「祐斗君」
誰かに名前を呼ばれた。大人びた優しい少女の声音だ。
「起きてください」
祐斗はその声に聞き覚えがあった。祐斗の仲間である朱乃のものだ。頬を撫でる手もおそらく朱乃のものだろう。慈しむような触り方は、出会ったこともない母を想起させる。
何をしているのだろう。今、自分はどうなっているのだろう。
意識を醒まし、目蓋を開こうとする。だが、思いとは反対に目蓋はピクリともしなかった。目蓋だけではない。両手首を縛る何かによって両腕を吊し上げられている感覚はあるのだが、手は一ミリたりとも自分の意思では動かせない。
代わりに、唯一自由の利く頭を動かした。
「気分はどうですか?」
気分は、悪くなかった。意識が妙にふわふわとしていて、心地いいとさえ感じる。体が妙に熱く、肉棒が硬く勃起していたが、不思議と気にならなかった。男ならば勃起するのが当たり前だと思っていた。
祐斗は裸のようだった。吹く風が体に当たり、肌寒い。地面に膝を直接突いているようで、砂と擦れて微かな痛みがある。ズボンも下着も履いていない産まれたままの姿を外で晒している。
だが、それも気にならない。裸であることが普通だと認識していた。
「返事がありませんね」
「朱乃さん、声が出せないみたいですよ」
「目も開けられないみたいです……」
祐斗の近くには、朱乃以外にもアーシアと小猫もいるようだ。
「あらあら。失敗してしまいました。力の制御が難しいですわね」
「当たり前です……。ライザー様から頂いたお力ですから……」
ライザー様? 小猫の言葉の中に、祐斗が引っ掛かりを覚える部分があった。
何か大事なことを忘れている気がする。ここでこうして目覚める前に、自分は何をしていたのだろうか。思い出そうとするが、仲間たちと集まって何かをしようとしていた、という漠然とした内容しか記憶になかった。
「えっと、こうでしょうか」
祐斗の頬に宛がわれていた朱乃の手が目蓋を覆う。少しだけ熱を感じた。その直後、目蓋が自由に動くことに気がつく。目が開けられる。祐斗が光を求めて目蓋を開くと、覆っていた朱乃の手が離れた。
寝起きでぼやけた視界の正面に朱乃と、その両側に立つアーシアと小猫の姿を捉えた。皆一様に楽しげだった。何か良いことでもあったのだろうか。まるで、玩具を買ってもらったばかりの子供のようだ。
「話せますか? 祐斗君」
朱乃に聞かれ、祐斗は声が出せるようになったことにも気がついた。
「はい」
「今、自分が置かれている状況がわかりますか?」
その問い掛けに祐斗は微かに困惑した後、自分の周囲を観察し始めた。
小猫の背中に生えた紫炎の翼。炎の一部が縄状に伸びて、祐斗の体を持ち上げるように両手首に巻きついている。炎であるように見えるのだが、熱さは感じない。あくまで祐斗を拘束するだけを目的としているようだ。
しかし、何故だ。何故自分を拘束するのか。
ニヤニヤと笑う小猫たちの顔を順繰りに見つめた後、祐斗は別の存在に気がついた。
「イッセー君!?」
右斜め前に陣取るアーシアの遥か後方に、何かに襲われている一誠がいた。遠目であるが故にはっきりと視認できないが、アーシアに似た背格好の金髪の少女が一誠の上で苛烈に暴れているようだった。少女が尻を高速で振り下ろす度に、水音がぐちゅぐちゅと響いてきた。
その周りには、やはりアーシア似の少女が群がっていた。
口を塞がれているらしい一誠の呻き声と、複数人の少女の笑い声が風に乗って流れてきた。
「んーっ!? んんーっ!?」
「出せ、出せ。子種ぶちまけろ。無様にひり出せ、神器だけが取り柄の半人前悪魔」
