「海賊だぁ!」
見張り台の船員が敵襲を叫ぶ。戦闘音はせず緊迫した場面ではないと、しっかり装備を身に着けて甲板に上がったところ、遠く海の向こうから船首をこちらに向けた帆船が見える。しかし海賊というには生気がない。
「人が見えませんね。人のような姿はありますが……
船影は少しずつ大きくなり、まっすぐ近づいている。近づくということは向こうの方が船足が早いということで、水平線が5キロだから風向きにもよるが1、2時間以内には接船するだろう。
私も目はいい方(レベルアップでも視力が伸びる)だが、流石に望遠鏡並みではない。もう少し近づかなくては見えないが、その頃には
いつの間にかオウレンも同じく甲板に上がってきて、私の袖を引っ掴んでいる。
「今こそえっち」
「バカ言え、怒られます」
それが戦いの助けになろうが敵を目前におっ
キョロキョロと近くを見渡して、今のが誰にも聞かれてなかったことを確認してオウレンを引き剥がす。あと同じくいつの間にか甲板に上がっていたお嬢様も船室に戻しておく。
そして30分後、思いの外 相手の船足が早く このままいけばもう30分で接舷されるだろう。ここでようやく相手の正体が見えてくる。
「
推定海賊船の上にいたのは人の姿というより、人のような骨格だった。つまり海賊船あらため幽霊船である。スケルトン、代表的な
そんなスケルトンが生まれる原因は主に二つ。一つは生気を吸収する負のエネルギーが死体に宿り、アンデッドとなるもの。もう一つがその負のエネルギーを利用する死霊術の呪文、魔法的な能力などによって死体から生み出すというもの。
航海可能なまま漂流した船がそのまま幽霊船になるケースは(それ以前にボロボロになるため)普通はありえないし、そもそも通常のスケルトンに船を動かすほどの知性はない。よって十中八九、他者の手が加わってることは確実だ……それもアンデッドに親しい存在の。
私は戦闘は回避不能だと諦めて 戦支度を始める。幸いにして、この船には二人の対アンデッドスペシャリストがいる。負の存在を退ける正のエネルギーを放つクレリック、そして知性持つ強力なアンデッドが持つ恐怖のオーラや負の影響をもたらす攻撃に耐性を持つ
とはいえ如何なる特効能力を持とうが彼、彼女らだけで本当に全てを退けることはできない。船の被害を減らすには、同じく強力な呪文を持つ私たちの協力が必要だろう……先述の通り、関わりたくなかったんだけど。
「“火球”撃つ?」
「まだ早い。雑魚は《炎の爆発》で済む……狙うなら大物が現れるか、あるいは
スケルトンは強いアンデッドではないが、骨ゆえに刃による武器では傷つけがたく、船員たちの銛やカトラスではダメージを与えられない。とはいえ大物相手では、負の効果を与えられて即死しかねない。船員たちは既にパラディン様に指示されて、手に樽や椅子など、即席の打撃武器となるものを用意しているので、全く太刀打ち出来ないことはないだろうが……。
やがて幽霊船が接近し、2、300メートルの距離に差し掛かったところでバリスタや弓矢を用いた射撃戦が始まる。バリスタの太矢と通常の矢が飛来し、まず狙いをつけやすい帆(マスト)がダメージを受け速度が落ちる。次にこちらの人間を狙って、多数の矢が甲板に突き刺さる。相手方に船を沈める狙いはないようで一安心。
一方でこちらも射撃を行うが、そもそも威嚇、牽制、防衛用にしか武器を持たないので残弾は心許ない。加えて相手がスケルトンとあって、乗組員に対する射撃効果も薄い。なのでこちらも敵船のマストを狙った後、
お互いに船や船員にダメージを与え合ったが、どちらも戦闘の決め手とはならない。100メートルを切ったところで私は衝突と戦闘に備えて船内に引きこもった。各々が身体をロープで縛ったり、荷を固定したりする中、私は強化呪文を唱え始める。
幽霊船が突っ込んでくる直前に、こちらの船が舵を曲げる。船の腹に対する衝突はかなりの大ダメージになる、それだけは避けるためだ。それに伴い、船が大きくきしむ。船の操縦に関して、私個人にできる手段は持ってない。後は祈るのみ。
ゴンッ!
