超人高校生たちは催眠術には屈してしまうそうです 作:ざくろねこ
研究室へ向かわなければならない。それだけがりんごの頭を占めていた。
なんだか頭がぼーとして、まるで熱でもあるかのような感じだ。
しかし、不思議とけだるさはなく。この感覚に身を任せていると、どんどん幸せになってくるような気がした。
さっき勝人の部屋に行った時も、頭の中へ出される命令に従うたびに快感が増幅していた。司に膝枕されたとき同等か、それ以上の幸福だった。
もう一度この幸せを味わいたい。そのためには自分の研究室で待つご主人様のところへ向かわなければならない。
りんごは深呼吸をしてから部屋のドアロック解除のパスワードを入力を開始する。
もうすぐこの快感を与えてくれる人に会えると思うと、腰がなんだかムズムズしてきて変な声が出た。
「っ!……ん……あっ……」
パスワードの数字キーを押すごとに手が震える。もし、パスワードの間違った場所を押してしまうと、最初から入力する必要がある。それだけはどうしても避けたい。
だから、手が震えが治まるのを待ってから次の数字キーを押し込む。
「……っ! よし! できた」
やっとの思いで扉を開くと、いつもの自分の作業机には男が一人座っていた。
「あっ……いたぁ」
もしいなかったらどうしようかと思っていたので、安堵のあまりまた変な声が出た。
そんな彼女の様子にはおかまいなく、警戒モードのクマウサ(白ヘルメットをかぶり警官のコスプレをしている)が話しかけてくる。
「りんごちゃん! 帰ってきたクマ! この男誰クマ!」
クマウサがりんごに対して抗議の声をあげる。
何をこの熊はいっているのだろうか。不思議に思いながら、りんごは焦点の定まらない瞳をクマウサに向けると、ゆっくりと首をかしげた。
「誰……って私のご主人様だよ」
「……クマァ!」
りんごはさらに焦るクマうさを無視して自分の作業机へ向かい、座る男の目の前に立った。
「何やってるクマ! その男から離れるクマ!」
「うるさい!」
りんごはクマウサにいらだち、クマウサのシャットダウンコードを入力する。
クマウサが映っていたモニターが暗転し、りんごと男の二人だけの空間が完成した。
「……はあ、……お待たせいたしました。……ご主人様」
息も絶え絶えに顔を紅潮させるりんごに男は自嘲気味に笑いながら語りかけた。
「久しぶりだな、りんご。とはいっても成績万年八位だった俺を覚えているわけがないか」
そして、彼女の三つ編みのおさげに触れる。ほのかにシャンプーの香りがした。
もっと男はこのいい匂いを近くで感じたくなって、彼女の腕を引き寄せた。
するとまるでススキを引っ張った時のようにふんわりと倒れてきた。
抱きかかえる形になり、彼女のにおいを堪能しながら男は語り掛ける。
「中学のころは髪なんか結ってなかったのに、めちゃくちゃおしゃれして、好きな男でもできたんだろうな。誰でも察しはつくけどな。たしか、現総理大臣だったか」
男はスカートの中からふとももを触る。とても柔らかい。そのまま全身の素肌を服の間から愛撫する。
「……あっ」
りんごにはあらたな命令が出された。
「……ご主人さまの……を……しごく」
彼女は男のチャックを開き、それを取り出した。
それを素手で上下に往復。
往復するたびに突き上げるような快感が彼女を包み込む。
「あっ、あっ、あっ、……いい! もっと……」
快感をさらに得たくてしごく手のスピードが早くなる。
男は自分に倒れかかるりんごの体を服越しに、または服が伸びるくらいに手を突っ込んで彼女の体をまさぐる。
りんごは命令達成による快感を求めて、男はこの女の全てを支配してやりたいという欲望に任せて抱き合い続ける。そして、彼女と唇を重ね合わせて舌も絡ませる。
「ん……んぷ……ぷはあ」
お互いの唇を離すと、顔を紅潮させながら2人は見つめあう。りんごを完全に支配したのだという達成感に男は最後のフィニッシュへ向かう。
「く、出る! 手で包んで!」
すると白いモノがせりあがってきて彼女の柔らかい手の中に包まれた。
「ふう……」
男は天を仰いで嘆息した。
「天才すぎるやつらのせいで万年8位で落ちぶれて、さらにはトラックに牽かれた俺だったが、人生捨てたもんじゃねえなあ」
他人を操る催眠術と、この世界をどこにいても神の視点で見ることができる千里眼のおかげでできるこんな生活を存分に利用してやらねばなるまい。
男が一息ついた後も、りんごの手は命令どおり動き続けていたため刺激によってそれはまた元気を取り戻そうとしていた。
「もうすぐもう一人来るな。一度止めろ」
りんごは頬を膨らませて不服そうな感情を表したが、手を放し、立ち上がった。
すると、まるで人形のようにピタリと動かない直立不動の状態になった。
「しばらくこの状態を眺めて愉悦し浸るのも悪くないな」
男は待ち時間の間りんごの鑑賞会を始めた。
やがて研究室へ金髪の髪と乳袋を左右に揺らして走ってくるメイド服を着たリルルの姿があった。
椅子に座る男の目の前に立ち、男の肩を両手でつかむ。
走ってきたため息を上がらせる彼女はりんごと同じように瞳の焦点は定まっていないが、表情は達成感に満ちた笑顔で男に語り掛けた。
「ご主人様! せめてお礼をさせてください!」
その言葉に男は笑って答えた。
―――それでは、
「いささか辛い仕事をお願いするとしよう。覚悟したまえ」
まだ夜は始まったばかりだ。
今どきパスワードとか生体認証ではないかと書いているときに思いましたが、それはそれ。
次回でこの作品はラストの予定です。その後番外編を書くかも。
来週の更新は2月1日22時です。
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