「上に何かいます。サイズは犬並」
「ありゃ森ゴブリンだよ。ネットに気をつけな、絡め取られると面倒だ」
音を聞きつけた私の警告に男勝りな
ジャングルの中、彼らを迂回する私たちに、感づかれたと悟ったゴブリンたちが木々を降り、追撃してきた。数は6体、こちらの人数の倍だ。
「“
それを見て早速 呪文を唱えたのが、普段からフードと仮面で姿を隠している、恐らく
ゴブリンの集団の中に打ち込んだ“眠り”の呪文は4体のゴブリンを眠らし、残り2体を慌てて立ち止まらせた。
そこへ切り込まんとロングソードとシミターの二刀を両手に携え切り込むエルフ、だが足場の悪さからもたついている。それを追い越して私は寝ていないゴブリンの1体を燃え盛る二撃のレイピアで貫いた。
1体はたった今 即死したが、既に2体のゴブリンが揺り起こされ目覚めている。起きている3体は眠る2体を残し、続けざまに叫び声を上げながら私にネットを投げつける。この森ゴブリン―――フォレストキス種の叫び声は弱いながらも恐怖を引き起こす作用があり、そちらは抵抗し跳ね除けたもののネットを避けられず私に絡まる。間髪入れず2体のゴブリンが網に絡め取られた私に噛み付いてくるが、木盾を押し付けてなんとか凌ぐ。
そうするうちに追いついたエルフが私へ噛み付くゴブリン1体を叩き切った。また、ノームが手に持ったクロスボウによりネットを投げたゴブリンを射抜く。残る1体のゴブリンだが、その背中に熱波がちらつき――それに気を取られた隙をついて、網の間からレイピアを突き刺した私に肉をえぐりこまれて昏倒する。“ディストラクティング・エンバー”、熱波を放ち敵の背後に小型の
エルフがゆっくりと眠る2体にトドメを刺す一方で、私は仮面ノームに手伝ってもらってネットをゆっくりと引き剥がす。先日購入した鮫皮鎧の鮫肌ならネットを簡単に引きちぎれるのだが、森ゴブリンたちが使うネットは上質な戦利品なので下手に壊すのはあまりにも勿体ない。1分ほどかけてなんとか引き剥がしたところで、木の上の待機所までゴブリンの持ち物を捜索してきたエルフさんが声をかけてきた。
「スクロール一巻と、甲冑もあったよ。既に何かを襲った後のようだけど、持ち主は全然分からんね」
「見せてください。“
スクロールは弱い防御術と占術反応、安全な方です。そちらに“読解”の準備はありますか?」
「ある。秘術の“
「あらら、使いにくい。売り物行きですかね」
森ゴブリンたちは通常のゴブリンと違ってコインといった光り物に興味がない代わり、肉好きで戦いに繋がる物はとにかく収集する性質がありとてもワイルドである。
そのおかげで魔法のスクロールも手に入ったが、バード向けの秘術呪文が記されたもののようで、使えないことはないが戦いに貢献することはないだろう。
「それでもネットだけで良い稼ぎになります。野蛮な割に、作り物がお上手なのはとてもありがたいことで」
だがそれ以上に美味しいのが森ゴブリンお手製の高品質ネットだ、一つ金貨150枚で売れるものが人数分あったので、全て売ると900金貨にもなる。
一回り小型なゴブリンサイズ用なので私たち人間には使えないが、同じく小型種族のノームや
「案外うまく回ったじゃないか。暫くはこのパーティでやっていけそうだね」
「そうですね、女性同士で……組めたのは幸いでした」
ちらりと、相変わらず全身を仮面とフードで覆い隠す推定ノームの方を見る。声からして女性とは思うが、魔法使いだし、魔法や何やらで隠せる世界なので種族どころか性別まで違う可能性は十分ある。尤も“魔法感知”で見た彼女の内包魔力からして、そこまで騙しきれる呪文の使い手ではないと思ったが。
「それだけじゃない、相性の良さもある。私じゃ魔法の罠は見つけきれないし魔法も使えないからね。癒しと罠解除を両立してくれるリリンの存在は助かるよ」
「飯を取ってきてくれるイレニアさんにはとてもお世話になります。仮面さんも、私の苦手な妨害魔法を使っていただけるのがすごく助かります」
