真夜中の暗闇を照らすフェニックスの火。俺は自室の窓辺に立って、背中から炎の翼を展開していた。普段着である赤いスーツから飛び出す翼を眺め、異常がないことを確認する。久しぶりに翼を出してみたが、問題なさそうだ。翼と火の粉がスーツや絨毯を燃やしてしまうということもない。燃やす対象の選別もできている。
「あぁ、お兄様の炎、素敵ですわ……」
と、レイヴェルの嬉しそうな声が耳に届いた。
レイヴェルは今、夜を迎えて滾っている俺のチンポをマッサージしてくれている。窓に両手を突き、尻を突き出して狭いマンコでガッチリとホールド。温かい愛液と膣圧が終始俺を攻め立てる。
俺はワンピース服に包まれたレイヴェルの細腰を両手で掴み、肉棒を深く挿入した。
「あんっ……」
俺へと振り向き、にっこりと微笑んでいるレイヴェル。愛しい妹に笑い返し、俺は子宮口に亀頭を嵌めた。より密着してきた膣肉の感触を楽しみつつ、レイヴェルの背中に置いていた灰皿に右手を伸ばした。
灰皿の中で燻っていた煙草を指に挟み、口元へ運ぶ。
咥えた煙草から深く煙を吸い、フィルター近くまで灰に変えると、煙を吐き出した。
「ふーっ……」
煙の殆どがレイヴェルに当たる。レイヴェルは顔色一つ変えずに煙を顔や頭で浴びていた。健気で可愛い妹の尻を軽く引っ叩いてやり、伝わる歓喜の震えを肉棒で感じ取りながら、殆ど灰に変わった煙草を灰皿に押し当てた。
充電完了。
レイヴェルの腰から手を離し、豊かなツインテールを掴んだ。馬の手綱を握るような遠慮のなさ。俺によって強制的に前を向かせられたレイヴェルのうなじを見下ろしながら、腰を前後に揺する。
今日はレーティングゲーム当日。大事な日だ。決戦が始まる前に一抜きしておこうと、レイヴェルを自室に呼んだ。俺の肉奴隷らしく常に準備万端な妹マンコに兄自慢の極太チンポをねじ込み、今に至る。一抜きと言いつつ、既に数発射精しているが、誤差の範囲内だ。
「あぁっ、お兄様っ、お兄様ぁっ、んんっ、あっ」
「うるさいぞ」
「あぁん、も、申し訳ございませんっ」
喧しい肉奴隷のツインテールを引っ張り、黙らせる。
レイヴェルが喘ぎ声を必死に抑え、それが震えとなっていい刺激を肉棒に与えてくれる。バイブレーション機能付きの肉オナホといったところか。道具に相応しい手荒い腰振りでレイヴェルを使用し、気分を高めていく。
ガツガツ、と肉棒が機嫌よく膣内を犯す。先走り液を撒き散らし、滑りのよくなった環境でさらに暴れる。兄の形を記憶している穴は強すぎず、弱すぎない圧力で肉棒を可愛がり、俺の射精を最後まで援助してくれた。
ぶびゅるるーっ、どびゅるるるっ、どくっ、ぶびゅびゅっ、どくんっ、どぷんっ!
