※この作品はR-18です。

悪の不死鳥   作:早見 彼方

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第52話

 教会。そこは、神の愛を求め、神を信仰する者たちの寄り合い所。悪魔にとっては敵の領地であり、不用意に踏み入っていい場所ではない。だが、俺からすれば教会もただの遊び場に過ぎず、今日は堂々と教会に足を運んでいた。

「いらっしゃいませ、ライザー様ぁ……」

 蜂蜜のように甘ったるく、熱を帯びた声が掛けられる。

 俺の顔を覗き込み、吐息を吹きかけてきたのは、アーシアだ。ある日、試しに教会を乗っ取って弄びたいなと思いつき、どうしようかと考えた。元信徒のアーシアの自由にさせてみようということになって、先んじて派遣しておいたのだ。

 そして、どうなったのかと確認するためにやってきた俺を出迎えたアーシア。

 その装いは今、普段とは大きく異なっている。

 癖のない長い金髪は銀色に。雪のように白かった肌は褐色に。宝石のような翡翠の双眸は紫色に染まっている。その身を包むのはボディスーツではなく、元シスターであるアーシアが所有していた修道服だ。

 ただ、その修道服はだいぶアレンジされているが。

 修道服の黒い被り物、ウィンプルといったか。それの至る所に何かを括りつけられるように穴が開けられ、そこに十三個の紫色のコンドームが括りつけられている。大きく膨らんだコンドームの中には、どこかのタイミングで回収していたのだろう、俺の精液が溜まっていた。コンドームには『ライザー様』と書かれ、文字を囲むように大量のハートマークが添えられていた。

 装飾が多いだけでまだ原型を留めているウィンプルと違い、修道服は殆ど元の形を成していない。布地を大胆に切り捨てた殆ど前垂れ同然になったそれは、体の前だけを覆っている。その生地も引っ張れば簡単に破けてしまいそうなほどに極薄で、ピッチリと肌に張りついているから、乳首ピアスをつけたアーシアの乳房の綺麗な曲線や、舐め回したくなるようなへそ周り、下腹に刻まれた淫紋、膣内を埋め尽くす漆黒バイブも丸見えだ。

 くすりと、アーシアは紫色のルージュで彩った口元を緩めた。

「ライザー様のために、頑張って作ったんですよ? この衣装も、教会の内装も」

 言って、アーシアは後ろを振り向き、教会に向かって手をかざした。

 さっきから俺の目に教会の内部は映っているのだが、改めて観察してみる。

 内壁全体を覆う闇を具現化したような黒い粘体生物。紫色の不気味な瞳を無数にギョロギョロと浮ばせ、張り巡らされた赤黒い血管がドクンッ、ドクンッと脈打って鼓動に似た音を響かせている。壁からは男性器型の触手が幾つも飛び出ていて、落ち着きなくくねらせながら分泌させた粘液を滴らせている。

 俺が以前、実験で作った生物だ。名前は安直に、闇の触手。

 それは教会を支配するばかりに留まらず、裸に剥いた数十人の人間の女たちを絡め取っていた。

「ぉ……!? おぉっ……!? ぉっ、ぉっ……!」

「イクッ、イクイクイクイクゥゥゥゥゥゥッ!?」

「やめっ、頭、弄らない、でぇ……記憶、吸われっ、ひぃいいっ……!?」

 女たちは闇の触手によって頭の上半分と手足を丸呑みにされた状態で、男性器を模した触手で膣穴を穿り返されている。既に幾度も犯されて種を注がれた腹は丸々と膨らんでいるが、どうやらその膨らみは子種によるものだけではなかったようだ。

「触手の赤ちゃん、産まれりゅぅうっ!? ん、ぉ、ぉおおおおおおぉっ!?」

 ちょうど一人の女の膣穴から、ずるりと黒い何かが生まれ落ちるのを目撃した。

「ァ、ァァァア……マ、マァ……ギ、ギヒッ……ギヒャヒャヒャヒャヒャヒャッ……!」

 地を這うような低い声を響かせて母を呼び、自身の誕生を悦ぶように笑い転げるのは、母胎と黒い臍の尾と繋がった闇色の胎児。巨大なおたまじゃくしのような体をしたそれは、全身に開いた無数の眼をギョロギョロと動かし、黒い歯の生え揃った口から涎を纏った紫色の長い舌を伸ばし、巨大な男根を怒張させていた。

