※この作品はR-18です。

試製・転生請負トラッカー日月抄~撥ね殺すのがお仕事DEATH~【18禁版】   作:珍歩意地郎_四五四五

37 / 220
                   


       〃       (2)エロ注意

          *    *    *

 

 黒服の“若手”が呼ばれ、しょげ返ったレスボス二人を連れて行った。

 白衣の二人のうち一人が『奉仕人形』となった美香子の“性的衝動”にそなえて随行し、ゴーシュと名乗る黒服も小男を護衛する目的だろう、オレの電撃警棒を手に最後尾からついてくる。

 

 “ウィンドー”のならぶ通路を進んでゆくと、仕組みがだんだん大掛かりなモノになり、通路側に何やら怪しげな押しボタンまで設置されているものすら現れた。

 やがてオレたち一行は、ひとりの女性を数人がかりで“馴致”している大きなガラス箱の前までやって来た。

 

 全身を亀甲縛りに這う革製のハーネス。

 両腕を上にあげ、両脚は左右に大きく開かされたまま。

 ちょうど“人”の字なりに拘束され、胸を突き出す格好で吊るされる姿。

 

 か(・)た(・)ち(・)のよい小ぶりな胸のいただきを、ワニ口(くち)クリップが挿んでいる。

 大小二つのバイブが股間にうねり、貞操帯めく黒いT字ベルトで豊かな尻に留められて。

 それらすべての淫具からのびる様々な色の電気コードは、拘束柱わきのコンセントにつながれ、妖しげな役割を果たしていた。

 

 ユルユルと円状に本体をくねらせるバイブの動き。

 玩具(オモチャ)の本体をつたう女の滴(したた)りは、股下に恥ずかしい液溜まりを広げている。

 

 目隠しをされ、口は赤いタマの付いたさるぐつわで口を塞(ふさ)がれた若い女。

 全身をピンクに上気させ、汗まみれな快楽に頭をふるこの人物のショートカットな髪形で、オレはすぐにピンときた。

 

 辱められる恰好のまま首輪でひかれ、好奇の視線を浴びつつフロアをよぎった姿。

 銭高のところの女刑事。

 

 ――なんて言ったっけ……そう“サッチー”だ。

 

 いまは全身を淫らに責め苛まれ、苦痛とも快楽ともつかぬものに溺れているかのよう。

 両耳にはイヤホンらしきものが差し込まれ、G17を思わせる黄色い接着剤のようなもので固められて、いくら頭をふっても取れなくなっている。

 おそらくそこからは、美香子が聞かされたような洗脳音声が流れているのかもしれない。

 

 顔をアイス・ホッケー用のマスクに隠した、上半身裸な筋骨隆々たる二人の男が、革製とみえるハタキのような黒いムチを、この哀れな女性刑事の背中に、尻に。変わるがわる打ちすえていた。

 

 ややあってから。

 

 奥のガラス扉があき、エナメルのテカりを持つボンデージ・ドレスの女が、メイド服を着た幼い少女をともない中に入ってくる。

 

 その姿に、オレは凝然としたまま思わず目をむいた。

 

 ――小枝子……?

 

 フロアでみせたし(・)お(・)ら(・)し(・)さ(・)は、もはやどこにもない。

 あのゆったりとした刻とは打って変わって、嗜虐的な笑みをうかべている彼女。

 少女が押してきたダイニング・ワゴンから透明な導尿管(カテーテル)を取り上げると、この小学生とも見える小間使いをうながし、開かされた女刑事の股の間にしゃがみ込ませたかと思うと、管の先端を女刑事の敏感な場所に挿入させる。

 

 人の字に拘束された“サッチー”が、とたん苦悶にのけぞって。

 

 やがて小枝子は挿入した方と反対側の先端を、アナルに差し込まれるバイブの根本に連結した。カテーテルにそなわるコックが開けられ、黄色い液体が透明な管の中を奔り、“サッチー”のアヌスが大きくほおばる野太いバイブの根元に向かってゆく。

 

“サッチー”の首が、ちからなくイヤイヤをするように。

 

