新校舎にある生徒会室。中央に置かれたソファーに腰掛けたソーナは、魔力で壁一面に投影された学園内の映像を眺めていた。映し出されているのは数十か所に及び、いずれも交尾を楽しむ男女の姿を捉えている。
放課後で一部の生徒が帰宅しているが、それでも十分な規模の宴となっていた。
「その調子です……」
ソーナは映像の横に表示された数値に視線を移し、ほくそ笑む。
射精回数、処女喪失人数、受精人数。各項目の下で、該当する数値がこの瞬間も数を増やしている。特に射精回数が順調に積み上がっていくのを見て、ソーナは男たちに満足してもらえているのだという実感を得られていた。
処女喪失人数の数値が安定し始める一方で、少しずつ増えていく受精人数。誰の卵子が誰の精子によって射止められたのか。その結果も合わせて映像の横に表示され、ソーナは自分がしでかした結果を思い知る。
「これで、良かったのです……」
男という生きているだけで尊い上位存在の性欲処理を務めるだけでなく、優秀な遺伝子を受け継いだ子を宿す栄誉を賜る。それを手放しで喜ぶことはあっても、悲しみを抱くことなどあり得ない。
……本当に?
だというのに、ソーナは一瞬だけ迷いを抱いてしまう。
何かがおかしい。でも、いったい何が。
「ん、ぅっ……!」
具体性に欠ける違和感の正体を探ろうとしたソーナだったが、股間から生じた快感に意識を引き戻された。
股間に視線を注ぐと、床に膝を突くリアスの姿があった。リアスは制服から取り出した白くふんわりとした乳房を抱え持ち、ソーナの股間で威勢よく直立する肉棒を挟んでいる。ズリッ、ズリッと柔らかい乳肉に擦られるのも非常に気持ち良いのだが、谷間からぴょこんと飛び出した亀頭を包むリアスの口内の温かさがソーナの余裕を掻き乱す。
「ぢゅるぢゅるぢゅるっ!」
「んぁっ!?」
吸われるだけで身に余る幸福が押し寄せた。
女の身では味わえない体験。自分の手で扱くのとはまるで違う生温かさと、敏感な場所を擦る舌の感触。リアスの技術が卓越しているというのもあるようだが、それにしたってここまで気持ちよくなれるのかという驚きに包まれる。
「ふふ、気持ち良さそうね」
リアスが口から亀頭を解放し、愉快げな表情を浮かべる。ついさっきまで唇を艶やかに彩っていた紫色のルージュはだいぶ色が薄れている。その代わりにソーナの肉棒や陰嚢の至る所に紫色のキスマークが刻まれていた。
愛情たっぷりのキスを、雄の象徴にたっぷりと捧げてもらったのだ。
そのときの興奮を思い出し、ソーナはこっそりと息を呑んだ。
「でも、忘れないでね。この快感は、ライザー様のおこぼれに過ぎないことを」
そうだ。この快感を得られるのは、全てライザーのおかげ。
最初、望まぬ男性器を股間につけられたときは酷く困惑したものだが、度重なる射精を経て、すっかりと男の快楽に屈服してしまった。そのまま欲望を暴走させ、男にとって過ごしやすい学校生活をと考え、魔力で学園を歪んだ形に変えてしまった。
そして今は、その成果を見届けている。
「当然、対価は必要よ?」
この悦楽に報いるためには、ソーナから支払うものが多すぎた。
「わかって、います……」
しかし、ソーナに躊躇いはない。脳内は桃色に染め上げられ、頬は赤く紅潮し、表情は蕩けていた。初めて自慰を覚えた童貞か、あるいは極上の美女に肉体関係を迫られる少年並みに理性が蒸発し、下半身で物事を考えて生きている。
「あむぅっ」
「ひっ……」
リアスによって再び亀頭を咥えられ、ソーナは敏感に背を反らす。
そうして快楽に震えていると、リアスが言っていた対価を払うときがやって来た。
