山の中の開けた場所。青い空を映す湖の畔にその屋敷はあった。木造二階建ての立派な佇まい。定期的に関係者が出入りして手入れを行っているため、庭に当たる広い敷地は荒れることなく整然としている。
これから来る者を静かに待つその屋敷に今、一人の女悪魔が訪れた。
女の名前はグレイフィア・ルキフグス。この屋敷を別荘として所有している冥界の名門グレモリー家に仕える使用人だ。屋敷の一室にある魔法陣から転移をしてきた彼女は、着慣れたメイド服の乱れを整えた後、静かに歩き出した。
グレイフィアがこの屋敷に来た理由。それは、山で修行を積むために今日からこの屋敷にやって来るグレモリー家の息女、リアス・グレモリーを迎えるため。ではなく、グレイフィアが現在グレモリー家とは別に仕えることを強いられている新しい主の命令によるものだった。
ライザー・フェニックス。まだ一ヶ月にも満たない浅い主従関係ではあるが、彼には既に辛酸を舐めさせられてきた。最愛の息子であるミリキャスが病に伏し、その病をライザーに治療してもらった対価としてフェニックス家に新人メイドたちの教育係として迎え入れられたグレイフィアだったが、事前に聞かされていた内容と実態は異なっていた。
仕事の内容は、教育係と名ばかりの主の性欲処理係だった。仕え始めたその日にライザーから肉体関係を迫られ、グレイフィアは抱かれた。数日間、寝室に缶詰めにされて種付けセックス。接吻を強要され、乳房を余すところなく舐め尽くされ、乳首をしゃぶられ、子宮に尋常ではない量の精液を注がれた。
グレイフィアは反抗的な態度を取りはしたが、抵抗を行動で示さなかった。相手は息子を救ってくれた恩人に違いはない。ライザーが提供してくれた特別製のフェニックスの涙という希少なアイテムがなければ、今頃息子は息を引き取っていたかもしれないのだ。
その想いを胸に、グレイフィアは耐えた。
『ライザーとの問題は自分一人で解決しなくてはいけない』
抵抗や逃走よりも先に脳内に自然と浮かんだ考えに従って、グレイフィアはライザーのメイドとしての生活を始めた。正体不明の怪しげな方法で肉親を洗脳し、母親を一人の女として抱いて孕ませた鬼畜なライザー。実の妹にまで手をかけた彼。その魔の手から最愛の家族を守るために。いつか彼との関係を解消し、家族の下へと戻ることができる日が来ることを願って。
時に昂った感情を表に出しつつも、グレイフィアは事務的な態度でライザーを受け入れた。口で、膣で、子宮で。夫の味を忘れてしまいそうになるほど濃密で、むせかえるような雄臭い精液を体の内外に浴びた。
いつか、いつの日か必ず家族の下へ。
ライザーの子種で子宮を満たされても、その想いは消えることはなかった。
グレイフィアは部屋を出ると、その足で玄関へと向かい、外へと出た。外に誰もいないことを確認し、歩き進めた先は屋敷を取り囲む広い森の中だった。
「ライザー様」
立ち並ぶ木の一本に身を隠し、グレイフィアは主を呼んだ。
その直後だ。誰もいなかったはずの自分の背後に一人の男が現れたのは。
長躯に纏った赤いスーツと少し長めの金色の髪。整ってはいるが性格の悪そうな顔には下衆な笑みが浮かんでいる。その男はさも当たり前のようにグレイフィアに手を伸ばすと、背後から抱き着くようにして彼女の胸を握った。
ライザーの指が下着とメイド服の上から乳房に沈む。相手のことを考えないいつも通りの抱擁だった。女を便利な道具と思っているのだろう。臀部に擦りつけられる股間の膨らみを感じ取って嫌な気分になりつつ、グレイフィアは対応を続ける。
「この辺りでよろしいでしょうか?」
事前に聞かされていた通りにグレイフィアは森へと赴き、屋敷が見える場所までやって来た。そうした上でライザーを呼び、やはり出所不明の謎の力で自分の傍に現れた彼の不躾な肉体的接触を甘んじて受け入れた。
