「ぅ、あぁっ……!?」
己の股間に生えた男根が少女の女陰に呑み込まれていく感覚に、ソーナは喉を震わせた。フェラチオで感じた以上の熱と、迫る膣肉の締めつけ。女の身で享受する男の快楽は暴力的で、ソーナの脳を一気に快楽の沼に引きずり込んだ。
『いいぞ。もっと好きに動け』
「は、はいぃっ……!」
脳内に響くライザーの声に合わせて、ソーナは少女の尻を掴み、腰を突き出した。
「ぉ、おぉおっ……! ライザーのおチンポがぁ……!?」
『気持ちいいだろう? これが俺が味わっている快楽だ。こんなものを味わってしまっては女を抱かずにはいられない。しかも、俺の精力は他の男とは桁違いだ。女を求める俺の気持ちが、これでわかってもらえたか?』
「わ、わかり、ますぅっ……! ぁ、はぁあっ……!」
だらしなく緩めた口から舌をだらんと垂らし、ソーナは少女をバックで犯す。一往復、一往復を目いっぱい楽しむように。豪快に抜き差しすることでチンポの隅々まで刺激を与え、交わることの素晴らしさを体感中だった。
「もっと、奥までぇ、んひぃいっ!? ぉ、おマンコぉ、気持ちいいぃっ!?」
ソーナは少女の尻肉に指を沈め、ぐいっと膣奥まで挿入した。
いちいち悲鳴に似た嬌声を上げるソーナに対し、壁に両手を突いた少女は瞳に光を失ったまま何も言わない。俯いて中央分けにした長い黒髪を垂らし、眼鏡を掛けた整った顔立ちに無表情を湛えている。
表情から人の感情を失った少女の正体は、ソーナがつい先ほど下腹に一生消えない淫紋を刻み、勝手にライザーの所有物に堕とした少女たちのうちの一人。
「はぁぁっ、あぁああっ!
セックスを覚えたての獣のように荒い腰遣いでソーナが犯す少女、
ソーナが告げる謝罪には、正気を失った椿姫を身勝手に犯してしまうことの罪悪感と、ライザーへの絶対服従の証である淫紋を勝手に刻んだことへの後悔が含まれていた。どちらも椿姫からすれば堪ったものではないだろうが、ソーナにとっては仕方がないことだ。
ライザーから与えられた肉棒と肉欲は、ソーナの脳を汚染していた。常に真面目で、自分にも他人にも厳しかった生徒会長の姿はもはやどこにもない。ここにいるのは、ライザーという圧倒的な存在に翻弄されるか弱い雌だ。
「おぉぉっ、んぉおおっ!?」
ソーナが椿姫の膣穴を搔き乱すと、結合部から血が垂れてきていた。
それは、ソーナによって椿姫の処女が散らされたことを示している。
ソーナはライザーから借りたチンポで初めてを奪い、今この瞬間も狭い膣内を開拓している。その動きに淀みはない。親友に対する罪悪感などは所詮、この快楽の前では塵芥にも等しい感情だと思えてしまう。
だから、ソーナはライザーと契約を交わしてしまった。
ライザーの下で快楽を得続ける代わりに、愛する駒王学園を、駒王町を、日本をライザーに捧げるという契約を。契約を達成する途中で一方的に破棄する権利を与えられているものの、その契約を交わしてしまった事実は変わらない。
ソーナは自分の過ちに恐怖し、既に捧げてしまったもののことを想う。
駒王学園に在籍する生徒と教師。それと、駒王学園の全てを。
ソーナに学園を捧げる権利などありはしないが、ライザーにとっては関係ない。ソーナの言質を取った以上、ここを拠点の一つとして扱うだろう。ソーナにさせたように生徒や教師を洗脳し、玩具として弄ぶつもりだ。
ごめんなさいっ……!