「………」
なんにせよ、イレニアさんとは良い縁に恵まれたものだと思う。ノーム仮面さんについては相変わらず何を隠してるのだろうと疑問と興味もあるし。
---
装備を整えて、いざ酒場で仲間を集めようとすると例によって子どもだからと返される……ことはなかった。
なんせこの島、
それに“鑑定”で雰囲気を把握し、顔つなぎも終えていたことなので既に目星をつけていた。幾つかのパーティを渡り歩いている様子のウッドエルフの女性がいたので、その人に声をかけたのだ。それからサポートできる秘術術者を募集すると例の仮面さんが声をかけてきたので折角だから女性3人で冒険に出た。そんな流れで今に至る。
森ゴブリンを倒すことになったのは物の序でで、本来の目的は森奥を抜けた先のドワーフの集落への速達便を郵送する依頼を果たすためだ。
馬車が通れるような道がない場所で、しかもモンスターや動物とガンガン遭遇するので気合を入れた商人くらいしか通らない。だがドワーフといえば鍛冶の名人なので、彼らが作った逸品を欲しがる人は冒険者にだって多い。鍛冶製作には下手すると一年かかる作品も珍しくないので、依頼は早ければ早い方がいい、そんなわけで私たちへ郵便の依頼が舞い込んだのだ。
馬は使わない。森の中を突っ切る以上、先ほどのゴブリンの待ち伏せのように奇襲を受けることも珍しくないので、下手すると対応が遅れて危険になる。なのでドワーフの集落があるジャングルの向こうの山を目指して、100キロメートルはある薄暗い道程を私たちは徒歩で突っ切っていった。
道のりでは森ゴブリンの他にも多くの獣やモンスターに襲われた。毒蜘蛛にヒルのような長い首をつけたようなモンスター、ネオギの小さい
そんなこともありつつ4日かけて火山手前の小山の麓、洞窟内にある集落へたどり着いた頃には、私は3レベルに達していた。財宝を持たない動物と魔獣との遭遇が多く、ゴブリン以上の稼ぎはなかったがそれでも今までの冒険と比べれば収入は段違いだ。
ドワーフの宛先人へ郵便を配達し、返信を待つ間にネットを売っぱらい、仮面さんが使ったスクロールの費用をあらかじめ除いてから山分けすると、一人あたり300金貨になった。さて何を買うかとまずは鍛冶屋を覗いてみれば、ミスラル製の
仕方なく他の店を尋ねるも、術者の少ないドワーフ社会では手頃な魔法のアイテムはあまり置いていなかった。魔法による攻撃手段を丁度手に入れたばかりなので武器に持ち替える必要性も感じられず、私は返事待ちの間に作る魔法のスクロールの材料を購入し、残りを貯金用の宝石に両替した。
ドワーフの集落は大きな空洞を地下に作り、そこに石造りの住居を各々建てて並べたものだ。彼らは赤外線のような白黒の暗視能力を持ち、色を見る時だけランタンや松明を使う。私たちのような日の下で暮らす種族にとってこの集落は非常に薄暗く、住居から漏れる僅かな火の明かりと手持ちの松明を頼りに歩かなければならない。“
「研ぎを頼んだ武器を引き取ってくる。また明かりを貸してくれないか」
ところが私の仲間たち二人はどちらも買っていなかった。買えば110金貨、自作でも50金貨は必要なので気軽に手が出ないのも仕方ないが、各々自分で買い揃えてほしいところだ。
外に用事がある時には貸し出してやり、私はふっくらとした腹を持つ宿の
ボムッと火花が弾け、宙に煤けた焦げ臭いが残る。
「これが《炎の爆発》。火の呪文から漏れるエネルギーを利用して、簡単な攻撃を引き起こす
私は仮称仮面さんに新技を披露した。本来は成長予定になかったものの、数多くの敵の群れに苦しめられたことで早急な対策が必要だと思い習得した呪文。“
「……呪文ではない?」
「はい、
使用に関しては、“
「では私にも教えられるか」
温存魔力特技、その名が示す通り 呪文を温存するための技術。元々は秘術術者向けながら、火の呪文が準備できるのであれば信仰術者にも使用可能である。
