悪魔の移動手段は魔法陣を介した転移が主だ。悪魔になって日の浅い俺も例外ではなく、この便利な移動方法を使ってフェニックス家の自室にある魔法陣から、目的地にある魔法陣へと移動を開始しようとしていた。
「なぁ、グレイフィア」
移動する前に俺は姿勢良く横に立つメイド服姿のグレイフィアを見た。
「何でしょうか?」
グレイフィアは表情を変えずに正面を向いたまま声を出した。相変わらず冷たい態度だ。昨日の夜もアンアンと喘ぎ声を上げた癖に。
「言いつけは守ったか?」
「はい」
「言葉と体でしっかりと説明してみせろ」
短く話を終わらせようとするグレイフィアの意図を防ぎ、俺は言葉を促した。すると、グレイフィアはため息ともつかない息を一つ吐くと、俺の顔を無表情に見つめて口紅の赤に染まる唇を動かすとともに、スカートの裾に両手を伸ばした。
「ライザー様より頂いた子種は、子宮でしっかりと保管してあります」
グレイフィアの手によって長いスカートが捲り上げられた。
目に入ったのは、不自然な膨らみを描く黒い下着だった。白い肌が確認できるほど生地が透けていて、起動中の紫色の極太バイブを咥える膣が丸見えだった。そう、この下着にできた膨らみはバイブの根元部分によるものだ。下着はバイブが抜けないようにするための役割を果たしていた。
そして、グレイフィアの細い腹は普段よりも膨れている。
グレイフィアの言葉通り、子宮に俺の精液を貯蔵しているのだ。昨日の夜、そして今日の朝と昼に俺はぶっ通しでグレイフィアを抱いた際の、ほんのごく一部の精液だけだが。本当はもっと貯め込ませても良かったが、暴発されても反応に困るから止めた。
「俺の精子はどこでどうなっているんだ?」
「……ライザー様の精子は、子宮の中で泳いでいます」
「何のために」
俺がグレイフィアの肩を抱き、顔を覗き込む。一瞬だけ、眉を震わせたグレイフィアはどうにか平静さを維持し、俺の質問に答える。
「私を、妊娠させるために……」
「正解」
俺はご褒美として、グレイフィアの頬を舐め上げてやった。グレイフィアは目を瞑ってそれを受け、口元を強く引き締めて何かに耐えていた。屈辱だろう。俺はそれを見てみぬ振りをし、肩を抱いていないほうの手で胸を鷲掴みにした。
「早くグレイフィアの母乳を飲みたいなぁ」
「……そろそろ移動しましょう」
俺が話しかける一方で、グレイフィアはスカートを下ろして衣服の乱れを正すと、足を前に出した。肩を組んでいた俺も一緒に進み、俺たちは魔法陣の中心に立った。
「手を、離してはいただけませんか?」
「あぁ、いいぞ」
俺は乳房を掴む手に力を入れた後、手を離した。肩に回した手はそのままだ。グレイフィアの咎めるような目線がこちらに向いたため、肩にかける力を強めてやった。
「何か文句あるか?」
「……転移します」
グレイフィアが前を向いて嘆息した直後、魔法陣から生じた光が立ち昇り、俺たちを覆った。その光は然程時間を置かずにさらに強まると、視界を光一色で埋め尽くす。そして、光が徐々に強さを落としていった頃には、目の前の景色が一変していた。
「うわっ……!」
若い男の声が耳に入ってきた。見ると、黒い学生服を着た高校生くらいの少年が出入口の扉付近に立っていた。容姿は並み。茶色い髪で、日本に何処にでもいそうな感じだ。何かに驚いて間抜けそうに眼を見開いている。
俺は少年から視線を剥がすとともに、室内中に意識を向けた。
幾何学模様の紋様が天井や壁、床に描かれている。派手すぎない一級品の調度品やアンティークが確認できるその部屋は応接室のようにも見える。中央に置かれたテーブルを挟んで向き合うソファーと、そこから少し離れた場所にある執務机。
差し込む西日を赤いカーテンが遮り、代わりに棚や机に置かれた燭台の火を光源とした薄暗いその場所は、話によれば『オカルト研究部』という部活動のために用意された部室だという。
