塔城小猫はその日、妙な喉の渇きを覚えていた。日も登りきらない時間帯に目を覚まし、キッチンへと向かう。冷蔵庫を開けると中には牛乳パックがあり、中身をコップに注いで飲み干した。
しかし、なぜか喉の渇きは解消されなかった。
なぜ? もう一杯飲もうかと思い、牛乳パックに伸ばしかけた手が途中で止まる。
「この匂いは……」
どこからか独特な匂いがした。初めて嗅ぐ匂い。どことなく栗の花に似ているような気がしないでもない。この匂いはなんだろうか。小猫は引っ掛かりを覚えながらもその匂いの元を辿るように歩き出す。
キッチンから一階の廊下へと出て、奥へと進む。
グレモリー眷属の別荘であるこの家屋には使用していない部屋がたくさんある。一階の奥には誰もいなかったはずだが、気のせいだっただろうか。仲間である兵藤一誠に似た声のいびきが聞こえる扉の前を通過し、さらに奥へ。
間違いない。閉ざされた扉の向こうから不思議な匂いが漂ってくる。
嗅いでいるだけで体がムズムズする。意識もぼんやりとし始め、現実にいるのに夢の中にいるような感覚だった。
「にゃあ……」
小猫が甘えたように鳴いた直後、小猫の耳から髪と同色の白い猫耳が飛び出てきた。それに合わせて寝間着の隙間から白い尻尾が飛び出て、くねくねと動き出す。
小猫はリアス・グレモリーによって悪魔に転生した存在だが、転生前は
猫耳と尻尾がなぜ勝手に飛び出したのか。
小猫はそのことに疑問も抱けないほど扉の奥に気を引かれ、取っ手に手を掛けた。
照明の点いていない暗い部屋。誰もいないから当然か、と思いきや、部屋に置かれたベッドに誰かが座っていることに気がついた。誰だろう。小猫は灯りを点けることもせずに部屋に入り、一歩、また一歩と足を進める。
奇妙な求心力。そこへ行くのが当たり前のようにさえ感じられる。
ベッドの傍までたどり着くと、そこに腰かけている者の正体がわかった。
金色の髪と、整ってはいるが見るからに性格の悪そうな顔。普段身に着けている特徴的な赤いスーツはなく、鍛え上げられた様子の肉体が露わになっている。
ライザー・フェニックスだ。主であるリアスの許嫁であり、小猫たちが別荘にいる原因でもある男だ。この男との勝負に勝ち、リアスとの婚約を破断へと持ち込むために、小猫たちは別荘へと修行をしに来たのだ。
その本人がなぜグレモリー眷属の別荘に? 何かを企んでいるのだろうか。
順当に行けば敵情視察だとは思う。しかし、この時間帯に来る意味がわからない。まだ外は薄暗く、小猫以外は眠りの中。修行風景を見るのならばともかく、誰もいない部屋に腰を据えたところで何も意味はない。
理解できない。小猫は不審に思いつつも、挨拶くらいはしておこうと考えた。
小猫はその場で衣服を脱ぐ。寝間着だけではなく、下着も。女性的な起伏は乏しいが、幼い女体は美しく、それをライザーに曝け出す。そして、床に両膝を突いて正座の姿勢になると、三つ指を突いて頭を下げた。
床に額をつけ、擦りつけるように動かす。
これが、男の来客が来た際の一般的な挨拶だ。自分はあなたよりも下等な生物ですよ、ということを理解してもらう意図がある。古来より、雌はこうして立場を弁え、優れた雄に媚びへつらってきた。
「っ……」
床の上で平伏していると、後頭部に何かが乗った。
ライザーの素足だ。小猫の頭を踏みつけ、床に押しつけてくる。
これも一般的な挨拶だ。ちゃんと礼儀を弁えているらしい。如何にも軽薄そうなライザーに対して小猫はあまりいい印象を抱いていなかったが、常識はあるようだと見直した。足をぐりぐりと動かしてくれるあたり、育ちがいいことがわかる。
しっかりと時間をかけて土下座をしていると、足が頭から離れた。
「頭を上げてもよろしいでしょうか……」
「いいぞ」
「ありがとうございます……」