一発の威力こそ素の攻撃呪文に比べると控えめで、また近距離にしか爆発を引き起こせないが、これには回数制限がなく、一日に十回も呪文を使えない分を温存するために弩を射つよりも、遥かに効率的な攻撃を加えられる。まさに弓を鉄砲に変える革命を引き起こす技術だ。
尤も、火に耐性を持つモンスターに対応できない問題もあるが、冒険者としては汎用性をみれば弩を極めるより遥かに勝る活躍をするだろう。仮面さんはそれを理解したようで、この技術にとても興味を持ったようだ。
「あいにく口下手なので。私の秘伝……
「………」
しかし、私だって転生知識で知り、転生チートで身につけたものだ。素で理解したわけではなく、とても魔法的な原理を説明することはできない。
お嬢様にやったように成長の方向を操作することで、仮面さんに習得させることは可能だ。しかしその過程で彼女のデータを見てしまうため、彼女が隠そうとしている何かが能力的なものなら それを暴いてしまうだろう。
私はそのことを占術―――“
「それでいい」
「よろしいのですか?」
「やって」
だが彼女は承諾した。危険を理解してないわけではないだろう。だが信頼とも違うはずだ。
何を考えているのか私にはその真意を掴めなかったが、許可を得た以上は彼女に触れて特技を教え込むことにした。
私の胸ほどの高さしかない彼女の背後に回り、両肩にそれぞれ手を置いて目をつむり、触れる箇所に精神を集中させる。
すると脳裏にキャラクターシートを浮かび上がるが、拾い上げようとしてもまるで水を掬っているかのように指から滑り落ちるし、また文字も見えづらい。
お嬢様の時はもう少し楽に出来たはずなのだが。
「やりづらいです。もう少し体の力も抜いて、受け入れられますか」
「……ん」
現実の私の少し意識を戻すと、触れている肩に力が入っているのを感じた。
彼女に声をかけると、先ほどよりシートの文字が見えやすくなったような気がした。まだ抵抗されていたのだろう。
脳内に浮かぶシートをようやく拾い上げられた。特技を書き込むべく、特技欄を探す途中で彼女の記述が目に入る。
オウレンという名前。ウィスパーノームという見慣れない種族名と、混沌寄りのノームにしてはやや珍しい真なる中立の
2レベルのノームが持てる特技は基本1個。ここにクラスから得た特技の欄が追加されるが、彼女は覚えられる全ての特技枠が習得済みで、《炎の爆発》を追加する余地がなかった。だが現時点で身につけることは出来なくとも、次に覚える時のためにメモしておくことは可能だ。特技欄に書き込もうとする際に、私は彼女が習得している見慣れない特技の目に入った。
《Tantoric》。はて、何という意味だろうか。脳内辞書に当てはめるとヨガの親戚のような曖昧な訳しか出て来ない。
中身を見れば分かるだろうと、その効果文に目がいった。やはり英語だ。脳内翻訳機に全文をぶちこみ、出てきた訳文を読んだ私は……その意味を理解したことで、集中が切れた。
「どうした」
集中が切れたと同時に
私を見る仮面の奥の目は冷静に見えるが、果たしてその奥では何を考えているのだろうか。なんせ……
《Tantric》:性的なエネルギーを才能に結びつけることが出来る特技。20分間SEXしたら、以後の24時間 【知力】能力値にボーナスを得る。
なんて、露骨なエッチな特技を身につけているのだから。
「……え、えっちなのはいけないと思います」
「知ったのか」
元現代人男性の意識が残る私だからこそ、異種族含む女性に対するエッチな意識はあった。だがこうも思わぬところからエッチな話題が出てきては、恥じらいが出るというものだ。
「ご、ごほん。失礼、たった今 見てしまいました。
すみません、まだ続いてました。気をつけて、なるべく早く終わらせます」
「………」
彼女の表情は変わらず、こちらを見ている。私は気まずい雰囲気を終わらせるべく、再び両肩に手を当てて、ささっと脳内キャラクターシートに《炎の爆発》の記述を書き込む。今の彼女には使えないが、習得・使用するための原理はこれで理解しただろう。