 祝福すべき生命の誕生。母となった女の体を拘束し、孕ませた闇の触手が女の腹を撫でると、その白い腹に人間の赤子を象った黒いライフマークが刻まれた。どうやら既に何匹が生んでいるようで、ライフマークが五個、ライフマークの上からバツマークを刻まれた堕胎マークが十個ほど刻まれているのが見えた。

 女の足元には確かに、おたまじゃくし触手の他に、原形を崩した不格好な触手の死体が散らばっていた。短時間で人間の胎に出産を強制できる触手は、その代償として死産の確率も高いようだった。自分で作っておきながら、この辺は試していなかったから、新しい学びとなった。

 人間と怪物の望まぬ交尾。命の誕生と死滅。まさに生命の冒涜とも呼べるような光景が延々と繰り返されている。

「素晴らしい光景だと思いませんか……?」

 アーシアは瀕死状態の触手の赤子をヒールの鋭利な踵でぐしゃりと踏み殺した後、にっこりと微笑んで俺の腕に抱き着く。

 この場に囚われた人間は、おそらく教会にいた信者だろう。偶然、アーシアが乗り込んだことで玩具として認識され、触手の化け物を産む母胎に変えられた。信者は女だけということはなく、男もいたのだろうが、その姿はどこにもない。

 殺したか、女に変えたか。母胎の数的には後者だろうか。

「いい子だ、アーシア」

「は、ぁぁあああっ……」

 非常に面白い見せ物だ。天界陣営の神聖な領地を邪悪に改造し、命を弄ぶ行為。ズルリッ、ボトォ、と女たちが嬌声を上げながら次々に触手の子供を産み出し、代わりに与えられているだろう快楽に狂う声音が心地いい。

「遊んでみて、どうだ?」

「最っ高! でしたぁ! 自分の手で教会を穢してっ、関係ない人間共を身勝手に巻き込んでぇ、妊娠と出産、堕胎を繰り返させるっ……! 脳も体も触手出産用に調整して、今後二度と人間の子供は産めない体にしてぇっ、人生を完全終了させる遊びぃっ! あは、ふふっ、あッはははははははははっ! 愚かで、下等でぇ、ゴミクズ共に相応しい末路……! 本ッ当に、無様でぇ、笑えちゃいますぅぅ……!」

 恍惚とした表情で打ち震え、弄んだ人間共を軽んじる嘲弄の微笑を湛えている。

 ああ、いい調子だ。清純で、純真で、光の世界がよく似合う女を悪に叩き堕とし、自らの手で悪行を摘ませる。もう後戻りできないほどの大罪。心根の優しい少女が正気のままこんな体験をすれば、心は容易くぶっ壊れるだろう。

「アーシア」

「はい、ライザー様」

「お前は、お前たちはグレイフィアと違って、本当の意味で堕ちたわけじゃない。あくまでついでに洗脳しただけだ。だが、そんなお前は俺を大いに悦ばせてくれた。今からその褒美をやろうと思うのだが、受け入れてくれるか?」

 俺の言葉を聞いていたアーシアは、驚き、そして、瞳を輝かせた。

「そ、そんな、私なんかが……」

「卑下するな。お前の働きは十分すぎるほどだ。で、どうだ?」

 俺が伸ばした手を、アーシアは緊張した面持ちで見つめていた。

 いったいどのような褒美なのだろうかと、期待に瞳を震わせているようだ。

 やがて、好奇心を抑えきれなくなったのか、アーシアはこくりと頷いた。

「この身で、ライザー様の全てを受け止めます……」

 アーシアは抱き締めていた俺の腕から離れ、正面に回る。

 両手を胸元の前で組み、目を閉じたアーシア。神への祈りを捧げるポーズだが、アーシアにその気はない。もしも神が目の前にいたとしてもひれ伏すことなく中指を立て、俺に命令されれば、自らの手で神を磨り潰すことに躊躇いはないだろう。