ライザーの許可を貰い、頭を上げた小猫。
すると、小猫の視界には否応もなくライザーの股間が映った。
恐ろしいと感じるほど威圧的な風体の肉棒。赤黒く分厚いのそれは既に勃起しているようで、小猫の顔に丸々とした亀頭の先端が突きつけられている。女を犯し、壊したいという欲望を孕んでいるように見えるそれは、尿道口から先走り液を垂らし続けている。
すごい。これが男性の。小猫はごくりと生唾を飲む。
そうだ。この後、一般的な挨拶では男の股間から丁寧に奉仕しなければならない。男が満足するまで延々と。当然、満足させることができなければ男の傍に一生付き従い、定期的に奉仕を行わなければならない。
行わなければならない? 本当だろうか? 今までそんなことをしていただろうか。
「分身体だとさすがに効果が弱いな……。この機会にいろいろ試しておくか?」
ライザーの手が伸ばされ、広げられた手のひらが小猫の顔の前で止まる。
「あ……」
何か、何かが変わっていく。頭の中にあった基本的な知識、認識、いろいろなものが変わっていく。大事なものが犯される。知らない言葉を、馴染みのない言葉を植えつけられる。おチンポ、おマンコ、金玉袋、ザーメンミルク、などなど。
知らない。使いたくない。そう思っていても、それらの言葉は小猫の中に定着した。
ライザーの手が顔から離れ、小猫の意識は解放された。
その直後だ。
小猫はライザーへ身を寄せ、怒張する肉棒に頬を当てた。小猫の幼く柔らかいぷにぷにとした頬。それで肉棒を擦るように頭を前後に動かす。当然、その際にはライザーの顔を見上げながら両手を使うことも忘れない。
「ライザー様、ようこそいらっしゃいました……。このような薄汚い別荘ですが、どうぞごゆっくりとしていってください……。快適に寛いでいただけるよう、おチンポ様と金玉袋様に愛情をいっぱい注がせていただきます。お好きな時にお好きなだけ、ザーメンミルクをどぴゅどぴゅと吐き出してくださいね……?」
両手でライザーの睾丸を揉み、頬擦りを続ける。せっかくライザーが出してくれた先走り液を活用し、それをローション代わりに頬擦りを滑らかにする。飽きられないように片方だけでなく、両頬を使い、愛嬌を振り撒く。
目の前の雄は絶対的な存在だ。何を投げ捨ててでも命令を聞かなくてはならない。
たとえば、ライザーに命じられたならば、リアスであろうと殺すのも辞さない。殺せるかどうかは別問題として、殺すという気持ちは十分だ。場合によっては他の仲間を人質に取ってでもリアスを殺そうとするだろう。
それが、男の客を出迎えた女の役割。
「なるほど、こうなるか……。アーシアのときもそうだったが、普段より効き目が弱いな」
ライザーが呟くと、小猫は頬を朱に染めた。
声が、顔が、存在が素晴らしい。この男が許嫁で何が不満なのだろうか。
羨ましい。妬ましい。リアスを殺して自分がこの人の恋人になりたい。
小猫は欲情を隠すこともせず、尻尾をくねらせながらライザーの肉棒に片手で掴んだ。睾丸を片手で揉みながら並行して手で竿を扱く。自分の手では大きすぎるそれを一生懸命扱き上げる。
「いかが、でしょうか……」
「あぁ、いいぞ。俺の体を通じてオリジナルも喜んでいる」
オリジナル? 何のことだろう。
小猫は疑問を抱くが、詳しく尋ねる無礼を働くことはなく、亀頭に口を近づけた。
「ファーストキス、捧げてもよろしいでしょうか……」
「勝手にしろ」
「ありがとうございます……。ん、ちゅっ……」
礼を述べた後、小猫は呆気なく自分の初めてを捧げた。ライザーの口ではなく、尿道口に、だ。目を閉じて、肉棒から放たれる独特な匂いを肺一杯に満たし、尿道口に吸いつく。軽く、一分ほど。
それが終わると、小猫は嬉しそうに頬を緩め、二回、三回と口づけを続けた。