「終わりました。これで分かりましたか? では私は少々 外へ行ってきます。店を見て回ったら戻りますからまた後で」
さっと彼女から離れ、恥ずかしさで赤面する頬を手で隠す。今さら誤魔化しても無駄とは理解しているが、本能は抑えきれないもの。
私の男性意識から生まれる衝動を隠すため、言葉を早め、早く部屋から逃げ出そうとしたが。
「なるほど、秘術回路を組み替えて呪文のエネルギーを利用できるようにしなければならないが……今の私には使えない。
希少な技術を教えていただいた。この礼は返さないといけない」
「いえ、私も余計なものを見てしまったので、お詫びをせねばなりません。ましてや礼をいただくなどとても」
「むしろ、私もあなたの秘伝を二つも見せてもらったのだから。
隠すものでもない、お礼に私から教えることも、やぶさかではない」
だが逃げ出そうとする私の服を、彼女が掴む。体重の差はあるが、無理に引っ張るわけにもいかないと足を止めた私を覗き込むように彼女が密接する。
私は手を話すように言おうと、彼女の方を振り向いて……いつのまにか外していた、いつも着けている仮面の下に現れた彼女の美貌に目を剥いた。
Apprantice。直訳すると外見や容姿となるが、実際には美貌を意味する単語だ。つまりあのシートにあったAppranticeとは、高い美しさを表す能力値だったのだ。
彼女が仮面を被っていたのはウィスパーノームという珍しい種族であることを隠すためでもあったのだろうが、本来はこの宝石のようなくりっとした目、ほんのり赤みを帯びる白い頬、人目を引く可愛らしさを隠すためのものだったのだろう。
洋ゲーチックな異種族たちに普段はそうそう興味を惹かれない私だが、彼女の愛らしさは私の男性的本能を揺らした。思わず見とれて、逃げ足が止まる。
「私、綺麗?」
「き、綺麗です。とても……可愛くて」
「じゃあ、私と一夜を共にして。あなたなら、私も嫌じゃない」
「そんな、なんでそんなことを……」
だが、逃げなかったことで彼女はさらに私へ攻める言葉をかけてきた。性的なお誘いを、女性からかけられるとは思わないだろう。
しかも今の私は同性の身だ。女性に興味がないわけじゃないが、何故 相手からすり寄ってくるのかと興奮よりも戸惑いが先に立つ。
「あなたは私に恥じらいを覚えた。恥じらい、照れ隠しは興味を隠す動作。
つまり、あなたは私に興味を覚えたのでしょう。違う?」
「それは、ちが……」
違う、と言いかけて、言葉が止まった。彼女が言うとおり、私が女性に興味を持っていることは違わないからだ。
ただそれは前世の男性だった心を引きずっているからであって、今の私は表面上は女性だ。女性として同性の女性にアプローチするのは
だがよく考えると、今は話が違うだろう、と。
「……違いません」
彼女は女性として、女性の私にアプローチをかけている。つまり言うまでもなく、同性であると承知した上でのアプローチ。
据え膳食わぬは男の恥、ではないが、女性とエッチしたいのは私も望んでいた状況。よもやこんな流れで体験できるとは思わなかったが。
初めての性経験は同じく初めての相手を望む素人童貞な気持ちもあったが、性の熟練者の女性に初体験を導いてくれるこれ以上ベストな状況はそうそう得られないだろう。
理性はとても落ち着いていないが、表面だけでもそう納得すると、肯定の言葉が漏れた。
ノームの彼女はその愛らしい無表情のまま無言でうんと頷き、片手を腰に手を回して寝台へと導いた。
彼女は紛れもなく非力な少女なのに、なぜかその力に逆らえず、ゆっくりと押し倒される。
仰向けになった私の腹の上に彼女がまたがった。幼い私の体より更に小さい彼女が、私の上でゆっくりと服を脱ぐ。腰帯を緩め、襟元の留め具を外し、肩からローブがパサリと落ちる。膨らみを守る紐の下着が外され、淡色のつぶらな豆が露わになり、僅かな興奮を覚える。あれをいじったら、彼女はどんな喘ぎを上げるだろうか、と。
