※この作品はR-18です。

えっちなダンジョンズ&ドラゴンズもの   作:tbc

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 オークの襲撃を受けたドワーフの王国だったが、完全に押し返しようやく平和が戻った。

 長らく足を止めた私たちも外の安全を確保し、いざ再出発……と行きたかったが、ここで少しいざこざが起こる。

 オークたちがこの王国を襲ったきっかけが我々にあるのは薄々知っていたが、それは奴らが『オルクスの魔杖(ワンド・オヴ・オルクス)』の在り処を神託で知ったことが原因だった。

 そして、オークたちへの尋問により多くのドワーフの戦士たちもその原因を知ってしまった。

 パラディン様の使命は将軍を通してドワーフたちにおおむね伝えられていたが、まさかその使命が誰もが知る邪悪なデーモンのアーティファクトを護ることとは予想してなかったらしく、動揺は下から上まで大きく広がり、私たちの出発へ「待った」がかけられる。

 話はドワーフの王族まで伝わり、近衛騎士団のなんとやらが派遣されてきて、私たちは聞き取りを受けるなどして再び足を止めることに。

 

 

「とはいっても、先の働きもあり悪い話にはならないようですが」

 

 現在、当事者である私たちを放ってドワーフの将軍と王族たちの間で話し合いが進んでいるようだ。

 しかしその内容は私たちを縛りつけるものではなく、むしろどう援助するか、というもの。

 そこで善意や厚意が重なり合った結果、そのへんの話がどうも長引いてるらしい。

 おかげで足止めを受けている件についてパラディン様と話し合ったが、悪い話ではないし、私たちが無理に口を出す必要はないだろうと結論した。

 

---

 

 話がまとまるまで、時間が空いた。しかしちんちん作成に全力を出した私は、暇を潰すだけの金の余裕がない。

 エロ関連も一段落したことで、ならばたまには周りに付き合おうと、弟子とは名ばかりの小間使いである子どもたちに目を向けた。

 

「せ、先生……」

 

 もじもじと私を先生と呼ぶのは、小坊主三人組のうち男の“性術者(タントリスト)”の方。

 そして神殿での教えを始めとして、最も私に文句を言ったクソガキ代表である。

 

「なにか?」

「先生たちも、その、いつもエロいことしてるんですか?」

「私たちはア(・)レ(・)をする必要はありません。いつも」

 

 性交は能力を増幅(ブースト)する小技に過ぎないオウレンと違って、タントリストである彼は呪文準備のために必ずセックスを必要とする。

 同じくタントリストとなった女の子とは良いパートナーになると最初は思ったのだが、所詮 思い込みである。

 呪文のためと言っても、快楽の誘惑によわよわな男の子。女の子に一度 痛い思いをさせたらしく、それから距離を置かれている。

 

「あの、俺の相手もしてくれませんか」

「嫌です。魔法を教える際に、下の面倒は見ないと私は言いました」

 

 誰が好んで男に(中略)元男やぞ。

 可愛ければやぶさかでもないが、彼は私の好みから完全に外れる。相手をする気はない。

 だが娼婦のいないドワーフの国で自分でなんとかしろ、と言うのも酷な話。

 

「まあ、人(・)を紹介するくらいの面倒は見ましょう」

 

 どうせ無料のリソースだし、樹人(ドライアド)くらい呼んでやろう。

 

 

 

 約束して喜んでいった少年と入れ替わりに、今度はタントリストの女の子がローラさんと共にやってきた。

 この戦士のお姉さんを盾に先の少年を遠ざけているようだが、その件で弟子(師匠になったつもりはないが)の面倒はちゃんと見ろと言われた、耳が痛い。

 文句は言うが、何だかんだ面倒を見てくれている。色々世話になっているし、いずれ礼をしなければなるまい。

 

「師匠(マスター)、研究(習得準備)中の呪文について相談したいのですが」

「師匠じゃありませんが、話は聞きましょう」

 

 さておき、こちらの女の子も呪文に関する悩み事があった。準備ではなく、習得する呪文についてだが。

 彼女が“魅術者(イマージスト)”でなくタントリストを希望したのは、砂漠の物語に語られる“空飛ぶ魔法の絨毯(カーペット・オヴ・フライング)”のような神秘を宿した魔法のアイテムに憧れたから。

 イマージストが使える呪文はとても有用だが、種類は少ない。魔法のアイテムを製作するのにたびたび求められる力術、変成術、召喚術系統らはイマージストでは満たせない。そのため、彼女は貞操を失うことを選んでタントリストを望んだ。