膣奥で暴れる精液。子宮をいっぱいにし、逆流してくる温かい感触を亀頭で食い止めながら次々に精液を吐く。喫煙時とはまるで違う全身を喜ばせるような快感に浸り、しばらくその体勢を維持する。
「もう声を出していいぞ?」
「は、はひ……」
レイヴェルが弱弱しい声を漏らす。俺がツインテールを掴んで支えていなければ、レイヴェルはその場で崩れ落ちていたに違いない。快感で緩んだレイヴェルの顔を想像しながら、射精の追撃を子宮に食らわせた。
そうして射精の余韻に浸っていると、自室の隅が唐突に光り始めた。
部屋にある魔法陣が起動したようだ。来たか。そう思って魔法陣を見遣ると、予想通り、グレイフィアが姿を現していた。美しい顔に軽い化粧を施し、普段のメイド服姿で静かな眼差しを向けてくる。
その視線がレイヴェルへ向けられた後、俺に移った。
「ライザー様。定刻通り、ゲームは日本時間の深夜零時から開始となります」
グレイフィアに言われ、壁に掛けられた時計を見る。
時計が示す人間界の時間によると、ゲーム開始まで約二十分後だ。
俺がライザーに転生してから初めてのレーティングゲーム。今まで面倒だからといって避けてきたが、今回ばかりはそうはいかない。既にグレイフィアから対価を貰っている。俺はゲームで道化を演じ、リアスに負けなくてはいけないのだ。
「準備はよろしいでしょうか?」
「あぁ。大丈夫だ」
言いながら俺が炎の翼をしまうと、部屋は魔法陣の光だけを残して暗闇に染まった。
「他の眷属の方々はどこへ……」
この場には俺とレイヴェルの二人しかいない。そう思ったのだろう。レイヴェルの膣内から取り出した肉棒をズボンにしまい、だらしなくへばったレイヴェルの体を横抱きにする俺を見て、グレイフィアは不審げに眉を顰めた。
「私たちのことをお探しですか?」
女の声に、グレイフィアの表情が一瞬凍りついた。
今、その存在に気がついたのだろう。グレイフィアの視線が俺の背面に慌てて転じた。
壁を背に佇む女三人。髪色や体格などは明らかに異っているが、三人は一様に同じ服装だ。黒い極薄生地のレオタードボディスーツを纏い、同色の長手袋とストッキングを身に着け、ハイヒールを履いている。
スーツに空いた丸い穴から乳輪と陰部を露出させ、乳首ピアスと陰核ピアスが揺れている。それ以上に存在感を主張するのは、スーツからでもはっきりと浮かんで見える紫色の淫紋と、マンコにギッチリと挿入された極太バイブだ。
そのバイブは俺手製のもので、主人の許可なく抜くことができない。他人のチンポを入れられる心配もなく、また、一定時間経過するごとにバイブの先端から俺の精液が噴出し、子宮内を俺の遺伝子で洗う機能もついている。
まるで戦える格好には見えないだろうが、これがこの奴隷たちの制服であり戦闘服だ。
俺はレイヴェルをベッドに優しく寝かせると、三人の奴隷に声を掛けた。
「お前たち、準備はできているな?」
「はっ!」
声を揃え、俺に綺麗な敬礼を披露する三人。
グレイフィアは平静さを取り戻し、その三人を見ながら口を開く。
「『女王』のユーベルーナ様。『僧侶』の
グレイフィアが告げたその名前は全て、この場にはいない俺の眷族たちの名前だった。その眷属たちと目の前の女三人は与えられている悪魔の駒の種類が一致しているだけで、容姿が似ているわけではない。見間違えるはずがなかった。ましてや、グレモリー眷属のことをよく知っているグレイフィアが他人と誤認するなど、明らかに異常だった。
女三人、姫島朱乃とアーシア・アルジェント、塔城小猫の表情に冷笑が浮かぶ。
俺の能力により、周囲から向けられる三人に対する認識は改変され、誰も三人のことをグレモリー眷属であると認識することができなくなっている。今三人が浮かべた笑みも、俺以外の者には見えていないはずだ。
この場にいるのは、ライザー・フェニックスの眷族三人。グレイフィアだけでなく、誰もがそう思ってくれるはずだ。この認識改変は魔王クラスにも通用することも確認できている。また、特定の相手だけの認識を操ることも可能で、認識改変を行使する権限は三人にも与えられている。これで、誰に咎められる心配もなく遊べるってわけだ。
「ライザー様を含めると、フェニックス陣営は五人での出場ということになりますが」
面子に疑問を抱けないグレイフィアは、代わりに人数に疑問符を浮かべた。
「五人? 四人だ。レイヴェルを頭数に入れるつもりはない」
勝利を目指す戦いならば頭数が多い方がいいが、今回は逆だ。幸せそうに俺のベッドで眠るレイヴェルには、そのまま休んでいてもらおう。