船が衝突した音は鈍い音だ。そして衝撃と共に斜め前方に慣性でふっとばされる。船の土手っ腹に突っ込まれるのは回避できたようだ。だが安心できる状況ではない、むしろ本番はここからだ。
甲板に上がり、船後方を見るとやつらの船首がこちらの船上をまたぐように伸びている。そしてスケルトンが次々とそこを伝って飛び降りてくる。
「神よ、悪しき下僕を滅する加護を!“
早速パラディン様の相方、女性エルフが信仰呪文を唱えて周囲の味方を鼓舞してくれる。私もその恩恵を受け、僅かに接近戦に強くなったが こちらを奮う機会はないだろう。というか、準備していた同じ呪文が腐った……連携を相談しなかったので仕方ない。
「今日、これ使っていいんだよね。“
「ええ。《爆発》を主体に数を減らし、強そうな奴が飛来した時にチャンスがあれば“火球”を。決して間違っても船は焼かないように」
乱戦が予想されるため、切り札を切っていく。先日森エルフのドルイドから買い取ったスクロールにて学んだ“
支出が響くが、経験値でだいぶ元は取れるだろう。
「行きます」
「ん」
既に戦いは始まっている。船内から表に出て、船尾から飛び出してくるスケルトンを出会いがしら《爆発》。更に船員に隣接して襲いかかっているスケルトンに誤爆を避けつつ《爆発》。スケルトンが3体も密集している地点があれば《爆発》。
多少は頑丈といっても、元となった人間の1レベル以下でしかないスケルトンは《炎の爆発》の一撃で撃破、あるいは破壊寸前になる。既に船員たちが削っていたやつはそれでトドメになるし、後続のオウレンの《爆発》によって完全にトドメを刺すこともできる。
《爆発》一発で1、2体持っていき、みるみるうちに骨格の数は減っていく。しかしそれでも数が多い。3体倒したと思えばカラカラと音を鳴らして5体増え、船尾の上はもはや骨が溢れかえる。
倒し損ねた骨が私とオウレンの下へもやってくる。私はソードセイジの回避力、鮫皮鎧と“樹皮”で硬質化した肌で難なくやり過ごすが、オウレンは攻撃を一度 魔法の“盾”で凌いでも二度、三度と集られては攻撃が当てられる。ノームゆえ耐久力は高いといっても、術者の体力はもう二回も殴られれば持たない。
仕方なく近距離に《炎の爆発》を発生させるが、近くの処理に追われれば新たな敵の処理が追いつかない。倒した分だけ、カラカラと
「死者よ、退散せよ!」
そんな中、押し込まれつつある船中腹から生じた、光の波動が突き抜ける。正のエネルギーの光が中腹を突き抜け―――そこにいた全てのスケルトンたちが力を失い、風化したかのようにボロボロの砂となって崩れ落ちていく。
まるでえぐられたかのように出来た空隙に、鎧を着た戦士が切り込み、対スケルトンの前線を押し上げた。
「流石、専門家は違いますね。……“
そこに切り込んだパラディン様も、クレリックより効果が落ちるが同様にアンデッド退散を行う力がある。尤も彼、アルベルトは剣筋から判断するに私と同程度の4レベルで、アンデッド退散能力は目覚めたて。スケルトンを退かせ時間稼ぎは出来ても破壊はまだ不可能なレベルのようだ。だから彼は
しかし、今のでだいぶ楽になった。アンデッド退散も含めて、ここまでに2、30体は削ったが、敵幽霊船内にみっしり詰まっているとしても50体は超えないだろう。今船にいる分を除けば、もう残り少ないはずだ。つまり……
「おお、なんと忌々しい光。だが勇者よ、森の姫よ、貴様らではこいつを退けることが出来まい……」
「オウレン、“火球”を」
「ファイアーボール」
ボスが出る。それを見越してオウレンに巻物を広げさせた直後、敵船から飛び上がる黒い影。
すかさずオウレンが起動の一節を口にして、圧縮された熱量を持つ“火球”が影に飛んでゆく。甲板のゾンビや帆を巻き込んで影に直撃、直後に爆発を引き起こして周辺の木や死肉を焼き払う。
もくもくと爆煙が立ち込めるが、すぐさま海上の風に吹き散らされる最中、煙の中にギラリと眼光が灯る。
