7月下旬。一学期の終業式を終えた俺は上杉と軽く雑談をしてから帰路についた。
人生2度目となる高校2年の一学期は充実した日々になった。
一花と出会って、恋人になって、童貞を捧げた。彼女は予想外に束縛が激しかったが許容範囲だ。むしろ放置されると好かれていないのかと不安になってしまう。
「今日も一花は撮影か」
一花は愛知の小さな事務所に所属している女優だ。まだ大きな仕事はないが、ちょくちょくモブ役でドラマや映画に出ている。原作通り家族には内緒にしており、知っているのは俺くらいだ。
「そういえばいつ姉妹に紹介してくれるんだろ」
近いうちに姉妹に彼氏の俺を紹介したいと言っていたが、いまだに紹介されていない。
ただ末っ子の五月とは偶然出会い、顔見知り程度にはなっている。
「あれ? 青梅くんじゃないですか」
「……五月さん?」
一週間ぶりに五月と再会した。
「お久しぶりです」
「うん。また限定メニュー食べに来たの?」
「はい!」
「好きだね」
「大好きです!」
ここから離れた場所にある黒薔薇女子に通う五月がこの場所にいる理由。
それはファミレスの限定メニュー目当てで遠出しているからだ。
「昼食は済ませましたか?」
「まだだけど」
「なら一緒にお昼しませんか?」
「いいよ」
こうして五月とランチすることになった。
入店して店員さんに席を案内される。俺も五月も注文するメニューが決まっているので、すぐにオーダーした。
「私の学校は今日で終業式だったのですが、青梅くんもですか?」
「そうだよ」
「一緒ですね」
明るく話す五月だが、原作では退学になっているはずだ。
理由はカンニングだが、これは四葉だけを退学にさせないための嘘だ。
そして2学期の初日に俺と上杉が通う学校に転入することになる。
「今日は一花と遊んだりしないのですか?」
「バイトだって。聞いてない?」
「そうですね。一花はこちらから聞かないと予定を言わないので」
「なるほど」
10分ほどして料理が運ばれてきた。会話を中断して五月は黙々と料理を口に運んでいく。見ていて気持ちいいほどの喰いっぷりだ。
「美味しそうに食べるな」
「おいひいので!」
「あ、うん」
インなんとかさんとの大食い勝負を見てみたいものだ。
20分ほどして五月は大量のメニューを完食する。ちなみに今日も会計は1万越えをしていた。
「お腹一杯だ」
「ですね。青梅くんはこの後予定あったりします?」
「ないけど……買い物でも行くの?」
「いえ。隣の駅に美味しいパフェがあるみたいなのですが」
「まだ食べるのか!?」
「デザートは別腹です!」
「いや、さっき食べてたじゃん」
「あれは前座です」
「うわぁ……」
「引かないでください!」
これじゃ他の姉妹より太るわけだ。
おそらく五月だけ60キロ近くあると見た。
「それでパフェに付き合ってほしいの?」
「は、はい」
「一人じゃ入りづらいお店なの?」
「いえ。ただカップル限定のメニューがあるみたいで……」
「なるほど。それが食べたいから付き合えと?」
俺の問いに首を縦に振る五月。
「私は女子高に通っているので、男子の友達がいないんです」
「……わかった。付き合うよ」
「本当ですか!?」
「ほんと。でもあんま食べれないからな?」
「安心してください。責任をもって完食しますので!」
「それじゃ行こうか」
「はい!」
鼻息を荒くした五月と駅に向かう。
途中で同級生とすれ違ったりしたが、明日から夏休みなので五月との関係を問われるのは早くても二ヶ月後だ。それだけ期間が空いていれば同級生も今日見たことを忘れるだろう。
5分ほど電車に揺られ隣の駅で降車する。
「へえ。けっこう栄えてるんだな」
「学校帰りに寄ったりしないのですか?」
