に群がって。

 

 ──あぁ……また!

 

 ニコやかにY字開脚するワタシの、はしたなくもヌレヌレなおマタに。遠慮をしらないヒヒ爺ぃやレスボスな女たちは、ハジも外聞もなく嗜慾にみちた手をだしてくる。おチチは変形するほど揉まれ、チクビに取り付けられた可憐な鈴を、激しく、涼やかに、とめどもなく鳴らす。

 

 ──よかった……おマンコ、ガードする “お道具” があって!

 

 肉を穿って留め合わせ小陰唇(ラビア)を封じる小さな南京錠の連なり。

 あるいは、おシリの穴にズップリ挿入(いれ)られて、違和感がひどいアナルプラグ。

 性奉仕人形に改造されてから、はじめてこれらの呪わしい玩具をありがたく思ってしまう。

 

「アニキぃ!おれっチも、行っていいスかね!」

 

 踊りながら、いつの間にか遠ざかってしまった目標とするブースで、サル顔をした、あのニクい強姦魔がシャンパンボトルを下品にラッパ呑みしながら、調子のハズれた大声で叫んでいる。

 

「おれっチも、アイツのマンコいぢりてぇ!マンコの臭(にお)い嗅ぎてェ!」

 

 そして、親分らしきドレッド・ヘアの男に怒られながらも、ワタシを凝視する気配。

 

 

「♪私は歌に生き──愛に生きてきました(Vissi d'arte, vissi d'amore,)」

 

 『美月』サ(・)マ(・)の歌う【Vissi d'arte, vissi d'amore(歌に生き、愛に生き)】が始まった。

 そばには黒服姿のシンちゃんが、まるで『譜面めくり』の係よろしく従がって。

 

 ──イヤねぇ……いまの、1/3度ハズしましたよ?

 

 改造され、耳まで鋭敏(えいびん)になったのか。

 いかなる音程のズレも神経質に拾ってしまう。

 そしてワタシは、こ(・)と(・)あ(・)れ(・)か(・)し(・)と群がる手をゆるやかに逃れ。

 あたかも宙に舞う天女をイメージさせるように、カラダは動きはじめた。

 そして、なにやら強面(こわもて)があつまる、とあるブースのそばで舞いを演じていたとき……。

 

 ──いまよッ!

 

 ワタシはアラビア風のコスプレをした殿方の両腰から短刀を2本、引き抜いた。

 ここは武器の持ち込みが御法度なのに……なんて幸運なことでしょう!

 刃と刃を打ち鳴らし、それがニセモノでないことを確認。

 

「あッ──ナニしやがる!」

 

 ザンネンでした♪もう、おそい……。

 ワタシは踊りの振りつけに似せ、素早く舞いながらステップ・バック。

 この奇妙に刀身がねじ曲がった短刀を、両手にかかげ、これ見よがしに見せつける。

 さきほどまで、触手のようにあれほどしつこくカラダにまとわりついて手が、一気に退く。

 

 ──これで……もう!

 

 この好色なブタさんたちの好きにはさせない。

 そして……こんどこそ!哀れな『人形』にされたワタシのターン。

 

 それは、素敵な幻想だった。

 今までアタマに刷り込まれた性技による愉悦と快楽。

 あい変わらず胸の中にわきおこる、奉仕への渇望を圧して。

 脳裏には──匂いや感触をともない、ある情景が鮮烈に浮かび上がる。

 ワタシに剔り斬り伏せられ、朱にそまって累々と山積みになる下衆どもの屍。

 その頂きでは、豪奢な衣装をまとう自分が、それらを睥睨(へいげい)しながら完爾(ニッコリ)、ほほ笑む姿。

 どこか19世紀の象徴主義を標榜する画家・モローが描いた【 神秘の花 】の情景にも似ている。 

 

 また、ここでジャンプ!

 踊るたびに、シャンデリアの灯を受け煌めく刀身。

 それが、洗脳され歪められたアタマに浮かぶ幻想を、現実のようにあおりたる。

 

 ──あぁ……っ!だれかワタシを……だれかワタシを殺してぇぇっ!

 

 惑乱のウチに……破廉恥(ハレンチ)なアクメのうちに……復讐(ふくしゅう)を遂(と)げた浄福(じょうふく)のはてに……!