学生にここまでの部屋は勿体ないな。
俺は苦笑いを浮かべ、その部屋を背景にして立つ少年少女に目を向けた。内訳は、女が四人と男が二人。
男はさっきの間抜けそうな少年と、もう一人は泣き黒子のある中性的な顔をした金髪の美少年。スラリとした体躯で身のこなしが軽そうな雰囲気だ。表立って表情を乱すことはしていないが、薄い青の瞳で身構えるように俺を観察していた。
四人の女は、どれも一級品だった。
黒く艶やかな長い髪をポニーテールにした、温厚そうな巨乳の制服美少女。グレイフィア並みの大きさか? 胸元を覆う白いブラウスを押し上げるその質量は見事な物で、この少女も後で味見することに決めた。壁際に立って真っ直ぐ伸びる健康的な太股をちらちらと見ていると、目元の笑っていない笑顔を向けられた。
視線を横にずらし、ソファーを見る。そこには白い髪を肩先まで伸ばす小柄な少女。体付きはロリ体型で、髪飾りのデフォルメされた黒猫の顔が少女の幼さを引き立てている。幼いが、顔は非常に整っている。愛玩道具として持ってこいだ。
続けて、間抜けそうな少年の体へ身を隠す怯えた様子の金髪ロングストレートの少女。清楚な風貌と、庇護欲を駆り立てる雰囲気。美しい金髪少女で、服の上からではわかりづらいが結構スタイルも良さそうだ。穢れを知らない、そんな空気感を漂わせていた。
最後は、壁に掛けられた絵画を背に、執務机の椅子に腰かけた紅髪の少女。凛とした顔立ちは見惚れるほどで、強い光と意思の強さを宿す紺碧の瞳もまた美しい。華やかな美を有し、その美を誇ることなく当たり前のように振る舞う少女の名前は、リアス・グレモリー。これが、俺の婚約者だ。
リアスと、リアスの眷属である悪魔の少年少女たち。各々様々な感情を表に晒しているが、共通しているのは異物に対する警戒だった。黒髪の少女のように今にも背中から黒いオーラが滲み出そうな凄みを放つ者もいれば、リアスのように表情を顰める者もいる。
歓迎されていない雰囲気だ。
「ライザー、あなたは何をしているのかしら?」
静かな怒りを宿し、椅子から立ち上がって俺たちの下へ歩み寄ってきたリアス。その視線はグレイフィアの肩に回された俺の手に注がれている。俺は特に慌てることなく手を離し、グレイフィアの横に立ってズボンのポケットに手を突っ込む。
「グレイフィア、今のはいったいなに? なぜライザーがあなたの肩を」
リアスがグレイフィアに矛先を向けた。
敬称をつけない親しい呼び方に、何もおかしな点はない。
グレイフィア・ルキフグスは、リアスの家であるグレモリー家のメイド。仕えているメイド相手にリアスが敬称をつけるわけがない。まぁ、リアスにとってグレイフィアはただのメイドというだけではなく少々ややこしい立場ではあるのだが、別に俺には関係ない。
「お兄様が今のを見たら」
関係ないのだが、話が妙な流れになりそうだ。
面倒だな、と思いながらも俺は能力を使うことにした。
範囲はこの部屋全体。念のため、もっと広くしておくか。
俺は、オカルト研究部の部室があるらしい、
唯一、リアスに追及されているグレイフィアを除いて。
「ぁ……」
誰の声か。少女のか細い声が聞こえ、場の雰囲気が変わった。
「別に、問題ないわよね……? 肩を抱くなんて、ただの『挨拶』だものね……」
グレイフィアに問い詰めていたリアスが小首を傾げた。
その様子を見たグレイフィアがリアスから視線を外し、俺を見た。
人によっては
白髪の少女の向かいに座り、俺はリアスたちに声を掛けた。
「とりあえず、座って話でもしようじゃないか」
俺の言葉にリアスは渋々といった様子で頷いた。