「手加減だよ。必要だろ? なにせ、相手はレーティングゲーム初心者なんだ」
リアスは納得しないだろうが、試合が始まれば文句を言う暇もない。
リアスの勝利を望むグレイフィアにとって悪い話ではない。
「かしこまりました」
案の定、グレイフィアは素直に頭を下げた。それはただの了承の証か、それともリアスにハンデを与えた俺に対する敬意の礼か。考えたが、後者はあり得ないか。
「それでは、時間になりましたら魔法陣にお入りください」
俺は一応レーティングゲーム経験者であるため、グレイフィアからの説明はないが、魔法陣に入るとレーティングゲーム用の戦闘フィールドに転送されることになっている。転移先は異空間に用意された使い捨ての世界であり、どれだけ暴れても問題ない。
「それでは、失礼いたします」
グレイフィアは再び恭しく一礼すると、魔法陣を介して別の場所へと転移した。リアスたちグレモリー眷属の下へ向かったのだろう。そして、向こう側にいる朱乃とアーシア、小猫の存在に違和感を抱くこともなく、ゲームの説明をするはずだ。
「真面目に戦うつもりのリアスたちには悪いが、俺たちの遊びに付き合ってもらうとしようか」
俺が後ろを振り向くと、朱乃たちが小さく笑い声を上げた。
三人の声が響く中、時計の音が静かに時を刻んでいた。
時間の経過を待ち、俺は三人を侍らせ、魔法陣へ。
立ち昇る光の柱に身を包まれ、自室の光景は戦場の拠点へと変貌した。
『ただ今より、グレモリー眷属対フェニックス眷属のレーティングゲームを開始いたします。本試合の審判を務めさせていただきますのは、私、グレモリー家使用人のグレイフィアでございます』
転移先、学校の生徒会室と思しき部屋に、グレイフィアの声が届いてきた。校内放送用のスピーカーからだ。ここは学校で間違いはなさそうで、おそらくはリアスたちが通う駒王学園を模して造られた空間だ。
俺は生徒会長用の椅子に座り、机の上に足を投げ出す。
その前には、朱乃とアーシア、小猫が整列していた。
「ライザー様、ご指示を……」
「そうだな……」
小猫に問われ、俺は軽く首を捻った。
『本日の戦場は、リアス様が通う人間界の学校、「駒王学園」を模して造らせていただきました。グレモリー眷属の本陣は旧校舎にあるオカルト研究部の部室、フェニックス陣営の本陣は新校舎にある生徒会室となっております』
各陣営、拠点からの出発となり、相手チームの王を倒すために戦場を駆け回る。今回のレーティングゲームは特別なルールのない単純な戦いであり、ひとまずは相手陣地に仕掛けるための橋頭堡となる場所を確保するのが先決だ。
『「兵士」の方が「プロモーション」するには、相手の本陣まで赴く必要がございます』
相手の本陣に攻め入った『兵士』は、『王』以外の駒に昇格できるプロモーションが可能だ。と、グレイフィアが言っているが、こちら側には『兵士』はいない。『女王』と『戦車』と『僧侶』が一人ずつ。
『本ゲームの制限時間は夜明けまで。勝利条件は、相手の「王」の撃破です』
どう戦おうか。なんて、ゲームが始まってから考えることでもない。
作戦と呼べるものではないが、勿論事前に決めてある。その通りに動けばいい。
『それでは、試合を開始してください』
「我々が先攻だ。全員捕らえろ。男共は好きに可愛がってやれ。俺の護衛は不要だ。さぁ、行け」
「はっ!」
敬礼し、三人は足早に部屋を出て行く。扉を開いて廊下に出ると、正面にあった窓を開けて一人ずつ空に身を預ける。生徒会室は最上階に位置するようだが、三人は俺の分身体から与えられた紫色の炎の翼を展開し、空を駆けて行った。
レーティングゲームが始まる当日までに戦闘訓練を念のために積ませていたから、もしかすると俺よりも翼の扱いに慣れているかもしれない。頼りがいのある下僕の後姿を見送ると、俺は席を立って窓の前に向かった。
異空間に造られた世界の空は白かった。まるで日中のようだ。
窓の外を眺めていると、遠くから爆発音が聞こえてきた。早速、建物か何かを破壊したのだろう。俺の奴隷たちか、もしくはグレモリー眷属か。おそらくは前者だろうが、グレモリー眷属にも隠し玉があるかもしれない。
「
神器。聖書の神により、人の血を引く者に与えられる特殊な能力。人ならば誰でも与えられるものではなく、限られた人間だけだ。その能力も人によって種類や強さは様々で、神器の力を生きている間に引き出せる人間はさらに絞られる。殆どが、神器を宿していることに気づかずに一生を終える者が多いという。
その神器所有者が、グレモリー陣営側に三人いる。
木場祐斗と兵藤一誠、アーシア・アルジェントだ。