 しかし、空を飛ぶアイテムを作るために“飛行”呪文が必要になるように、多くの魔法のアイテムは自力で同じことが出来るようになってしまう。

 魔法で再現できない効果のため、魔法の使えない他者に使わせるためのアイテムを作ることはあるが……今は自分のために魔法を修めるのが最もモチベーションが上がるだろう。

 

「空を飛びたいんです。でも、飛行する呪文は難しくて……どうしたら良いんでしょう」

「簡単なところで“即行飛行(スウィフト・フライ)”、“浮遊(レヴィテート)”呪文があります。

 しかしどちらも時間や小回りに難があります。費用(コスト)をかければ、そこを補えますが……」

「お金、ですか」

「はい、魔法はとにかく金を食います。

 呪文を記すのにも高価なインク、原材料を費やし、スクロールを蓄えるのに数十、数百の金貨が軽く飛ぶ。

 それでも冒険者としては、装備にお金がかからないだけ安上がりで済みますが」

 

 時間単位で空を飛ぶには、術者クラスを9、10レベルまで上げた上で5呪文レベルの“長距離飛行(オーヴァーランド・フライト)”を覚える必要がある。

 それ以外だと血筋や種族を活かすか、魔法のアイテムのいずれかに頼るか。生来の秘術術者(ソーサラー)でなく、特異な生まれでもない人間ではアイテムか呪文に頼るしかないだろう。

 一応、例外的に持続時間の問題を解決する技はあるにはあるが、知力の低さがネックとなり彼女らでは前提を満たせない。

 

「とりあえず、“即行飛行”呪文にまつわる裏(・)技(・)を教えておきます。

 正攻法で“長距離飛行”の術を学ぶか、金がかかっても近道を選ぶかは自分でよく考えなさい」

 

 いずれにせよ、彼女の問題を解決するにはレベルを上げて、お金を稼ぐ必要があることには変わらない。

 彼女が望む領域は、私と同程度か、もう少し上のレベルまで上がる必要がある。

 

 

 

 最後に、イマージストの男の子……は相談に来る必要がなかった。

 彼は正統な神官(クレリック)に近い信仰術者になれたことを喜んでおり、“治癒”を始めとした有用な呪文を使えることに満足している。

 本職のクレリックに比べると不都合な面もあるが、彼が気にする程のものではないということだ。

 

 その代わりというか、パラディン様からアイテムの製作をお願いされる。

 “鬼の篭手(ガントレッツ・オヴ・オーガ・パワー)”は筋力を増加する“雄牛の怪力(ブルズ・ストレンクス)”呪文を宿したもので、常に攻撃力を上げるパフォーマンスの良い装備だ。

 外注すれば金貨4千枚するこのアイテムも、自作で済ませば半額の二千枚―――とモンスター1戦分の経験値―――の材料で済む。経験値コストも、消費した分だけ経験値稼ぎに付き合ってもらえば良い話。

 製作には四日かかるので、ドワーフたちの話し合いは彼らに任せて部屋に缶詰する。

 時にオウレンとの情事を楽しみつつアイテムを完成させて出てくる頃には、パラディン様とドワーフたちの間で話がついていた。

 

---

 

「ノードリスである。小さな友人たちよ、よろしく頼むぞ」

 

 ノードリス。大きな片眼鏡(モノクル)にゴーグルを始めとする多くの道具(ツール)をぶら下げた、捻じり髭をチャームポイントとする彼は、ドワーフ生来の石工適性を活かして“罠職人(トラップスミス)”を極めた技能屋(ローグ)である。

 彼は地下の案内人としてドワーフの将軍様から推薦されたそうで、術者と技能役を兼業する私より優れた探知役をこなすだろう。

 それと別に、ドワーフの戦士の近衛兵二人も護衛に加わった。ファイターのクラス・レベルを持ち、板金鎧(フル・プレート・アーマー)に身を包む彼らはオークやホブゴブリンの雑兵に決して遅れを取らず、オーガを一対一で相手にしても良い勝負に持ち込む腕前だ。

 

「……ん」

「よろしくお願いします」

 

 話し合いの結果、未だアーティファクトを狙うオークを避けて、地下を通って聖都に向かうことにしたらしい。

 この大陸の地下はアンダーダークと呼ばれ、蜘蛛の巣のようにトンネルや洞窟が張り巡っている。主にドラウ(ダークエルフ)やドゥエルガル(ダークドワーフ)、おぞましき脳啜り(マインド・フレイヤー)など多くの邪悪な住人が潜む、暗闇の世界だ。