ソーナのいるソファーの横で直立不動になる少女。衣服を全て脱ぎ捨てて、真っ裸になっているというのに羞恥心の欠片もない。それどころか、人間らしい感情すらも表情からは欠落しており、不自然なほどの無表情を湛えていた。
その少女の後ろには、同じように全裸姿の少女たちがズラリと並び、列は廊下まで続いている。同じく人形のように感情を失い、瞳から光を失っている。遠目からでは、よくできたダッチワイフが並べられているように見えるかもしれない。
彼女たちは、学園から選び抜かれた人材だ。一部女性教師もいるが、殆どが女子生徒。下校せずに残っていた者の中から容姿という観点でのみ選別され、こうして心を封じられて生徒会室に連れて来られた。
彼女たちはライザーに向けた贈り物だ。
射精という女にとって未知の体験をさせてもらった代わりに、この少女たちを贈り物用に仕上げなければならない。
ソーナは一番前に並んでいた栗色のショートヘアの少女を見た。
抱き心地の良さそうな体。確か、二年生だ。おっとりした淑やかな雰囲気で、校内で人気が高い。知り合いではないために詳しいことは知らないが、教師たちからの評価も高い優等生だという噂を小耳に挟んだことのある。
心が上手く機能していない状態でも、どこか品の良さを感じさせる美少女。
ソーナは彼女の下腹に片手を突き出すと、手の平に魔力を集めた。
妖しい紫色に染まる魔力。普段の自分の魔力とは様子が異なるそれに疑問を抱くことはない。湯気のように立ち昇る魔力をただ見つめ、引きずり込まれるような魅力を感じてほんの少しの間ぼうっとする。
『契約の証を刻め』
脳内で響いたライザーの声で自分のすべきことを思い出し、ソーナは手の平を少女の下腹に当てた。
ジュゥッ、と生身の肌に焼き鏝を押し当てたような音が響く。
それは比喩ではなく、実際にそうだった。
手の平の先に集めた魔力が、少女の下腹を焼き、紋様を描く。
それは子宮とハートマークを組み合わせた形をした、淫らな紋様だ。刻まれれば最後、自力で消すことはできない。深く焼いた場所にそのまま闇色の魔力を注入し、刻まれた紋様に浸透させていく。
そして、淫紋の上には、ライザーの名前が刻みつけられる。
これは従属の証だ。刻まれてしまったからには、所有者であるライザー・フェニックスに一生逆らうことができない。その代わり、普通に生きるだけでは決して得られない幸福と快楽を与えるというもの。
自分が刻んだ紋様の意味を頭で理解し、ソーナは震え上がる。
「……私、は……」
とんでもないことをしてしまった。
荒れ狂う欲望の波の中で、溺れかけていた理性の欠片が浮上する。大海のような欲望と比較すればちっぽけな大きさではあるが、理性には違いない。そのわずかな部分で良識を抱き、ソーナは自分がしたことの意味を知る。
「ぐぢゅぶっ!」
「んあぁぁっ!?」
ソーナの思考を妨げるように、リアスがソーナのチンポを頬張った。目を細めてニヤニヤと笑い、窄めた口でいやらしいフェラ顔を浮かべている。ぢゅるぢゅると肉竿の表面を吸いつきながら根元まで食らいつかれ、ソーナの脳は快楽で焼けた。
「ぶぢゅぢゅっ! ぐぢゅぶっ! ぢゅぶっ! ぢゅっぶんっ! ぐぢゅぢゅぢゅ!」
「あ、あぁぁぁっ……!」
リアスのちんシャブが亀頭を蹂躙する。わずかな理性は欲望の波に呑まれ、深い場所まで引きずり込まれる。抵抗するように首を激しく左右に振っても、リアスは全く手を抜いてはくれない。
「ぐぽぉっ! ぐっぽぉっ! ぢゅぶっ! じゅぷんっ! ぐぢゅるっ! ぶぢゅんっ!」
女は男の性欲を鎮めるための道具。そんな評価を下すのに十分なほど、リアスのフェラは過激だった。
「ぅっ……! ぁ、あぁあっ……!?」