 俺に忠実な、可愛い可愛い悪堕ち聖女。

 そのアーシアの頭に、俺は手を置いた。

 そして、今までアーシアの脳に押し寄せ、狂わせていた要素を吸い上げていく。

「今、綺麗にしてやろう」

「ぇ……」

 ポツリとアーシアが声を発した。だが、俺は手を止めない。

「ほら、元のお前に戻っていくぞ? どんな気分だ?」

 どんどん吸っていく。淀みに淀んだ川からヘドロだけを抽出していくように。少しずつ汚れが消えて、綺麗に澄み渡っていく。まるで、これまでの汚れが嘘だったように。これまでのことがなかったように。

 そして、アーシアの瞳と髪と、体の色も元に戻っていく。

 だが、それでも、穢れていたという過去までは消さずに残す。

「あ……れ……?」

 アーシアが祈りを捧げるポーズを解き、目蓋を開いて周囲を見回す。

「ぇ……。え……?」

 困惑に次ぐ困惑。

 ついさっき浮かべていた邪悪な微笑みは消え、純粋な戸惑いが、アーシアの表情に満ちる。

 それがじわじわと酷い絶望に歪んでいく様を、俺は捉えていた。

「ぁ……あぁ……」

 アーシアの膝が震え、力なく崩れ落ちる。

「ぁあぁああああぁあああああっ……!?」

 床に両膝を突いたまま、アーシアは目を大きく見開き、顔を両手で覆って喉から声を搾り出す。

 アーシアの脳内には今、これまで自分がしでかした行為が走馬灯のように蘇っていることだろう。俺を悦ばせるために肌を幾度も重ね、体の内外で精液を浴びたこと。俺を悦ばせるために、好意を寄せていた兵藤一誠を嬲って、弄んだこと。

 挙げればきりがない。今この瞬間も、囚われた数十人の女たちがぼとぼとと触手の子を産んだことで、罪が積み上がっていく。とても、人一人では背負い切れない罪が一瞬にしてアーシアの脳を襲い、蝕んでいく。

「ぃ……ゃ……」

 ああ。

「いやぁああああああぁぁぁあああああッ!?」

 本当に良い声で鳴いてくれる。チンポに響く。

 絶望に押し潰されそうになって泣き叫ぶアーシアの前で、俺はズボンから肉棒を取り出す。アーシアの金色に戻った綺麗な髪を掴み、竿に巻き付けて扱く。そんなことをされても、今のアーシアには拒絶する余裕もない。

「そうだ。全部お前がやったんだ」

 アーシアの髪で扱きながら、俺は頭を抱えて体を丸めるアーシアの背に声を落とす。

「最低だな。これほどの悪行は、神も許してはくれないだろうな。この大罪人め」

「悪行……罪……。私は、皆さん、を……この、手で……。あぁぁあ……!」

 アーシアの震えは収まらない。

「だが、俺ならばお前を許し、その苦しみから解放してやれるだろう」

 どの口が言うのか、と思われるだろうが。今のアーシアには、俺に縋る他はないだろう。壊れそうで、壊れることができない。そんな心理状態で助けてくれる仲間もいない。生きているだけで地獄のような時間が続く。

 光を消失した、アーシアの翡翠の瞳。

 絶望に塞がれたそれが、光を見出すように俺を見つめる。

「解、放……」

「そうだ。その償いきれない罪から、お前を自由にしてやる」

「でも、これは、私、の……」

 俺に操られていても、実際に行動したのは自分。真面目なアーシアらしく、自分の行為に責任を持ち、だからこそ一人で抱えて潰れようとしている。

 まあ、普通ならばとっくに潰れているだろうが。そうならないように、心を少し弄っておいた。いくら苦痛に悩まされても壊れることのない心に。アーシアができるだけ長く苦しみを満喫できるようにという俺の善意だ。

「一人で抱えるな。俺を頼ればいい」

 俺は薄ら笑いを浮かべ、アーシアの眼前にチンポを突き出した。

「ほら、アーシアの大好きなチンポだ」

「ぁ……ぁあ……」

 アーシアの左右で肉棒を揺らすと、アーシアの視線が追ってくる。右、左、右、左。餌を目の前でちらつかせられたペットのようだ。

 アーシアには、俺とのセックスで得た興奮と快楽が残っている。ただ、完全にではない。全て残しておいたら、それが理由で勝手に堕ちてしまいそうだからだ。そのため、相手の興味を誘う程度に留めて残りは奪い取った。