だがバチリ、と私の周囲を守る不可視の魔法円が反応し、何かを弾いた音が起こる。風の向こうから聞こえてきた呪文の一節は、弱き者に恐怖を引き起こす“畏怖”の呪文のものだった。しかし精神干渉への防御を付与する“防御円”の守りはそれを遮断する。
「小癪な。秘術使いを味方につけたか、勇者よ。だがこの程度の火力では、やはりこいつを退けることは出来んぞ」
やがて煙が完全に晴れた向こうには、焼け焦げた黒いローブを纏う、風化寸前の死体のように乾いた肌を持つ死人の姿が浮遊していた。“火球”で大ダメージを受けたようだが、一撃で倒すまでは足りなかったらしい。
奴の登場と共にスケルトンの襲来が止んだことで、余裕があるうちに船尾上へ前線を詰めるついでに、先にいたパラディンに敵の正体を尋ねる。
「あれはどちら様でしょうか。パラディン様のお知り合いで?」
「アンデッドのデーモン・プリンス……オルクスの手のものだろう。船を出して復讐に来るとは思っていなかった」
「左様ですか」
奴が口にしている通り、この戦いはパラディンが持ち込んだ因縁のようだ。道理で真っ昼間から幽霊船なんぞが突っ込んでくるわけである。
厄介事を持ち込みやがって、とは内心で思うものの海賊との遭遇は海に出ればよくあることで、それが幽霊船だったから変わるものではない。むしろ、パラディン様たちのおかげで船が助かっている可能性すらある……例えば海に沈めるわけにはいかない、大事な物を持っているとか。
「さあ、
「オウ……仮面さん、今のうちにあのうるさい奴を落とせますか? 火力が足りないと、そうですか……」
さておき、戦況を確認する。現在スケルトンの襲来は止んだが、敵船上には宙に浮かぶアンデッドの術者と、数体のスケルトンおよびそれを従える術者と思しき
その前にあの術者を黙らせておきたかったものの、こちらの船上から《炎の爆発》を届かせるには少し距離が足りない。オウレンは火力呪文を残しているようだが、トドメを刺すには不足している見込みらしい。
では仕方ない、乗り込んで接近戦を挑むしかあるまいと敵の幸先を伺っていると、敵船の大穴から大きな姿が浮かび上がる。翼をバサリと広げる姿から怪鳥のアンデッドの類かと思うが、腐った肉の表面に張る白い鱗を見てしまったことで緊張が走る。
「ホワイト・ゾンビ・ドラゴン!?」
そんなホワイト・ゾンビ・ドラゴンは私たちが驚く間もなく、敵船よりこちらへ突撃。動きは鈍いが、それでも空を
「ハイローニアスよ、悪しき下僕を討つ加護を! 喰らえぇぇっ!!」
その暴力を自らの身体で食い止め、反撃の
死して尚 残すドラゴンの暴力の恐怖を前に、私の心は勇気づけられる。いや、実際にパラディン様の勇気の加護がドラゴンの恐怖に耐える力をもたらしたのだ……空を飛ぶドラゴンはその恐ろしさから恐怖を引き起こすが、パラディンはその恐怖に耐性を持ち、同時に周囲へ恐怖に対抗する勇気を与える。私は彼の近くにいたことでその恩恵を受けていたのだ。
「あ、あああああ!」
だがオウレンは私のわずか後ろにいたことで、その勇気のオーラの範囲外にあった。そして恐怖に耐えきれず、心を蝕まれてドラゴンの前から逃げ出してしまう。
「オウレンっ……」
しかし彼女を追いかける暇はない。ゾンビ・ドラゴンは、確かにあのボス術者が叫ぶ通りにこちらの戦力を超えており、真正面から対抗しているパラディン様の分は悪い。
単純な体力と膂力はあの
今は相方のエルフがパラディン様の後方から“治癒”しているが、呪文の数は無限ではない。じりじりと削られている。そして敵はゾンビ・ドラゴンだけではない……たった今、“
「“雷 ――ぐあっ!」
アンデッド術者が呪文を詠唱しかけたその時、彼の手に矢が突き刺さる。隙を突いて来るだろうと待ち構えていた、私の
忌々しそうに私を睨むボス術者に弓を向けると、彼は射線から逃げて船の中腹に隠れていった。私は引き続き弓を向けて警戒しながら、ゾンビ・ドラゴンに軽く手を振り、《炎の爆発》を起こす。
ボンッ!
