※この作品はR-18です。

未題 - 蛍ノ酔話ノ続キヨリ   作:荒木田久仁緒

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【下】 流れ去ったもの    


 

  月光にくっきりと影を落として、それはもう準備万端に、天を衝いている。

  そそりたつ彼の陰茎を目の前に、ふとした思いつきが頭に浮かび、私は自分の股間へと手を伸ばした。

 

「んっ……」

 

  にゅるん、と簡単に指が三本、開ききった膣内へ、軽く押し当てただけで飲みこまれてしまう。少しかきまぜて、溢れ出した汁を手に受けると、それを肉棒へ浴びせるように塗りつけた。

 

  そのまま、両手で茎を、先端をぬるぬる撫でまわす。

  段差をつまむように擦ってみたり、穴のところを指先でくりくりしたり。少し強めに、しごいてみたりして。

  表面のいくつものでこぼこを、指で押さえてこねまわす。その形をひとつひとつ、確かめながら。それがどんなふうに蠢いて、私の中をかき回すのか、考えながら────

 

「うっ……あ……」

 

  手の動きに合わせて聞こえる、彼の呻き声。

  ひくひくと腰が、陰茎が、小さく跳ねるように動く。

  粘液に塗れた表面が、きらきらと月の光に輝いて、綺麗だ。

 

「気持ちいい? 気持ちいい、よね?」

 

  私も……早く気持ちよくなりたい、けど。

  でも、もうちょっと、我慢。

  そしたら、ほら……

 

「ぐぅ……っ、も、もう……」

 

  切なそうな顔で、そう言って、伸ばされた手が、私の足を軽くつかんで、前へ引き寄せようとする。

 

  さっきは、私のほうが我慢できなくなったから……だからこれで、おあいこだ。

 

「ふふ……じゃあ、入れるね」

 

  そう余裕ぶってみるけど、本能は正直で、ぱぁっと明るく、お腹が光る。その意味は彼には、わからないはずだけど。

  いや……もしかしたら、もう理解してたりして……?

 

  ……あ。

  また何か、よくわからない感情、が。

 

  少しばかりの、居心地の悪さ。

  私が、こんなにも発情してるって……交尾したくてたまらないってことを、彼に知られるのが……なんかちょっと、居心地が、悪い。

  なんでだろう。それを教えるための光なのに。生殖器から、これほど体液をしたたらせておいて、今更……。

 

  ちょっと瞬きをして、そのモヤモヤを頭から追い出しつつ、疼いて仕方ない股間を上へ、陰茎の先端へ乗せた。

 

  ねちゃり、と響く水音。

  触れたところから広がる、熱い痺れ。

 

「は、ぁ……」

 

  息を吐き、体重をかけて、それを受け入れる。すっかり柔らかくこなれた膣口が、いちばん太い部分をあっさりくわえこみ、そのままずるずると、粘膜を震わせながら、飲みこんでいく。

  目を閉じ、そこに意識を集中する。さっき触った彼の形を、思い出しながら。あの逞しく太い槍が、私の肉をえぐってゆくさまを、下から上まで、じっくりと味わって。

 

  そしてほどなく、腰が落ちきり、彼の下腹部に股間が密着した。

 

  あれ?

  入っちゃった。

  根元まで、全部……あんな、おっきなモノが。

  本当に壊れちゃったのかな、私のお腹……。

 

  心臓のすぐ近くで、彼の熱い先端を感じる。さっき貰った精液でたぷたぷ揺れてる、受精嚢(のう)のふくらみも。

  陰茎の根元に生えている毛が、敏感なところに当たって、ふわふわこすれて……それも気持ちいい。

 

  どうやら、私の体はもう、彼のかたちにぴったり合うように変わってしまったみたいだ。

  この全身で彼を受け入れて、彼と触れ合って、彼を感じて……彼に私を、感じてもらうために────

 

 

  腰が、熱い手に掴まれる。

 