しかし、次に彼女は私の首元に手を伸ばし、紐の結びに手をかけた。あ、と声を漏らしたけど、手は止まらずに私の服を剥いた。地下屋内のひんやりとした空気が胸元に触れ、私の特に敏感なところが薄い布一枚越しで寒さを感じる。これを取られれば、私の女の部分が見られてしまう。
「やめて……」
私の男なのか女なのか分からない恥じらいが声になる。だけど、彼女は許してくれない。手を止めるより早く、無慈悲にも布を強引にずらし、ピンと立つ私の薄い胸が剥き出しにされる。
「や、やだ」
恥ずかしい、という気持ちが湧き上がる。望んでいたはずの性体験なのに嫌がる私のこの気持ちは一体、どうなってるのだろう。
だが私を覗き込む人形のような彼女の顔を見て、嫌悪感が薄れた。無表情ではない、僅かに頬を緩めた、高揚した顔だ。彼女も私に興奮しているのだ。彼女も体を重ねることを待ち望んでいるのだ。
彼女の頭がそっと倒れ込み、淡い唇が私の左胸の上に触れた。ちゅっ、と肌を吸ってキス痕を残す。反対側にも同じように、ちゅっと音を立てる。そして胸と胸の間、真ん中にも。そのまま肋骨の間、腹と下に下がっていって……
彼女の狙いに気づいた時、私は既にそこを守る衣服がいつの間にかはだけていることに気づいた。思わず手で隠そうとしても、両手は彼女の両手で押さえつけられていて、動かせない。
「あ、や、やぁ……あぁ」
ちゅ、ちゅ、ちゅとキスの間隔が狭くなっていく。腹の上を2センチずつ細かく刻んでいく彼女のキスは、やがて私の足の大事な付け根を守る下着に到達した。
下着越しにキスをすることは出来ない。でも、彼女の柔らかい息が布越しに大事な割れ目に当たり、一枚の守りしかない危うさと、どうなってしまうのかと もどかしさをもたらす。
彼女は、じーっと私の布を眺めている。それだけで恥ずかしくて、私は腰を左右に動かして視線から逃がそうとするけど叶わない。
二、三度 私が視線から逃がそうとして諦めた頃に、ようやく彼女は動き出した。顔を、私の股のあいだへ埋めるようにして。
「やだぁ! ひえぇん」
視線どころではない、今度こそ危うい。だが腰を逃がそうとしても、強く押し付けられた彼女の顔を押しのけることは出来ない。それに彼女の鼻息が直にあたり、ひんやりとついに触れさせてはいけない大事なところが他人に犯され始めたことを実感した。
諦めが心の中に浮かび、脱力すると、彼女が触れている箇所が敏感に感じられる……湿った下着越しの温度差も。 湿り?
びくり、と私は震えた。何故 私の下着が濡れているのだろう。彼女が舐め取ったのだろうか、それにしては不自然だ。彼女はたった今 直接触れたばかりで、湿らせる暇なんてなかった……。
その湿り気の正体に気づいて、私は愕然とした。私は感じているのだ。男性ではなく女性として、私は彼女に犯されかけていて、それに体が悦んでいる。
そんな、と力が抜ける。私は男性として彼女を好んでいたつもりだった。
だが体は女性だった。私の体は犯されることを望んでいるのだ。
私の中であったかも分からない男の矜持が、男の意識が思わぬ形で崩れようとしていた。
だがそんな私の心を読み取ったかのように、彼女は救ってくれた。
抵抗の力がすっかり抜けた私の右手の先を、押さえていた手で取った彼女は己の股の付け根、下着の中に導いた。手の先が彼女の柔肌と、湿った下着の間に挟まる。
濡れている? 先ほどと同じ疑問が浮かんだ。
私はふっと戻った意識で彼女の顔を見た。彼女の人形のような笑ってない目はそのままだったが、頬を桃色に赤らめ、吐息を暖かくして、悦んでいた。
なんてことはない、彼女も悦んでいるのだ。私の行いが彼女を悦ばせていた。
それを思えば―――実際には受け身だったとしても―――私の男性心は彼女に救われた気持ちだった。私も女性を悦ばせられたのだ。
指を動かすと、ぬちゃりと湿った割れ目の感触に触れる。彼女は肩をびくりと震わせたけれど、そのまま私と体を合わせるように倒れ込む。
