試製・転生請負トラッカー日月抄~撥ね殺すのがお仕事DEATH~【18禁版】 作:珍歩意地郎_四五四五
どうやら帰国のメドがつきました!
すると。
電話の向こうから、おどけたような声で
『サブマネ。“サロメ”はイイが……“モルギアナ”の調整が遅れています』
『コレがけっこう難物して、我々でも最終調整が。いっそ“施術元”に送りかえしては?』
「はぁぁぁ!?」
サングラスの男がキレた。
「もう仕上がってるッて、このまえ言ってたぢゃねぇかぁッ!」
『この素体、なかなか強情で最終的な隷従洗脳を受け付けないんです』
『従順化レベルが一向に上昇しません――じつに興味深い』
『物理的に
『手っ取りばやく、なんでも言うこと聞く人形にしてみせますが?』
離れていても、通話口の向こうにいる人物たちが面白がっているフシが分かる。
まるで二人一組。
あ・うんの呼吸で。
よどみなく、滑らかに。
オレの頭の中で白衣の青年二人組の姿がうかぶ。
――なんだ?このイメージ。
爬虫類のような雰囲気と、女をただの“素材”としか見ないような眼つき。
医療用ステンレスのような無機質なしぐさと、無慈悲な物言い。
リドリースコットの映画に出てくるような光線の加減で。
「――っザけんな!」
サングラス男がさらに爆発した。
「こんな“改造ずみの
ところどころホンネと地が交錯してボロボロに。
相手はアセりながらこちらをチラチラとうかがいつつ、
「あり合わせに一匹もってこい!何でもいい!何でも!……まてよ……人形?」
ふいに何かに思い当たったのか。
男はいきなり通話を切ると、べつのところに電話をかけた。
そして口早にイミ不明な隠語のつらなりで命令すると、あとは悠然と籐椅子の背にひっくりかえり、ヤク中のように細い指を痩せたハラの上で組む。そう――まるで勝負に勝ったような者の目つきで。
あとは黙ってオレをニヤニヤと見つめたまま。
そのしぐさがこちらのセリフを誘っているようだが、オレもシャクなのでその手には乗らない。
結果として微妙な雰囲気が、ふたりの男の好戦的な視線と共に、沈黙のまま交錯する。
ややあって。
さほど待つ間もなく、広間めく部屋に変化があらわれた。
魅惑的と言っていいほどの
それが音もなく現れると、この穢されたような空間に思わせぶりな足取りで悠然と入ってくる。
底知れぬ深淵めく
己の首から下をスッポリと包む姿。
その胸もとには深紅の大きなリボンが華やかに。
黒と赤のコントラストとなった衣装。
この空間にあってもおどろくほど佳く映える。
マントに身をつつむ人物を、よくよく窺い見れば。
三十路前後と思われる、金鎖つきの眼鏡をかけた女性。
「ふぅ……っ」
それを見たダッチワイフ少女は、なぜかホッと“狂乳“化された胸をなでおろす。
天井のシャンデリアより放たれる光。
女の身体を包むマントの表面に、複雑な小波を
まるで観る者にマントが秘める“淫猥な柔らかさ”を想像させるような照りを浮かべて。
「よう、よう――来やがったな?」
男の冷やかし声にも、女は
ラウンジのフロアレディめいた、すこし濃い目な化粧が目を引く。
フレームが吊り上がった鎖つき金ブチ眼鏡の奥からは媚びを含む眼差しが。
その熱っぽい視線で、目の前のサングラスをかけたキザ男をネットリと眺める風。
「用意は――できているのかィ」
あいかわらずニヤニヤしながらも、この
「この前みてぇに客のマエで
“おしおき”という言葉に反応でもしたのだろうか。
突然この女はビュクビュクッ!と
「えぇ、いつでも……ご主人サマ」
女は期待に打ち震えるような、ソワソワとした声で男に応じる。
「お望みの
「そうかい?オレの顔にドロぉ塗るんぢゃネェぞ?」
成熟した女の色香と、
それが一種、凄絶な凄みをたたえて女の存在をきわ立たせる。
だが。次いでその眼差しがふと、オレの方に向けられたときだった。
「――!!」
それまでの熱っぽくうるんだ
ハッ、と硬いものに変化し、一瞬、拒絶めく反応をみせる。
驚きがマントに包まれた女の全身から発散し、
――なんだ?