  彼の両手。がっしりと、あの夜と同じように。

  お腹いっぱいに広がった期待に震えながら、私も自分の手を、彼の腕の上に重ねる。

 

  そして私たちは、呼吸を合わせながら、静かに……やがて激しく、腰を動かし始めた。

 

 

 

「あっ……あ、はぁ……ぅんっ……」

「ふぅっ……はっ、はぁ、うっ……」

 

  肉と肉が、こすれ合う。

  吐息と吐息が、重なり合う。

  その間に響くのは、粘液がぐちゅぐちゅ泡立つ音と、時折ふわっと輝く緑の光。

 

  丸く膨らんだ先端が、私のお腹の奥を、こりこり引っかき、かき回し、突っついている。

  彼の腕に揺り動かされる腰を、自分でも左右にくねらせる。ねっとり濡れた私の中で、熱い柱が踊るように跳ねる。

 

  こつん、と何かが、お腹の中でぶつかり合った。

  膣壁の向こう。その隣にある器官が、熱くふくらんで、陰茎に当たって、こすれている。

 

「あっ……? こ、れ……。あ、んっ……」

 

  卵巣。

  私の一番、大事で繊細なところ。けれど長らく、使っていなかった場所。それがもぞりと蠢いて、膣のほうへ、彼の陰茎へと、身を寄せはじめていた。

 

「ん、はぁ……あ……ふぅ……ん」

 

  お腹いっぱいに、広がる刺激。どこか切ない、甘酸っぱい快感。

  ああ、知らない。知らなかった。卵巣(ここ)が、こんな風に感じる場所だったなんて。

  ふわふわ、ゆらゆら、その中で波紋が広がる。忘れかけていた何かが、そこに呼び戻されている。

 

  そう……すべての行為は、本来、そのために。

  でも、そんなことは起きない。人と妖怪では、起こったりしない……はずだけど。

  もう、よく、わかんない。

 

 

  ぶちゅり、ぐちゃりと音を立てて吹き出す粘液が、とめどなく彼の上へ流れ落ちている。

  その泉をさらに掘り起こそうと、彼はますます硬く反りかえって、私の奥を突いている。突かれるたびに、ぞくっ、ぞくっと、駆け昇る震えに背中がのけぞり、私はゆるんだ唇から鳴き声をこぼしつつ、水面(みなも)のように揺れる瞳で、空を仰ぐ。

 

  雲ひとつない、美しい星空。輝く満月から、降りそそぐ光。

  光の先を見下ろせば、明るく照らされた彼の顔。

  半開きの口。荒い呼吸。苦しそうな、切なそうな表情。私を見つめる、とろんとした瞳。

 

  その表情が何なのか、私はもう、知っている。わかってる、けど……でも、はっきりと、確かめたい。

  だから私は、彼と見つめあい、それを訊く。

 

「ねえっ……気持ち、いい……?」

 

「ああ……すごくっ……」

 

「うんっ……わたし、もっ……きもち、いい、よっ……」

 

  いま私は、彼と同じことを、感じてる。

  それを確かめあうと、胸の奥が温かくなる。

  体と体、心と心が、つながっている。そう思えることが……あったかくて、気持ちいい。

 

  ああ、気持ちいい。

  交尾って、本当に、キモチイイ。

 

  けど、もっと、行きたい。

  この心地よさの先へ、彼と一緒に。

  二人でなら行ける、もっとずっと上へ。あの何よりも気持ちのいい、あの場所へ……。

 

  背中を反らし、下腹部を彼の体へこすりつけるように動かす。腰をうねらせ、お腹に力を入れる。

 

「あっ、はぁ、ぁんっ……ん、ふぅんっ……」

 

  膣が、受精嚢が、卵巣が、硬い陰茎をぎゅっと包みこんで、そのオスのあかしを内臓ぜんぶで、体ぜんぶで抱きしめる。肉と肉がぶつかりあい、こすれあうたびに、体が、頭が、どんどん熱くなる。