「俺とのセックスは気持ち良かったよな? ちゃんと覚えているだろ?」

「チン、ポ……。チンポ……」

「もっと近くで見てみろ」

「あ……」

 アーシアの腕を優しく引き、丸まっていた背中を真っ直ぐ立たせる。そして、アーシアが真下から肉棒を覗き込めるように一歩前へと進む。

「これ……だめ……だめ、です……」

 視界を埋めつくされるような距離間で、アーシアがチンポを見上げる。駄目だと言いながらも眼は限界まで大きく開かれて、翡翠の瞳にチンポを映している。

 発言が行動と一致していない。心の片隅では拒んでいても、アーシアはしっかりと覚えている。俺と過ごした日々。共に寝た記憶。俺のチンポを味わった興奮が体を動かし、アーシアはそのまま顔の上にチンポを乗せるように迫ってきた。

「ぁ……こ、これ……おチンポの、臭い……」

 鼻をスンスンと鳴らし、アーシアの表情が一瞬まどろむように緩む。これまで感じていた罪の意識が一瞬だけ薄れたかのようだ。

 実際、その通りだ。今のアーシアは、快楽を抱くと同時に、罪悪感を和らげる精神構造になっている。しかも、チンポに縋れば罪悪感が薄れるというのを本人にも自覚させており、アーシア本人に、このまま罪を抱えて生きるか、チンポを選ばせて罪から逃げるかの二択を迫れるようになっている。

「どうして……こんなことを……こんな酷いことを、するんですか……?」

 俺の企みに気がついたアーシアが、恐ろしげに俺を見上げてくる。

 ここまでして自分を堕とそうとしてくる俺が、理解できないのだろう。

 それについてはわかってくれていると思ったが。まあいいか。説明してやろう。

「お前が欲しいからだ、アーシア」

 美しい女の体は元より、叶うのなら心も欲しい。

 これまではグレイフィアを主目的に据え、アーシアたちの攻略はついでだった。だから手早く頂いたのだが、本命を堕とした後の余裕からか、改めて下僕たちと向き合い、その心身を味わい尽くすのもいいかと思い始めていた。

「俺のチンポが勃起しているのは、お前が可愛いからだ。お前のような美少女を傍に置いて、延々と抱いてやりたい。だからお前を堕としたんだが、やはり俺はお前の綺麗な心も手に入れてみたくなった」

「私……を……ぁ……あ……」

 アーシアの表情が笑みを結ぶ。しかし、すぐに思い直し、また絶望に身を委ねる。

 潰れるとわかっていても、背負わなければならない罪だと感じているようだ。しかし、罪を償う手段を思いつくことも、いつまで経っても罪に押し潰れることもできず、ただ時間だけが過ぎる。そんなことをしている間に、また目の前でチンポが揺れて、アーシアの中にある興奮が呼び起こされる。

 解決することはできない。逃げることもできない。

 出口のない迷路と、惑わしてくる誘惑。

「少しだけでいい。舐めてみろ。やめたくなったら、そのときにやめればいい」

 俺は助け舟を出した。

 アーシアは迷うように逡巡していた。ここで俺の言いなりになれば、どうなるのかを考えている様子。そもそも、こうなったのは全てアーシアを操っていた俺のせいなのだが、それを俺のせいにできない心の優しさが、アーシアを苦しめ、惑わせる。

 そうして、数分が経過した頃。

「ん、ぁ、あ~……」

 アーシアが混乱しながらも、誘惑を振り切れずにチンポに舌を這わせてくる。

「ぉっ……ぉっ……!?」

 直後、アーシアの体が跳ねる。

「そん、な……。こんなの、って……。ぁ、ぅ……ぁああっ……」

 チンポを軽く舐めただけで、アーシアの内心では罪悪感と快楽の比率が一瞬だけ後者に傾いたことだろう。それを身を以て体感したアーシアが、異物を見るような眼差しで俺を捉え、恐怖に震え上がっていた。