 そこへまたムチの一撃である。

 彼女の背すじが、さらに逸らされ、秘裂から新たに飛沫がとぶ。

 かつてはパンツ・スーツにピッチリ収まっていた尻が、今は張り手のあとも生々しく、自分の尿が肛門へと流入するの防ごうと 無駄なあがきで艶めかしく振られている。それを観てオレの傍らに立つ小男はまんざらでもなさそうに、

 

「この素体は、ちょっと特殊でしてね、キミ。じっくり“馴致”している最中なのですよ」

 

 オレは小男の説明にうなづきながら、バカめと密かにほ(・)く(・)そ(・)笑(・)む(・)。

 

 お前たちが調教している女性は――現職の女刑事なのだ。

 おそらく銭高の命令で潜入捜査中なのだろう。

 あの男もよくやるよ、と唸らざるをえない。

 

 風営法。

 違法薬物。

 人身売買行為。

 その他モロモロ。

 

 こんなクソ汚らわしい風俗店。

 証拠を揃えられ、全部まとめて引っくくられるがいい。

 

 と――そんなうす嗤いを読まれてしまったのだろうか。

 

「ほぅ、貴殿も。どうやらまんざらでもなさそうだ」

 

 同好の士を見出したかのように、小男は満足げな様子でうなづいて。

 

「しかしこのテの趣味を持たず、SMマニアでもない珍歩とかいう男の借りものな想像力では、これが限界でしてね。つまりは手あかのついた、テンプレートな調教メニューというワケですよ」

 

(……うるさいよ)

 

 どこからか、そんな声が聞こえたような。

 

「この“馴致”用『グラス・マトリクス』の内側は全面マジック・ミラーになっておりましてナ?調教を受ける側は、性処理用に変えられてゆく自分の身体と、劣情に心ならずもアヘ顔となる己(おのれ)の惨めな容(すがた)を存分に心に刻みながら、命令に対して従順になってゆくのですテ……」

「美香子も?こんな、えぇと馴致を?」

 

 いやいや、と小男は苦笑しつつ。

 

「この娘(こ)は単なる美術品・愛玩品として再教育するのが目的ゆえ、性衝動を昂進させ、商品価値を高めるために肢体(からだ)を改変し、なおかつ知能を引き下げてやるだけで良かったのだ。道具やクスリ、機械を使って、タップリ気持ちイイことを頭の芯まで味わせてやったのですよ……そうだったね?『マゾ美』くん?」

 

 もとは美香子と呼ばれていた少女は、そう話しかけられると顔を赤らめつつ、ソッと股間に手をやって、あろうことか自分の性器に指を差し入れ、恥じらいも見せず密かにくじりはじめている。

 フン、とそのざまを小男は鼻でわらいつつ、

 

「だが――」

 

 そう言って、小男はウィンドウの中で寄ってたかって調教される美人女刑事を眺めやり、

 

「この“お客様”は違う。この娘(こ)のように性に貪欲な、単なる“色ボケ”とするのではなく、頭脳を明晰なまま奴隷に堕としてやる必要があるのだ。そのぶん手間もかかるが、コチラの楽しみも増えます。まぁ、どんなお堅い女にせよ、小枝子(コイツ)の手管にかかったら3日と保たんのですが……」

 

 その小枝子は、拘束された女刑事の革製と見える目隠しを苦労して外した。

 ベルト留めとなったソレは、そうとうキツく巻かれていたものらしい。

 

 女刑事は目を瞬かせ、しばらくは焦点も合わない様子。

 と、こちらを向いた彼女は、とたんに顔をそむける。

 おそらく正面のマジック・ミラーにすっかり様子の変えられた自分の容(すがた)を観たのだろう。

 

 とたん――電気が奔(はし)ったものか。

 

 彼女はイヤらしく改造されつつある身体を激しくふるわせた。

 男のふるうムチが、ふたたび彼女の背中を襲う。

 

 女刑事は涙とよだれを流しながら正面を――つまり我々のほうを見た。

 