  そして────

 

「うっ……あっ、もうっ……!!」

 

  そんな呻きと共に激しくなる、彼の腰の動き。私もその動きに乗って、自分の波を高めていく。もうすぐ来る、あのてっぺんに向かって。

 

  また、お腹が光る。彼の体を、顔を照らしだす。何度も、明るく、強く。

  メスの本能が、その衝動を彼に伝えようとしている。精液がほしい、早く、早く、って。

 

  それでも伝えきれない、収まりきらない思いが、お腹から溢れ出し、胸の中を満たして、唇へと吐き出され、

 

「うんっ……! おねがい、きてっ……せーえき、だしてっ……! 私の、中に、ぜんぶ……っ!!」

 

  そう言葉でも、おねだりをした瞬間。

  頭の中が、あの光で、真っ白に、染まる。

 

「いっ……くぅ……っ!!」

 

  彼が私の奥へ、深く深く、突き刺さる。ふたつの体が隙間なく、ぴったりくっついて、ひとつになる。

  大波が来る。体がバラバラになりそうな、激しい痙攣。思いっきり締めつけた膣の中心を、熱い熱いかたまりが、駆け昇ってくる。

 

「う、ぁっ……!!」

 

  そして、彼のすべてが詰まったその贈り物を、私は自分のいちばん深い場所で、受け取った。

 

「……っ!! あ……あっ……あぁ……ん……っ……」

 

 

  出てる。精液、たくさん。こんなに、まだ、出てる。すごい量……。

 

  パンパンに膨らんだ受精嚢が、なおも飽き足らず、その蜜液を吸い取っている。本当に破裂しちゃうかもしれないのに。それでも、もっと欲しい、もっともっと、彼の子種が欲しいって、一滴のこらず、飲み干そうとしている。

 

  その横にある器官が、そうしろって、囁いてる。

  私の卵巣。それが、小さく震えている。卵を作ろうとしている。彼の精子を、受精させるために。そんなこと……しても、無駄なのに。

 

 

  でも。

 

  ふと、想う。

 

  もし、無駄じゃなかったなら。

  もしかしたら。ううん、そんなの、ありえない。だけど、もし、それが、そんなことが、あるとしたら────

 

  そう想ったとき。

 

「えっ……?」

 

  私の中で、何かに火がついた。

 

 

  心臓が、きゅんきゅん身悶えしてる。そこに炎が燃えている。

  何もかもを焼きつくしそうな灼熱の、なのにそれは、とても暖かくて、とろけるほど甘い。

 

「あっ……あぁ、こんな……わたしっ、なんで……っっっっ……」

 

  頭の芯が融け崩れて、柔らかくて、とろりとした、なにかになる。

  心が作り変えられている。彼のことだけで、すべてが埋められていく。

 

  何?

  これは何?

 

  ぼーっとした頭の中で、疑問と共にふわふわと膨らむ、桃色の雲のような何か。

  気持ちいい。きもちいい。キモチイイ、でも、それだけじゃない。

 

  不思議な心が、彼への想いが、胸の中に溢れてる。

  私は……私は、あなたを、あなたのことを、私は……

 

 

  ことばが、欲しい。

 

  この心を、描き出す言葉が。

  そして、この想いを、あなたに伝える言葉が。

  わからない。見つからない。確かにそれは、私の中にあるのに。

 

  この夏の夜を、ずっと。次の夏も、その次の夏も。

  いつまでもこの甘い水の中で、あなたと寄りそって、つながって、揺られていたい。

  ただ心から、そう思った。

 

 

  胸の奥から湧き上がってくる、その心地よい何かを、全身で感じながら、私は彼の顔を見下ろす。

  月の光に照らされた、上気した頬。私を熱っぽく見つめる、あの眼差しを────

 

 

 