「優等生だからまっすぐ帰宅するんだよ」
「本屋などに寄っているじゃないですか!」
「勉強に必要な本を買うためなんだ」
「この前は漫画を買ってましたよね!?」
五月の突っ込みはキレがいい。ご姉妹で一番センスがあるかもしれない。
「それよりお店はどこ?」
「えっと……あそこですね」
五月が指差した先を見ると、そこにはお洒落なテナントがあった。
大繁盛のようで、店外で並んでいるお客が数人いる。
「少し待つ必要があるみたいですね。大丈夫ですか?」
「大丈夫だ。暑いから早く並んでお店に入ろう」
「はい」
10分ほど待たされて俺たちは店内に案内された。
五月がオーダーしたカップル限定のパフェはそれなりのボリュームで五月一人で食べられるか心配したが杞憂だった。一口だけ俺が食べて、残りは五月がすべてたいらげた。
「ふぅ、期待以上の美味しさでした!」
「満足そうで何より」
五月の口元にクリームが付いているが、面白そうなので黙っていよう。
「わざわざ付き合って頂きありがとうございました」
「どういたしまして」
「よかったらまた付き合ってくださいね」
「一花と予定が被らなければね」
「もちろんです。よろしければライ〇交換しませんか?」
「いいよ」
五月の連絡先をゲットした。
帰宅後、五月から早速ラインがきた。メッセージの内容はクリームが口元についてのを指摘しなかったことへのクレームだった。
☆☆☆
時刻は20時。シャワーを浴び終えると一花から着信があった。
「一花、どうしたんだ?」
『今さっき撮影が終わったんだけど、これから真咲くんのお家に行ってもいい?』
「いいけど、家には連絡してあるのか?」
『この後するよ』
「わかった。よかったら迎えに行こうか?」
『マネージャーさんが最寄り駅まで送ってくれるから大丈夫だよ』
「そっか。気をつけてきてくれよ」
『うん』
一時間後。片手に紙袋を持った一花がやって来た。
「お邪魔しまーす」
「お疲れさん。持つよ」
「あ、大丈夫だよ。軽いから」
「そっか。麦茶でいいか?」
「うん」
一花をリビングのソファに座らせ、冷蔵庫から麦茶を取り出す。
「明日は仕事ないのか?」
「ないよー。だからお泊りしようかなって」
「そっか。今日は一花と会えないと思ってたからよかったよ」
「私と会えなくて寂しかったんだ?」
「……まあ」
「真咲くん可愛い♡」
ぎゅっと抱き着かれる。
夏場の撮影で汗をかいているはずだが、一花からは相変わらずいい匂いがする。
「真咲くんは今日何してたの?」
「……ファミレスで食事を済ませて帰宅した」
「ふぅーん」
五月を顔見知りなのはまだ言わないでおこう。一花から紹介されたときに、実は知り合いでした、とサプライズしよう。
「一花、風呂どうする?」
「うん、入らせてもらおうかな。真咲くんも一緒に入る?」
「魅力的な提案だけど、俺はもう風呂入ったんだ」
「それは残念」
蠱惑的な笑みを浮かべ、一花は浴室に向かった。
30分ほどして一花が戻ってきた―――全裸バスタオルの格好で。
「一花!?」
「なーに?」
「寝間着は?」
「着てないよ」
「なんで!?」
「ふふふ、何でだと思う?」
バスタオルしか体に纏っていない一花に抱きしめられる。
髪の先と長い睫に雫が光り、身体からは甘い香りとともにうっすらと湯気があがっている。
「真咲くんならわかるよね?」
「……撮影で疲れてるんじゃないのか?」
「真咲くんに抱かれたら元気になるよ」
気を遣って今日はエッチしない予定だったが、ここまで挑発されて手を出さなかったら男がすたる。
「きゃんっ♡」
一花をソファに押し倒し、覆いかぶさる。
「ここでしちゃうの?」
「……ああ。我慢できない」