「いーけっ、いーけっ。あっ、出たぁー。お父さん、お射精できて偉いねぇ」
「ママのお腹の中で、ごぷんっ、どぷんって噴き出てるよ? ねぇ、透明にしているから見えるでしょ? パパが金玉に貯め込んでいた子種汁が、ママのスライム子宮の中で泳いでいるよ?」
「ねぇ、お父さん。私、妹が欲しいなぁ。早く女の子作ってよぉ」
「今度はどっちかな? ねぇ、ママ。女の子? それともまた男?」
「どうやらイッセーさん似の可愛くない男の子ですね。イッセーさん、駄目じゃないですか。可愛くない子を作ってはいけませんよ? 残念ですがこの子も、私の栄養分として消化してあげますね?」
「あーっ、お父さんいけないんだぁー。お精子無駄にしたぁーっ!」
「アンタ、子作りもまともにできないの? 本当に情けない種馬ね。でも、まぁアタシを最初に作ってくれたことは感謝してあげるわ。母様に捨てられたら、アタシが可愛がってあげてもいいわよ? 永遠に」
「ふふっ、私はイッセーさんを捨てたり食べたりしませんよ? イッセーさんには、赤龍帝の力を宿した兵士をいっぱい作ってもらいますからね? 将来、ライザー様が冥界やそれ以外の土地を攻めることがあるかもしれませんので、それに備えて。頑張りましょうね?」
ライザーの手先である少女たちに襲われ、ライザーの手駒である兵士作りを強要される一誠。あまりに無残な姿に祐斗は視線を逸らし、目の前にいる朱乃たちを見つめ、睨み据えた。
「裏切った、ということですか?」
祐斗は冷たい声を放った。
「端的に言えばそうですね。はい、裏切りました。それがなにか?」
「元々仲間だったつもりはないです……。一緒にしないでください……」
「はい。ライザー様のおチンポに屈してしまいました。あの、何か文句でも?」
祐斗の敵意を向けられてなお、三人に悪びれた様子はない。
仲間たちは変わってしまった。その身を包むいやらしい衣装と、乳首や陰核についたボディピアス。ライザーの所有物であることを証明する物なのだろう。膣内を埋め尽くすバイブも含め、祐斗の気分と股間をイライラさせる。
「そうですか」
祐斗は怒りとともに、力が漲ってくるのを感じた。肉棒もさらに勃起する。
その力は今まで感じたこともないほど強大だ。自身でも制御できるかわからない。
だが、制御しなくてはいけない。目の前の三人からは、以前とは比べ物にならない力を感じる。おそらくライザーに力を与えられたのだろう。まだ悪魔になりたての一誠はともかく、リアスすらも容易く無力化するほどの。
祐斗は朱乃たちの後方にある物体に視線を送る。
旧校舎の近くにはなかったはずの、白い円柱の台座。台座の中心には鉄の棒と思われる物が立っている。まるでポールダンス用のお立ち台だ。そこには衣装と思われる服が置かれ、すぐ傍に制服を着た一人の少女がいた。
祐斗たちの主であるリアスだ。気絶しているらしく、ぐったりとしている。命に別状はないようで、その呼吸は安定していた。
リアスの、主のスカートから覗くショーツに包まれた健康的な尻と、ムチムチとした太股。祐斗はまたしてもチンポをイライラとさせ、その苛立ちを力に変え、両手首を拘束していた炎の縄を無理矢理振り解いた。
「ちっ……」
乱暴に扱われ、小猫が忌々しげに表情を歪めた。長手袋に覆われた拳を握り、祐斗を殴ろうとするように歩を進めたが、その進路を遮るように朱乃が手を伸ばした。
「大丈夫。祐斗君は既に私の術中ですわ。面白いものが見られますよ?」
「なるほど……」
にや、と口の端を片方吊り上げ、小猫は立ち止まった。その横でアーシアも微笑んでいる。自分たちに敵意を向ける元仲間が眼前にいるとは思えない、緊張感の欠片もない様子だった。