 小男は組んだ腕の片方を口元にやり、満足げな笑み。

 白衣ふたりは興味なさそうに端末をいじって。

 そして『マゾ美』は――。

 

 まるで責められているのが自分ではないのが悔しいような横顔で、自分の乳房と股間とを次第に激しくなる大胆な手つきで慰めていた。

 

 ――この娘(コ)は、もうダメかもな……。

 

 オレは冷酷に考えた。

 

 クスリや機械を使ったこの店の洗脳技術が、どのくらいのレベルかは分からない。

 しかし、もし日常生活に復帰の希望が無いのであれば、いっそココで“奉仕要員”として快楽付けの飼い殺しとされるのが幸せかもしれない。『マゾ美』が鷺の内医院に帰った時の騒動を考えると、想像するだけでコワい。オヤジさんの怒りはどうでもいいが、あの品のいい初老の母親が抱く悲嘆を考えると、やりきれないものがある。

 

 ウィンドウの向こうに動きがあった。

 

 小夜子が近づき、ラテックスのロング・グローブをはめた手で“サッチー”の胸を揉(モ)みながら彼女の耳に接着されたイヤホンを引き抜き、口元をよせて何事かささやいている。

 

 それを聞いた女刑事は、あきらかに何かを拒否をするような仕草。

 

 イラついた小枝子は片手で女刑事の頬を両側から押しつぶし、自分の方を向かせて。

 しかし“サッチー”それにも目を閉じ、激しく抗っている。

 もう一度――それでも結果はおなじ。

 

 だが、やがて拡げられた脚を“サッチー”は切なげにモヂモヂとさせ、それまでとは違った具合で豊かな尻をビミョウに捩(よじ)らせた。

 

 ミニのメイド・ドレスを着た先ほどの少女が、今度はダイニング・ワゴン中から銀のトレイに載せて、1リッターは優にあると見える巨大な注射器(シリンジ)を取り出した。

 

 “サッチー”の目が大きく見開かれ、細かく震えるように。

 

 ぞんざいに腕を振って、小枝子が少女に命令する。

 

 少女は慣れた手つきでカテーテルの枝に注射器を連結。

 そのまま無表情に力のかぎり注射器のプランジャーを押し続ける。

 

 趣味の悪いグラン・ギニョルめいた無音劇場ではあるが、“サッチー”が穴の開いた赤い球からヨダレを噴き出しながら叫ぶのが分かった。

 見れば腹部が、みるみるポッコリとして。

 

 汗が――愛液が、キラキラと被虐の女の裸体にキラめく。

 また、彼女の耳もとに口を寄せる小枝子。

 女刑事は、ふたたび首をふって。

 

 切られていたバイブのスイッチがふたたび入れられ、彼女の腰のくねりが切なそうに、もどかしそうに動く。

 飛沫(しぶき)が、汗が、よだれが、泪(なみだ)が、責め具のまわりにふりそそいで。

 

 便意をガマンさせながらの快楽責め。

 

 苦痛と快楽に翻弄される拘束された女刑事をかたわらにして、小枝子の面差しにラウンジでのカマトトぶった手弱女(たおやめ)風情(ぶり)からは想像もできないような、冷然たる笑みと恍惚とした色合いが半々によぎり、明滅している。

 ボックス席のソファーでは“イイ女”を演じていたフロア・レディ長が、じつは本物の魔女だったとは。オレもつくづく女を見る目がないな、と思い知らされる。

 

 小枝子は右手であいての陰核(クリ)を責め、抱きかかえた左腕で、あいての乳房を執拗(しつよう)に苛(さいな)みながら、なにやら同じ言葉を女刑事に投げかけていた。

 

 ややあって、彼女はあきらめたようにため息をつくと、メイド服の少女に何やら命令。

 少女はショーツの見えそうなエナメルのミニスカートをひらめかせて出てゆき、やがて先ほど彼女に注入したのと同じ、1リッタークラスの満タンにされたシリンジを持ってきた。

 