オレはその女の顔をまじまじと見つめた。
そして遅ればせながら、ようやく気付く。
この女。
「夜の女」の化粧をしているが、そのくせ、まだ水商売には完全には浸りきっていないような素人っぽさがうかがえる。男を手玉に取る
――そうだ。この女も……どこかで見おぼえがある。
濃い目な水っぽい化粧のせいで分からなかった。
オレの中で、またしても
水商売の女にしてはめずらしい金鎖つきの眼鏡。それが、あるイメージを喚ぶ。
広いオフイス・フロア。
イヤミな上司とその腰ぎんちゃく。
朝礼で轢殺予算の未達を突き上げられるヒヤ汗。
大きな物流会社の事務部門フロアにならぶ端末の載ったデスク……。
たしか彼女は、総務部門の統括をやっていたヤリ手の“お局サマ”だった――ような。
だがその人物は、いま目の前に居るマントで全身をスッポリと包んだ人物とは雰囲気が決定的にちがった。
もっと“お堅く”――なにより“近寄りがたい”たたずまいを発散していたような。
冷たい品格を漂わせ、とくに
そしていかにも有能そうな空気を発散し、柔らかさをいたと記憶している。
そもそもこんな男に媚びる雰囲気を持ってなかったものだが。
「……あら」
驚いたことに、どこか素人臭さの遺るこの
「お久しぶりです、マイケルさま――
そう言うや、驚きを鎮めるためだろうか、マントの生地うらで己の胸のあたりを
「この
ソッポを向き、おのれの足もとで犬の恰好をして控える女性の背中を撫でながらサングラスの男は一見、まったく興味なさそうな口ぶりで、
「上品ぶったナリぃしやがって。そんでいて、まァァるで
オレは口の端に唾棄すべき気配を相手に見せつけつつ、できるだけ嫌みな調子で
「ほぉう……と、言うと?」
だがそれは「カエルのツラに小便」ともいうべき結果となった。
相手は、そんな仕打ちには慣れているのかいっこうに気にする気配もなく、かえって露悪的な嗤いを浮かべこちらをうち眺めやるや、
「もともとォ“被虐願望”の強い
突き放した口ぶり。
さらに男は唇を不満そうにとがらせて、
「このトシにして処女!それがアッと言う間に腰をつかうようになりやがって……」
あけすけにそう言われた“お局さま”は、顔をこわばらせてくちびるを引きしめ、やけに大ぶりなイヤリングを着ける耳たぶをカァッ、と紅くさせた。
「ほら、ごアイサツしな?“オナニー
その言葉が、なにかの暗示のキーとなっていたのか。
彼女はすぐに
「はぃ……はぃ……淫乱な『マゾ豚』の性に気づいかせていただいた哀れなメスであるフジコは“オナニー人形”になる悦びに打ち震えておりますの」
そう言うや、マントからフインガーレスの長い手袋をはめた腕を出す。
つづいてゆっくりとした手つきで、己の首もとに巻かれた大きな蝶ネクタイめく赤いリボンを引きほどいた。
幽かな絹ずれの音。
マントはさらり、女の肩をすべり落ちる。
まず目に入ったのは、恐ろしいほどに“砂時計型”へ改変された白い裸体だった。
この“店”の方針なのか、いかにも人工的な、巨乳化と豊尻化。
そして
ダッチワイフ化された少女が眉をひそめ、
ついで隣にポスッとすわるや、硝煙と血と、アフリカの土ぼこりにまみれたオレの迷彩服に顔をうずめた。
白いハイヒールに光沢のある股までの白ストッキング。
人造的な肢体の上を錯綜し、さらに淫猥にくびりだす白いハーネス。
二の腕までの白手袋につつまれた腕が、そんな人造的な身体をキツく抱きしめて、
「ご覧くださいませ――如何ですか?」
“お局さま”はユサリ、自分の巨胸を持ちあげる。
そして思わせぶりに身をくねらせ、オレとサングラスの男を等分な流し目で見やりながら、
「わたくし――このように素敵な身体にして頂きましたの」
身をふりたて、セクシーさを強調するように、拘束衣装をまとわされた自分の肢体を誇示する風。