まだ性教育の行き届いていない小さい子供に見せれば、それだけで性癖が歪んでしまいそうなディープフェラを食らわされ、ソーナは堪らず精を吐き出してしまった。
どくっ、どくっ、どくっ、と脈動する。それに合わせて尿道口から噴き出す精液は、竿の根元まで咥えたままじっとするリアスの喉奥に注がれていた。嬉しそうにソーナの瞳をじっと見つめ、ぢゅるるるっと精を啜る悪魔の美少女。
変わり果てた親友の姿に絶句し、手籠めにしたライザーに恐怖を抱く。
自分もリアスのようになってしまうのだろうか。
身の底から震え上がるような寒気と共に、下腹の内側を熱が這った。どろどろに溶かされるような高温。そこに恐怖はない。徐々に膨れ上がっていくそれが寒気などを洗い流していき、ソーナの心を期待感の高揚で満たす。
リアスのようになったら、どれほど気持ち良いのだろうか。
美味しそうに精液を啜るリアス。ぢゅぽんっと大きな音を立ててソーナの亀頭を解放し、犬のように舌を垂らして荒い息を吐きながら、竿の根元から裏筋を舌で何度も舐め上げるリアス。ビクンッとチンポが跳ねて、尿道からこぼれ出た精液の残り汁を伸ばした舌で掬い取り、喉奥に流し込んで嚥下するリアス。
「っ、はぁあっ……!」
精液を呑んだ瞬間、相好を崩して至福に染まるリアスの表情。
どうしてそんな顔ができるのか。
自分もそんな風になれるのか。
『興味があるか?』
またしても、脳内にライザーの声が反響する。
先ほどからずっと、自分の前に姿を現さないライザー。別の場所で宴を楽しんでいるものとばかり思っていたが、そんなことはないのだと、今ようやく理解した。
ライザーは自分の中にいた。体の内側という特等席で、ソーナ・シトリーが堕ちていく様を観察していたのだ。ここまでの過程で感じたことも全て筒抜けだったのだろう。
『今以上の快感を得てみたいとは思わないか?』
そんな誘いに乗ってはいけない。わかっているはずなのに、否定するのを躊躇ってしまう。
ライザーの言う遊びが終われば、肉棒は没収され、元の体に戻されるのだろう。ライザーを拒絶してしまったために相手にされず、放置されるのだろうか。そうなったとき、自分は果たして、元通りの自分で満足できるのか。
頭が焼けるような快楽を欲しても、手に入れられない日常をもどかしいと感じてしまわないだろうか。
『俺がお前に幸福を与えてやる。俺の傍で、永遠にな』
悪魔の寿命は長い。それこそ、永劫と呼べるほどに。
『女としての快楽もだが、俺のチンポを使って女を犯す快楽も得られるぞ?』
その永劫の時の間に、ライザーのような男と出会える機会はあるのか。これほど万能で、欲深く、自分の幸福を満たしてくれそうな男が果たして他にいるのだろうか。
『欲しいのなら、俺の指示通りに動け』
ライザーが提示してきた命令が、ソーナの脳内に直接展開される。
それは、身の毛のよだつような内容だった。学園を巻き込み、大勢の人々の人生を狂わせてしまったソーナであっても、心が凍りつく。
こんなことはできない。でも、これを受けなければ。
『いきなり全ては求めない。段階的で構わない。それに、成し遂げる前に諦めても何の代償も負わなくていい。辞めたくなったらすぐにでも辞められる。全てはお前の意思次第だ。お前が選ぶんだ』
ライザーの声が何度も頭の中で響く。その声音が心を揺さぶり、ソーナを惑わす。
絶対に交わしてはいけない悪魔の契約。それでも、冷静さを欠いた今のソーナにとっては、何よりも魅力的なものだった。それに、辞めたくなったら辞められる。決定権は自分に委ねられている。
『さあ、どうする?』
「私は……」
ソーナは口を開き、ライザーの問いに返答した。