シュッ、シュッと肉棒を扱く。睾丸も忘れずに手の中に揉み解す。いつでも気持ちよく射精してもらえるように、睾丸マッサージは欠かせない。この袋の中に立派な遺伝子がぎっしりと詰まっているのだと思うと、小猫は下腹部に熱を覚えた。
この人の子種ミルクを、子宮で受け止めたい。逞しい体で圧し潰されて、膣奥にびゅーっと注がれる。そんな体験ができたらどれだけ気持ちいいだろうか。それで妊娠することができたら、幸せすぎて死んでしまうかもしれない。
小猫は抑えきれない愛情を全て肉棒に注いだ。ライザーを見つめながら手と口を使い、奉仕を繰り返す。尿道口から出してもらった大切な先走り液を肉棒全体に塗りたくる。睾丸から亀頭の先まで何度も舌を這わせ、唾液を上乗せする。
「いつでも、出してください、全部、受け止めます……」
「受け止めきれずにこぼしたらどうする?」
「どんな罰でも受けます……」
「ふーん」
興味なさそうに言うライザーを見て、小猫は密かに達した。もっと冷たい目で見てほしい。見下して、けなしてほしい。今まで感じたことのない様々な感情が胸のうちに広がる。それによって体が暴走する。
ぴったりと閉じた陰裂から、愛液が垂れてくる。それで床を濡らしながら小猫の手淫が激しさを増す。
「はぁっ、はぁっ、んっ、あっ……」
真っ赤な顔で、息を乱し、自分の奉仕でライザーの肉棒を喜ばせる。それができることがとてつもなく名誉に思えて、小猫はライザーの前で何度も絶頂する。もっと、この時間を堪能したい。永遠に、この人に奉仕したい。
この人と、この人のおチンポ様に。
「あっ……」
そう思いながら扱いていた肉棒が、膨らむのを感じた。
小猫が慌てて口を開くのと、ライザーの射精が始まるのは同時だった。
びゅるるるっ、どびゅびゅびゅっ、びゅるるっ、どびゅーっ、びゅるっ、どぴゅっ!
放たれたそれは、小猫の想像を上回るものだった。
「あっ、はっ、んっ!? んぐっ!?」
顔が、口が精液に塗れる。白濁に染まって何も見えない。
体にも掛かっている。熱い精液が小猫の幼い体を白く染める。べったりと付着して、驚異的な粘着性を発揮しながら若い肌を伝っていく。体に臭いが染み込んでしまうと思えるほどに、全身が雄の臭いに包まれた。
体中がどろどろだ。受け止めることはできたが、それだけだ。
ぼたぼた、と体から床へと精液が落ちる。大切な精液を無駄にしてしまった。それに、つい先ほど調子に乗って交わした約束も守れていない。この人のためならば何でもできると思い込み、小猫はライザーの実力を勘案に入れていなかった。
「こぼしたな?」
「申し訳ございません……」
小猫は土下座をしたい気持ちでいっぱいだったが、今はそうすることもできない。
少しでも多くの精液を無駄にしないよう、小猫は両手で作った器で射精を受け止める。たっぷりと注がれたそれを前にして小猫はこぼしてしまった後ろめたさを覚えつつ、その精液を飲み始めた。
「ごくっ、ごくっ、ごくっ……」
どろりと喉に通過する精液。途中で絡んだが、無理やり嚥下して胃へと送った。
「ぷ、はぁっ……」
濃く、喉の渇きが一瞬で満たされた。そして、筆舌に尽くしがたいほどに美味だった。自分がどこにいるのかも一瞬忘れ、至上の幸福へと誘われた気分だ。自身は悪魔ではあるため機会はないだろうが、天国に昇ったとしたらこんな気持ちになるのだろう。
失態を犯した直後だが、小猫は幸せだった。
こんな気持ちになれたのだから、このまま死んでも構わない。
小猫は諦め、ライザーからの裁きを待つ。どれだけ残酷な目が待っていようとも、自分はそれを受け入れる。その結果、少しでもライザーの気が紛れるようならば、それ以上の幸せはない。
「お前に罰を与えるとしよう。……そうだな、少しの間、お前の体を貸してくれないか?」
だが、ライザーから下されたのは裁きなどではなく、褒美だった。