 気配をさとった女刑事の顔が、それを見て涙でゆがむ。

 何かを叫んだようだがこちら側には聞こえない。

 だがこれが小枝子のカンに触ったのだろう。

 毒々しいマニキュアに飾られた彼女の爪が、包皮をむかれて露出するサッチ―の陰核に突き立てられると、女刑事はすぐに潮を吹いてガクガクと腰を震わせ、嗚咽に身をふるわせた。

 

 メイド服の少女が、小枝子に促されて進み出た。

 ふたたび感情のこもらない目つきでシリンジを連結し、もういちどプランジャー渾身の力で押し続ける。腸壁に噴流を浴びせられたミッチーの、絶叫する表情(かお)。拘束している金属のクサリが揺り動かされ、情景の緊迫感に一役も二役もかっている。

 

 女のモノの臭いが、気配が。

 そこはかとなく漂いはじめた。

 

 ――まさかガラスを貫通して匂いがここまで?

 

 と、周りを見れば『マゾ美』が身をふるわせつつ、床にヘタりこんでいる。

 トロンとした顔がオレを見上げ、ビュクビュクっ!と身をふるわせて。

 まるで粗相をしてしまった小型犬のような、うるんだ瞳がオレを見上げた。

 彼女に気づいた白衣の男がイライラと舌打ちをし(このクソ人形が)と言わんばかりに、

 

「コイツ!こんなところでオナニーしやがって……」

 

 ガラスの向こうではさらなる展開があった。

 

 悶絶する“サッチー”。

 腫れあがった大きな尻たぶが。

 トレーニングで引き締まった太ももが。

 ネットリと小枝子に責められ淫汁を垂らす女陰が。

 苦痛と同時に快楽を与えられ、脂汗をながす上気した肢体が。

 

 悶え、暴れ、震え、そして全身をありえないほど反らせ、ゆがませて。

 

 やがて――崩壊の時は突然にきた。

 

 女刑事が何かを叫んだらしい。

 小枝子が、拘束された女の口を塞ぐ赤い球のさるぐつわを取ると、耳に手を当て、ハルク・ホーガンのようなポーズをとる。

 もう一度、と小夜子は「MEGA MILK」のような顔つきで。

 

 女刑事が、激しい便意に苛まれてのためだろうか。

 

 騎乗位でよがる女のように、下半身を懸命に振りたてながら、ながいこと口を拘束されていたため、よく回らないようなアゴで何ごとか叫ぶ。

 と――小枝子は、そんな女刑事に対し、彼女の下半身をネットリと愛撫しながら舌をからめてのディープ・キス。満足げな笑みを浮かべ、横目で配下の男二人に合図。

 

 男たちは女刑事の下半身にかがみこむと、アヌスを犯してたディルドーの尾錠を解いた。

 ぬッ ぬぬぬぬぅぅぅぅぅ……ッッ、と信じられないほどの長さで、蛍光ピンクの玩具がスピードを加えながらひり出され、最後に黄金色の滝が噴出した。メイド服の少女が、ポケットから、GR(カメラ)を手に渇いた眼で。

 

 フラッシュの閃光。

 

 つづいて、もう一度。もう一度――もう一度……。

 

 女刑事“サッチー”が堕ちた決定的な瞬間を、幾度も撮影。

 拘束された哀れなメスは、それに気づいて号泣する。

 みじめに陥落した様を永遠に記録された現実。

 烙印のごとく残酷に心へと刻みつけて。

 

 小枝子が“新人奴隷”の誕生を寿ぐがごとく、涙の伝うほおに舌を這わせる。

 男たちの手によって、拭き清められた下半身。

 そして後ろの孔に、ワセリンが塗られた長い長い“お道具”が、またもやジワジワと挿入されて。

 

 拘束スタイルをM字開脚に移された“サッチー”の豊かな尻は、持ち主に苦悶の色を浮かべさせつつも、腰を、尻をうごかし、率先してそのピンク色をした淫具を呑み込んでゆく……。

 

「よし!――よし!さすがフロア長!“さすフロ”ですわ!ぢゃ。女を堕とすことにかけては、右にでるものが無いワイ」

 