「んぁあ……!」
ソーナは心の中で謝罪するが、口から出たのは喘ぎ声だった。
もう無理だった。謝罪を口にしている余裕はなく、ただ意味のない声を上げることしかできない。開いた口から涎を垂らし、椿姫の尻に股間を思い切り打ち据える。膣奥までめり込んだ肉棒から伝わってくる快楽に膝をガクッガクッと震わせ、腰を引いたときに纏わりついてくる膣肉との摩擦で理性が持っていかれる。
「あはぁっ、あぁあっ、んぉっ、ぉっ、おぉおおおっ!?」
やがて、ソーナに限界が訪れた。
「ぉおっ……! ぉぉお~~っ!? せいしぃ、せいしでるぅぅっ!?」
アヘ顔を晒し、情けない声を響かせ、ソーナは椿姫の膣内に子種を撒く。ぶびゅっ、びゅるるるっ! 凄まじい勢いで子宮の底に叩きつけられ、瞬きほどの間に胎を白濁に満たすそれらは全てライザーの精液だ。仮に椿姫が孕んだとしても、それはライザーと椿姫の子供ということになる。
所詮、チンポはライザーの借り物に過ぎない。だが、この快楽は本物だ。
「これで、終わりに、しないとぉっ……!」
射精後に再び持ち直そうとした理性が自身を戒めてくる。早くライザーとの契約を破棄しなければ。そう思いはするが、直後には溢れ出てくる欲望が理性を洗い流し、ソーナを下半身でしか物事を考えられない動物に変える。
「あと、少しだけぇ……」
自分を甘やかし、少しでも快楽に耽ろうとする者が、自力で快楽から抜け出せるはずもない。ソーナは自分が辿る末路を見てみぬ振りをし、椿姫の膣穴から肉棒を取り出した。
「あ、ぁっ、抜ける時の感覚も、すっご……ぉ、ぉおっ……」
ドロォ、と膣口から垂れてくるライザーの精液は信じられないほど濃く、粘ついていた。こんなものを出されてしまえば、悪魔の遺伝子であろうとすぐに孕んでしまうのではないか。そう思いながらも、ソーナは次なる獲物に目を向けた。
この生徒会室には椿姫以外の獲物がいる。
生徒会室に集め、ソーナの手で淫紋を刻んだ女たち。そこには椿姫以外の眷属たちもいる。部屋の壁を背にして立ち並ぶ彼女たちは椿姫と同様に正気を奪われ、命令を待っている。彼女たちに人権はない。彼女たちの髪の毛一本に至るまで、ライザーの所有物だ。
『好きなだけ食らえ。その後は、改めてお前に女の快楽を教えてやる』
そのライザーから許可を貰えた。
その喜びたるや言葉では言い表せない。
「女……おマンコ……。もっと……もっとぉっ……!」
ソーナは痛々しく勃起した竿を握って、近くの少女へと歩み寄った。女を食べる。ただそれだけを考えて。少女に命令を下し、壁に両手を突かせて尻を突き出させると、その背後に立って口元を愉快げに歪めた。
「頂きぃまぁすっ……!」
興奮で震えた声を漏らし、ソーナは膣穴に亀頭を押し込むと、少女の中に潜り込ませた。
ブチッ、と処女膜を引き裂いた瞬間、ソーナはまた暴走状態に入るのだった。
いったい何人の人生を狂わせてしまったのだろう。今もなお学園内で宴は続いていて、多くの少女たちが純潔を散らし、男たちの子種を胎に注がれている。受精した人数はまだ増えているようで、これからのことを想うと少女たちが可哀想だった。
「ふふっ……」
ソーナは罪悪感など欠片もない微笑みを湛え、ベッドで仰向けになっていた。
そのベッドの周りをぐるりと取り囲むように、ソーナがレイプした少女たちが立っていた。軽く足を開き、股間に這わせた両手の指で陰裂を開いている。そのおかげで膣穴ははっきりと見えていて、その小さな穴から濃い白濁液が垂れ流れ続けている。
ソーナが注いだライザーの子種だ。
「よくやったな」
「あぁぁっ……!」
ソーナに覆い被さるような体勢で覗き込んできたライザーが、ソーナの乳房を片手で揉みしだいてきた。ぎゅっと美乳が指で押し潰される感覚と共に、ソーナは喉から声を搾り出して悦に浸っていた。
抱くのは不快感などではなく、純然たる快感。
昨日までセックスの快感を知らなかった女とは思えないほどに、ソーナは堕ちていた。
そんな彼女の下腹を彩るのは、周りの少女たちとお揃いの淫紋。艶やかな紫色に発光するそれは、ライザーが見ている前でソーナ自身の手で刻んだものだ。
これでソーナはライザーの所有物に成り下がってしまった。
「ふ、ぁっ……」