俺はリアスの眷属たちと簡単に自己紹介を行った後、ソファーの中央に深々と腰を預けて二人の美少女を両手で抱いていた。右手にはリアス、左手にはアーシア・アルジェントという金髪の少女。手の平はそれぞれ相手の胸を制服の上から鷲掴みにしている。
どちらもいい胸だ。リアスの胸は大きさだけでなく指を跳ね返すような強い張りがあって揉みごたえがある。アーシアは目立たないがいい体付きをしていて、やわらかい乳肉は無茶苦茶にし甲斐があった。
「ぁっ……ぅっ……」
アーシアが俺に掴まれた胸元を見て小さな声を上げている。震える瞳は胸元と俺の顔を行き来するが、結局何も言うことはできずに顔を赤らめて、俺の股間に伸ばした手を動かした。
アーシアの手は今、俺の股間を膨らませる肉棒をズボンの上から撫でている。服越しとはいえ男の物を触るのは初めてのようで、おっかなびっくりな反応だ。
「気持ちいい、ですか?」
「あぁ、ありがとう」
そして、アーシアと一緒にリアスも俺の股間を撫でてくれている。アーシアほどではないが慣れない手つきで股間を触り、肉棒の膨らみをやんわりと揉んでいる。態度と表情は優れない。
「リアス、さっきからどうしたんだ?」
「別に何でもないわ」
今の自分の行動に疑問を抱いている、わけではなく、単純に俺のことが嫌いなのだろう。手は動き続けていて、何度もアーシアと指先が触れ合いながら肉棒の興奮促進に貢献してくれている。俺はお返しに胸を握る手を強めてやったが、過敏に反応するアーシアはともかく、リアスは仏頂面のままだった。
「もう少し笑顔で『挨拶』できないのか?」
俺が言うと、リアスはため息を盛大についた。
「『挨拶』ばかりじゃなくて、要件を言ってちょうだい」
リアスはようやく俺と顔を突き合わせた。右手では、俺のズボンのチャックを下ろしながら。
「失礼いたします……」
アーシアが俺のズボンのベルトを外し始めた。リアスもそれを手伝い、ズボンとチャックの両方が解放されると、二人で俺のズボンを足元まで引きずり下ろす。
露わになる下着。アーシアが恐る恐るそれに手を掛け、ズボンと同じように下した。
「きゃっ……」
と、アーシアが小さな悲鳴を上げた。何かと思ったが、何ということはない。ズボンから解放されて勢いよく跳ねた俺の肉棒。その威圧感のある姿を見て声を上げてしまったようだ。
「要件は既に知っているはずだがな」
「私は断ったわ。まだ誰かと結婚をする気はないって」
リアスが不満げに言い放ち、俺の肉棒へと白い指を絡ませる。ガッチリと掴んで力を込められるかと思ったが、リアスの手は優しいまま筒状の形を維持して肉の表面を丁寧に根元から撫でてくれる。
いい『挨拶』だ。
「アーシア。私は『チンポ』に『挨拶』するから、アーシアは『金玉』をお願い」
「はい、部長さん……」
リアスに言われ、アーシアは赤い顔のまま睾丸に手を伸ばし、ぷにぷにと指先で突いた。俺の睾丸は大きく、アーシアには肉棒共々恐ろしい物として映っているだろう。しかし、『挨拶』を怠るという無礼な行いが許されないこの空間で、いつまでも躊躇してはいられない。
「アーシア」
「は、はいっ!」
リアスに優しい声で催促されて、アーシアは意を決して睾丸を手で包み込んだ。慎重に、ずっしりとした黒ずんだ睾丸を片手で持ち上げ、もう片方の手でいい子いい子といった具合に可愛がってくれる。睾丸の皺と皺の間にある汚れを取るように、丸みを帯びた桃色の爪が目立つ指先をなぞらせていった。
そんなアーシアを見ていると、視線を感じた。
茶髪の間抜けそうな少年、
何かを話している。木場が首を横に振ると、兵藤が意気消沈したように項垂れた。
やがて、二人は壁際に背を向けて立ち尽くした。男は余計な口を利かず、ただこの部屋の中で行われていることを見る。俺に選ばれた女はライザー・フェニックスという男に『挨拶』をする。それがこの空間にいる、グレイフィア以外の者たちが抱く共通認識だ。