そんな小猫たちの前で祐斗は立ち上がり、『剣』を右手で握った。
祐斗は丸腰だった。だというのに、なぜ『剣』を持っているのか。
祐斗は、一誠のように神器を所有している。『
なのだが、その能力と今の状況はまるで関係がない。
祐斗は今、神器を使用していない。
祐斗が手にした『剣』。それは、祐斗自身の肉棒だ。
「今、目を醒まさせてあげます」
自分の行動に疑いを持つことなく、仲間を守るために祐斗は肉棒を握り、扱き始めた。
祐斗の視線は油断なく朱乃たちを見つめる。学校中の男子生徒や男性教諭を虜にする魅力的な容姿をした三人。普段祐斗は女に興味がない振りをしているが、それは間違いだ。祐斗もまた思春期。さりげなく、女の体を視線で追ってしまうこともある。
セックスはまだだが、自慰の経験は当然ある。
その自慰のおかずとなるのは、殆どが仲間のあられもない姿だった。場合によっては仲間との性行為、それも種付け行為を妄想している。申し訳ないと思いはするが、魅力的な異性なのだから仕方がない。学校で欲情した姿を見せないよう、金玉で溜まりに溜まった精液を夜な夜な自宅でコキ捨てている。祐斗は立派なムッツリスケベだった。
そんな祐斗がこの状況で、手慣れた様子で自慰を始めたのには理由がある。
朱乃たちはライザーに抱かれ、自分たちを裏切ったのだろう。長年一緒にいた仲間を容易く裏切ってしまえるほどのライザーの力。おそらく、その肉棒も桁外れの逞しいものであるに違いない。
ライザーとライザーのチンポに屈した三人を正気に戻すには、ライザーよりも逞しい雄の姿を見せる必要がある。故に、肉棒を抜剣したのだ。決して三人に触れることなく、自慰によって男らしさを見せつける。
地面にしっかりと立ち、シコシコ、と肉棒を扱く祐斗。
「き、木場さんっ……。馬鹿みたいです……」
「うふふっ……!」
「これは想像以上に、ふふっ……!」
それを前にして、三人は苦しんでいた。腹を抱え、身を捩る。笑っているように見えるが、気のせいだろう。祐斗はこの攻撃が相手に有効であると認識し、肉棒を擦る手を速めた。
自慰のネタには困らない。三人の姿はそれほどまでにドスケベだ。三人がライザーにどんな目に遭ったのか。いろいろと想像する。
ベッドで無理矢理押し倒され、種付けプレスの果てに膣内射精される三人。仲間を人質に取られ、ライザーを睨み据えながらフェラチオをする三人。朱乃の豊満な胸でパイズリフェラ。小柄な小猫を使った駅弁ファック。アーシアの献身的な騎乗位セックス。
祐斗の妄想の中で、ありとあらゆる性行為によって屈服した三人が自分の意思でライザーの肉棒に舐め回す。小猫が金玉をぺろぺろと舐め、朱乃とアーシアが左右から取り合うように亀頭や肉竿をしゃぶる。三人の首には首輪はつけられていて、首輪から伸びる鎖はライザーの手の中にある。
ライザーという存在によって、身も心も鎖で縛られた三人。
断ち切らなくてはいけない。この剣で。
祐斗は決心を強め、妄想を加速させた。
三人を従えたのがライザーではなく、自分だったらどうなっていたのだろう。三人の同時フェラを受け、気持ちよく射精。終わった後は壁に両手を突いて尻を並べる三人の背後に立ち、順番に膣の具合を楽しむ。
ガツガツと腰を振って、好きなタイミングで射精。
喜び、喘ぐ三人。突き抜けるような射精の快感。
三人の子宮に溜まる精液。そして、卵子を射止める精子。
「うぅっ……!」
そこまで想像して、祐斗はブルリと体を震わせながら、射精を始めた。
びゅるるーっ、びゅーっ、どびゅっ、びゅるっ、どぷっ、どぷっ!