顔と顔が密接して、彼女の目が私の目を覗き込む。彼女の感情は目に見えないけど、彼女の目に私はどう映っているのだろうか。そう思っていたら、彼女の唇が私の唇に合わさった。いきなりの、初めてのキスだ。
恥ずかしくて目をつむってしまったら、少しだけ飛び出した舌が、私の唇をぺろぺろと舐める。くすぐったくて、頬が緩む。つむった瞼を緩めると、表情を崩して悦に入るどころか笑っている彼女の顔が見えた。
ははぁ、さてはいたずらしているな。やってくれたな、と反撃で舌を突き出して、彼女の唇を舐める。よく分からない味だ、レモン味ではない。
くすくす、と彼女が少し鼻で笑った。私もくすくすと笑ったけど、そうしたら彼女はまた顔を密着させて唇と唇を合わせた。
今度は軽いキッスでは止まらない、舌を唇の間にねじ込んできた。私が驚くまもなく、彼女の舌が私の口内を蹂躙するように跳ね回る。彼女の舌に、私の口内が犯されている。それにとどまらず、私の舌を舐め回すように絡めてきた。私のものか、彼女のものか分からないねっとりとした唾液が舌と舌を絡み合う有様。あまりに激しい動きに、まるで犯されていたはずが、私が彼女の舌を犯しているのか分からなくなるほど。
このまま犯されてたまるかと、私は舌を伸ばして彼女の唇の中に突き込んだ。彼女が反時計回りに舌を動かすのに合わせて、私の舌も彼女の口の中を回る。私の唾液とは違う唾液の味が、私の唾液と入り混じって、私は自分の口を舐め回してるのか、彼女を舐め回してるのか分からなくなってきた。
ぷはぁ、と彼女が顔を離した。見れば、笑みを浮かべる彼女の口の周りはびちゃびちゃに濡れている。とてもはしたない。でも、多分 私もきっと同じ有様なのだろう。そう思うと、にへり、と変な笑みが浮かんだ。
お互いにひとしきり笑った後、彼女はまるで子供が母親にやるように、私の胸の合間に顔をうずめる。胸に触れられることは少し気になったけど、あの激しい口の蹂躙の後では大した感触には思えなかった。それに、彼女の手がするすると私の腰から股の布の合間に降りてきたことの方が大事だった。今度こそついに犯されるんだと思ったけど、さっきのように抵抗する気は起きなかった。何故なら私と彼女はもう、犯しあった仲だから。
「ふぅ……」
私の股ぐら、割れ目が縦になぞられる。硬く閉じていたはずの割れ目は私でも感じられるほど緩く開いていた。二度、三度と割れ目をなぞり、そして下からすくい上げるように指の第一関節より先が侵入する。浅い、けれども確かに私の誰も知らぬ秘所へ侵入した第一人者。それがこんなノームの女の子になるとは思わなかったけど、不思議と嫌という気持ちにはならなかった。あれほど女性になることを拒んでいた気持ちはどこに行ったのだろう、それだけが少し怖い。
くちゅくちゅと割れ目の入り口を指先が小刻みに泳ぐ。気持ちはいい、けど物足りない。
私は腰を浮かせ、指を奥に押し付けるように動かす。すると指先はちょっとだけ止まってから、少しずつ蛇が尾をくねらせるようにするりするりと侵入してきた。でも、すぐに指が隙間につっかえる。もう少しだけ入りそうなのに、もう少し奥まで入ってきてほしいと思うのに私の体はそれ以上を受け入れようとしなかった。残念だ。ちょっとだけ気持ちがしょぼくれる。
でも、さっきより指のうねりがじんじんと奥に届いて、私の膣を満たしてくれる。上下、時に前後へ動く指が私の膣を動き回る。
まるで私が犯されているようだ。いや、紛れもなく犯されているのだが、それが男でなく女の子の指と思えば嫌な気にならない。
それでもまだ、あと少しだけ物足りない。下を向いて、胸に頭を埋める彼女の顔を覗き込む。私の視線に気づいた彼女が指を止めて、私を覗き返す。彼女の目は悦びに潤ませているけど、私は目の視線だけで彼女に足りないことを訴えた。言葉にしない言葉が届いたのかこくりと彼女はうなずいて……私のうっすらとした胸の膨らみ、その先の豆に吸い付いた。
「ひゃんっ!」