 地上とは別の危険を持つ暗く狭い空間だが、限定されたスペースゆえに遠距離での遭遇はない点が弓を得意とする者のいないこのパーティの不利を打ち消すだろう。

 

 

 水、食料、装備と呪文の準備を終えた一同は徒歩でドワーフ王国地下の城壁を超え、トンネルの先へ行く。

 先頭は、早速 斥候の活躍を見せるノードリスだ。

 

「アンダーダークはのう、モンスターよりも天然、人工のさまざまな罠が危ないのよ。

 ガス、落盤、穴……地面、天井、壁の亀裂、どれも注意を払わねばならん」

 

 地下を出て早速、土砂で塞がった落とし穴を発見する活躍が見られたのは、運が良いのか悪いのか。

 時おりトンネルの分かれ道に出たときは“方位認識(ノウ・ディレクション)”の永久短杖(エターナル・ワンド)で北を確かめ、聖都へ続く方角に向かう。

 そして体感 三時間ほど進んだところで、地下産のモンスターと初遭遇する。

 

 

「グギャアアアア!」

 

 その姿が私たちの掲げる魔法の明かりに照らされるなり、悲鳴を上げてこちらに突進してくるのは二足歩行に進化しつつあるトカゲのような、前かがみの奇妙な首長モンスター。

 

「む、あれは音を嗅ぎつける魔物よ。名は確か……」

「デストラカン、音波を武器にする盲目の異形です!」

 

 デストラカン。地下で退化した目の代わりに音を探知する能力に優れ、更に音波のブレスを武器にする異形種のモンスター。

 しかも言葉は喋らないが人並み以上の邪悪な知性を持ち、音波の周波数を変えて肉体や物質を破壊する小技も持つ。巨体の割に巨人(ジャイアント)やオーガほど高い筋力は持たないが、打撃に寄らず装甲を無視してダメージを与えてくる攻撃手段はそれ以上の脅威を持つ。

 

「ゴオオオオ!」

「ぐっ……!」

 

 出頭に早速放ってくる、地下トンネルを揺るがすような音波の放射。身を捩って衝撃をいなすが、目に見えない音波エネルギーは躱(かわ)そうにも躱しきれない範囲攻撃だ。人肉を引き裂く周波数に合わせられたその音波は私たちの肉をきしませ、出血を伴わせる。

 パラディン様は祝福による抵抗力で、ノードリスはローグ由来の高い反射神経と身かわし能力によって完全にダメージを受け流し、ドワーフの護衛たちは音波の直撃を受けたもののその頑強な肉体でなんとかこらえている。それ以外の仲間たちも、無傷でないにせよ倒れた者はいない。

 だが厄介なことに、デストラカンのこの音波のブレスは充填時間(リチャージ・タイム)が存在しない。つまりこの細長いトンネルの中で躱しきれない攻撃を、私たちが倒れるまで連発し続けることができる。

 

「まずい、あの『音』は連射が利きます!」

 

 大型なデストラカンがようやっと通行できるだけの狭いトンネルでは分散したり回り込むことが出来ない。この状態でブレスを回避することは不可能だ。

 ……しかし幸いにして、私たちの中には特効薬が存在した。他ならぬ、囁き小人(ウィスパー・ノーム)のオウレンである。

 デストラカンの鉤爪が届きかねない距離まで近寄った彼女は、腕振りも詠唱もいらない種族由来の能力をわずかな手振り(モーション)と共に行使する。

 

(“静寂(サイレンス)”)

 

 そう、サイレンス―――“静寂”の疑似呪文だ。

 オウレンを中心として、私たちを魔法の静寂空間が包み込む。あたりから声と音が消え、私たちに若干の混乱を与える。

 だがそれ以上に混乱したのがデストラカンだ。地下の暗闇に適応した奴は、ソナー……音による疑似視覚を得ている。

 つまり音を失ったこの空間内で、奴は耳どころか目も失い、目の前の元凶であるオウレンすら分からない状況。

 更には自慢の音波のブレスもサイレンスの壁に阻まれては、私たち以上に混乱するのも当然だ。

 

 一方で私たちも音声を伴う多くの呪文が使えなくなったりしたが、元より戦士の多い一団。

 とにかく後退しようと、サイレンスの範囲から抜け出そうとするデストラカンを追撃する私たち。サイレンスの範囲はオウレンを中心に動くため、その効果が切れるまでの一分間にひたすら攻撃する。