  ────違う。

  その表情じゃ、ない。

 

  口をぽかんとあけて。目を見開いて。

  ひきつった頬。驚愕の眼差し。私に? いや、その視線の先は。

 

  私の、背後に。

 

  振り向こうとした、その時。

 

  氷のように鋭い痛みが、背中に突き刺さった。

 

 

 

「うぐっ!?」

 

  のけぞった背中を、また斬りつける刃(やいば)。さらにもう一度、二度、三度。私の下で、彼が何かを叫んだ。

  激痛と、強烈な吐き気に、視界がゆがむ。ぐらりと傾いた首が、それでも殺意の源を、確かめようと回るよりも早く。

 

  わき腹に、何かが勢いよく叩きつけられた。

 

「!!」

 

  内臓が押しつぶされ、息が止まる。体が宙に浮き、景色がおかしな方向へ動く。やけにゆっくりと。

 

  最初に見えたのは、細く白い足。

  張り詰め、伸びきって、何かを蹴り上げた、そんな動き。

 

  次に、赤い包丁。それを握りしめる手。

  それから、歯をむき出し、眉を逆立てて、私を睨みつけた、女の顔。

 

  あの日、美しいと思ったその顔が、今はなぜか、ひどく醜く見えた。

 

 

 

  世界がくるくる回って、ひっくり返る。焼けた背中に、強い衝撃がくる。

  蹴り飛ばされ、宙を舞った体が、仰向けに地面に落ちた音。

  全身の神経が混線し、思考が停止する。声すら出せず、硬直する体。目に見えるのは、木々の影と、星空と、輝く満月だけ。

 

  その視界のどこか外側から、異様な音が響いていた。

 

 

「どうして! こいつと! あんたが!!

 こんなやつに! こんなの! あんた、なんで!

 私はっ! あんたがっ!! あんたはあああああああああ!!!!」

 

 

  聞き取りがたい、狂乱した叫び声。

  かき消される、小さな呻き声。

  それと、肉食の獣が獲物を食(は)むような音が。

  何度も、何度も。

 

  こんな静かな、澄んだ夜なのに。

  私と彼だけの時間、だったはずなのに。いったいどうして。

  ああ、五月蠅い。うるさい、うるさいウルサイもう────

 

「……黙れ」

 

「ぴギっ!?」

 

  ニワトリが締められたみたいな声がひとつ。

 

  どさりと何かが落ちる音がひとつ。

 

  そして、あたりに静寂が戻った。

 

 

 

 

 

「……痛(い)っつ……」

 

  横向きに体を丸め、両腕で自分を抱きしめる。息を吸おうとしたら、真っ赤な咳が喉から飛び出した。

 

「げほっ……ごふ……ふぅ……ふっ……う」

 

  小さく浅く、呼吸を繰り返す。背中が燃えるように痛み、体液が溢れているのを感じる。

  けど、大丈夫。大丈夫だ。これぐらいでは死なない、妖怪(わたし)は。

 

  震える腕に、精一杯の力を込めて、また倒れそうな体をなんとか支えながら、私は草むらの上に身を起こした。

 

  人影が、目に入る。

  少し離れた地面の上に、折り重なって倒れている、人間の男女の。

 

  女は、白目を剥き、口から泡を吹いて、その動きを止めている。

  振り乱したままの長い髪。首筋には、大きな虫刺されの痕。

  そして手に握った、包丁は。

 

  真っ赤に染まった彼の胸に、深々と突き立っていた。

 

 

 

  凍った月の光の下、血しぶきに濡れた草の上を這いずるようにして、私は彼の元へと身を寄せた。

 

「……ねえ、生きてる?」

 

  返事はない。

 

「ねえ……」

 

  痺れた指先で、そっと頬を撫でる。

  青白いその肌からは、すでに温もりが失われていて。

  半開きの唇も、のぞきこむ私の顔を映す瞳も、微動だにしない。

 