ドラゴンが持つ呪文への抵抗力により魔法を無効化することもあるゾンビ・ドラゴンだが、この《爆発》は超常能力であり、呪文抵抗に阻害されずダメージを与えられる。そして手が埋まったまま発動できることから、長弓に矢をつがえたまま術者への警戒を怠らずに攻撃することも出来る。
《爆発》のダメージはわずかだが、それでもパラディン様の攻撃と合わさってダメージレースはこちらに傾いた。エルフの回復がパラディン様を癒やし続けていることもあり、ゾンビ・ドラゴンはじわじわと死肉を削がれていっている。
「“
そして時間を稼いだことで、ドラゴンへの恐怖心を抑えて戻ってきたオウレンが参戦する。射程は短いものの、高火力な熱線を放つ“灼熱光線”の呪文をドラゴンに放ち―――呪文抵抗力に防がれる。何を無駄にしてるんだとジト目を向ければ、冷や汗をかいている仮面ノームの姿があった。そういえばこの子の知識は秘術の神秘学と自然が主で、宗教学―――アンデッドの知識には疎いのだった。《爆発》を使え、《爆発》を。
なんて一幕があったものの、《炎の爆発》による加勢をオウレンに任せ、私は完全に敵術者の動きを潰すために待機した。傷を癒やし、再び“
「くっ、ゆけスケルトンどもよ、あの忌々しい弓手を殺せ!」
「エルフさん、治癒係を
そうして二度も潰せば、怒り狂ったボス術者は再び残った最後のスケルトンたちを仕向けてくる。ゾンビ・ドラゴンの後背から一斉に降ってくるスケルトンを退散するには、“治癒”にかかりきりのエルフさんの暇を作る必要がある。その間、パラディン様の“治癒”を止める必要があるが、それくらいの手間なら私でも補うことが出来る。
「ええ、一時任せます……滅びよ、死者たち!」
「ふっ、手を止めたな。朽ちよ、“
ここまでの働きを見て、信用できると踏んでくれたのか彼女はパラディン様の背後から飛び退き、アンデッドを退散させる正のエネルギーを放出する。そこにすかさず、ボス術者がドラゴンの後背に詰める。私からの射撃線をゾンビ・ドラゴンの姿で隠しつつ、“治癒”が滞ったパラディン様にトドメを刺そうと熱線を放つ。しかし私の“治癒”を受けたパラディン様は熱線の直撃を受けても倒れない。
敵術者はここを決めどころだと踏んだのだろうが、それは読み違いだった。そして射程の短い“灼熱光線”を決めるため、私の弓矢を避けるためにドラゴンの後ろへ降りてきたことで、武器の射程に入っている。
「術者というのに、よくもまあ敵の前に降りてきたな? ―――オウレン!」
長弓を放り捨て、ゾンビ・ドラゴンを迂回しながらレイピアを抜き放つ。横をうろちょろする私にドラゴンの爪が振るわれ、鎧を貫くが二撃までは耐えられる。
そうしてドラゴンの背後に浮かび、驚く死人のウィザードに向かって跳躍、炎を宿る刃が敵が纏う
「剣……貴様、術者では無いのか!?」
大ダメージを受けた死人は、驚いて私から距離を取ろうと高度を取り……浮かび上がって絶好の的となったウィザードへ、オウレンの二発目の“灼熱光線”が直撃。
「お、オオオ……!」
動く死者だったウィザードは体の中央を焼き尽くされ、胸に空いた穴からその死体に宿る死霊術の力を放出。辛うじてクリーチャーだったアンデッドは魂を失って完全に
そして、こちらの船に残るはゾンビ・ドラゴンのみ。向こうの船にはまだ死霊術師の手下が数名残っているが、恐らくスケルトン多数のコントロール要因である彼らはこちらの“防御円”やパラディンの恐怖耐性を抜ける碌な呪文を持っていないと思われる……そもそも大半の死霊術は射程が短く、船から別の船にかけるには距離が届かない。
そんな残ったホワイト・ゾンビ・ドラゴンも、うろちょろする私の隙を突いて攻撃したきり、最も脅威である目の前のパラディンを攻撃し続けている。自前の呪文が切れたのか、エルフの相方は魔法の
しかしダメージが蓄積しているのはゾンビ・ドラゴンも同じこと。
パラディン様の善戦、オウレンの《爆発》により蓄積していたダメージが許容量を超え、主と同じく死霊術のエネルギーを肉に開いた傷跡から噴出し、力を失い崩れ落ちたドラゴンの死骸が腐った竜血と臭いを甲板上にばら撒いた。
「さて……」
私は落としたレイピアを拾い上げて、今もこちらの上をまたぐ船首に飛び乗り、逆に敵船に乗り込む。残っていた数名の死霊術師たちが、意を決したように私へ呪文を働きかけるが、“
脱力した身体を無理やり動かし、彼らの身体を次々とレイピアで貫けば、船上には奴らの死体だけが残った。戦闘終了。