 小男が手を打ち鳴らし、醜怪な顔をさらにゆがめてよろこんだ。

 ヨダレが浮かぶブ厚い唇から、整った白い歯をのぞかせて。

 オレは小枝子の「冷ややかな満足さ」を満面に浮かべるさまを目の当たりにして声もない。

 

「なぅ?女(・)は(・)こ(・)う(・)で(・)な(・)く(・)て(・)は(・)イ(・)カ(・)ん(・)。これでコチラにもだいぶ有利になるテ」

 

 オレの方を見ながら手を打ち鳴らす。

 ねじくれたような手。だがその爪は、かたちよく整えられている。

 うすピンクのマニキュアが施される光沢が、このブ男には不釣り合いに。

 

「と――おっしゃいますと?彼(あ)の女性が、なにか?」

「有用な人材なのですよ……この“小さな店”にとっては、ね」

 

 小男は、ちょっと謙遜して見せたあと、またも含みのある嗤いをもらす。

 

「さ――時間(てま)をとらせましたな。行きましょうか」

 

 ふたたびオレたち一行は動き出し、店の奥へと進んでゆく。

 防音ガラスの向こうで繰り広げられる、様々な悲哀と快楽の情景を横目にしつつ。

 どれもこれも、すべてがカネのかかった造りだった。

 あまりな情景にあきれ果てたオレは思わず小男に、

 

「しかし、これだけハデに営(や)って、足はつかないものですかネ」

「――足がつくとは?」

「警察(ポリ)がおこなう行方不明者の捜索に引っかかったりしないんですか?」

 

 一つのウィンドウの前で、案内人は足を止めた。

 

「捜索願いなど出ませんよ?」

「と……言うと?」

「誰も行方不明になど、なっていないからですな」

 

 小男は目の前のウィンドウを指し示す。

 

 そこには、ひとりの美しい女性が二本の太い柱に手足を埋め込まれ“「土」の字”型に拘束されている姿があった。

 

 ウィンドウの説明書きには、

 

 

         【27歳:人妻。依頼により矯正処置中】

 

 

 そしてその下に【ご自由にどうぞ】という札があり、ボタンがいくつも並んで。 

 

 

 無残に拘束される、若々しく伸びやかな、白磁を思わせる肢体。

 そこにはお決まりのごとく、秘所という秘所にバイブやカテーテルが。

 敏感な場所にはピアス。そして体のあちこちにパッチで電極を取り付けられて。

 耳には“サッチー”と同じくイヤホンが接着され、いくら暴れても抜けないようにされている。

 

 小男はウィンドウに近づくと、手前に幾つもあるボタンの一つを操作した。

 

 すると、どこからか女の喘ぎ声と低いモーター音が聞こえてくる。

 思うに、これは部屋の中の音声をひろっているらしい。

 耳につけられたイヤホンからは『マゾ美』が美香子だったころに聞かされた催眠音声でも流れているのか、拘束された女の顔がゆがみ、力ない声がきれぎれに伝わってきた。

 

 

『イヤ……わたしマゾなんかじゃない……ちがう……お尻なんかで感じたりしない……だめ……動かさないで……お願い……もうこれ以上ヒドいことしないで……ココから出して……』

 

 小男はさらにボタンを操作した。

 

『あぁッ!らめぇぇえっ!』

 

 女の肛門や膣に挿入されている、ロッドにつながれた細身のディルドーが、大きなストロークの前後運動で動き出した。

 “サッチー”と同じく、尿道に差し込まれたカテーテルから黄色いものが管の中を奔って。

 

 さらに色違いのボタンが押される。

 ガラスの壁の向こうで人妻の身体は、まるで脈打つように。

 やや小ぶりだが形のいいオッパイが揺れ、乳首に付けられた電極がきらめく。

 

「体に付けた沢山の電極の下には、女の性感を高めるツボがありましてなァ……」

 

 小男は平然とした口ぶりで、

 

「恥骨の真ん中の“横骨”蟻の塔渡りの“会陰”膣の左右にある“点心”そのほか身体の上体にも……」

「東洋医学にも心得が?」

 

 すこしばかりですがね、と目の前の人物は謙遜してみせたあと、

 