「真咲くんったら獣だね」
「一花のせいだから。責任とれよ」
「もちろん♡」
一花を押し倒してから無我夢中で彼女の魅力的な肉体を貪った。
蠱惑的な唇、大きく実った二つの果実、健康的な太もも、張りのあるお尻、俺専用になりつつある膣内。そのすべてを俺は堪能した。
責めれば責めるほど一花の嬌声も淫らなものになり、それに興奮して俺の責めはより激しいものになっていった。
深夜になって寝室に移動しても俺と一花の性的興奮はおさまらない。
「っ、あぁっ……♡」
一花をベッドの上に四つん這いにさせ、バックで膣穴の入口から最奥までを肉棒で何度もピストンする。
「ああっ♡ あんっ♡ んあぁぁっ♡」
一花は肉棒で突くたびに、色気をたっぷりと含んだ声を上げて背を仰け反らせた。
本能的に一花の綺麗なお尻を叩くと、締まりがよくなり、気づけば彼女のお尻は手の平の赤い跡だらけになっていた。
相手のことを考えない乱暴なセックスだが、一花はいつもより興奮しているように見えた。
乱暴に胸を揉んだり、腰を振ったり、お尻を叩けば、「もっと欲しい」と目でも声でも訴えてくる。
一花の膣内に数えきれないほど射精を繰り返した。
体力の限界を迎えるまで俺たちは獣のように互いを求めた。
「ん……」
気づけば朝になっていた。隣で寝ていたはずの一花がいない。恐らく精液塗れになっていたのでシャワーを浴びにいったのだろう。浴室に乱入して一花を犯そうと思い起き上がろうとしたところ、ガシャンと異音がした。
「……あれ?」
両手足が動かないので起き上がれない。
両手足が動かない理由。
それは――――手錠で四肢が拘束されいたからだった。
「な、なんで……」
「あ、起きた?」
混乱していると、愛しの彼女が部屋に入ってきた。
「い、一花」
「なーに?」
「これはいったい……」
「あー、私がしたんだよ」
それはわかっている。
一瞬強盗の仕業かと思ったが、一花は無事だ。乱暴された様子もない。
ならば犯人は一花しかいないだろう。
「え、えっと……一花さんはこういうプレイがお望みで……?」
「プレイなわけないじゃん。私はМなんだから、するなら私が監禁される方だよ」
「か、監禁……」
「うん。今日から真咲くんを監禁することにしました」
残虐的な笑みを浮かべ、一花が俺に跨ってくる。
「なんで俺を監禁することになってるんだよ!」
「……そんなの真咲くんが浮気したからに決まってるでしょ」
「…………………………え?」
「私、知ってるんだよ。昨日、五月ちゃんとデートしてたよね?」
俺の顔を覗き込みながら生気を失ったような病んだ表情の一花が問う。
「い、いや、それは……」
「信じてたのに! 信じてたのに! 信じてたのに! 信じてたのに! 信じてたのに! 信じてたのに! 信じてたのに! 信じてたのに! 信じてたのに!」
「ひぃっ!」
いきなり一花が狂ったように叫び出した。
「真咲くんは私を裏切った。でも私は真咲くんが大好きだから許してあげる」
「え…………?」
「五月ちゃんがいけないんだよね? 五月ちゃんが真咲くんをたぶらかしたんでしょ?」
恐怖で身体が震えだした。
このままではいけない。
まず五月との関係を説明しなければ。
そう思った矢先、一花が俺の口に何かを突っ込んできた。
「むぐっ!?」
「えへへ、私の愛液が沁み込んだショーツだよ」
「っ……」
「昨日は私にたくさん精液を注ぎ込んでくれたからそのお礼♡」
意味が分からない。
「真咲くんを想って出した愛液だよ。これを感じて私を好きな気持ちを再確認してほしいなぁ♡」
転生して1年数ヶ月。
俺は、想い人がヤンデレだったことにようやく気づくことになった。
同人も一花ヤンデレの多かったですね……