---
死霊術師たちが支配する幽霊船は、残念ながら蓄えた戦利品をまともに漁る前に沈んでしまった。というのも船を操舵していた知性あるアンデッド、グールたちが私を見るなり襲いかかって、それを撃退したことで間もなくバランスを崩し、転覆してしまったからだ。
それでも死霊術師たちの持ち物を漁る暇はあった。魔法のアイテム、スクロール、そして幾つかの
この度の災厄はパラディン様が呼び込んだものだが、その撃退に最も貢献したのもパラディン様である。死者は出ずに済んだし、怪我も相方のエルフ・クレリックが癒やしたため船の損耗以外に失ったものはない。得られた財宝のうち金銭的なものを旦那様に慰謝料として渡したことで手打ちになり……そして同じく戦闘に貢献した私たちの手元には魔法のアイテムと、死人ウィザードが持っていた
「スクロールは大半が死霊術……
呪文書は私がそのうち使うので貰います。代わりにスクロールの代金はそちらに渡します。それとブローチ、指輪の方は……」
「“
あの死人ウィザードは3レベル呪文を用いる、私たちより高レベルの術者なだけあって結構な物持ちだった。透明な反発力場を生じて防御力をもたらす
これらを鑑定し、オウレンと山分けする最中に扉を叩く音が鳴る。お嬢様か、術士の御老体だろうか、と扉を開けて覗いてみればそこにいたのは聖騎士様。
そっと扉を閉じたくなるも我慢して用件を伺う。
「何か御用ですか?」
「話があります。この先、船を降りた私たちの旅の手助けになっていただけませんか」
リリン 人間(human)の女性、ゲシュタルト・アーキヴィスト5Lv/ファクトタム3Lvソードセイジ2Lv
オウレン ウィスパーノームの女性、ウーイァン5Lv
パラディン様さま(アルベルト) ハーフエルフの男性、パラディン4Lv
アローナ神官(ヴィリル) ハイエルフの女性、クレリック4Lv
・アンデッド。動く死者とも不死者とも。その名の通り、生命を増幅する正のエネルギーと相反する、負のエネルギーの呪文を受けて死体が動いているもの。
ゾンビやスケルトンから、リッチやヴァンパイアといった上から下まで幅広いクリーチャー種族。とうに死んだ存在なので、滅ぶことはあっても寿命死はしない。
魔法使いにとっては比較的 簡単になれるので、定命(モータル)の存在から非定命(イモータル)の存在へ変わる手段としても有名である……弱点は多いが。
ちなみにデスレスという、正のエネルギーによって生まれ、知性を維持したまま特定の使命のために動き続ける善のアンデッドとも言うべき種族も存在する。
・呪文やそれに準ずる特殊能力攻撃を避けたり、軽減する方法は大きく分けて3つ。
一つ目は呪文の効果そのものに耐性を持つこと。火への完全耐性を持つものは火のエネルギーを用いる呪文による被害を受けない。エルフは睡眠に耐性を持つためスリープ呪文で眠らない、等。耐性は呪文によって獲得できるものも多い。
二つ目は呪文に対する受動判定、セーヴィング・スロー(セーヴ)に成功することで無効化、あるいは半減や不完全な効果に軽減することが出来る。ダメージを与える呪文などは完全に軽減しきれないことも多いが、身かわし能力を持つ盗賊(ローグ)などはそういった呪文も完全に無効化することがある。
三つ目は呪文抵抗(スペル・レジスタンス)を持つこと。これはドラゴンやドラウ(ダークエルフ)、デヴィルやデーモンなどの種族が持つ、呪文を弾く能力である。敵味方問わず 術者レベルの低い呪文を弾く効果があるため、呪文で味方を援護するプレイヤーが持つには邪魔だが、逆に呪文の援護を受けない敵が持つことが多く、嫌らしい能力である。特に高レベルのモンスターは持っていることが多い。
・《炎の爆発》。これは温存魔力特技と呼ばれる、ある系統の呪文を使用可能な状態で用いることが出来る能力。
呪文エネルギーを利用した特殊攻撃で、呪文ではなく超常能力に分類され前述の呪文抵抗に防がれない。その上、呪文発動のように機会攻撃(敵の目の前で隙を見せたことによる被攻撃の機会)を受けないので、まさしく通常攻撃として活用することが出来る。
維持している最大の呪文のレベルによって効果量や距離も変わるが、常に一定の射程を得られ、範囲攻撃でダメージを与えることが出来る《炎の爆発》は最も使いやすい温存魔力特技である。
通常攻撃が火属性で範囲攻撃のウィザードは好きですか?