「あぁ、問題ない」
ライザーはグレイフィアの耳元で囁く。ベッドの上で幾度となく囁かれてきたせいか、体が反射的に震えてしまう。悔しいことに体は彼に汚染されつつあるようで、不本意ながら性的刺激を得ていた。ぞわぞわという背筋を走る刺激に伴って、下腹部にじわりじわりと熱が帯び始めた。
「外でのセックスは久しぶりだ。存分に楽しもうか。ほら、俺を誘ってみせろ」
胸から手を離し、体を起こしたライザー。ズボンのチャックを下ろす音が聞こえた後、巨大な一物が臀部に押しつけられた。夫よりも圧倒的に大きく、精液の質も量も桁外れなそれ。初めて見たときに純粋な恐怖を抱かせてくれたそれは、今日もグレイフィアを欲しているようだった。
飽きもしないで、よくもこんなに。
そう呟きたくなるのを歯噛みで食い止め、グレイフィアは木の幹に片手を突いて正面を見据え、メイド服のスカートを捲って尻を突き出した。そして、夫にもしたことのない淫らな求愛でライザーを誘った。
「どうぞ……」
グレイフィアが尻を左右に振った数秒後、彼女はライザーと一体化した。
紫色の下着をずらし、ジュプンッと勢いよく膣に収納された肉棒。当たり前のようにカリ首で膣壁を引っ掻きながら奥に至ったそれは、子宮口へと強烈な亀頭の口づけを放った後にようやく制止した。
グレイフィアは我慢していた。強い刺激で声が出てしまわないように。声を出せばライザーを喜ばせてしまう。乱暴な行為で感じてしまう自分もそうだが、そんな自分を見て笑うライザーの笑顔が彼女は堪らなく嫌いだった。
「ふぅ……」
冷えた体で温かい湯船に浸かったかのように、吐息をついて表情を緩めるライザー。グレイフィアの尻に手を置いて撫でたのも束の間、ゆっくりと腰を前後に揺らし始めた。
突き抜けるような青空を遮るように伸ばされた青々とした枝葉。その枝葉を携えた木々が周囲に林立している。大自然だ。呼吸をすれば澄んだ空気が肺を満たし、耳を澄ませばどこからか小鳥の囀りが聞こえる。
そんな心地のいい環境も、一緒にいる者次第ではこうも印象が変わるとは。
グレイフィアは心中で不満を漏らしながらも、前後に往復するライザーの肉棒を受け入れた。なるべく早くライザーの欲を発散させる。ライザーがまた悪巧みを考えないうちに、早く。
「リアスたちが心配なのはわかるが、そんなに焦るな」
図星を突かれ、心臓の鼓動が高鳴った。
この男は妙なところで勘が良い。グレイフィアは腹を探られて余計な痛みを覚えないよう、無駄な思考を放棄して場の流れに身を委ねた。
じゅぷ、じゅぷと肉棒が膣肉と戯れる。先走り液で滑りのよくなった膣がライザーを受け入れてしまう中、グレイフィアは木の向こう側に見える屋敷の正面に荷物を持った少年少女がやって来たことに気がついた。
女悪魔にして現役の高校生であるリアスと、同年代の眷属たちだった。最近眷属になったばかりの兵藤一誠という少年の驚く声が風に乗って聞こえてきた。
「呑気なもんだな。俺に勝つ気はあるのか?」
せっせと腰を動かしながら吐き捨てるように言ったライザー。賛同するわけではないが、グレイフィアも同意見ではあった。最近人間から悪魔へと転生を果たした彼にはどうも緊張感が足らない気がする。リアスの傍に今後もいることを望むのならば、もう少し落ち着きを。
「っ、ぁ……」
一定の動きに混ぜられた強い突き。不意を打たれて声が漏れる。膣が引き締まったことで動揺がライザーに伝わってしまったようだ。ライザーの微かな笑い声にグレイフィアの心がざわついた。落ち着きをと思っておきながら自分はこの様だ。本当に情けない。
「さぁ、一緒にリアスたちの修行を見学しようか」
本格的な情事はまだこれからだというのに。