オレがマジマジと、この女の造形を鑑賞していると、
「おひゅひんはまァ……」
ダッチワイフ化された少女がこちらの気を引こうというのか。
人工的に美しくととのえられた顔を、まるで甘えるようにオレの首もとによせた。
うぶ毛一本すらない皮膚。
完全に人形を模したような身体。
ツヤツヤ・プニプニとしたさわり心地。
この子は、これからずっとこの姿で生きてゆくのか。
ヘンタイどもの慰みモノとして。クソどもの劣情のはけぐちとして。
「……」
あまりの哀れさに、暗然とした気分でオレは彼女のボリューム満点な赤毛をなでる。
すると。コレが気に入らなかったのか“お局さま”はフフンというまなざしでトゲトゲしく、
「そこにいる女子高生くずれの“殿方用トイレ”なんかには、負けていませんわ?」
品のある顔をゆがめ、いきなりスゴいことを言う。
赤毛のダッチワイフはキッ!と、そんな彼女の方をむいて、
「アラヒのほうぁ、お客サマによろほんでもらえへるモン!」
すると“お局さま”のほうも胸をそらして冷笑を浮かべ、
「えぇ、そうでしょうとも。いま言ったように、単なる
このやり取りを聞いたサングラス男はニヤつきながら、
「面白れぇ。人形どうしのジェラシーってヤツかよ」
「あら。わたくしは――決してそんなつもりでは」
「フフン。おぃ美月、ミッキーさんよ。ソイツの言う
数拍のためらいがあった。
しかし、ついには覚悟を決めたように、ダッチワイフ少女はアイシャドウが濃く彩るまぶたを閉じ、キャンディー・コートされたような深紅の照りをもつドーナツ状のくちびるを大きく開ける。
すると――。
そこには歯列がなく、かわりに丸い真珠の玉のようなものが並んでいるのだった。
ほおの内側は一面のイボイボで、舌も施術によって触手のように二つに割られている。
「便器に突っ込んでる最中、噛みちぎられちゃタマんねぇ。こいつの歯はぜんぶ引っこ抜いて、大粒な人工真珠の総入れ歯をハメてあるんでさァ」
サングラスの言葉に、人形化された“女子高校生くずれ”の少女は口をとじ、フイとソッポをむいて。
ま新しい浮き輪のような、ビニールくさい匂いが彼女の肥大化された胸元からただよう。
――この子、ほんとうに人形にされちまったんだな……。
小悪魔的な笑顔。悪戯っぽい仕草。ちょっとマセた風情。
セーラー服の似合う、かわいい娘だったような気がするのだが。
「どうですマイケルさま、そのお人形は?」
“お局さま”は、往年の口調をややとりもどし、すこしばかり冷ややかな口ぶりで、
「その
「そこまで手術をうけたのか……」
オレは暗然たる気分を隠しきれない。
いったいこの店はどうしちまったんだろうか。
こちらの気も知らず、彼女は「それどころか!」と、さらに言いつのり、
「おシリのほうも施術されて、かなり具合が宜しいようですわ?」
あけすけな彼女の言葉。
まるで、始末書を期限までに提出しなかったドライバーをいたぶるような口ぶりで、
「常連の殿方にも、たくさんのご好評を頂いて評判ですのよ?」
オレは苦笑しながら「ほぅ?」と言うしかない。
“お局さま”が、何とかこの少女を辱めてやろうという魂胆が見え見えなのが、逆におかしかった。だがしかし、そもそもこの人物は、こんな嫉妬めいた安っぽいことをするキャラではなかったはずなのだが。
「いま、使ってご覧になります?」
「……」
「この極イボつきの凶悪な避妊具をご使用になって、彼女を躾けてあげてください」
「……」
「淫乱な女子高生もどきを矯正するイイ機会ですわ」
「……」
「やはり保護者がちゃんと教育して性奴隷の身のほどをわきまえさせないと」
「……」
「――ウルセェよ」
とうとうサングラスの男の方がイラついたようにリモコンを鳴らした。
「お前ェが身のホドわきまえな!」
