超人高校生たちは催眠術には屈してしまうそうです 作:ざくろねこ
催眠ものが大好きなのとイラストが好きで書いてるので原作と相違があるかもしれません。そういう場合は遠慮なくコメントください。
台所には鼻歌を歌いながら夕飯の支度をするリルルの姿があった。
腰まで届く金髪の長い髪左右にゆらしながら、手際よく材料を投入していく。彼女は働き詰めの司のためにシチューを作っていた。
そのためにとある旅の途中だという行商人から買った勝負服を着ていた。
行商人が言うには司たちの世界では相当人気な服装らしく、これを着た女性を見て喜ばないものはいないという言葉でリルルは衝動買いを生まれて初めてしてしまった。
それは司たちの世界で言うところのメイド服であるのだが、なぜその行商人が司たちの世界のことを知っているのか、そのような疑問はなぜかリルルの頭から抜け落ちていた。
メイド服には胸元にリボンの装飾が施されており、赤い真珠のようなものが光っていた。
「司さん、喜んで食べてくれるかなあ」
牛の乳が煮立ち、鼻孔をくすぐるいい匂いについ少女自身のお腹の虫が鳴いた。
「はうっ!」
その恥ずかしい(と本人は思っている)姿を誰にも見られていないかと心配になってあたりを見回す。
そして誰もいないことを確認し、少女はほっぺたを叩いて気合を入れなおした。
「よし、もうちょっと、う、なにこれ……頭が……いたたた」
隠し味にマヨネーズを投入し、あと少し煮込めば完成というところでリルル自身に異変が起こった。
キーンという金属音のような音が頭の中に響き、彼女の思考をかき消していく。
「痛い……でも……なんだか……気持ちいい……何も……考えられ……あ……」
頭の中が真っ白になる感覚とともに、とある思考がどこかから流れ込んでくる。
「ご主人……様……はい、言うとおりにします」
ご主人様の言うことにただ従えばいい。そうすれば司も喜んでくれる。
ただそれだけが思考に流れ込んでくる。
「胸元の赤い……玉を……見つめます」
胸元の赤い球を見つめながらリルルはおぼろげながら思い出していた。
なぜ行商人が司の元の世界のことを知っているのか聞こうとしたとき、この赤い真珠が光り、
彼女の思考を覆いつくしたことを。
「はい、かしこまりました」
赤い真珠が光り、リルルの思考を完全に覆いつくすとともに、次の命令が実行された。
リルルは赤い真珠をシチューの上にかざす。
すると、赤い真珠から液体がシチューの中に一滴だけ垂れる。
「これがほんとの隠し味ですね……うふふ」
リルルは今まで誰にも見せたことがない妖艶な笑みを浮かべながらシチューをとあるところへと運んでいく。
結局そのシチューが司の元に届けられることはなく、リルルは別のものを料理に出した。
普通の食事を出し、みんなで食べる。
台所であの妖艶な笑みを浮かべていたリルルはどこにもなく、いつもの食事風景だった。
さきほどリルルが作ったシチューを味見させてもらったりんごを除いては……
続きは来週1月11日22時投稿です。