急所に食いつかれた最初の衝撃で、身の危険を感じて思わずビクンと体を震え上がらせる。そして彼女を体の上に乗せていたことに気づき、振り落としてしまっていやしないかと目を落としたけど……彼女はそんなこと気にせず、私の乳にちうちうと吸い付いていた。その行いは体格差と合わせて、まるで赤ん坊のようだ。微笑ましい光景に頬を緩ませる。
だが彼女は赤ん坊ではない、性の技巧者だ。ちうちうという弱い吸い付きは、徐々にちゅうちゅうと強い吸い付きに加えて、時折りその唇からはみ出す舌がぺろぺろとさきっちょを撫でる。くすぐったいはずの感触は何故か背筋を通じて快楽をもたらした。膣だけでは足りなかった刺激、そのピースの欠片が埋まった。
「もっと、指も……お願い」
気づけば私は彼女に奉仕を嘆願していた。腰を擦り付けて、胸を当てて、彼女に刺激を、より快楽を求めるように。
彼女は言葉を返さず、そのまま激しい舌の動きと、より強い指のうねりで応えてきた。それはもう、あたかも私の乳首をフェラするように、そして私を指でレイプするように。
私の膣をかき回す指はもはや男性器のように前後にピストンし、奥に衝撃を打ち付ける。膣壁に指がこすれる摩擦がじんじんと、弱いけど持続する快楽が体全体に熱をもたらし、奥に打ち付けるピストンが体の奥から上に上がってくる、不思議な気持ちの塊を生み出す。
「あ、あ、あー、なに、なにこれ、怖い!」
気持ちの塊はやがて胸に届き、そこでフェラチオされる乳首の刺激と混じり合う。ちゅうちゅう、れろれろと強弱の刺激をもたらす片乳と、いつの間にやらこりこりとつねられているもう片乳への刺激。放出できそうで、何も出てこない発散しきれない女の快楽。
その悦びは放出されない代わりに、膣から登る不思議な気持ちと混じり合って、頭まで登ってこようとする。やばい、これが登ってきたら何かがやばいと分かってるけど、もはや我慢できそうにない。でも間に合わない。抵抗する力が出ない。
「やだ、や、やぁ! やぁなの!」
一体何が起きるのか、分かっているのに分からない怖さが立ち上る。怖くて泣き叫んでるのに、彼女は許してくれない。指をずぽずぽと激しく抜き差しして、乳首を舌で叩くように舐め回して、止めようとしてくれない。やめて、助けて、怖い! そう思っても、彼女は止めない。
「あ、あー! あーっ!!」
もはや声も出ず、喘ぎ声を上げるしか出来ない。ビクンビクンと体を震わせて、私はついに絶頂した。
少しの間、空白としか言いようがないイメージだけしか頭に残らなかった。これが絶頂なのかと。男が放出する瞬間とは全然違う、長くて眩い快楽の果て。
ああ、私はついに女を知ってしまったのかと…… 少しずつクールダウンしていくうちに、違和感を覚えた。
あれ、なんで私は女の快楽を学んでいるのだ?
「お、おのれ……よくもやってくれたな」
先ほどまで私をいじめ続けていた彼女の手はとうに止まっており、腰の上で私を見下ろしていた。悦楽でやや緩んでいるが無表情で、私をあざ笑われているような気がした。
恨みの言葉を口にするが、先ほどの絶頂で体に力が入らず、すぐに反撃を果たす体力はなかった。
おのれ、覚えてやがれー。
気づいたらエロ入れてました 二度目はないです
リリン 人間(human)の女性、ゲシュタルト・アーキヴィスト3Lv/ファクトタム2Lvソードセイジ1Lv
イレニア ウッドエルフの女性、レンジャー2Lv
仮面さん(オウレン) ウィスパーノームの女性、ウーイァン2Lv
・Book of Erotic fantasy。D&Dの
とはいえエロモンスターやエロ呪文、エロアイテムが沢山載っているのではなく、どういうエロ行為があるのか、エロ行為の結果 どうなるのか、月経周期によるペナルティといったルール的側面のエロ要素が強い。みんなが期待するようなモンスター姦要素は全然ない。悲しみ。
なお、中にはエロ行為をすることで利益を得るデータが多数ある。逆に処女を守ることで強力な利益を得るものや、エロとは直接 関係ないがやたら強力な魔法使い用 上級クラスが載っている。