とたん、くぐもったバイブ音がイヤらしく歪められた“お局さま”の肢体から、それも複数でシンクロするように響きはじめた。
「アッ!そんな――イヤぁッ!♪アン!アン!」
身をくねらせ、嬌声をあげて。
いきなり淫靡に
肥大化された己の胸を烈しくモミしだき、ピアス留めされた飾り房のさがるピンクな乳首をなめ、しゃぶり、甘噛みしてクヤしげに。
もう片方の手は淫液の垂れる股間の前と後ろとを忙しく行き来し、クチュクチュとイヤらしい音を
「あぁん♪……イイっ!……たまりません……わッ!」
もはや抑えのきかない“よがり声”。
リズミカルな、それでいて動物的な身体のうごき。
店の手で開発されたされたらしい“悦び処”を烈しく愛撫しながら、彼女は性感を
そこに、かつての冷たく、理知的で、取り澄ましたような硬い美を持つ「事務の才女」は居なかった。
淫乱な施術により全身を改造され、おそらくは洗脳をうけ、ただ快楽を貪るだけの哀れな
「どうだぃ、オナニー人形」
サングラス男はオレのほうをチラチラ伺いながら、嘲り声で女をはやし立てた。
「露出狂のケがあるお前ェだ。見られて――気持ちイイんだろ?」
サングラス男の挑発に“お局さま”は口のはしからダラダラとヨダレをながしつつ、
「はひっ!はひっ!……わたしは皆さまに……みなさまに観られながらァっ!」
「ワタシだぁ?わたしって――ダレだィ?」
男の嬲るような突っ込み。
それを聞いて、この女は焦点を結ばない恍惚とした眼差しをシャンデリアのさがる天井へと向けながら、
「ダメぇっ!……んふぅッ!淫乱ッ!インランな『メス豚』である“オナニー
“精液便所”として改造された少女がオレの迷彩服にしがみつき、そんな女を憎々しげに、そしてどこか「してやったり」の小気味よさそうな顔つきで。
「恥知らずにもッ、んぁッ!……逝ってッ――イッてぇぇぇっっ!」
くぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅッッ♪……ッ!!!
口唇を白くキレイな歯列で噛みながら、『オナニー人形』に改造された“お局さま”はビュクビュクっ!と全身をふるわせる。
すると、その様を見たサングラスの男は、またもやりモコンのボタンを押し、
「よぅし!――そこまでだフジコ」
イスから立ち上がるや腰に手をあて、痩せた胸をそらして、
「オナニー強制停止!『展示会用ディスプレイ・モード』へ!」
すると。
淫楽をむさぼるために恥も外聞もなくガニ股となり、はげしく自分の股間と胸とを愛撫し、淫らな匂いを振りまいていた“お局さま”は、達する直前と見える状態でピタリ、無表情になると淫らな動きを停止する。
やがて。
まるで産業用ロボットが非常停止のあと、ユルユルと原点復帰するように。
下品なガニ股だった美脚をまっすぐにしてモデル立ちのすがたで。
つぎに愛撫に忙しかった手腕を頭のうしろでゆるやかに組む。
豊かな乳房と尻とを強調するように、すこし身をひねって。
さいごに姿勢を整え、営業用と見える笑みを浮かべる。
逝きたくても逝けない生殺しを味わっているのか。
あるいはこのような境遇になったことを晒されたためか。
表情すら拘束された、派手めな化粧が彩る目じりからは一筋の
サングラスがまたリモコンを押す。
とたん。
この絹地のような純白の裸体に文様が浮かび上がり、ほどなくそれは二体の咬龍の形となった。次いで豊満かつ無垢な裸身を縦横にかけめぐると、やがて豊かな乳房をめがけ、牙の生えそろった
「ドゥだぃ?――見事なモンだろ」
オレとダッチワイフ少女は、お局さまの変化をポカンと見つめた。
そのすきにサングラスの男は手を伸ばし、目の前にあったKRUGのボトルを襲う。
あ!とオレが思う間もなく、残りをラッパ飲みに干して手荒くマホガニーのテーブルにドンと置いた。
バカ