 デストラカンはその音波のブレスこそ厄介だが、巨人ほどの筋力・体力もなければ、鎧だって着けていない。ラバースーツのようにぴっちりした皮は頑丈な厚みを帯びているけど、刃を全く通さないわけではない。

 加えて足取りの重くなったデストラカンの様は、急所攻撃(スニーク・アタック)を得意とするローグであるノードリスには急所を突き放題、狙い放題のボーナスタイムだった。

 倒れる間際に逃走不可を悟ったデストラカンはその鉤爪で一矢報いようとしたものの、闇雲な一撃で硬い鎧の隙間を貫けるはずもなくパラディン様のロングソードの一撃にとどめを刺される。

 ただの巨体によらぬ、地下モンスターの脅威を学んだ私たち一同は傷を癒やした後にトンネルのさらなる先へ向かった。

 

 

「ここの8時間ほど進んだ先に水場があって、15時間ほど行った先に……ジンニーの小さな集落がある。

 なにか入用の物を思い出したなら、そこで調達するのがいいじゃろう。きっと何十倍の値段で売ってくれるがな」

「ジンニー? 来訪者(アウトサイダー)の?」

「おう、精霊(エレメンタル)の手下を働かせて鉱石掘りをやっておる。

 決して良い連中ではないが、王国に鉱石を持ち込んでくるのでな。ピッケルやら何やらを買っていく お得意様じゃよ」

 

 専門知識こそ無いが、地下には詳しいノードリスにこの先に何があるのかと聞いてみれば、答えが帰ってくる。

 この先にはジンニー……「魔法のランプ」の伝説に語られるような、願いを叶える力(ウィッシュ)を持つ元素界からの来訪者がいるという。ジンニーは各々の元素界における権力者だが、元の世界にない様々な資源や財宝を望んでこの世界(物質界)にやってくるほど好奇心の強い来訪者(アウトサイダー)である。

 尤もその性質は邪悪とまでは言わずも悪寄りであり、奴隷をこき使うなどパラディン様の嫌う要素に溢れている。

 この話を聞いた彼が黙ってないだろうと思ったが、案の定 パラディン様はその集落への寄り道を決定した。

 まあ強欲なジンニーは当然その懐も裕福であろう。なんやかんやの末にジンニーの財宝が手に入るなら悪くないと思った私は邪な考えを秘め、反対しなかった。

 




 リリン 人間(human)の女性、ゲシュタルト・アーキヴィスト7Lv/ファクトタム3Lvソードセイジ2Lvカメレオン2Lv
 オウレン ウィスパーノームの女性、ウーイァン6Lvインカンタトリックス1Lv
 アルベルト ハーフエルフの男性、パラディン7Lv
 アローナ神官(ヴィリル) ハイエルフの女性、クレリック7Lv
 ノードリス ドワーフの男性、ローグ5Lvトラップスミス1Lv
 戦士のお姉さん(ローラ) 人間の女性、クレリック2Lvファイター3Lv
 子供たち 人間の男女、2Lv

・罠職人(トラップスミス)。罠の探知および操作に熟練した上級クラスで、ブービートラップや独自のちょっとした秘術呪文を操る。
 総合的な能力はローグよりも劣る上に術者としては非力だが、“上位魔法解呪(グレーター・ディスペル・マジック)”や“石の皮膚(ストーン・スキン)”など本来高レベルの呪文を低レベルで習得するため、例えば主人公(カメレオン・クラス)の秘術専攻によって利用するといった特殊な需要がある。
 尤も この秘術術者クラス自体は呪文書を用いない(作らない)ため、実際にカメレオンが呪文を準備するのは困難だが。
 ちなみに戦場罠職人(コンバット・トラップスミス)という似て異なる別のクラスがある。ややこしい。
・永久短杖(エターナル・ワンド)。
 宿した秘術呪文を一日二発しか打てないが、代わりに自動でチャージが回復する短杖(ワンド)の亜種。
 秘術呪文使いにしか使えないが、宿った呪文を知っている必要はないので、本来“治癒”呪文を使えないウィザードがバード呪文の“治癒”を宿したエターナル・ワンドを使うなどの特殊な用途も可能。
“方位認識(ノウ・ディレクション)”呪文も本来はバードかドルイドの呪文だが、エターナル・ワンドによって秘術術者であるトラップスミスも利用できる。

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