心の片隅で後悔が滲み出るも、ライザーの指で乳首を捻り上げられて余計な感情が消滅する。微かな反抗すらも許さない。そう言われているような気がして、ソーナは改めてライザーという男に畏怖の念を抱いた。
「さてと」
一頻り胸を堪能したライザーは身を起こし、ソーナの開かれた股に股間を押しつける。
ライザーの股間でいきり立つのは、先ほどまでソーナについていたもの。自分の意思で大勢の少女たちを傷つけた獣が、今度は自分に牙を剥き出しにしている。
改めて客観的に見ると、その肉棒の異常さがわかった。
学園内の宴で見た男たちの肉棒とは別物だ。片手では掴みきれない太さも、両手に余る長さも、でっぷりと膨らんだ陰嚢も。一度自分の中に乱暴に割り込んで純潔の血を啜った肉棒だからこそ、なかなか身体の震えが鎮まらなかった。
「これからお前の中に入ろうと思うが、やめてほしいか?」
「え……?」
何を言い出すのか。まだ自分に決定権があるというのか。
ソーナはライザーのことをよく知っているわけではないが、段々とどういう男かわかってきていた。ここで嫌だと答えれば、ライザーはおそらくやめてくれる。
答えられれば、の話だが。
「やめ、ないで……」
ライザーは卑怯だ。
「なんだ? もっとはっきり言ってくれ。俺にどうして欲しいんだ?」
今になってソーナが断れるはずがないとわかっているのに。
「……あなたに言われた通り、学園を売りました……。生徒や教師も、私の眷属たちも、好きにして構いません……。これからもあなたの言いつけ通りに、町を、そして日本の全てを捧げるように努力します……。だから、お願いします……」
ソーナは湧き出る唾液を飲み下し、笑みを象った。
「働きに見合った成果を、快楽を、私に与えてください……」
ライザーや、彼に穢されたリアスが見せるものによく似た、冷笑を。
「あなたのおチンポで、私の中に残った罪悪感を、ブチ破ってください……」
二度と心が痛まないように、良心ごと叩き潰して欲しい。
ソーナの懇願を聞き届けたライザーは口の片端を持ち上げ、ソーナに股間を近づけた。
迫ってくるライザーを正面に、ソーナは天井に展開された映像をぼうっと眺めていた。
体力の有り余った運動部に輪姦される女子マネージャーたち。
女子水泳部の集団に迫られ、ハーレムセックスを楽しむ男性顧問。
職員トイレで男性教師にレイプされ、結婚の約束をさせられている受精済の女子生徒。
体育倉庫でチアリーダー姿の女子に応援されながら騎乗位で種絞りされている男子生徒。
そして、ソーナと同じ姿をした偽物とまぐわっている、眷属にして生徒会書記でもある男子生徒、
『会長っ、俺、ずっと前から会長のことが、好きでっ……!』
今初めて知った彼の想い。
『そうだったのですね。いいですよ、サジ。私はあなたの想いを快く受け止めましょう。あなたがこれまで溜め込んできた想いを、精子と一緒に私の子宮に吐き出してください。そして、二人でシトリー家の世継ぎを作りましょうか。ふふ、これから毎日子作りセックスです。覚悟してくださいね?』
勝手に想いを受け取って、答えてしまっている偽物。
そんな二人の傍で、教卓にもたれかかったリアスが妖艶に笑っている。ソーナの下を離れてどこかへ行ったかと思えば、ソーナの偽物と匙の様子を特等席で眺めに行ったらしい。映像越しにソーナが見ていることに気が付いたようで、リアスはこちらに手を振った後、匙の腰を力強く踏みつけ、腰振りを支援している。
それに対して匙が何の反応も示さないのは、リアスに認識を操られているからだろう。
『そんなセックスじゃ孕ませられないわよ? ちゃんと腰を振って、奥まで挿入しなさい? せっかくあなたの大好きなソーナと交尾させてあげているのだから。ほらっ、ほらほらほらぁっ! あははははははははっ!』
ライザーの影響で、リアスは本当に変わってしまった。
自分もこれからどんどん変わっていくのだろう。ソーナはそう確信していた。
「お楽しみのところ悪いが、そろそろこっちに集中してもらうぞ?」
映像を眺めていたソーナを待っていたかのように、ライザーが視界を遮るように顔を近づけ、挿入を始めた。
「んひぃぃっ……!?」
亀頭が穴を穿った瞬間からもう、前回とは全く感覚が違っていた。今回が二回目のセックスということもあって多少なりとも穴が解れていた。そのおかげもあるようだが、それ以上にソーナの中で快感に対する拒絶の意識が緩んだのが大きく影響をしているようだった。