 今度こそ。面(おもて)には強いられた表情ではなく、本物の自分の笑み、自分の感情がうかぶ。

 媚態。秋波。艶然。蠱惑。それらは、これから弑(しい)するであろう上級国民たちに向かって。

 そしてその業を果たしたあと、無残に殺されるであろう人形にされたワタシの運命に向かって。

 

 脚を大きく振り上げるたび。

 熱をもって潤んだおマタが冷やされるのがウレシイ。

 これから殺す下衆どもの穢れた視線で、それが視姦されるのが楽しい。

 いきおい、踊りに情熱が入り、装具に絢爛と飾られる改造されたこの身も悦ぶかのよう。

 

 

 退廃(たいはい)と悖徳(はいとく)。快楽(けらく)の都邑(まち)に名をはせる、堕落した伝説の舞姫。それがワタシ。

 淫躯(カラダ)の周囲に真珠色の薄絹を舞わせ、鏘然(しょうぜん)と鳴り物を響かせて。それがワタシ。

 蠱惑的な笑みを浮かべ、蕩(トロ)けるように眩惑な身のこなしを魅せる。それがワタシ。

 

「♪人に害を成したことは一度たりとてなく(Non feci mai male ad anima viva)!」

「あぁ、クソっ!あの乳首ピアス付きのエロいオッパイ、モミてぇなぁ!!」

 

 そんな中、“おサル”のジョージが叫ぶキンキン声が、いかにも雰囲気をぶち壊しに。

 周りのブースからも、さすがに(叱ッ!──叱ッ!──)と顰蹙がはいる。

 

「♪困難な方々に出会えば、

      ソッと手を差し伸べてきました!」

 

 ここでいちど。

 渾身のジャンプ!

 すると──ふしぎ!

 まるで魂が離れたように。

 ワタシの穢れた奉仕用ボディは緩やかに。

 まるで重さがないように、羽毛のごとくゆるやかに着地する。

 

「♪いつも真摯な信仰をもって……

    聖なる幕屋に祈りを捧げました……」

 

 ターンして波打った羽衣をおちつかせ、ブースの外道サンたちに投げキッス。

 そして花びらが舞うイメージで宙をおよぎ、ひれ伏す。

 

「♪いつも誠実な信心を以て(Sempre con fe' sincera)、祭壇に花を捧げました (diedi fiori agl'altar)」

「いょう、姐(ね)ぇチャン!また “おマンコ” 見してくれやァ!」

 

 こんどは会場からのクスクス嗤い。

 大道芸人のサルが、珍妙な芸でも見せるかのような反応。

 シャンパンの酔いが回ったのか、怒り顔のドレッドにドツかれたにも関わらず、“おサル” の雰囲気ブチ壊しなヤジは止まらなかった。ついには親分の制止も振り切ってソファーに靴のまま立ち上がり、腕を大きく上げて振りまわし、

 

「オメーのおマンコの具合、熱くてドロドロしてて、サイコーだったぜぇ!」

「♪それなのに、この苦しみの時に──どうして(Nell'ora del dolore perché,)」

 

 うつむいたアタマの上で、ベルトがカチャカチャと外される音がする。

 あの悪夢の夜祭りのように。強姦され、モミクチャにされた小屋の中のように。

 

「みてくれェィ!……オレっちのイボつきチンポ!勃起して──タマんねぇ!」

 

 ──そんな汚らわしいモノ、観たくないわよ!

 

 そう思ってはみたものの……表情(かお)は、またしても自分を裏切って。

 おチンポを見ただけで、お股がうずき、全身をカッ!あついモノが逆流する。

 

──あはァ……❤おチンポぉぉ……。

 

 ピンクの脳汁が、ピアス煌めくチクビや肉芽を痛いほどボッキ。鼓動のたびズキズキ。

 みるみるうちに、じぶんの顔が、恥(・)ず(・)か(・)し(・)い(・)ア(・)ヘ(・)顔(・)へとダラしなく変わるのがわかる。

 ベロォォ……奉仕用のイボをつけられたみにくい長舌が、おチンポを欲しがるように。

 

「うひょぉぉ?誘ってやがる!誘ってやがるぜ?肌のチンポ刺青も、めっちゃエロいし!」

「♪どうして、主よ(perché Signore)!」

「どエロな “ダッチワイフ” さんよォ!このチンポに、キスぅしてくれやァ」

 

 ──あぁ……いよいよこの時が来た。

 

 ともすれば、震えそうになる情けないウデを、ワタシは励ます。

 この歓喜!──この残忍な愉悦!──この行為を失するコトへの畏(おそ)れ!

 すべてが混然となり、熱感と冷感。互いに相克することなく方寸(ココロ)の中で交錯する。

 

「♪どうして私に(perché me)──このような報いをくださるのですか(ne rimuneri così)?」

 

 ワタシは、ニコやかな笑みで、仁王立ちになった小ザルに近づく。

 そして、勃起チンポにふぅ……っ!強く息を吹きかけた。

 たまらずこのゲスはビュクビュク……っ!

 臭い精液を吐きかける。

 

「あぁもうタマんねぇ!キスwwしてくれェ!シャブってくれぇ!」

 

 髪の毛を掴もうとする相手の手をかいくぐり。

 ワタシは両手の得物にチカラをこめた。

 

 一度目の右手で、イボつきの醜い勃起チンポを陰嚢(キンタマ)ごと斬りとばし──

 二度目の左手で、この凶々(まがまが)しい運命の刀身を──ザクリ!