「やめ、て、ください……。わ、私は、こんなこと、望んでなんて……」

 アーシアは口を両手で押さえ、欲望に打ち勝とうとしている。重くて持てない罪を背負おうと、足掻いている。なんていじらしい。これほど清い心を持った娘を救わないなど、神はこの世界に本当にいるのだろうか。

「お前を救えない神に代わって、俺が救ってやる、アーシア」

「いや……。名前を、呼ばないで、くださいっ……! 傍に、近寄らないでっ……!」

 善と悪。罪悪と快楽の間を、天秤が大きく揺れ動いている。

「アーシア。大好きなチンポに縋ってみたらどうだ?」

「ぅ……ぁ……おチンポ……」

 そんな感情の揺らぎも、チンポを振ってみせれば、この通りだ。

「金玉も触っていいぞ」

「い、や……」

「お前には、俺の体を味わう権利がある」

「いり、ません……」

「俺の傍で永遠に、俺の女として愛してやろう」

「永遠に……愛、を……?」

「俺と俺の女たちが暮らす世界に、お前を苦しめるものはない」

「私の、ぅっ……この、苦しみから……」

「そうだ、アーシア。素直になれ」

 じっくりと説き伏せていく。それでもすぐには堕ちないだろうが、きっかけを与えられればいい。アーシアが自分の意思で選択できるように。ただ操られていた頃に比べれば自由で、アーシアは幸せだろう。

「さあ、どうする?」

 バッキバキに勃起したチンポを上下に揺らす。あと少しでアーシアの顔に触れそうだが、少し距離が足らない。アーシアが顔を持ち上げれば、小気味いい音を立てて、顔面に叩きつけられるだろう。

 ぺちっ。

「ぉっ……」

 ぺちっ、ぺちっ。

「ぉ、ぉ、ぉ……」

 ぺちんっ、べっちゃぁ、べちゃん。

 アーシアが自分の意思で顔を上げ、チンポの受け皿として自分の顔を提供した。それによって顔面にチンポが叩きつけられ、アーシアの表情が快楽を広げる。多少の抵抗感を残しつつも、チンポビンタによって明らかに様子が変わっていく。

「はぁぁあ……はぁぁああ……」

 瞳にハートマークを浮かばせ、アーシアが振り下ろされる肉竿に吐息を届ける。熱せられた肉棒が自分を襲い、さらに熱量を高める。バイブを埋めっぱなしだった膣からはわかりやすいくらいに愛液が漏れ出ているのが見えた。

 床を這い回って近づいてきた触手の赤子が、床に落ちたアーシアの愛液を啜っている。

「んぁ……ぁあっ……!」

 アーシアが辛そうに息を呑んでいた。

 そうやって、さっきまでは耐えられていたアーシアだったが、顔が離れることはなかった。アーシアはチンポを顔に乗せたまま、鼻で深く息を吸い出した。

「すぅぅぅうっ……。ぁあっ、ぁあああっ……!」

 アーシアが声を搾り出し、膣に咥えていたバイブを膣圧だけで排出した。愛液まみれのバイブが床に落ちた直後、中に溜め込まれていた愛液が決壊したダムのようにどろろぉと垂れ流す。

 十数匹の触手の赤子がこちらに寄ってきて、愛液をぢゅるぢゅると啜り始めた。中には嬉しそうに大口を開き、新しく膣穴からこぼれる愛液を浴びるように飲みながら、股間部にて巨大でドス黒い生殖棒をビンビンに勃起させている者もいた。

 触手の子供たちは自由だった。

 アーシアに踏み潰された腹違いの兄弟に群がり、肉に食らいつき、引き裂いて美味しそうに咀嚼する触手。産んでくれた母親の乳首に吸いつき、母乳をごくごくと吸う触手。父親の触手でくぱぁと開帳された母親のマンコにチンポをねじ込み、胸の谷間に頭を挟んで涎を垂らしながら絶頂種付け射精を楽しむ触手。母親であるまだ小学生くらいの少女のロリマンコに潜り込んで、子宮に戻ろうとする触手。

 そんな、常人が見ればおぞましいと思うかもしれない光景に囲まれて、それを作り出してしまったアーシアがぼんやりとしたまま笑みを見せている。大好きなチンポの臭いがアーシアを内側から汚染し、心の均衡を傾けていく。