「あ、あ、ぁ、あぁっ……!?」
穴を解されるのが気持ちいい。硬いエラがガリガリと膣肉を引っ掻き、意識が蕩ける。こんなにも気持ちいいことがあっていいのか。ライザーのチンポを借りて女を食ったときの快感もすごかったが、女の身で味わう快楽も負けてはいない。
気の持ちようでここまで状況が変わる。セックスという行為の奥深さの一面に触れたように感じながら、ソーナはライザーと一つになっていく。
「ぁ、熱い……ぁぁぁっ、これ、すごいぃっ……!」
ライザーと繋がっている部分から高熱が伝わってくる。それが身も心も溶かしてソーナの脳を犯す。明晰な頭脳はすっかり桃色に染まっていた。
「ん、ぉ、ほおぉっ、ぁああっ、ら、ライザーぁっ、来てぇっ!?」
「く、ははっ……」
素直に求めるソーナに、ライザーがご褒美とばかりに穴の奥まで穿つ。欲しがっていたものを得られたソーナは待っていましたと言わんばかりに膣肉を締め、ライザーのチンポにギッチリと絡みつく。
離したくない。
ずっと傍にいてほしい。
自分を気持ちよくしてくれるライザーに対し、ソーナは特別な感情を抱いていた。実際には行きすぎた快楽が生んだ歪んだ想いなのだが、ソーナはそれこそが恋心なのだと判断し、大切に育んでしまう。
「ごめんなさい……! わ、私が間違っていました! あなたが全て正しかったのに、逆らうような真似をしてすみませんでしたぁっ! 今後、一生かけて罪を償って生きていきますっ! あなたのために、日本どころか世界も手に入れてみせますっ! 全部、全部っ、あなたの物にしてみせますからぁあっ!」
ソーナはライザーの体に両手を回し、抱擁を交わす。長い間離れ離れになっていた恋人とようやく再会を果たしたときのように熱く。
ソーナは涙を流し、自分を恥じた。
処女を奪ってもらったとき、喜べなかった可哀想な自分を。ライザーに敵意を剥き出しにしていた哀れな自分を。恥じて、もう二度とそんなことはしないと肝に命じる。
自分にとって、いや、世界にとってライザーこそが全てだ。この究極的な存在に服従し、使われるのが至上の幸福。これ以上の幸福などあり得ない。だから、ソーナがこれからしようと考えているのは世界征服ではなく、世界の救済。
ライザーをヒエラルキーの頂点とし、人々を管理する世界。あらゆる生物はこれまでの日常を送りつつも、これまでと違って性に奔放な生き方をしてもらう。雄は好きなだけ雌を犯し、雌は喜んでそれを受け入れる。要は、今回学園で引き起こした騒動を、世界規模で再現するのが計画の概要だ。
自宅で、学校で、会社で、街中で、テレビの中で。
あらゆる場所で交尾が日常と化した世界。そこに戦争や小競り合いはなく、皆が快楽と幸福を得て、新たな生命を作っていくことができる。出産や育児に関する制度を今よりも充実させ、それを支援する側の賃金も大幅に上げ、需要と供給を満たす。それによって、これまで以上に多くの人間が生まれるだろう。
いずれ、その中からライザーの目に留まる美しい女が現われるだろう。
その女を新たな妻としてライザーに提供したとき、ライザーはどんな風に喜んでくれるだろう。自分を褒めてくれるだろうか。その頃には自分にもライザーとの子供がいて、新しい子供を産めるようにご褒美に種付けセックスをしてくれるだろうか。
ソーナはライザーの腰に両足を巻きつけ、気が遠くなるような計画を妄想し、達した。
ベッドの上で、ライザーに押し潰されながら痙攣する。
「ぉ、ほぉぉおおおお~~!?」
もう後戻りできないほどに堕ちた雌は、アヘ顔を晒し、オホ声を垂れ流し、ライザーの逞しい体の内側で生成された高温の子種エキスを胎に受ける。ぶびゅーっ! びゅびゅーっ! と凄まじい勢いで子袋を叩いた精液は膣外に漏れることなく、ソーナの内側を満たしていった。
「し、しあわせぇ~~ぁ、ひっ、ぁ、はははっ……!」
クソ真面目な人格をぶっ壊され、卑しい雌に再構築されたソーナ・シトリー。
今、彼女は間違いなく幸せだった。
天界。それは、空に浮かぶ雲よりもさらに高い位置に存在する。ただの人間では認識することも、入ることもできない。肉体を失った善良な魂が至る場所で、人々からは天国と呼ばれている。