 

「……死んじゃった、か」

 

 

  そう呟いた私の中に、またひとつ、知らない感情が湧き出していた。

 

  それはまるで、内臓がクモの糸に絡めとられるような。

  きりきりと締め上げられ、心臓に牙が突き立てられるような。

 

  あるいは、胸の奥に、大きな空洞ができたような。そこに冷たい風が吹き抜けていくような。

  そして私が、その深い穴の中へ、どこまでも落ちていくような────

 

  それを言い表す言葉を、また私は、頭の中で探していた。

  探し続けていた。

  答えは、見つからない。

 

  この感情は、何なのだろう。

  どうして、こんな気持ちになるのだろう。

  どうして、こんなに胸が苦しいのだろう。

 

  ああ、どうして、どうして……

 

  どうしてこんなにも、目から熱い水が、あふれて止まらないのだろう────

 

 

 

 

 

  ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 

「なるほ、ど。よくわかりましたわ」

 

  また何日か後。

  夕暮れに包まれた川べりで、足を水にひたして涼んでいた私が説明を終えると、傍らに立つ紫のドレスの少女は、そう言葉を返した。

 

「確かに、女のほうを殺ったのは私だけど。……別にいいでしょ? 一人くらい。妖怪に牙をむいた人間だし、さ」

 

「そうですわね……まあ、今回は特に何も言いませんわ。二人とも既に、里人(さとびと)の間では、おかしくなったと思われていたようですし」

 

  はたはたと、扇子が起こす風で長い金髪を揺らしつつ、幻想郷のお目付け役は、意外と興味のなさそうな声で言う。

 

「ところで、あなた……妖怪になって、どれくらいかしら?」

 

「さあ……忘れたけど、少なくとも、あんたよりはずっと若いよ。それが何?」

 

「……順調に年(とし)経(へ)ているようだと、思っただけですわ」

「バカにしてんの?」

「いえいえ、とんでもない。今後もどうぞ、ほどほどに……」

 

  空間の閉じる気配がして、うさんくさい姿と声が消え去った。

 

 

 

 

 

  川の水が流れる音と、鈴の鳴るような虫の声だけが響く。

  暗くなりかけた遠くの草むらに、私の仲間たちの光が、ちらりちらりと舞い始めていた。

 

  私は川べりに腰かけたまま、外套を外し、シャツを脱ぎ捨てた。

  上半身に巻きついている、赤黒い布切れをほどく。

 

  包帯がわりに使っていた、あの人の服の切れ端。

  覆っていた背中の傷は、おおよそ塞がりかけている。

 

  二人分の血が染みこんで、すっかり硬く、重くなったそれを私は、川面に投げ捨てようとした。

 

  その手が、なぜか止まる。

 

「……」

 

  また心に浮かんだ知らない感情が、私の指を、汚れた布切れに吸いつけていた。

 

  その湿った粘り気が、一体なんなのか。

  指し示す言葉は、やっぱり浮かんでこなくて。

 

「……気持ち悪い、な」

 

  濁った水が渦巻く心に、そんな呟きでフタをして、私は今一度、大きく振りかぶった腕を思いきり、川に向かって振った。

 

  背中と胸が、ずきりと痛んだ。

 

 

 

  黒い布切れが、少しずつ沈みながら、川を流されてゆく。

  私は川べりに腰かけたまま、それをじっと見送っている。

 

  なにか奇妙なことがあって、終わった。ただ、それだけ。

  それだけの、はずなのに。

 

  何故なのだろう。

  今も私の目から、苦い水がこぼれ続けているのは。

 

 

  布切れの影は、すでに遥か彼方へ消えていた。

 

  日が沈む。

  世界が、夜に覆われていく。

 

  虫たちの声と光で満たされた、夏の川べりの片隅で。

 

  私のお腹が、また冷たく光った。

 

  それを見てくれる人は、誰もいないのに。

 


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