庭の中心に陣取り、向かい合う木場祐斗と兵藤一誠。女性陣に見守られながら二人は相手を見据え、手にした木刀を振るう。戦況は祐斗の側に傾いていて、一誠は防戦一方だった。たまに攻撃へ転じることはあるが、その殆どが大振りで目線から太刀筋も読みやすく、即座に祐斗によって木刀を手から弾き落とされていた。
「おいおい、あんなので大丈夫か?」
ライザーが独り言つ。一誠は人間から悪魔へと転生したばかりだ。少年期に悪魔へと転生した祐斗に敵わないのも仕方ないだろう。それに、今回のレーティングゲームでリアスが勝つことができるようライザーと打ち合わせ済みだ。一誠が現時点で未熟であろう問題ない、とグレイフィアは判断した。
それにしても、ライザーはいつあの権利を使うのだろうかとグレイフィアは疑問を抱いた。グレイフィアの願いを聞く代わりにライザーが得た、グレイフィア自身にライザーを愛させる権利。二週間に及ぶ期間の権利を手に入れておきながらそれを使おうとする気配がない。
いつ使うのか。それを本人に直接聞くわけにもいかず、グレイフィアは視線を後ろに向けた。相も変わらず当然のごとくグレイフィアの膣肉に肉棒を擦り付けるライザーは気持ち良さそうに腰を振っていた。
そんなに気持ちいいのだろうか。なぜここまで自分を求めるのだろうか。自身に対して並々ならぬ執着を見せるライザーを見つめていると、視線が合った。
「どうした、グレイフィア」
ライザーの声にはグレイフィアを慈しむ感情がわずかながら込められていた。グレイフィア自身からライザーへと歩み寄れば幸せにしてくれるのではないかと錯覚させるものだ。このまま身を委ねれば、守りたい者たちを無事に守りきれるのではないか。
グレイフィアは今抱いた考えを即座に消し去った。
その考えは駄目だ。それでは得体の知れない力を持つライザーに屈服したのと何も変わらない。自分が求めるべきは家族誰一人欠けることなく元の生活を取り戻すこと。サーゼクスの妻として、ミリキャスの母としてあの暖かな輪の中に戻ることだ。
絶対に負けてはいけない。
「何でもありません」
素っ気なく、決して靡かないつまらない女だと思わせる。グレイフィアはその考えに徹した。
「そうか」
それでもライザーの瞳に宿る欲望の炎は陰りを見せることなく、むしろ膣内を圧迫するように肉棒が太さを増した。子宮口に放たれる突きの速度が上がる。膣を内側から広げられ、性器同士が激しく擦れる度にグレイフィアは膝から崩れ落ちてしまいそうになった。
「前を向いて、あいつらのことをよく見ていろ」
命令に従ってグレイフィアはリアスたちを見る。何度負けても諦めることなく祐斗に挑む一誠。穏やかな表情ながらも真剣に迎え撃つ祐斗。彼らを見守りつつ、時おり激励の言葉を送るリアス、姫島朱乃、塔城小猫、アーシア・アルジェント。
リアスの未来は明るい。あれだけ才能ある心優しい者たちであれば、少し暴走しがちなリアスを身も心も支えてくれるだろう。
今はあの若き芽が正しく成育していく未来のために、グレイフィアはライザーの遺伝子を内包する子種を子宮で受け止めた。
「っ……」
ライザーの肉棒が膣奥まで埋まって動きを止め、びゅるびゅると熱い雄汁を撒き散らす。それは瞬くほどの時間で子宮を制圧し、中に残留した。入浴時に掻き出すことに苦労する異様な粘つきを見せるそれが、子宮内にへばりついている光景。
そして、精液の中で元気に泳ぎ回る凶悪な精子たち。それが卵子と結合する生々しい光景を想像してしまいそうになって、グレイフィアは思考を止めて俯いた。
「まずは一発目だ。先は長いぞ?」
リアスたちの修行にさほどの興味は見せず、グレイフィアを弄ぶことに執着しているライザー。彼の思惑通りに事が運んでいるようで、その筋道に抗うことのできない自分に悔しさを抱きながら、グレイフィアはライザーに聞こえないよう熱い息を密かに吐き出した。