アーシアはこちらの手駒であるから問題ないが、木場と兵藤が気掛かりだ。兵藤の神器は特に異質な物だという話をレイヴェルから聞かされていた覚えがあるのだが、内容を全然覚えていない。こればかりは、興味を抱かず聞き流していた俺が悪い。
「……まぁ、いいか」
最終的に負けられるのではあれば、戦況がどうなろうと構わない。
状況が動いて連絡が来るまでは寝ていよう。部屋にあった応接用のソファーに身を投げ出し、俺は大きく欠伸をする。暇潰し用にレイヴェルを連れてくるべきだった。遅すぎる後悔を抱きながら、俺の意識はゆっくりとまどろみに浸かり始めた。
ゲーム開始直後。
戦闘が長引くことを想定し、拠点であるオカルト研究部の部室で準備を進めていたグレモリー眷族だったが、開始一分足らずでいきなり戦況が動くことになるとは誰も思いもしなかっただろう。
「うわっ……!?」
話し合い、戦略を練っていたリアスたちの話に耳を傾けていた一誠は、突然響いてきた轟音と足元が不安定になるような衝撃に目を剥いた。
一誠が尻餅を突き、アーシアが体勢を崩してソファーで体を支える中、祐斗と小猫は立ったまま油断なく周囲を警戒していた。二人よりも落ち着いた様子でリアスと朱乃が音の発信源である窓の外を見つめていた。
「早すぎる……」
「まさか、短期決戦のつもりでしょうか?」
眉を潜めて呟くリアスに朱乃が疑問を投げ掛ける。リアスは「短期決戦にしても、妙ね」と、言葉を返し、静まり返る部室内を見渡す。
続く襲撃の気配はない。ただ短期決戦を望むのならば、相手の意表を突く初手は有効打だ。それをせず、まるでこちらの反応を窺っているような攻め方。
「私たちを炙り出す気みたいね」
「そのようですわね……」
リアスと朱乃。王と参謀が導き出した結論に、一誠は首を傾げた。
六人しかいないグレモリー陣営と違い、フェニックス陣営の最大戦力は十五人だと聞いている。フェニックス陣営に眷族の出し惜しみをする利点はなく、このゲームではおそらくフルメンバーが投入されるとリアスは言っていた。
その人数差がありながら、一気に勝負を決める一撃目を外し、二撃目を仕掛ける気がない。自分たちを炙り出したところで相手がいったい何をしたいのか見当もつかず、一誠は頭を悩ませた。
そうしていると、部員たちが意見を交わし合う。
「このまま籠城しているとまずいのでは?」
と、祐斗。
「ですが、外に出ても一網打尽ですわ。おそらく、敵は既に旧校舎を包囲しているはず。相手の目的はわかりませんが、炙り出しが済むまでは攻めて来ないかと」
その間に策を、と朱乃は言う。
「気が変わるかも知れないです……」
オープンフィンガーグローブをしっかりと手に嵌め、小猫はやる気を漲らせている。
三人を緊張した面持ちで見つめるアーシアと、冷静に思考に意識を集中させているリアス。そして、一誠も緊張感を張り巡らせながら、自身の身に宿る力を呼び覚ます。
「ブーステッド・ギア!」
一誠の左腕に現れた赤い龍の腕を模した手甲、神器『
つい最近までただの高校生だった一誠ではある程度の倍加を行うと力が暴発してしまうが、倍加を途中で留めても十分な力を得られる。
「皆、聞いてちょうだい」
戦闘準備を整えた一誠や他の面々を順繰りに見回し、リアスは全員に語りかけるように紡いだ。
「相手の包囲状況がわからない以上、数の分散は危険よ。だから、私たちはこれから一塊になって行動する。包囲を強行突破して穴を作り、そこから退路を切り開くわ。それ自体が罠である可能性も拭えないけど、いつまでも脆い校舎内に留まっていても状況は良くはならない」
やろうと思えば、旧校舎ごと先の攻撃で破壊できるはず。あまりにもグレモリー陣営の籠城が長引けば、相手も痺れを切らして攻撃を再開するのが普通だ。
ここは敢えて、相手の誘いに全力で立ち向かう。
「いいわね?」
リアスの念押しに、一誠たちは揃って返事をした。
そして、王であるリアスを中心に、一団となって移動を始めようとした矢先だった。
ぞわり、と全身を悪寒が包み込んだ。
背筋に寒気が走り、恐怖心が心身を舐める。すぐ近くでアーシアが搾り出した呻くような声を一誠の耳は捉えていなかった。今こうして立っているだけでやっとだ。それほどまでに生物としての本能が、窓際にいる何かに威圧されていた。
振り向きたくない。そんな思いを恐怖とともに振り払い、一誠は窓際を見た。
「遅すぎる話し合いは終わりましたか……?」
窓の内側。そう室内だ。確かに誰もいなかった場所に女が立っていた。顔の右半分だけを仮面で覆ったその女は、一誠を含む全員の視線が集まったのを確認すると、持ち上げた右手の平の上にそれを生み出した。