 やがて、

「……ちゅっ」

 アーシアが自分から、チンポに唇を当てた。

「だめ、ん、ちゅっ……だめ、なのにぃ……ぁ、むちゅ、ぅ、ぅっ、れろぉ、ちゅっ……!」

 苦しみを思い出して歪みかけた表情が、チンポキスによって緩む。罪から逃れることの心地良さを振り解くことができなくなってきているようだ。懺悔の時間はゆっくりと減少し、代わりに愛を注ぐ時間が増加していた。

「ちゅっ……ちゅっ……ちゅっ……ぬちゃっ……ぬりぃ、ぬりゅっ、ぐちゅっ、むちゅっ!」

 アーシアの髪色などは、さっき正気に戻した際に元通りにしていたが、唇を彩ったルージュはそのままだ。紫色の口紅が、口付けによってチンポの至る所にキスマークを残す。自分がキスをしたという証拠を、アーシアは目の当たりにしていた。

「たす、け、てぇ……」

 唇をチンポから離し、アーシアが助けを求める。

「ぃ、イッセーさん……イッセーさん、イッセーさん、イッセーさ……ぁ……ぁああっ!?」

 兵藤一誠の名を呟き、アーシアは目を丸くし、顔を青褪めさせた。

「イッセーさんは、私が……。私が、嗤いながら、苛めて……嬲って、痛めつけて……!」

 助けてくれるかもしれなかったヒーローは、アーシアの手で完膚なきまで尊厳を打ち砕かれた。地下に幽閉され、アーシアたちを模したスライムに延々と精を啜られながら、偽物のリアスたちとハーレム性活を過ごす偽物の自分から幸せな記憶を一方的に共有され、逃げられない快楽地獄に囚われているのだ。

「そうだ。お前のせいだ。全てお前の罪だ。怖いだろう? 苦しいだろう? 死んでしまいたくなるだろう? だが、それは許されない。罪を抱えて、永遠に苦しみながら生きるか。それとも、俺の下であらゆる罪を笑いながら踏み倒し、甘い蜜を啜るか。選べ」

 ここぞとばかりに追い込む俺を、アーシアはどんな気分で眺めていたのだろう。

 目から大粒の涙をこぼし、光を失った瞳で俺を見上げる。

「れろぉ~~っ、ぢゅぷぅっ、ぬりゅっ、べっちゃぁあ、ぐちゃぁああっ!」

 口に溜めた唾液が、次々と肉棒に擦りつけられる。

 それに合わせて、アーシアの絶望が和らいでいく。

 これから、自分の意思で絶望を乗り越えてもらおう。

「さあ、仕上げだ。俺の上で、好きなだけ自分を慰めるがいい」

 醜悪に歪めた教会で、俺という舞台の上で、アーシアに踊ってもらうことにした。

 

 

 

「ぐ、ぢゅ、ぶ、ぢゅ……!」

 ガブリエルは今日も、自分の体に快楽の味を覚え込ませていた。

 自室の床に股を開いてしゃがみ込み、つま先立ちになって陰裂に指を這わせる。度重なる刺激によって肉穴から蜜が漏れ、足元に置かれた小瓶の中にとろりと落ちる。

 床を汚さないためというよりは、自分がどれだけ汁を漏らしたかを後で確認するために愛液を瓶で集めていた。今日は昨日よりも。明日は今日よりも。排出した雌汁が日に日に増していくように練習を積んでいた。

 何のために?

 ふと浮かんだ疑問は、襲いくる快楽で掻き消された。

「ぬ、ちゅ、ぐちゅ、ぬちゅっ……!」

 ガブリエルはとろんと目を蕩けさせながら、窄めた口でそれをしゃぶり続ける。

 男性器の模造品。つまりはディルド。

 これは、ガブリエルが人間界から調達したものだ。素性がバレないように姿を変えて、自分の足で専門店に向かった。地図を見ながら少しずつ店に近づき、人目を避けて若干挙動不審になりながらも店内に入り、見つけた商品を購入するまでの間ずっと、ガブリエルは恥ずかしくて頭がどうにかなりそうだった。