 相手の肛門に、強化された身体のチカラの限り突き立てた。

 

「……これが『モルギアナ』のキスだよッ!」

 

 

 灼熱した刀身をバターに突き刺すように。

 ズルリ!なんの苦も無く短刀は小ザルの肛門に吸い込まれた。

 永遠とも思える数拍。裏切り者のマイケルも、ドレッド・ヘアもポカンとして。

 

 やがて──。

 

 股間から鮮血をしたたらせ。

 短刀の柄をシッポに生やした強姦魔は、まさに焼き印を押されたブタよろしく、

 

「あひッ!あひぃぃぃ……ッッツ!……ちッ、チンポがァ!オレっちの!自慢のチンポがぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

  

 小気味良いほど悶絶し、ブースの中をのたうち回った。

 傷ついたココロには、なによりも効果のある「復讐の数倍返し」

 凍てついた胸の中が、スゥ~~~っと爽快になって……コレは有り難い。

 などと大林製薬のCMコピーが彼女の洗脳されたアタマに流れる。目標(ターゲット)は、あとふたり……。

 

「!てめぇッ、このクサレ人形が!よくも!!」

 

 ドレッド・ヘアの道化師が、鉄砲のようなものを持ち上げ、ワタシに向けたとき──。

 

 シャキン!

 

 金属の音がして、例の軽薄なMCが左手からナイフを飛び出させ、すばやい動きで切っ先を大柄な男の喉もとに突きつける。

 

「オッとッとォ!ニィさん、さっきから見てりゃ、ずいぶん物騒(ぶっそう)な玩具(オモチャ)持ってンじゃねェか」

「手前ェ……」

 

 道化師は白塗りの顔を醜悪にゆがめ、

 

「……仕込みナイフなんか持ってやがったのか」

 

 野郎!と、ワタシが短刀を奪ったオトコがいるブースから、これも何人か鉄砲を構えて立ち上がった。もちろん、あのアラビア風コスプレの人物も。

 

「動くな!」

 

 軽薄なMCは、雰囲気を一転。

 ささくれたトゲトゲしいものに変えると、不敵なうす笑いを浮かべ

 

「みょうな動きしやがったら、このドレッド野郎のノド笛ぇ、カッ剪(き)るぜぇ!」

 

 ──あぁ、コレは……。

 

 ワタシは神に感謝する。

 やはり、天網恢々、疎(てんもうかいかい、そ)にして漏らさず。

 判審者は、ワタシをご照覧下さっていたのだ。

 

 奇妙な仮装空間……。 

 呆然とする強姦ピエロ……。

 ローマ帝国の指揮官姿をしたマイケル……。

 さいごに、淫猥な後宮の性奴隷と化したわたし……。

 

 とつぜん振ってわいた“3すくみ”という絶好の状況で。

 心がねじきれるほど、にくい憎いワタシの仇(かたき)、マイケルのもとへ。

 シャラシャラ鳴る足どりもゆるやかに、血まみれの短刀を引っ提(さ)げて……。

 

 * * *

 

 ──殺される……。

 

 オレはその時、覚悟した。

 

 血のしたたる “ジャンビーヤ” を手に、まるで場違いの優美さで。

 ニッコリと、異様な雰囲気をまといつつ。嗤(わら)いながら近づいて来る、元・詩愛……。

 

 それはそうだろう。

 

 取り返しのつかないオレの間違いで、彼女は強姦され、そのあげくダッチワイフめいた淫らな【セックス・ドール】へと生体改造されてしまったのだ。

 

 すべての責任は──この、オレにある……。

 

 もはや、ふところの〝切り札〟(婚約指輪)を出す気にもなれなかった。

 ここまで来て指輪なぞ出して命乞いをするのは、むしろ卑怯というものだろう。

 MC役のコリンズは、オレのほうに背を向けていて、状況がまったく見えてない。

 かろうじてドレッドの手下どもが、コチラの異様な気配をチラチラ横目にするだけ。

 

「あぁ……よくも……よくも……」

 

 恍惚とした、ひそやかで甘い声。

 優美ではあるが、冥い期待に打ちふるえる、淫猥に改造された肢体(カラダ)。

 晴れやかな顔つきのまま、血まみれのナイフを振りかぶる、性奉仕用ドール。

 もはやオレは観念して目をとじる。見ようによっては、これもハッピーエンドか。

 4年以上の長きにわたって続いてきた轢殺トラッカーの物語も、これでお終いだった……。

 

 

 ~ 完 ~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  ……な、コタぁないですよね~~~~~~~~。

 

 はいっ!てなワケで。

 いよいよ第四コーナーを回りました!

 

 次回/試製・転生請負トラッカー日月抄

     ~撥ね殺すのがお仕事DEATH~【18禁版】

 

 第88話:闇夜に散った、メス人形

 

 ──に、ご期待下さい!

 

 

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