「それでは始めます……」
最初は小さな火の玉。それが一瞬にして膨れ上がると、大爆発を引き起こした。
つんざく爆発音で聴覚が一時的に麻痺する。視界が眩い光で覆われ、一誠はとっさに顔を両腕で守ることしかできなかった。先ほどの比ではない衝撃波に体が吹き飛ばされ、体中に旧校舎の一部だった木材が当たる。
部室のあった三階の高さから地面に叩きつけられ、勢いを殺せず転がる体。
数秒ほど転がり、着ていた制服が土に塗れる。
「げほっ、ごほっ……!」
体中が痛い。だが、動けないわけではない。
一誠は足腰に鞭を入れて立ち上がると、捉えた光景を見て愕然としそうになった。
「そんな……」
あったはずの旧校舎はそこにはなく、代わりに瓦礫の山が存在していた。所々に焙られたような焼け焦げた跡があり、殆どが木材で構成される建築物を火種にして無数の煙が白い空へと昇っていく。
「皆!」
一誠は姿の見えない仲間たちを探そうと、瓦礫に駆け寄った。
まさか、全員逃げ遅れた? あり得ないことだ。アーシアを除けば、一誠は眷属の中で最弱。いくら神器が強力でも、その恩恵を授かっていない生身の状態はまだ貧弱だ。仲間が助かっていないのに一誠だけが難を逃れ、五体満足でいられるのがおかしい。
「お仲間でしたら、こちらですよ……?」
上から降り注ぐ声。視線を振り上げた一誠が見たのは、空から舞い降りてくる仮面の女。修行の際に仲間から教えてもらった情報によれば、この女はフェニックス眷属の『戦車』、イザベラだろう。
そのイザベラの周囲には、囚われたリアスたちが浮いていた。
イザベラの背中から噴き出す紫色の炎で作られた翼。そこから炎が触手のように細長く伸び、一誠以外の仲間全員の体を捕縛していた。炎の熱を自由に調節できるようで、気絶した状態で全身を拘束された仲間たちの表情に苦痛は見られない。
「拍子抜けでした……。こんなに弱いだなんて……」
胸元を大きく開けたジャケットと、ジーンズの片側を切り取って太股を露出させた出で立ち。クールな雰囲気から伝わってくる印象とは裏腹に、その口調は妙に丁寧だった。てっきり男勝りな口調なのだと思っていたが、違ったようだ。
イザベラは期待外れとでも言うように肩を落とした。その仕草に、一誠は怒りを覚える。今すぐ傍に駆け寄って仲間を奪い返してやりたい。しかし、悪魔の羽でまともに飛ぶことのできない一誠では、上空まで迎えない。
「おいっ、降りてきやがれ!」
手も足も出ないとなれば、あとは口しかない。一誠としても言ったところで相手が地上に降りてくるはずはないと理解していたが、何かをしていないと気が済まない。
だが、想像以上に相手は素直だった。
イザベラがリアスたちを引き連れ、瓦礫の山の頂に立つ。
「これでいいですか……? イッセー先輩……?」
イッセー先輩。まるで小猫のような呼び方だ。敵にそんな呼び方をされ、一誠は馬鹿にされているのだと思った。いよいよ体に熱が湧き上がり、一誠は力を蓄えるための準備を始めた。
「ブースト!」
『Boost!』
一誠に呼応して、左手を覆う籠手から男の声が響く。すると、全身に力が漲ってくる。
明らかに力を増した一誠を前に、イザベラは微動だにしなかった。こちらの準備を待ってくれているのだろうか。それこそ侮られている証拠であり、突くべき油断だと一誠は考えた。
『Boost!』
十秒後、再び音声が鳴り、さらに能力が倍になる。それでも相手は動かない。
二回、三回、と倍加による能力上昇の恩恵を受ける。
この恩恵は無限ではなく、現在の一誠が増大する力に耐えられるのは数分間の倍加が限度。それ以上は体が負荷に耐えられず、『Burst!』という音声とともにせっかく集めた力が拡散し、倒れてしまう。
可能な限り力を倍加し、一誠は敵と周りを警戒する。イザベラは手を出す気はないようだが、どこかに隠れ潜んでいるであろう残りのフェニックス眷属たちが横槍を入れてくる可能性は大いにある。
それも、一誠の杞憂に終わった。
「よし!」
『Explosion!』
その音声によって、力の倍加が止まる。現状で行える最大の倍加だ。修行を経て倍加できる上限も増え、まるで自分の体とは思えないほど身軽だ。力も手に余るほど膨れ上がっているが、無駄遣いはできない。
溜めた力はいつかなくなる。無駄な行動をするほど、力が抜け出てしまう。
最短で最大の攻撃を。一誠は地面を強く踏みしめ、蹴った。
弾丸のように突き進む一誠に、瓦礫の天辺にいるイザベラは反応できていないようだ。その場から全く動こうとしない。
いける!