この大机が貴重なアンティークものだということを、やはりこのサンピンめいた男は知らないらしい。美しい盤面についたキズにオレが眉をひそめる横で、この男は“お局さま”に仕込んだカラクリを得意げに説明する。
「“流体刺青”――ま、ハヤいはなしが皮膚の施術によるカメレオン化だな」
はじめて聞く技術だ。
美容整形の世界では、すでにこんなことが行われているのか。
つづいて男はリモコンを次々に操作する。それにつれ“お局さま”の皮膚はナミビアの黒人のようになり、あるいは獣人を思わせる全身にヒョウのような模様がはしり、果ては異星人のように真っ青に変化して――やがて元にもどった。
――ふぇぇぇ……。
ま、人間がはじめて月に行こうと言う時代だ。
魔法じみたことが行われても不思議じゃない。
ディエン・ビェン・フーが陥ちてからこっち、世界は「斜陽」の一途をたどってるような。
サングラスが、ふたたびリモコンを動かした。
すると、展示会モードで優雅なポーズのまま凝固する「フジコ」の身体から、またもやバイブの音が響きはじめる。
無表情ではあるものの、美術品めいた見事な肢体がみるみるピンク色にそまっていき、うっすら汗をかきはじめた。それでも『展示品』の暗示をかけられた彼女は微動だにしない。おれの胸にしがみつくダッチワイフ少女からは(フフッ♪)という秘めやかにして小悪魔的な笑いが。
「――オレぁね?」
趣味の悪いカフスボタンが目立つ手首で、口の端に垂れるシャンパンをグィと拭き、サングラスの男はフレームを落とし込んだ上目づかいでこちらを二ラむと、
「あの“小男”にイイようにツカわれて、いい加減ムカついてたんだ。それが
シャンパンを奪られて仏頂面をするオレだが、さすがにそのセリフが気になった。
「こんどのハナシ……って、何だね?」
「ウチの女どもをレンタルするって事業さ!」
こともなげにサングラス男は手をヒラヒラとふりつつ、
「あの“小男”のバカは、反対しやがったが」
「レンタル?って……いったいドコに貸し出すんだ」
「とある団体さ。政治家の族議員がカラんでる。あとは、その関係先の大手企業も」
「……ほぅ?」
「最終のレンタル先は知らねぇが、ケド向こうにも手術設備があるらしくてヨ?モドって来た女が、みんなものスゲぇ改造をうけてんだ。その流動刺青も、むこうがコッチの意向でやってくれたのサ。手術見本があるんだ。貸し出すときに向こうへ要望をつたえ、レンタルから返されるとこっちの希望通りの“人形”になってやがる」
「……」
「そのエゲつねぇ改造が評判を呼んで、店はますます大繁盛」
相手は得意げに鼻をうごめかせた。
「“小男”は?」
「シラネ」
男はサングラスを鼻に押し上げて視線をかくしつつ、
「従業員の女を取り返そうとレンタル先に直談判しにいって、それっきりサ」
「彼が居なくても、店は回るのか?」
「純利益倍増だよゥ!」
そう嬉しそうに叫んだあとは、忌々しげに首をふって、
「まったく計画に最後まで反対しやがって――バカなヤツだ」
――さもありなん……。
胸のなかで“知らないオレ”が心中うなづく。
この店は「あの男」にとって、いわば“城”だ。
その城の住人を勝手に貸し出して、得体の知れない手術をほどこされて返されるのでは、たまらなかったのだろう。
サングラス男の携帯がなった。
耳に当てた相手の顔が満足気にほころび、下卑た面構えにシマリがなくなる。
「よぅし……よぅし」
そう言うや通話を切ってオレの方をむき、
「さて――さて」
ニンマリ。
携帯を放り投げ、細い指を、まるでハエのようにこすり合わせると、
「ようやく!興冷めな前座はおしまいとくらァ!!」
自分の中でストーリーは進んでいるのですが、
いかんせん海外出張業務が多忙であります。
どうか今しばらく!猶予を頂きたく存じます。
珍歩 拝