「リアス。そうは言うが、君の結婚は皆が望んでいることだ」
「それはわかっているわ」
リアスが声を荒らげ、肉棒を丁寧に扱く。溢れ出た先走り液を隅々まで塗り広げ、肉棒を磨き上げていく。にちゅっ、ぬちぃと水音が鳴るのを聞いてアーシアがぼうっとした顔を浮かべつつ、睾丸マッサージを行っていた。アーシアの手の中で温められていく睾丸が喜んでいるのがわかる。
「でも、結婚は私が大学を出るまで待ってくれるという話だった。相手も私が選ぶって。それなのに、どうして今、あなたと結婚をしなければならないの?」
「誰にだって心境の変化はある。君の両親は不安に思ったのだろう。このままグレモリー家の当主が決まらないまま、リアスに何かあったら、ってな。だから、早く結婚させて、子供を作らせようと」
「私は、自分の婿は自分で決めるわ」
「あまり我が儘を言わないでくれ、リアス」
俺がリアスとアーシアの胸に指を沈めると、アーシアが「あぅっ……」と声を出した。さすがのリアスも痛みを覚えて顔をしかめた。その反応が面白く、さらに力をこめて乳房の形を一時的に歪めてやった。
「今我が儘を言わないで、いつ言えと言うの!」
リアスが目に見えて荒れ狂う。リアスは意外に短気だ。体からは紅色の濃密な魔力を立ち昇らせ、肉棒を愛おしそうに手で奉仕してくれた。リアスの剣幕に兵藤が怯えたように体を強張らせているのが視界の端に映った。
美少女で遊んでいるときに男が視界に入るのは少し目障りかもしれない。そう思った時、紅茶の豊かな香りが俺の鼻をくすぐった。
「お待たせいたしました」
俺の視界に入る男たちの姿を背に隠して現れたのは、ティーカップの乗った盆を手にした黒髪の少女、
「お前は少し落ち着いたほうがいいな、リアス。紅茶でも飲め」
「紅茶なんて――」
「お話し中失礼いたします」
息巻こうとしたリアスは、静かな声音で黙り込んだ。グレイフィアの声だ。
「ライザー様」
リアスとアーシアに性奉仕をされる俺を正面に捉え、グレイフィアは言葉を紡ぐ。
「少々お話がございます。一度離席していただけませんか?」
「あ? ここでいいだろ?」
いい所で邪魔が入った。遠巻きに見ていただけの癖に今さら何の用だ。せっかく、紅茶に合うミルクをリアスたちに提供できる手筈だったのに。
「お願いいたします」
グレイフィアは深々と頭を下げた。その声と態度には懇願するような色が含まれていた。今までとは違うその雰囲気に少し驚いた俺だったが、乙女の手を汚すリアスを一瞥し、そういうことかと思い至った。
俺は、口元を歪ませた。
「見返りは?」
「……一日だけ、ライザー様の『女』となります」
グレイフィアの提案は、交渉に値する内容だった。
しかし、さすがに一日というのは馬鹿にし過ぎではないか。リアスの身の安全を安く見積もっているわけではないだろうから、よほど俺が嫌いなのだろう。
「一週間だ」
本音で言えば、すぐにでもグレイフィアの一生を手に入れたいところだが、目先の欲に吊られて今この段階でそのカードを切るべきではない。今は相手にも譲歩すべき時だろう。せめて一ヶ月とも思ったが、俺は一週間という期間を手にすることに決めた。
グレイフィアの瞳は揺らがなかった。一週間は想定の範囲内だったのだろう。
「……かしこまりました」
グレイフィアが頷くのを見て、俺はため息を吐きながらリアスとアーシアの手を股間から剥がした。下着とズボンを履き、ベルトをカチャカチャと締め始める俺を見てリアスは驚いた様子だったが、グレイフィアの真剣そうな表情を見たせいか、何も言うことはなかった。
「席を外すぞ?」
一言いい残し、俺はリアスたちの視線を背に受け、部屋の外へと向かった。横を歩くグレイフィアの尻をスカートの上から思う存分に揉みしだきながら。