「おりゃぁああっ!」
一誠は左腕を思い切り引き、相手に向けてその拳を放った。
イザベラの腹に突き刺さり、その体が殴られた勢いでくの字に曲がる。「かはっ……!?」と息を吐き出すイザベラに手応えを感じた一誠は、自分の攻撃が相手に通用することを知り、戦闘意欲を高めた。
まだだ。他の敵が現れないうちにイザベラを仕留める。そして仲間を救出し、戦況を立て直す。
一誠が再び引いた左腕はしかし、二撃目の拳を放つことはなかった。
背後に立つ誰かが左腕を掴み、少しも動かすことができない。
「イッセーさん、小猫ちゃんを殴っちゃだめですよ?」
「え……?」
耳慣れた声。振り向くと、一誠の瞳は囚われているはずのアーシアを映し出した。
どうしてだ? だってアーシアは、イザベラが。
一誠は前を向き、炎の触手で拘束されているアーシアを見ようとして、腹部を襲った拳の一撃に悶絶した。疑問や意識が丸ごと吹き飛ばされそうになるのをどうにか留め、後方に殴り飛ばされながら一誠は見た。
イザベラだった女が、その姿を、見知った後輩のものに変えていた。
「安いパンチのお返しです……」
小猫が、右の拳を軽く突き出している。それで一誠を殴ったようだ。
一誠は小猫と笑みを浮かべるアーシアの姿を目にした後、瓦礫の下まで転がり落ちた。先ほどと同じだ。地面に転がり、土で体を汚す。そのまま回転を続け、ようやくうつ伏せになって体が止まる。
「が、はっ、げほっ……!?」
先ほどと違うのは、腹を中心に蝕む激痛だった。まともに立ってなどいられない。苦痛の声が自然と漏れてしまう。足掻いて拳で地面を強く掴もうとしても、極度の負傷によって爪すら立たない。
「ぅ、ぐ、が……!」
何がどうなったのか。アーシアに攻撃を止められ、直後に小猫に殴られた。自分が見た光景を思い出すとそれが事実なのだろうが、到底信じられない。現に、視界の端にぐったりとした様子で捕縛されたままのアーシアと小猫の姿が確認できた。
敵の策略だ。一誠はそう思った。
「あらあら、大丈夫ですか? イッセー君」
うつ伏せに倒れる一誠に掛けられる憐憫の声。見下ろしてきた視線に視線をぶつけると、今度は朱乃の容姿を真似た敵がそこにいた。
太股や肩回りの肌を晒しているばかりか、へそや乳輪、陰部などの隠すべき場所も丸見えになった頼りないドスケベボディスーツ。そのせいで、乳首や陰部に嵌められたピアスという妖艶な装飾品が否応なく見せられてしまう。
勿論、膣にぐっぽりと挿入された黒いバイブの先端も、一誠は見てしまう。
仲間の姿でなんて恰好を。
敵の美女がただいやらしい格好をしているだけならば、一誠も歓迎しただろう。思わず視線で全身を舐め回してしまうこと間違いない。
だが、相手が自分の仲間の姿を偽っているのなら話は別だ。仲間を侮辱されたような激しい怒りで熱を抱く。顔が熱い。生理現象で股間にも血が集まってしまうが、今はそんな場合ではないと理性を優先する。
「ふざ、けんな……」
「うふふ。いけませんわ、こんなにボロボロで」
気合一つで地に足をつけた一誠だったが、繰り出した拳は弱々しかった。正面にいる朱乃に容易く受け止められ、よろめく体を抱き締められる。むにゅっとスーツ越しの乳房が体に押し当てられ、朱乃の艶やかな微笑を間近に見てしまう。
甘い香りに包まれる。意識が、ぼうっとしてくる。
「なんだ、これ……」
「どうせ敵わないのですから、歯向かってはいけませんよ? イッセー君」
声が脳を揺さぶる。話しかけられただけで、触られただけで気持ちいい。朱乃の口が顔に近づき、息が頬に吹きかかる。まさかキスされるのか、と一瞬思ってしまったが、一誠の期待通りの展開とはならなかった。