全七層で構成されるその天界の、第六天。日頃、
天使たちが向かった先は庭園。色とりどりの花々が咲き誇り、至る所を清流が流れている。
庭園の一角には小屋が建っていて、そのテラスのテーブルに、一人の女性が座っていた。
背にある純白の翼の数は十二枚。少しウェーブのかかったブロンドヘアの、二十代半ばから後半といった風貌。服装は決して露出の多くない白装束なのだが、着衣越しでも包まれた女体の起伏がはっきりと確認できる。
むっちりとした太もも。たわわに実った長乳。
そして、穢れを感じさせないおっとりとした面立ち。
天界一の美女と呼ばれるに相応しい美貌の女性。
「ガブリエルさま」
天使の一人が声を掛けると、その女性、四大熾天使のガブリエルは天使たちへと顔を向けた。そして、見る者を浄化させるような穏やかな微笑みを浮かべ、手を振ってきた。
「皆~、こっちよぉ」
間延びした声で呼ばれ、天使たちはガブリエルの下へと向かった。
「お待たせしました」
「遅れてごめんなさぁい」
「反省する」
「いいえ、そんなに待ってないですよ? それじゃあ、お茶会を始めましょうか」
各自が持ち寄ったお茶菓子と紅茶を手に、女性天使たちのお茶会が始まった。
熾天使と下級天使たちのお茶会。普通の組織ならば簡単には成立しないはずの会合がこうして成り立っているのは、ひとえにガブリエルの人柄の良さにあった。天使であるから当然といえば当然だが、ガブリエルは外見だけでなく心までも清らかだ。たとえ身分が掛け離れていても、一緒にお話をしたいという下級天使たちの要望を無下にすることはなかった。
それが命取りになるなど、ガブリエルは思いもしていないだろう。
「ガブリエルさま、こちらのクッキーをどうぞ。お手製です」
「私たち三人で頑張って作ったんですよぉ?」
「食べて」
「あら~、そうなんですね。では、お言葉に甘えて」
天使が差し出したクッキーを一枚摘まみ、口へ運ぶガブリエル。天使たちがやけに食い入るようにその様を見守る中、ガブリエルは妙な注目を浴びているとも知らずにクッキーを食べ始めた。
「いかがでしょうか?」
「美味しいですよねぇ?」
「褒めて」
「うふふ、とっても美味しいですよ」
クッキーを咀嚼し、飲み下したガブリエルはそう言って、にっこりと頬を緩めた。
その様子を見て三人は内心で密かに安堵していた。
予定通り、ガブリエルにクッキーを食べさせることができた。味に違和感を持たれる可能性もあるかと思ったが、どうやら心配はいらないようだ。この様子ならば、紅茶を飲ませて問題ないだろう。
「紅茶もどうぞ」
「どうぞどうぞぉ」
「いっぱい飲んで」
「何だか餌付けされている気分ですね? 皆さんも、一緒に楽しみましょう?」
ガブリエルに勧められて、三人も紅茶のカップに口をつける。それを見たガブリエルもカップを持ち上げ、紅茶を流し込んでいく。やはり、三人に見られているとは気づかずに。
クッキーなどのお茶菓子と紅茶を手に、話に花を咲かせる。その光景は至って普通のお茶会だ。誰も、三人の天使たちが悪巧みしているなどと思いもしない。
そもそも天界には、邪な思考を自動検知し、対象者を結界で覆って煩悩を抑制する堕天防止装置がある。これによって悪巧みをする者がいれば即座に炙り出される。装置が反応しないということは邪な感情などないということであり、誰からも疑われない。
三人は内心でほくそ笑んでいた。
彼女たちは、とある計画のためにガブリエルに接触し、お茶会を提案した。そこにあるのは純粋な好意であり、邪悪な感情ではない。だからこそセンサーに引っ掛かることなく、安心して計画を進めることができる。
大好きなガブリエルに雌として幸福になってもらうために、世界最高の雄であるライザーに引き合わせる。そして、ツガイになってもらうのだ。
それこそが三人の目的。それを達成するために、レイヴェルより授かった堕落剤入りのクッキーと紅茶を使い、ガブリエルの内面から支配していく。
自分たちがレイヴェルに捕まったときは少量の投薬で身も心もライザーの下僕となったが、熾天使ではどうだろうか。
若干の不安とそれを上回る期待を胸に、三人はお茶会が長引くように仕向け、ガブリエルを薬漬けにしていった。