 そんなこんなでようやく手に入れたディルドを自身の力で宙に浮かばせ、ガブリエルはやけにゆっくりとしゃぶっていた。意図的に速度を緩めているわけではない。大きく口を開くだけでなく、男性器を見立てた性玩具を咥えるという抵抗感がまだ心の中に残っていた。

 しかし、その一方で、一心不乱にしゃぶりつきたいという欲求もあった。

 ガブリエルの頭の中では今、見たこともない記憶が映像のように流れていた。

 最近、ガブリエルの欲望のはけ口になっている金髪の男。見知らぬ洋室に裸で立ち尽くす男の股間では、ガブリエルと同じく蹲踞の体勢を取って、両手を使わずに口だけで男の肉棒をもてなす銀髪の女がいた。

『ぐぷぴぅっ! ぢゅぶぶぅっ! ぶぢゅるるぅっ! ぬぷぅっ! ぶぢゅっ! ぐぢゅぢゅっ! ぶぷぅっ! ぢゅぞぉっ! ぶぢゅぞぞぞぉっ! ぐっぽぉっ! ぐっぽぉっ! ぶぢゅぢゅぢゅぢゅぅっ!』

 女のディープフェラは、経験のないガブリエルを圧倒するものだった。速さも、喉奥まで使った浸食の深さも、響く音もまるで違う。その奉仕を味わう男の顔は実に気持ち良さそうで、ガブリエルはもやもやとした気分を晴らすため、対抗するように速度を上げた。

「ん、ぢゅっ、ぶぢゅっ、ぢゅぷぅ、ん、ぐぅっ!? っ……けほ、けほっ……!」

 少し深く咥えただけでせき込んでしまった。

 駄目だ。これでは彼を悦ばせられない。

 どうして自分がそんなことを、と思いはするが、何故だか、夢の中でしか会ったことのない男のことを考えるだけで心地よく、欲望の対象とすることで満たされた。そうして日々自慰を続けていくことで、ますます男の存在が自分の中で膨れ上がっていた。

 愛情。そんな言葉が浮かんで、ガブリエルは必死にそれを否定した。

 出会ったこともない方に、恋をするなんて、あり得ません……。

 そうやって冷静に判断できるのだが、それでも体は疼く。

 ガブリエルは記憶の中にいる銀髪の女に、自身を重ねた。

 長太い使用済みコンドームを髪留めに使い、ポニーテールに束ねた銀色の髪。明らかにサイズの合っていない女子制服で肉感的な身体を包んでいて、まるで母親が女子高校生の娘の制服を借りて着ているかのようにミスマッチだった。

 それ故に、女子高校生にはない淫猥さが生まれている。

『ん、ぢゅぽぉっ! ぐぽぽぉっ! ぐぢゅ、ぶぢゅんっ!』

 紐のように細く黒い下着に吊り下げた数十個の使用済みコンドームをたぷんっと揺らし、金色の陰毛が混入した精液をギッシリ詰めたコンドームを両手の指で摘まんでぶらぶらと躍らせ、頬を窄めて美味しそうに肉棒に食らいつく。

 そして、下着に固定されているせいで抜けることのない極太バイブでヴヴヴヴと膣内を掻き毟られながら、それを悦ぶように魅惑的なデカ尻を前後に振ってもいる。へこへこ。へこへこ。媚びるように何度も。

 なんていやらしい。これでは女ではなく雌だ。

 こんな風にはなれない。

 でも、こんな風になれたら、いったいどれだけ気持ち良いのだろう。男の縮れた陰毛を頬に貼りつけて、ぶぢゅるるるぅっとフェラをする女の顔はドスケベでありながらも美しく、見たこともないほどの幸福に酔い痴れていた。

 ガブリエルは悦に入る女の横顔を確認した瞬間、フェラの猛特訓を始めた。

 練習。失敗。練習。失敗。練習。失敗。

「けほっ、ごほっ……。ん、んんぅっ、ぶぢゅっ、ぢゅるっ、ぐぷ、ぷぅっ……」

 失敗を繰り返しても、練習は止めない。少しでも銀髪の女に近づけるように。

 割れ目を解し、膣口を指で弄ることも忘れない。瓶の中に愛液を溜めていく。

 ガブリエルはそうして少しずつ、理想の雌である銀髪の女に近づいていった。

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