「ふーっ……」
耳の穴に息を吹き込まれただけ。それだけのはずだった。
「あっ……」
どびゅっ、ぶびゅっ、びゅるるっ、どくっ、どぷっ。
一誠のズボンで膨らんでいた肉棒が、暴発した。尿道から精液を放ち、下着の中を汚す。そんな惨めな一誠を見て、朱乃はくすくすと笑い、面白がるように耳穴へ立て続けに息を吹きかける。
「ふーっ……」
どびゅーっ、びゅるるっ。
「ふーっ……」
びゅぶっ、どぴゅっ、どぷんっ。
「あっ、あぁっ……」
抑制が利かず、精を噴き出す性器。一誠は初めて体験する連続射精に悶え、快楽に目を潤ませる。ただでさえ力が入らなかった体から完全に力が抜け出てしまい、朱乃に身を預けることしかできなかった。
「面白いですわね、この玩具」
「壊しちゃだめです……」
「そうですよ、朱乃さん。ゆっくり、可愛がってあげないと」
朱乃に弄ばれる一誠の下へ、小猫とアーシアが集う。
朱乃の胸に顔を埋めるようにして、射精をしながら呆然とする一誠は、この場にいる三人全員が見たこともないドスケベ衣装を身に纏っていることに気がつく。小学生のようなロリっ娘である小猫も、可愛い妹のように思っていたアーシアも、極太バイブをマンコに。
ヴヴヴヴ、と振動するバイブの低音が一誠の耳に届いた。
「うっ……」
また射精し、一誠が声を上げる。
それを見て、三人が笑った。
「童貞チンポのイッセー先輩には刺激が強すぎました……」
「仕方がありませんわね。自慰の味しかしらない童貞おチンポですもの」
「はい、イッセーさんはライザー様と違って、未経験の童貞おちんちんさんですから」
童貞を強調され、馬鹿にされる。本物の三人ならば到底言うはずのない下品な言葉遣いは一誠に味わったことのない快感を抱かせる。偽物だ。そうに違いない。頭ではわかっているはずなのに、三人の姿で、声音で言葉を紡がれると勘違いしてしまう。
この三人は本物ではないのか、と。
度重なる刺激によって意識が蕩ける。そんな一誠を抱き締めていた朱乃は、優しく一誠の体を地面に寝かせた。三人が一誠を囲んでしゃがみ込み、何かをしている。どうやら、ズボンを脱がそうとしているらしい。
どうしてこんなことに。こんなものはもはや試合でもなんでもない。ただの凌辱だ。審判であるグレイフィアは何をしているのだろか。この光景を目にしているのならば、真っ先に止めてくれてもおかしくないのに。当たり前の疑問が一誠の脳内をぐるぐると回る。
一誠は母に世話を焼かれる赤子のように、三人の手で全裸に剥かれた。地面が冷たい。それに対して、股間は精液に濡れて生温かい。早く風呂に入って、この嫌な感覚を拭い去りたい。
場違いな感想を抱く一誠の前で、三人が見下ろしてきた。
「これ見えますか? イッセーさん」
アーシアが両手で持った何かを見せつけてくる。
手の平で揺れる、透明な粘体。まるで、ゲームかなにかに出てくるスライムのようだ。気のせいでなければそれは意思を持っていて、アーシアの手の上でぷるぷると震えていた。
「これは、『サキュバス・スライム』という生物です。ライザー様のお手製ですよ?」
たったそれだけの説明の後、「これはこうやって使うんですよ?」と言ってアーシアがスライムを一誠の股間に垂らした。
すると、一誠の肉棒に纏わりついたスライムがその体を別の何かに形作り始めた。元の体積よりも明らかに膨らみ、透明な体に色がついていく。徐々に明らかになっていく変身後の姿を見て、一誠は目を見張った。
「どうですか? イッセーさん。私のおマンコ、気持ちいいですか?」