「脳波計とも連動して女の淫靡なツボに、パルスが自動で流れるようになっとります。バイブやディルドーも同じように、ね。このままにしておけば、自己修復タイプのプログラムが、この女の気持ちイイ場所を自動的に探りつくしてしまうという寸法なのですよ。これに耳からの洗脳音声も加わってみなさい?色情ブタの出来上がりですぞ」

 

 小男のセリフに、

 

「……あぁっ!」

 

 美香子の――『マゾ美』の声がかぶさった。

 見れば、またもや股間に指を刺し入れ、全身を切なげにふるわせて。

 

「うんッ!――うんッ!――うんッ!――」

 

 懸命に快感をさぐりあてようと、淫らに改変されてしまった身体をうごめかす。

 

「……そうそう。君も、ほんのチョッとだけこの部屋のお世話になったんだっけねぇ?ただし君の場合は強情だったので、もっと強力な手段を使ったのだか……」

 

 これ以上の強力な手段?

 相手の言葉に眉をひそめながらオレは、

 

「この子は――もとにもどるのか?」

「うぅん……もどそうと思えば、ですかなぁ」

 

 小男はそう答えたが、やがて肩をすくめ、

 

「しかし、だいぶメスを入れてしまったからお奨めはしませんがね――そうだろう?」

 

 問われた白衣がそのあとを引き取って、

 

「ここまで調整が済んでしまいますと、元通りにするのはひと苦労ですよ。せっかくキレイに整形した男好きのする顔かたちも崩れてしまいます……モッタイない」

 

 スピーカーが、いきなり大音量でよがり声を発した。

 

『そんなっ!またクルっ……イヤっ!イヤっ!イヤぁぁぁぁぁあ!!11』

 

 ポタポタポタ、と何かが垂れる音。

 バイブの陰にこもった作動音。

 

 オレはガラスの向こうで“奉仕品”に変えられつつある人妻を見やった。

 

「この人は――どういう立場の人物なんです?」

 

 なぁに、と小男はつまらなそうな声で、

 

「稼ぎのいい亭主と子供が居ながら浮気相手のホストと組んで「ふりこめ詐欺」をはたらいた専業主婦です」

「……」

「格式の高い家らしくてね。外聞をおそれて夫の母親が“再教育”をしてくれと」

 

 オレは別れた妻のことをチラっと思った。

 だがそのイメージは詩愛に、そして何より傍らでオナニーする美香子、いや『マゾ美』のイメージで上書きされ、はるかに遠くかすれてしまったが。

 

「もっとも、店の外には永久に出すなと念を押されていますが。このヘンは、この女の実家も了承済みらしいですぞ?せいぜい当店の役に立ってもらいましょうか……さて」

 

 オレの相手は、ここで幾分きびしく口調をかえた。

 目つきを鋭くし、全身からある種の殺気を放ちはじめる。

 

「ここまで見せたのです。“おりいっての話”とやらの内容如何によっては、君もガラス箱の住人となってもらいますぞ……よろしいか?」

 

 そして不意に凶悪な雰囲気を発したまま口もとをわずかに歪め、

 

「ちょうど美中年のマゾ奴隷をご所望の婦人がおりましてな」

「……」

「アナタなら、うってつけのようだ」

「……」

「チンポの大きさは、如何ですかな?」

「……」

「物足りない場合、シリコンをいれて、女泣かせの形にしませんとナ」

 

 最後尾の護衛が、電気警棒でオレをこづいた。

 『マゾ美』が、淫汁臭い身体をおれに寄せてくる。

 白衣の男が、そんなオレたちをニヤニヤとながめて。

 

 

 




※お詫び

 現在、並行して執筆中である【玲瓏の翼】の続編で、美的個体を強制人形(スレイブ・ドール)化して、愛玩品や巡洋艦の思考回路にしてしまう半官半民な裏工場の下りを書いているモノですから、そちらのノリが伝染し、こちらは単に変態チックな駄文になってしまいました。申し訳なく。

 さて……コレをどう15禁にデチューンしますかねぇ。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。