尿道口から勢いよく飛び出て精液は、地面に白い縦線を描いた。その精液の量は年頃の少年としては平均以上。十分誇っていいだろう。だが、圧倒的な雄と比べるにはあまりにも少量すぎた。
無様に射精した祐斗と、放たれた精液を見た三人は苦しみを強めた。押し殺すような声が漏れて聞こえた。祐斗の勇ましい姿を見たためだろう。祐斗という雄に心が揺れ動いているのかもしれない。
いける。祐斗は射精後にも関わらず、すぐに自慰を再開した。
仲間を取り戻すためならば、何回だって射精をする。
苦しむ元仲間を前に、祐斗は肉棒を扱く手を止めなかった。
「もっとみっともなく頑張ってください……」
「がっ……!? う、ぐ……!」
近づいてきた小猫に重いボディブローをお見舞いされて一度は地面に倒れても、祐斗はすぐに立ち上がる。そして、自慰を再開する。背後に回った小猫の腕で首を絞められ、「ばーか……」と耳元で嘲笑われても、手の動きだけは止めない。
「軽く雷を流したらどうなるのでしょうね?」
「ぐっ!? あぁあっ!? うぅぅううっ……!」
小猫に感化された朱乃に耳元で囁かれ、雷に変えた魔力を全身に流し込まれても耐える。必死に歯を食い縛って呻き声を漏らし、体から煙を立ち昇らせながらも体勢を維持する。肉棒を扱き続けなければ、三人を正気に戻すことなど夢のまた夢だ。
「これを使えば、もっとお射精できますよ?」
とことこと歩み寄って来たアーシアが、オナホールに見える代物をどこからともなく取り出した。ピンク色に染まるそれはやはり改めて見てもオナホールだ。挿入口が勝手に動き、透明な体液を垂らしている様さえ見なければ。
意思を持っているらしいそれはオナホールというよりは、食虫植物に近いかもしれない。そんな奇妙な物体にたじろいでいた祐斗だったが、その間にアーシアは握っていたオナホールで祐斗の肉棒を遠慮なく丸呑みした。
ジュプンッ、と肉棒が根元までオナホールに包まれた瞬間、祐斗の意識は突然途切れた。
「ぇ……?」
再び意識が戻ったときには、祐斗は膝を屈していた。
何が起こったか。祐斗は疑問を抱いたが、すぐに理解した。
経験したことのない強い快感。祐斗はそれを浴びせられ、気絶したのだ。今も、気を抜くと意識を根こそぎ持っていかれそうな快楽が股間から全身を駆け抜けている。表情もだらしなく緩み、このまま死んでもいいとさえ思える幸福感に満たされていた。
「今、木場さんの矮小おちんちんを丸呑みしたのは、勿論ただのオナホールではないですよ? 一生分の射精に匹敵する快楽を短時間で体験できる特別製のスライムです。ただシコシコと醜い自慰を見せられても飽きてしまうので、これを差し上げます」
一生分? 連続した射精に伴う快楽によって蕩けた脳がその言葉を自覚したときには、もう遅かった。肉棒に密着したスライムがうねり、チクリと針のようなもので刺されたような痛みを感じた後、肉棒が大きく膨らみ、全身が発熱した。
「あぁああああっ!?」
少し動かすだけで気が狂いそうになる快楽が生じ、祐斗は両手を地面に突いた。体勢を変えてもスライムは変わらず肉棒をジュポジュポと舐め回す。あまりの快楽に気を失っても、すぐに快楽で叩き起こされる。スライムを引き剥がそうとしても、ぬるりと指が通り抜けるだけで意味はなかった。
肉棒と、睾丸も併せて高速でしゃぶるスライム。その愛撫を受けて我慢が長く続くわけもない。
「うっ……!?」
どぽぉっ、びゅるっ、びゅるるっ、びゅーっ、びゅーっ!
「ひぃっ!?」
びゅるるーっ、ごびゅーっ、どびゅーっ、びゅるるっ、びゅーっ!
「あ、あ、あ……」
どくんっ、どぷんっ、どびゅっ、びゅるるっ、どぴゅっ!
絶頂する祐斗から、スライムが精液を搾り取る。腫れ上がったような肉棒に纏わりつき、一滴残らず精液を飲み干していく。喉を鳴らすかのように全身を蠢動させるスライムの体が、目に見えて大きくなっていく。精液を栄養にして成長したのだ。
たった一射精で数十発分に相当する精液を無理矢理放出させ、それを餌にするスライム。手で握れるオナホール程度の大きさだったそれが、人間の大人ほどの大きさになるまで一分も掛からなかった。その間にも射精は続き、悶絶しながら地面に倒れ伏す祐斗の体にスライムが浸食していく。
「オナホールを差し上げた対価は、後日しっかりと支払ってもらうことになるので、覚悟しておいてくださいね。殺しはしないので安心してください。ある意味、これまでよりも幸せな人生になるかもしれませんよ?」
そう言ってアーシアはおもむろに片足を上げ、祐斗の側頭部をハイヒールで思い切り踏み付ける。
ぐりぐりと足を動かし、笑いながら見下すアーシア。その近くでまだ腹を抱えて笑っている小猫。口に溜まった唾液を祐斗の顔面に吐きつけておきながら、穏やかに微笑む朱乃。祐斗の知る心優しい少女たちはもうどこにもいない。
それを理解させられながら、祐斗は波のように押し寄せたスライムに全身を呑み込まれた。