アーシアと寸分違わない容姿をした金髪色白美少女が、一糸纏わぬ姿で一誠の股間に跨っていた。スライムとは思えない生身に酷似した感触で、肉棒をずっぷりと咥え込んでいる。すぐ傍にいるアーシアと違う点といえば、ボディピアスがないところくらいか。
一誠の心臓が高鳴る。アーシアのマンコに抱き締められる肉棒が喜ぶ。
一誠はスライムアーシアから視線を剥がし、説明を求めるように朱乃たちを見た。
しかし、三人はニヤニヤと笑うばかりで補足説明を入れてこない。
「イッセーさん、駄目です。私を見てください」
スライムアーシアが覆い被さるように前のめりになった。両手を一誠の頭の左右に突き、たぷんっと色白い乳房を揺らす。うっかり見たことのあるアーシアの裸と同じ体だった。桜色の乳輪の中心でツンと立つ可愛い乳首も本物と何も変わらない。
まずい。このまま繋がっていては、まずい。
膣にきゅうきゅうと吸いつかれ、一誠の肉棒は次の射精に備えてしまっている。明らかに偽物とわかっているアーシアに襲われ、その膣内で射精。それをしては何もかもが終わる。そんな気がしていた。
逃げないと。一誠が逃走を図ろうと身じろぎすると、アーシアの膣が締まった。
「くぅっ……!」
駄目だ。大事な場所を根元まで掴まれて、身動きが取れない。小猫の拳によって体が悲鳴を上げているせいもあるが、それ以上に、一誠の男としての肉体がスライムアーシアの具合のいい肉体に支配されている。
「逃がしませんよ? イッセーさんにはここで、私の子作りを手伝ってもらいます」
そう言ったすぐ後、スライムアーシアが腰を動かす。一誠の顔を見下ろしながら下半身をくねらせるように動かし、尻を思い切り一誠の股間に叩きつける。ぱぁんと大きな音を響かせる強力な一撃は肉棒を隅々まで嬲り、一誠の思考を真っ白にした。
「スライムの子供、たくさん産ませてくださいね? イッセーさん」
スライムの夫として、スライムの子供を作らされる。その事実を知って一誠は動揺の声を上げそうになったが、スライムアーシアに抱き着かれ、唇を塞がれたせいで声が出せなくなる。
「んむっ!? んんっ!?」
『あとで催し物もあるそうです、それまでは、たーっぷり楽しみましょうね?』
スライムアーシアの体から伸びた二本の触手が一誠の耳に入り、触手を通じて耳の中に直接声を送り届ける。同時に耳穴をぬちゃぬちゃと触手に犯され、未知なる刺激も浴びせられる。力づくで逃げようとしても、スライムアーシアの体が文字通り蕩け、一誠の体を抱き締めるように触手を伸ばしていた。
ほぼ全身丸呑み状態。スライムアーシアを引き剥がさない限り、交尾は続く。
『イッセーさんの精子をごっくんして遺伝子情報を凌辱した後、約数十秒後には私の子宮で私たちの子供が誕生します。またさらに数十秒後には、今の私くらいに成長します。イッセーさんと私のモデルとなった「アーシア・アルジェント」の才能や「神器」すらもコピーした優秀なスライムの誕生です』
体の殆どを粘液で覆われ、唯一形を残したアーシアとしての体が一誠の股間で下品に尻を振る。振り下ろされる尻が粘液と弾けてぱちゃぱちゃと音を立てる中、一誠はスライムアーシアの濃密すぎるベロチューに襲われ、言葉一つ発することができない。
『ちなみに、私の好きな食べ物は男性の精液と、自分で産んだ子供なんですよ? 子供が手に入れた才能も力も全て、私のもの。私似の可愛い子は傍に置いてもいいですが、駄目な子を産んだら、私が全部食べちゃいますからね? 優秀な子を、いっぱい作りましょう?』
産んだ子供すらも取り込み、自分の力とする最悪なスライム。
それを作り出したらしいライザー・フェニックスに対して、一誠は底知れぬ恐怖を抱いた。